※この話は主人公が高1の夏ということで将来的に矛盾が出ることがあると思います。なのでそこら辺はご了承ください。

 一応現在の22話までの設定で書いております。







夏……

蝉がよく鳴く季節。



夏……

海で水着姿の美女がその眩い肢体を晒す季節。



夏……

山ではキャンプやらなんやらで家族が楽しむ季節。





そして俺は……



「………」

「………」



……………



「エリオ……釣れたか?」

「……ううん」



エリオと一緒に釣りをしていた。







            

時空を駆けちまった少年



外伝? 夏休み with チビッ子’s








      3日前





期末もなんとかクリアして見事夏の休暇を勝ち取った。

その最初の週に俺にある頼み事が舞い込んできた。





「お願い!」

「いや……別にいいっすけど」





3日前、突然フェイトさんからお願いをされた。

内容はエリオとキャロのことだ。



六課解散後バラバラの職場になったみんな。

休暇も中々合わせられず、みんなで会うという機会も激減した。

そんな中でなんとかエリオとキャロと休暇を合わせて出かける予定だったはずのフェイトさんだったらしいのだが、いきなり事件が舞い込んできて

休暇をオジャンにされたそうだ。



そのためせっかくの2人の休暇がちと寂しいものになりそうで、代わりに俺が相手してくれないかということだ。





「ごめんね。予定だと地球に行くことにはなってたからケイが適任かなって思って」

「夏休みも始まりましたしいいですよ。どこに連れてくとかはこっちで決めていいですか?」

「私は海鳴で楽しむ予定だったけど……何かあるの?」

「日本の子供の夏の姿というものを体験させようかと」



言っておくがクーラーのガンガンきいた部屋でゲームをするわけではない。

てかそんなの夏にすることじゃねえ。

レッツゴートウ外だ!



「うん。やっぱりこの話なかったことにしよう」

「いや何それ!? なんでいきなりそうなるんですか!?」

「エリオとキャロに変な格好させないで!」

「させねえよこの子煩悩!」

「嘘だ!」

「ティアナ口調でその台詞言うんじゃねえ!?」



なんか怖いじゃねえか!?



「だってケイの服のセンス変だもん!」

「いたって普通じゃ!」

「地味なんだよ!」



無地のシャツ基本でどこが悪い!

派手なのは嫌いだし、ブランド物は高いから嫌なんだよ!



「あんた俺のことぜってえ嫌いだろ!?」

「嫌いだったらこんなこと頼まないよ!」

「さっきなかったことにしてくれって言いましたよね!?」

「だから――」

「そんなの――――」









……どういう流れでちゃんと最初の話題に戻ったんだっけ……

忘れたがとにかく2人と休暇を過ごすことになったわけだ。



ちなみに現在は俺の母方の爺ちゃんの方に来ている。

はっきり言おう。

今時かなり珍しいくらいド田舎だ。



超有名な “ となりのト○ロ ” の田舎くらい田舎だ。

2人を連れて爺ちゃんの家にお泊りして日本の懐かしい子どもの夏休みを体験してもらおうと思ってこうした。





「まずいぞ……このままじゃ女子組に負けるぞ……」

「べ、別にいいんじゃ……」

「お前はまたキャロと風呂入りたいんだな」

「ポイント変えようよ」

「よし来た。もう少し上流行くぞ」





女子組とはキャロ、ルーテシア、アギト、ヴィヴィオの4人組である。

ルーテシアとヴィヴィオはせっかくだから呼んだのだ。



なのはさんも忙しくヴィヴィオとお出かけが少しの間できそうにないから誘ってみたらこっちも頼まれた。



4人で合流してからルーテシアとキャロの魔法でこの村に移動して爺ちゃん、婆ちゃんに挨拶。

それから荷物置いて、釣り用具を持って山の川に釣りに来た。



せっかくだから競争とかいう流れになって、釣った数の多い方が命令権を得る。

ちなみにキャロのお願いはエリオとの久しぶりの一緒の風呂だそうだ。





「あっちはどのくらい釣っただろ」

「わからない……でもキャロは昔から自然保護区で育ったから……」

「釣りが日常行為でうまいんだな……」

「うん……この前も大量だった」



お前なんでそれ知ってて釣り勝負に話流れたの止めなかったんだ。

くそ! 模擬戦とかの勝ち負けはいいがこっちでの負けはなんかくやしい。



上流に来ると周りは完全に山の木々で覆われ、川の流れる水もさらに冷たそうだった。

岩場も多く、飛び込んだりすると面白そうな場所もたくさんあった。



あとで飛び込みやらしてみるか。





「涼しいね」

「そうだな。さて、釣るぞ!」

「うん!」





餌のミミズを釣り針につけ俺とエリオは再び釣りにはいった。









     1時間後





ポイントを変えて正解だったな。

こっちに変えてから結構あたるようになったし。



さて……そろそろ時間か。





「成果は?」

「5匹」

「俺は6匹だ」



2人で11匹……まあなんとかなるかな……

俺とエリオのバケツの中にはそれぞれ数匹の魚が入っていた。

大体どれも15センチくらいの川魚だ。





「キャロ達は……」

「おっ、来た来た」



4人は下流の方で釣ってたか。

岩場を器用にぴょんぴょん跳ねたりしながらこっちに向って来る。

うん。うん。子供らしくて結構結構。



ちなみにルーテシアとキャロ、ヴィヴィオの服装は白のワンピースに麦わら帽子でお揃いの服だ。

エリオは麦わら帽子に白のタンクトップに青色の短パン。要するに虫取り少年スタイル。



エリオ、キャロ、ルーテシアの服は昔着た俺と妹の服だ。

3人とも着替えとか持って来てたけどミッドの気候に合わせてるから日本の夏を過ごすのにはちと暑いだろうと婆ちゃんが引っ張り出してきたのだ。



ヴィヴィオは最初からそのスタイルだった。

まあなのはさんは日本出身者だし、荷造りのときにどんなのがいいかわかってるからだろう。

てか偶然こうなるのもすごいな。



ちなみに俺はTシャツにハーパンだ。

流石にエリオと同じ格好をする歳でもないからな。





「エリオ君、ケイ兄さんお待たせしました」

「……お待たせした」

「へっへ〜〜、そっちは成果どんなだ?」



体力がさらについたようで結構登ってきたと思うが全然息切れを起こしていないキャロ。

流石辺境地区で働いてるだけあるな。

ルーテシアはちょっと息切れしてるけど結構あるっぽいな。

ヴィヴィオも楽しんでるようで余裕が見える。





「こっちは11匹だ」

「キャロ達は?」



ん? バケツがねえな……ボウズか?

