ううう……

ピンクの……ピンクの光が……

し、白装束の悪魔が……悪魔が……



「く、来るなーーーーーーーーーーー!」

「きゃ、きゃあああああああ!?」



ズパコーーーーン!



「きゃああ!? ご、ごめんなさい! いきなり叫んで起きるからつい!?」



ついって……シャマルさん……いきなりメリケンっぽい指輪で殴りますか……

がくっ……



「あ、あれ? ま、また寝ちゃった……」







時空を駆けちまった少年



第20話










      Side ティアナ







「んっ……」



目が覚めたら知らない天井……じゃなくて医務室だった。



「あら、ティアナ起きた?」

「シャマル先生……えっと……えっ……」



体を起こすとちょうど机で書類を整理していたのかシャマル先生がいた。



「昼間の模擬戦で撃墜されちゃったの覚えてる?」



そうだった……なのはさんに怒られて撃墜されたんだった……



「はいっ……」

「なのはちゃんの訓練用魔法弾は優秀だから体にダメージはないと思うけど」



取り合えず立とうと思いベッドから降りようとする。



って、下は下着だけ!?



「どこか痛いところある?」



シャマルさんがズボンを持ってきてくれた。

それを受け取る。



「いえ……大丈夫です。……えっ!? 九時過ぎ!? えっ、よ、夜!?」

「すごく熟睡してたわよ。死んでるんじゃないかってくらい」



そ、そこまで……



「最近、ほとんど寝てなかったでしょ? その疲れが一気にでたのね」



……確かに寝てないで自主練をしてた。

1日だけあいつに無理やり睡眠薬で休ませられたけど……



ってそういえばあいつは!?



「あ、あの……ケイは?」

「え、えっと……隣のベッドで寝てるわよ……」



指差された隣の方を見る。

確かに寝ていた。でも……



「あ、あの……こっちの方が死んでるんじゃ……」

「あ、あはは……だ、大丈夫よ。多分」



多分って……頭にでっかいタンコブ作ってなんか目元がやばそうになってるんですけど……



「ティアナが撃墜された後ケイ君がなのはちゃんに模擬戦挑んでね……」

「えっ?」



な、なんで…



「ティアナへの撃墜が酷過ぎる。ティアナも頑張ってるんだって」



こいつがそんなことを…



「結果はケイ君も撃墜。気絶して医務室に2人一緒に運ばれてきたの」

「そうなんですか…」

「でもティアナ。本当に無茶しすぎよ。そんな疲れの溜まった体で模擬戦するなんて」

「………」



でもそうしないと…死ぬ気でしないと…強くなれない…

ぎゅっと拳を握り締めてしまう。

まだ…まだ訓練が足りないのかな…



「それじゃあティアナ。ケイ君の方見ててもらえるかしら。はやてちゃんに起きたってこと報告してくるから」

「あっ、わかりました」



シャマルさんはさっき纏めていた書類を持って医務室から出て行った。

部屋は静かになる。



「はあっ…結局…駄目だったか…」



なのはさんの教導が悪いとは思っていない…

でもそれでも自分には足りないことが多過ぎる…

決定打がない、幻術もサポート程度しか使えないし魔力も多いわけでもない。

…それに近接戦闘も中途半端…



「はあっ……」

「………」



…なんか視線を感じるわね…

ここにはあたしとケイしかいないはずだけど…



「…………」

「…………」

「………お、おっす…」



自分の恰好を確認する。



「……き……」

「ちょ、ちょ待ッ…」

「きゃあああああああああああああ!!」

「のべっし!?」









        Side ケイ







おお……景色がスローモーションで回ってる…

ああ…俺は今空飛んでるんだ〜あはは〜〜〜





   どがあああああっ!!





ベッドから吹き飛び床に落ちる。

〜〜〜〜〜〜〜っ!! 頭打ったーーーーー!! 痛ええええええ!!





