艦これ改
艦これ改
概要
世間を賑わした大人気ブラウザゲームが、艦隊型艦娘育成シミュレーションとして登場
多種多様な艦娘を建造して、彼女たちを育成。深海棲艦の支配する広大な海域へと戦いを挑む――


彼女たちの集う鎮守府に着任し、指揮をとるのは提督の貴方です。


レビュー

まずいちばん最初に目がつくのは『Live2D』を使った、艦娘のイラストがぬるぬる動くと言うもの。
母港執務室などで画面の艦娘をタッチすることで、艦娘たちが様々なリアクションを見せてくれます。
隠し数値として『好感度』があり、長く旗艦に置いて運用、また嫌がられない程度のコミュニケーションを取ることで艦娘の好感度が上がり、
仲良くなると笑顔を見せてくれたり普段見られないような反応をしてくれます!
これがもう最高ですね! ボイスは変わらないんですけど、嫌がったり呆れたりしているボイスの割に見せる反応は笑顔というのは……こう、最高ですね!
これは動画を見るより、実際に手にしてみないとわかりませんね!

ゲームとしてはブラウザ版『艦これ』に本格的な戦術RPGの要素を組み合わせた代物になってます。
提督の決断や信長の野望が得意な提督にはとっつきやすいと聞いたことはありますが、私は未経験者なのでここはよくわかりませんね。
中身のシステムにはブラウザ版『艦これ』に将来的に実装されるであろう色々な便利な機能が搭載されています。
一番恩恵にあやかれるのは、戦闘中及び戦闘後の『追撃せず・夜戦突入、進軍・撤退』選択時に自艦隊の損害状況が表示される所でしょうか。
ぽけっとしていて『大破進軍』を防ぐことができるのはぜひブラウザ版にも逆輸入して欲しいところですね。
他、装備欄が『主砲・副砲・機銃・魚雷・艦上機・水上機・電探・その他』とカテゴリ分けされていて、目当ての装備を見つけやすくなっているのも良いです。

『艦これ改』では流石に4艦隊では少なすぎるため、最大で8艦隊を同時に運用できるのも、ブラウザ版『艦これ』に慣れた提督にとっては新鮮な運用の仕方ができるので、
8艦隊と言わずともブラウザ版も6艦隊くらいに増えて欲しいですね。
他8艦隊以外にも、軽巡以上を旗艦とした海上護衛艦隊を編成することで、輸送船団の護衛が可能になっており、はっきり言って艦娘の数が全然足らないくらい編成運用の幅は広いです!
鎮守府で出撃の機会がない艦娘たちにもきちんと活躍の場所があると言うのは、気分的にいいものですね。

この輸送船団はブラウザ版で言う『時間経過による資源回復』の役割を担っており、ヘクサで句切られた各海域に最低限6〜12、
最大30程度の『大発動艇』のような船を配置することができ、その数によって各海域で1日にある程度の資源を回収してくれるというものです。
30〜200程度ですが、時間経過で資源が増えない上、任務もややこしいところがあり遠征も序盤では効率的に回せないため、序盤での貴重な収入源です。

ある時期を過ぎるとこの輸送船団に対して深海悽艦が商戦破壊作戦を実行してきます。
と言っても実際に戦闘になるわけでは無く、海域選択画面で簡易な戦闘アニメーションが流れるだけです。
この時輸送船団に対して海上護衛艦隊を配置しておくことで、輸送船団の撃沈を防ぐことが出来ます。
這々に適当に輸送船団だけ配置していると、あっという間に全滅ないし半壊してしまうので、海上護衛艦隊とバランスを見て輸送船団を配置する必要があるということですね。
あっ、この輸送船団は海域を攻略した際などに入手する『ポイント(ブラウザ版で言う課金アイテムを購入するためのポイント)』と資材を消費して建造します。
艦娘では無いですし、任務の達成などで入手する機会もあります。
序盤はとにかく少ないポイントでもマメに輸送船を建造するのが重要だとどこかで聞きました。
建造にはそうコストもかからないので、とにかく最低値で毎日建造して数を揃えたほうが良いと。
まあ損益のバランスを考えて建造しないと大変な事になるんですけどね。

艦これ改にはブラウザ版のようなリアルタイムの時間経過はありません。
ゲーム内の1日が提督に与えられた1ターンです。
この1日の間に、提督は『任務、建造、開発、出撃、遠征、演習、入渠、編成、海域移動』などの行動を行います。

ブラウザ版では軽度の損害なら30分未満で入渠が終了する駆逐艦たちも、丸1日船渠ドッグを占領します。
最低値建造で建造される駆逐艦も同様に工廠ドッグを2日占領します。
正確な日数を覚えていませんが、扶桑型、伊勢型戦艦で16日、金剛型戦艦で18日の建造時間が必要です。
高レベルの正規空母が大破した場合も6日以上の入渠が必要になるため、バケツやバーナーの定期的な入手、適切な運用がカギとも思えます。

