機巧神 ルイエ

 

四話 文字通り、衝撃的な出会い

 

 

 

 

月――そこは以前、資源採掘施設や居住施設、統一地球軍の月面基地などがあった。しかし、ガノ・ディウ王国の侵攻と同時に施設は全て破壊され、現在はガノ・ディウ王国の最前線基地と化している。

 

 

 

 

ガノ・ディウ王国、バルーナ基地の司令官クルード・ジェイマスは先ほど総司令部への通信を終え、自室へと向かっていた。開戦より二十年。当時の若き天才司令官は今では随分と歳を食い、髪は白髪が増え、皺も段々と深くなってきている。

しかし、老いてもなお壮健な顔つきは変わっておらず。足腰もしっかりしている。むしろ活気は歳を取るごとに増しているようである。

「ジェイマス司令!」

クルードは声の聞こえた背後を振り返った。そこには、真新しい軍服に身を包んだ少女と少年がこちらへと向かってきているのが見えた。彼女等はつい最近、本星のボルモス第三生物研究所から派遣された生物兵器であるという。初見の際、クルードは俄かには信じがたかったが。

たしか燃えるような赤い髪に、澄んだ青い目をしたショートヘアの少女がロシェ・エルトゥで、そのロシェの後ろにいる金髪に碧眼の少年がヴォート・ゲインだ。

ロシェはクルードの目の前に立ち、敬礼をすると、途端に顔を強張らせた。軍の司令官を目の前に緊張しているのだろう。新兵にはよくある事だ。

それを見たクルードは、口元を緩め、孫を見るかの様な目でロシェを見た。

「どうしたのかね? 言ってごらん」

クルードの面持ちを見て安心したのか、ロシェの表情がすこし明るくなった。

「あの、私とヴォートを地球に行かせてくれませんか?」

「ふむ、地球へか。理由は何だね?」

クルードが訊ねると、今度はヴォートが押し退けるかのようにロシェの前に立った。

「敵情視察が主ですが、地球という惑星がどのようなものなのかを知っておきたいからです」

ヴォートが冷静に、尚且つ淡々と言った。

「ふむ。たしかに敵がどのような世界に住んでいるのかを知っておくのは良いことだ。いいだろう、許可する」

「あ、ありがとうございます!」

ロシェは頭が膝に当たるくらいに深々とお辞儀をした。一方、ヴォートはというと、表情を崩さぬまま、その場で敬礼をしていた。

「手配は私がしておこう。君達は荷物などの準備をしておきたまえ」

「ありがとうございます、司令!」

二人は敬礼をすると、自室へと走って行った。二人の背中を見て微笑むクルードは、まるで出掛ける孫を見送る祖父のようであった。

 

 

 

 

改めて自室へと向かっていると、また背後に人の気配を感じた。クルードは肩越しに振り返る。

今度は銀髪の長身且つしなやかな体躯の男であった。袴のような軍服を着込み、端麗な顔からは、腰に佩いている刀の如く、鋭利な視線がクルードに向けられている。

「ウォルヴァンエスティグノス大佐。何か私に用かね?」

「司令。いつも言っておりますが、私の性は省略してもよいのですが」

「いやいや、名は大切だ。ちゃんと呼ばねばなるまい。それとも、昔のようにアーク坊やとでも呼んでもいいのかね?」

クルードの発言にアークは眉をしかめる。彼は数日前、ロシェとヴォートがこの基地に来る前に到着した、ガノ・ディウ王国第129機動兵器攻撃部隊の隊長、アーク・ウォルヴァンエウティグノグス大佐である。

「で、用件は何だね?」

「・・・彼女らを本当に地球へ行かしてよかったのですか?」

「何か問題でもあるかい?」

肩をすくめ、ニヤリと笑うクルード。

「仮にも敵地です。もし何かあったら――」

「それは大丈夫だ。間違いなく」

「彼らが兵器故ですか?」

「・・・ああ」

彼女らの派遣元、ボルモス第三生物研究所は生物兵器を主に開発している。クルードとアークもそれは知っている。しかし、研究所が彼女らのような人工授精・遺伝子操作などを行われて生み出された人間――昔の言葉で言えば試験管ベイビーである――を造っていたというのは初耳であった。

おそらく軍上層部でもごく一部の者のみが知っていた最高機密レベルの兵器であろう。それを投入するとは、総司令部は相当躍起になっている事である。

「見た目はああでも、そうとは限らんさ。君が大衆の前で機巧神ヴォルバドス・エアの搭乗者だと言っても、機体がなければ信じられんだろう? 人は見かけによらず、だよ」

クルードは口の端を吊り上げながらウインクした。

「さて、立ち話もなんだ。私の部屋で茶でも飲むかい?」

「・・・・・ええ」

アークは少し呆れたような口ぶりであったが、その妙に顔は晴れやかだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日が過ぎた地球。東京。

