やってきました首都クラナガン。
しかし流石大都会…人がいっぱい、変わった人もいっぱい…
ナンパされて人を殺そうとするアホな女2人。でも結構かわいかった…
そして無口なたこ焼きチビッ子ルーテシア。あれは将来美人になるだろな。恰好は変だったけど。
さて…とりあえず予定(その場のおもいつき)通りさらに見て回ろう。
時空を駆けちまった少年
第13話
さて……実は今俺は困った現場を目撃している…
目の前でやったらキョロキョロしている銀髪チビッ子を見つけたのだ。
しかも1人で。
背が低いので周りの大人で見えないのか必死で背伸びやら、ジャンプやらをして誰かを探している様子だ。
これらのから導き出される答。
親とはぐれた迷子。
そして俺はそれを見て親を探すのを手伝うべきかどうか迷ってる。
いやね、人として探そうとするのが当然なわけで、そうすべきなんだろう。
けど何かめんどくさいし……
どうしよう?
そんなことを約数秒で高速思考していると銀色チビッ子はこっちを向いてきてしかも目があった。
しかしその子供は右目に眼帯をしていた…
目が悪いのか…
……あ〜…目が合っといてそんな子供を無視していくわけにはいかんか…
まあ旅は道連れ世は情け……親捜しするか…
「え〜っと…お譲ちゃん迷子?お父さんか、お母さんとはぐれたの?」
「いや、そういうわけではない。だから大丈夫だ。すまない。では」
…
……
子供の口調じゃねえええええ!!
子供っぽくない子供は3人も見たし慣れたつもりだったけどダントツで子供らしくねえええ!!
「そ、そうか…じゃあまあがんばってな」
「ああ、すまない」
こっちを見ないでそういいながら別方向を向いて何かを探しながら言ってきた。
すまんと思うならこっち見ながら言えや。
まあいい、こんだけしっかりした子供なら攫われるなんてこともないだろ。
行こ。行こ。
キョロキョロ、キョロキョロ
………………
ぴょ〜ん、ぴょ〜ん
………………
タタタタタタ………きょろきょろ
………………
ぴょ〜ん、ぴょ〜ん……
だあああああああああ!!
放っておけねえ!!
あんな小さい体できょろきょろしたりジャンプしてまでいる子供を放っておけねえ!
「おい銀髪チビッ子」
「誰がチビッ子だ。誰が」
「お前だ。お前」
「…そう呼ぶな」
「眼帯銀チビ」
「なお悪い。というかチビと呼ぶな」
「眼帯銀子」
「……貴様は馬鹿か?」
文句の多いチビッ子め。
「まあいいチビッ子。親じゃなければ誰を探している」
「結局そう呼ぶのか。まあいい…とりあえず貴様には関係ない。さっさと消えろ」
「あんな探し方目の前でされて放っておけるか。手伝ってやる」
「いらん」
「いる」
「いらん」
「いるだろ」
「いらんと言っている」
「してやらん」
「そうしてくれ」
「ちっ……引っかからんかったか…」
「引っかかるはずもないだろう。やはり馬鹿だ貴様は」
ちくしょう……してくれって言って引っかかると思ったのに…
では作戦その2に移行。
「お前の探し人をさっき見た」
「そもそも誰を探しているか教えていないだろう」
作戦その2失敗。
作戦その3に移行します。
「そもそもお前の背じゃ見つけられんだろう。この人ごみじゃ。それに向こうも探していても見つけにくい」
「うっ…だ、だが貴様には関係ないのだ。放っておいてくれ」
「だからこちらはそれができんと言っている。手伝わせろ」
ここまで来たらもう意地だ。
手伝ってくれと言うまで言ってやる。
「というかなぜそこまで手伝おうとする。偽善者か貴様は」
「うんや、ただの意地。だから手伝うぞ」
「はあ……もういい…わかった。実は妹2人を探している」
妹2人?
じゃあ何か?さらにチビッ子の2人が迷子だと。
危ねえじゃねえかそれ。
「そりゃやばいだろ…」
「ああ…心配でな…目を離した隙にどこかに行ってしまったのだ」
「特徴は?」
「1人は水色の髪で肩までの長さで、もう1人は赤髪で髪を後ろで上げている」
……それって午前中にナンパに会ってた2人か?
