第十三話 太陽はいつもそこにあるものなの(前編)
 頬を撫で付けていくのは若草の香りであった。
 鼻腔をくすぐられ意識を浮上させていったあかねが耳にしたのは、女の子と男性の笑う声であった。
 まぶたを開けば太陽とは少し違うだけど十分過ぎるほどに明るい光が飛び込んできて、眩しそうにあかねは右腕で影を造り耐える。
 瞳は開いてもまだ意識ははっきりとしてくれない。
 少しずつ、少しずつあかねは自分に何が起こったのか思い出していく。
「僕は……アリシアを助ける事に失敗して、そのまま黒い空間、虚数空間に落ちて」
 そこから先が全く思い出せず、頭を抑えながら上半身だけ起き上がる。
 一分、二分と経っても思い出せず苦しんでいる最中、先ほどからずっと聞こえていた笑い声が近付いてきている気がした。
 少し静かにしていてくれと、初めて顔を上げてそちらを睨みつけようとした瞬間、何かに自分が押し倒されていた。
 勢いに負けて後頭部をぶつけたが、やわらかな若草がクッションとなり思ったよりも痛くはなかった。
「あかねお兄ちゃんやっと起きた。待ってたんだよ」
「アリ、シア?」
 自分を押し倒してきたのは、フェイトと瓜二つのアリシアであった。
 お腹の上に馬乗りになって甘えるように笑いかけてきているのは、すでに死亡しているはずの少女であった。
「うわあッ!!」
 死、それが思い浮かんだ瞬間、アリシアを突き飛ばしてしまっていた。
 アリシアは、何をされたのか理解できないキョトンとした顔で尻餅をついていた。
 そして自分が突き飛ばされたのを理解するにつれ、ジワジワと大きな瞳に涙を浮かべていく。
 ポロポロと零れ出した涙は止まらず、ふにゃりとつい先ほどまでは笑顔だった顔が崩れた。
 自分よりも小さな子に何をしているんだとあかねが自覚した刹那、頬に硬くて熱いものが打ち付けられていた。
「何してやがる。俺は可愛い妹分を泣かせるような根性なしを弟分にした覚えはないぞ。ええ、兄弟!」
 打ち付けられたのは拳で間違いなかった。
 あかねは体が二転三転とする中で、殴られた事だけを理解した。
「太陽お兄ちゃん、喧嘩は駄目!」
「喧嘩じゃねえ、良いかアリシア。拳は男の根性を叩きなおす薬なんだよ。見ろ、兄弟は俺の熱き拳を受けて己の行為を悔やんでむせび泣いてるじゃねえか」
「うつ伏せで倒れてるようにしか見えないよ」
「そう見せかけてるだけだ。男はな、何時如何なる時も涙を見せないもんなんだ」
「何処まで自分に都合の良い、自己解釈ですか。殴られた頬が痛くて立ち上がれなかっただけですよ!」
 未だ頬が痛みから解放されず、右手で抑えながらあかねは立ち上がった。
 まだまだ文句は言い足りないが頬の痛みが自分に冷静さを取り戻させてくれた為中断する。
 改めて辺りを見渡せば、地平線の向こうまで草原が続くだけの場所であった。
 土地の起伏も建物一つもなく、上を見上げてみれば青々とした空の変わりに白いもやのようなものが掛かっていた。
 不自然すぎるこの場所にいるのは、自分とアリシア、そして太陽と呼ばれていた男だけである。
「僕は死んだんですか?」
「お前がそう思うんなら、そうなんだろうよ。大空あかね、享年九歳ってところ痛ェ!」
 肩をすくめて曖昧な台詞を呟いた太陽の足を、アリシアが思い切り蹴り上げていた。
 十七、八に見える男の人が七歳ぐらいのアリシアに蹴られても普通は大丈夫なのだろうが、場所がすねである。
 痛みに耐えかねて、中途半端なけんけんを繰り返している太陽へとアリシアが肩を怒らせる。
「どうしてそうあかねお兄ちゃんに意地悪するの!」
「しけた面しやがって、気にいらねえんだよ。俺の知ってる兄弟はな、何時も前だけ見てやがった。傷つこうが腕を失くそうが自分を変えようとはしなかった。だから俺は力を貸してきた」