こっちのは11匹ともバケツの中だが……



4人とも手ぶらで来ていてちと不思議。





「バケツに入りきらなかったので岩場の石で囲っておきました」

「……30匹は行った」

「キャロが20匹。ルールーが7匹。ヴィヴィオが4匹。アタシが3匹だ! アタシ達の勝ちだな!」

「ヴィヴィオの勝ち〜♪」





すげえ嬉しそうに言う3人と勝ち誇った感じで言うアギト。



………

負けた……完敗だ……まさかルーテシアにまで負けるとは……

その場で両手をついて敗北を噛みしめた。



「け、ケイ兄……」

「エリオ……俺はお前を生贄に捧げよう……」

「そんな!?」



すまん……俺のために散ってくれ……

どうせ前も入ったしいいじゃねえか。





「じゃあケイは私とお風呂……」

「ルーテシア。この世界じゃ16歳以上の男が11歳の女の子と入るのは違法なんだ。諦めてくれ」



ルーテシアの言葉に応える時間およそ0、1秒の超早業。



「そうなの……わかった」



うん。こいつは素直だ。

しっかり信じてくれた。違法じゃねえけど常識的、社会的問題がありすぎだ。



「ルー、だめだよ。これケイ兄の嘘だから」



おいエリオ。何バラしてやがる

この野郎。頭にアイアンクローかけてやる。



「痛い! 痛い! ケイ兄の力でそんなことしないでよ!?」



余計な事を言わすのはこの頭か。

このままシェイクすっぞ。

俺を犯罪者にする気かコラ。



「ケイ……嘘つきは泥棒の始まりって言った……」

「いやそれは……」



あれ〜、俺そんなこと言いましたっけ?



「おいコラ。何ルールーに嘘ついてんだお前は」

「嘘つき」

「うっ……か、代わりにカキ氷奢るのはどうだ?」

「……それって何?」



ミッドにはないのか?

バレンタインやらがあってかき氷ないとかマジで偏った感じで文化流れてるな。





「氷を擦ってそれに甘いシロップをかけて食べる日本のアイスみたいなもんだ。夏にみんな食べるぞ」

「……食べる」



うっし! これで回避!

まだまだ食の方優先なお年頃だな。こいつらは。



「じゃ、じゃあ僕もキャロに奢るよ!」



エリオも同じ手を使うか。



「私はお風呂の方がいいな……」

「ヴィヴィオもエリオとお風呂〜」



まあ当然の結果だわな。



「カキ氷じゃ駄目?」

「ダメ〜〜」



おいキャロ……

お前上目づかいでさらに泣き顔なんて高等技術エリオに使ってやるなよ。

メッチャ戸惑ってるぞ。





「エリオ君……」

「え……えっと……うん……」



あっ、陥落した。

そのまま口から魂出てやがる。

って待て待て待て! そのまま昇天しようとしてんじゃねえ!?





「捕まえたのどうします?」

「ん? 塩焼きにしてみんなで食うぞ」



調理はできんが魚を捌いて焼くくらいはできらあ。

包丁やら調味料やらはしっかり持ってきてるぜ。

火はここに便利な移動型コンロいるし大丈夫。





「じゃあ私も手伝いますね」

「おっ、キャロのお手並み拝見だな」

「そ、そんな大したものじゃないですよ」









………嘘だった……

俺もサバイバルでやったから自信あったけどキャロの方が圧倒的に手際がよかった。

絶望した!



「ケイ……キャロは本職……」

「そうだな……そうだよな」



俺は普通の人と比べれば十分できる方だよな……

そうだよな……



「まあキャロにあんな口きける立場じゃなかったよな。むしろ焼きを担当したアタシの方が役に立ったんじゃねえのか?」



………

確かに……アギトは絶妙な焼き加減で串に刺された魚を焼いてたし……

俺はキャロの半分くらいだけ捌いて刺して適当に焼きを手伝った感じだった……



「ケイ兄……僕の職場での悩みわかった?」

「お前……これからも頑張れ」

「うん……」



逞しきかな、元六課関係者女子一同。

俺達男はダメダメですか。



「おいし〜〜」

「ありがと、ヴィヴィオちゃん」

「キャロ……上手」

「えへへ、ほらエリオ君もケイ兄さんも」

「うん」

「おう、こうなったらヤケ食いじゃ」



5人で色々話しながらみんなで釣った魚を食べた。

最近の仕事のこと。

学校や家でのこと。

4人とも異世界の人間だが結構うまくやっているようで安心した。

子供にしてはかなり重い過去というほど昔でもない辛い出来事やらも体験していたり現在進行形で体験している4人。



この時間だけでも普通の子供らしくできているのがなんだか嬉しかった。



……ん? 待て。 ってことは普段で見れば俺が一番子供じゃん!?

ぐっは!? やべえ! 年長者の威厳0だ!



「何悩んでんだお前」

「アギト……どうすれば俺は大人っぽい行動できそうだ?」

「まずは勉強しとけ。この前もアタシの助けでやっとだったじゃねえか」



勉強か……よし! やってやる!



ちなみに2日で勉強断念しました。

数学? 古典? 化学? 物理? 知るかボケエ!











「よ〜し、いくぞ〜」

「うわぁ〜〜〜」





どぼーーーん!!