「あ、あ、あ、あ…あんたね〜…」

「ず…びばせん…」



ズボンをいつの間にか履いたティアナさんが顔を真っ赤にして怒る。

うん。でもオレンジか……御馳走さまです。



「はあっ…ごめん。あんた一応怪我人だったわね…」

「まあ…そうなるな…」

「…なのはさんに撃墜された割に元気ね…」



ぎくっ…

ちょっと体に色々と変化が起こりましたから…



「さ、さあどうしてだろう…」

「手加減されたってとこ?」

「ん〜…そうかも…」



はあ…結局最初に入れた蹴りだけか、まともな一撃は…

ダメダメだな……









         〜 六課会議室 Sideシャーリー〜







今現在私は六課の隊長の皆さんと会議をしています。

議題はケイ君となのはさんとの喧嘩で起きた現象についてです。



「あの現象はシャーリーが作ったデバイスやないんやな?」

「はい。私たちが作ったのは5つだけです」



バズーカ、魔力刃、靴、ワイヤー、簡易式シールドの5つ。

これ以外は作っていない。

あんななのはさんの砲撃を弾ける程のものもカートリッジだけのものでは作れないし…



「それについては私から」



カルテを持ってきたシャマルさんがそれをスクリーンに映す。



「みんな知っての通りケイ君のリンカーコアはかなり変わっているわ」

「そんくれえ覚えてるよ。魔力あっけど魔法使えねえ意味のねえコアじゃねえか」



確かに……

どのデバイスもケイ君から魔力を引き出すことができなくて、無理やり出そうとしたら抜けちゃうんだったわね。



「そう、それで今度はこれを見て」



またなのはさんのバスターを弾いた瞬間が映る。

それがどうしたんでしょうか…



「よく見てみて。これってケイ君の魔力光じゃないかしら?」



みんながそれを言われ画面を凝視する。

よーく見ると本当に微妙にだがケイ君の体の周りが揺らいでいて、太陽の光にやや反射している銀色の光が出ている。



「……えっ? じゃあ魔法を使ったってこと?」



デバイスなしでもできますけど……処理速度や威力が段違いで落ちるんじゃ…

無限書庫のユーノ・スクライヤ司書長はなしでもシールドや魔法を普通に使う天才だって聞いたことありますけど…

ケイ君じゃちょっと無理があるんじゃ……



「だが術式が浮かんでいないぞ」

「予想だけど…魔法を出したんじゃなくて魔力を出したんじゃないかなって…」



どういうことでしょうか?



「魔法は魔力を術式に通して物理現象を起こしたり、使用効率を上げてるの。だけどケイ君のは式を通さないでそのまま吐き出したような感じなの」

「よくわからないです」



私もリイン曹長と同じでよくわからないんですけど…



「う〜ん……なんて言えばいいのかしら…電気だとそれを動力にクーラーとかヒーターを動かすしょ? その機械の部品が術式みたいなものになるけど

 ケイ君は機械に通さないでただ放電しただけみたいな感じなの」



……それってかなり効率悪いのでは?

それに飛行とか、シールド張るとか、物理現象とかそういうのは一切発動しないんじゃ……

たしかに魔法じゃなくて魔力を吐き出してるって言えるかも。



「寝ているときにコアを検査したら魔力も切れてたし間違いないと思うの」

「……けどただ出しただけでああも威力でるんか?」



あっ……確かに。



「この輪が魔力の漏れを邪魔してて私たちが感知しにくいんだとしたら、これを溜めに使ったんじゃないかしら」



え、えっと……デバイスのことなら大体分るけど魔力運用のことはあんまりよくわからないんですよね…

どういうこと?