 胸の前で腕を組んだ太陽は、そのままそっぽを向いてしまう。
 その鼻息は荒く、勝気な言葉や、兄弟と言う呼び名、まさかとあかねが口を開く。
「ゴールデンサン?」
「死人が気安く人の名前を呼んでんじゃねえ。さっさとまた寝ちまいな。そうすりゃ、そのうち本当にお迎えがくるさ」
「まだ、猶予はあるんですね?」
 ゴールデンサンのたきつける様な言葉は、猶予があるからこその言葉であるように思えた。
 本当にもう自分が死んでしまっているのなら、ゴールデンサンはこんな言い回しをしないだろう。
 猶予があるからこそ、気力をなくしかけた自分に苛立ちを感じているのだ。
「次にしけた面した瞬間には、もう一発薬を打ち込むぜ、兄弟」
「その時は、お願いします。ゴールデンサン」
「アリシア、あれをあかねに渡してやってくれ」
「どうして喧嘩するだけで元気付けられるのか、わかんない。はい、あかねお兄ちゃんこれ」
 理解に苦しむ顔をしながらアリシアが取り出したのは、淡い光を放つ青い石であった。
 ひし形に近い形をしたシリアルナンバーの刻まれた石、ジュエルシード。
 ゴールデンサンは持っていたジュエルシードのうち一つをフェイトに、もう一つをリンディに渡したはずである。
「これは母さんが持ってた七つのうちの一つ。もうすぐあかねお兄ちゃんは完全に虚数空間に落ちきっちゃう。その前に、これでお兄ちゃんだけでも脱出して」
「僕、だけ? 僕だけってどういうことですか? ゴールデンサンやアリシアはどうするんですか?!」
 刹那、二人の姿が草原しかない景色の中に滲むように薄れ、元に戻る。
 ずっと笑顔を見せていたアリシアの顔が曇り、慰めるように頭を撫で付けたゴールデンサンが言った。
「アリシアは元々死んでいる身で、もう虚数空間に飲み込まれ始めた。そして俺はもう直ぐ壊れる。解らないだろうが、こうして話している間にも虚数空間に落ちようとしてるお前を支えて踏ん張ってるんだ」
「私たちはあかねお兄ちゃんを助けたいの。だから急いで!」
「それで僕が二人を手放すとでも思いますか?」
 言葉に詰まった二人の姿を見たのを最後に、あかねは本当の意味で目を覚ました。
 高次元空間に放り出されてから気絶していた時間は一分もないのだろうか。
 ゴールデンサンの防御魔法に包まれながらあかねはなんとか生存を果たしていた。
 だが目の前には虚数空間が口を開けて待っており、右手で掴んでいたアリシアの体の半分は飲み込まれていた。
 繋がれたあかねの右手とアリシアの左手の間にジュエルシードが挟むように握られている。
「Hurry up, Brother」
 急げとまくし立てるゴールデンサンの宝玉には幾つもの亀裂が走っていた。
 以前になのはのレイジングハートや、フェイトのバルディッシュが傷を負った所を見た事があったが、その時よりも亀裂が深い。
 綺麗な球状だった宝玉も欠けたそばから虚数空間へと飲み込まれていっている。
 ゴールデンサンが壊れる、そう聞かされていてもあかねは全てを救いたかった。
 アリシアもゴールデンサンも、もちろん自分自身をも。
「ゴールデンサン、もう少しだけ耐えてください。アリシアを引っ張りあげます!」
「Impossible. Already, time over. Run away and goodbye」
 ゴールデンサンの宝玉が完全に砕け散った。
 それに伴い防御魔法が薄れ、アリシアごとあかねが虚数空間へと飲まれ始めた。
 もうアリシアを引っ張りあげるどころではなく、迷っている時間もなかった。
「僕は、それでも僕はッ!」
 ジュエルシードが光り始め、虚数空間へと落ちていくあかねを包み込み始めた。