食後。少し腹休めしてから岩場の方で遊ぶことにした。

今はエリオと2人で大体4Mくらいの高さの岩場から川に飛び込んだ。

川は結構浅いところと深いところの差が大きく、飛び込む場所さえしっかり把握できてれば怪我はしない。



「ぶっは! 冷たくて気持ちいい〜」

「おっしゃ! もっかい行くか!」

「うん!」



エリオは結構ハマったようだ。

川から上がりもう一度飛び込む気のようだ。



まあストラーダでこれ以上の高度を高速で動きまわってるしあんま怖くないんだろうな。



「エリオ君、気を付けてね」

「大丈夫だよ。キャロもやってみる?」

「あはは……私はちょっと……」



まあその恰好じゃツライだろうな。

俺とエリオはシャツを脱ぐだけで済むけど女の子の3人は脱ぐわけにもいかん。





「ヴィヴィオもする〜〜!」

「ヴィヴィオはだめ。危なっかしいしまだ小さいから」

「い〜〜や〜〜だ!」



そんなこと言ったてダメ。



「なのはさんだって反対するって」

「う〜〜〜」



もし万が一のことがあったら顔向けできん。

せめて10歳くらいになったらさせていいと思うが……





「へっ、アタシの見事な飛び込み見てやがれ!」

「おーー! やれやれーー!」





こいつはまあ……実際年齢考えると300歳以上なんだよな。

妖精は歳食わんのだから羨ましい。





「アギト頑張れ〜〜」

「とう!」



見事なフォームで岩場から飛び込む。

まっすぐ水に向かって腕が伸び、背筋もピンとなっている。

み、見事だ……



だが水面に着水する瞬間





パシャ パク



「うわあああああああ!」

「アギトーーーー!?」



でっけえ魚に空中でパクッといかれやがった!?

げえ!? そのままアギト加えて魚が逃げようとしてやがる!





「まてええええ!」

「助けてーーーー!」



コラーーー! 俺の相棒連れてくなーーー!











「ぜえ……ぜえ……死ぬかと思った……」

「はあ……はあ……ガリュー……サンキュー……」



どんどん下流の方に魚のやつは逃げて行きいくらなんでも捕まえるのは無理かと思われたがルーテシアがガリューを召喚して2人でなんとか捕まえた。

しかし相当苦労したぜ。

岩が多いし足場は悪い。

魚は岩の隙間をひょいひょい潜って逃げるからどうしようもなかった。

ガリューが岩を切り裂きながら追い込み、最後になんとか俺がアギトを掴んで救出に成功した。





「アギト……大丈夫か?」

「窒息死するかと思った……」



まあ生きてて何よりだ。

さて……今大体3時くらいか……

アギト救出に結構時間食ったな……



「それじゃあそろそろ降りてカキ氷食いに行くか」

「「「「 うん。(はい)(おっしゃー)!」」」」







     



山を下りてとりあえず家にまで帰ってきた。

家の造りはこれまた懐かし古しな感じの日本家屋。

今時そうそうないだろうがこの村の家は大体これだ。

最初この家を見た4人は結構驚いてた。



「ほれ、できたぞ」

「「「「 いただきまーす 」」」」



奢るとは言ったが実は俺のお手製である。

結構本格的な機械が蔵の奥にあったのでそれを引っ張り出して洗って使えるようにしたのに苦労したから金は勘弁して。

それにここから店にまでだけで3,40分かかかるからその間に食うにはちょっと遅い時間になるし。



家の縁側で5人揃って食べる。

日陰の場所にさらに風が吹き、クーラーいらずなこの場所は俺の昔からのお気に入りの場所だ。





「あんま慌てて食べるなよ。頭キーンて……遅かったか……」





ヴィヴィオ以外頭を抱えて苦しんでる。

痛いんだよな〜あのキ〜ンってくるのって。



「……ケイ……」

「あ〜……すまん。言うの遅かったな。だからそう泣きそうになるな」

「……もういらない……」



……前もこんなことあったな。



「まあそういうな。ゆっくり食べればおいしいし冷たいから」

「ぐっす……」



頭を撫でてやる。

今度はゆっくり食べ始めてかき氷を堪能している。

泣き顔もどんどん機嫌のいい顔に戻ってきている。

正直変化が微妙すぎてわかりづらいんだが。





「いたたた……」

「エリオもキャロもアギトも大丈夫か?」

「うん。僕は大丈夫」

「なんとか」

「言うのが遅え」



まあそう怒るなアギトよ。

ん?そういや……なんでヴィヴィオは大丈夫なんだ?



「ヴィヴィオはなのはママに作って食べさせてもらったときになったから知ってるの」



えっへんと得意げに言う。

つまりお前も初めて食べて同じ目にあったんだな。



「頭き〜んってなって痛かった……」

「まあそれがいいって人もいるけどな」



俺は嫌いだけどな。

カキ氷を食べた後は昼寝をして夕方まで寝るのだった。

結構川の方ではしゃいだため全員疲れてぐっすり寝たのだった。









     夜 夕食







起きてからは夕食の準備を全員で手伝った。

と言っても素麺だったのでそんなに手間は掛からなかったのだが。



「さあ、たんとお食べ」

「「「「「「 いただきまーす! 」」」」」



婆ちゃんの合図でいただきますを言い、みんな箸を動かす。

エリオとキャロ、ヴィヴィオは箸を使ったことがあったため結構普通に食べてる。

ルーテシアもなんとかチャレンジしているがうまくいってない。





(アギト、ルーテシアの手伝ってやってくれるか?)

(あいよ)



姿を隠しながらアギトは浮遊魔法を応用して麺を微妙に浮かしてルーテシアが普通に食べてるように見せている。





「にしてもケイ。お前いつの間にこんなの外国の子供と知り合ったんだ?」

「あれ? 去年言わんかったけ?」

「全然聞いてないわよ」



爺ちゃんと婆ちゃんが質問してくる。

う〜ん……そうだっけか?



「去年外国に行ったときのお世話になったところの子供たちだよ」

「お前いつの間に外国行ったんじゃ?」

「まあ細かいこと気にしない気にしない」



本当のこと言うわけもいかないので適当に誤魔化した。

ごめん。爺ちゃん、婆ちゃん。

でも俺……「今すぐ病院行ってこい」 って言われたくないんだ。









       夜 山の中







さて……もう完全に日も落ちて真っ暗な山の中。

そんな中で俺たちのする目的はただ一つ。





「カブトムシとクワガタ捕まえるぞ!」

「「「「「 おーー 」」」」」



便乗サンキュー。

クワガタやらは夜の方が捕まえやすい。

樹液の出る木を見つけそこを狙うか、蜜を樹液の出る木に仕掛けておけば夜から早朝の間にいたりする。

今回は爺ちゃんに頼んでうちの山のいくつかクワガタやらがよく出るポイントを教えてもらった。



「僕虫捕り初めてだよ」

「ん? 調査やらでしないのか?」

「基本は鳥獣の保護とかなんで虫はあんまり。それに虫ならルーちゃんの方が詳しいです」



ああ、召喚するの虫だもんな。

でも地球のとはまた勝手が違いそうな気も……





「……クワガタってこの子?」

「そうそう……」



ルーテシアの手の上には7センチのオオクワガタがいた。

でけぇな〜

ん?