宇室湧斗はルイエとクトゥグア専用の格納庫で一人、ランニングシャツ一枚に軍用のズボン姿で寝転がっていた。午前の訓練が終わり、そのままの姿で格納庫に寝転がっているのだ。

「疲れたぁ〜・・・・」

元来インドア派の湧斗に、軍隊の訓練は過酷極まりない。しかも、午後にはさらに厳しい訓練が待ち構えているのだ。

湧斗は寝転がったまま首を上に動かす。そこには悠然と二機の巨大な人型兵器、ルイエとクトゥグアが神々しいまでに佇んでいる。

「さて、と。腹も減ったし、食堂に行くかな」

上半身を起こし、服を着たその時だった。彼の目に青い瞳に青い髪、青のゴシック調のドレスを着た少女――去年の十二月二十一日、彼がルイエに乗るきっかけを作った、あの不思議な少女が、無表情のまま壁に寄りかかり、自分を見ていた。

二人はあの時と同じく、しばらく無言で見つめあった。

「―――――――――はっ」

正気に返った湧斗は四つん這いで少女へと向かっていった。そして、少女の目の前に座った。

「・・・・久しぶり、だね」

湧斗の問いかけに、少女は頷く。

「前から聞きたかったんだけどさ、君の名前は?」

「・・・・今はまだ、教える事はできない」

ようやく喋ってくれた少女の声は、まだ幼さの残る子供の声だ。

「・・・そうか。じゃあ、君は何者かを答えてくれないかな?」

追求しても無駄だろうと感じた湧斗は質問を変えた。この少女には未知の部分が多すぎる。特に気になるのは、自分をルイエまで導いた事だ。間違いなく彼女は何かしらルイエに関係しているはず。

少女は氷のような表情で語る。

「私は、機神。今はまだ覚醒(めざめ)ぬ者」

「え? 機神? 覚醒(めざめ)ぬ者?」

機神。どこかで聞いた事のある言葉。どこだろう。どこかで聞いたはずの言葉なのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ロシェとヴォートは東京のとある繁華街を散策していた。当初はアメリカに行きたいというロシェの提案があったが、治安があまりよくないため、比較的安全である日本になったのだ。

地球まで行くのはとても簡単だった。火星を経由して、地球行きのシャトルへと乗るだけだった。パスポートはもちろん偽造。身分も全て嘘ばかり。保護者も住所も全て嘘ばかりの情報が詰め込まれたカード型パスポート。

早速ロシェは街路を犬のように走る。久々に研究所、軍の基地を出てはしゃいでいるのだろう。ここ二、三ヶ月は戦地に投入ということで調整詰めであった。

調整といっても機械のように部品を点検するわけではない。体調検査のようなものである。

ヴォートは周りの景色を見渡す。戦時中とは思えないほど平和だ。いつ襲撃が起こるのかわからないというのに。

「ねえヴォート。ネコいるよ、ネコ!」

「あ?」

見ると、ロシェが街路脇にいる野良ネコを指差している。

「ああ。お前、ネコが好きだったな」

「うん、大好き!」

ロシェはゆっくりネコに近寄るが、ネコのほうは警戒心丸出しだ。毛は逆立ち、牙を剥き出している。このまま行けばひっかかれるか、おもいきり噛まれるのは目に見えている。それでもロシェは野良ネコに向かって行く。

「おい、やめとおけ・・・って無駄だな」

野良ネコに夢中なのか、ロシェにはヴォートの声が届いてないようだ。

警戒心丸出しの野良ネコは一鳴きすると、猛烈な勢いで路地裏へと逃げた。

「あ、待って!」

ロシェは人目もはばからず野良ネコを追った。ヴォートは軽いため息を吐くと、さらにロシェの後を追った。

 

 

 

 

路地裏は昼間だというのに少々薄暗い。高層ビルの間にあるからであろう。

ロシェは野良ネコとの距離をどんどん詰め、手をわきわきと動かす。

「さぁて、観念して捕まっちゃいなさい。ネコちゃん」

当の野良ネコはというと、プラスッチク製のゴミ箱の上で威嚇するように鳴き続けている。

野良ネコの真正面に立つと、ロシェは抱きしめる準備をする。

「・・・・・・うりゃ!」

ロシェは飛びつきざまに抱きしめた、かに見えたが、一瞬ネコの方が早く跳び、ロシェの頭を飛び越した。

「え・・・?」

ロシェの体がどんどん傾く。そして、ロシェは壁に激突――しなかった。

突如、壁にポッカリと穴が開いたのだ。

「きゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜・・・・・・!」

「ロシェ!」

ヴォートは穴に落ちていくロシェを掴もうとしたが、間に合わなかった。ロシェは飲み込まれるかのように、穴の奥深くへと落ちていった。

「くそっ・・・!」

ヴォートは忌々しげに穴の中を見る。見る限りではかなり深そうだ。行き先はわからないが、このままロシェを放っておくわけにはいかなった。ロシェは、彼女は唯一の友人なのだから。

「ロシェ、無事でいろよ」

ヴォートは意を決して、深遠の穴へと飛び込んだ。

 

 

 

 

 

必死で少女の言った言葉の事を思い出している湧斗は、未だ思い出せずに頭を捻り続けていた。

その時だった。

パシュン、という音と共に、湧斗の目の前にある壁が急にポッカリと穴が開いたのだ。

「ん?」

湧斗は身を乗り出し、一度考えるのをやめると、穴を覗いた。

真っ暗で何も見えない。

「・・・・来る」

「へ?」

少女の呟きに湧斗は横目で少女を見やる。どういう意味だろうか。

「・・・・・・・・・ぁぁぁぁぁぁぁぁ」

もう一度覗いてみると、なにやら穴から声が聞こえる。そして声は徐々に大きくなっていく。

・・・声?

