魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate
Stage13「決着」
side - Emiya Shirou -
俺は『聖骸布』を投影し、羽織る。
これは俺の魔法防御力を補う、最良の選択だからだ。
(さて・・・どうでるかな?)
クロノは俺を見据えながら、慎重に事を進めようとしているようだ。
なのはから事前に聞いていた、クロノが言っていた強さの定義を思い出す。
クロノは昨日、なのはに魔力の大きさは絶対の要素ではないということを話していた。
俺もそれは同感。魔力だけがあったって、勝てるとは限らない。
だが、逆にそれを本気で行っている以上、クロノはそれを理屈ではなく体で理解しているということ。
―それだけ、実戦に関わっていることの証明なのだ。
(・・・あんまり認めたくないなぁ・・・俺は)
クロノを批判するわけではない。だが、それでももっと普通の道を選べなかったのだろう?
そう思わずにはいられない。
(・・・と、集中集中)
先程の続きだが、相手の魔力が俺の10倍あっても、相手の防御が手薄の時に最大威力の攻撃を叩き込めば、それで勝ちなのだから。
無論、それで確実に勝てるとはいえないが、それが最も確実な近道だ。
(クロノはそれが分かっている・・・だけど、まだ足りないかな)
そう。応用力と判断力は大事だ。だが、それ以外にも勝つための要素はあるのだ。
沢山あるが、今回上げるのは情報戦。
俺とクロノとの戦闘で与えた情報、戦闘時の会話。そして、なのはとクロノたちで行われた会話。
それらから判断した情報を基に戦略を練っていく。
その都度修正は必要だが、俺の基礎戦略は元々多くない。
だからこそ、戦略が必要なのだから。
さぁ・・・封殺してみせようか。
interrude
両者は隙を探している。クロノの目からは隙が見当たらない。
クロノは相手の体術が自分よりも勝っているのはすでに確信している。
なら、自分が見つけられる道理はない。と思考していた。
同時に、紅い外套を羽織った少年―士郎のことだ―から感じる威圧感は増している。
(ならば、動きながら隙を見つけるだけさ)
この硬直した状況を打開する策は見付からない。
思索の時間をもう少し取りたいが、それでは逆にこちらが動きで対処できないこともクロノは肌で感じる。
一方の士郎から見れば、僅かだが隙がある。これも内心で思っていた。
「スティンガースナイプ!」
放たれるは蒼白き魔弾。数は4発。
それを士郎は見据え、即時黒鍵を投擲する。
クロノもここにはいない観客も相殺されることを知っている。
だからこそ、驚きが走る。
「火葬聖典!」
激突と同時に爆破する黒鍵。それと同時に士郎の体勢が地面にくっつくと錯覚させるほどにまで体を前傾させられたのだ。
(目晦まし!)
先刻自分がしたことと全く同じ事をやられた。
一瞬の動揺だが、一瞬で戻したことも流石。
この動き自体は予想していないわけではない。
(そうだ・・・さっき言っていた事が事実なら!)
クロノは先程伝えられた『遠距離戦の情報』について、内容の全てを信じていない。
だが、クロノ自身の見立てで『士郎との接近戦は100回やっても勝てないだろう』ということは推測している。
ならばこそ、士郎が接近戦にくることは読めていた。
すでに右方にいるのはわかる。
ただの空気のはずが今は圧迫感さえあるのだから。
士郎は右拳をまっすぐに打ち出した。
クロノは障壁を張り防御し、体の体勢を変えて、杖を振り回す。
だが、その杖を難なく避けられ、足払いが放たれる。それを魔法を使用し空中に浮く。
士郎は反動しながらショートアッパーを放った。
クロノは笑みを浮かべる。
――予想通りだ
なのはと行動していた以上、魔法は砲撃が主という思考をとっているはずだ。
フェイトという娘の魔法をクロノはよく知らないが、砲撃と速度に特化した魔導師だと分析している。
だからこそ、純粋な意味での接近用魔法をしらないのではないか? という推測をクロノは立てていた。
そして、士郎の接近戦の練度からして、目では見えないと思っていた。
だが、接近戦のパターンを推測したからこそ、クロノの行動は迅速だった。
「ブレイクインパルス!」
零距離射程で放たれる魔法。
クロノが持つデバイス『S2U』の先端から振動エネルギーを打ち出す魔法である。
クロノは『S2U』を突き出す。
だが、クロノはその自分の見立てが甘かったことにすぐに気付いた。
士郎はショートアッパーの体勢から即座に『干将・莫耶』を投影する。
双剣の刃を当てずに『S2U』の中央部に絡ませ、そしてそのまま腕を振り上げた。
クロノの腕が跳ね上がり、無防備な胴体部が士郎の眼前に広がった。
(ま・・・!?)