「「 ルーテシア(ルー) もう捕まえたの!? 」」 

「ぶい」



……恐るべし虫使い。

ん? 待て。確か8センチのオオクワガタって1千万いくとか聞いたような……

結構前だから今は違うかもだが……



「よし、ルーテシア。今すぐこれより大きいサイズを探すぞ」

「ケイ兄さん……目がお金になってますよ……」



むっ? マジか?



「がんばって探せばいるかも」

「よーし、探し出して1千万だ」

「目的変わってるよ!?」

「いっせんまーん!」

「ヴィヴィオちゃんまで!?」



よし、ヴィヴィオ。

見つけたら山分けだ。



「おい。そんな私欲に塗れていいのかよ」

「何を言うか。1千万あれば御馳走食べ放題だぞ」

「クワガターー! 覚悟しやがれ! 今すぐ燃やしてやる!」



燃やしてどうする馬鹿たれ。

捕獲すんだよ。捕獲。



とかなんとか言いながらみんなで虫捕りを楽しむ。

普通の女の子は虫とか触るの嫌がったりするだろうけど生憎3人とも





「これはなんて虫だろ?」

「これカッコイー!」

「6,3センチ……さっきより小さい……」



まったく平気そうですね。

てかバンバン見つけてるし。虫使いにサバイバル少女。

……最強のタッグじゃねえか!



「ケイ兄―この足がいっぱいのは何?」

「百足じゃねえか!? 刺されるからすぐ放せ!」



てか捕まえた瞬間によく刺されんな!?



「けい〜これは〜?」

「カメムシだ。早く放さんと屁を扱かれて臭い匂いがつくぞ」

「にゃああああ」



なのはさんの悲鳴が定着してるな……

むっ!?





「捕ったーーー!」



虫捕り網を振ってゲット。さて……獲物は……



ブーーーーーン……



………



「スズメバチだーーーー! 逃げろーーー! 刺されたら死ぬぞーーー!」

「「「「 きゃあああああ(うわああああああ) 」」」」



ヴィヴィオとルーテシアを脇に抱え猛ダッシュ。

そして俺の横を飛んで逃げるアギト

キャロはエリオがお姫様抱っこで抱えて逃げる。

てかソニックムーブ使って逃げやがった!?





「けいーー! 後ろ来てるーーー!」

「こなくそーーー! 俺の日々の地獄の特訓なめんなーーー! アギトーーー!」

「仕方ねえな」





「「ユニゾン・イン!」」







     

     ケイ爺ちゃん宅







「ぜーはー……ぜーはー……」

「はあ……はあ……」



な、なんとか逃げれた……

アギトとユニゾンして地面を蹴った瞬間に足元を小さく爆発させて加速しながら逃げてきた。

燃やしすぎると山火事起こりそうで難しかった。



「刺された奴はいないな?」

「僕は大丈夫」

「私もです」

「大丈夫……」

「怖かったーー」





よしよし。誰も怪我してねえし刺されてもいねえ。

よかった〜〜。

しかし……せっかく捕まえたカブトやらクワガタ走ってるうちに逃がしちまったな。

もったいないことをした。





「おや、おかえり。スイカあるから出してくれるかい? 井戸の方にあるから」

「おっ? 冷やしておいてくれたんか。サンキュー婆ちゃん」





そういやこいつ等スイカ知ってるのかな?





「スイカ食うか?」

「スイカってなに〜?」

「ニンジンだ」

「いりません」





こらキャロ。

お前まだニンジン食えないのか。ダメだぞ。しっかり食べないと。





「ニンジンなら大丈夫〜」

「ピーマンみたいな味もするぞ」

「ピーマン嫌いーーー」



さて冗談はここまでにして……





「嘘だ。本当は野菜なのか疑わしいくらいうまくて甘い」

「本当?」

「これは本当」



いや〜こいつ等だからつける嘘だな。

スバルやらティアナ、ナンバーズの奴らだったら今頃集団リンチに遭ってるぜ。

井戸から引き揚げ包丁を持って来て適当な大きさに切り分け全員に配る。







しゃくしゃくしゃく……



しゃくしゃくしゃく……



ぷっぷっぷっぷっぷぷ。



しゃくしゃくしゃく。





「あま〜い」

「うめえ〜」

「おいしい」

「冷たくておいしいです」

「だろう? むっ、種飛ばし1位はエリオか」





みんなでキンキンに冷えたスイカを食べつつ種飛ばしやらもする。



虫の鳴き声と風鈴の音の鳴る縁側。

そこで庭を見ながら5人でまったりする。

あ〜……平和だ。



「さて……チビッ子‘sは風呂行ってこい」

「はい」

「は〜い」

「ケイは?」



俺は行かんと言っただろう。



「さて、どこに行こうと言うのかなエリオ君」



無言でこの場から離れようとしたエリオをとっ捕まえる。

この野郎魔法まで使って逃げようとしやがった。



「は、放して! っていうかどうしてこういうときは反応早いの!? ソニックムーブも使ったのに!」

「ほいよキャロ。しっかり捕まえとけ」

「ありがとうございます♪」



では逝ってらっしゃい。

そのままキャロとヴィヴィオにズルズルと引っ張られていくエリオ。

ルーテシアもその後についていった。

さて……これで俺の静かな風呂は約束されたな。













ふう……

いい湯だ……

あの後しばらくしてからエリオとキャロ、ヴィヴィオの3人が風呂あがったと言ってきたので今は俺が入ってる。





   ガラガラガラー



ん? 何の音だ?



   ひたひたひた  ばしゃー



足音と湯を掛けた音? 爺ちゃんでも入ってきたか?