いやいや、妹とこいつは言った。あの2人は俺と同じ歳くらい。絶対違う。
「よし、じゃあ探すか」
「ああ、そうしよう」
そう言って手を掴んで出発する。
「…何故手を繋ぐ…」
「お前もはぐれそうだから。それでなくても逃げそう」
「くっ…」
やっぱ隙見て逃げようとしていたか。
甘いな。そのくらい読めるさ。
観念したようでこのチビッ子も手を繋いだまま妹を探し始めたのだった。
探し始めて2,30分程経っただろうか…
それらしい子供は見つからない。
「見つからんな…それらしい影見えたか?」
「いや……そもそもこれだけ人が多いとな…」
たしかに人通りが多い。
テレビで見る東京の通勤ラッシュ程の数はいないがそれでもかなりの数の人が歩いているのだ。
普通に探してはやはり探しづらい。
「よし、じゃあこうしよう」
「なっ!?貴様突然何をする!?」
俺は銀髪チビッ子を抱え上げそのまま肩車する。
「お、降ろせ!今すぐ降ろせ!」
「だめだ。お前は目印なの。こうすればその銀髪が目立つから向こうが探していたらわかりやすいし、お前自身も探しやすいはずだ」
「確かに的は得ている方法だがこれでは晒しものだ!!」
「大丈夫、大丈夫〜そら探すぞ〜」
まだ文句を言いながら降ろせと催促してくる。
しかしこの方が実際探しやすいだろうが、まったく。
子供のくせにませてんじゃねえよ。
チビッ子を肩に乗せたまままたしばらく妹探しを再開する俺達だった。
「うう……何故私がこんな目に…」
「そう恥ずかしがるな。周りから見れば仲のいい兄妹程度だって」
「…貴様はどういう神経しているんだ…」
真っ赤になりながら文句言っても効かんぞ。
ただかわいらしいだけだぞ。
それにどういう神経だと?いたって普通の神経に決まってるじゃねえか。
肩車状態でさらに30分程街中を探すが結局姿がない。
もしかしたら向こうは探さないでどこかでまだ遊んでいるのか?
「性格的にはどうだ?そういうので行きそうな場所を探してみよう」
「2人とも遊ぶのが好きだな。面白いことが好きで家でも元気にはしゃいでいる」
「そうなると…子供広場か?」
「そこまで幼い子供でない」
「じゃあゲーセンか……」
「ゲーセン?ゲーセンとは何だ?」
「ゲーセンを知らんのか?午前中にブラついてて見つけたから案内してやる」
「すまない……ただ案内してくれるのなら降ろして……」
「さあ行こうか〜」
「降ろしてくれ頼むから…」
しょぼくれた声で言ってもダメ〜
俺がおもしろいし。主にお前の反応が。
それに気に入ったしこの体制。いや〜やっぱ子供はいい。かわいくて。
……一応言っとくが性的な意味じゃねえからな…
赤ん坊とかかわいいと思うだろ?あれと同じ。
〜ゲームセンター〜
数分ほど歩きゲーセンに着いた。
文字が読めずとも店の表の雰囲気と外から中がどんなかわかるので問題なく発見できた。
中に入ると色々なゲームの効果音が鳴りまくっていて人が結構いる。
「これがゲーセンだ」
「…あの2人が好きそうなところだな…」
どうやら高確率でいるかもしれないとのこと。
しかしこいつ何歳だ?エリオ達より1つか2つ上っぽいけど…
そうなると妹達も10歳前後だよな。
え〜っと10歳前後で水色髪と赤髪は…
銀髪チビを肩車しながら店内を見渡すがそれらしいのが見えない。
う〜ん…別の店だったか…
「はあ…やっと見つけた…」
「えっ?どこ?」
「あそこだ。あそこ。何やら人形がたくさん入ったケースの前にいるだろう」
UFOキャッチャーの前か?
10歳前後の子供なんていなかったぞ。
いたのは俺と同じ歳くらいの水色の髪と赤髪……ってあれ午前中のアホ2人じゃん。
あれが妹って……
あっ!妹だけど年上振りたくて自分が姉だなんて言ったんだな。
まったくややこしいことを。
「助かった。もう降りるからな」
そう言って器用に俺の肩から飛んで降りる。
運動神経いいなこの銀髪チビ。
そのまま着地してUFOキャッチャーの前の2人のほうに駆け寄る銀髪チビ。
はあ、やれやれこれで解決だな。
「セイン、ウェンディやっと見つけたぞ」
「あっ、チンク姉」
「いや〜やっと見つけたッス」
「はぐれたのはそっちだろう。まったく目的が済んだらすぐに消えおって」
「あはは〜ごめんなさい」
姉妹揃って姉と妹逆転ごっこでもしてるのか?