クロノは悪寒を感じ、士郎は追撃の体勢だ。
(・・・ず・・・!?)
士郎の手から『干将・莫耶』が消え、左手が鳩尾に添えられる。
(・・・・・・い!?)
感じる悪寒は圧倒的なまでに増えていく。
だからこそ、クロノは
自分も巻き込みかねないほどの近さで、魔法をわざと暴発させた
腹部の衝撃と爆破は同時だった。
そして、後方に転がりながら体勢を整えた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
クロノの胸中は穏やかではない。不意を突いたと思った。
だが、士郎から見ればそれは小細工でしかないという事実。
そして、100回どころか恐らく1000回でも勝てるかどうか分からないほど、腕が離れているという現実にだ。
さらに今の攻撃、バリアジャケット越しに衝撃が来た。
どういう原理なのか見当もつかない。
クロノの中の冷静さはまた一つ削られた。
「なるほど・・・わざと暴発させて、咄嗟に防いだか。危ないな」
平然とした声が響く。右手には先程現れた外套を巻きつけている士郎がいた。
左手からは血が垂れている。
あの一瞬のタイミングでは防ぎきれなかったのだろう。
「すごいな。このマントが無かったら、両手がやられてたよ」
「・・・それが君のバリアジャケットか」
「違うけど・・・まぁ、似たようなものだ。俺の-1ptだな」
今までの士郎との会話は全てはぐらかされている。
現時点でクロノはどこからどこまでが本当なのかが読み取れなかった。
そして、それは士郎の思い通りだ。
もしも、クロノが生死を分かつような状態だったら、むしろ開き直ることができたかもしれない。(しかも高い確率で)
だが、今は言うなれば仮想体験。
生死に直接的な危険がない上、まだ士郎は相手を殺すような攻撃をしていないから、開き直ることができない。
そんな状態だからこそ、フィフティフィフティの現状で思い切った行動が取れない。
「ちょっと傷ついたな。今ので3発ぐらいポイントを稼ぐつもりだったのに」
「・・・そう・・・!?」
何故か目の前に現れていたので、全力でクロノは宙に浮いていた。
今のは何なのかだろうか。何せ、10mは離れていたのだが、一呼吸で詰められた。
技? それとも魔法か?
だが、余計な思考は無くす。
どちらにしても瞬間移動に似たような効果である。それさえ分かっていれば問題ない。
士郎はクロノが飛んでいく方向を見る。『干将・莫耶』を投影した。
クロノは接近戦は絶対にダメだという確信がある。
だから、遠距離戦で仕留める。
先程よりもさらに離れる。
すでに一足では間違っても届かない距離だ。あの妙な何かをさせないうちに終わらせるのがベストだ。
―プログラムを練る。奴には遠慮など絶対に必要ないのは分かる。
―直射魔法であろうと、誘導操作弾であろうとなんでもいい。
―物量で攻めきる!
クロノの戦略は一つに絞られた。
「おおー・・・士郎くん、すごいねぇ」
エイミィの喝采の声が辺りに響くが、それに反応する者はいない。
皆、目の前の模擬戦に目を奪われている。
「接近戦でクロノくんを上回ってるよ。ロッテに教わってたはずなのになぁ」
「あの子は出来が良くなかったみたいだから・・・それにしてもいい動きねぇ」
「うちの武装隊のみんなより上ですよ。でも・・・『一』の戦い方ってなんですかね?」
ここにいる者の疑問点。
士郎の戦い方の意味が理解できない。士郎はクロノを押しているが、これが『一』の戦い方なのだろうか?
