女性問題・・・それは日本、いや並行世界でも共通の問題だろう。だが、俺の周りはどう考えても普通じゃねえんだよな(汗)。
これ以上問題が増えない事を願いたいが・・・・・なんだか、嫌な予感がする。
はぁ・・・面倒事はこりごりなんだけどな・・・・・ったく。
さて、いってみるか・・・。
To a you side StrikerS外伝 −見合いのDEN-O−
【Side良介】
ふぁ〜、ようやく仕事が終わった。つうか、管理局の仕事は全部が全部戦いじゃねえんだな、めんどいったらありゃしねえよ。俺が愚痴っていると、突如俺の部屋を叩く音がした。
「入っていいぞ」
俺が許可を出すと、自動でドアが開いた。そしてそこには、白髪が似合う初老の男が立っていた。
「おう、久し振りだな良介」
「お、ゲンヤの爺さんじゃねえか。また酒持ってきてくれたのか?」
俺の目の前にいるのは、ゲンヤ・ナカジマ。少し前に、はやてと陸士部隊に協力を依頼しにいった際に知り合い、割と気が合う酒飲み仲間といえる。年齢差?んなもん酒の前では関係ないね。
「おう、酒もあるんだが・・・・今時間あるか?」
「ん・・・・・まぁあるけどよ」
「んじゃ、失礼するぜ」
そう言うと、ゲンヤの爺さんは床に腰掛け、袋から酒の入った瓶を取り出した。そして、互いにコップに注いでいく。
「実はよ。今日は折り入って頼みがあるんだが」
「頼み?ゲンヤの爺さんにしては珍しいじゃねえか。アンタには酒で世話になってるから、借りは返しておきたいけどよ」
「それを聞いて助かる。実はよ・・・今度あたり、ウチのギンガと見合いをしてくれねえか?」
―――は?
「な、何言ってんだ!?誰かの陰謀かよ!?」
「いや、陰謀とかじゃねえ。実はな、上層部のボンクラ息子が、ウチの娘を気に入ったらしくてよ・・・・正直な話、あんな野郎に娘をやる訳にはいかねえんだ。んで、形だけでいいから、ウチの娘と見合ってほしいんだよ」
「・・・つまり、そのボンボンにアンタの娘には惚れてる奴がいるんだと思わせれるように噂作りの元を作ればいいと?」
「そういうこった。何せ、お前さんは管理局内じゃ有名人だからな。お前の名前を聞けば、ボンボンの野郎は嫌でも離れていくだろうよ」
「ふ〜ん・・・・・・まぁそういう事なら確かに協力しても問題はねえな。オーケー、引き受けた」
「すまねえな」
「アンタには借りがあるんだ。借りを返すだけだよ」
「それでも・・・すまねえ」
ったく、娘のためならこのおっさんはどこまでも頭を下げるんだよな。はぁ、面倒事にさえならなきゃ俺はいいんだけどね・・・。この時、俺は気付くべきだった。この会話を偶然にも聞いているバカがいたことを・・・。
さて、形だけの見合い当日となったな。一応スーツ着てくるように言われたから着てきたけど、窮屈でしょうがねえな。さて、ホテルに入るか。俺はそのまま自動ドアをくぐった。するとそこには・・・。
「ようこそお越し下さいました!」
何故か着物姿で笑みを浮かべるなのはが立っていた。
「・・・何してんだなのは?似合わないぞ」
「に、似合わないなんて言わないでくださいよ〜。任務ですよ、任務です」
「任務〜?」
「はい。いわゆる潜入捜査ってやつです。とある情報で、このホテルにレリックが運び込まれる可能性があると言われたので、ここに来ました」
「・・・機動六課の仕事なら、いつも俺呼ばれてるだろ?」
「・・・数日前に、兄さんが休暇届出したからじゃないですか」
うげ、しまったそういう事か。確かに休暇届出してたから、いきなりの仕事に対応出来なかった訳だ。
「それで、兄さんはどうしてここに」
「あ〜〜〜野暮用だ」
「野暮用・・・ですか?」
「ああ、ゲンヤの爺さんの頼みでここに来た。理由は聞くな」
