あ〜結局俺魔法使えないって…魔力あるんだろ？なんだよこの矛盾！！ざけんな！
とにかく別の方法で魔法使ってやる。無理でもとにかく何か見つけるってエリオやキャロに宣言したし。
ティアナさんにも励ましてもらったんだからとにかく何かみつけてやる！
そんでもって強くなるんだ！！
時空を駆けちまった少年
第８話
〜六課寮エリオの部屋〜
あ〜寝みぃ……いつもより遅く起きてるはずなのに…
ちきしょうハラオウンさんせいだ。何だよ、ちょっとエリオとキャロを遅くまで起こしてた位であそこまで説教しなくていいじゃん。
正座で２時間…どこの寺だよ。たっく…眠くてあくびしたらデバイスでボコらえれるし…
「ケイ兄おはよう」
「おう、おはようエリオ。…はあ〜たっく、まだ寝みぃ…」
いつもだったら１人で２時間前には起きてトレーニングしてから二度寝にはいってるんだが…
まあせっかくシグナムさん程の達人に教えてもらえるんだから諦めよう。
「あはは……ところで今日から六課の中とか見るの？」
「ああ、魔法関係でどんなのがあるか見たいし。許可が出たらだけど」
できたら技術部で使えそうなデバイスを探してみたいんだが…
まあ難しいだろうな…民間人になんか見してくれるわけない気がするが…
あの部隊長なら意外と許してくれるかな。ぶっ飛んだとこあるっぽいし。
「許可でるといいね」
「そうだな…さて、行くか。エリオ訓練頑張れよ」
「うん！ケイ兄もね」
エリオ…その純粋さが俺にはまぶしいよ。お前は絶対にそのままでいろよ…毒されるんじゃないぞ。俺をボコるような毒に。
そのまま俺とエリオは朝の準備を済まして部屋を後にした。
〜六課演習場端〜
「…あ、ありがとうございました」
「ああ、ご苦労だったな。なかなかよくなってるぞ。１日でここまでできるとは正直驚いた」
とりあえず今俺の朝の鍛錬は終了した。
はあ…結局また打たれっぱなしだ…昨日言われたこと結構できてたと思ったんだけどな…
けど１日でできるようになるっていう考えが甘いか…１人で鍛えてただけだし実践もしたことなかったもんな〜
Sideシグナム
うむ…昨日言った実践の中での騙しを違和感なく１日で使えるようになるとは…まあ完璧とまではいかんがな。
手取り足取り教えた甲斐があったな。すぐにはできんだろうとは思っていたが…ただ途中の蹴りや拳はなんとかせんとな。
使うのはいいのだが無駄が多いし威力もあれでは落ちている…体術はどうすべきか…まあ後日考えるか。
「まあ、流石に完璧というほどではないが…この延び方はなかなかだな」
「マジっすか！？よっしゃ！」
「調子に乗るな。あくまで一般と比べてだ。それにお前のレベルの剣では魔法などにも勝てんだろう」
たしかに才能はある方だろう。しかし結局今はただの人間レベルだ。
剣道の上段者に勝てるだろう位ではあるが御神の剣士には程遠いものでしかないぞ。あいつらは限定空間なら魔法ありでも互角に戦ってくるのだからな。
……あいつらは本当に人間なのか？
Sideケイ
俺のレベルじゃ魔法に勝てないか…ん？そう言うってことは勝てるレベルの奴とかいるってことか！？誰だよそんな人外…
あっ…謎ジイなら勝てるか…人外ってあいつのための言葉だもんな〜他にもいたか。
「勝てるレベルってどんくらいなんですか？」
「ん？とりあえず感知不能なほど速く動き、攻撃をすり抜けるな。障壁も無視してダメージを通してくる。そんなレベルだ」
マジで人外だ…感知不能ってこの人で感知不能なんだろ！？どういう鍛練してたんだよ！
「ちなみにそれは高町の兄と姉だ」
ああ、あの人のですか。納得しました。あの家系は完全に人外だったんだな。
そんなのに勝てるようになるには…完全に今のままじゃ無理だな。
「シグナムさん…」
「何だ？」
「シグナムさんは剣術だけでその人達に勝てるんですか？」