「そうね・・・エイミィ。士郎くんなんだけど、今まで自分から仕掛けていたと思う?」
「え? しゃべっている最中に仕掛けましたけど?」
「そうじゃなくて。クロノが防御を固めたり、考えている最中に攻撃した?」
言われて、全員が思い出す。
士郎が攻撃に転ずる時。それは相手の動作の後、または動作中の時であることに。
「目晦ましの後や会話中、それと隙を作った後に攻撃した。それに『ブレイクインパルス』の時はカウンター。
大別するとこの2種類なのよ」
「・・・つまり、士郎くんは相手の動いた後や隙から攻撃している?」
「たぶんね。確かにこの方法なら相手が強くても実力差を埋められる」
なのはの疑問に、リンディは肯定したが追記する。
士郎は近接戦闘において、一流と比べて劣っている。
肉体面では最高に近くなったが、感覚(センスと言い換えても良い)が不足しているためだ。
同一技能を持つものなら、肉体の差で勝てるかもしれないが、やはりそれだけでは勝てない。
作った人形師にしても、肉体でのスペックを最優先していたため、感覚などの部分は追求できなかった。
故に、士郎は基本的な戦闘方法は変更しないことを、この世界に渡る前に結論している。
「ここからが本番よ。もうクロノは自分から近付こうとはしないはずだし」
士郎とクロノの戦闘は序盤から終局へと移り変わった。
interlude out
side - Emiya Shirou -
さて・・・どうでるのかな。
武術の奥義級である『浸透勁』や『縮地法』まで使った。3発は入れておこうかと思ったのだが・・・
(予想よりも動きが良かったな・・・何気に格闘術でも習ってたのか?)
フェイトにしても格闘戦の基礎程度しか修めていないはずだが、クロノはそれよりも上だった。
この歳で管理局の前線で戦えるのだ。かなりの英才教育を受けているのだろう。
クロノが空中に静止した。やはりもう接近戦は来ないだろう。
「さてと・・・」
投影開始。黒と白の夫婦剣を投影し、攻撃に備える。
相手の魔法精度はかなりのもの。
放たれるは蒼白い閃光。それを一つ一つ丁寧に落としていく。
(威力はそれほどでもない・・・けど、量を重視したか)
間違ってはいない。
近付くのが困難なほど魔法を打ち込めば、当然接近戦はない
そして、構成が早い魔法を連続すれば、いずれは当たるだろう。
(クロノの魔力がどれくらいか・・・なと!)
そして、不意を突いて後ろから当たるように操作している弾もあるので、さらに困難だ。
俺の予想では・・・10分で直撃して、敗北するだろう。
(だから・・・勝てる勝負をしないとな)
俺は『干将・莫耶』の投影を破棄し『聖骸布』を掴み
「は!」
魔力を若干通し、マントを前方に思い切り振るう。
向かってくる魔法弾を掻き消しながら、間合いを詰めようとしたが、クロノは後方にまた移動しながら撃ってくる。
元々魔法防御力を上げるための外套だ。このような使用方法もあるのだ。
クロノの驚愕の表情が目に入るが、外套を使用する前の操作弾が俺に近付いてくるので、また振るって掻き消した。
厄介な防御がでてきてしまったため、こう考えるはずだ。
どうすれば、俺の防御を破れるのか?
誘導操作弾や直射型の魔法弾では『聖骸布』は破れない。
ならば、何を選択するか?
この模擬戦でクロノ自身の切り札を切る?
これはありえない。俺という不確定要素の前、しかも生死に関わっていない状態に関わらず使うということは、リスクが大きい。
だからこそ。『ブレイズキャノン』またはそれよりも威力が大きい直射型の魔法が使用されるはずだ。
接近戦という可能性はあるが、最初にその手札を切ってしまったため、たぶんないだろう。
ここらへんはまだまだクロノの未熟なところだ。
クロノは構える。魔法の構成から考えて『ブレイズキャノン』。
ただし、先程少しだけ見えた構成が違う。
この攻撃を防御してしまえばいいのだが・・・
(何を企んでいる?)
クロノの戦闘方法は一発逆転型ではなく、むしろ逆。理詰めで対処する。
今までの戦闘から考えてもそのはずなんだが・・・
(とはいえ、切り札の1枚くらいは持ってないとおかしいか)
執務官で働く以上、最後の1枚くらいは持ってしかるべきだろう。
だが、何がくるか?
