注意:このSSは『魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate』無印編終了後から、しばらくしてからが時間軸となっています。
『アリサは「To a you side」の「宮本良介」とのカップリングしか認めん!』という方はご遠慮ください。
魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate
EXTRA Stage1 「バツ」
Side -ARISA-
あたしは今、自分の家で犬のブラッシングをしている。
あたしは犬好きなため、よく犬を拾ってしまうのだが、現在の犬の種類はペットショップに匹敵するほどまでになった。
(うーん・・・あまりしたくないけど、誰かに貰ってもらわないとダメかも)
当然だが、保健所は論外。
やる以上はあたしが審査して、可愛がってもらえる人に貰ってもらうつもりだ。
まぁ、当分は大丈夫だろう。まだまだ、余裕はあるしね。
「さて・・・と。有能な執事のお茶でも飲むとしますか!」
あたしは最後のブラッシングを終え、自分の部屋にもどった。
――そこには、あたしのクラスメートである『衛宮士郎』が『執事服』を纏い、お茶を淹れていた。
うむ。やはり何度見ても似合う。
大口開けて笑ってしまいたいくらいに。
「・・・何か言いたいことでもありますか?」
実にいい笑顔だが、目が笑っていない。
だが、あたしは躊躇などしない女なのだ。
「ええ。とてもよくお似合いよ。その従僕スタイル」
びしっ! と空気が固まったような音がしたが、問題ない。
これくらいの緊張感の方が楽しい。こいつが人をからかう時の気持ちが分かるというものだ。
「さようですか。お褒めにあずかり恐縮です」
空気こそ固まっているが、ポーカーフェイスを保っている。なかなか。
「ええ。では、今日一日よろしくね」
あたしは、この天才似非執事こと衛宮士郎のことで、昨日のことを思い出していた。
* * * * * * * * * * * * *
「あたしの家に脅迫状が届いたわ」
あまりにも簡潔な一言だったと思う。
しかも、お昼時に話すことじゃなかったと、今でも思っているし。
『へぇー・・・って、ええっ!?』
なのはとすずかのわかりやすいリアクション。うん。驚きを表してくれてありがとう。
・・・で
「・・・なんであんたは何も言わないのよ」
そこにいたのは、あたしたちのグループで唯一の男子である、衛宮士郎。
家事万能、文武両道、雑学王、にぶちん大王と呼ばれる男である。
「うん? いや、お金持ちの人の家に脅迫状が届くのは別に不思議じゃないだろう? 俺の知り合いの女性だって、 脅迫状が一日に最低でも10通は届くって聞いてるし」
うん。一度、こいつの中の常識を全部洗い出してみたいわ。
っていうか、どういう人間関係を構築していたんだろうか。ただ、士郎の言いたいこともわかる。
「アリサの家は大きい企業の社長だろ? だったら手紙が届く前にある程度、処理させたりとかできるはずだろ?」
「まぁ、多かれ少なかれやっかみの対象だしね。対策は取っていたわ」
「・・・なんでそんなに当たり前っていう顔して、話を進められるの?」
なのはが何か言っているが、今は答えない。
「でもね・・・それでも届くわよ。少しはね」
「まぁそうか」
「それよりも・・・なんでこんな時間にそんな事を話したの?」
すずかの疑問。折角の楽しい一時に、水を差してしまったことを暗に攻めているのだろう。
「すずかだって驚いたのは、こんな時間に話したことに、でしょ」
「うん。うちも少し心あたりあるし・・・」
こう言うとなんだが、お金持ち特有の悩みなのだろう。
「あ、なのは。うちは安心しろ。全くないどころか、逆にファンレターが届くくらいだから」
「よかった」
ええい。ほのぼの空間を作るな。
とにかく、軌道修正と。
「そうね・・・あたしも言うつもりはなかったんだけど・・・」
「・・・言わないといけないような事態になったってことか?」
色恋沙汰には鈍いくせに、こういう時はするどい奴。
「そういえば・・・今日だけど少しよそよそしかったよね」
「うん・・・そういえば」
「そうだな。隣の鈴木くんが『ツンデレボイスが聞こえない』ってぼやいていたから、アリサ用の秘密の言葉を教えてやったのに、イマイチ反応が鈍かったしな」
「あんただったのか!? 教えたのは!?」
鈴木くんは午前中にあたしに対して、おちょくりの言葉を投げてきたのだが、あたしは反論する気力すらなかった。
ちなみに内容は秘密だ。この前のオリエンテーションでの肝試しの醜態のことだったりしたので、思い出したくない。
ちなみに、このおちょくりの言葉は女子で同班だった子と僅か数名の男子(一人は当然こいつ)しか知らないことのはずなのだ。
こ、ここここ、こいつだったのかー!!? (怒りが再燃した)
「あー・・・悪かったって。あの時にあれ作ったけど、正直やりすぎたと思ったんだけど、ノリがよくてな。もう、全員がハイになってたんだよ」
「誰も理由なんて聞きたくないわよ!? っていうか、やっぱりあの悪趣味な仮装は全部あんたの仕業かー!?」
今、明かされた驚愕の真実。
オリエンテーションの仮装は、全てコイツのお手製だった!!
