体中を蝕んでいた痛みは、一晩ぐっすり眠ることで不思議と後遺症もなく、不思議とほとんど消え去っていた。 特に痛みの激しかったわき腹と太ももはわずかな引きつれが残るものの、なんともないと言っても良いほどである。 だが何事もなかったはずないのに、何事もなかったかのような健康状態が逆に不安を掻き立てていた。 空白の二時間、それ以前の空白の二ヶ月、本当に自分は何をしていたのだろうか。 休日の朝にも関わらず、あかねは日課となった自室での瞑想中に考え込んでいた。 「わからない、けれど……」 ぽっかりと穴の空いた空白の記憶、本当にそこには忘れてしまった記憶があるのだろうか。 そもそもにして今こうして自分を自分だと認識している自分は、空白を持つ時間よりも前の自分と同じなのだろうか。 小難しい考えに引きずりこまれながらも、馬鹿馬鹿しいと笑うことも出来ず、ただただ疑問が膨れ上がる。 前からずっと考えていた、本当に自分は大空あかねという人間なのだろうか。 なのはが望む自分は、今こうして悩んでいる自分ではなく、全く別物の大空あかねなのではないのか。 そう考えることが恐ろしい、怖いとさえ感じる。 自分という存在の否定、なのはがそんなことを願うはずもないと思いつつも、一度浮かび上がった疑念は消えない。 だが同時に友達であるなのはを疑ってしまった自分が、余りにも最低だと思わされる。 「あっかね、眉間にしわ寄せて何してるの?」 溜息を吐き出す直前、いつの間にか部屋に忍び込んでいた母親が背中越しに抱きついてきていた。 重い、重いが首に回された腕の温かさが少しだけ不安を和らげてくれるような気がした為、別の意味で溜息をついてしまう。 悪いことではないのだが、普段子供っぽい母親に対して安心感を抱く自分に不満がこみ上げる。 「なによ、その溜息は。不満か、母親が相手じゃ不満なのか」 「喉を、絞めないでください。それと遊ぶなら他所で遊んでください。これでも忙しいんです」 「胡坐かいて寝てただけのくせに」 はいはいそうですかと、口答えせずにあかねは率直に用件を聞いた。 「何か用なんですか?」 「今日って確か、フェイトちゃんが来る日なのよね。歓迎会するのは聞いたけど、何時頃からなら時間空きそう?」 「それは解りませんが、何故ですか?」 「ほら、来週はやてちゃんの家に遊びに行くじゃない。おめかしする為の新しい服が欲しいなって、もちろんお母さんの」 確かにそんな約束はしてあるが、そこで何故母親が服を買いに行くのか。 まさかと思いその顔を見ると、明らかににやけていた 「むっふっふ。あかねがシグナムちゃんにおぶられてた間も、はやてちゃんの携帯は接続中だったのよ。しっかり私もお邪魔することに、決定済みよ」 「本当に、何が楽しくてそんな僕の友達に絡もうとしてるんですか。不思議には思ってましたが、不自然ですよ?」 勝手に携帯を覗いては番号とメールアドレスを手にいれ、さらにメル友になる始末。 これまで放置してきたあかねもあかねであったが、いい加減にその理由が知りたくなってくる。 まさか子供である自分の交友関係の監視でもないだろう。 本気で知りたくなったあかねへが尋ねると、母親は思いも寄らない答えをあっけらかんと答えてきた。 「娘が欲しいから」 「は?」 理解できず言葉短く問い返すも、答えは変わらなかった。 「一人じゃ生めないし、後はあかねがよそ様から貰ってくるしかないじゃない。あかねが思いのほか女たらしだったから、候補が多すぎて迷っちゃうのよね。なのはちゃんでしょ、すずかちゃんにアリサちゃん。三人でも迷うのに、さらにフェイトちゃんとはやてちゃんでしょ。もうこれは、自分の目で確かめるしかないと」 「勝手に人の人生設計を描かないでください。