「・・・どっちが勝つか勝負だ。クロノ・ハラオウン」
俺は弓を投影する。
セットする剣は無銘の練剣。それを思い切り強化する。
流石に『偽・螺旋剣』では『ブレイズキャノン』を抉りながら、クロノに直撃するだろうし。
あまり宝具は使いたくない。
クロノはそのまま構える。発射態勢に入っている。
俺は内心で笑った。
両者の弾は同時に発射された。
そして、激突。
俺の剣は『ブレイズキャノン』を押し切ったが、軌道が変えられた。
なんとか、クロノに直撃させるように軌道を変更しようとしたが
さらに追撃の『ブレイズキャノン』が迫っていた。
俺自身驚愕した。
軌道変更を止め、回避行動に入る。
クロノが別の魔法を構築しているのを確認。
その直後、弾丸のような速度でクロノが突っ込んできた。
(・・・投影開始)
クロノの狙いを察知。
クロノは接近戦を仕掛けるべく、近付いてきた。
―そう思わせようとしたはずだ
ある距離まで近付いた瞬間、俺にバインドが仕掛けられた。
(やっぱり!)
バインドの魔法は構築していなかったが、クロノの性格を照合した結果。バインドの可能性が高いことは分かっていた。
どのように構築したかはわからないが、予想通りだった。
―そう予想通りだ。
「僕の勝ちだ・・・何か言うことは?」
「その言葉返すよ・・・俺の勝ちだ」
その瞬間、クロノにも紅い布が巻き付かれた。
拘束直前に俺は投げていた。『マグダラの聖骸布』をだ。
「・・・なるほど。最後の一瞬で読み切ったか。だけど、幾らなんでも、これはお粗末だな」
「そうかな?」
クロノは怪訝な顔を浮かべ
「な!? は、外れない・・・いや、違う!? な、なんだ!?」
「それは過去にフェイトを拘束するために使った偽者じゃなくて、本物の拘束用『マグダラの聖骸布』だ。外れないぞ」
「な・・・」
「女性ならちょっと丈夫な布なんだが、それは本来男性用の拘束具だ。なのはやフェイト、いや女性ならなんとかなるかもな」
そう考えると『偽・マグダラの聖骸布』は女性用だろう。あっちは、強化して思い切り布の強度を上げているだけだが強度は別格だし。
蛇足だが俺では『マグダラの聖骸布』は扱いきれない。
だから『偽・マグダラの聖骸布』と同じように投げて使用した。
最初の使用方法こそ違うが、効果は本来の物と全く同じはずだ。
「くそ・・・引き分けか」
「ああ、そうだ。それに拘束されると・・・」
俺が言い終わった直後、クロノのバリアジャケットが解除され、俺を拘束していたバインドも解除された。
「包まれると男性は抵抗できなくなる布なんだ。だから、クロノが構築していたバインドも強制解除される」
「・・・僕の負けだ」
こうして、俺とクロノの模擬戦は俺の勝利で終了した。
そして、現実に戻ってきた。
手足を動かしてみるが、何も問題がなさそうで良かった。
「ふむ・・・で、俺の評価は?」
「嫌味のつもりか?・・・合格だよ」
そっぽを向きながら、クロノは答えた。
はは・・・悔しそうだなぁ。
「士郎くん! 格好よかったよ!」
「うん。ありがとう」
なのはも喜んでいるようだ。顔は興奮のためか上気していて、頬も赤くなっている。
「・・・士郎。聞きたいことがある」
「なんだ?」
「・・・何故僕は負けたのだろうか? 君は強い・・・だけど、今日の僕の動きをあらかじめ予測していたように感じた」
ふむふむ。確かにクロノからすれば納得できない部分があったのだろう。
これは魔術の領分ではないし種明かしといきますか。
「正直に言うと・・・俺はクロノの情報をたくさん頂いていたからな」
「・・・なに?」
クロノの呆けた顔。予想してなかったのだろう。この答えは。