「――――ぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!」

「え!?」

次の瞬間、彼の目に映ったのは、真紅の髪の少女。それの顔面であった。

「ぷげ!」

「はぎゃ!」

まるで隕石同士が正面衝突したかの如く、強烈な音が格納庫に一瞬響く。湧斗の額と少女の前頭部が激突したのだ。

激突された湧斗はそのまま後方に吹き飛び、床を数回回転し、うつ伏せ状態で止まった。体は脈打つかのように痙攣している。

一方、真紅の髪の少女――ロシェはというと、そのまま真っ直ぐ突き進み、床で半回転すると、仰向け状態で止まった。前頭部には大きなたんこぶが作られていた。

「・・・・・・だから言ったのに」

一人残された青い髪の少女は、無表情で呟くと、文字通り姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


湧斗が目を覚ましたのはそれから一時間後のことである。目覚めてみると、誰かが通報したのだろう、医療室のベッドの上だった。

上半身を起こした途端、わずかに鈍痛が走るが、気にならない程度だ。むしろ気になるのは隣のベッドにいる真紅の髪の少女と、その横で少女を心配げに見つめる少年だ。二人の周りには関間司令、橘少佐、ベネディクト大尉、リストラル中尉、そしてこの基地の軍医であるシスカ・ウォン少尉がいた。一部の兵士の間では白衣の天使と呼ばれているらしい。

民間人が基地に侵入したのだから当然であろう。

「あら、起きたようね」

ウォン少尉が湧斗に目を向ける。

「スキャンとかその他諸々検査の結果、脳に異常は無いわ。安心なさい」

「あ、ありがとうございます。って、それよりウォン少尉。そこの二人は・・・・」

「ああ、彼らね。シューターに間違えて入っちゃったみたいなのよ。ちなみにそっちの男の子がヴォート・ゲイン君で、こっちの気絶してる女の子がロシェ・エルトゥちゃんよ。さっき彼から聞いたんだけど、どうやら火星から旅行に来たみたいなのよ」

シューターとはパイロットが外出時で、尚且つ敵襲の際、基地へと一直線に向かうための緊急用のトンネルである。シューターは殆どが目立たない路地裏にあり、特定の壁に触れるか、近づかない限り開く事は無い。その壁に当たってしまうとは、随分と運が良いのか悪いのか。

「おかしいな。格納庫へと続くシューターは封鎖するって言ってたよな、アスティー?」

「ああ、私もそう聞いている。整備班め、サボったな」

リストラル中尉が渋い顔で毒づく。

と、その時だった。少女の口から短い呻き声が発せられた。すかさずヴォートがハッとした面持ちでロシェに顔を近づける。

「ロシェ? ロシェ?」

「ん・・・・・んう・・・・」

ゆっくりとロシェの目が開いた。透き通るような青い目が徐々に焦点を取り戻りしていく。

「ロシェ、大丈夫か?」

ヴォートの言葉に、ロシェは急に戸惑いを見せた。

「どうした。どこか痛いのか?」

「・・・誰?」

「え・・・・・?」

「あなた誰?」

「お、おい・・・・冗談は――」

「なんで人がいっぱいいるの? 私、何か悪い事しちゃったの?」

 

 

 

 

 

 

ウォン少尉に医療室の外へ出されて十数分後、出てきたウォン少尉は淡々とロシェの容態について述べた。

「健忘症?」

「そう。つまり記憶喪失ってことね」

記憶喪失と聞いた瞬間、ヴォートの顔がどんどん青ざめていくのが見えた。

記憶というのは2つに分けられる。知識と倫理の蓄積である意味記憶、そして個人の出来事に関連したエピソード記憶に分けられる。ロシェの場合は後者の記憶が完全に消えているという事だ。

「原因は間違いなく宇室伍長との激突でしょうね。お互い脳震盪起こすほどの衝撃みたいだし」

「おいおい、それじゃあ何で湧斗は無事なんだよ?」

ベネディクト大尉がつっかかる。

「それは・・・・・頑丈だからじゃないかしら?」

「なんだそりゃ」

「ともかく、あのロシェという子の場合は自分の名前、出生、家族や友人について全く記憶が無い事です。記憶が戻るかは本人次第ですね。ヴォート君はロシェちゃんについてはあまり知らないみたいだし」

