今回は、ホテルで行われるオークションの護衛。
しかし、嫌な予感がする。
この右腕が軋む・・・・・嫌な感じだ。
無事、終わればいいんだが・・・。
To a you side StrikerS
−詐欺師のDEN-O−
【
Side良介】
・・・さて、まぁホテルに着いたのはいいんだが・・・・。
「シャマル」
「はい、なんですか良介さん?」
「・・・その手に持ってるタキシードはなんだ?」
「え・・・・これはですね、良介さん用の「却下」ひどい!!なんでですか良介さん〜!!」
「アホか!!んなもん似合わんに決まってるだろ!!」
そう言って、視線で皆に同意を求める俺。・・・あれ、なんでお前らため息ついてんだ?
「と、ともかく!俺は絶対タキシードなんぞ着ないからな!!」
「残念です・・・ぐす」
「嘘泣きはやめろ」
「はは・・・・鋭いねリョウスケ」
と、この声はフェイトか。
「お、フェイト・・・・・か?」
俺が振り向いた先には、黒いドレスに身を包み、化粧をしたフェイトが立っていた。俺に見られてるのに対してか、顔を赤くしてやがる。
「ど・・・どうかな・・・リョウスケ?」
「まず減点を発見」
「いきなり減点!?」
ははは、驚いてやがるフェイトの奴。んじゃま、ズバっと答えてやっか。
「黒いドレスは、フェイトのイメージと合ってるからまぁ問題はない。だが・・・」
「だが・・・」
「・・・口紅が根本的にいらん」
「・・・え?」
「口紅さえなきゃ、特に問題はない。というか、その口紅はマジで濃いぞ。似合わんからやめとけ」
「わ、わかった・・・リョウスケがそう言うなら(
////)」「いちいち顔を赤くしながら去っていくな!!」
やれやれ、フェイトの奴口紅落としに行ったな。俺の言葉程度で動揺してどうするよ・・ったく。
「随分とストレートな言葉やね、良介」
「ん、はやてか?」
俺が振り返ると、そこには髪型を変え、両耳に十字架のイヤリングを付け、白いドレスを纏ったはやてが立っていた。
「良介、ウチにも採点お願いな♪」
「いいのか、俺は辛口だぜ?」
「ええよ〜。良介好みの女性なれるならいくらでも辛口でええわ」
「意味分かんねえよ!?」
「ええから、採点して」
「へ〜へ〜・・・・とりあえずだが」
「とりあえず?」
「フェイトと同じで、口紅が論外」
「あちゃ〜、ウチもフェイトちゃんと同じ凡ミスなんや〜」
「あと追加するとな」
「追加もあるんか!?」
けけけ、同じパターンとは思うなよはやて。さて、気になる点は・・・・・と。
「耳のイヤリングだな」
「え、これって似合わへん?」
「なんつーか、はやては純日本人ってイメージが強いからな〜。ハッキリ言って、イヤリングは
NGだ」「そっか・・・」
「ま・・・・けどよ」
「ん?」
「イヤリングがないはやてなら・・・・・十分だと思うぜ。少なくとも俺はな」
「・・・・・・うん!!ありがとな良介!!」
だ〜〜〜!!去り際に照れるようなお礼はすんな!!こっちが恥ずかしいだろうが!!
「・・・兄さん」
「・・・・・なのはか」
「楽しそうですね・・・・本当に」
こ、怖えええええええ!?なんだ、振り返ったら殺されそうな気がするぞ!?けど、振り返らなかったら今度こそアウトかもしれん・・・仕方ない。
「え・・・・なの・・・・・は・・・・・・・へ?」
俺は覚悟を決めて振り返った。そこには・・・・・あれ?