「一つずつ行こう。俺は昨日のなのはとクロノの会話を教えてもらった。そこから、クロノの戦闘スタイルのヒントを頂いた」
「ヒント? え? そんなこと言ったっけ?」
「魔力量の時に憮然と言い返した時があったはずだ。そこから、クロノの魔力はなのはよりも下だが、精密な制御が武器の魔導師だと予想できた」
そう。魔力量を突っついて、反応したという事は大なり小なりコンプレックスがあったのは間違いない。
そして、その後に魔法を使用した戦い方を言う以上、それが自分の戦闘スタイルだと予測するのは簡単なことだ。
「それだけで判断したのか?」
「まさか・・・確信したのは訓練の最初の方・・・構成を見て確信したさ」
これは本当。
「次に戦闘中に得た情報からクロノの戦略の傾向などをある程度操作した」
俺の剣術は基本的に相手の行動を操作する。
剣術は隙を作ることでそこに打ち込ませることだが、今回は戦略全体で仕掛けた。
「最初の方の攻撃でクロノは理詰めで戦闘するのは明白だったからな。だから、一つずつクロノを冷静にさせないように従事したんだ」
「僕は冷静だったはずだ」
「最初の方はね。『ブレイクインパルス』はちょっと肝が冷えたよ。だけど、後半は冷静じゃ無かった」
一度言葉を切る。
「実際の所、あのまま誘導操作弾なんかで攻められてたら俺は負けてたよ」
「そんなわけあるか。あの双剣と外套の防御力が高かったから、僕は賭けたんだ。『ブレイズキャノン』の2連射に」
「そうだね・・・だけどさ
弓矢を構えてる時に剣や外套を振るえると本気で思ってるのか?」
「・・・あ」
「迂闊だねぇ」
しまった。と思っているが、もう遅い。結果はでたのだ。
「弓矢を構えた直後に、誘導操作弾の物量作戦にしてれば、おまえの勝ちだったんだよ。クロノ」
「ぐ!」
「遠距離戦のときに俺は負けてる部分は教えたけど、負けてない部分や勝ってる部分は喋らなかった。
つまり、威力のことに関しては言及してなかったんだぞ」
まぁ、プレッシャーを与えながら喋っていたから、そこまで冷静になれなかったのだろう。
意図した通りに。
「だ、だが・・・なぜ、最後のバインドを読めたんだ? それが分からない」
「最初は、普通に模擬戦をすると思ってたんだ。俺は」
構わず俺は続ける。
「どうにかして傷つけずに終わらせようとしてたんだよ。俺は。たぶんクロノもな」
「それが・・・!?」
「そうだ。幾らなんでも、民間協力者―つまりは民間人―を傷つけることは出来る限りしたくないはずだ。
お前は規則を守る人間だから。でなければ、最初に俺に会いには来ないはずだ」
普通に管理局に入局してない一般人―しかも管理外世界の人間―を傷つけました。なんてことが許されるはずがない。
しかも、事前に模擬戦と伝えられているのにだ。
だからこそ、最初はバインドで拘束して勝利するのではないかと思ったのだ。
「誤算だったのはあの装置が使ったことだな。これなら、いくら傷つけても現実には傷つかない。だから、可能性の一つに繰り下がった」
「・・・そこまで考えていたのか」
「ああ。とはいえ『ブレイズキャノン』の2連射の後の高速移動魔法の構成が見えたこと。
それと最初に接近戦用の魔法を使ってなかったら、思い至らなかったかもな」
俺が今言った二つの情報があったからこそ、気付けたのだ。
でなかったら『マグダラの聖骸布』を投影せずに『干将・莫耶』を投影していたはずだ。
そしたら、これまた俺の負けだ。
この時点で俺の敗北していた可能性が3つも出てきてしまった。
やはり、俺では単一技能での勝負は勝ち目がないな。
「・・・ふぅ。今日の模擬戦は勉強になったよ」
「それは幸いだ」
「まて、まだあるぞ。あのバリアジャケットを貫通した攻撃と瞬間移動もどきはなんだ?