エリオから聞いた話だとシグナムさんは魔法と剣の両方を使うらしい。純粋な剣術だとこの人はどの位か気になった。
…もう戦闘済みだから強いのはわかるけど…
「今のところはいい勝負といったところだな……魔法を使っても場所によってはいい勝負をされるしな」
「………」
消えたりする相手にもひけはとらないくらい経験とかあるのか…
「あの…これからここにいる間剣術だけでもいいので鍛えてもらえませんか？」
「それはいいが…なぜ強くなりたいのだ？」
…なんで強くなりたいか…まさかそんなこと聞かれるとは。
「わかんないです」
「…わからんだと？」
そう言うとシグナムさんの目はつりあがった。
…相当お怒り？
本当はこんな答えを出したらだめなんだろうけど本当にわからなかったのでそう答え、そのまま続ける。
「他人のために強くなるとかそういう理由でないといけないのなら俺にはわからないですし、ありません」
正直どうでもいい他人のために俺は自分の命をかける気はサラサラない。自分が好きな人や好きでいてくれる人、大切な人。
そういう限定的かつ少数の人しか守る気はない。
「他人のためだったとしても身の周りの人を守る程度ですし、それに…」
「それに何だ？」
これを言ったらどう思うだろうか……もしかしたらもう教えてもらえないかもしれない。
けど嘘を言っても、きっとこの人は簡単に見抜くだろうからどの道同じだと。
「多分一番多く強くなった力を使うとしたら自分の気に入らないことに対してです」
「…何？…つまり自分の障害はすべて叩き潰すということか？」
「ええ…一方的にやられてなんか俺はできません。自分、自分の身近に実害を向こうから出してくるのならそれを潰したいと思ってます。
あと初めてこの世界に来た時にガジェットに襲われたの知ってますよね？スバルとティアナさんと」
正確には戦闘中だったのを邪魔してしまい結果として３人でピンチになったのだが…
「ああ、報告で聞いている」
「俺が弱かったのが原因で２人の足を引っ張ってしまいました。その時にも強くなりたいと思いましたね。だから弱いより自分は強い方がいいです」
完全に自己中心的な考えだ。呆れるだろうけど俺にはすべてを守る正義の味方なんかなれないしなりたくない。
呆れるなら呆れてください。そう思いシグナムさんの顔をみた。
「…自分からは他者に何かするということはしないのか？」
「えっ？…そりゃしませんよ…力は生存や自己防衛のために使うもんでしょ…」
世の中弱肉強食。強くないと食って生きることができない。弱ければ力のある他者に潰され食べられる。
それが嫌だから強くなりたい。
だけどいくらなんでも何もしてない人に何かちょっかいかける気はないですよ…自分から争いの火種出して面倒は御免です。
「それならそうと自分と自分の周りのためと言え！！この馬鹿者！！」
「あだっ！？」
シグナムさんに頭をカチ殴られた。痛い…ここの人俺を殴りすぎ…
「犯罪起こす気があるような言い方をするな！勘違いしかけただろう！」
「いや…犯罪する気はないですよ…それにそんなカッコいい理由のつもりもないですし」
自分と自分の周りしか守らないんじゃな…
「その理由で十分だ。明日から本格的に教え込んでやる。明日から特訓はフォワードの連中とは別だができるだけ鍛えてやろう」
「ありがとうございます！よろしくお願いします師範！」
「師範とはなんだ…」
「いや…なんとなくこの方がいいかなと」
「まあいい好きにしろ」
そう言ったシグナムさんの顔は結構満更じゃない様子だった。
とにかく今の理由でもＯＫをもらい俺は本格的に教えてもらえることとなった。後日あまりのキツさに後悔しかけたりしたがな…
〜六課食堂〜
俺もフォワード陣も朝の訓練をすませ現在朝食をとっている。
今日は珍しく隊長陣も一緒に朝食をとっておりちょうどいいとシグナムさんは今朝の話を八神さんに了承をとっていた。
