クマに追われガジェットに襲われ逮捕され取り調べられデートした。

一日目in異世界がおわり無事朝を迎えた俺だった。



よく生きてるな……







 

時空を駆けちまった少年

第6話










  機動六課周辺

 



「はっ、はっ、……」



現在俺はランニング中である。現在朝の5時くらいでいつも4時くらいから走っている。

本当は眠っていたいのだがどうしてもそうできない理由がある。

実は俺がまだ小学生低学年だった頃に突然生き倒れていた謎の爺さんに食いものを渡したらお礼に鍛えるとか言って拉致られたのだ。

ちょうど夏休みだからいいだろとか抜かして気がついたら樹海に俺はいた。

そのまま夏休みの終わりまでサバイバルと剣術の稽古が続いて解放されたのだが、その翌年、さらに翌々年にまた現れどこかに連れ去られた。



そして最後のときに自分で鍛えろ!

さもなくば鉄槌を下す!と言い音沙汰なしになったのだ。



……正直したくなかったが強くもなれるしいいかと思い続けている

そのおかげで身体能力は結構高くなり体力は相当高くなった。

運動神経は別だが……



「フン、フン」



一時間ほど走ったらその後は素振りだけだがしている。

いつもは木刀あたりでしているのだが今回は手元になかったため走っている時に見つけた工事現場から拝借してきた。

まあバレなきゃいいだろ。

本当は誰かと打ち合いをした方がいいのだろうが親には内緒でしてるし俺の家族は何も知らない。

いなくなった時も何故か怒られずむしろいたことになっていた。

疑問に思って修業中に爺に聞いても「秘密じゃ」で済まされてしまった。





「き、きつい…」



最後の仕上げに筋力トレーニングをしている。基本の筋トレしかしないわけなのだがな。

とりあえずこれにてトレーニング終了!



「いい加減だるいな〜とりあえずさっさとシャワー浴びてまた寝よ」



ちなみにトレーニングが終わるとシャワーを浴び、その後は2度寝をしている。

昨日間違えた風呂とは別にシャワールームがあるらしく、そこに行って汗を流し着替えエリオの部屋に戻った。









   機動六課エリオの部屋





「さ〜寝よ、そら寝よ、はい寝よ〜」



そう言いつつエリオの部屋に入るとエリオが訓練服に着替えてちょうどどこかに行こうとしていた。

おそらくエリオも早朝訓練に行くのだろう。



「あれ?どこか行ってたの?」

「おう、おはよエリオ」



返事の前にとりあえず朝の挨拶だ。



「うん、おはようケイ兄」

「ちぃとシャワー浴びに行ってきてまた寝るとこだ」

「えっ?また寝るの?」



マジ?って感じの顔で聞いてきた。まあ普通朝にシャワー浴びてから2度寝するやつなんざいないもんな。



「俺の生活習慣だからな」



しかし他人は他人、俺は俺、気にしない。

ちなみにそのせいでいつも遅刻ギリギリになってはいるのだが遅刻はしていないので無問題。



「エリオはどこか行くのか?」

「うん、今から朝のトレーニング」



どうやら大体の日に朝早くから早朝訓練をしその後朝食をとり仕事が始まる仕組みらしい。

けど10歳の子供が訓練はまあいいとして仕事できるのか?早いうちからストレス溜まるぞ……



「そうか〜ガンバレ……そしておやすみ」



けどその辺はエリオが決めたことで俺が止めるようなことでもないしな。

あんまりも無理してたりしたら止めたりはするけど保護者もいるしその辺はまあ大丈夫だろ。

そして夢の世界へいった。







Sideエリオ







朝の訓練に行こうと思って起きたらケイ兄がいなかった。不思議に思いつつ着替えていたら部屋に戻ってきた。

シャワーを浴びてきたらしい。そして少し話したら二度寝に入ってしまった。



「あはは…… いってきます」



こうして僕は朝のトレーニングに向かった。



     