「攻撃は『浸透勁』だな。衝撃を体の内部に貫通させる技だ」
それを聞いて、全員が驚いている。俺としては魔導師が使用する魔法の方が遥かに驚くべきことだ。
「ちなみになのはの家族の剣士―通称『御神の剣士』―は全ての攻撃にこの技と似た原理の技を混ぜるので、防御は極めて困難だ
現実に俺は恭也さん・・・なのはのお兄さんなんだけど、10回ほど模擬戦をやったが、1勝5敗であとは引き分けだ」
「・・・お兄ちゃんたちって本当に人間じゃないかもしれないんだね」
なのはが涙を流しながら言っているが、俺も同感。
ちなみに美由希さんには結構勝ってる。
だけど、あの人たちと真剣に戦闘したらどうなるか想像するだけでも恐ろしい。
「移動の方は『縮地法』といって、武術の奥義だ」
「・・・そんなことができるのか」
「君たちは魔法に頼りすぎ。魔法なんて手段の一つで十分だろ」
便利だとは思うけどね。魔法。
ま、俺としても確かめたいことは確かめられたし満足だ。
で、アースラ艦員全員に自己紹介を行った。
ちなみに俺の肩書きは臨時戦闘員 + 臨時厨房係になった。
ま、いいけどね。
で、現在なのははジュエルシードの封印作業中。
俺はと言うと、フェイトの行動分析に入った。
クロノとは少しだけ話したためか、俺も呼ばれた。
色々確認したいことがあるしな。
「フェイト・テスタロッサ・・・ある高名な魔導師と同じファミリーネームだ」
「有名人なのか?」
「まぁ、色々な意味で有名だね。昔、大きな事故を起こしてしまったため、それ以来名前は聞いてないけど」
その『大きな事故』が原因で今は隠居しているということだな。
「で、君に聞きたいことがある」
「なんだ」
「君はフェイト・テスタロッサの背景に誰かいると思っているのはこの前聞いたが・・・その魔導師の可能性はあると思うか?」
「・・・フェイトとアルフだけが動いている以上、組織の可能性は低いと思ってる。だから、かなりの確立でその魔導師だと思うな」
実際、フェイトたち以外に交戦した魔導師はいない。
だから、組織ではないと思っていた。
だが、それはそれで疑問が色々でてくる。
「まぁ、疑問が出てくるな。なぜ本人が集めないのか? もそうだし、何よりも問題なのが未だに目的が不透明な点だ」
「そうだな・・・これがその魔導師・・・『プレシア・テスタロッサ』の簡単なプロフィールだ」
簡単に記載すると、推定魔力値はSランクオーバーであるということが記載されていた。
そして26年前、あるプロジェクトの設計主任として配属された。
だが、そのプロジェクトで致命的な事故が起きてしまい、原因はプレシアが違法な手段で違法なエネルギーを行い、さらに効率を重視したというふうに書かれていた。
事故の件でプレシアは会社を告訴した。裁判の結果、娘に対する賠償金を受け取り裁判が終結した。(ちなみにかなり高額だった)
その後、プレシア地方に転属。功績を挙げ、富を得るものの何時の間にか消えていたとのことだ。
・・・俺の感想としては
「不自然だな」
「・・・そう思うか?」
「ああ。プレシアって奴に全ての責任が被る様になってる。当時の上役のほとんどがお咎め無しなんて不自然にも程がある」
仮にプレシアがこのプロフィール通りのことをしたとしても、それを上が承認または黙認しなくてはこのような状況にはならない。
報告をしなかった可能性があるが、それならば会社自らが申し出て、賠償金を払う理由がない。
プロフィール通りならば、正々堂々と裁判で戦えば、会社側は賠償金さえ払わずに済んだはずだ。
つまり、裁判を続けて欲しくなかったのではないかというのが俺の意見だ。
「この会社は上役が強引らしい。しかも、それが周知の事実らしいな」
「裁判の継続を望まなかった・・・プレシアに勝ち目はなかったんだろうけど、証拠が晒されれば困ったことになるだろうな」
一つでも晒されれば、そこから疑いの目がくるだろう。
そこを恐れたか。
記載されていないが、プレシア自身は大魔導師でもあったみたいだし、管理局に多少のコネがあった可能性があるのかも。
「なるほど・・・地方に転属した後の資料は?」
「現在、確認中だ。このプレシアが背後関係だとすれば、その事故になんらかの動機がありそうだな」
クロノはそう締めくくったが・・・
「で、証拠はあるんだろうな? 証拠がないのに、任意同行なんかに応じないし、逮捕権なんてないんだろ?」
「それを捜すんだ。そうだな。それが自分で動かない理由の一つだろうな」
自分が泥を被らされた(あくまでも俺の予想だが)はずなのに、それなのに自分の娘を利用するのか。
そういえば・・・
「そういえば、事故が起きたのは26年も前だろ? フェイトはどう見たって10歳かそれよりも前だ。
年代的に失踪した後に生まれた子供のはずだ。父親は?」
「・・・済まないが、まだ確認が取れていない」
・・・ここにも秘密がありそうだな。
まぁ、何はともあれジュエルシードを集めないといけないことに変わりはないか。
色々、情報は手に入ったしな。
「ま、ちょっと考える材料が手に入ったから、少し考えてみるよ。俺は和菓子でも作りますが、何がいいですか?」
「あ、どら焼きがいい」
「あらあら。わたしは羊羹をお願いしたいわ」
「了解」
「・・・君は本当に器用だな」
ふふふ・・・暴食王に鍛えられた腕はこの程度ではないのだよ・・・
魔法少女リリカルなのは Crossing of the Fate Stage13 「決着」 End
Next Stage 「海上決戦」
タイガー道場!! Stage13
注:)基本的に恐ろしくギャグ空間です。
拒否反応がある方は読まないでください。
イリヤ:さて! タイガー道場の始まり始まり!