「は、はぁ・・・」
「んじゃ、仕事頑張れ」
「は、はい。兄さんもお気をつけて」
「戦場に行くんじゃねえんだからよ(汗)」
俺はそう言うと、なのはと別れてゲンヤ達のいる部屋に向かって歩き出した・・・。
【Sideなのは】
「こちらスターズ1。ターゲットは予定通り到着。以後、皆はバレないように監視をお願いします。あ、もしバレた場合は、潜入捜査という形でごまかしてね」
ふぅ、本当だったんだあの話。まさか、ギンガちゃんと兄さんが・・・お見合いだなんて。
「スバル、情報ありがと」
「いえ・・・でも、なんでウチのギン姉なんでしょうか?どちらかと言えば、なのはさんとの方がお似合いな気がするんですけど」
いい事言ってくれる♪お給料少しだけ上げておくね。スバルとの通信を終え、私は皆に呼び掛けた。
「皆、特におかしい様子はない?」
『こちらライトニング1。リョ・・・・ターゲットがエレベーターに乗ったのを確認』
「了解。皆、すぐにお見合いの場のすぐ隣の部屋に集合して」
私は皆に指示を出すと、そのままパタパタと走り出した。うわーん、着慣れない服だから動きづらいよ〜。
【Side良介】
ふ〜、やっと到着だ。さてと・・・俺はそのまま、襖を開いた。そこには、ゲンヤの爺さんとその娘であるギンガが座って待っていた。
「よっす」
「おう、来たな」
「お久しぶりです。良介さん」
「しばらく振りだよなお前とは」
「はい」
「んじゃ、後は若いもん二人に任せるとするか」
「ってマテや!!いくらなんでも段取りぶっ飛ばしすぎだろ!?」
「別に形だけだから問題ないだろうが」
「あ、それもそうか」
「そんじゃ、ごゆっくり」
そう言って、ゲンヤの爺さんは部屋を出て行った。そして残ったのは、スーツ姿の俺と、振袖姿のギンガだけになった。
「にしても、お前も災難だよな。上層部のボンボンに目をつけられるとは」
「本当に災難です。でも、ある意味感謝している部分もあるんですよ」
「ん、なんでだ?」
「・・・宮本さんと話せる機会が出来たことにです。私、一度宮本さんとはお話してみたかったんです。あの時は、簡単にしか話せなかったので」
「まぁ、あんときはな。でもよ、俺と話しても楽しい事なんかねえぞ」
「そんな事ありませんよ。良介さんは管理局一騒ぎを巻き起こす男って感じで有名なんですから」
「・・・嬉しくない二つ名だな」
「ま、まぁまぁ(汗)」
ったく、どんな噂だよまったく。うだつの上がらない男なら文句はねえが、騒ぎを巻き起こすってのはどうも気に食わねえな。俺がそんな事を考えてると、俺の前にお茶が置かれていた。
「あ、お茶入れました」
「あ、わりいな・・・・・・っておい」
・・・目の前の物体、どうやら禁断のアレがあるんだが。
「・・・おいギンガ」
「え、なんでしょうか?」
「・・・なぜここにリンディ茶が置いてあるんだ?」
「え?これはフェイトさんに教えてもらったんですけど」
「な、なんですと!?」
フェイトの奴、リンディ茶を後継しやがったのか!?まずい、これは日本の伝統を壊しかねないくらいに危険だ(汗)。
「・・・しばらくフェイトの家には行かないようにしよう」
「あ、あはは(汗)」
【Side外野】
「フェイトちゃん・・・あれ飲めるの?」
「え、私は飲めたよ。兄さんは飲めなかったけど」
「というより、あれは危険度ナンバーワンの代物やで」
「そ、そうなの?」
「「「確かに(だよな)(そうですね)」」」
「あう〜(涙)」
衝撃的な事実を知り、フェイトは崩れ落ちてしまった。まぁ、アレを飲めるのは本来リンディくらいだから当然と言える。
「それにしても、ギンガと話している良介、楽しそうやな」
「うん・・・・もしかして、本当にお見合いが成立しちゃうのかな・・・」