「ふう……ごくらく……ごくらく……でいいの?」

「そうそう。風呂の湯加減がいいときはそういうんだ」

「なんでそう言うの?」

「詳しくは知らん。でも気持ちいからそう言うんだろ」

「そう……」





………

…………



「マテ、なんでいるねん」

「さっき入らなかったから今来た」



ジーザス!

図ったなエリオ! 

まさかエリオに嵌められるとは思いもせんかったわ!



「……俺上がって待ってるからゆっくりしとけ」



シュタっと手を上げ湯船から逃げようとした瞬間。



「大人しく入りやがれーーー!」

「ぐっぼ!?」



アギトが思いっきりとび蹴りかましてきやがった。

顔面に喰らいそのまま湯船に押し戻された。



「ケイ、前にキャロとエリオと入ったって聞いた」



いや確かに入ったがキャロは予想外だぞ。



「じゃあ私も入る」

「そうだぞ! いいじゃねえか。それともルールーに興奮でもしそうで不安なのか?」



んなわけあるかい。

11歳の子供の裸に興奮なんぞするか。



「あ〜……もうわかった。俺の負け。一緒に入るか」

「うん」

「それでいいんだよ」



まあ……いっか。

こいつらに楽しんでもらえるのが一番だしな。



「ほれ。頭洗ってやるからそこ座れ」

「うん」

「アギトは俺の背中流してくれるか?」

「任せろ」



ルーテシアの長い紫の髪を丁寧に洗う。

俺の髪だったら適当に洗うけどそうもできんしな。

にしても髪質いいなコイツ。俺の結構硬いからな。





「ケイ……」

「なんだ?」

「今日は楽しかった……ありがと」



……

つい頬が緩む。

ルーテシアは表情こそ大きな変化させないけどしっかり感情はある。

かわいらしい奴だ。



「なに、楽しんでもらえたならそれが一番だ。アギトはどうだった?」

「当然楽しかったさ。ルールーとこうして遊ぶのとか久し振りだったしな」

「うん……私もアギトと……エリオやキャロ、ヴィヴィオと遊べて楽しかった」



まったく……こいつらは純粋だよ本当に。

こんな時間を過ごして楽しく成長していってほしいぜ。





「あう……」

「どした?」

「シャンプーが目に入った」

「洗って流してやるからこっち向け」

「うん」



ほんと……こんなほのぼのした時間は最高だな。













風呂も上がりもう12時を回った。

広めに作ってある客間の縁側を全開にして蚊帳を吊るしてその中に5人分の布団を敷いた。



「電気消すぞ〜」

「く〜…く〜…」

「すーすー……」

「むにゃむにゃ……」



チビッ子‘sはもう完全に熟睡している。

今日1日ちょっとハード過ぎたかな……

でも明日には3人ともミッドと職場に戻るからおもいっきり遊べるのは今日だけだ。

それに楽しんだみたいだしいいか。



「アギト。蚊取り線香に火つけてくれるか?」

「あいよ。ったく、こいつ等楽しそうに寝てるな」

「いいじゃねえか。俺もこいつら並に楽しんだし」

「お前はいつもそうじゃねえか」



そうか? 高校になってから結構六課の奴らやナンバーズの奴らと会う数減ったからな……

そうでもないと思うけど。



「それじゃあアタシらも寝ようぜ」

「そうだな」



布団に入って俺もアギトも夢の中に入って行った。

できることならこいつ等にも俺にもいい夢が見れますように……なんてな。









      Side キャロ





「ん……」



何か物音がしたと思って目を覚ましてしまう。

なんだろ……何か近づいてるような音だけど……



音の近付く方を見る。

何かが動いている。それはどんどんこちらの方に近づいてくる。





「うふふ……」



こっちに近づいてきて不気味な声を出す黒い影。

暗くてよく見えないけど……なんだか触手のようなシルエットが見える……ま、まさか……





「き、きゃああああ! お化けーーー! エリオ君! お化け! お化けがーーー!」



こ、怖いよーーー!

起きてエリオ君!

慌ててたせいでついエリオ君の顔を叩いておこしてしまう。



ごめんね。でも今は緊急事態なの!



「ど、どうしたのキャロ!?」

「お、お化けが! お化けが!」



「何だと!? どこだ!?」



ケイ兄さんも起きてお化けがどこか探す。



「庭に、庭にいました!」

「!? そこかーー! 悪霊退散! 爺ちゃん家のお札喰らえ!」





そのまま黒い影に向かって色々投げるケイ兄さんとエリオ君。

黒い影はそのままどこかに消えていった。



「キャロ大丈夫!?」

「こ、怖かったよ……」

「気配はあったけど姿はなかったな……まさかマジで出るとは……」



姿がなかったって……

私が目をさましたばっかりのときは確かにいたのに……

黒くて何か色々変な影も一緒に生えてた。





「庭には何もいなかったけど確かに気配はした。一応塩撒いてくるから安心しろ」



全然安心できないんですけど……

というかお塩を撒いたくらいで幽霊って出てこなくなるのかな?



「エリオと一緒の布団で寝ろ。少しは安心できるだろ?」

「ええ!?」



慌てふためくエリオ君。

め、迷惑だよね……で、でもこのままじゃ怖くて眠れないよ……



「あ、あのダメかな? このままじゃ眠れないよ……」

「え、えっと……それは」



やっぱり迷惑だよね……

頑張って一人で寝ないと……



「わ、わかったよ! こ、これも騎士の務めだよね!」

「あ、ありがと。エリオ君」

「う、うん!」



「それじゃあルーテシアとアギト起こさないように静かにしてろよ」



あ、あれ?

ルーちゃんとアギトちゃんはまったく起きないでまだ寝てる……

規則正しいリズムで寝息を立てているルーちゃんと、手足を大の字に伸ばして小さなイビキをかいて眠るアギトちゃん。

お、お化けとか怖くないのかな?