「でもな・・・まさか、も・・・」
「こ、これ以上言うと、マジ殺す! 殺すから!!?」
士郎の首をあたしは揺さぶった。
本当に心底悪そうな顔して謝るくらいなら、なんであんなの作ったんだぁーー!?
「あ、アリサちゃん・・・そ、それよりも脅迫状のことは?」
「そ、そうね・・・最近、家に不思議なことが起こるのよ」
「不思議?」
「そう。ガスが漏れそうになっていたり、シャンデリアのワイヤーが外れかけていたりとか、そんな感じのがたくさんね」
他にも、色々あるが省略する。
とりあえず、腕も疲れてきたし、士郎の拘束も解除する。
「しかも狙ったように、あたしがよく通る道や部屋に重点的にしかけられているわ。この前なんか鮫島が蹴り飛ばさなかったら、怪我してたわね」
「それはまた作為的で人為的だな。だけど、あの家の警備はすずかの家と比べられないけど、それでも相当だぞ? 鮫島さんだって強いし」
「うん。やっぱり鮫島って強いわね・・・レンガが飛んできたのに、確かステップ踏んで、的確に蹴ってたわね」
「なるほどね」
感心したように、士郎がコメントしている。
そういえば、士郎はこの前遊びに来たとき、色々話し合いをしていたっけ。
「だから、なるべく近づかないようにしてたのか」
「そうなんだけど・・・」
だというのに、あたしのこと捕まえて屋上に連れてくることないじゃない。
しかも捕まえ方が、あの『赤い布』だし。
「ま、動いているんだろ。だったらすぐに捕まるんじゃないか?」
「だけど・・・やっぱり不安よね」
ほとんどの人間がいないということは、人自体がいないということだ。
つまり、身を守る手段が限られてくるのだ。
まぁ、そのために信頼を置く人だけを残しているのだろうが、それでも不安だろう。
「で、鮫島さん以外の現在の護衛は?」
「鮫島だけよ。まぁ、普通のボディガードと比べても安心よ。確か2ヶ月位前は5人同時に相手してたし」
「まあ、当然か。体つきと立ち方から考えて、たぶん空手・・・しかも古流空手を使ってて、かなり強いし」
「・・・なんであんたはそんなのがわかるのよ」
「みれば分かるだろ?」
わかるか、ばか。
なのはやすずかも同じような顔をしてるわよ。
・・・そうだ
「ねぇ、士郎。頼みがあるんだけど」
「なんだ?」
「休日なんだけど、泊り込みであたしの護衛しない?」
「いいぞ」
あっさりと返事するお人好し。
なのはとすずかが固まったが、最強の護衛がここに誕生した。
・・・って、いうか親友’Sよ何を想像した?