「バ、バカな事いうんじゃねえよなのは!!リョウスケは私の子分なんだぞ!!ギンガなんかにくれてやるもんか!!」
「ヴィータちゃん。妻の私を差し置いて何を言い出すのよ!」
「・・・いい加減落ち着け二人とも」
「「そう言ってるシグナムはレヴァンティンを抜いてる(でしょ)だろうが!!」」
「あ〜も〜、三人とも落ち着いてって〜」
暴走し出すヴォルケンズを必死に止めるはやて。リンディ茶の事実を知り崩れたフェイト。ギンガと会話する良介を見つめるなのは。機動六課のエース達は、一人の男を中心に引っかき回されていた。
【Side良介】
「ん、なんか隣がうるさくねえか?」
「何かあったんでしょうか?」
「ま、触らぬ神に祟りなしってやつだな」
また面倒事じゃねえだろうな・・・そういや、このホテルに六課の面々がいるんだよな・・・なんか事件でも起きたんだろうか・・・・まぁいいや。どうせ俺は休暇扱いだし。
「そういや、確かギンガもリボルバーナックル持ってるんだっけか?」
「あ、はい。母さんの形見をスバルと分け合ってるんです。右手用がスバルで、私は左手用のを受け継ぎました」
「ってことは、ギンガは左利きか?」
「はい」
「いまいち、左腕で相手をぶん殴るってイメージが湧かないんだよな」
「まぁ、利き手が右手な人にとっては難しいんでしょうね。あと、ぶん殴るっていう表現はどうかと(汗)」
なんだかなぁ〜・・・・あ、茶がねえや。
「あ、お茶入れなおしてきますね」
「おう、悪いな」
そう言って、ギンガは立ち上がった・・・しかし。
「え・・・・・きゃあああ!!
「のわあああああああああ!!」
突如コケて、俺に覆いかぶさってきた。
【Side外野】
「・・・ギンガちゃん」
「・・・茶番はもう」
「・・・終わりやな」
ギンガが良介に覆いかぶさるのを見たエース参人は、即座にバリアジャケットを着用、己のデバイスをスタンバイさせる。
「・・・ギンガ、一度鍛え直す必要があるな」
「覚悟しやがれ・・・」
「クラールヴィント、お願いね」
己のベルカ式デバイスを構え、騎士甲冑を纏うヴォルケンズ。
「・・・宮本さん、ギン姉は渡しませんよ」
「一度、粛清の必要があるわね・・・良介さん」
明らかに戦闘モード全開なスバル&ティアナ。ちなみにエリオとキャロはオロオロして困り果てていた。まぁ、これが一般的な反応だろう。
【Side良介】
「いつつ・・・・何でコケるんだよ」
「す、すすすみません!!すぐにどきますから!!」
そう言うと、ギンガはすぐに俺からどいた。俺が起き上がりギンガを見ると、顔を真っ赤にしていた。俺みたいな男にそんな反応してどうするよおい。そんな中、突如俺達がいる部屋の襖がぶっ飛んだ。
「な、なんだ!?」
俺は驚きながらも、襖の奥を見た。そこには、バリアジャケット完全武装のなのは・フェイト・スバル・ティアナ、騎士甲冑を纏ったはやて・シグナム・ヴィータ・シャマルが立っていた。ちなみに、ジャケットは纏っていないものの、恐る恐るこっちを見るエリオとキャロがいた。つーか止めろよおまえら!!
「お、お前ら・・・・どうしたんだ?」
「どうした・・・・・ですか?兄さん」
うわ、滅茶苦茶怖いぞなのは!?フェイトはフェイトで、沈黙が怖すぎる!!
「良介、ちょっとどいてくれるか?そこにいるギンガにお仕置きせんとあかんのや」
「な、なんかしたのかギンガ!?」
「こ、心当たりがありません」
「そーかな〜・・・・・良介を押し倒した時点で分かると思うけど」
こらはやて、そのマジで怖い表情すんな!!つーかなぜそれを知ってる!?ギンガが青ざめてるじゃねえか!!ギンガに何かあったら俺がゲンヤの爺さんに殺されるんだよ!!