「す、すごいね……キャロの声でも起きないって……」

「う、うん」



ケイ兄さんが庭の方に魔除けとして塩を撒きに行ってる間に、私はエリオ君のお布団に一緒にはいり眠ろうとする。

さっきのことが怖くてつい強く抱きついてしまう。



「だ、大丈夫だよ。ちゃんといるから」



ちょっと恥ずかしそうにそう言って頭を撫でてくれるエリオ君。

えへへ……なんだか安心する……



「うん……ありがとう……」

「ど、どういたしまして」



ゆっくりと、そしてやさしく撫で続けてくれる。

安心感が得られてだんだんと眠気が再びやってくる。

おやすみなさい……エリオ君……







 

       翌日 Sideケイ







う〜ん。朝か……

台所の方から味噌汁とご飯のいい匂いがするな……



チビッ子達はまだ全員眠ってる。

エリオとキャロは抱き合いながら同じ布団で寝ていた。

……

いやホントこの2人進んでるな。

俺もそういう相手できるかなー。

できねえだろうな。

あっはっは。



とりあえず布団から出て台所の方に向かう。すると婆ちゃんが朝飯を作ってた。



「おはよ〜」

「はい、おはよう。珍しく早いね」

「ふぁあ〜……まだ眠ぃけどね……」



あれ? 爺ちゃんの姿ねえな。まだ寝てるのか?

毎年この時間には新聞読んでたと思うけど……どうしたんだ?





「爺ちゃんは?」

「ああ、なんだか今朝早くに隣の山田さんが外人さんの死体を見つけたって言って出てったよ」

「マジで?」



おいおい……こんな村で死体遺棄かよ……

世の中物騒だな……捨てられたこっちとしても迷惑極まりない。



「金髪でなんだか制服にマントとかつけてたそうだよ。山の方のイノシシ用の罠に掛ってたそうだから死体遺棄とかじゃないみたいだけどね」



それってまだ生きてんじゃね?

つうか誰だよそんな間抜け。





「帰ったぞー」



玄関扉の開く音と一緒に爺ちゃんの声した。

帰ってきたか。

だけどなんでか気配がもう1人分感じるのは気のせいか?



「ほれ、入った。入った」

「お邪魔します……」

「ぶーーーーーーー!? フェ、フェイトさん!?」



なんであんたこんなとこにおんねん!?

つうか滅茶苦茶汚れてる上になんでバリアジャケット装備してるの!?



「どうしたのお爺さん、その人」

「いやの、死体とか言うとったが普通に気絶しとっただけでの、ほっとくのもなんだから連れてきた」



爺ちゃんペット感覚で言うなよ。



「け、ケイ……」

「はいなんでしょうか?」

「エリオとキャロに何したのーーーー!」



ものすごい形相と血走った眼で襲いかかってくる。

うおおおおお!?いきなり胸倉掴んで揺するなーーー!

滅茶苦茶怖いじゃねえか!



「昨日の夜必死の思いで2人を見つけたらお化け扱いだよ!? 一体2人に何したのーーー!」



さらにシェイクを強めて泣き叫ぶかのように大声を上げる子煩悩フェイト執務官。

き、昨日の夜お化け扱い!?

ま、まさか……





「昨日キャロが叫んだ理由って……」

「私だよ! あんまりにもショック過ぎてその場から逃げちゃったじゃない!」

「知るかよ!? どう考えても俺のせいじゃないじゃん!」



つうかそれくらいで逃げるな! ちゃんと誤解くらい解け!



「お、落ち着いて!」

「そ、そうそう。ケイの知り合いの方みたいだしまずは落ち着いて!」



てか俺のこの頭揺すられてることには突っ込みなしですか!?



「ううう……」



爺ちゃん婆ちゃんの説得でやっと少し落ち着いたのか掴んでた胸倉から手を離す。

や……やっと解放された……

そのままフェイトさんは昨日何があったか話してくれた。







       前日 フェイトの話





私は事件を即時解決させてなんとかエリオとキャロの休暇の旅行に合流できるようにした。

もうかなり遅かったけどケイに頼んで私も泊めてもらって朝に驚かせようと計画した。



そして転送ポートでケイの言ってた村に到着したのだ。



「あ、あれ? ここって……畑?」



少し転送先を間違えたようで道に出るはずが畑に出てしまった。

人の敷地に出るのはまずいのですぐに出ようとしたのだが





   バチーーン! バンバンバン!





「きゃああ!?」



いきなり爆音がして驚いた。

そしたらすぐに犬の鳴き声と人の声が聞こえてきた。





「また猪か! くそ! 柵を越えてまた入ってきたか!」



ええ!? 今深夜なのに普通に農家の方って起きてるの!?

というか私イノシシじゃないのに!?



「ワン! ワンワン!」



犬の気配と声がドンドン近づいてくる。

い、いくらなんでもこんな時間にこんな場所にいたら畑荒らしと勘違いされちゃう!

すぐに逃げようとするけど畑の農作物が障害になってそんなに早く逃げられなかった。

途中で何回か転んでしまった。

もたついてる間にも距離が縮まり犬がドンドン近づいてくる。





「バ、バルディッシュ!」

≪ Set Up ≫



仕方なく魔法で逃げた。

なんとか振り切れたが服が土で汚れてしまった。

背の高い作物の畑も通って逃げたせいで草やらが頭にいっぱいついちゃった……



うう……で、でも2人の顔を見るためだと思いケイのお爺さんの家を探した。





「あ、あった……やっと見つけた」



メモした住所と特徴が一致する日本家屋。

まずはケイを起こして朝になったらエリオとキャロをビックリさせよう。

2人とも喜んでくれるかな?



「うふふふふ……」



ああ、2人の笑顔を想像したら頬が緩んじゃう。

待てってね。今行くからね。





「き、きゃああああ! お、お化けーーー! エリオ君! 起きてーーー!」



キャロの叫び声!?

それにお化け!? わ、私のかわいいエリオとキャロを祟らせたりなんかさせない!



「幽霊はどこだ!?」



ケイの声がした。

よし、ケイと組んで一緒に幽霊を……



「庭です!」 



庭!? ここにいるの!? 周りを見渡す。

あ、あれ? 姿が見えないけど……ま、まさか……



「そこかーー! 悪霊退散! 爺ちゃん家のお札喰らえ!」



ケイの声と同時にお札がいくつか額に張り付いた。

私が幽霊!? そんな!? キャロに幽霊だと思われるなんて!?