まあ確かにチビの方がしっかりしてるのはわかるけど。
「あれ?アンタさっきの」
「変なやつッス」
「変なのは俺じゃねえ。お前らだアホ」
「お前たち2人を探すのを手伝ってくれたのだ。不本意だったがな」
「そういうこと」
失敬にもこの2人人のこと変なやつとか言って指さしてきやがった。
「とりあえずお前らの妹は届けたからな。もうはぐれるなよ」
「何言ってるッスか?チンク姉は正真正銘アタシらのお姉ちゃんッスよ?」
…
……
………
はあっ!?ちょ、まっ、え?ええええ!?
このちっこいのが姉!?どう見ても逆だろ!?
「またまた嘘を」
「嘘じゃないよ。チンク姉はしっかりワタシらのお姉ちゃんしてるし」
「最初から妹を探していると言っただろう」
「こんなでけえ妹だなんて聞いてねえ」
「言ってないからな」
いや言えよ。
しらっとした顔でいうんじゃねえよ。
「まあいいや。とりあえず俺はここで」
「ああ、礼を言う」
「あーーー!!いやがったな糞共が!オイ!こっちにいたぞ!!」
入口側からやったらうるせえ声がしたかと思うと午前中の怖いお兄さんがいた。
やばっ!!見つかった!!
つうかまだ探してたのか!?やっぱこいつら馬鹿だ!!
仲間の2人を呼んでそのまま俺達の方に近づいてくる。
俺ピ〜ンチ!!
「やっと見つけたぜ。なめた真似してくれたじゃねえか…」
「あ〜もうしつこいな」
「しつこい男は嫌われるッスよ〜。元々嫌いだったけど」
おいおい煽るな。
お前らの方が強いってのはわかるけど煽るな。
俺に被害が飛ぶ。
「妹達と何があったか知らないがやめてくれないか?」
「なんだこのガキは?ガキはさっさと帰って寝てろ」
「いいじゃねえか。この眼帯のガキも連れてこうぜ」
「っ!!何をする!放せ!!」
銀髪チビがやめろと言ったら後ろに回り込んだ1人が髪を鷲掴みにしてチビを捕まえる。
「ちょ、それは流石にまずいからやめましょうよ。ね?」
「あん?てめえは黙ってろや。男に用はねえ。半殺しにしてやっから大人しくしとけ」
…半殺しは嫌ああああああ!!
でもこの状況で逃げだすのは男としてダメだあああ!!なんとしてもストップ、もしくは逃げ出さねえと!
「とりあえずやめましょう。そうしましょ?」
「うるせんだよ!黙ってりゃいいんだよカスが!!」
「がっ!?」
手の空いている2人の内の1人が俺の顔面を殴ってきた。
痛えなこのクソったれ!!
だけど我慢だ俺。後でめんどくさいことになるのは御免だ。
「てめえ!チンク姉とそいつに何しやがる!」
「いい加減にしろっス!」
「待て!お前らの姉ちゃん捕まってるんだから大人しくしとけ!」
多分こういう輩はナイフとか仕込んでるだろうし、異世界だったら魔法を使ってくるかもしれない。
下手に力づくで行って盾にされたらどうしようもない。
「わかってるじゃねえかこのカス男君は〜御褒美にリンチにしてやんよ」
さっき顔面を殴ってきた男がそのまま俺に拳と蹴りを打ちつけてくる。
下手に逆らうとチビの方が危ねえ…
逆らうな、我慢しろ俺…
「貴様らいい加減に、うっ!?」
「「チンク姉!!このっ…」」
「お前ら動くんじゃねえよ。おい!そのカスさっさと殺れよ。そんでこいつらサッサと犯してやろうぜ」
俺のリンチを止めるように言おうとしたチビを3人目の男が殴る。
水色の髪と赤髪の女2人が殴りかかろうとしたが、髪を掴んでいる男がチビを盾にそれを止める。
2人はくやしそうに止まり睨みを利かせながら殺気を出すがこの3人はまったく気付いてない。
恐らく自分達が圧倒的有利だという思考が勝っているのだろう。
あ〜…つまりこのまま俺が殴られててもどの道3人を連れてくと…
しかも俺を殺すと?