〜六課演習場〜







「みんなおはよ〜」

「「「「おはようございます!!」」」」 「きゅくる〜」



訓練場についてフォワードのみんなとアップをし終えるとなのはさんが来た。

僕たちと一緒に返事をしたのはキャロの竜のフリードだ。まだケイ兄には会っていないだろうからきっと驚くと思う。



「エリオ、ケイ君はどうしてる?」

「あっ、何かシャワーを浴びてきてまた寝るだそうです」

「なにそれ?」

「日課だそうです」

「変わった日課だね」

「じゃあ今も寝てるんだ…」「きゅく?」



ケイ兄の朝の日課を説明したらみんな呆れたような感じになっていた。フリードは誰って感じで首を傾げてる。

多分寝てると思うな。

二度寝をするっていってベッドに入ったらすぐ寝息が聞こえたし。



「はい、ストップ!ケイ君のことはまた後にしてトレーニング始めるよ」

「「「「はい!!」」」」



このままじゃ何か雑談になりそうだった雰囲気をなのはさんが手を二度叩いて場をおさめた。

よし今日の訓練の始まりだ頑張るぞ!





   訓練終了後





「はい、じゃあ今朝はここまで」

「「「「あ、ありがとうございました〜〜」」」」



今日も濃密な訓練でボロボロになりあいさつするのもやっとの状況の僕たち。





「お疲れ様、朝ごはん食べてがんばって仕事しようね?」

「「「「はい!!」」」」



「それであの、ケイ兄さんのことはどうすれば」



そうだね……どうしよう。



「ほっとけばいいのよ」

「起こしにいってあげようよ」

「ん〜、じゃあフォワード陣で起こしてきてくれるかな?話もあるし」

「わかりました」



訓練を終えた僕たちはそのままケイ兄を起こしに行った。







     エリオの部屋





Sideケイ





今日は学校行こうにも行けないので遅くまで寝ようと思っていたら誰かが俺を起こそうと揺らしてきた。



「お〜き〜て〜ケ〜イ〜」

「いい加減おきてよ」

「朝ごはん食べようよ」「くきゅる〜」



……くきゅる? 誰の鳴き声だ? 



そう思い鳴き声の方を眠い顔で見ると竜らしき生物がいた。



「……竜!?」

「そうだよ?」

「フリードリッヒっていうんです。フリードって呼んでください」「くっきゅ〜」



……落ち着け俺……妖精がいたんだから竜もいてもおかしくない。そうだ全然普通じゃん。



「そうかよろしくなフリード」



そう言いつつ俺はフリードの頭を撫でた。

フリードは少し気持ちよさそうに撫でられる。

癒されるぜ。



撫で終えてから俺は布団にくるまり……



「じゃあ……眠いんで……学校ないから寝かして……」



もうひと眠りにはいろうとした。今は布団から出られないしな。



「いい加減起きなさい!!」



どうやら気付かなかったがティアナさんもいたようだ。ガバッと布団をめくるってきた

ってまずい今は男の朝の生理現象が…



「―――――――――――っ――!」







ドカッ!バキ! グシャメキ バキ! ぐちゃ!