「わ、私は幽霊じゃないのにーーー」



あまりのショックに錯乱してその場から逃げてしまったのだ。

ソニックムーブを使ってその場を離れてしまい、気がついたら知らない山の中にいたのだ。



「あ、あれ? ここはどこ?」



ものすごく暗くて本物の幽霊が出そうな場所だった。

うう……こんなことになるなんて……

朝に2人を驚かせてもう1日だけでも一緒に過ごす計画が水の泡に……





「はあ……」



溜息を零しても仕方がない……まずは山を降りよう……

そうして一歩踏み出した瞬間だった。





「きゃああああ」



何かを踏んだかと思ったら足を縄で括られそのまま吊るされてしまったのだ。

さらにあまりの勢いの良さに勢い余って頭が木に激突。

そのまま朝に発見されるまで気絶してしまったのだった。







      戻って Sideケイ







………初めて会ったころはまともでしっかりした人かなと思ってた。

だが今はあえて言おう。



「あんた馬鹿だろ」

「ケイに言われた!?」



いくら俺でもそこまでアホなこと立て続けに起きんわい!

つうかこっそり来ようとするからそうなるんじゃねえか。

連絡くらいしろ。



「で、エリオとキャロは?」

「まだ2人とも寝てる。蚊帳の布団で仲良く抱き合って」

「写真撮ってくる」

「起きるからやめい!」



本当にどんだけ子煩悩なんだよこの人は!?



「昨日の写真でいいなら後でアギトの方のデータ渡すから我慢してください」

「うん。わかった」



返事早いな!?

さっきまで客間に行こうとしてたのにもう席に着いて落ち着いてるし。





「フェイトさんでしたっけ? 朝食はまだなら食べていかれますか?」

「えっ? いいんですか?」

「まあこれも何かの縁じゃろ。遠慮せんと食べていきなさい」



爺ちゃん達の言葉に甘えることにしたフェイトさん。

まあ……いっか。





「「「おはよーございます」」」



ちょうど起きてきたチビッ子達。

全員まだ眠いのか目を擦りながら台所にやってきた。



「エリオ、キャロ、おはよう」

「「フェイトさん!? なんでここに!?」」

「うん。事件が早く解決したから今朝来たんだ」



眩しいくらい綺麗な笑顔でそう言い張る執務官様。

嘘つくな。ばらしてやる。





(本当のこと言ったらわかってるね?)

(……私は昨日の夜何も見ておりません)

(うん。ありがとう)





シット! 結局これかよ!? 

ちくしょう! いつもいつも脅しやがって! 屈伏ばっかして……



2人と仲良く久々の会話を楽しんでいるフェイトさん。

2人の方も予想外の再開に喜んでいる。



……今回はなしにしておいたろ……

だが次回はそうはいかん! 必ずや屈伏しないからな!





「ケイ……ミルクちょうだい」

「ほいほい」

「けい〜そこのお醤油欲しい〜」

「いいぞ〜ってヴィヴィオそれかけ過ぎだ」

「うわ〜ん。しっぱいしたー」

「取り替えてやるからこっち食え」



こんだけ賑やかな朝食久しぶりだし殺気ギンギン飛ばされて台無しにするのもあれか。

フェイトさん。取りあえず貸しにしとくな。









朝食を取り終えてから一服みんなでした後は荷物を纏め帰ることにした。

普通にここから町までは時間が掛かるから魔法を知られてはいけない以上、結構早めの時間に帰らないと怪しまれる。





「「「「「 お邪魔しましたーーー! 」」」」」

「はい、また今度いらっしゃいね」

「来年も来てええからのう」

「んじゃあ爺ちゃん、婆ちゃん、また今度来るな」



手を振りながら別れの挨拶をして人気のないところまで行き、来たとき同様キャロとルーテシアの魔法で移動する。









        時空管理局 中継ポート







とりあえずここでお別れになる。

エリオとキャロにヴィヴィオはこの後フェイトさんと1日だけだが本来の予定通り海鳴の方に行くそうだ。

ルーテシアはメガーヌさんと今日はお出かけするとのことで帰ることになっている。



「それじゃあね、ケイ兄」

「ありがとうございました」

「おう、俺も楽しかったぞ」



「けい〜今度は飛び込みさせてね〜」

「10歳になったらな」



「また来るね……」

「おう、いつでも来い」



今回の旅行のメンバーと別れの挨拶を交わし各自またこれからの予定に戻る。

ちとさみしい気持もあるが……

夏休みはまだまだあるし、また今度にでも六課のみんなやナンバーズの奴らと集まることもあるだろ。

そんときまた会えるか。



ルーテシアの転送魔法で俺の実家の街まで送ってもらい無事に帰ってきた俺とアギト。





「さて、帰るぞ。アギト」

「あいよ〜」





う〜ん。いや〜夏を満喫できる旅行だったぜ。

今度また誘ってみるか。









                                 おわり







   おまけ





「う〜〜〜ん……」

「これも夏休みの正しい過ごし方だからな」

「だあああ! わからん! 宿題なんてやってられるか!」

「大人っぽい行動目指すんだろ。じゃあやれ」

「数学教えて」

「お前いつもそればっかだな」









   あとがき





夏だーーー! 夏休みだーーー!

というわけでこの1本。

海でスバル達と遊ぶではなくエリオ達チビッ子達とのほほんした話を書いてみました。

正直他のキャラまで出すととんでもなく大変なのでやめときました(コラ

そこで……

次の外伝SSのリクエストを募集します!

このキャラとの夏休みがみたいというのがあればメールか感想版で送ってください。

Web拍手だとリョウさんの負担になってしまうのでやめてください。

カウントもとりませんのであしからず。

まあ……希望する方がいたらですけどね(汗)



本編の方は書き直し中ですがなるべく早く23話の方を執筆できるようにがんばります。







    22話までの拍手返信







※梁山◯の長老!?寧ろ最強の弟子と共に世界を狙える?



>結構知ってる方いっぱいだw

>かなり大好きな作品ですw



※他人の物を勝手に調べて取り上げるとか、相変わらず汚いな。本人が寝ている間にやるとかアザト過ぎ



>すいません。その辺少し変わります。主にアイテム生成能力の部分が。



※爺の「魔法なんぞ手段の一つでしかない!」って台詞に燃えましたw それにしてもケイ君はエルクゥぽいものだったのか……



>魔法以外で戦えるキャラを目指します!