ダメだわ……もう我慢できねえや…
殺る。
〜Sideセイン〜
やっぱし人間て馬鹿だ。
殺気まで出して脅してやってるのにまったく気付いてない。
しかもあの変わった男……何もしないで一方的に殴られて…
しかもチンク姉を人質にして殴りまでした。
もう我慢の限界。
《チンク姉…ごめんこいつら殺すわ》
《アタシもっス。もう無理、そっちの殴られてる方も助けたいし》
《私もだ。後々面倒なことになるが恩もあるしな。合図で一気に行くぞ》
《《了解(ッス)》》
チンク姉の合図が掛かる
《 1…2… 》
ドゴオッ!!
3の合図が掛かろうとしたときだった。
突然鈍く大きな音がした。
カウントをやめその音の方を見るとさっきまで殴られていたやつが男を殴り飛ばしていたのだ。
え〜〜一体何があった?
はっ!とにかくチャンス!
「ウェンディ!」
「わかってるッス!」
「「どりゃああああ!!」」
ウェンディと一緒にチンク姉を捕まえている男をぶん殴る。
そのまま男は吹っ飛んでゲームの台に叩きつけられた。
そして解放されたチンク姉は状況がわからずに混乱している様子のもう1人の男を蹴り飛ばした。
とりあえず男2人はこれでノックアウト。
いや〜スッキリした〜
さて殴られていたヤツは……げっ!そのまんまマウントポジションとって殴りつけてる…
「なあ?ざけんなよ?こっちが我慢してたら調子のりやがって…えっ?なあ?聞いてる?聞いてますか?」
「がっは…た、頼む、もうやめ、へっぶ!?」
今度はうつぶせに押し付けた後、やめろと言った男の頭を掴んで床に叩きつけて喋れなくする。
「え?何?もうやめへぶ?何言ってるかわからないんですけど?」
「痛え!頼むから!もうしないから!」
男の顔はもう血だらけで泣きながらやめてくれと叫ぶが関係なしで顔を床に叩き続けさせる。
い、いや…そろそろやばくない?
殺すなとか言っといて自分が殺しそうな勢いだよ!
「ちょ、ちょっと!そろそろストップッス!それ以上はヤバイッス!」
「そ、そうだ!止めてやれ!」
「っち…どっちがカスだよ…いい加減にしろよな…」
あははは…相当キレてたみたい…
まだ殴り足りなさそうに睨みつけてるよ…
「というか自分で殺しはまずいって言ってたじゃん。自分でしかけてどうするの…」
「あっ……」
あっ、って今頃思い出してる…
「こらーー!!あなた達何しているの!!」
やっば!!店の店員が管理局員呼びやがった!
こうなったらもうISで…
「逃げるぞ!!」
「へっ?」
「うえ?」
「な、何だ!?」
いきなり逃げるぞと言いだしたこいつはチンク姉を背中にしょったらワタシとウェンディの手を掴んで店の裏口に走りだした。
ちょ、ちょっと〜ワタシらISで逃げられるのに〜〜〜〜
〜Sideケイ〜
やばい〜〜〜!!
つい殴られ過ぎたのとあの怖いお兄さんの暴言でキレてやり過ぎた!
局員が店に捕まえにきちまったよ!!
くっそおおおおお!!ここで捕まったら六課に戻れんくなる!
むしろブタ箱行きだ!
「待ちなさーーい!!」
「だあああしつこい!つうかなんだあのローラースケート!反則じゃねえか!」
くっそ!青髪のロングの女局員がバリアジャケットまで装備して追いかけてきやがる!
いくら速くなってもあんなのから逃げられるか!
スバルのマッハキャリバーみたいなのを履いて追いかけてくるな!
「やばい、追いつかれる!」
「そこの角曲がって!あたしがなんとかするから!」
どうやって!?まあいい。今は指示に従うしかねえ。
俺は曲がり角を曲がる。
そこは人気のない細い道だった。
「ISディープダイバー」
「うおっ!?」
水色の女がそう言うといきなり地面に体が沈んだ。
なにーーー!!どういう魔法だーー!!