* * * * * * * * * * * * *
ま、そんな感じだったのだが、あの後再起動したなのはとすずかがあたしに食ってかかったため、それをいなしたりしたが・・・
(この朴念仁は何もしようとしないし)
いい加減、気付いてもよさそうだが、まだ気付かないか。
おかげで、フェンスまで下がっちゃったわよ。
「で、俺は護衛していればいいのか?」
「そうね・・・できれば、対策も考えてほしいけど、そっちはできたらでいいわ」
「了解した」
そう言って、紅茶とお手製のフルーツタルトを用意している。
・・・本当に怖いくらいに違和感がないわ。
「あんた、ホントに何してたのよ」
「色々さ。語るも涙って感じだな」
そう言うが、飄々としすぎているため、イマイチ本心がわからない。
「ま、いいわ。頼りにしてるわよ」
「まかせとけ」
実際、こいつより強い奴ってどこにいるのだろうか。と真剣に謎に思うくらいだ。
以前、あたしたち全員でこの家に遊びに来た時は、お父さんがはっちゃけてくれて、専属の護衛官1名を連れてきて、士郎を追い出そうとしたが、見事に一蹴したのだ。
(聞いた話では、護衛官は空手、柔道、剣道など全ての段を合わせると、10を超えるらしい)
今日だって、猛るお父さんを強引に寝かせたし。(後頭部に打撃ってよく効くのね)
「ところでアリサ」
「なによ?」
「マジメな執事がいいか? それともからかうことを前提とした執事モードとどちらがいい?」
「真剣な顔で何考えてるのよ!?」
こ、こいつは・・・
なのはやすずか、他のクラスメートには普通なのに、なんであたしにだけこんな状態になるのだろうか。
「聞いておくわ。なんであたしにだけこんな・・・からかうことを前提とした会話をするのかを」
「だって、俺の中ではぶっちぎりで、からかうとおもしろいやつNO.1だからな」
こいつを合法的に痛めつけることはできないだろうか。・・・無理だなぁ。
ええい・・・口でどうにか勝ってやろうじゃないの。
「ふーん・・・そんなにあたしのことを特別扱いするなんて、気があったりする?」
今のあたしができる笑みを浮かべながら言ってやった。
好きな女の子にちょっかいを出す男の子は結構見るから、その方面で斬りこんでみよう。
「え? 当然アリサは可愛いと思ってるし、俺は好きだぞ?」
・・・ダメだ。顔が赤くなる。凄く恥ずかしいし、おもいきり失敗した。
そうだった。こいつは無自覚でこういうことが言えるエキスパートだ。
だから、士郎は結構人気あるし、しかもその好意を寄せている女の子は所謂美人さんばかりだ。
なのは然りすずか然り、他にも色々・・・
あたし? ・・・ま、まぁ、友達として付き合うなら歓迎するわよ。
「そ、それはともかく・・・なんであんたはあたしのことをからかうわけ?」
「顔が赤いぞ。大丈夫か?」
「い、いいから! 質問に答えなさいよ!」
士郎がうーん。と悩む。
「似てるからかなぁ、友達に」
「似てる?」
「ああ。格好よくて鮮やかなところとか、ガンガン強気な性格で引っ張っていくところとか、迂闊なことをいうと打撃がくるところとかが」
最初以外は褒められている気がしないのだが・・・
だが、心底懐かしむような顔をしており、ちょっとだけ胸が痛んだ。
「で、だ。そいつの隣に従者がいてな・・・口にはしなかったけど、羨ましかったからな」
今度は実に複雑そうな顔をしている。なんていうか、認めてるけど認めたくないとかそんな感じの顔だ。
「なんとなくアリサに重ねてるんだろうなぁ。こんな関係になってみたいって」
・・・ふーん。ま、まぁ許して・・・あれ?
「・・・って、その従者そんなにからかっていたの?」
「いや、そこまでひどくはなかったと思うな。そこらへんはアレンジして、俺が楽しい方向に持っていってるだけだから」
あははは・・・決定。
「うん・・・死ねー!!」
我ながら人生最高の飛び蹴りだ。
・・・士郎は転がりながら、視界からフェードアウトした。
* * * * * * * * * * * * *
気にしたそぶりもなく、立ち上がり普通にお茶を淹れている。
「親父が手招きしてたよ」
「あんたのお父さん、死んだって聞いたけど?」
「死んだけど、元気みたいだ。毎回のことなんだけど、生前見たことがないような、凄いイイ笑顔で女性の肩を抱いてるんだ」
この子にして、この親ありか。
っていうか、そんなに臨死体験してるのか、こいつは。
「そ。まぁ、今日一日がんばりなさいよ」
の台詞と共にドアがノックされた。
「どうぞ」
「失礼します」
入ってきたのは、あたしの専属執事である鮫島だ。
お父さんが直々に挨拶に行ったほど惚れ込んでいる人物であり、極めて優秀な人だ。
「お嬢様。士郎様・・・本日は塾の特別講習が入っていますが」
「当然行くわよ。士郎も一緒にいくわよ」
「当然だろ。何かあっても、絶対に守るからな」
うーん・・・ま、まぁ嬉しいんだけど、もうちょっと言葉を選んでほしい。
だけど、これがないと士郎じゃないしなぁ・・・
* * * * * * * * * * * * *
移動中にも、あたしは士郎のからかいを受けたりしたが、それ以外は概ね順調だ。
それに士郎は色々と気が効いて、鮫島の連絡先を確認したり、家の非常回線の電話番号も聞いたり、必要な情報は洩らさず聞くのだ。
はっきり言って、手馴れている。・・・不自然なほどに。
まぁ、それはともかく、あたしは塾にて特別講習を受けていたのだが・・・
「ねぇねぇ・・・あの子どうしたのかな?」
教室の後ろで見学している、あたしの1日執事はどうにかならないでしょうか?