「ってシグナム!!なんでお前まで剣を抜いているんだよ!?お前はヴォルケンズのリーダーだろうが!?」
「すまん宮本。それとはまた別の事なのだ、許せ」
「って、まさかお前もギンガに怒ってるのか?」
「それに関してはよ」
「私たちも同じですよ」
ヴィータとシャマルもかよ!!ま、まぁいいや。どうやらターゲットは俺じゃねえ・・・・ってええ!?
「リボルバー・・・」
「クロスファイヤーーー」
「「シュート!!!!」」
んぎゃああああああああ!!何しやがんだテメエら!!マジで撃ちやがった!!
「ゴルァ!!スバルにティアナ、どういうつもりだ!!」
「宮本さん・・・・・ギン姉は渡しませんよ」
「こっちはシスコン!?」
「良介さんは一度徹底的に粛清させるべきです」
「テメエはどういう恨みだちくしょう!!」
やべえ、最強クラスの敵といっても過言じゃねえぞおい!!
(こりゃなんかヤバいな・・・ギンガ)
(な、なんですか?)
(・・・腹括れ)
(ええええええええええ!?)
さて・・・覚悟を決めるか。俺がそう言ってこっそり巻いておいたベルトにデバイスカードをかざそうとした・・・次の瞬間。
―――ドガアアアアアアアアアアアアアアアアアアン
爆発音が、ホテル内に響き渡った。
「な、なんだ!?」
「ば、爆発!?」
俺が窓を開けて下を見ると、そこには少数とはいえV型のガジェットドローンが三機、そして以前良介がアックスフォームでぶった斬ったはずの人型ドローンが存在していた。
「あれって、俺が前に倒した奴!?」
「なんでこんな所に!?」
俺とギンガが困惑していると、はやてとスターズ・ライトニングの面々に通信が入ってきた。
『た、大変です!!』
「ど、どないしたんシャーリー?」
『実はこのホテルに、レリックではないですけどロストロギアが存在していたらしく、ガジェットがそれを勘違いして襲撃をかけてきたんだと思われます』
「なんやて!?」
「・・・とりあえず、ガジェットV型は私となのは、スバルとティアナ、エリオとキャロでなんとかしよう。シグナム・ヴィータ・ギンガの三人はホテル内にいる人間の避難または救助、リョウスケは」
「あの人型だろ、任せろ」
俺はそう言うと、ベルトにデバイスカードをかざした。そして、俺は頁を開き、烈火の将へとアクセスする。
「アクセス・・・・シグナム」
そして俺は、烈火を纏うべき詠唱を開始する。
「Den(デン)-o(オー)-form(フォーム)SWORD(ソード)・・・・・・・・・変身!!」
次の瞬間、俺の身体にアーマージャケットが装着された。そしてそのまま、赤い光の塊とバリアジャケットが、火花を散らしながら俺の身体に換装された。そして俺はそのまま、窓から飛び降りてV型と人型ガジェットの前に降り立った。おーおー、機械の眼で俺を見てやがる。
「俺、参上!!」
俺は派手に名乗りを上げると、そのままガジェットたちに突っ込んでいった・・・。
「おっしゃ、行くぜ行くぜ行くぜーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
俺はデンガッシャーを握り、人型ガジェット目がけて走りだした。しかし、人型のガジェットからは避ける動作は見られない。
「AMFかよ・・・・なら、一瞬でぶった斬ればいい!!」
俺はそのまま跳躍し、デンガッシャーを振り下ろした。しかし次の瞬間、ガジェットは八又の刃へとデバイスを変化させ、俺の攻撃を防いできた。ちくしょう、またこれかよ!!