そんなことをメールで送ってないでしょうね!」 「そんな不仕付けなこと送るわけないじゃない。本文の後にPSで、あかねって同年代の女の子から見てどう?っとかは聞くけど」 「十分不仕付けですよ。しかもどう考えても、母さんにとってそっちが本文でしょうが。知らなければよかった。なのはやアリサ、すずかさんに今日これから会うんですよ!」 「そんなに心配しなくても、大丈夫よ。皆深く考えなかったせいか、華麗にスルーして返答してこなかったから」 けらけらと笑いながら言い放つ母親であったが、そうであるはずがないとあかねは叫んだ。 「それは深く考えた末に、沈黙を選んだ結果です。最悪ですよ。本当にいい加減にしないと、携帯からメモリを全部消しますよ」 「そんなに怒らないの、冗談よ、冗談。そんなあかねの不利益をするわけがないじゃない。落ち着きなさいって。それで何時頃からなら時間空きそう?」 何処までが冗談かと問い詰めれば、余計なことをまた知りかねないとあかねは怒りを飲み込んで答えた。 「母さんと出かける場所なんてありませんと言いたい所ですが、恐らく夕方前までには空きます。フェイトさんと思い出があるのはなのはだけですし、積もる話もあるでしょうから二人きりにする予定です」 「だったら間に合いそうね。よし、今夜はお買い物ついでに美味しいものでも食べに行きましょう。けってーい」 わっと諸手を挙げて決めた母親のテンションの高さに、あかねはもう一度こっそりと溜息をついていた。 仕草や言動が一々子供みたいで、落ち着かない。 どうしてこの母親の子供として生まれてきたのか、もしかすると対応できない子供の変わりに自分が生贄として捧げられたのではと思ってしまう。 そんな人生嫌だなと思っていると、玄関で誰かがインターホンを鳴らしたのか家中に来訪者を継げる電子音が響いてきた。 一向に玄関へと出向く気配のない母親を尻目に玄関へと向かったあかねの頭の中からは、自分自身を憂う不安定な気持ちが知らないうちに消えていた。 「本当に、申し訳ありませんでした。フェイトさん、残念ながらああいう母親なんです」 フェイトが引っ越してきたと言うマンションへと向かう道すがら、あかねは心底申し訳なさそうに頭を下げていた。 突然あかねを迎えに来たなのはとフェイト、二人の予期せぬ訪問に母親が暴走したのだ。 普段からなのはにはメールをしているせいか、その矛先は主にフェイトへと向かっていた。 玄関で応対しようとしたあかねを押しのけ、自己紹介もなしに抱きしめ、可愛いと叫びながら撫で繰り回したりとやりたい放題であったのだ。 幸いフェイトが携帯を持っていなかったおかげで連絡先の交換は避けられたが、フェイトの手には母親の連絡先が書かれたメモが渡ってしまった。 「ううん、大丈夫。それに一度、会ってみたかったから」 そう呟き微笑んだフェイトの顔には、誤魔化そうとする様子の欠片もなく心底そう思っているようだ。 心の大きな人でよかったと、ほっと胸をなでおろしながら前を歩く二人へと尋ねる。 「まあ、母さんの話は置いておいて、何故急に僕を家まで迎えに来たのですか? 約束は昼からだとばかり思っていましたが」 「それはその……アリサちゃんとすずかちゃんが来る前に、話しておきたいことがあって」 なにやら言いにくそうに言葉を濁したなのはは、フェイトを伺うように顔を向けていた。 アリサとすずかがいないうちにとは、二人には話しにくいことなのか。 それは考えにくいと思うが、あかねには二人が自分に何を話したいのか予想もつかなかった。 立ち止まり思案顔で顔を向け合うなのはとフェイトを見ながら、我知らずあかねは首からかけた金色のペンダントを指でいじくっていた。 