「わかりづれえ」

「デコピンと同じ要領ってことですか? ただ指を弾くんじゃなくて親指で溜めを作って勢いよく弾くみたいな感じで」

「うん。そうだと思うわ」



なのはさんよくわかりますね……

けどそれなら確かに勢いも上がるかも・・・…



「というか本人そのやり方知ってたのかな……」



フェイトさんの疑問ももっとも。

だってこの間まで魔法も知らなかったし、運用手段なんかは誰も教えてないですし。

あっ、でも……





「前にテストで魔力を放出したり、色々な種類のデバイスでもしたから魔力を出すって感覚だけなら覚えていたんじゃないですか?」



一緒にインテリジェント、ストレージとか試したときに結構フラフラするって言ってたから、魔力を出すっていう感覚を覚えていたのかも。





「まあ……うち等も魔法を感覚で使えるようになったしな……ありえんってことはないけど……」





ズバリそれだと思いますよ。

ケイ君結構頭使うの苦手な感じでしたし。デバイス作るときなんかも勘で機械弄ってきたからなんとなくでやってますって言ってたし。

……機械をそうやって扱うのはすごく危ないんだけどね……

だから注意はしたし、作業中は目を離せなかったし。





「とにかくあいつが普通じゃない方法で魔力を放出でき、今回それを覚えたということか」

「うん……そうですね」



シグナム副隊長が出た答えを纏める。

議題はこれで終わりかな。





「あの〜…」

「なんや? シャマル…まだあるんか?」

「あとケイ君の体ですが…」



えっ!? 何か怪我でもしたのかな。

なのはさんの訓練弾は優秀だから後遺症とかそんなのでないから全然心配してなかったけど。



「その…あんまりにもなのはちゃんの攻撃にタフすぎで…身体能力もすごいから検査をまた別でしたんですけど…」



あっ……そういえば確かに…



おかしいな。身体強化のデバイスとか作ってないし、そんな効果を持ったものも作ってないけど。





「なんだ? 身体強化のデバイスでもしていたのでないのか?」

「いえ…私と作ったんですけど…そんなのはまったく…」

「じゃあ…素であの身体能力ってこと?」



そうなっちゃいますね……

いくらなんでもないですよね……なんで気付かなかったんだろ。





「あーーー!! もうなんなんだよあいつは!! 何にも知らないのかよ!!」

「ヴィータちゃん落ち着いて…」



なのはさんがヴィータさんを抑えるけどなのはさん自身も結構わけわからない感じが出ている。

それにさっきのティアナとケイ君のこともまだすっきりと解決してないし…



「でね…血液検査とかで調べたんだけど…普通の人と何点か違いが…」

「…それって…」

「普通の人間じゃない…ってこと…」



普通じゃないって……

それって…



「で、でも調査じゃ家は普通の家庭で出産記録も全部あるよ!?」



フェイトさんはアリサさんの家の権力で家庭、履歴、すべて調べて普通の子供と出たって言ってた。

だったら学校とかでの血液検査も通常で通っていたはずなんじゃ。



「わからないの…本当に…」

「…明日聖王教会にケイ君を連れてくな…カリムも会ってみたい言うたしそこで聞こう…」

「はやてちゃん…」

「大丈夫や。それにクロノ君やリンディさんもおる。そこでこれからのことも話し合えばええ」



もうさっぱりわからないですよ。

これってもう本局に報告して検査の対象になるんじゃないかしら。



「で、でも普通の人間だと思ってるケイは!? いきなりそんなこと聞かされて…」

「遅かれ早かれ知ることになることや…それに地球でバレた方が厄介やろ?」

「それは…そうだけど…」

「…テスタロッサ、気持ちもわかるがここは知らせてやるべきだと私は思う」

「シグナム…」



フェイトさん自身も普通の人間じゃない。

その負い目を、辛さを知っているからケイ君にその事実を知らせることに抵抗を感じているんだろうな。



「じゃあ明日行くな…なのはちゃんも実際に戦った意見聞かせて欲しいから来て」

「了解。それじゃあ私はこれからティアナと話をしてくるね。その…私もやり過ぎちゃったし…」

「んっ、わかったよ。それとケイ君の地球に帰る日についてやけど…!?」





だけど突然緊急アラームが鳴り響き会議は中断された。

ガジェットU型の編隊が海上に出現したのだった。

もう、相変わらず迷惑な。









        〜 Side ケイ 六課前海辺 〜







いきなり緊急アラームがなってみんな緊急出動していった。

ティアナさんも出動しなければならないと言って医務室から出て行った。

ずっと医務室で1人だと気が滅入るからこっそり抜け出したのだ。



「…月が綺麗だな…」



…結局俺…何ができるんだろ…

カートリッジ使用デバイス作ってみたけど結局使えない。

出力限界があるし時間制限のデメリットがでかすぎる。



「……はあっ…」



気分転換に外出よ思ったけど…失敗だったかな…



「お〜お〜バコスカやっちゃてまあ…」



かなり沖合のほうであるがみんな戦っているようだ。

爆発やら魔力光が見える。



「魔法……か…」



俺にはもう無理っぽいな…

結局人間には向き不向きがあるってことね。

はあっ…



「……アギトーーーーー!! 早くカムバアアアアアック!!」



叫んだ。なんとなく。

…はあ…他力本願かよ…情けねえ…



あと不思議なのはあの突っ掛かりだ…何だったんだ?