「それより、もっと大事な事を忘れていませんか?」

苛立ち気味に副指令である橘少佐が言った。

「民間人に軍の機密を見られたのですよ? それ相応の対処をしないといけませんよね、司令」

「私に振るのか」

「当たり前でしょう」

言われ、関間大佐は顎に指を当て、考る素振りをした。

「機密を見たといっても不可抗力だ。見たくて見たわけではないと聞いたしな」

「ですが、このまま基地に出すわけにはいきません。情報を漏らす恐れがあります」

「うぅむ・・・・」

その時、湧斗がおずおずと小さく手を上げた。

「あのぉ・・・・・」

「何かしら、宇室伍長?」

「・・・この基地で働かせるってのはどうでしょうか?」

一瞬、時が止まった。そして次の瞬間には周りから感嘆の声が上がった。

「そりゃいい。あんなカワイコちゃんがいたら俺どころか他の奴らもやる気になるぜ」

「私は特に依存は無い」

目を爛々と輝かせているウェイズ大尉に澄ました顔のリストラル中尉。

「確かにそれが良さそうだな。少佐、空いている部署はあるかね?」

「えぇと・・・・・たしか食事班が、手が足んねーよこんちくしょう、と嘆いているのを聞きましたが」

「よし、ならば明日から彼らは食事班に配属だ」

「え?」

声を上げたのは置いてけぼりにされていたヴォートである。

「そうだ、宇室伍長。ロシェという子にこのことを伝えておいてくれ。ヴォート君は・・・・あー、ベネディクト大尉、食堂まで案内しておいてくれ」

ベネディクト大尉は「イエッサー、司令」と言うと、唖然としていたヴォートを連れて行った。

「ところで司令、なんで俺が言わなきゃならないんですか?」

「立案者は君だろう? だったら君が言うのが筋というものじゃないかね?」

「・・・・了解です」

渋い顔を我慢し、湧斗は敬礼した。

 

 

 

 

 

 

 

ロシェは体を起こしたまま、虚ろな目でボーッとしていた。すぐ傍にいるシスカ・ウォン少尉という女性が「あなたは記憶を失っている」と言っていたが、実感が全く無い。それもそうである。記憶が消えたといっても以前の記憶がわからないのだから「記憶が消えた」と言われてもまるで他人事である。

「ん?」

視界の隅でドアが開くのが見えた。見てみると、いかにも優男な風貌の男がこちらへ向かってきている。

男はベッドの近く置いてあった椅子に座ると、ロシェを見、話しかけた。

「えっと、ロシェ・エルトゥ・・・・ちゃんだっけ?」

「そうみたい」

ロシェも男を見つめる。茶色の目に茶髪の髪。服装から見て軍人なのだだろうか、それにしても随分と幼く見える。十代前半と言っても信じられるほどだ。

「俺は湧斗。宇室湧斗。よろしく、ロシェちゃん」

湧斗は握手の手を差し伸べた。

「・・・・できればちゃん付けはやめてほしいな。私の事は呼び捨てでいいよ。わたしは・・・うーん、ユウって呼んでいい?」

ロシェは少し考える素振りを見せると、微笑を浮かべたまま小首を傾げる。

「ああ、構わないよ」

湧斗も微笑を浮かべる。そして、二人は握手を交わした。

「それじゃあ、改めてよろしく。ロシェ」

「うん。よろしくね、ユウ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、今日も繁盛してますねぇ」

「そうだな」

「食堂ってここまで繁盛したことありますか?」

「ないな。私の知る限りでは」

二人がいつも見る食堂は普段と違っていた。人が、人が溢れかえっているのだ。朝飯時とはいえここまで集まるのは異常である。

「ロシェとヴォートが来ただけでここまで人が増えるとはな・・・・」

食堂に来ているのは殆どがロシェかヴォート目当てである。

男は可憐という言葉を具現化したような少女ロシェで、女性は見るからにクールで見目形のよいヴォートを見るためにわざわざ食堂にやって来たといっても過言ではない。

 

 

 

 