人体からしてもいいのか分からない音が俺から鳴り響いた。

そして俺は鳩尾にいれられ股間を蹴られ頭を潰され関節技を決められ顎にダブルアッパーを喰らい宙を舞い床にトラックに轢かれた蛙のように落ちたのだ。





「あっ……が……」



俺はあまりの痛さに起き上がることができなかった。



「ひっ!?」「クキュ!?」



さっきのコンボをみて男としてあまりにひどい惨劇に震えるエリオ。



……お前は喰らったりしないようにな……

フリードも俺の惨劇に怯えている。



「あ、あのなんでそんなに殴るんですか?」



よくわかっていないのか怯えつつ聞くキャロ。



「キャロはまだしらなくていいのよ」

「そうそう」



知らないなら知らないままでいいんだ。

知らなくていいんだ……つか知るな。



「さ、こんなやつほっといていくわよ」

「エリオそんなに震えてどうしたの?」

「い、いえ男としてちょっと……」

「大丈夫?エリオ君」



こうして4人と一匹は死体になりかけの俺を残し去って行った。

そして部屋から出て行ったのを見て俺の意識はまた遠のくのだった。











殺人コンボを喰らって数十分程してから俺の意識は戻った。



「い、イタイ……俺なんもしてないのに……」

「とりあえず朝飯食おう……」



まだ痛む体を引きずりつつエリオの部屋を出て行き食堂へと向かった。







    食堂





朝食をとりに来たらもうスバル達は済ましたのか食堂にはいなかった。

仕方なく1人で食べることにして、パンやサラダ、ベーコンをとり適当な席に座り食べ始めた。

……和食が食べたいな……



「うん、うまいな……けど鉄の味がする」



きっと俺の血の味だろうな……口の中が痛いぜ……





「あん? そんなボロボロでどうしたんだ?」



2人の男が俺に近づいてきた。

1人は黒髪でやんちゃっぽい大人の人でヘリのパイロットだったと思う。

もう1人は紫髪でメガネをかけたいかにもエリートですって感じの人だった。



数少ない男を見つけたと思ったが……ここは男まで美形なのかよ…ひがむぞコラ。





「あれ? たしかヘリのと、どちら様?」

「俺はヴァイス・グランセニックだ」

「僕はグリフィス・ロウランだ」

「どうも武ノ内ケイっす」



とりあえず俺たち3人はお互いに自己紹介をすます。

話していると俺がボロボロなのに気付いたヴァイスさんが理由を聞いてきた。





「で、いったいなんでそんなボロボロなんだ?」

「実は……」





朝起きたことを説明する。



「はははははは、そ そりゃ災難だったな」

「くっくっく……た、確かに」



当然のごとく笑われた……あんたらも喰らってみろよ。

絶対笑えないくらい痛いから。





「ホント最悪の目覚めっすよ」

「元気出せよ、女に起こしてもらえて嬉しかったろ?」

「まあ、そうっすけど……」



今まで同じ歳の女子に起こされたことなかったしそりゃ嬉しかったですよ?

でも俺はそれよりも自分の安眠の方がよかったりするんですよ。



「それに遅くまで寝ている君も悪い」

「うぐっ……」



グリフィスさんに正論を言われ言い返せない。まあいくら学校がないからって寝過ぎたな。



「そうそう、部隊長が話があるっていっていたから後で部隊長室へ行ってくれるかい?」



反省しながら朝食を済ませるとグリフィスさんが思い出したかのようにそう言った。



「なんでっすか?」

「こっちでの生活についてじゃないのか?」

「ええ、そうおっしゃってました」



こっちの生活か……寝るとこ食うとこは決まったけどそれ以外で何するか決めてなかったな。



「けど普通そんな偉い人がそんなことまでするんすか?」



たしかにここ六課でお世話になるからいる間の活動を制限されるのはわかるけどそういうのは

下っ端の仕事になるんじゃないかと思い聞いてみた。



「「…………………」」



急に黙り込む2人。その顔には同情のような表情が混じっていて俺の不安を掻き立てる。

一体何が……



「な、なにかあるんすか?」

「いや…」

「とりあえず強く生きるんだ……」



俺は生きていられないかもしれないようなことになるんだ……



俺は人生の危機を悟りつつ、きっと周りの人が見てもわかるくらい暗い影を肩に乗せつつ

朝食と会話をすまし食堂から部隊長室へ移動するのであった。









「あいついじられまくる生活を強いられるだろうな」

「でしょうね。部隊長はそういうの大好きですから」

「けどな……」

「ええ……」

「これで俺たちもいじられることなく……」

「退屈することないですね」

「「あははははは」」







       〜六課部隊長室前〜





食堂からここまで来たのはいいがさっきヴァイスさんとグリフィスさんに言われた言葉で不安でいっぱいだ。

昨日のこともあるしけどいつまでもここで立っていてもどう仕様もないので、観念して部屋に入った。



「おはようございます」

「ん、おはようさん」

「おはよーございますです」





部隊長室に入ると八神さんとリインがいた。

八神さんの横にちっさいデスクを置きそこに座って仕事をしていたようだ。



……妖精がハイテク機器使うって違和感バリバリだな。





「話ってなんですか?」

「いやな、こっちにいる間暇やろ? ほんでその間についてのことや」

「はあ、けどなにか俺にできることあるんですか?」

「とりあえず今朝みたいに寝坊なんてせんといてな」

「もうしたくてもできません」



あんな殺人コンボを毎日喰らったら身がもたんわ。



「いや〜、初日の朝からおもろいことやってくれてウチはうれしかったわ」

「何で知ってるんすか!?」

「ウチの情報網甘くみたらあかんで」



どういう情報網だよ。

そんなにここの職員は噂好きで話題に飢えてるのか?