大 河:ちょ!? ま、また一人で開始してる!?
バーサーカー:余所見とは余裕ですね。
大 河:きゃー!? ご、ゴッドハンドが回復してる!?
イリヤ:さて、今日は皆さんのご質問にお答えしたいと思います。
最初の質問は『士郎の管理局基準の魔力ランクはいくつですか?』ですが、こちらですが・・・
???:『私に触れぬ』
イリヤ:きゃ、きゃー!?
カレン:まったく、いい加減わたしを呼び出しなさい。
イリヤ:で、出来れば、呼びたくなかったのが本音です。
カレン:まぁ・・・そうですか。無視して、先の質問ですが
イリヤ:ちょ、ま・・・!?
カレン:現在の魔力量はCランクの最底辺となっています。努力すればCランクの上位に届くかもしれない程度です。
イリヤ:うう・・・い、言われてしまった。
カレン:ふ(ニヤソ)
イリヤ:しょうがないです。
特別企画『スパロボOG外伝発売記念! リリカルキャラをスパロボ風ステータスにしてみよう!』を始めたいと思います。
カレン:ちなみに作者の独断と偏見ですので、文句は受け付けません。
イリヤ:いえいえ。受け付けますからね。今回はメインキャラのステータスを公開したいと思います! ちなみに参考はOG2ですのであしからず。
高町なのは 射撃 143 格闘 124 防御 130
回避 169 命中 181 技量 135
特殊技能 魔力 LV9 ガンファイト LV9
精神コマンド LV SP
必中 1 10
不屈 1 10
幸運 10 25
鉄壁 19 20
熱血 23 35
気合 27 40
フェイト・テスタロッサ 射撃 140 格闘 133 防御 108
回避 177 命中 175 技量 141
特殊技能 魔力 LV9 アタッカー
精神コマンド LV SP
集中 1 15
加速 1 5
閃き 10 10
突撃 17 20
熱血 25 40
覚醒 31 60
ユーノ・スクライア 射撃 134 格闘 126 防御 139
回避 165 命中 169 技量 129
特殊技能 魔力 LV7 ガード 援護防御 LV3
精神コマンド LV SP
信頼 1 10
努力 1 10
友情 10 35
鉄壁 19 30
激励 23 35
補給 27 50
アルフ 射撃 131 格闘 139 防御 124
回避 171 命中 177 技量 133
特殊技能 使い魔 援護攻撃 LV2 援護防御 LV2
精神コマンド LV SP
信頼 1 20
閃き 1 10
必中 10 15
熱血 19 35
加速 23 15
気迫 27 50
クロノ・ハラオウン 射撃 138 格闘 136 防御 117
回避 181 命中 180 技量 145
特殊技能 指揮官 LV3 魔力 LV8 Eセーブ 援護攻撃 LV1
精神コマンド LV SP
集中 1 15
閃き 1 10
直撃 10 25
努力 17 20
熱血 25 40
必中 28 15
イリヤ:と、こんな感じでしょうか?
カレン:色々不足分があるようですが?
イリヤ:こ、今回はこんな感じで許してもらえるとありがたいっす。
カレン:まったく・・・しっかりと準備をしなさい。
イリヤ:う、うう・・・(が、我慢っす!)
カレン:では、これにて今日はお別れです。
イリヤ:では、また次回でお会いしましょう!
END?
大 河:ふ、ふふふ・・・ふはははははは!