並んで十分ほど経ったであろうか、ようやく湧斗が食事をもらえる番となった。

よくよくロシェを見ると、女性用の軍服にエプロンを掛けていた。

「おはよう、ロシェ」

「あ、あはよう、ユウ」

湧斗に気づき、ロシェは心底嬉しそうな笑顔を浮かべる。

それも束の間、ロシェは数日で習得したとは思えないほどテキパキとした作業で料理をボウルやら皿に入れた。

あっという間に、トレイには食事が並べられていた。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

トレイを受け取り席に座ろうとして動いたその時だった。

突然、左側に並んでいた兵士が湧斗のもらった食事をまじまじと見たのである。そして、暫く見たあと怪訝そうな面持ちで呟くように言った。

「おい、これ他のヤツよりも多くないか?」

「え?」

言われて、湧斗は他の兵士に当てられた食事の配分を見てみた。

「あ、ホントだ」

よく見ると全ての料理において、湧斗だけ量が多い。これを知った兵士達は怒涛の勢いでロシェに詰め寄る。

「ロシェちゃん。なんで宇室だけ量が多いんだ!?」

「どういうことか答えてくれ、ロシェちゃん!」

詰め寄る兵士達に大いに動揺し、おずおずと答えた。

「えと・・・多くしちゃダメなんですか?」

次の瞬間、兵士達が石化し、粉微塵に崩壊した。

「ああ、ちくしょう。宇室の野郎め」

彼らの春は来ることなく過ぎたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

更に数日がたったある日の事。

ロシェはあても無く基地内をぶらぶらと歩いていた。つい先程まで充てられた自室で文字通りゴロゴロしていたがタンスに顔をぶつけた為やめた。

基地にいる女性士官と話そうとも思ったが、考えてみると職務中だろうと気がつき、これも撤回。

「そうだ。ユウ、どこかな?」

昨日、湧斗は「明日の午後は訓練が無いから天国ですね、ハハハ」と言っていた。ロシェは湧斗と遊ぼうと思いつくと、すぐさま湧斗が度々訪れている食堂へと走った。

 

 

 

 

 

しかし、ロシェの期待は裏切られ、いざ食堂へ入るとそこには突っ伏して寝ている者や、雑談などをしている者。湧斗の姿は見当たらない。

ロシェは食堂班の兵士に話しかける。

「あのー、ユウ――じゃなくて、宇室伍長がどこにいるか知りませんか?」

「あ? 宇室なら外出許可を貰うからって、司令のトコに行ったけど」

「そうですか。ありがとうございます」

ロシェは一礼すると、その場を後にした。

 

 

 

 

 

ロシェを見送った兵士は拳を震わせながら嘆く。

「ちくしょう。なんで宇室には女性が付きまとうんだ。ロシェちゃん、リストラル中尉・・・・・ああ、ちくしょー!」

兵士に続き、「そうだそうだ」と周りの兵士の声が食堂に響く。

そんな中、意味ありげに一人の兵士が挙手した。通信士である亜田島准尉だ。彼の顔は真剣そのものである。

「なあ、俺にいい案があるんだが・・・・・」

湧斗とロシェの知らないところで、何か下らない計画が進もうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湧斗は両手に大きな紙袋を携え、基地へと帰ろうとしていた。よこには満足げな顔のロシェがいる。

湧斗が外出許可を貰い、関間司令の部屋を出ようとした直前、ロシェが息を荒げながら、「失礼します、司令!」と入ってきたのだ。

ロシェは湧斗と共に外出したいという旨を伝えると、関間司令はアッサリと許諾した。しかし、それは部屋の扉の前で聞いていた橘少佐に止められた。

機密を知っている民間人を易々と基地の外に出すわけには行かない、と。

しかし、関間司令は少し考える素振りを見せると、こう言った。

――だったら宇室伍長を監視役としてロシェ君を見張らせればいい。

この提案に、橘少佐は渋々許諾した。

そしてロシェと共に絵画を描くための道具やら絵の具などを買い、今に至る。

「さて、ロシェ。どこか生きたいトコ、ある?」

「え、いいの?」

「外出なんて滅多にできそうに無いしさ、思いっきり羽伸ばそう」

「うん!」

ロシェの笑顔が太陽に照らされ、一段と輝いて見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「ようご両人。デートかい?」

並んで歩いている途中、二人は背後から聞いたことのある声に訊ねられた。

振り向いてみると、そこにはコートに姿のベネディクト大尉と、その彼と手をつないでいる、見たことのない女性がいた。

「あ、ベネディクト大尉!」

職業病か、湧斗は瞬時に敬礼した。

「おいおい。今はプライベートだぞ。ウェイズで構わないぞ」

「では・・・・ウェイズさん。なぜココに?」

「わかんないか鈍チン。デートだ」

ウェイズはへらへらと笑う。

「もしかしてそちらの女性は・・・・」

「そうだ。俺の婚約者のカティーナだ」

「初めまして。カティーナ・エフェルダです」

「あ、えぇと、宇室湧斗です」

「ロシェ・エルトゥです。初めまして」

二人は恭しく下げる。

「ウェイズ、もしかしてこの男の子があなたが言ってた・・・」

「そうだ、キティ。こいつが最近来たヘタレ新兵(ルーキー)だ」

ウェイズの言葉に湧斗は顔を顰める。

「隣に居るのは新兵君のガールフレンドかしら?」

「ロシェ・エルトゥっていう子だが、ガールフレンドなのかは・・・俺は知らんが、恐らくそうだろうな」

「ちょっと! ロシェと俺はそんな関係じゃないですよ!」

湧斗は真っ向から否定する。しかし、一方のロシェはというと。

「・・・ガールフレンドってなに?」

小首を傾げ、言うロシェ。

「『女友達』か『彼女』って意味合いがあるが、この場合は後者だな」

「つまり、恋人よ」

ロシェは少し驚いたような顔をしたが、すぐに面持ちは満面の笑みとなった。

「それじゃ私達って、カティーナさんとウェイズさんと同じ関係ってコトですか?」

「そんな感じだな」

するとロシェはいきなり湧斗の腕を抱き、はしゃぐ。

「ねえ、ユウ。私たちカティーナさんみたいだって! よかったね!」

「・・・はは、よかったね」

失笑を浮かべる湧斗だった。

 