ドラ○もんの不思議道具かああああ!?どんぶ○粉か!?
地面に潜って十数秒ほどしたら今度はさっきまでいた路地が見える少し離れた人通りの多い道の近くの裏路地に出た。
先程の消えた所には管理局員の女の人がいた。
どうやら俺たちを見失い探しているようだ。
「セインよくやった。おい貴様。このままここを離れるぞ」
「わ、わかった…」
「やるもんでしょあたしも」
「このまま逃避行ッス〜」
…一体こいつら何者だよ…
そのままその場を離脱してしばらくしてから俺達は一息つくことにした。
先程の地面に潜った現象が何だったか気になったので聞いてみることにした。
「なあ、水色。さっきの何?」
「ん?あ〜…あれね…言っちゃっていいのかな…」
「いいんじゃねえッスか?」
「だめに決まっているだろう。聞かん方がお前のためだ」
「…やばいことなら聞かんとく…」
聞かなけりゃ見逃してくれそうだし聞かんとこう。
うん。
「なあ?やっぱさ名前教えてよ。さっきはもう会わないと思ったのに会ったし」
「そうだな。こっちもいい加減チビと呼ばれるのはな…」
「とは言ってもな…」
「いいから教えるッス〜」
赤髪がそういって軽く首を絞めてくる。
ぐあああ!!苦しくないけど苦しい!背中に柔らかいものが!
「ん〜?何赤くなってるッスか?」
「離れろ…背中に柔らかいものが…」
「ふ〜ん………うりゃッス!」
ノオ!さらに押し付けるな!
「で?お前の名前は?私はチンクと言う」
「セインさんだよ〜」
「ウェンディっす」
止めろよこの赤髪を…
「武ノ内ケイだ。ウェンディだっけか?…そろそろ離れて…」
「気持ちよくないッスか?」
「良すぎてやばいから!」
にししし、と笑いながら離れていく。
ふう……いい体験だったがつらかった…
「ケイ。今日見たことは他言するなよ」
「したら俺がお前らに殺されるってことか?」
「……そうなる。本来なら始末すべきだろうが借りがある」
「そういうこと。まあ言っても誰も信じないとは思うけどね」
魔法もあるし信じるんじゃねえのか?
けどまあこのこと言ったら俺も捕まるし黙ってるつもりだったけどな。
「バレると俺もやばいから言わねえ」
「共犯者ってとこッスね」
言い方は悪いけどそうなるな…
まあバレなきゃいいんだ。バレなきゃ。
「さて…では我々は帰る」
「ケイ〜さいならッス」
「じゃあね〜また会う事あったらね〜」
そう言ってまた地面に沈んでいく。
それと一緒に地面になにか丸いテンプレートが浮かんでいる。
成程、やっぱ魔法だったか。
「じゃあなチンク、セイン、ウェンディ」
互いに手を振りながら別れる。
完全に3人が沈んで見えなくなると俺は帰ることにする。
「ん〜!今日は逃げることが多かったな。…帰るか」
そのまま自転車を置いてきた場所に向かう。
しかしあれだな…セインの魔法…あれじゃまるでモグラだったな…
今度会ったら言ってやろ。
〜自転車を置いた路地裏〜
あ…あった…どの辺に置いたかわからなくて見つけるのに苦労した…
いつの間にやらもう4時過ぎ……
まじで帰らんと晩飯に間に合わん。
自転車を置いた場所がわからなくなったりして探していたら4時を過ぎてしまっていた。
急いで帰ろうとすると奥に進むと危なそうな人がいそうな路地から何やら物音が聞こえる。
…なんだ一体…覗いてみるか…
「くっくっく…これがジェイルの作ったレリック・ウェポンの娘か…兵器でも子供だな。簡単に眠りおった」
物音のするところに行くと禿げたいかにも油っこさそうな白衣のおっさんがいた。
その周りにはサングラスをつけた男2人が立っており1人が杖、1人が刀を持っている。
白衣の男は子供らしき人間の口があるであろう位置に布を押し当てて抱えている。
……危ない博士とその部下?
まさかこんなものまで拝むことになるとは……
でもって禿博士が抱えてるのは……げっ!?なんでルーテシアが捕まってんだよ!
ゼストっていうのと一緒じゃなかったのかよ!?