???:・・・(地面に倒れている)
終わっとけ
後書き
えっと、結局間が空いてしまい申し訳ありません。
冬期休暇中も少し仕事がありますが、なんとか書き溜められるように頑張ります。
次は外伝のすずか編の可能性が高いかと思われます。
では、11話の拍手の返信です。
※話は面白かったです。けど、士郎の言葉というか行動に違和感を感じました。
たぶん、クロノを投げ飛ばしたりしたからだと思います。今後は気をつけたいと思います。
ギャグが増加しているのは仕様ですので、そこのあたりは勘弁してもらえると幸いです。
※キャロと士郎のCPが駄目なら、エリオ×士郎なんていう、意外なCPはどう でしょう(笑)、先生。
とりあえず、スルーの方向はいかがでしょう? ・・・その前にそんなカップリングを見たいですか? ホントに?
※士郎は管理局側になるのかぁ。個人的にはフリーなイメージがあったけど後ろ盾が無 いしなぁ・・・
現在未定となっています。とりあえず、大きな分類としては民間協力者編と管理局編、聖王教会編が候補となっています。
(細かい分類は更に分かれますが)
※今回も最高でした!やべぇ〜次回が楽しみ過ぎる!士郎対クロノに大期待だ!
私が書くとこんな感じになります。とりあえず、士郎が強くなりすぎないようにバランスを取ったつもりだけど・・・どうだろう?
※作者さん、第11話楽しませて頂きましたクロノと士郎の駆け引きが良かったです!
反感が少なくて正直ホッとしております。
※遂に迎えた後半戦。完結まで頑張って!俺は応援してるぞ!STS前のオリジナル 展開はなのはで聖杯戦争?頑張ってください
予定ではオリジナルロストロギアの可能性が高いです。トドメは士郎にやらせようと思ってますが
※うおぉぉぉぉ!!!!リンディフラグをさり気なく立ている士郎が思い浮かぶのは何 故だぁぁぁぁぁぁ!!!
とりあえず、うちの士郎くんは美人に弱いのではないかと思ってます。今回はなのはさんのせいで無くなったと思ってますが
※面白かったですよー。 STSまで希望です。
※Crossing of the Fate大変気に入りました!頑張ってください!!おもしろいです
※面白かったですb質・量共に数少ないFate×なのは良作品として続きを楽しみにしております
※毎度毎度おもしろいですね〜。これからも無理せずにがんばってください。
みなさんありがとうございます。これからも頑張ります。
※毎度楽しく読ませてもらってます 話の展開上管理局入りはしょうがないかぁstsあたりで管理局が裏で色々やってるのを知って、
ゼストやアギト側に回ると いうのも見てみたいですねぇ
知らない間に協力してる可能性はありますけどね。偶然居合わせてという形で。一応、なのはたちが主眼なので、難しいかなぁ
ゼストたちと協力するのも面白そうだと思ってます。某所の影響で
※桃子さん強!!士郎の行動最高!!フェイトと勘違いして吊り上げるかと思った…そしてクロノも赤い布恐怖症に…
士郎がフラグを立てる…、それは運命(Fate)なんですね。
桃子さんは最強だと思ってます。『CLB』ですが、士郎が考えた結果、最も最適な選択だったから選択しました。
クロノもいずれ・・・ね。
※最近はこの小説が潤いになってきました。完結目指して無理せずがんばってく ださい。応援しています。
その潤いの更新が遅れて申し訳ありませんです。本当に会社はスケジュールを見直して欲しいです。応援感謝です。
※この時、士郎の世界の女性たちはどうしているのでしょうか?また、凛達もこち ら側にくるのでしょうか?
前の話のタイガー道場にて記載しましたが、いかがでしょうか?
凛が来た時は間違いなく最終回になるでしょうから、どうなるかは未知数です。
※StS編で士郎とティアナとの共通点以外とあるな‥‥
凡人で珍しい能力(幻術は微妙か?)な点ですかね? わたし自身はティアナはそこまで凡人じゃないと思ってるんだけどなぁ。
ただ、士郎が関与してとんでもない魔導師になってる可能性がありますが
(例:一動作を幻術でフェイントとして使用することができる)
※温泉と言えば卓球...それは間違いない!だが、衛宮士郎オプションに風呂 上がりの牛乳を忘れているぜ!
うちの士郎くんはコーヒー牛乳を頂いてますね。卓球でポロリを誘発させるのが士郎クオリティだと思う、今日この頃(待
以上です。拍手ありがとうございました。
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