「ほうか、ケイ君シグナムに弟子入りしたんか」
「はい、シグナム師範と呼ばせてもらうことにしました」
「主、よろしいですか？」
「ええよ、そんかわし自分の仕事もちゃんとしてな」
「それはもちろんです」
了承を無事もらえ、師範が仕事の空いている時や早朝に鍛えてもらえることになった。ただ昼間などは師範が空いていてかつフォワード陣と
訓練時間が被ったときのみに限定はされたが文句など言えないしありもしない。
「あんたシグナム副隊長に剣術教わるのはいいとして魔法はあきらめるの？」
「いや、それはまた別でお願いできるかなと」
正直かなり厚かましいことこの上ないのだが…
なによりここにいられる時間が短いのだから遠慮などしてられない。断られたらそのときだ。
「なんや？魔法あきらめてなかったんか？」
「ええそう簡単にあきらめられませんよ」
八神さんがもうてっきり諦めたんじゃないのかと意外そうな反応をした。
「けどデバイス使えなかったんだよ？どうするつもりなの？」
「そうだよ。昨日のこと忘れたわけじゃないでしょ？」
高町さんとハラオウンさんがそう言ってきた。
「それはそうなんですけど多分それって体質的に合わなかったとかそういうのじゃないのかと思うんですが」
「体質に合わへんかもしれんから合う物を探してみたいと」
「はい…」
八神さんはそういうとしばらく考え込んだ。そして返事をした。
「却下や」
ああやっぱし？
「そんな本局技術部が作ったり試したりするようなことを一般人にさせることはできん」
「そんな…」
昨日の夜と朝に使用手段を探してみると話したエリオはなんとか許可を出してほしかったのか反論しようとしてくれたが俺は止めた。
「エリオ、言ってることは正論だから仕方ない。すいません無理言って」
「ん…わかってるんならええよ」
しかし断られたとなるとどうしたもんか…この世界の接点はここだけだし時間もないからな…
高確率で断られると元々踏んでいたためすぐに次の手段探しを考えた。
「ただな、最近技術部のシャーリーが手が足りん言うててな…前線メンバーのデバイスメンテをしなあかんから自分の研究の
デバイス開発や改良の人出が欲しい言うとったんやけど誰か引き受けてくれへんかな〜」
八神さんは公に個人のためにデバイス探しを組織はできないからそうどこかに向かって言った。
他の隊長さん達も笑いながら聞かなかった振りをしてくれていた。
「是非お手伝いをさせてください」
「ん、了承や。ただあくまで図面整理や部屋の掃除の手伝いやからな。シャーリーの言ったこと以外はしたらあかんで」
「ありがとうございます」
俺はこうして清掃員のバイトから技術部への手伝いのバイトへとジョブチェンジしたのだった。
朝食を済ませた後はフォワードのメンバーからよかったねやら頑張ってねなどの応援をされつつ食堂を後にした。
「いいんですか、はやてちゃん？」
「何がや、リイン？」
「ケイ君のデバイスのことだよ」
「何を言うとるんやなのはちゃん。私は仕事のない被保護者に技術部のシャーリーのお手伝いの仕事をさせただけや」
「ふふふ…そうだったね。はやての言う通りだったね」
「もしシャリオが誰でも扱える改良デバイスを作れたらケイにテストをさせるとしよう」
「シグナム…お前そんときに戦闘するのはいいけど手加減してやれよ」
「ああ、無論だ」
（（（（（絶対しない…多分本気でかかる）））））
〜六課技術部〜
早速来ました。技術部。
さて…いっちょ頑張りますか！
「シャーリーさんよろしくお願いします」
「は〜い。こっちこそ手伝いよろしくね」
いやまあ…表はそうなってますけど実際は俺が感謝しないといけないんですけどね。
「では何を手伝えば？」
「ん〜…じゃあ魔力消費が少なくなるように改良したデバイスを試してみようかな…テストしてみてくれる？」