「桃子?」
「違います!!なのはです!!」
「へ・・・・・・・ええええええええええええええ!?お前なのはか!?」
「間違えないでくださいよ〜〜〜〜〜!!」
「無茶言うな!!どっからどう見ても桃子そっくりじゃねえか!!」
俺の目の前のなのはと自称している奴が、どうしても桃子にしか見えん!!いや、どう見ても桃子だぞこれは!?こうなれば、新人共からも意見を貰うか。
「お、お前らもなんか言え!!」
「えええ!?・・・え・・・と・・・・・確かに・・・・・桃子さん・・・・なのはさんのお母さんにそっくり・・・ですね」
「確かに・・・・・・・あ、なんというか・・・・・なのはさんと桃子さんを・・・」
「足して二で割ったような・・・」
「感じです・・・」
俺+新人の言葉を受け、落ち込むなのは。やべ、泣かせたら色々マズイ
(汗)。
「あ〜・・・なのは」
「ぐす・・・・どうせ私は・・・」
「まぁ極論言うと・・・・・口紅以外満点だ」
「・・・へ?」
「なんて言うか、よく考えたら桃子の娘が似てない訳ないもんな。似てるとか抜きにしたらなら、口紅以外は文句をつける点はないぞ」
「・・・・本当・・・ですか?」
「ここで嘘ついても、俺に得はないぞ」
ま、損は確実にしないがな・・・・っておい!?
「な、泣くなよバカ!」
「だって・・・嬉しいんです・・・・兄さんから・・・・・似合ってるって言われて・・・」
「あのなぁ・・・」
「・・・・兄さん・・・・・ありがと
(/////)♪」「ど・・・・・どーいたしまして」
な、なんだ。なんでコイツの笑顔でドキっとしなきゃならんのだ。やっべー、小娘に見とれるなんて俺様失格だぜ・・・。
「さて・・・俺らは警備・・・・・なんで見てるんだ?」
振り返ると、そこには涙目のシャマル、ゴゴゴと般若オーラ全開のヴィータ、寡黙だが背中に感じる冷たさが尋常ではないシグナム、今すぐにでもクロスミラージュを乱射されそうな感じのティアナという睨まれたらマジで怖いメンツからの視線が、俺に向けられていた。背後を見ると、スバル・エリオ・キャロ&チビ竜の三人と一匹がガタガタ震えながら固まっていた。
「・・・俺、ちょっと周囲の警戒に言ってくるわ!!」
俺は、逃げると言う選択肢を選んだ。許せ三人と一匹、骨は俺が拾ってやる!!
「怖いよティア〜〜〜
(涙)」「・・・きゅう
(気絶)」「キャ、キャロ!?」
「クックゥゥゥ!?」
なんか聞こえるような気がするが、無視だ無視!!
さて、とりあえず警戒と言って逃げて来たのはいいが、どーするか。警備に入るまで後
30分は余裕があるし、ギリギリになったら戻るか・・・ん?
「なんだ・・・・・・迷子か?」
俺の視線の先には、黒いフードを被った女の子・・・・というかちび娘が、おろおろしながら周囲を見ていた。ありゃ、完璧に迷子って感じだな。
(
放っておいて後から何か起きたら、やばそうだし・・・・よし)
俺は覚悟を決めると、ちび娘に近づいた。すると、俺に気づいたのかちび娘はこちらのほうを向いた。警戒してるって感じはしねえな。
「よ、どした?」
「・・・誰?」
「あ〜・・・俺は一応この付近の警備員みたいなもんだな。お前、こんな所で何してんだ?」
「・・・・・・・」
げ、無表情&無言タイプのちび娘か。やりにくいんだよな〜こういう奴は。俺がどう対応するか考えていると、突如俺の服の袖を引っ張ってきた。
「ん、どした?」
「・・・はぐれた」
「はぐれた・・・・って事は、連れがいたのか?」
「・・・・・・・
(頷く)」「なんか、連れの特徴ってわかるか?」
「えっと・・・・・・髪が黒い」
「髪は黒いな・・・他には無いのか?」
「私みたいに・・・・・・・フード被ってる」
「フードっと・・・・他にはあるか?」
「・・・左手に、手甲」
「手甲?手甲ってあれか、腕につける防具みたいな?」
「・・・多分」
黒髪にフードに手甲、どんな奴だよおい。
「・・・・・あ」
「お、何か思い出したか?」
「・・・あんな感じ」
そう言うと、ちび娘は俺の背後を指差した。そこには、黒い髪にフードを被って、左手に手甲をつけた・・・・っておい!?