「ちきしょう!!小細工なんぞしやがって」
俺はそう言って、連続でガジェットに斬りかかった。しかし、突如八又の刃が分離し、七つの刃が襲いかかってきた。俺はなんとかそれを連続で避けたものの、六発目がヒットした瞬間、七発目が直撃して吹っ飛ばされてしまった。
「があ!!」
俺は壁に叩きつけられると、そのままズルズルと地面に落ちた。
「や・・・やるじゃねえかこの野郎」
「・・・」
「その能面見たいなツラ・・・・・・叩き壊してやるよ・・・俺の必殺技でな!!」
俺がそう言った瞬間、ガジェットはその分離した刃を一斉に俺目がけて振り下ろした。その瞬間、俺はギリギリでその刃を飛び込み前転で避けた。うへ、後ろの壁がズタズタになってやがる。南無阿弥陀仏だぜ。
「行くぜ、俺の必殺技・・・・」
デバイスカードをかざし、魔力を収束させる。そしてそのまま、ガジェット目がけて突きを繰り出した。
「物干し竿・・・パート1!!」
次の瞬間、魔力の刃がドリルの如く射出された。そしてそれは、ガジェットの職壁と激突する。
「我慢比べか・・・・・おもしれえ。俺の剣とテメエの障壁、どっちが先に砕けるか・・・勝負!!」
そう言うと、俺は更に魔力を流しこむ。ただでさえ俺は魔力が足りてない以上、必殺技に全てを賭けなきゃならねえ。魔力が尽きたら、俺に待っているのは死だけだ。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
俺は気迫と共に右手に力を込めた。込められる限りの全力を、ただ魂を込めて注ぎ込んだ。そのせいか、ガジェットの障壁にヒビが入り始めた。よし、このまま押し通・・・
―――ズキ
「なっ!?・・・・く、くそ、こんな時に!!」
突如、俺の右腕が震えだした。くそ、こんな時に限ってあん時の傷かよ!!それを見抜いたのか、ガジェットはAMFを発動し、俺の魔力で出来た刀身を消滅させた。そしてそのまま・・・
―――ズガガガガガガガガガガガガ!!
「があああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
刃を分離させ、俺目がけて集中的に振り下ろした。俺に全ての刃が直撃し終わった瞬間、俺の身体からシグナムの頁が外れてしまった。くそ、身体が動かねえ。そんな中、ガジェットは倒れている俺に近づき・・・
―――ズシン!!
「あがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
俺の右腕に全体重を込めた足で・・・・踏み付けた。やべえ、今ので右腕・・・・イッちまった。
「この・・・やろ・・・」
「・・・」
―――ゲシ!!
「ぐは!!」
倒れている俺の腹を、ガジェットが蹴り込んだ。それにより俺は吹っ飛ばされ、再び壁に叩きつけられ・・・・いや、めり込んでしまった。
「ちきしょう・・・・こんなところで・・・・終いかよ・・・」
意識がヤバくなる中、ガジェットは俺の前に立った。そして、八又の刃を上段に構えた。
(万事・・・・・休すか)
俺がそう心で呟いた瞬間、ガジェットは俺目がけて刃を振り下ろした。そしてそれは、俺めがけて・・・
「そんな事・・・・・・・・させません!!」
振り下ろされなかった。次の瞬間、ラウンドシールドを全開させて俺の前に立つギンガの姿があった。
「ば、バカ!!お前何してんだ!!」
「バカは余計です!!」
「んなこたぁいい!!テメエが死んだら俺はゲンヤのおっさんに殺されるんだ。早く逃げろ!!」
「嫌です!!」
「なんでだ!?」
「私の初恋を・・・・失いたくないんです!!」
―――な、何言ってんだ・・・・・ギンガの・・・・初恋が・・・・俺?