「はい。お願いします」
魔力消費が少ないやつからか…まあ枯渇がすぐだったから最初はそうだよな。
「前はアームドだったから今度はインテリジェントでしてみようか？」
「そのデバイスの機種みたいなのは何なんですか？アームドやら何やらって」
「あっ、知らなかったんだ。じゃあ簡単に説明するね」
説明によると、デバイスとは魔力を通し媒体とすることで魔法を行使させてくれるそうだ。無しでもできる人もいるそうだけど。
そして機種もいろいろある。
インテリジェントはＡＩが搭載することで意思を持ち判断力と行動力を持たせる事が可能になり、精神面からも所有者を支える上級魔導師向けのもの。
ただそのせいで魔法の発動体としての能力に特化しているのでアームドデバイスよりも脆弱な構造になっているそうだ。
ハラオウンさんはそれでも接近戦をするそうだ。まあ例外ってとこね。
アームドデバイスは魔法の発動は主に機体の変形や能力強化で、ほとんどの機種がカートリッジシステムを搭載していて武器の形状をとっていて
そのまま斬ったり叩いたり殴ったりもできるそうだ。
ちなみにＡＩ付きのも例外であったりするらしい。
ストレージデバイスはＡＩを積まないで、純粋な道具として魔導師が魔法を扱う媒介となるそうだ。使う魔導士も多く応答性も高いらしいが
それと引き換えに能力が低い事が多いらしい。簡単な会話をできるのもあるそうだ。完成度の低い物は簡易式っていうとのこと。
ユニゾンデバイスは一言で言うとリインだそうだ。人のように生きていて、名前の通り融合ができてそれにより能力が飛躍的に伸びるとのこと。
相性もあり合わないと命の危険があるそうだ。
…そんなすごい存在だったか蒼妖精…
カートリッジシステムは魔力を弾に込め戦闘中にロードして魔力の底上げ、魔法の補助をするとのこと。
メルヘンなのにムッチャ科学的要素バリバリだなオイ。
「デバイスは魔法発動のためのものとは聞きましたがメルヘンのかけらもないっすね」
「まあ科学の延長みたいなものだからね」
…電気でも同じことって、できるんじゃないのか？
あっ、でもエネルギーの質やらが違うか…
「さて説明も終わったし早速試そう！まずはインテリジェントで」
「そうっすね」
早速使ってみた。だが…
「…またふらふらする…」
「何でなのかな？」
《魔力を体外からの操作では出すことができないのです。出そうとしてもコアが負担を避けるために魔力を放出して空になります。》
何それ…
「つまり何だ？外からの力じゃどうしようもないと？」
《そうです。かなり変わったリンカーコアである影響かと》
「変わったコア？」
「ま、魔力をうまく使えないから変わったコアなんだよ！」
成程納得。魔力があっても使えないんだからな。
待て…体外からどうしようもないのならデバイスじゃ無理じゃん。ダメじゃん。
「と、とりあえず次はストレージでしてみよう」
「ええ、じゃあ…」
しかし結果はまた同じ。使おうとすると意識が遠くなってくる。
どうやらインテリジェント、アームド、ストレージではダメなようだ。というか外からの操作で行使は無理らしい…
…どうしようもないのこれ？
「ア…アハハハ…ちょっとどうしようもないかな…」
「………」
オイオイマジか？使えないの？待てまだユニゾンデバイスが…
「ちなみにユニゾンデバイスはないよ？ものすごい希少性高いから作ろうにも時間と労力がすごいし一般人じゃね…」
「そうですか…」
万事急須。手段なし。考えろ。考えるんだ俺。あきらめたらゲームセット。
…
……
………
……………！！
体内から魔力を出そうとするから気絶するんだ！！じゃあ補充とかも外ですりゃいい。
「カートリッジで魔力全部カバーさせるのはどうですか？」