流れ的に言うと…俺の技かなんかだとは思うけど…





「…けど…結構使えたんじゃね?」





なのはさんの限定状態でのバスターでも弾けたってのはかなりでかい。

強くはなってるみたいだな。

でも……たった2回で意識が飛んだしな……



「…寝よ…」



なんか考えるのだるい。

俺はその場で寝転がって寝ることにした。









…どの位寝たのかな…

隊舎に戻る途中誰かの姿が見えた。

あれ? ティアナさん? それになのはさんの姿も見える…

また説教……ってわけじゃなさそうだな…

ティアナさんが泣いて、なのはさんに抱きついて謝ってる。

……なんか知らんが納得するようなことあったのか?





「それじゃあ私はこのままケイ君の様子見に行ってくるから」

「はい…その…本当にごめんなさい…それと…ありがとうございます」

「ううん。…私もやりすぎちゃったから…ごめんね…」





そんな会話が聞こえた。

…俺はあんまなのはさんと話す気がしないんだけどな…

なのはさんはそのままどっか行った。



ふう…





「よっ、どうかしたんか? 泣いてたけど」



ティアナさんの横に座り込む。

とりあえず何があったか聞こう。



「な、泣いてなんかないわよ!!」



はいはい。素直じゃないね。



「わかった。わかった。っで? 何やら解決したっぽいみたいだけど、どしたの?」

「ん…あたし…ちょっと焦り過ぎてたんだなってね…」



まあかなり焦ってように訓練はしてたね。



「接近戦とか…決め技のこととか…なのはさん教えてくれないんじゃなくて、今ある特技を特化してから教えようとしてくてた…」



ふ〜ん…



「あたしが考えてたことも大事だけど今は戦いの中で確実に生き残れるよう教導して、そこから個人でもやって行けるようにって…」



成程ね…まだしっかりできないことをやって戦う事に対して怒ったのか…

…確かに全部できてもどれも中途半端より、なにか飛びぬけてる方がいいか…

今回の俺は強みがなさすぎて撃墜されたし…

反論できないわ…



「さっきね…その話聞かされて…あたし馬鹿だなって…」

「いや馬鹿じゃねえだろ。自分で答え出してそれを必死でしたんだ」



ハッキリ言って胸を張るべきことだと思うぞ俺は。

それを模擬戦の時完全否定するようなこと言うから俺は頭に来たんだ。



「自分を卑下するな。ティアナさんの悪いとこは自分を卑下してみているとこだ」

「ぷっ…あんたに説教されるなんてね」



なんだよ…悪いかよ…

俺と違って魔法しっかり使えてるんだから才能ないとか馬鹿だとか卑下してないでくれよな…



「まあ、あれだ。魔法をまともに使えない奴からの皮肉と受け取ってくれ」

「はいはい。って、いつの間にかまた “さん” 付けに戻ってるわね」



あっ…

でもまあ喧嘩中の話だし…



「…別に“さん”付けしにくいなら付けなくていいわよ…」

「ん? 別にそんなことないぞ」

「スバルもそうしてるんだからそうしなさい」



んなズイっと身を乗り出さんでも…



「わ、わかった。ティ、ティアナ…」

「んっ、よろしい」



なんか恥ずかしい…



「それとありがとね…」

「何が?」

「その…無茶を止めてくれたり…落ちたとき…キャッチしてくれて…」



顔を逸らしながらボソボソと言われても…