各海域はヘクサ、六角形で句切られており、ブラウザ版で言う『鎮守府海域』『南西諸島海域』がそれぞれ独立したエリアになっています。
このエリア間の移動にも『1マス移動に1日消費して』移動するため、『南西諸島海域』から『北方海域』に移動するためには3〜4日消費する事になります。
また『出撃、遠征、演習、移動』を行った艦隊は『行動済み』となり『入渠、補給』以外の一切の行動ができなくなります。
『出撃』した艦隊はその1日の間『移動も演習』も出来ないということですね。
加えて言えば『出撃、演習、移動後は編成、大型改修も出来ない』ため、1日の行動順は予めきっちり考えておかなければいけません。

さらにヘクサで句切られた各海域には『工廠ドッグ』が存在しません。
『工廠ドッグ』は『鎮守府海域』に艦隊が駐在している時のみ選択が可能なので、『鎮守府海域』に艦隊が1艦隊も駐在していない場合『建造も開発も出来ません』。
この辺りは不便ですしちょっと意味がわからないのでアップデートなどで改善して欲しいと思っているところですね。
『船渠ドッグ』は『鎮守府海域』に最大4つ、他の海域にも2〜3ほど存在しますが、『鎮守府海域』は初期で2つ、他海域は初期で1つしか使用できません。
『中部西海域』や『南西諸島海域』『北方海域』に『船渠ドッグは存在しません』ので、出撃後損害があった場合は『もう1日消費して船渠ドッグのある海域まで移動しなければいけません』。

『船渠ドッグ』を開放するキーは課金アイテムを購入する要領でポイントを消費して入手しますが、闇雲にドッグ開放キーを買えばいいというのはおすすめしかねます。
そのポイントはぶっちゃけ資材セットや輸送船建造、増設スロットや母港拡張などに回したほうが特だと私は思っているからです。
特に序盤は燃料や弾薬、開発資材、高速建造材のやりくりに手間取りますし、なにより輸送船の建造も優先したいところです。

艦これ改で一番苦心するのは、何よりもまず序盤から中盤に掛けての『資材集め及び資材運用』だと思います。
ブラウザ版『艦これ』と同じ間隔で資材運用をしていると、すぐに枯渇します。
真っ先に枯渇するのは『燃料』次いで『弾薬』です。 中盤からは特に『弾薬』の消費が激しくなります。

艦これ改の『演習』はブラウザ版の『演習』と同じく別の艦隊を仮想敵にして模擬戦が出来ます。『対抗演習』と言います。
しかし選べる艦隊はなんと『自身の別艦隊』なのです!
第1艦隊で演習を挑んだ際、演習相手となる第2艦隊の艦種やレベル、装備を調整すれば……短期間で超スピードの育成が可能なのです!
特に艦これ改では取得経験値にボーナス倍率がついているので、レベル50、2隻相手に完全S勝利を取ることができれば、5000以上の経験値を入手することが出来ます。
旗艦がMVPで完全Sなら1万超えも平気で出てきます。
はい、一回の演習でレベルが2〜3上がります。 こっちのレベルが60越えててもです。
電探持たせた空母系を相手にすれば完全に物置なので、安全に確実に完全Sを取れます。


さて、これが序盤から中盤にかけて深刻な『燃料と弾薬不足』の原因となっていますが、おわかりでしょうか?


序盤から中盤にかけての深刻な燃料と弾薬不足の原因……
それは『対抗演習よる急激なレベリングによるもの』が原因です。
はい、当然ですがレベルが上がれば燃費も悪くなります。
さらに大型改修の際『多量の弾薬と鋼材を消費』しますね?

それが原因です。

バンバンレベルが上がるのに、消費に対して収益が追いつかないんです。
金剛型の大型改修には600の弾薬が必要ですからね、慢性的に鋼材は余るんですが、弾薬の消費度は段違いです。

ただ、サクサクレベルが上がっていく感覚はブラウザ版『艦これ』ではあまり体験しにくいことなので、面白いといえば面白いですね。
ろくに艦娘も揃ってないのに主力級の駆逐艦が全員レベル80超えの改二だとか、ギャップにもほどがあります。

はい、ここで前述のドッグ開放キーの話に繋がります。
遠征でも任務でも、達成するのに2〜3から5日以上掛かる物が多く、その間収入は輸送船団の雀の涙のような資材のみ。
そんな中で資材のやりくりが滞った時に助かるのが、課金アイテムの資材セットなんです。
私は初心者なので、ポイントがあれば真っ先に資材セットを購入してます。
でないとやりくり出来ないほどレベルを上げ過ぎちゃったんです!
おかげで慢性的な弾薬不足に嘆き、未だに第一次大型改修をしていない軽巡や駆逐艦も多数……
もちろん建造や開発なんてできるわけ無いです!

