ラビリンス
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Kanon another story〜プロローグ
暗闇の中、一人の男が立っていた。その男は、ナイフを持っており、目の前には一人の少女が眠っていた。まるで死んでいるかのように、少女はピクリとも動かず眠り続けていた。その寝顔を見ながら男はニヤリと笑い、そして、ナイフを大きく振り上げた。オレは「やめろーー!」と叫んで飛び出そうとしたが、まるで何かに押さえつけられたかの様にその場から動けなくなった。
数秒後、そこにいた男は消え失せていて、残っているのは呆然と立ち尽くしたままのオレと、物言わぬ人形と化した彼女の死体だけだった。
そう、これは決して夢などではない。実際六年前に目の前で起きた悲しく、つらい現実。そして、今も心に残っている、決して忘れることの出来ない、悔恨と言う名の出口の無い心の迷宮・・・
PPPP・・・。
「う〜ん、もう朝か・・。早く顔を洗って朝めしでも食うか。」
オレは目を覚まし、ベッドから飛び起きた。さっきまで見ていた夢のせいか、少しばかり寝起きが悪かったが、今日から二学期が始まるためそんな事を気にしてはいられない。
(
しかし、あの事を夢に見るなんてな・・。ここ二、三年は見ることが無かったんだが。あの時、何でオレは動けなかった。動けていれば彼女は・・。)六年前の悪夢。当時十一歳だったオレ―相沢夏彦―は彼女を助けることができなかった。大人たちは仕方の無いことだったとオレを慰めたが、オレはそうは思えなかった。『もっと、オレが強ければ、オレに力があれば!』何度もそう思い、オレは道場に通うようになった。もう二度と目の前で大切なものをなくさぬように・・・。
そんな事を考えながら着替えを終えて部屋を出た。階段を降りようとすると下のほうから母さんの声が聞こえてきた。
「夏彦〜、悪いんだけど春奈を起こしてあげて〜。あの子たら、まだ寝てる様なのよ。私が言っても起きないからなんとかして起こしてあげてね。」
「わかった」
オレはそう答え姉の部屋に向かっていった・・・。
部屋の前までやって来ると、俺はノックをし、部屋へと入っていった。
「姉貴、朝だぜ。起きろよ。」
「う〜ん、あと十分・・。」
姉貴は母さんの血を濃く受け継いでいるのか朝が極端に弱い。
一方、俺は父さんの方の血を受け継いだのか、朝にはめっぽう強い。
というわけで、俺が姉貴を起こすのは最早当たり前のことになっていた。
しかし、毎回の事だが姉貴は目を覚まそうとしない。
というか起き様とすら思ってないんじゃないか、この姉貴は・・・?
しかし、起きないのならこっちにも考えがある。
「姉貴、起きないのならあの謎ジャ・・・。」
「すぐ起きる!だから、それだけは勘弁して・・。」
この秘密兵器にはさすがの姉貴も勝てないらしい。しかし、何で作られているんだろうか、あのジャムは・・。
寝ぼすけの姉貴が椅子に座ってようやく相沢家の朝食が始まる。始業式まで時間がないため、大急ぎで朝食を済ませ、玄関を飛び出してゆく。
雲ひとつ無い青空。気持ちよい風。後から走ってくる姉貴。
こうして、またいつものようにオレの長い一日が始まっていく・・・
―次回予告―
いつものように学校に着いたオレと仲間達。そこでは予想外の出来事が・・
「今日は転校生を紹介する。入って来なさい。」
そして入ってきたそいつは―
次回ラビリンス第一話『過去からの来訪者』
夏彦「教えてくれ。オレはどうすればいい・・!」
あとがき〜
維「どうも、作者の維新伝新です。」
夏「どうも、今回のアシスタントの夏彦です。」
維「しかし、この話、当初の考えと違ってきてるよな・・・。」
夏「ん?最初はどんな話になる予定だったんだ?」
維「初めはもっとギャグ調にしようと思ってたんだけど。
何か知らない間にシリアス路線になりそうだよ。」
夏「ちなみに、何話位になる予定なんだ、この『ラビリンス』は?」
維「初めは十話位になる予定だったんだが・・・。
余裕で越えそうだ、はっはっは。」
夏「笑い事か、それ?
お前の疲れが溜まるだけだと思うのだがな、俺には・・・。」
維「ま、まあ、何とかなるはずだ、多分
(汗)。」夏「ふ〜ん、まあいいけどね、別に・・・。
さて、これからも続いてゆく、この『ラビリンス』をどうか読んでやって下さい。」
維