なんだか落ち着かず視線をさまよわせる中で、ふとなのはの胸元で何時も揺れているはずのペンダントがないことに気付いた。 「なのは、何時ものペンダントはどうしたんですか?」 「え、レイジングハートなら、今はちょっと……」 初めて聞く名のはずなのに、その名がペンダントを指した名前だと驚くほど素直に受け入れていた。 自分のものとは違う赤い宝玉がレイジングハート、ならばいつの間にか持っていたこの金色の宝玉はなんと言う名なのだろうか。 あったはずの名前、どういう名前であっただろうかと思いを馳せたその時だった。 「あかね、アリシアのこと憶えてる?」 不意を付いたようなフェイトの問いかけに、意識が吸い込まれた。 そのまま目の前にいる二人と景色が反転し、自分だけを取り残してぐるぐると回っていく。 めまいにも似た感覚の中で、あかねは何度か聞いたことのある声を聞いた気がしたが、思い出せないままに意識を失っていっていた。 「Stand by ready. Unison in」 金色の宝玉から発せられた声の後、あかねの体を太陽と全く同じ光が包み込んでいく。 「こ、こんなところで、どうしようフェイトちゃん?!」 「落ち着いて、なのは。とりあえずマンションまで連れて行こう」 フェイトが光の繭の中に手を伸ばし、自分よりも若干小さな手をとり走り出した。 一緒に走り出した二人のやや後方では、光が収まり始めユニゾンが完了しつつあるのか、あかねではない声が届いてきていた。 「フェイト、お姉ちゃん……お姉ちゃん悪い子なの。ごめんね、ごめんね」 ただその声はとても弱々しく、すすり泣きながら何度も何度も謝罪を繰り返していた。 光を放ち終わりバリアジャケット姿となったアリシアへと振り返った二人は、フェイトに引かれていないほうの手で涙が溢れる瞳を押さえる姿を見た。 今すぐにでも立ち止まり、涙を流すわけを聞きたい。 そんな欲求を抑え、人目に付かない、安心できる場所であるフェイトのマンションまで走った。 急ぎたどり着いた一階のホールでは管理局の人達が引越し業者に偽装して荷物を運び込んでいたが、挨拶もそこそこにアリシアをエレベーターへと連れ込む。 アリシア自身そこが我慢の限界だったのか、手を引かれるままにフェイトの胸に飛び込みより大きな声で泣きじゃくり始めた。 「アリシア、泣いてちゃわからないよ。どうしたの? あの日、急にいなくなったことと関係しているの?」 なのはが襲撃された日、居合わせたはずのアリシアが忽然と姿を消していたことから尋ねたのだが大当たりであった。 アリシアがより強くしがみ付き、ほんのわずかだが泣き声が小さくなっていった。 しゃくり上げる声は途切れ途切れに続いていたが、なんとか声を絞り出そうとしていた。 「私、本当は止めようと思えば、止められたの。なのはちゃんを攻撃しようとしてた女の人の所に、偶然殴り飛ばされて。でも、そうしなかった」 「それが、自分を悪い子だと言う理由?」 「ごめんね、なのはちゃん。私、妬ましかったの。私が何も出来なかった時に、何とかできる力を持ったなのはちゃんが。怖かったの、いつかあかね君がとられちゃう気がして」 懺悔を行いながらもアリシアはフェイトの胸に顔を押し付け、体を縮こまらせたままで、なのはを見ようとはしなかった。 許してもらえるのだろうか、自分だけならまだしもフェイトまで嫌われてしまわないだろうか。 不安から必死にすがり付いていたアリシアの体がそっとだが離される。 離したのはフェイトであり、俯くアリシアへと目線をあわせ、微笑みながら諭す。 「アリシア、人に謝る時はその人を顔を見よう。大丈夫。確かにアリシアのしたことは悪いことかもしれないけれど、なのはなら許してくれるよ」 「本当?」 