とまあ、こういうふうに考えてやらなければ、艦隊運用は非常に難しく、別の言い方で言えばやり込み甲斐のある内容になってます。

艦これ改の戦闘画面には賛否両論と言うか、批判的な部分が多く聞こえていると思います。
しかし、私に言わせてもらえれば、確かに突っ込みどころはあるんですが、あれは『静止画』だからこそ際立って見えるものではないかと考えています。
実際の戦闘では動きや演出に対して物足りなさを感じる部分はあります、ですが前評判ほど酷いものかなと感じました。
まあ、あのキャラ絵で水上スキーってのはシュール過ぎる光景ですけどw

バッサリ言いますが、戦闘ではブラウザ版『艦これ』の知識は半分未満しか役に立たないと思ってください。
まず戦闘に入った際、最初に行動コマンドを選択します。
初期は3つ、旗艦のレベルが35以上で4つ、70以上で5つのコマンドボックスが開放されます。
コマンドボックス1つに付き、『接近・砲撃・雷撃・離脱・航空攻撃・対潜攻撃・回避』などの行動を指示出来ます。
艦これ改の戦闘はこのコマンドボックスに設定した行動順に戦闘行動を行います。
重要なのは『コマンドボックスに設定した行動以外は取らない』という点です。
空母を編成していても『航空攻撃』を選択しなければ開幕空爆も、戦闘中に空母が行動することもありません。
潜水艦や水雷戦隊でも『雷撃』を選択していなければ『開幕雷撃も雷撃戦』も行いません。
ソナーや爆雷を積んでも『対潜攻撃』を選択しなければ潜水艦に攻撃しません。
同様に『砲撃』を選ばず、全てのコマンドボックスに『離脱や回避』などを選択した場合、一切の戦闘行動をせず『回避』に専念します。
『離脱』の判定はシビアですが成功すれば『昼戦』をそこで打ち切る事ができます。
厄介な道中戦を『離脱』することができれば、無傷で進軍することも可能です。
コマンドボックスの数が3つだと開幕空爆と同時の開幕雷撃も出来ませんが、コマンドボックスの数が増えると『戦艦を艦隊に編入しなくても2巡して砲撃出来ます』。
最大のコマンドボックス全部に砲撃を選択すると3巡するかもしれませんが実践的じゃないので試してませんが……


このように艦これ改の戦闘は非常に考える事が多いですが、反面有利に動ける部分が非常に多いです。
『航空攻撃+離脱+離脱+離脱』で厄介な道中戦を軽微な損傷ないし無傷ですり抜けることも可能ですし、
水雷戦隊で爆雷ソナーのセットが足りてなくても『対潜攻撃×4』で強引に2巡してエリート級の潜水艦を沈めることも可能です。
『連合艦隊が存在しないので、潜水艦には夜戦でもダメージが入る』など差異もあるので覚えることは非常に多く、ブラウザ版『艦これ』との違いに戸惑うことも多いですが、
覚えてしまえばブラウザ版『艦これ』以上にサクサクと戦闘をこなすことが出来て楽しいです。
戦闘アニメーションはスピーディーですがその演出もスキップしたいという提督には『初見のボスマス戦闘以外は戦闘をスキップできる機能』も用意されています。
サクッと戦闘指示を出して戦闘結果がすぐ出るので周回も楽々ですね。
ただ戦闘をスキップすると敵編成が一切確認出来ないので、情報が出揃ってない時は控えた方がいいかもしれません。

そう、艦これ改の海域データは、ブラウザ版の艦これのものとは一致しないのです。
大枠は同じなんですが、オリョクルできない(敵編成がほぼ水雷戦隊で輸送船が少ない)とか、微妙にマップが違うようなところとか、分岐条件のほとんどが索敵値だったり、
難易度によって敵編成が変わったりとか……あと序盤からイ級後期型が出てきたり、エリートがサラッと出てきたりします。
ブラウザ版『艦これ』と全く同じ、と考えてたら痛い目を見ますよ!
まあ1−5を模したマップやキスカ島撤退作戦のマップなどの編成はブラウザ版『艦これ』と似たようなものなので全く役に立たないというわけではないですし、
暫定的ながら建造レシピ、開発レシピ等はほとんどが流用できるのではと考えられているので無駄では無いんですがね。

ブラウザ版『艦これ』と『艦これ改』では『戦闘後における艦娘のドロップ率が非常に渋く』設定されています。
本家7割に対して改では3割ほど、ボスマスでA以上の評価を取らないとその海域では一切ドロップしないというくらいドロップしません。
またイベント限定の艦娘がどこでドロップするのかの情報も少なく、建造できるのかどうかも定かではありません。
それでも、なぜか建造初期値で伊168が建造出来たりしたのでまだまだ試行錯誤が必要だと思われます。

また最初に選んだ難易度によって海域の難易度や経験値倍率ボーナス、クリア後の次週引き継ぎ艦娘の最大数が開放されたりと、やりごたえは抜群だと思います。
丁、丙、乙から選択できる難易度のうち、高難易度をクリアすれば甲難易度への挑戦、それをクリアすればさらに上の最高難易度……
さらに先行実装されたとある海外戦艦の入手も可能だったりと、ブラウザ版『艦これ』とは良い意味できちんと『艦これ』をしていると思います。
私はまだ中盤に差し掛かったばかりで、ようやく港湾棲姫と出会ったくらいでまだまだエンディングは遠いので、艦これ改の全てを語るにはおこがまし過ぎると思います。

とりあえず最後に言えることは、私は艦これ改のため『だけ』にPSVitaを購入しましたが、今のところ全く後悔していません!
ということです。


執筆者:中堅提督さん



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