 

 

 

 

 

 

夜、湧斗が基地に帰ってきて、まず感じたのが胸騒ぎ。そして上官や同僚からの対応の不気味さである。

「よっ、ご両人」や「デートは楽しかったか?」など、やたら好意的なのである。以前なら一緒に話しているだけで睨みつけられたりもしたが、今回のこの対応である。何か怪しい気がする。

そう思って食堂に入った、その時だった。

「あ、あぶなーい!」

(は?)

その瞬間、湧斗は頭から胸のあたりに何かぬるりとした液体が覆いかぶさったのを感じた。

そして、

「あっっっっちいいいいいいいい!」

ぬるりとした液体は、夕食用のスープであった。熱いのは当然である。

湧斗はすぐさま上着を脱ぐと、さらにそれで頭を猛烈な勢いで拭き始めた。

「すまない。大丈夫か?」

声をかけたのはヴォートだった。

「本当にすまない。何かにコケたみたいでな・・・」

「ああ・・・・・なんとか大丈夫だけど、服が・・・・」

湧斗の言うとおり頭部から腹部にかけてスープのあとが残っており、触ってみると酷く不快だ。

はあ、とため息をついていると、不意に声をかけられた。亜田島准尉だ。

「風呂に入ったほうがいいんじゃねえか?」

「言えてるな。しかも今は飯前だから誰も居ないと思うぜ」

同僚達もあとに続くように薦める。

「そうですね。じゃあ、お先に失礼します」

そう言うと、湧斗は濡れた上着を肩に担ぎ、食堂を出た。

 

 

 

 

亜田島准尉は湧斗が食堂を出たのを確認すると、すぐさまポケットに隠していた通信機で連絡を入れる。

「こちらアルファ1。オールアルファ、応答せよ」

『アルファ2。作戦決行か?』

「こちらアルファ1。その通りだ。各員全力を尽くし目標を撃沈せよ。いいな?」

『アルファ2、了解』

『アルファ3、了解』

『アルファ4、了解』

全員の返答を確認すると、亜田島准尉の口端がわずかに釣りあがった。

「よし。では作戦開始!」

 

 

 

 

 

 

基地にある入浴施設は暖簾で男湯と女湯に分けられている。湧斗は男湯の暖簾の前に居た。

「あれ? 男湯ってこっちだっけ?」

確か男湯は左側で、女湯は右側のはずである。しかし、湧斗の目に狂いが無ければ、男湯が右側で、女湯が左側となっている。

「居ない間に変えたのか?」

そうだろうと決め込むと、湧斗は暖簾をくぐり男湯へと入っていった。

 

 

 

 

「こちらアルファ3。宇室湧斗が入ったのを確認した。アルファ4、あの二人はどうしてる?」

『アルファ4、作戦通り向かっている。成功は時間の問題だ』

アルファ3――もとい、布山隆春曹長は小さく「ぃよしっ!」とガッツポーズをした。

「了解したアルファ4。今日は祝杯だな」

『ああ。浴びるほど飲もうぜ』

 

 

 

 

 

「ふぃ〜。気持ちいぃぃ〜」

湧斗は大浴場の隅で体を預け、やんわりとした面持ちで湯に浸かっていた。

基地の大浴場は広い。さすが軍事費。市民のなけなしの税金を使っているだけのことはある。

(これで混浴だったら嬉しいんだけどな)

儚い幻想だと分かっていても、想像してしまうのは男の性だ。ああ、情けない。

 

 

 

 

 

風呂の効能を見ていたその時だ。不意に湧斗の耳に声が聞こえた。入り口に顔を向ける。

誰かはわからないが、特に気にする事でもない。

湧斗は顔を戻すとオヤジ臭い息をついた。その直後、大浴場のドアが開く音がした。

「やっぱりいつ見ても広いですよね〜」

「伊達に軍事費で払われていないからな」

その瞬間、湧斗は凍りついた。

(なぜ? ここは男湯だろ? 何で何で何で!?)

隠れる場所はまったく無い。湯気は換気されているためまったくと言っていいほど無い。

湧斗はもはやこれまでと覚悟を決めた。

(ごめんなさい。親父、お袋、兄貴。どうやら俺はここまでのようです。先立つ不幸をお許しください)

湧斗は遥か彼方の天国を夢想した。何故か同僚たちの勝利の雄叫びが聞こえたような気がした。

 

 

 

 

 

 

これは奇跡と呼ぶべきか。湧斗はにわかには信じられなかった。女風呂に入ってしまったというのに基地内引き回しの上打ち首獄門になるどころか、歓迎されるというにはどういうことだろう。夢でも見ているのだろうか。

(夢なら覚めないでほしいな、うん)

しかし、頬をつねってみると、痛みはある。夢ではない。今そこにある危機ではなく現実。

男が妄想――失礼、幻想するファンタジー且つ理想の光景なのだ!