「ん〜改造すればできるだろうけど…したことなかったな…使えないなら魔法使わないって人ばっかだし、魔法使える人にはどうしても負けちゃうから」
「まあそうでしょうけど…」
けどやってみる価値ありだな。やらなきゃ進まないし。
「じゃあそうなるとただ魔法使用ができるだけの形のデバイスになりそうですね」
「そうだね…改造カートリッジの試作とその魔力補充システムを考えないとね」
「お手伝いします」
「うん。じゃあお手伝いお願いね」
うむ…まあ頑張るしかないな。
Sideシャーリー
びくっりだな…
まさかどのデバイスでもダメなんて…ユニゾンはわからないけどここにはないし、作ろうにも本当に苦労するもんね…
局じゃ魔法使えない人のために作るわけないし…
というか今作ろうとしてるのは質量兵器気味な気がするんだよね…
まあ昔の質量兵器みたいに魔力なしで大量虐殺とか大量破壊ができなくて個人の簡単な魔法使用程度なら問題ないから一応セーフだろうけど…
……多分。
「じゃあ早速始めよう。手伝いなんだからいろいろアイディア出してね」
「はい！」
まあけどやることやって諦めた方がケイ君自身もすっきりするでしょ。
やっぱり魔法が普通のデバイスで使えないなら反対したいところなんだけどね。
それに私も一度作ろうと思ってたんだよね〜完全カートリッジ使用のデバイス。うふふ〜楽しいな〜
「う〜ん…今の弾の大きさじゃ蓄えられる量が少ないな…」
「じゃあ大きくしては？今の状態じゃ小さくても使用する魔法の規模ごとに大きさ替えればいいですし」
「でもそうするとリボルバーをいくつも付けなきゃ」
「魔法ってプログラムみたいになってるんなら使用目的形態に別けてみては？」
「例えば？」
「砲撃魔法だったら砲撃するだけのデバイス。斬るなら斬るのを強化するデバイスみたいな…」
「まあ…それならすぐできるだろうけど…いくつもデバイス持つことになるし…ひとつに纏まっている方が…」
「まあ理想はそうですけど…時間あんまないし…」
「いっそのこと入局して技術部来ちゃいなよ。それで研究してみたら？」
「そうですね…でもまあ今はこれしてみたいんです」
「わかった。私もおもしろそうだしやってみよう」
「ありがとうございます」
こうしてしばらくはシグナムさんの訓練が終わるとケイ君は開発の手伝いに来るようになった。
ただ…
「…この文字なんて読むんだ？」
《翻訳しましょう。そこは赤の回路をそのままですね…》
文字が読めなくて苦労しているみたい。
テストで使ったインテリジェントデバイス翻訳してもらっている。
まあ異世界の子だし仕方ないか……
〜聖王協会〜Sideカリム
今日ははやて達機動六課で保護されたという人物についての話し合いをするために私聖王協会騎士カリム・グラシア
時空管理局本局総務統括官リンディ・ハラオウン、次元航行部隊提督クロノ・ハラオウン、機動六課部隊長八神はやての４人で集まりました。
その保護対象は最初はただの迷子のような人物とのことでそう重要視していませんでしたが、本人の希望で魔力資質を調べると魔力量がオーバーＳ。
さらにリンカーコアが異常な形状をとっている、しまいには魔法が使おうとするとすぐ魔力切れで気絶するとのこと。
データを見せてもらいましたが正直信じられません。
「コアの魔力値オーバーＳクラス…これだけでも異常なのにこの形状か」
「古代ベルカの今残っている伝承でも聞いたことはないわ」
古代ベルカにも多くの特殊なレアスキルがあったけどこういうのは聞いたことがありません。
普通にありえない量と形状に頭を悩ませるクロノ提督。
私も悩みます。一体この子は何者なのでしょうか…
生まれも育ちも管理外とはいえ普通の環境で育っている。
「ユーノ君には調べてもらえたのかしら？」
「ええ、もう調査の依頼は結果が出てすぐ伝えましたけど…そんなすぐは出ないと思います」
そう先程まで資料を読んでいたリンディさんがはやてに尋ねました。