「そ、それこそ何言ってんだバカ!!」
「私は、今まで男の人に興味なんてありませんでした・・・でも、貴方に出会った時、私の中の何かが動いたんです。大切な何かが・・・・だから!!」
そう言って、ギンガはラウンドシールドの出力を強引に収束させて、リボルバーナックルに纏わせた。そしてそのまま、ガジェットへと・・・拳を叩き込んだ。
「貴方は・・・・・・・殺させません!!」
その瞬間、ガジェットは吹っ飛ばされ、地面を削りながら倒れ込んだ。それと同時に、ギンガはそのまま地面に倒れてしまった。
「ギンガ!!」
「大丈夫・・・です・・・・私が・・・・貴方を・・・」
フラフラになりながら、ギンガは無理やり立ち上がる。しかし、どう見てももう満身創痍、無茶をやった代償だ。その瞬間、俺の中にこみ上げるものがあった。
「なんだよ・・・まだ動く・・・まだ動くじゃねえかよ!!」
俺は無理やり立ち上がると、ギンガの前に立った。正直、右手は使えねえ。だけど、コイツなら・・・。
「ギンガ」
「は・・・い・・・・」
「テメエの決意は見せてもらった・・・・だから、見せてやる」
「・・・え?」
「俺の・・・・・・・この俺の決意を!!」
俺は左手でデバイスカードを持つと、ベルトにかざした。そしてそのまま、告げる。新たに刻まれた、俺の頁に刻まれた名前を。
「アクセス・・・・・・・・・ギンガ!!」
次の瞬間、群青色の光の塊が頁から発生した。それと同時に、俺の身体に青と白のバリアジャケットが出現する。そうか、ギンガの来ているジャケットと同じ色か。まるで空を表すバリアジャケットは、そのまま俺のアーマージャケットにまるでパズルがはまるようにすんなりと装着された。そして、俺の左腕には、ギンガと同じリボルバーナックルが装着されていた。そして最後に、俺の黒い仮面を鳥が羽ばたく時の翼を思わせる空色の仮面が装着された。
「・・・なるほど。ウイングロードで相手に殴り込む姿・・・所謂ナックルフォームってやつか・・・・いいぜ、こうなりゃトコトンまで殴り合ってやろうじゃねえか」
そう言うと、俺はガジェットと対峙するのだった・・・。
【Sideシャーリー】
「こ、これって!?」
通信室にいる私は、信じられない光景を見ていた。スクリーンに映っている電王こと宮本さんが、本来ありえないフォームに変わっている事に。
『シャーリー、どういう事なん!?』
『私たちも見てるけど、兄さんまたフォーム変わってるよ!?』
『もしかして、あれはロッドフォームかガンフォーム?』
すると、なのはさん、フェイトさん、はやて部隊長の三人が一気に通信を繋いできた。確かに、驚くのはそうなんですけど・・・私にとっては驚くべき点は違うんですよ〜。
「・・・私がプログラムした設定に、あのフォームはおそらく該当しません」
『どういう事や?』
「これは仮定ですけど、宮本さんは頁にアクセスする力で、本来存在しないフォームを作りだしたんだと思います」
『そ、それって可能なの?』
「無理とは言えませんけど・・・こんなイレギュラーは普通ではあり得ません」
『・・・・まぁ、リョウスケだらけね』
フェイトさんの言葉に、あーと納得しているなのはさんとはやて部隊長。な、納得しないでくださいよ〜(涙)。
「と、とにかく!!今の宮本さんは右腕の損傷がひどいです。誰か救援を呼ばないとマズい可能性も」
そんな中、突如別回線の通信が入ってきた。これは・・・・スバルちゃんとティアナちゃん?
『こちらスターズ3!ガジェットV型を破壊完了』
『これより、私たちが良介さんの支援に入ります』
「了解しました、頼みます」
スバルちゃん、ティアナちゃん・・・お願いね。
【Side良介】
さて、どーすっかな。右手は現在使いもんになんねーし、使えるのはこの左腕の拳だけ。しかも、まったくどんな能力か分からない新フォームだ。失敗すりゃ命ねーよな。
「んじゃ・・・・まぁなんとかすっか。ギンガ、下がってろよ」
俺が強引にギンガの前に立った瞬間、突如ガジェットは宙へと跳躍した。次の瞬間、ガジェットの居た場所にはリボルバーシュートとクロスファイヤーが叩き込まれていた。
「宮本さん、ギン姉、大丈夫ですか!?」
「良介さん、無事ですか!?」
そう言いながら、スバルとティアナが俺達に駆け寄った。うし、これで勝算が出来たぜ。
「スバル、ティアナ」
「は、はい」
「なんでしょうか?」
「いいか・・・・・ごにょごにょ」