同級生もいるため、士郎の所在はもう知れているのだが・・・
「士郎くん。似合うねぇ」
「・・・あはは。ちょっと複雑だよ」
その同級生に執事服姿を褒められている。
・・・あたしからすると、笑いの対象でしかないんだけどなぁ。
「ねぇねぇ・・・わがままなお姫様よりあたしの執事にならない?」
などと、あたしの感情を逆撫でする女までいるし。
ことあるごとに突っかかってくる少女で・・・あれ? 名前なんだっけ?
まぁ、いいや。
家も結構大きいところで、名前は聞いた覚えがあるんだけど。
士郎との縁については、色々手伝っているのでその関係で親しくなるのだろう。
「ん? アリサは別にわがままじゃないぞ?」
「大変ねぇ。わがままなご主人様だから、そう言わないといけないんでしょ?」
こいつがどう思ってるかはよくわかったわ・・・
「そりゃ、アリサは言い方がきついところがあるけど、それでもムチャはいわない娘だ。だから、そんなことは言わないでほしい」
「・・・ふん。あ、そう」
と言って士郎から離れて、あたしのことを睨んで去っていった。
・・・あんたはどこまでフラグ立ててるんだ。と声を高くしてツッコミたい。
「ふん。お世辞はいらないわよ」
「え? お世辞のつもりなんてないぞ、俺。それにアリサがわがままだったら・・・」
なぜか士郎が体をブルブルと震わせて・・・
「い、いやなんでもない。なんでもないんだ?」
「・・・あんたは誰のことを思い出してるのよ?」
士郎は首を横に振って、元の場所に戻っていった。
・・・あいつがあそこまで恐怖する存在って一体?
* * * * * * * * * * * * *
で、講義が終わって、あたしたちは地下の駐車場に向かったが、まだ鮫島は来ていないようだ。
メールで確認したが、交通事故があったらしく、渋滞しているらしい。
「・・・どうやらお客さんのようだぞ」
「え?」
士郎が何か言ったのだが、あたしは意味を掴めなかったのだが
「へっへっへ・・・悪いけど、お嬢ちゃんはこっちに来てくれないかい? ちなみに拒否権はないぜ」
「坊主はとっとと消えな。死にたくなかったらな」
などと非常に悪役チックな台詞を吐いている。
だけど
(やっぱり・・・恐い)
こいつらに捕まったら、何をされるのだろうか?
それに人質なんかになったら、殺されちゃうんじゃ・・・
そう思うと、体が震える。だが、
士郎が手を握って
「大丈夫。俺が守るから」
と言って、微笑んでくれた。
「おーい・・・なに、ラブコメっちゃってんの、このクソガキども」
「クソガキはあんたらだろ? 普通に未成年のくせに」
「・・・なぁ・・・この生意気なガキ殺しちゃおうぜ。あと腐れなく殺して、俺たちもプロだって認めてもらおうぜ」
や、やっぱりダメだ。
いくら士郎が強くても、相手は6人もいるのだ。
しかも、今はあたしの手まで握っているのに。
だけど、士郎は
「いいからこい。三流」
などと挑発した。
「ガキがぁぁぁぁっ!」
絶叫を上げながら、士郎にストレートパンチが向かっていった。
よく見えなかったけど、間違いなく何か格闘技をやっているようだ。
あたしは眼を瞑ってしまったが
「遅いぞ・・・これなら、バゼットのストレートの方が100倍以上速い」
という、呆れた声が響き
ストレートを仕掛けた男がグラッと倒れた。
「えっ?」
男はあっさりとコンクリートの地面に沈んだ。
「な、何をしやがった!?」
「いや・・・普通にストレートだったから、カウンターで顎の骨を折っただけなんだけど」
などと聞いて、男たちは騒然とし
「驚く前に自分のガードを固めろ」
と言って、近くにいる2人を瞬殺した。
いや、あの・・・今、目の前にいたよね?