「本人じゃねえか!?」
「うん」
「・・・・・もういいや」
コイツ、先天的な
“芸人殺し”だ。間違いねえ!!はぁ・・・・しゃぁねえし、さっさと保護者に渡すか。
「アンタ、コイツの保護者か?」
「まぁ、そのような者だ」
「気をつけろよ。こんな森でこんなちび娘が迷子になったらやべぇからな」
「すまない。以後気をつけよう」
「んじゃ、引き取ってくれや」
俺はちび娘を目の前の男に渡した。そろそろ時間だし、戻らなきゃまずいしな。
「んじゃ、もう迷子になるんじゃねえぞ」
「・・・・・・うん」
「すまなかった」
「気にすんなよ。んじゃ、またな」
【
Sideルーテシア】
あの人・・・・私を助けてくれた・・・・・何故・・・・?
「・・・どうした?」
「んん・・・・別に」
「あの男が気になるのか?」
「なんで・・・・私を助けたのかな・・・・」
「人の中には、悪意ある人間もいれば、善意ある人間もいる。アイツは、恐らく後者の人間だろう」
善意ある・・・人。
「あの男、態度はともかく・・・・良い眼をしていた」
「良い・・・・眼?」
「ああ・・・・・恐らく、いい騎士になるだろうな」
「・・・分かるの?」
「ああ・・・・・・人というのは、眼を見ればなんとなく分かるものなのだ」
「・・・・分からない」
「いずれ、分かる時がくる」
そう言って、ゼストは私の手を握って進んでいく。そして、少し先に施設があるのを見て、ゼストは止まった。
「あれか・・・お前の探している物は、ここにはないのだろう?」
「・・・・・・・・・」
「何か気になるのか?」
「・・・うん」
私が答えたと同時に、虫が帰ってきた・・・・おかえり。私の指に止まって、見てきたことを教えてくれる。
「・・・ドクターのおもちゃが、近付いてきてるって」
ここには・・・・アレはない・・・・けど、なんでなの・・・・・ここに来て・・・・嬉しかったと・・・・・思ってるの・・・私が・・・。
【
Side良介】
やべえやべえ、急がねえとな。
『良介さん!!』
「どわ!!驚かすなシャマル!!」
『ごめんなさい。でも、良介さんの現在位置から数百メートルに、ガジェット反応が』
「なんですと!?」
『現在、そっちにシグナムとヴィータちゃんが向かってます。なんとか合流するまで、持ちこたえてください!!』
「いきなり最悪だな畜生!!」
シャマルとの通信を終えると、俺は即座にベルトを腰に巻いた。そして、シグナムの頁にアクセスする。
「
Den(デン)-o(オー)-form(フォーム)Sword(ソード)・・・・・・変身!!」
次の瞬間、俺の身体を黒いアーマージャケットが覆い、その上から赤いバリアジャケットが火花を散らしながら装着される。そして最後に、黒い仮面を覆うように、赤い仮面が装着され、桃が割れるように展開された。
「俺、さんじょ≪バシュン≫あっぶね!!」
俺様がカッコいい名乗りを上げようとした瞬間、茂みから姿を見せたガジェットドローンが攻撃を仕掛けてきた。バカ野郎、名乗りを邪魔しやがって!!