「デバイスで何やらしようとしていやがったが…」
「データでは召喚魔法を使うとあったが召喚前にデバイスを奪えば何もできん」
部下らしき男2人がそう言う。
状況と会話から推測できること…
ルーテシアはどうやら魔導士で、あの男2人がその魔法を使う前にデバイスを壊すか奪うかして魔法を使えなくしたのか…
そして使えない所に禿博士がルーテシアを眠らせた…
そんな感じか…
ジェイルやらレリックやら兵器やらの単語の意味はわからねえけど誘拐事件には違いねえ…
すぐに局員を呼んで助けを…
「!?誰だそこにいるのは!出て来い!」
っつ!!見つかったか!気配を消したつもりだったのに誘拐事件ってことで焦ったせいか!
けどこの距離なら逃げられる!!
俺はその場から離れようとするが突然体が光る紐の様なもので縛られ身動きが取れなくなる。
これも魔法か!?
厄介な……この!!外れろ!
「無駄だ。バインドをかけたのだ。魔導士でもない限り外せはせん」
杖を持った男がそう言って身動きが取れなくなった俺に近づいてくる。
くっそ、捕獲用の魔法ってことか。
「なんだそいつは」
「よく見つけたなあんた。気付かんかったぜ」
「どうやら見られたようでしてね…始末しましょう」
杖の男が白衣男の質問に答え進言する。
……まずい…命がピンチだ…
「殺すなら俺に殺らせろ。最近人間斬ってなくて退屈してんだ」
「まったく…俺が殺ってもいいが生憎デバイス形式が杖だ。貴様の好きなその刀とかいう剣でバラしておけ」
「ああいいぜ。この前見つけたばかりでな。試し斬りには丁度いいぜ」
のおおおおお!!
斬られる!斬られる俺!!つうかその刀よく見たら日本刀だああ!
誰がこの世界に持ち込んだりしやがった!!
「どうでもいい。証拠は残すな。ワシ等は先に戻る」
「場所は廃棄都市区画の東だ。ここからなら歩いてでもこれるだろう」
「へいへい。まあゆっくりバラさせてもらうさ」
杖と白衣の男はそう言ってさらに路地の奥の方に眠らせたルーテシアを抱えて消えていく。
そして刀を持った男がゆっくりと俺を殺そうと近づいてくる。
「さて…どう殺そうか…」
そう言っておもちゃで次は何して遊ぶかを考えるかのように言う。
この男…間違いなく人を殺したことがあるな…それもたくさん…
けどわからないのはなんで刀を持っているかってことだ。
魔法使えるならデバイスのはず……だけどこいつの刀はどこにも機械的な部分が見えない。
「おい、聞いてるのか?今から死ぬんだぜ?怖がらないのか?」
「……死ぬ前に聞かせて欲しいんだけど…」
「いいぜ。冥土の土産でいいなら答えてやる」
よし、言ってみてよかった。
絶対聞かないで殺すっていうと思ったのに。
「何でルーテシアを攫った」
「知らねえ。雇い主が実験がどうたらこうたらって言ってたがな」
実験……あのおっさんは完全にマッドな博士か…
「あんたら何者?」
「なんか実験をしている組織としか知らねえ。俺は殺しができるから入ってるだけでね。興味がねえ」
組織…犯罪組織が関わってるか…
これまた厄介な現場を目撃しちまったもんだぜ…はあ…
「なんで日本刀を?俺の世界の武器だぞ」
「あん?てめえの世界の武器だあ?ひゃはは!こりゃ傑作だ!」
突然男が笑いだす。
何がおかしいんだ…
「俺は魔法が使えねえけどな。てめえの世界の武器だと魔力なんざなくても簡単に人間殺せる武器があるから愛用してんだよ。
その世界のやつがその世界の武器で死ぬ?傑作すぎて笑えるぜ」
……管理外の武器が流れてる?
密輸入されてんのかよ!?
「さて…そろそろいいか?」
「…いや…全然ダメなんですけど…」
時間稼げるかな〜って思って喋ってたけど逃げる方法が思いつかん…
関節外せばこのバインド外せるかと思ってたけど外れるかな?
けど外し方知らねえ…
「じゃあグッバイ♪」
そう言って笑いながら刀を振り上げる。
やばいーーー!回避行動ーーー!!