 時の庭園の崩壊から数日、プレシアはアースラにある拘置所の中に監禁されながら無為な時の過ごし方をしていた。
 日がな一日ベッドに腰を掛けて俯き、下手をすれば夜中になってもそのままである。
 再び目の前でアリシアを失った事も大きかったが、一緒にあかねが虚数空間へと落ちていった事も大きかった。
 自分が子供を殺した。
 今もあかねの帰りを待っているであろう母親に、自分と同じ絶望感を味わわせる事になる。
 その事がプレシアを苦しめていた。
 まさに生きる気力を失くし罪悪感に潰されそうなプレシアが他人を認識して反応を見せるのは、唯一フェイトが様子を見に来た時だけである。
 それでも顔を僅かに上げるのみで、特別何か言葉を投げかけるわけでもない。
 今も鉄格子を挟んだ向こう側にフェイトと、監視役を買ってでたクロノがいるが、本当に目に写しこんでいるのか怪しかった。
「母さん、やっぱり私じゃ駄目なのかな……」
「もうすでに君がどうだとか言う問題じゃない。君の母親は間接的ながら子供を殺した」
 クロノの言葉に、ピクリとプレシアが反応を見せていた。
 思い出すことを、考える事を拒否しているかのように頭を抱えてうめき声を上げる。
「この反応は、まだ彼女が狂人にいたっていなかった証拠だよ。プレシア・テスタロッサは今、自分が抱いた罪悪感と戦っている。それに戦っているのは彼女だけじゃない。あかねを知るもの皆が戦っている。こんなはずじゃなかった今に苦しみながら」
「あの子……まだ部屋から出てこないんだよね」
「なのはの方はユーノが何とか元気付けようとしている。君はプレシアを元気付ける事だけを今は考えていれば良い。と言っても、そろそろ時間だ。今日の面会はここまでだ」
「わかった、ありがとう。母さん、また来るから」
 拘置所を後にしようとすると、入り口に設置された通信機器が呼び出し音をかなで始めた。
 特別見張りがいるわけでもない拘置所に連絡を入れるのは誰だと、クロノが通話のスイッチを入れると慌てた様子のエイミーが映し出された。
 彼女ならば今クロノとフェイトが拘置所にいることを知っているので、連絡を取る為に拘置所に通信を入れたのは解る。
 だが一体何を慌てているのか、たしなめるような言葉遣いでクロノが尋ねた。
「エイミー、落ち着いて。緊急の要件なのか?」
「緊急も緊急、私じゃ判断できなくて。艦長はなのはちゃんの様子見に行ってるし。ついさっき外部からの通信でアリシアちゃんが今から転送するから攻撃しないでくれって」
 エイミーが一体何を言っているのか、クロノにもその後ろで聞いていたフェイトにも理解できなかった。
 アリシアは数年も前に死亡していて、唯一残っていたその体も先日あかねと共に虚数空間に落ちていった。
 誰もがその光景をしっかりと目に焼き付けていた。
 そのアリシアが通信などと悪い冗談であるが、エイミーの顔は真剣そのものであった。
「ああ、転送の魔力を感知。しかも転送ポートからずれてる。場所は……そこ、拘置所の中!」
 エイミーに言われるまでもなく魔力を感知して振り返った二人は、太陽光に似た色の魔方陣が床に広がって行くのを見た。
 すかさずS2Uを起動させようとしたクロノの手が一瞬だけ止まる。
 魔力の色があかねのそれにとても良く似ていたのだ。
 だがあかねの魔力の色よりも黄色の度合いが強く、そもそもあかねは転送魔法のような複雑な魔法は使えない。
 あかねだったら良かったと勝手に心で望んだ希望だと、S2Uを完全に起動させ魔方陣へと突きつける。
 完成した魔法陣が人影を浮かび上がらせた。
「アリシア?」
 呟いたのは、プレシアであった。