聞こえづらくて敵わんのですけど…





「いや…薬のことはこっちも悪いと思ってる…そっちの事情何も知らないで…」

「それはこっちも同じよ。心配してくれてたのにそれに気づく余裕もなかった…」

「じゃあお互い悪いってことで」

「そうね…」



よかった…結構すんなり謝れたし、お互いに許すこともできた…





「それにキャッチのときね。いや〜あれは滑りこみセーフだったな〜」



我ながらナイスキャッチだった。



「そ、その…そんときのあんた…結構カッコ良かったから…」

「……はっ?」



今何つった…

空耳か…ティアナが俺を褒めたぞ…





「な、なんでもないんだからね! いつもよりマシに見えたってことだからね!」

「ああ、そういうこと。それだったら前にすずかさんにも言われたな」



もっと凛々しくしてればそこそこだって。

でもね〜それでも冴えないんですよ俺は。よく冴えない顔って言われますから。

あはははは。

…あっ…自分で言っててなんか悲しくなってきた…



「…ふ〜ん…すずかさんにね…」

「な、何でそこでジト目ですか?」

「ふう、まあいいわ。それよりあんた早く隊舎に戻りなさいよ。なのはさん話したいみたいだったわよ」

「ん?俺はしないよ?」

「はっ?」



だって俺許す気ないもん。



「さっきティアナに怒った理由は理解した。そこは俺も心当たりあるから反論はしない」

「だったら何でよ?」

「口でまともに説明もしないで言う事聞かないから撃墜したことがムカついたの」



実際そこまでは無茶してる部分があるティアナも悪いと思ってたし。

でもだからって問答無用みたいにぶっ飛ばしたってのはねえ。

理不尽に感じたし。



「まあ…でも、それらしいことはホテルの後で言われたのよ…」

「どうせ抽象的だろ?」



俺も前ニュースの後でなんか言われたけど抽象的だったし。



「まあ…そうね」

「そこだよ。抽象的に言われても知らねえよ。はっきり意味が伝わらねえときだってあるんだから」



ティアナはその頃からなんか追い詰められてたんだからうまく伝わらなくても仕方ねえわな。

精神状態不安定な時期に言われても逆効果になることだってあるっつーの。



「てかさ…」

「ん?」

「隊長陣とフォアード陣で壁ない? うまくコミュニケーションとれてないのも原因の1つじゃね?」



今思うとあんま任務以外で会話がない気が…

結構隊長さんグループ、新人グループって別れてるし…

だからティアナが追い詰められてるのに気付かないで無茶してるだけにしか感じなかったんじゃないのか?



「そういえばそうかも…」

「なのはさんの抽象的な言い方は昔からの知り合いには通じたのかな?」

「…さあね…」



ん〜それともそういう言い方昔はしてなかったのか?

それか最初から肉体言語という魔法で話していたとか。

あっはっは。

どこの体育会系ですか。



「まあ、とりあえずそんなとこが俺は腹が立つの。だから知らん」

「…あんたね…話聞かなきゃ変わらないでしょうが…」

「今は聞く気になれないの。昼間撃墜されたばっかだし」

「子供ね」

「子供ですよ。世間知らないね」



てか子供で働いてるあんたらがありえないですから。

俺の世界じゃまだティアナだって高校生だよ。

…それだったら知り合いになれてないけど。下手すると追っかけとかあったんじゃね?