とにかく下手なことできねぇ。





「はやてちゃん、話がずれてます」

「そやな、ほんでなとりあえずしばらくは六課で清掃員としてバイトせえへんか?」

「いいんですか?」



バイトか……給料も出るし金貯まってから街に遊びに行けるな。

スバルにもアイス奢らないとだめだし。



「働かざる者食うべからずです」

「なんもせんとタダ飯は食わせへんよ」

「是非お願いします!」

「じゃあリインが案内するのでついてきて下さい」









こうして話が終わり部隊長室を出る俺と案内役の蒼妖精だった

ヴァイスさんとグリフィスさんの予想ははずれたみたいだな。

結構普通の仕事だよ。



「では早速アイナさんの所にいくです」

「アイナさん?」

「寮の寮母さんです」

「そっか、じゃあ蒼妖精案内よろしく」

「なんですか!蒼妖精って!リインにはリインフォースUっていう立派な名前があるです!」

「あだ名だ。別にいいだろ?」



勝手にあだ名を作ったことに怒る蒼妖精もといリインだったがあいにく呼び方を変える気はない。

それに怒らせると反応がおもしろいから無理だ。



「よくないです!もっとかわいいのにしてください!」

「じゃあ蒼チビ」

「いっぺん凍ってみるですか?」

「俺にそんな趣味はない」



いくらなんでも凍るのは勘弁だ。

リインをからかいつつアイナさんという人のところへ向かった。







       〜六課寮〜





リインに案内され俺は寮母さんであるアイナさんの所に来た。

アイナさんは優しそうな肩くらいまでのショートカットの大人の女性で結構若かった。

寮母っていうからもう少し歳食った人かと思っていたので意外だった。



「これからよろしくおねがいします」

「はい、よろしくね」

「それじゃあリインははやてちゃんのとこに戻るです。サボっちゃだめですよ」



そう言って去っていくリインだった。釘打たなくてもサボらねえよ。



「とりあえずまず掃除は何からすればいいですか?」

「それじゃあ各部屋のゴミを集めてゴミ捨て場に運んでくれるかしら?」

「了解しました」



こうして俺の清掃物語が始まる!



……わけでもない。











「いや〜メンドイねこれ」



各フロアの部屋を周りをゴミを集めつつ愚痴ってしまう。

結構な部屋数があるためゴミの量も結構あり、ゴミ袋を何度も運んではゴミ捨て場への作業だった。



「さ〜て次はこのフロアだな。さっさと済ますか」



ちなみに俺には読めなかったが、後日ここの人に聞いたらそのフロアの地図の一部にはこう書かれていたそうだ。





“ 隊長各室 ” と.





さっきまでと違いややドア同士の間隔が広くなっていたが気にせず部屋に入りゴミを集めようとした.



「さっ、次はこの部屋か」



そう言いながら扉を開くと



「………………」

「………………」



俺の目の前には長いピンク色の髪でポニーテールにした女性がいた。

しかも着替え中だった。

しかもスタイルは破壊力抜群.

白い下着でちょうど上のカッターシャツを着ようとしているところだった。





「……………」

「……あ〜えっと……ゴミの回収に……」 

「ゴミは貴様だ!」 

「すんません!」



あまりの予想外の出来事に慌ててその場を離脱しようと逃走を試みたのだが、しかし



「待たんか貴様……」



いつのまにか服を着た女性がすぐに背後をとっていた。

その速さと殺気に恐怖を感じる。

 