 ベッドから立ち上がると、のろのろとした動きで鉄格子に歩み寄り手を伸ばす。
 プレシアがそう思っても仕方のないほどに、現れた少女はアリシアに、同時にフェイトに似ていた。
「アリシアは、死にました。もう、何処にもいません。少しずつでもその事実を認めてください。けれど、彼女からの伝言を伝えに来ました」
 抑揚のない声で、少女がプレシアに答えた。
 テスタロッサ姉妹に似た姿でありながら、纏うバリアジャケットはあかねのものに似ていた。
 黒い半そでの上着にミニスカート、そして金色に輝くオーバーコート。
 あかねという存在を嫌でも思い起こさせる格好の少女は、今はプレシアだけに向かい言葉を紡いだ。
「優しい母さんが大好きでした。けれどフェイトに意地悪する母さんが大嫌いでした。本当に私を愛してくれているのなら、私が笑顔になれる方法でこれからを生きてください。以上が、アリシア・テスタロッサからの伝言です」
「けれど、私は殺してしまった。貴方と歳の変わらない子供を」
「大空あかねは、かろうじてですが生きています」
 その台詞に反応を見せたのは、プレシアだけではなかった。
 少しだけ警戒を解いたクロノと、正気を取り戻しつつあるプレシアを気遣っていたフェイトもである。
 目の前のフェイトに良く似た少女がアリシアでなければ誰なのか、少女はプレシアへ伝えるべき事を伝え終わるとクロノへと振り返った。
「クロノ執務官、大空あかねを知るものを全員集めてもらえますか? その方たちにもお伝えしなければならないことがあります」
「その前に一つだけ、今この場で答えてくれ。君は、誰だ?」
 非常識にも転送ポートを介さず直接艦内に転送してきた人間を信じるわけには行かないと、クロノはS2Uを突きつけたままであった。
 その表情は厳しく、同時にあかねの生存という希望を待っているようでもあった。
「私の名はアリシア。アリシア・ゴールデンサン。大空あかねがジュエルシードに願い生みだされた、アリシア・テスタロッサの記憶を持つただのデバイスです」
 そう言ったアリシアが手を挙げ、手の平を開くと、今にも消えてしまいそうな弱々しい輝きを持つジュエルシードがあった。
 力を使い果たしたようにも見えるそれは、小さな輝きさえ消えると鮮やかな青から灰色へと変化し砂のようなものになって崩れていった。





 話の内容如何によっては、まだ触れ回るべきではないとメンバーを厳選しアースラ内の会議室で話を聞く事となった。
 メンバーはアースラから艦長であるリンディと執務官であるクロノ、記録係であるエイミー。
 そして友人と言う関係となるフェイトとアルフにユーノ、さらに篭っていた部屋から無理やり連れてきたなのはである。
 何日もまともに食事を取っていなかったなのはの顔色はかなり悪かったが、僅かな希望を前に少しだけ朱がさしていた。
「とりあえず、聞かせられる人はこれぐらいかしら。残りは話を吟味した結果、私から通達する事にしましょう。アリシアさん、でよろしいですか?」
「アリシア・テスタロッサと混同しますので、今この場ではゴールデンサンで結構です」
 あくまでもアリシア・テスタロッサではないと主張する少女へと、不安と希望を抑えきれずなのはが尋ねた。
「あかね君が生きてるって本当ですか? 一体何処にいるんですか?!」
「ここに、彼は生きています」
 ゴールデンサンが胸元を押さえて呟いた。
 その行為の意味する所を勘違いした数人が明らかな落胆を見せ、なのはは逃げるように駆け出そうとした。
 一瞬早くそんななのはの手を掴んだのは、クロノであった。
「全てを聞く前に結論を急ぐんじゃない。あかねは死んでもいなければ、彼女も恐らく嘘もついていない」