スバルもそうだがこの世界で知り合った奴みんなそこいらの芸能人より顔いいぞ。

うむ。多分ファンクラブやらあったら入ってたかもしれんな。

そうでなくとも写真出回っていたら買ったかも。





「その単純な性格が羨ましく感じるわ…」

「…部屋に帰る」

「冗談よ。拗ねてるんじゃないわよ」



苦笑しながらちと拗ねた俺を止める。

………



「?何よ?」

「いや。ティアナもかわいらしく笑うんだなって」

「……う、うっさいわね。私だって笑うことあるわよ」



う〜ん…でも余裕のあるときの笑顔は初めて見たかも…

かわいかったな…

それに顔も真っ赤にしてるし。レアな光景御馳走さん。



「そ、そういうあんたはよく拗ねるのね」

「そか?」

「さっきも拗ねてたんでしょ。どうせ」



うぐっ…



「顔に出てるわよ」



くそ…そんなすました顔しやがって…

当たってるから反論できねえじゃねえかよ…



「魔法ができなくても気にすることないんじゃないの?」

「…なんで?」

「別に魔法で戦いたいとか管理局のためにとか世界のために戦いたいってわけじゃないんでしょ?」

「…そうだけど」

「だったら今のままでいいじゃない。1人でできるようにしなくても。困ったら私達が助けてあげるわよ」



………



「つってもさっきなのはさんに言われたばっかのことだけどね。なのはさんも昔それで大怪我したんだって…だからあたし達に同じ失敗して欲しくないって」

「そっか…そうだな。無理してできないことする必要ないか…」

「別に魔法に関わるなって言ってるんじゃないわよ?それ関係の仕事ならいくらでもあるし、あんたならデバイス開発とかしてみたら?」

「そうだな〜…進路の一つに考えるかな…」



助け合いか……

地球じゃそんなことできる人間ってどんだけいるんだろ…

友達ってのもさまざまだ。

本当に困ったときにドラマや漫画みたいに助けてくれる友達持ってるやつなんてほとんどいない…そう思ってたからな…



「じゃあ困ったとき…泣きつくぜ?俺は強くないからな」

「だからって最初から泣きつくんじゃないわよ。できることしてから。それで駄目ならみんな助けてくれるわよ」



ホント…ここお人好しな部類の奴が多いんだな…

くっ…目が染みるぜ…



「あ〜あ〜…明日帰りたくねえな〜」

「ふ〜ん……って明日!? 明日帰るのあんた!?」

「「「えええーーー!? 本当に明日帰っちゃうの(ですか)!?」」」



ってなんでスバルにエリオ、キャロが後ろの草陰にいるんだ!?

まさか聞かれてた!?





「な、なんであんた達ここに…」

「それよりケイ!!なんで黙ってたの!!」



スバル頭シェイクするな!!

脳が揺れる!! 話そうにも話せんだろうが!!



「す、スバルさん。そんなに揺らしたらケイ兄さん話せませんよ」

「あっ、そっか」



キャロナイス…



「え〜っとだな…実は昨日辺りに手続き済んだんだがな…無理言って明日まで延ばしてもらっててな…」



はやてさんに無理言ったからな…その結果がこれで申し訳がない…



「多分今日のダメージもそうないし帰ると思うんだ」

「何時くらいに?」

「多分朝一」



色々あったな〜ここに来てから。

本当に3週間だったのかって感じの濃い日々だったぜ。



「よーし!!じゃあこの後エリオの部屋でケイの送別会しよーー!」

「「「おーーー!!」」」

「はあっ、明日も訓練あるんだからそこまで遅くはしないわよ」

「「「「了解!!」」」」



5人で笑いながら隊舎に戻って行った。

なんか不安だったのも一気に消えた。明日でお別れだけど今はこの時間を楽しもう。







                                    つづく







   〜 おまけ1 〜





「あれ? ケイ君いないな…」

「ん? 高町どうした?」

「シグナムさん。いえ。ケイ君にもお話しようと思って来たんですけど」

「私も少し話をしようと思ったのだが…そうか、いないのか」

「少しやり過ぎちゃいましたし…私…カッとなって…」

「私自身もそれは同じだ。口で言うより体でわからせた方があいつにはいいと思ったのだ」

「仲直り…したかったんですけどね」

「明日…帰ることになったからな…聖王教会に行ってからだったか?」

「ええ。…少し探してみますね」





「よーし!! じゃあこの後エリオの部屋でケイの送別会しよーー!」

「「「おーーー!!」」」





「…ふふ…やっぱり明日にします。教会には私も行くことになっていますから」

「…ああ、そうしてやれ」

「あの子達は落とさせません。…今みたいな笑顔でいて欲しいですから」

「ああ…そうだな…」







       〜 おまけ2 送別会中〜





「ぢぐじょ〜〜…こっちの世界来てから負けっぱなしだ〜」

「う〜え〜ん…ちょっと寂しくなるよ〜〜〜」

「だっく…あんたはもっとシャッキっとしなさいよ…シャキッと!!」

「アギト〜〜〜〜」

「誰よそれ〜〜…あっちでの彼女か〜〜ごらあ…」

「あ…あはは…」

「みなさん…酔っ払っちゃいましたね…」

「エ〜リ〜オ〜、キャロ〜…飲めっ!!」

「えええ!?ちょ、ちょっとケイ兄!?」

「あっ、おいしいよ?エリオ君」

「キャロ!?」



「次は勝ーーーっつ!!」

「だから誰よそれ!!」

「あははーー!!なんか気持ちーーー!!」

「ほら、これもおいしいよ」

「キャロ!?僕たち未成年だよ!?それにケイ兄、スバルさん、ティアナさんまで!」

「「「うっさい!飲めーーーー!!」」」

「〜〜〜〜〜〜〜」

「はい、エリオ君! 一気! 一気!」









      あとがき





修正終わりまであと2話。

やっとここまで来た……なんといいますか。飽きます。

自分自身サッサと先を書きたいとウズウズしちゃってます(汗)