馬鹿な!? どうゆう速度で服を着たんだ!? とにかく謝らないと……昨日からこんなんばっかだなオイ。



「着替えを覗いたのはすいません。けど自分はただゴミの回収を……」

「ほう? この場においてもまだそんなことを抜かすか……その根性叩きなおしてくれる」



そういい俺の服の襟をつかみ、問答無用で引きずってどこかに向かおうとする女性。

俺は抵抗を試みて暴れるがまったく効果がなくむしろ余計に自分の首を絞めるだけだった。



「ちょ!? マジ!? なんだよ! なんでこんなことになんだよーー」



俺のむなしい叫びが廊下にこだました。







〜機動六課演習場〜







俺が着替えを覗いてしまった女性に引っ張られて着いたのは海上にある訓練上だった。

そしてその女性は俺に木刀を投げつけてきた。



「あの〜こんなもの持たして何をするのでしょうか?」

「さっき言っただろう貴様の根性を叩き直すと。本来なら魔法を使用するところだが貴様は一般人だ。ならそれを使って

戦り合い貴様を叩きのめすということも想像つかんのか?」

「いや……一応確認のためっす」



どうやら女性の方はその木刀で戦い俺を叩きのめすことで覗いたことを罰することにしたようだ。

……殴られるのもいやだけど木刀で叩かれるのもいやだな。





「ケイ君〜、がんばりやー」

「生きててね〜」

「シグナム!手加減してあげるのよ」

「シグナム、殺すんじゃねえぞ〜」

「死亡届けなんて書かさないでくださいです〜」

「…………」

「がんばれ〜ケイ」

「きっと生き残れるから!」

「そのうちいいことありますから死なないで下さい」 「くっきゅー!」

「やっぱアホだわ。あんたは」

「シグナム姐さんに叩きのめされることになるとはなぁ〜」

「八神部隊長、見物もいいですが仕事してください……」



どこからかお仕置きの話を聞きつけた面子でたくさんのギャラリーができており励ましたり馬鹿にしたり呆れたり同情していたりする。



つうかその中に幻覚かと思っていた犬が無言で座っていた。

それに最後の方は愚痴だったな……苦労してるみたいだな。





「なんなんだよ! 俺死ぬみたいなことしか言われてねぇじゃん!」

「当り前よ、シグナム副隊長はSオーバーの魔導士で凄腕の騎士よ? あんたじゃボコられるだけよ」



そう言いめずらしく肯定するティアナさん。

そんなことを肯定しないでください。

というかランクか?オーバーSって。

どんだけ高いんだよ!?





「俺100%生き残れないじゃん!!」

「だから応援してあげてるんだよ」

「「そうだよ!(です)!」



「助けてくれよ!!」



そんなとんでも人間に普通の人間が勝てるか!

殺されるのがオチじゃ!!





「「「「「「「「「「「それは無理!!」」」」」」」」」」」 「グキャ!」





全員揃って同じことを即答しやがった。

いくらなんでも簡単に返事しすぎだろ!?

この中にはこんな面白そうなことを見逃すかと考えて即答したものがほとんどだな絶対。

ひどい、ひどすぎる。





「覚悟はいいな?」



なんとか周りに抑えてもらおうとしたがむしろ余計場が悪くなったようだ。

このシグナムとかいう人がいい加減にしろと言わんばかりに睨んできて構えだした。





「もうどうにでもなれコンチキショー!」



とにかく生き残るにはそれなりに対処する必要がある。

こちらも構えをつくり攻撃に備えた。

その瞬間



「はあっ!!」



一瞬で間合いを詰め鋭い振り下ろしの一撃が放たれた。

俺はその速さに度肝を抜かれつつそれを受け止める。

今のを止められたのが少々予想外だったのか軽くではあるが驚ているシグナムさん。

しかし止めることはできたが、その威力に少し手が痺れた。





「なんつ〜馬鹿力だよ……ふっ!」



そのまま弾き上段、中段に一撃づつ放つ。

しかし防がれ、かわされてしまう。そして互いに距離をとり構えなおす。





「……貴様なにかしていたのか?」

「昔変な爺さんに鍛えられたんです。けど本格的に戦ったことはないし喧嘩やらでもあんましないから使ったことは少ないけど」



会話の途中だったが、間を詰め下からの振り上げ、そしてそこからの振り下ろしと連激を放った。

しかしシグナムさんはその剣筋を見切り防ぎかわしていく。

そしてまた距離が互いにとられた。





「ふっ、おもしろい少々本気を出してやろう」





そう言うと先程のオーソドックスな前に刀を置く構えから両手で右肩辺りに刀を上げる構えになった。

おそらく上からの振り下ろしの一撃が得意なのだろう。先程の一撃よりも思いものが来そうな感じだった。

そして予想通りさらに鋭い攻撃と思い攻撃を出し始めた。



俺は先程の速さ・力の違いに圧され、なんとかギリギリでそれらを防いでいく。



     