「だって、信じられないよ。いきなりやってきて生きてるって。見ちゃったのに、あかね君が落ちていく所をこの目で!」
「落ち着いて。彼女が信じられなくても、クロノは信じられるでしょ。クロノを、それに生きてるかもしれないあの子を信じてみよう」
「フェイトちゃん……わかった。もう少しだけ、信じてみる」
 少しだけ落ち着きを取り戻したなのはが座りなおす。
 両側からクロノとフェイトが気遣い、大丈夫だと判断したリンディがゴールデンサンの正体について言及する。
「デバイスにはインテリジェントタイプとは別に、意志を持つデバイスが存在します。一般にユニゾンデバイスと呼ばれる希少なデバイスです。恐らく彼女、アリシア・ゴールデンサンはユニゾンデバイスであり、現在あかね君とユニゾンしています」
「お察しのとおりです。全て順を追ってお話します。時の庭園崩壊時、アリシアの肉体と大空あかねは高次元空間に投げ出されました。ゴールデンサンが大空あかねの魔力を使い二人を守りましたが、虚数空間を前にそれは無意味でした」
「虚数空間は全ての魔法がデリートされる。なのはたちには一度説明したが、一度落ちれば二度と這い上がれない」
 説明を補足したクロノへと、ゴールデンサンが頷く。
「防御魔法がデリートされ、まずアリシアが虚数空間へと飲み込まれました。続いて魔法装置であるゴールデンサンが虚数空間の影響を受け破壊され、大空あかねもまた虚数空間へと飲み込まれました。ですが彼はその手にジュエルシードを持っていた」
「じゃあ、それを使ってあかね君は」
 本格的にあかねの生存に希望をみつけたなのはが尋ね、確かにゴールデンサンは肯定を示すように頷いていた。
 だが全て事が良い方向へと運んだわけではなかったようだ。
 もしもそうであれば何時までもユニゾン状態であるはずもなく、皆にあかねを会わせられない理由を口にした。
「彼は自分よりも破壊されたゴールデンサンとすでに死亡しているアリシア・テスタロッサを虚数空間から助け出す事を優先させ、ジュエルシードに願った。けれどアリシア・テスタロッサはもとより、ゴールデンサンの復活も難しかった。だからジュエルシードは両者を使い足りない部分を補い、ユニゾンデバイスを作り上げた」
「確かにジュエルシードには使用者の願いを勝手な自己解釈で叶える事が多々あった。子猫の大きくなりたいと言う願いを、体が大きくなるって自己解釈したこともあったし、共にいる事を願った恋人たちには、誰も邪魔しない空間を無理やり作ろうとした」
 ユーノの思い出したような台詞に、そんな事もあったとなのはが頷いていた。
 そのおかげで子猫は建物よりも大きな体を手に入れ、男の子と女の子を包み込むように大樹が一つの街を飲み込みかけた。
 願い事の食い違いどころではない差異が生まれてしまっている。
「最後に大空あかねは自分自身の脱出を願いましたが、一度願いを叶えた事でジュエルシードの出力が足りなかった。望んだアースラではなく、別世界に飛ばされた大空あかねの肉体は激しく損傷。最後にジュエルシードはその肉体を癒す為に肉体の時間を部分的にまき戻しました」
「それはまた中途半端な事をしてくれたものね。障害が残ってなければよいのだけれど。どれぐらいの期間なのかしら。場合によっては彼は……」
「一度は失った左腕までも修復されましたが、ここ一、二ヵ月の記憶までもを失っている可能性があります。下手をすれば彼の記憶の中には、高町なのはを除いて誰一人として残っていません」
 ある程度予想していたリンディやクロノらはやはりと表情を沈ませる程度であったが、なのはやフェイトらにとっては余りにも残酷な言葉であった。


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