恐る恐る顔を上げたアリシアが振り返った先では、フェイトと同じく微笑みながら両手を広げているなのはがいた。 「ごめんなさい、なのはちゃん」 「うん。私はこの通り元気だよ、アリシアちゃん」 今度はなのはへと飛び込み泣きじゃくるアリシアを、なのはが優しく抱きとめあやしていく。 小さなエレベータの中ではアリシアの鳴き声だけが響き、そのまま三人を目的の階まで連れて行く。 アリシアの泣き声が収まったのは、到着を知らせるベルの音が鳴った時であった。 エレベーターのドアが開いてからはなのはとフェイトがアリシアの手を引いて、住居兼司令部となるマンションの一室へと連れて行く。 「前の襲撃者たちのことがあって、今度こっちに常駐することになったんだ。今クロノとエイミィさんが、機材とかの調整をしてるから」 「私の家もここから近いんだよ。あかね君の家もね」 「うん、けれど私は頻繁に外に出られないから」 あくまでアリシアは緊急時のみあかねの意識を眠らせて、強制的にユニゾンを行っているだけである。 今回の様に、完全な私事で意識を奪ったのは初めてのことであった。 なのはもフェイトもそれは知っており、今回あかねを一足早く連れ出したことも無関係ではなかった。 「アリシア、上がって。会わせたい人がいるの」 「おかえり、フェイト。なのはもって、アリシア? 無理やり気絶させる手間が省けたね」 「無理やりって、ちょっと魔法で眠ってもらうつもりだっただけだよ」 玄関を空けて、真っ先に出迎えたのは子犬の姿となったアルフであった。 なんだか物騒な台詞になのはが苦笑しているが、アリシアには子犬のアルフしか目に入っておらず運よく聞き逃されたようだ。 アリシアは子犬姿のアルフへと一目散に駆け寄っていた。 「可愛い、フェイトが会わせたかったのってこの子?」 「そうだろう、そうだろう。可愛いだろう。でも小さいフェイトに抱きかかえられてるみたいで、変な気分だね」 「小さくないもん。でも可愛いから、許してあげる」 子犬となったアルフをアリシアが抱き上げると、その後からフェレットとなったユーノを肩に乗せたリンディが出迎えに現れた。 「おかえりなさい、フェイトさん、なのはさんも。アリシアさんと会うのはこれで二度目ね。ちょうど今、本局と通信が繋がった所よ。あの人もお待ちかねよ」 「こんにちわ。本局って、管理局の? それって……」 会わせたいのが誰なのか理解すると同時に、アリシアはアルフを片手に抱えなおしフェイトの手を取って廊下を走り始めた。 通信設備が何処にあるかも解らないまま走り出したアリシアを、フェイトがそっちじゃないよと教えながら連れて行く。 設備があったのは特別でもなんでもないマンションの居間であり、一足早くクロノがソファーに座りながら当の人物と資料を片手に話し合っていた。 襲撃者事件についてなのかどうかも考えずに、アリシアはただスクリーンに映る懐かしいその人を呼んでいた。 「お母さん!」 「アリシア」 アリシアの名前を呟きながら、スクリーンに映りこんでいたプレシアが微笑みかける。 「お家の中を走ってはいけませんよ。貴方は昔から元気が良かったから、こう聞くのも変かしら。元気だった?」 「元気だよ、お母さん体の方は大丈夫?」 「養生さえしていれば、普通に生活していく分には困らないわ。ただし魔導師としてはもう、生きてはいけないそうだけれど。私のことよりも、どうしたのアリシア。目が真っ赤よ」 画面越しでそんなことまでわかってしまうのか、アリシアは大泣きしたことが恥ずかしくて、もじもじするだけで何も言えなくなってしまう。 「困った子ね。フェイト、アリシアの面倒をちゃんと見てあげてね」 「うん、わかってるよ。任せておいて、母さん」 「もう、アルフだけじゃなくて、お母さんもフェイトも。