振りおろしてきた刀を体を地面に転がして避ける。
よし!このまま転がって逃げてやる!
全力で体を転がして逃げようと必死になる。
はたから見たら絶対カッコ悪いけどそんな場合じゃナッシング!!
「ひゃはははは!お、お前…そんな風に逃げるって…だひゃひゃひゃひゃ!」
笑うなーーー!
死にたくねえんだーーー!
この厄介なバインドがなけりゃ勝てるのにーーー!
「じゃあ今度は的当てゲームに変えるか」
楽しそうに今度は銃を出してきやがった。
しかもサイレンサー付き。意外に準備がいいーーー!!
そのまま転がる俺に向かって3発撃ってくる。
ノウ!ノウ!当たる!当たる!
絶妙なタイミングでなんとか避けれた。我ながらよくやった!!
けどまだまだ来るーーー!!
「くっくっくく…ホントおもしれえな〜ここまで粘るやつは初めてだぜ」
粘るのが俺だよ。どうせ諦め悪いよ。一部だけ。
「でも残念だったな。お前の後ろは壁だ。逃げ場はねえ」
男の言葉で後ろを転がりながら見ると確かに壁しかなかった。
どうやら弾を避けようとしたせいで誘導されたようだ。
俺のバカチーン!
「ゲームオーバー♪」
俺の頭に向かって銃口が向き発射された。
銃口の角度から頭に狙いがきていると読めたので首はねで立ち上がりぎりぎりかわす。
危ねええええ!間一髪ーーー!
「……いい加減当たれや」
「絶対NO!!」
誰が好んで撃たれるかアホ!
しかしな……この状況あれだ…勘違い殺し合い事件(すずかさんとの)の状況と同じだけどあっちの方が怖かったな。うん。
しかしどうする……
こっち素手で腕使えない。向こう銃と刀で圧倒的有利……
身体能力は圧倒的に上なんだけど……
って、あれ?
「あーー!後ろーー!!」
「あん?そういやいたな〜そうやって騙そうとしてくる馬鹿が。まあすぐに殺し…ぶっほお!?」
男の後ろから何故か勢いよく炎の球が飛んできて後頭部に直撃して男は倒れた。
一体何だ!?なんで炎の球なんて飛んできた!?
「くっそ!誰…」
「チャーーンス!!死ねえええやああああ!!」
炎の球が直撃したのにもかかわらず男は起き上がろうとしたので俺はすかさず男の頭を地面に蹴りつけてそのまま体の上や頭の上を連続で
踏みまくる。
「だりゃああああああ!!!」
もうほとんど踏んでいるというより男の上で腿上げダッシュのように足を上げ下ろしして攻撃する。
だって手が使えないし…
カッコなんて関係ねえ!
完全に気絶したところで腿上げダッシュをやめ炎が飛んできたところを見る。
するとそこには妖精がいた。
だけれでもそれはリインとはまた違うどこかギラギラした雰囲気を持つ紅い髪のの妖精だった。
「…あ〜……幻覚?」
「現実だ。たこ焼き男」
たこ焼き男ってなんやねん。
「なんでたこ焼き男だ、こら。この紅妖精」
「誰が紅妖精だ!アタシはな、烈火の剣精アギト様だ!」
「うわ〜自分のこと様付けしてるやつ初めて見た〜」
「んっだとコラ!?燃やすぞテメエ!」
いや燃やされるのは勘弁。
「で?さっきの攻撃はお前みたいだけど何で助けてくれたんだ?」
「話切り替えるのかよ!?…まあいいや。お前はさっきルールーに昼飯奢ってくれたりしたから死にかけてたのを助けてやったんだ。感謝しやがれ」
ルールー?飯奢った?……ルーテシアのことか?てことはルーテシアの探し物の仲間か。
って!
「お前ルーテシアの仲間だろ!?あいつこの男の仲間に誘拐されたんだ!早く助けねえと!」
「なんだと!?ガリューはどうしたんだよ!?」
ガリュー?なんだそれ?