俺が案を話すと、二人は驚きの表情を浮かべていた。
「・・・そんな無茶やって、大丈夫なんですか?」
「・・・まぁ、ある意味確実に殺るにはこれしかねえ。乗るか?」
「私は構いません。しかし」
「スバル、ティアナ。今の俺は一人分の拳じゃねえんだ。ギンガの拳も背負ってるんだよ」
俺はガジェットと対峙しながら続ける。
「後ろに下がれば、俺はギンガの想いを踏みにじる事になる。それだけはあってはならねえ。あっちゃいけないんだ」
そう言って、俺はデバイスカードをかざした。
「デンガッシャー、行くぞ」
『・・・よろしいので?最悪ジャケットが解除されますよ?』
「構わねえよ。逃げ場なしを一本勝負だ。派手に決めるぜ」
『了解。全魔力収束』
そして、デンガッシャーナックルモードに魔力が収束した瞬間、スバルは地面を叩いてウイングロードを発動させた。そしてそれは、遥か上空まで螺旋を刻むように
「よっしゃ!!」
俺はウイングロードに飛び乗ると、そのまま上へ上へと駆け上がる。それを見たのか、ガジェットは俺目がけて刃を放とうとしていた。
「させない!!」
しかしそれを、ティアナの弾丸によって防がれていた。ガジェットが防戦一方で動けない間に、俺はかなりの高度まで駆け上がった。そして、スバルに合図を送る。
「やれ、スバル!!」
「はい!!ウイングロード解除!!」
スバルの言葉に従い、マッハキャリバーはウイングロードを解除した。それと同時に、良介の落下が始まる。更にそれと同時に、ガジェットが落下する良介目がけて飛び立つ。
「予想通りだな。んじゃ、行くぜ」
俺は落下する中、ガジェット目がけて左の拳を突き出した。そしてそのまま、ガジェット目がけて落下していく。それを見て、ガジェットは刃を分離させて俺目がけて放つ。
「分かってねえな・・・・・・・“重力に逆らった”攻撃なんざ、“重力に身を任せた”攻撃にはかなわないんだよ」
そう、俺の考えた案は簡単だ。まともに正面から挑んだところで、刃で返り討ち、下から挑んでも同じ。なら、こっちが上空から攻めればいい。相手の攻撃がどれだけ強固で、頑丈だろうが機械。魔力で補助しようが物理的には重い。重い物を落とせば加速はどんどん増し、破壊力を増す。なら、俺自身が重りとなって奴に拳をぶち込めば、どれだけ硬質だろうがぶち抜ける。
「見せてやるよ・・・・・これが・・・・この風が」
どんどん加速する中、デンガッシャーに空色の魔力があふれ出し、風を取り込んでいく。そう、いかなる壁も貫ける風を。
「俺と・・・ギンガの・・・全力全開だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
次の瞬間、良介は空色の光と化した。そしてその光は流星となり、ガジェットを貫いていった・・・。
あのホテルでの一件から数日、俺は管理局内の病院に入院させられていた。ガジェットからの攻撃で右腕がヤバい状態になったので、早くても一週間、長ければ一か月はこの病室から逃げられない。はぁ、なんでこんな目に。
ーーーコンコン
そんな中、病室のドアを叩く音がした。
「・・・あいよ」
俺が言うと、ドアが開いた。そこには、私服姿のギンガが立っていた。
「おう、ギンガか」
「身体のほうは大丈夫ですか?」
「大丈夫・・・・・って言いたいところだが、シャマルに泣きつかれたくらいだからさすがに大丈夫とは言えん」
「あ、あはは(汗)」
「んで、お前の怪我はどうなんだよ?」
「あ、私の方はもう大丈夫です。任務にも復帰しましたし」
「そっか・・・・そういや、例の上層部のボンボンからの誘いかなんかあったか?」
「・・・はい」
「どうだった?ちゃんと断ったんだろ?」
「はい。こう言ってやりました」
そう言うと、ギンガは椅子に座った。そして俺と目を合わせながら、ハッキリと言った。
「私は、宮本良介さんが好きなんです。ですから、お付き合いは出来ません・・・・と」
そう言うと、ギンガは俺の頬に軽くキスした。
「な・・・・ななな!?」
「私、良介さんの事好きですから・・・それでは」
そう言うと、ギンガは病室を出ていった。その後、なのは達がやってきて頬のキスマークが誰のものかと暴走し出すまで俺の意識は固まっていた。
あとがき
あ〜・・・・入院しながら執筆という本来ありえない事態になってしまっていたweyであります。さて、外伝はしばらくお休み。次以降は本編を進めていこうと思います。ではw