>まあアギトもいるから魔法なしを貫くわけではないですが。





※今回の22話で出た謎じいが某マンガの長老に似てますねーw更新頑張って下さいな



>おもいっきりそれから来てますw(ぇー



※なんかこの話のぶっちゃけた感が否めない…



>すいません……結構ノリで執筆してますのでかなりそうなってます。



※爺さんの名前ってもしかして東方不敗では?



>東方はよく知らなかったりします(汗)



※ケイの新しい武器としてこれをあげよう、つライトサーベルこれだったら魔力弾だって斬れるぞ!



ケイ「かっけーーー!」

スバル「でもケイのイメージと合わないかも」

ケイ「失敬な!?」



※ひとこと言おう、この作品は…GOODだ!!!!



>あざーす! 



※ケイが地球に帰らず、攫われたことにいつ気づくのだろうか……?



>そこの部分も書きますのでしばしお待ちを。



※人間手裏剣ってお前は無敵超人かw



>あのお方達なら魔導師なんてへの河童w



※22話読ませて頂きました。謎じいはホントに謎!!しかしここでしっかり鍛えて貰えばアイテムの一つは刀に割り振られるはずだ!頑張れ、ケイ!



>ケイ「………」

>謎ジイ「ほれ、寝とらんと修行せんか」

>ケイ「気絶してんじゃボケエ!」



※謎ジイってケ○イチに出てくる師匠にしか見えないww



>はい。全巻持ってますw



※いつか修行の話を番外で出してほしいです。主に謎爺のはちゃめちゃ全開で



>一応構想はしてあるので書く予定です。はい。



※なにやら隊長陣ガチが尾を引いているようですがww(乙です)外伝のようにユーノハーレムへの布石にすればどうとでもなるのでは?

具体的には頑張りすぎて何故か3人に惚れられるとかw



>先読みされた!?



※時空を駆けちまった少年これからも楽しみに更新待ってます頑張ってください



>ありがとうございます! 修正をすぐに終わらせられるようがんばります!



※謎ジイ……何か型月の宝石爺さんや東方不敗氏みたいな感じがしますね………いっその事、ティアやギンガ、ゲンヤ、ジェイル氏も巻き込んで

『『『『超級ッ!!覇王電影弾ッ!!』』』』してみては?



>合体技は実は考えてたりしてw



※壬生一族だとおおお?!!こりゃオリジナルの敵も出してくれ!具体的には長生きしすぎて全てに絶望した先代紅の王もしくはサディスティック

脳で壊れた京都弁のクアットロの男性版チックな重力男みたいな奴らを希望!!!

もし味方キャラなら頭鉄筋コンクリートな水使いと天然ぼけした炎を操る殺人マシンの兄弟を!!!・・・すいません。はっちゃけてしまいましたが、

私としては折角ならKYOの設定をもっと使って頂きたいと思いま



>ケイがある意味ユニゾンすれば兄弟の弟になりますねw



※謎じい・・・どう考えても梁山泊の長老じゃないすか(笑)



>イエスです。はい。



※脱出はするとは思ってましたが、早!?そして爺さん強!?後、管理局に攫われた現状じゃ六課に連絡取らないのは当然と言えば当然ですが、

「裏」を知らない連中からすれば、ラケットが消え、持ち主も所在不明。凄く怪しい!って感じになりそうですねぇ。



>ラケットの方は設定が変わるのでこれまでの話のその部分もかわりそうです。すいません。





※下手すると人体実験で劇場版ナデシコと化すかと思ったのでまずは一安心あとは六課の人たちがいつまともに転送されなかったことに気がつくかですね

意外とこのまま永久に気にしなかったりして……



>流石にそれはないかなと思います(汗)



※人間手裏剣ってあんたどこの無敵超人だよ!! この後はやはりルーテシアやナンバーズ側に行くんですかね?

でもそれだとティアナやスバルが!! いったいどうなるんだ!



>さて……どうなることやら(笑)



※素手の強さなら、ギャラクティカファ○トムとかギャラクティ○マグナムとかはどうでしょう?w

ガジェットくらいは一気に殲滅できそうですがww



>そこまですげえ技はできないかもですw



※陸奥圓明流も捨てがたい気がする。



>読んだことはないですが……石で銃弾を撃ち落とすとかどんなだと言いたいですねw



※なぜでしょうか。謎爺さんが型月の宝石翁と異常に重なって見えます。



>型月はまったく知らないんですよね(汗)



※人間手裏剣!? 無敵超人?



>みなさんよくご存じでw 



※素人の挑発に教導官どのがアッサリ乗るってどうよ?そしてまた身内に甘い奴らだ



>身内だけの部隊ですからね。起動六課は。甘くなって当然な気もしますね。



※お姫様(ケイがw)ピンチの時に助けに来れぬ王子さま(ティアナ?[対抗馬はスバル☆細かいことはキニスンナ])、

それ故にifが無いのが残念ですw まぁ、現在進行形?でピンチなのは変わらず(修(苦)行)なので 本来ありえぬ出会い、それゆえに輝いた。

さぁ、彼女(ケイ)の元へ。(きれいに(無理やりなんだけどねw)纏めようとしたけど、ケイがお姫様故にしまらないのは、まぁ、仕様ですNE☆☆☆)



>ケイ「ああ、ティアナ。あなたはなんでティアナなの?」

>ティアナ「きしょいことしてんじゃないわよ」

>ケイ「乗ってくれないと俺気持ち悪いだけになるじゃねえか!?」

>ティアナ「知らないわよ」



※返してほしいと言われてロストロギアかもしれないからと断りつつ話題が変われば実はレアスキルで〜、ついでに君の体も調べたいて何ですか。

性質が悪い



>スキルの1つは修正版で消える予定です(汗) マジですいません。



※でもケイくん体、大丈夫?の一言も無いとは感心するな。



>本編でもティアナにその言葉なかったような……



※ティアナ達メインのSSは三年後が舞台の様ですが、その頃ケイはどうしているのでしょう?



>うむ……実際に聞いてみないとわからないですが……こんなかな?



>ケイ「………」

>アギト「ぽりぽりぽり」

>ケイ「…だあああ!! 大学受験なんていやだーーー!」

>アギト「がんばれー」

>ケイ「ちきしょーー! 1人悠々と菓子食いやがって!」

>アギト「そこの計算間違ってる」

>ケイ「えっ? どこ?」



大学受験で大忙しかとw










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