「知るかよ!なんか眠らされてたし召喚の前にデバイスをどうたら言ってたんだ!」
「くっそ!だからどこでも行くなって言ったのに!」
…口うるさいみたいだから逃げられたんだな…
「とにかく俺は管理局に通報するからお前は」
「管理局はダメなんだ!」
ダメってどういうことだよ…こういうのは普通警察みたいなもんである局に言った方が…
「局に頼れねえ理由があるんだ!仲間の特徴とどこへ行ったか教えろ!」
…理由持ちか…
それは通報できねえわな…
そんなのに関わるなんてまっぴら御免だ。さっさと教えて帰……
そういやあいつどことなく寂しそうにしていたよな…
感情はあるけど表に出さないし……出せないのかな……
……………
だああああああ!!そんな子供を見捨てて行けるか!フンバレ俺!
せっかく身体能力とか剣の腕とか上がったんだ!(剣の方は多分)
今こそその成果を試すんだ!(命懸けだけど…)
「俺も行くぞ」
「なっ!?テメエ死にたいのか!?魔法使えるのかよ!?」
「魔法は無理だ。けど俺にはこれがある」
そう言って俺は男が持っていた刀を盗む。
真剣を持つのはサバイバル以来だけど今は関係ないし、あった方が心強い。
それと一緒に銃も盗む。
種類とかは知らないけどオートマ式のハンドガンのようだ。
サイレンサーはこの世界で作られたか改造をされているのだろう。
本当ならもっと大きな音がつけていてもするはずなのだが消音効果が相当なものになっている。
「そんなんで大丈夫かよ…」
「魔法の発動前に撃って斬ればいいんだよ」
今の身体能力ならそこまで無理じゃないと思うしな。
「でもよ…やっぱ反対だ」
「1人で助けられるのかよ?つうかゼストとか言ったのはどうしたんだよ?」
「旦那はまた用事で別行動だ。居場所もわからねえよ」
くっそ…タイミングが悪い…
「魔法ならお前が使えるからそこは任せる。後は自分でなんとかする」
「…まあ、そこいらの魔導士の攻撃なんざ簡単に止めれるけど…ああもう!こうしてる間にもルールーが危ねえんだ!どうなっても知らねえからな!」
「知らんのは困る気もするけどわかった!」
「わかってんのかよそれ!?」
「あいつらは廃棄都市の西にいるとか言ってた。歩いて行ける範囲だとも言ってたから急がねえと」
「ああもう!本当に知らねえからな!」
そうして俺は白衣の男と杖の男が向かったらしい廃棄都市の西に烈火の剣精アギトとかいうユニゾンデバイスらしき妖精と向かう。
魔導士とのこれから起こるであろう殺し合いに恐怖を感じながらも俺は向かうのであった。
つづく
〜おまけ1〜
「お前足速ええな?」
「そうか?まあ速くなったな。相当」
「魔力もちょっとはあるか……」
「それがどうした?言っとくがデバイス使おうとしたらすぐ魔力切れたぞ」
「……そっか…ルーも気に入ったみたいだしいいかと思ったけど…」
「そっかあいつの印象に残ってたか……もう少しスピード上げるからな。掴まっとけ」
「おう!絶対助けるからなルールー!」
〜おまけ2〜
「あの4人は一体どこに逃げたのかしら…見つからないわね…」
『魔力反応感知。約2キロ先の路地裏からしました』
「向かうわよブリッツキャリバー!」
『了解。マスター』
「てってて…くっそあの餓鬼どこに消えやがった。見つけて殺して…」
プチっ
「あ、あれ?今誰か踏んだ!?」
『マスター。この男質量兵器使用による連続殺人で指名手配されている男です』
「……なんでこんなところで寝てるの?」
〜あとがき〜
ついにチンクとアギトとの出会いが書けました。
連載最初からこういう感じで会わせようと考えてはいましたが13話にしてやっと…
最初は8話か9話で出せるかなって思っていたけど長くなってしまいました。
姉の威厳を持ちつつ意外に子供っぽいことを無意識でする感じにチンクをしてみたいかなと思いつつ書きました。
理由は漫画のシャンプーハットから(笑)
あと誰かはバレバレのキャラが1人登場。ちゃんとした出番は近いかも?
そして次回はマジでバトルをするケイとアギト。
マジバトルメインの話は難しいのでちゃんと形にできるか不安ですががんばります。
〜web拍手返信〜
※野上良太郎氏なみに運がないなぁ、ケイって
>いつの間にやら巻き込まれ体質になってます…
あれ?でも始まりからして巻き込まれ体質だな……とにかく運はないのは確かです。はい。
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