動き出す瞬間さえ見えず、声がしたから動いたのに気付いたんですけど・・・
そして、あたしの前に戻ってきた。
「うん。大丈夫。こいつらアマチュアだ。1分で片をつけるから、離れるなよ」
あたしは頷くことしかできなかった。
ちなみに結果はというと、1分かからずに全員が地面にキスすることになった。
・・・いや、あんたホントに何者だ?
「え・・・恭也さんだったら、あと10秒は早く倒せるぞ」
・・・どうもあたしの周りにはとんでもない人たちがいるらしい・・・
と思っていたら
ドン!
と、あたしの胸部を思い切り突き飛ばした士郎がいた。
そして、何かが空を切って飛んでいった。
「ひ、ひひひ・・・て、てめぇ・・・何者だ!?」
「やっと出てきたな。もう少しタイミング計った方がいいぞ?」
などと言う士郎。
こいつ・・・隠れてた人まで気付いてたの?
士郎は落ちていたナイフを拾い
「い、いくらテメェでも銃には勝てねぇ!」
「よっと」
と言って、ナイフを投げ銃を叩き落とした。
「あ、あれ!?」
士郎は音もなく近づき、掌を体に付けた。
「ふんっ!」
地面を思い切り踏みつけたせいで、コンクリートの部分が沈んでいる。
同時に銃を構えていた男が崩れ落ちた。
「悪いが、当分立てないぞ。強めに打ったからな」
「――お見事ですな」
と言って、後ろを見ると、少し離れたところに鮫島が立っていた。
「あ、鮫島。こいつらなんだけど・・・」
「ええ。誰が依頼人かを確かめたいと思います」
「いや、それなら今すぐ聞けるじゃないか・・・あんたとかさ」
士郎も会話に混ざってきた。
ってはい?
「ちょ、士郎?」
「アリサ。この人、鮫島さんじゃないから」
「何を・・・」
「疑問持ったのは、この前のアリサの話の時。古流空手使う人間がステップ踏むことってあまりないからね。これで違和感を持った」
士郎は指を立てる。
「で、今日教えてもらった鮫島さんのメールアドレスなんだけど、俺が知ってるのと微妙に違うんだよね」
そういえば、前に遊びに来たときがあったけど、その時に情報交換でメールアドレスを交換してたのか・・・うん?
「ちょっと・・・あたしメールでやり取りしてるから、それはないんじゃない?」
「いや、メールアドレスなんだけど、アドレス帳に登録されている名前で普通表記されるだろ?
それに変わっているといっても、間の文字が一文字変わっているだけなんだ。よーく見ると、違うんだ」
そういって確認したが・・・
う。ホントに一文字だけ変わってる。分かりづらいように『O(オー)』の部分を『0(ゼロ)』にしているのだ。
・・・最大の謎は、いったい、あたしの携帯に登録しているメールアドレスを確認したのだろうか? この男は。
「で、俺は本人のメールアドレスにメール送ったんだけど、実家の都合で休暇取ってるそうだ。じゃ、あんた誰?」
「・・・ふん。思わぬ所で伏兵がいたな」
声が非常に若々しくなった。
「ま、これでアリサの家の裏切り者にも目処がついたな。鮫島さん専属の総務の人間がいるみたいだから、まずはそいつだ。本邸勤務らしいし」
「ふん。全く予想を超えているよ。こんな子供に邪魔をされるとはな!」
そして、非常に苦々しい顔をしている、鮫島偽。
「で、どうするんだ? このまま戦うか。それとも逃げるか? どっちだ」
「ふん・・・当然」
そういって、身構える鮫島偽。
「逃げるに決まっている!」
と言って踵を返し、出口へ向かった。
・・・って、え?