〜フォワード陣〜





「い、意外な展開だね」

「そ、そうね、ボコられると思ったのに」

「それに最初の攻めも速かった…」

「いや、でもシグナム副隊長の方が上だから多分結局は倒される…」

     



〜隊長陣〜





「意外にやるな〜あいつ、シグナムの攻めギリだけど防いでやがる」

「そうだね、ちょっと意外。ん〜型は似てないけど動きの質っていうのかな……なんか家の剣術に似てる気がする」

「それって実戦用の剣術みたいだってことか?」

「うん……剣道の動きとは少し違うみたいだから多分」

「のわりには振りが読みやすいよな」

「基礎だけしたのかな?」

「それは分らんけど……あ〜一撃で終わるに賭けとったのに〜、」

「くやし〜です〜」

「はやて……賭けなんて誰としてるの……」

     





〜男性陣〜





「はっはっは! よくやった! これで賭けはおれの勝ちだ!」

「あとでどやされますよ多分……」





〜バトル側〜





シグナムさんが少し本気を出すと言ってから俺は防戦一方だった。



なんとか凌ぎ攻めに転じるのだが簡単に見切られている。

普段から素振りをしているからそれなりに鋭い方だとは思っていたがそうでもないみたいだ。



なんかもう当てられる気がしねえ……





「どうした?反撃しないのか?一撃でもいれたら許してやるぞ」

「んな無茶な……簡単に捌かれてんのに……」



いい加減、手のしびれが我慢できなくなってきた。



なんつーパワー…

正直もうあまり持ちそうにない。

一撃入れたら勘弁してもらえるのはありがたいけど、その一撃が入らないんだから。

もうどのみち後がないか……賭けに出る!



腕を下げ腰を低くする。



「ほう……なにかするつもりか……いいだろう。いくぞ!」



そう言い大きく木刀を振り上げ、上から一気に叩き落そうと間を詰めてきた。







   Sideシグナム





正直こいつはおもしろい。

攻めは単調で読みやすいが振りの一撃がかなり鋭い。それに動きも速い。



剣道とは違うからおそらく剣術よりなのだろう。

体裁きと攻めの単調ささえなくせばそれなりの剣道家にもひけをとらんだろう。

だが私を相手にするにはまだまだ甘い。





「どうした? 反撃しないのか? 一撃でもいれたら許してやるぞ」

「んな無茶な……簡単に捌かれてんのに……」



ついおもしろくなってしまいそのようなことを言ってしまう。

だがどうやらもう手の方が限界なのだろう。痺れてきたようで少し奮えていた。



そうなると次が最後の攻撃として全力でくるだろう。

こちらも最後の一撃は全力を持って相手をしてやろう。



そうして私は魔力は使っていないが「紫電一閃」の構えに入り間を詰め攻撃に入った。







  Sideケイ





「今だ!」



シグナムさんが腕を振り上げこちらに間を詰めてきた瞬間俺は下げていた構えから木刀の切っ先で地面をえぐった。

そしてえぐられ土がシグナムさんの目に入る。

そのまま下から振りあがった木刀で上段から一撃を喰らわせようとするが

      



ドゴッ





鈍い音をたてながら俺は一撃を喰らった。

シグナムさんは目に土が入った状態のまま俺の右の横腹に横薙ぎの一撃を振るいそれが俺の上段からの一撃より先に入っていたようだ。





「がっ……がはっ」





腹に喰らった!息が……



「まさかああくるとはな……いい手だったぞ。一撃も見事に入ってきたしな。」



そういいつつ目に入った土を落とすシグナムさん。よく見ると彼女の服のネクタイが破れていた。

振り上げか振り下ろしかはわからなかったがなんとか入ったようだ。

……ものすごく微妙な一撃だけど。



「……い、痛え…… 」



アバラ骨に当たらなかったのが幸いだった。

もし当たっていたら右半身のアバラ根こそぎ折れてただろう……

内臓のダメージもないようだ。

マジでよかった……





「ほう、まだ意識があったか。本気で打ってしまったのだが……とりあえず約束通り今回はこれで勘弁してやろう」

「あ、ありがとうございます…… 」



どうやら本気の一撃を喰らったのに気絶しなかったのに感心したようだ。

褒めてくれた。



「鍛えられたと言ったが基本と移動だけをしたようだな…剣筋がわかりやすかったぞ……そのかわりいい筋ではあったがな」

「アドバイスありがとうございます」



剣筋がもろバレって……そりゃかわされるわけだ。

しかしもうちょいどうする……蹴りとか拳でも混ぜるか?