時空管理局本局無限書庫司書長ユーノ・スクライヤさんですか…
はやてはこの迷子のリンカーコアの調査依頼をしてみたそうですがここは管理局の中でもとりわけ忙しい部署で２徹、３徹は当たり前の部署だそうです。
…徹夜はいやですね…よくそのようなところで働けるものだと感心します。
「まったく、忙しいのはわかるが…」
「わかってるなら調査の量を減らせ。そして休みをよこせ」
愚痴を言いつつ出されていた紅茶を飲もうとしたクロノ提督でしたが空間パネルが現れそこに映っていたユーノ司書長に止められました。
そしてその不機嫌な顔で文句を言いました。
「必要だから仕方ないだろう」
「だからっていつも終わった時とか忙しいときに狙ったように依頼をするな。大体それでも異常に多いんだよ」
…実は結構狙ってやっていのでは？
この前もそろそろかなどと言って通信している途中で資料の請求してましたよね…
何日も徹夜したユーノ司書長や他の司書には洒落にならないと思いますよ…
いい加減にしないとキレてしまわれますよ？
「まあ、文句は今度言うとして…はやて、一応少しだけど結果を言っておくよ」
「忙しいのにごめんな。急かしてもて」
「いいよ別に。球の方だけどかなり過去にいくつか例はあるけどいまいちわからない能力を持っていたことはわかったよ」
やはり何かの能力を持っていましたか…
それはこの場の全員が思っていたようで驚くことはなくその続きを聞こうとしていました。
「どのような能力なのですか？」
「ミッドともベルカとも違う…むしろ魔法体系自体を持っているのかわからない能力だったみたいだ。
デバイスのような武器をどこからか取り出し、魔法陣も出さないで魔法のような現象を起こしたと書いてある。
そして武器の種類、起こす現象も過去の例で全部違う。
コアの中心の魔力は大きく、周りの球の数も異なっているみたいだね。輪については調査を続けてるけど…」
そこまで聞いてむしろ謎が増えました。
デバイスのような武器で魔法陣なしで魔法を使う…そんなことができるのかしら…
魔法陣は魔法を行使する際の公式を書き連ねたもの…それを無しでするなんて…
「…その彼は何をしているの？」
リンディさんが保護人物のケイという子についての現状をはやてに尋ねました。
それは私も気になりますね…
「今は魔法に興味を持ったみたいです。自分でも使えるデバイスを探したいらしいんで、技術部のシャリオ・フィニーノのところで
整理の仕事の手伝いの名目で探させてます。あと剣術をつかうようでシグナムに鍛えてもらってます」
「あまり感心しないな。民間人にそんなことをさせるとは」
「あら？こんなに魔力を持っている子が魔法使えるようになって入局してくれれば大助かりじゃない」
「母さん…またスカウトする気ですか？」
「あら…では聖王協会にも誘ってみようかしら？剣を使うのなら騎士になれるかも」
「カリムまで…」
「ええやん。ええやん。とりあえずこのまま使えんままにして諦めさせるのもかわいそうやし」
「まあ…他の人には資料整理の手伝いではないというのを知られないようにな」
「わかってるって。クロノ君は心配性やな」
しかし魔法を使えないとわかってもめげずに手段を探しているのですか…なかなか感心させられますね。
剣術を使うのならシャッハに会わせて鍛えさせて本当に教会に誘ってみましょうか…
「はやて。今度教会に連れてきてもらえるかしら？一度会ってみたいわ」
「ええよ。なんなら直ぐにでも連れてこよか？」
「そうね…いつならいいかしら…」
スケジュールも結構詰まってるからね…はあ…仕事ばかりして疲れるわ…
けれど２，３週間程で帰らなければならない立場ですからねこのケイという子は…早めにしないと。
「騎士カリム、失礼します。本局からロストロギア発見の報告が来ているのですが…」