「ねえ、ユウ」

「ん?」

声をかけられ、湧斗はロシェを見た。

「ばはっ!」

ロシェを見た途端、湧斗は鼻血を吹き出し、湯船に沈んだ。

なにせ湧斗が見たのは少女の裸身。生まれてはじめて見た色白の美肌。わずかに膨らんでいるの胸。肉付きの良い太腿。

(ごちそうさまでした。もう思い残すことはありません。さようなら)

 

 

 

 

 

 

『おいアルファ1! どういう事だこれは!』

「落ち着けアルファ3! 俺にもこんな事が起きるなんて予想しなかったんだよ!」

アルファ1――亜田島准尉は目の前にあるディスプレイを見て舌を打った。本来なら今頃湧斗はタコ殴りの上世間的に死んでいるはずである。それなのにこの状況だ。なんという女運の良い奴!

『ちくしょう! ちくし――ぎゃ!』

突如として通信機がブツッ、と音を立てて連絡が途切れた。

「おい、どうした。どうしたんだアルファ3!」

暫くして通信機から返答が返ってきた。しかし、それはアルファ2ではなかった。

『よう亜田島。聞こえるか?』

「え・・・ベネディクト大尉!?」

『事情は他の奴らから聞いたぞ。なにやら湧斗を陥れようとしたんだってな』

「それは・・・その・・・・」

額から汗が洪水の如く流れる。

『そこにいろ。すぐに行く』

そこで通信は切れた。

「・・・・・・ははっ」

亜田島准尉は失笑した。作戦失敗。

(すまない、賛同してくれた同士諸君。今、私も君達の下へ行くよ)

こうして、亜田島准尉率いるアルファ小隊は壊滅したのでした。めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

「・・・・ねえロシェ」

「なぁーに?」

「その、なんというか・・・離れてくれないかな?」

「なんでー?」

「いや、だって・・・・その・・・・」

「どうしたのー?」

(言えるわけないじゃないか!)

胸が当たっているなんて! おかげで下半身は既にオーバーヒート。このままではいずれヒートエンドしてしまう。

(いや、いっそ暴発した方が楽だな)

幸い湯は濁り湯。暴発してもバレる事はない。多分。

「ロシェ。そんなことしていると湧斗に襲われるぞー」

数メートル離れた所で縁に寄りかかっているリストラル中尉。その面持ちはいささか小馬鹿にしているように見える。

(ちくしょう。人の気も知らないで)

湧斗は内心毒づく。

「俺はそんな事はし・ま・せ・ん!」

「どうだかな。どうせ下半身が暴発状態なんだろチェリーボーイ?」

「ぐぬぬぬ・・・・」

言い返すにも言い返せない湧斗に対し、ロシェは意味が分かっていないのか、小首を傾げている。

「ユウってさくらんぼだったの?」

「間違ってはいないけどそこら辺は気にしないでというよりも気にしたら負けだよロシェ」

ロシェは微妙な顔をしながらも「・・・うん」と答えた。

 

 

 

 

 

 

「亜田島准尉が主犯!?」

その日の夜、湧斗は関間司令と杯を交わしていた。関間司令は事件の真相を知らない湧斗に、ありのままの真相を話したのだ。

「ああ。君をロシェ君に嫌われさせようと躍起になってたみたいだったがね。ま、そのための作戦は逆効果になったが」

関間司令はジョッキのビールを一口飲みこんだ。

「・・・・そ、そうですね」

湧斗もグラスに注がれているビールを一気に飲みこむ。顔の赤さをアルコールで隠そうとしている。

「で、どうだった?」

「何がですか?」

「リストラル中尉の体さ」

「・・・・スタイルってことですか?」

「そのとおり。どうかね。おおよそいくつ行ってると思う?」

「う〜ん・・・・上から80の少で、50・・・後半ですね。下が恐らく80の前半ですね。多分」

「ふむ、なかなかのスタイルだな」

「まあ、そうですよがばら!」

次の瞬間、何者かの回転式ドロップキックにより、湧斗はくの字に吹き飛んだ。凄まじい勢いで壁に叩きつけられた湧斗は、口端から血を流し、白目を剥いて痙攣している。どうやらあの世へと旅立つようだ。