結構会議部分が丸々書き直しとなるのでキツイですね(汗)

自業自得ですが。

ではまた次回。







     Web拍手返信





※ケイって、ヘタレなのに現実的な発言をするというギャップがあって結構好きっすね。レジアス侮辱ゼリフは本放送時も叩かれてましたしね



>ギャップですか!?…あっ…たしかにあるや…

>アニメをリアルタイムで見ていたときはなのは派でしたが後半からレジアス派に変わりました。

>魔法を楽しむアニメ視点ならばなのは派。実際に社会的に考えるならレジアス派にアニメ視聴者は別れると思います。





※ガチレズが気持ち悪いこと以外は良かったのに…



>いやはや…本当に不評です。

>けど書いてしまったので消したりはしないでいこうかと思います。



※ユーノがもてまくるのはあちこちで見かけるので、逆を突いていくのは非常に有りだと思う。



>ユーノにはこれから期待します。戻せるか戻せないか。彼の両肩にかかっています。(えー



※演出上、ティアナの態度は仕方が無いとして――ケイの意見を全く受け入れない隊長陣に怒りを覚えた。

うん、よく考えると、確かにといえる部分があったので、何気にアニメで満足していたけど、こういう場面を読んでいると、真面目に考えされられた。

勉強になり、我が小説の参考にさせて頂きます。by.DB



>マジですか!?自分の参考にしてもらえるなんて…感激です!



※ケイの思想のほうが共感できますね。なのは達のは理解できるけど共感できないんですよね。そもそも武器は使う者次第です。

質量兵器であろうと魔法であろうと悪人が使えば危険。善人が使えば人を守ることに使える。

誰もが使えるから危険な兵器と,使い手次第で街一つ吹き飛ばせる魔法技術。変わらないのかもしれません。

そもそも,武器というのは人を傷つけるものであるというのを分かっているケイに対し,なのは達は自分達の魔法も同じであることを

理解できてないんでしょうか。いや理解しようとしないのかも…。



>理解はしていると思います。ただそれを言わない。そして心では否定していると思います。

>自分達は危険でもあるがそれも使い方で人を救っている。これがなのは達の魔法を使う理由だと思っています。

>次回あたりでその辺の考えを出したいと思います。

>やはり主人公視点ですので中々だせないですね…すいません。力量不足です。



※なんとなくケイはどこぞの戦う理不尽な人に似てる(主にお笑いで)



>理不尽は嫌いですw(ぇー



※今回のケイは結構シビアでしたね。弱者と強者の思想、これは何処の世界も変えられない



>お馬鹿ばかりもさせていられません(笑)



※時空を駆けちまった少年毎回楽しみに読ませてもらってます。ですがただ一つ17話だけ凄まじく違和感をうけてしまいます。

周りの反応を気にしないとか、身内以外には内緒っって言うなら良いと思うのですが、周りを怯えさせたり、目撃者の記憶を消したりと言うのが、

言い方は悪いですが気持ち悪い感じがします。

お気に入りの作品なのですが、「この話はこうでなければ」と言うのは自分勝手な文句だと思うのですが、長々と批判を書いてしまい申し訳有りません。



>すいません。ギャグのつもりでやりすぎました。



※管理局の普遍的な思考の隊長組と合わないのに、居心地いいってだけで進路決めたら後悔しないかな…



>若い内はそんなものでは?ケイは単純バカですし。(ぇー



※思うに百合は、ネタ程度に収めておけばよかった気がします。少なくとも、直接的な場面が出るまでは普通に読めました。



>本当に不評です。すいません…





作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。