話し合いをしているとシスター・シャッハが入ってきた。
ロストロギアの依頼とは何でしょうか…
それにしても今は派遣できる騎士団もいないというのに間が悪いと言うのでしょうか…
「すまないカリム。こちらも人手が足りなくてな…」
「いえ仕方ありませんよクロノ提督。けれど困りました。こちらもすぐに動かせる騎士団がいないのですよ…」
「はやてさん、六課に頼めないかしら？」
う〜ん…六課はあんまりミッドから動かしたくないんだけど…
仕方ないかしら…
「ええよ。レリックの可能性もあるし…」
「でも場所はどこなの？手掛かりがあれば書庫の方でも調べるよ？」
ユーノ司書長は真面目で、友人思いですね…
仕事に対しての態度を少しは弟のロッサにも見習わせたいわ…あの子ったら仕事をサボってばかりなんだから。
「あっ！そういえばまだ見ていませんでした。えっと…」
確認をしようとして空間パネルを開いたシャッハでしたが何やら見て固まってしまっていました。
どうしたのかとみんなでパネルを見ると…
第９７番管理外世界
…あら？ここって確か…
「私らの世界やね…」
「また地球か…魔法もないのにどうなっているんだ。あの世界は…」
「けどアリサさんやすずかさんにも会えるからいいんじゃないかしら？最近会っていないでしょう？」
はやて達も六課設立の準備とその後で忙しかったですからね…
故郷の友人に会ってきても罰はあたらないでしょう。
「う〜ん…今度調べて学会で発表したら面白いかな？」
確かにこうも高ランク魔導士が出る世界というのも珍しいですものね。ロストロギアのそれも特別危険なものが過去にも出ましたし…
「あははは…ホンマに何か出そうやな」
そう言って笑うはやて。ちょっと苦笑いかな？
「さて、じゃあ冗談はここまでにして…八神部隊長。機動六課、第９７番管理外世界への出張任務を依頼します」
「はい！了解しました騎士カリム」
「ついでにその迷子の身元を再確認してきてくれ」
「フェイトが適任かしら？」
「ええ。一応もうそのつもりではいました」
「じゃあ連れてくるのは出張が終わってからでいいわ。シャッハ、予定の調整お願いできる？」
「わかりました。ではそのようにしますね」
こうして六課の出張任務、被保護者への対応、私のしばらくのスケジュールが決まりました。
きっと時間を作るために詰め込むからまた仕事がつらくなるのね…
つづく
〜おまけ〜
「じゃあ、僕はもう戻るよ」
「ああ、資料よろしく頼むなフェレットもどき」
「そっちこそ資料、有効活用してくれシスコン提督」
「「……くたばれ！！」」
「あらあら、仲がいいわね」
「そうでしょうか…（汗）」
「ええ加減にして欲しいわ…」
「子供じゃないんですからお二人とも…」
〜おまけ２〜
「…いいですか？」
「…ええ」
「「せ〜のっ！！」」
ドガーッン！！
「…また失敗ですか…」
「ちょっと魔力籠め過ぎたね…大きさワンサイズ上げようか」
「そうですね。これで５度目ですか爆発」
「そうね…髪の毛がアフロになっちゃたわ…」
「「…髪治るかな（かしら）？」」
あとがき
ケータイで見れないとのことで今回からHTML化の方法を変えました。
そのため以前と書体、大きさが変わります。
目的が魔法使用と強くなることになった主人公でした。
今回はユーノ、クロノ、カリム、リンディ、シャッハと出してみました。
ただカリムの仕事に対する愚痴…本編にないけど勝手に書いてしまいました。昔から箱入り状態で仕事してるからありそうだなと思いまして…
能力は一応自分で考えた能力なので指摘もありそうです（汗）
次はドラマＣＤの話に入ります。
次回も読んでいただけると嬉しいです。
作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル、投稿小説感想板、