「まったく・・・・胸とウエストは合ってるけど、ヒップはもう少し下だ」

回転式ドロップキックをかました本人――リストラル中尉は湧斗に目を向けながら呟く。

「元気のようだねリストラル中尉」

「ええ。おかげさまで」

お互い、笑顔で対応しているが、リストラル中尉の拳はワナワナと震え、関間司令のジョッキを持つ手はガタガタと震えている。

「それじゃあ、私はこの辺で――ー」

席を立ち、去ろうとした時だった。突然背後から襟首を捕まれ、撤退を拒否される。

「お待ちください、司令」

襟首を掴んでいる橘少佐は憮然とした面持ちで言う。

「・・・何かな、橘君」

「話があるので私とリストラル中尉と一緒に少々付き合っていただきませんか?」

「ああ、勿論。じゃあ、ビールを追加しないと」

関間司令がロシェを呼ぼうとする。しかし、それはリストラル中尉によって阻まれる。

「いえ、結構です。話は会議室でしますから」

「ね、関間司令」

二人は満面の笑みを浮かべる。しかし、関間司令の目には、二人の背後に生命エネルギーが作り出すパワーある像がオーラを放ちながら存在しているのが見えた。

 

 

 

 

 

その後、会議室から出てきた関間指令の顔はまるで死闘を繰り広げたボクサーのようであったという。

 

 

 

キャラクター紹介

 

 

宇室 湧斗(20歳) 階級:伍長

 

既に成人であるが、どう見ても少年にしか見えない、幸運とも不幸ともいえる狭間にいる本作の主人公。過去に年上の女性からレイプまがいの行為をされ、少々女性(年上)不信。劇中では描かれていないが、毎日基地に勤務している女性陣からアプローチされており、男性陣から恨みを相当買ってしまっている。

UTWと呼ばれる兵器に半ば強制的に乗ることになり、戦うこととなった。

なお、パイロットスーツの色は機体色と同じ青。


 

 

 


ロシェ・エルトゥ(17歳)

 

敵地視察のために地球へ降下。東京へと来たのはいいものの、わけあって統一地球軍の基地へと落下。運悪くその場に居た宇室湧斗と激突。過去の記憶を全て健忘してしまった。現在は湧斗の提案により食堂でアルバイトの身。ガノ・ディウ軍の開発した兵器であるというが、詳細は不明。

 


 


アスティー・リストラル(25歳) 階級:中尉

 

インド系アメリカ人5世。黒の長髪に褐色肌が似合う美女。生まれはアメリカのシカゴ。普段は男言葉を使っているが、プライベートでは女言葉を使っている。(見た者者は少ない)。ウェイズ・A・ベネディクト大尉とはハイスクール時代からの同期であり、親友。チョコまんと呼ぶ食べ物(デザート?)をこよなく愛する変人。酔うと絡み上戸となる。パイロットスーツはオレンジに白のラインが入っている。本作のヒロインじゃねえのかよという苦情は受け付けませんので悪しからず。なお、下の絵は私服バージョン。

 

 

ヴォート・ゲイン(18歳)

 

ロシェと同じく、地球軍の基地へと来てしまった男。ロシェの過去の記憶を全て知っているものの、話せないような状況になってしまった為、心中苦しい状態。彼もガノ・ディウの開発した兵器であると言われているが、こちらも詳細は不明。寡黙且つ容姿端麗のおかげで基地の女性陣から人気をほぼ独り占めし、男性陣から恨みを買ってしまった一人。食堂でアルバイトの身。

 

 

 

ウェイズ・アッシュ・ベネディクト(25歳) 階級:大尉

 

リストラル中尉と同じく統一地球軍所属。地球産人型兵器・ヴァーズのパイロット。唯一、リストラル中尉を「アスティー」と呼ぶ人物である。

部隊隊長を務めるだけあって機体性能をものともしない腕前を持つ。婚約者のカティーナ・エフェルダ(キティ)という女性がいる。

 

 

 

ロイス・ビルディット(32歳) 階級:軍曹

 

湧斗の専任訓練教官。通信兵という役柄、デスクワークが主流のはずなのに、格闘家顔負けの肉体を誇る人物。後輩であるウェイズとは仲が良い。なお、いつまで経っても昇進しないのは彼の希望らしい。

基地内でも少ない既婚者で子持ち。

 

 

 

 

関間 大和(38歳) 階級:大佐

 

統一地球軍東京地下基地の司令を勤める。日本茶を好み、司令室には茶専用の倉庫を経費で作らせたりするトンデモ人間。普段は少々間が抜けているが、戦闘時は的確な指令を出すナイスミドル。副司令官である橘 沙希少佐との仲が噂されている。

 

 

 

沙希(30歳) 階級:少佐

 

関間大和司令の右腕であり、副司令官。関間司令と比べると少々堅い雰囲気をもつ。30歳とは思えないほどのプロポーションを誇り、以前は基地内の人気ナンバー1であったが、最近はリストラル中尉やロシェなどの若い衆に人気を取られている。(そもそも本人は人気など知らない)バツイチの子持ちで、日本茶よりも紅茶派である。

 

 

 

蒼の少女(?歳)

 

蒼い目、蒼い髪をし、蒼い服を纏った少女。湧斗がUTW・ルイエに乗るきっかけを作った。自らを「機神、 覚醒(めざめ)ぬ者」と言い、湧斗とは上京した時から何かと姿を現していたらしい。


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