私の方がお姉ちゃんなんだよ」 頬っぺたを膨らませて憮然とするアリシアを見て、プレシアとフェイトが笑う。 母と娘二人、本来ならばこうして画面越しとは言えそろい、笑いあうことすら出来なかったことであろう。 特にプレシアは人としての心を取り戻してくれた一人の少年を思い出し、一度笑みを抑え真面目な顔で言った。 「アリシア、貴方は今、あの子とユニゾンをしているのですね?」 「うん、そうしないと外に出られないから。ユニゾンしていない間は、あかね君の魔力が暴走するのを抑えてる」 「あれから半年経った今でも、乱れているのか?」 疑問の声を挙げたのは、クロノであった。 それに乗るようにエイミィもおかしな話だと同意の言葉を述べた。 「確かに、ジュエルシードの干渉を受けて一時的に乱れたならまだしも、今もまだ乱れようとしてるなんて。ちょっと変だね」 「そのことなんだけれど、太陽のお兄ちゃん。初代ゴールデンサンが言ってたの。あかね君の記憶が戻らないのには、理由があるって。なのはちゃんが襲われた日、あかね君も襲われそうになって。強制的にユニゾンして私が戦ったの。その時、太陽のお兄ちゃんが助けてくれた」 「アリシア、もう少し具体的に。砕けたはずのデバイスがどうやって?」 「私とあかね君は虚数空間に飲まれる直前に、夢見たいな共通の意識の中で人の姿をした初代ゴールデンサンと会ってた。その時の姿で突、然現れて助けてくれたの」 スクリーンの向こう側にいるプレシアが、すぐそばにいるリンディやクロノ、エイミィが思考にふけるも直ぐに答えは出てこなかったようだ。 なによりも情報が足りないために、考えること事態ほとんど無意味とさえ言えた。 半年経った今でも乱れ続けているあかねのリンカーコアに、人の姿で現れた壊れたはずのデバイス、そして戻らないあかねの記憶。 「出来れば今すぐにでも、あかね君の体を調べたい所だけれど。それは無理そうだから、以前の記録から調べてみるわ」 「そうしてくれるとありがたい、プレシア女史。彼にはもう一度、魔力と記憶を取り戻して手伝いを頼みたい」 司法取引により技術提供を行うことを約束した今のプレシアの肩書きは、アースラ専属の技術担当者である。 上司にも当たる執務官からの頼みだけでなく、娘の為と言う言葉も加え快く頷いていた。 「アリシア、最後に一つだけ忠告をしておくわ」 「なに、お母さん?」 「解っているでしょうけれど、緊急時以外はユニゾンは控えなさい。貴方はもともと調整さえ受けていないし、貴方にとって真の適合者はあかね君ではないはず」 「え、だって私はゴールデンサンだよ。あかね君以外の誰に」 「アリシア、ユニゾンデバイスは本来、使用者の資質を引き出しコントロールするのが役目。貴方が意識ごとあかね君の体を奪っているのは暴走事故なの。あまり長時間、長時間でなくても戦闘行為を繰り返せば、今以上の暴走事故が起こるかもしれないわ」 でもと言い募ろうとしたアリシアの肩へと、フェイトが手を置いた。 「アリシア、一人で頑張らなくても良いんだよ。なのはとあかねを守るために、事件の解決のためにアースラのメンバーが派遣された。一人じゃないよ」 「私も、守られるだけじゃなくて。あかね君を守るよ。一緒に守ろう、アリシアちゃん」 「うん、皆であかね君を守ろう。私もアリシア・テスタロッサ・ゴールデンサンとして守る、守ってみせる」 今日というこの日、この時間、アリシアはあかねを守るという目的の元で仲間と言うものを手に入れた。 ユニゾンを行っている間という制限はあれど、デバイスとしての生を受けてから初めて一人ではなくなった瞬間であった。
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