「な、なんで!?」
「ふん。正直、悔しいがその小僧の実力は次元が違う。ならば逃げる!」
「・・・まぁ、正解かもしれないが・・・逃げないほうがよかったぞ」
「え?」
鮫島偽が駐車場を出た。
「・・・どういうこと?」
「いや、犯人が誰か分かっているのに、報告しないわけないだろ?」
「・・・じゃぁ」
「ああ。鮫島さん経由でデヴィットさんには連絡済。すぐに捕まるよ」
ふぅ・・・じゃ、これで一安心か。
でも、まさか銃まで・・・ん?
「そ、そういえば・・・」
「ん? どうした?」
「し、死ねー!?」
飛び蹴りを放つ。
またしても、史上最高の一撃が飛び出した。
「な、なにすんのさ!?」
「う、うっさい!? あ、あんた突き飛ばした時・・・む、胸触ったでしょ!?」
「な、何言ってんだ!? 相手がいつ飛び出すかわかんなかったし、場所選んでる余裕なんてなかったんだよ!?」
「そ、それでも触ったでしょ!? この女の敵!!」
「んな!? ま、まだどっちが前か背中か判別できないくせに! ・・・・・・あ」
あたしは周りの声が全て聞こえなくなった。
士郎はとっても顔を青褪めさせている。ふふふ・・・
「ま、待て。い、今のは俺が悪かった。こ、ここは誠実に話し合いを行い、平和的な方法を取りたいのですが、どうでしょう?
暴力的に解決するなんて、以ての外! だ、だから誠実に話し合いをしましょう。しません? できません? ごめんなさい!」
あたしは最後まで言い終わったのを見て、空中に跳躍した。
* * * * * * * * * * * * *
で、あたしは今学校に向かおうとしている。
あたしの親友であるなのはやすずかも一緒だ。
だが、二人は現在あたしたちを睨んでいる。いや、正確にはあたしの隣にいる人物をだ。
「なぁ・・・アリサ」
「なにかしら」
「これはいったいなんなんだ?」
あたしは士郎と手と手を取り合っている。
そして、現在登校中である。
「あら・・・乙女の心をあれだけ傷つけたのよ。当分は滅私奉公をしなさい」
そうなのである。こいつはあたしの心を傷つけた。
だから、バツを与えている。
うん。バツっばらバツだ。
「だけど、守ってくれたのも事実だから、お礼も兼ねているんだから」
士郎はなのはとすずかにスゴく睨まれているし、周りの男子からも睨まれている。これはバツ。
だけど、あたしのような可愛い女の子に手を繋がれているんだから、お礼でもあるのだ。
「今日から1週間はこの登下校をして、1週間お弁当作って、それ以外でも放課後も家事手伝いしなさい」
なのはとすずかの睨む力が強くなった。士郎は顔を青褪めさせている。
「ちなみに桃子さんに許可もらってるわよー」
ふふ。そう。これはバツなんだから。
タイガー道場!! EXTRA STAGE編
注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
拒否反応がある方は読まないでください。
イリヤ:さーて・・・やってまいりました。EXTRA STAGEこと短編集・・・本編進めろよ(ボソッ)
大 河:はーい。ブラック禁止。本編では『Fate』キャラを連れてきましたが、
こっちでは『リリカル』または『とらハ』キャラを連れてきます。
イリヤ:では! 1回目のゲストは!
大 河:ゲームでは「随一の癒し系」。だけど、アニメでは『魔王様』!な高町なのはちゃんでーす。
なのは:・・・ちょっと、頭冷やそうか?
大 河:やれるものなら、やってみなさい!(虎竹刀を構える)
1分後
なのは:きゅ、きゅぅぅー
大 河:ふ。時空管理局の未来の『魔王様』の出力をも上回るこの私・・・まさしく最強の存在ね!
イリヤ:さ、最強っていうか・・・理不尽なだけだとおもうんですけど・・・
大 河:細かいことは気にするな! さて、今回の短編ですが
イリヤ:時間軸については、冒頭に記載されていますが、もう少し詳しく記すとだいたい9月の中頃です。
なのは:うう・・・ちなみに第1期が解決するのは、6月の初めくらいなので、約3ヶ月が経過している計算です。
イリヤ:それにしても・・・相変わらずフラグ関係の台詞が自然にでてくるわね・・・
なのは:し、士郎くんは・・・その、学校でも今とあんまり変わってないから
大 河:まったく。あの無自覚フラグ乱立男は・・・少しは女の子の気持ちも考えなさい!
