「ふっ、落ちたか……この俺を嵌めようなど10年早い」
目を向けた先にはベットに靴下を脱がされ倒れ付す妹分──
なのはへのお仕置きは済んだ。
日本の伝統を思うさま味わったのだ、なのはへの報復は十分だろう。
ならば次に目指す標的<ターゲット>は……
俺を嵌めようとしてくれた礼、日本の伝統で返してくれよう!
そして俺は受話器をとった──
「はい月村でございます」
「ノエルか、俺だ、あいつはいるか?」
「宮本様? お嬢様は自室いらっしゃいますが。
急なご連絡、なにか問題が起こったのでしょうか?」
「お前……俺からの連絡があると事件に結びつくのか?」
あー……だが、連絡とったときっていつも何かに巻き込まれたりしてるような……
考えるのはやめよう、ひたすら悲しくなる。
「とりあえず、あいつと変わってもらえないか?」
「お嬢様は昨日睡眠を取っていらっしゃらないので、よほどのことがない限り起こすなといいつかっているのですが……」
眠ってない……?
あぁ、そういえば徹夜でゲームをやっていることがあるとか以前聞いたな。
だがその程度でこの俺は止めれん!
「急ぎの御用でなければ私が伝言を承りますが」
「いや……あいつに直接伝えたいんだ。
この用件は、この思いは俺があいつに直接ぶつけないと意味がない」
そう、この鬱憤は月村に直接ぶつけないと意味がない。
「っ! ……わかりました少々お待ちください」
そして保留音が流れ出す。
この音楽なんだったかなと考てみたが、音楽のことなどさっぱり判らない。
「侍君っ!?」
音楽をのんびり聴いてたらいきなりの大声。
耳がキーンっていってやがるっ!
「阿呆! 声がでかいわ!
鼓膜が破れるかと思ったぞ!」
「あ……ごめん……それで私に直接伝えたい事って何なのかな……?」
怒鳴り返したらやけに素直に謝罪が返ってきた。
普段なら多少は言い返してくるのだが……
やはり寝起きでテンションがあがらないのだろう。
だが俺にとっては都合がいい。
さりげなく、そう、さりげなく話題をある方向に持ち込んで行く。
「そういえば、なのはに妙なゲーム渡したのお前だってな?」
「え……あ、あぁ、うんうん。
なのはちゃんばらしちゃったんだ〜」
この会話は伏線、この次の爆弾のための布石!
「そうか……」
「な〜に? 照れてるのー?
それよりもこの忍ちゃんにお話があるんじゃ……」
なのは相手に照れたりなどするものか。
そして機は熟した!
「ありがとうな」
「えっと、何が?」
食らえっ!
「おかげでなのはに告白ができた」
「え、ちょっとそれってどういう……」
「礼が言いたかったんだ、じゃあな」
一息に言い切って電話を切る。
何か言いかけてたようだがまずは第一段階終了
5分ほどしてもう一度受話器を取る。
そしてばらしてやるのだ、そんなことあるわきゃねえだろ馬鹿め。と。
これぞ日本の伝統『悪戯電話』なりっ!
「ただいま留守にしております、御用の方はピーっという発信音のあとに…」
「……」
留守電に変わりやがった
まぁいい携帯電話のほうに……
「ツーツーツー」
「……」
電話中?
もう一回かけてみるか。
「ただいま電波の届かない場所にあるか電源が……」
「……」
まぁ、いいか。
まともに考えれば冗談だと判るだろう。
そして、なのはが頭を俺の肩に乗っけて眠っているところに月村『達』が乗り込んで大騒ぎになったのは別のお話――