アドバイスをもとに次のときはどうするか考えていたら新人メンバーが近付いてきた。





「すごいねケイ! かなり粘ってたじゃん!」

「一応鍛えてたからな……けど負けた」

「一般人じゃ負けて当然じゃない。まあ、よく頑張ったのは褒めてあげるわ」

「シグナムさんに本気出させただけでもすごいよ」

「でも打たれた所大丈夫ですか?」





みんな褒めてくれるのは嬉しい……ティアナさんまで珍しく褒めてくれた。

だけどな……

やっぱバトルになることの方を止めてくれた方が俺は嬉しかったぞ。





「本気で打ったて言ったけどうまく打ってくれたみたいだからそこまでひどくダメージは残ってないみたいだ。まだ痛いけど……」





泣きそうなんですけど。





「仕置きなのだから痛くて当然だ」



そうシグナムさんから厳しいお言葉がきた。



「せめて口でのお叱りにして下さい」



こんな一撃を何度も喰らうのは正直勘弁です。

今回は全面的に俺が覗きをしたから悪いんだけど……

するともう1人赤い髪の子供の女の子がこちらに近づいてきた。



「にしてもお前頑張ったな。なかなかだったぞ」

「誰だ?この赤い幼女は」



なんでここには子供が多いんだ?

しかも髪の色とかすげえ派手なやつばっかだな。

のくせに話すのは日本語だし。

染めてんのか?



「誰が幼女だ!!アタシは大人だ!」

「はいはい子供はみんなそう言うんだ」



なんで背伸びしたがるかなこの子は……

俺は一生子供の方がいいのに。





「だ、ダメだよケイ兄、ヴィータ副隊長は本当に大人なんだよ!?」

「怒られちゃいます!」

「副隊長!? この子が!?」

「わかったか! もうアタシを子ども扱いすんなよ」



もし本当に副隊長ならよっぽど知能指数と戦闘力高いんだろう。

もし実際は大人の年齢で見た目が小さいだけだとしても……

どういう体してんだ?

いくらなんでもこれはちっさ過ぎだろ。





「はい、お話はそこまで」

「みんな仕事に戻ろか、ほんでシグナム。あとでウチんとこ来てな?」

「えっ? あっ、はい」



仕事に戻るように号令をかける高町さんと八神さん。

つうか仕事残ってたなら仕事してろよ。

見物なんかに来るなよ。

しかもなぜかまた悪い笑顔でシグナムさんを呼び出す八神さん…またなんか吹きこんで俺に被害出たりしないだろうな……





「ケイは一応医務室に行ってシャマルに見てもらってね」

「了解っす」



ハラオウンさんに医務室に行くよう言われそのまま向かう。



多分なんともないとは思うけど……まだ痛いし行こう。





こうして俺のバイト初日とお仕置きが終わった。

あっ……そういやアイナさんに説明どうしよ……

  



                 





つづく





  



〜おまけ〜



「ヴァイス……貴様あの戦いで私を賭けの対象にしたそうだな……」

「な!? まさか部隊長負けた腹いせに……」

「貴様は元武装隊だからな……魔法で仕置きをしてやろう」

「ま、待って下さいシグナム姐さん! 賭けは部隊長から」

「レヴァンティン!」

「ぎゃああああああああーー」





    〜おまけ2〜





「はやてちゃん、いくら負けたからって……」

「シグナムにバラすのは」

「けどちゃんと負け分は払ったで……にしても寮でなんかさしとけば誰かの着替えとかそんなん見てまうやろ思うてやらしたら早速やってくれるとは…

自分の読みが恐いわ〜〜」

「「……私たちが覗かれたかもしれなかったんだよ?」」

「い、いやなそれは……」

「「ちょっとお話しよっか?」」

「いや〜〜」





あとがき



6話目終わり。

……HTML化だけ変えてばっかですいません。

とりあえずあと7話のHTML化を変えてから残りの話はリンカーコアの部分だけ書き換えですのでもうしばし続きはお待ちください。






作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。