イリヤ:で、聞きたいことがあるんだけど?
なのは:な、なんです?
イリヤ:アリサとすずかのフラグはどうやって立てたか、知ってる?
なのは:え、えっと・・・い、一応話は聞いたことがあるんだけど・・・詳しくはやっぱり知らないです。
大 河:じゃぁ。なのはちゃんは?
なのは:え、えーーー!!?
大 河:まぁ、間違いなく、きっかけは第4話だと思うんだけど・・・どう?
なのは:え、えっと・・・
イリヤ:ちょ、ストップ。ストーップ!
大 河:何よ? イリヤちゃん
イリヤ:あ、あまりツッコムと本編にも支障が出ちゃいますよ! だから、この話は終わりです!
大 河:ちぇ・・・もっと聞きたかったのに・・・
なのは:あ、あの。逆に知りたいことがあるんですけど
イリヤ:なに?
なのは:し、士郎くんって・・・やっぱり女の子に人気あったんですか?
イリヤ:それは間違いなく。あたしもその一人だし。
大 河:あたしは恋愛感情はないけど・・・そうね。あたしが把握してるのは5、6人だけど、他にもいそうね
なのは:や、やっぱり・・・
大 河:ま、ライバル多いけど、頑張りなさい。
イリヤ:あとなんで、アリサのEXTRA STAGEが作られるようになったか、ダイジェストをお送りします。
それは、ある日のこと。友人と昼食を取っている日のことだった。
「やっぱさ。(中略)だよな」
「ああ。(中略)」
「そういえば・・・リアルでツンデレっているのかな?」
「一言だけ教えてやる・・・リアルのツンデレなんて、萌えられるわけないだろうが!」
友人の力説が入りました。
ちなみに、その力説で店内の視線を釘付けにしました。
そして、友人の説得により今回の話は作成されました。
大 河:え? これ実話?
イリヤ:細部は違うかもしれませんが、流れはこんな感じです。どうしても、ツンデレキャラのSSが読みたいと説得されました。
なのは:うわぁ・・・・
イリヤ:このダイジェストがもとで、リリカルのツンデレ代表候補であるアリサにスポットライトが浴びせられたのでした。
というわけで、EXTRA STAGEはこれにて終了です。それでは、また会いましょう!
後書き
とりあえず、短編集のアリサ編でした。
道場でも言っていましたが、本編進めろよ、というツッコミは無しの方向でお願いします。
そして、ダイジェストは概ね事実です。
Web拍手ですが、最新話を投稿した後に、掲載している話の拍手を頂いています。ご了承ください。
では、以下は拍手の返信です。
・<士郎はさすが!!って感じにフラグ立ててますね〜w続き楽しみに待ってます
まったくです。士郎ならいいそうな台詞をチョイスしてみました。まぁ、アーチャーの台詞を士郎Verにしたりもしましたが
楽しみにしてくれて、ありがとうございます。
・<露出が少なくなったのは士郎のせいか!士郎、訂正するんだ!!「今のBJ可愛いぞ」とか!そうすれば・・・
士郎のせいです。訂正しても、『かわいいけど・・・周りの人にも見られるぞ』とかいいそうです
・<はやてと出会った・・・これはA’sに続くということか!?なかなか良い感じです。
A’sに続きます。STSは分かりませんが、A’sは確定です。このまま良い感じが続くように頑張ります。
・<キターーフェイトフラグキターーーーあなたは神だ、最高だ
フェイトは1期中に成立させたいので、進行を早めにしてます。神はちょっと褒めすぎですよ
・<やっぱいいですねぇ〜フェイトちゃん。可愛いです
わたしの中で、フェイトは一番の萌えキャラです。だから、一番愛着ありです。
・キターーーフェイトキターーー是非フェイトフラグを てか士郎紳士だねぇ(そこがいいとこだけど)
士郎は基本紳士です。ただし、思ったことをそのまま言ってしまう悪癖があるため、それで紳士と見做されません。
加えて、ギャグ属性が増加しているのが『iseizin式』です。
作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル、投稿小説感想板、