「上等だこの野郎!!行くぜ行くぜ行くぜーーー!!」
俺は即座にデンガッシャーをソードモードにして手に掴み、敵目掛けて突っ込んだ。そしてそのまま、胴を斬るように横に回避すると同時に斬撃を加えていく。
「おらおら、どしたどしたこの野郎!!」
体当たりを仕掛けてくる奴を、ヤクザ蹴りで蹴り倒し、そのままデンガッシャーを突き刺した。しかし次の瞬間、そのタイミングを狙ったのか俺目掛けて上空からガジェットV型が落下してきた。
「や、やべえ!!」
俺がダメージを覚悟した瞬間、突如としてガジェットが真っ二つに切り裂かれた。俺が驚きながら前を見ると、見慣れた桃色のポニーテールが視界に映った。なるほど、また助けられたぜ。
「貸し1だな、宮本」
「確かに、今のは助かったわ・・・シグナム」
背後は任せるぜ、ヴォルケンリッターが将・・・・シグナムよぉ!!
【
Sideシグナム】
久々だな・・・宮本と背中合わせに戦うのは。
「悪いなシグナム、助かった」
「上にも気を配れ。剣士たるもの、いかなる敵であろうと斬るのが仕事だ」
「厳しい師匠なこって」
「ふふ・・・」
ミヤモトと背中合わせの会話。明らかにガジェットに囲まれてはいるが、まるで危機感を覚えん。これも、信頼できる者が後ろにいる故・・・か。
「さて・・・・宮本、お前はこの状況下を、どう乗り切る?」
「んあ?」
「敵は大勢、味方はわずか。まさに今がそういう状況だ。お前なら・・・どうする?」
さて、どう答える・・・宮本。
「シグナム」
「なんだ?」
「俺はな、最初から最後までクライマックスなんだよ」
「・・・・ほぅ」
「下がるなんて論外だ・・・・・・・全員まとめて・・・・・・・叩き斬るのみ!!」
「・・・・同感だ!!」
それでこそ、私が背中を預けるにふさわしい男だ。
「んじゃ、行くぜ」
「遅れを取るなよ」
「当たりめえだ」
「・・・行くぞ」
「おうよ!!」
命無き機械の兵よ・・・・・・武士(もののふ)の力・・・
「俺の必殺技・・・・」
「紫電・・・・・・・」
今、見せてやろう!!
「パート3!!」
「一閃!!」
私と宮本の技が同時に発動した次の瞬間、周囲を囲んでいたガジェット十数体が、バラバラに切り刻まれ、爆炎と共に散った。
「へ・・・決まったぜ」
「ふむ・・・」
やはり、私が背中を預けられる男は・・・宮本だけだな。私は微かにだが、自分が笑みを浮かべたのを感じていた。
【
Sideルーテシア】
施設の様子を見てたら・・・・ドクターが通信をしてきた。
「御機嫌よう・・・騎士ゼスト、ルーテシア」
「御機嫌よう」
「・・・何の用だ?」
「冷たいね。近くで状況を見てるんだろう?」
相変わらず、ドクターはなんでもお見通しなんだ・・・。
「あのホテルにレリックはなさそうなんだが、実験材料として興味深い骨董が一つあるんだ。少し協力してはくれないかな?」
・・・ゼスト、嫌な顔してる・・・。
「君達なら、実に造作も無い事のはずなんだが」
「断る。レリックが関わらぬ限り、互いに不可侵を守ると、決めたはずだ」
「・・・ルーテシアはどうだい?頼まれてくれないかな」
「・・・いいよ」
「優しいなぁ・・・・ありがとう。今度是非、お茶とお菓子をおごらせてくれ。君のデバイス【アスクレピオス】に、私が欲しい物のデータを送ったよ」
「うん・・・・・じゃぁ、御機嫌よう・・・ドクター」
「ああ、御機嫌よう・・・吉報を待っているよ」
通信が切れた。私がフードを脱いでいると、ゼストが話してくる。
「いいのか?」
「うん・・・・ゼストやアギトはドクターの事嫌いだけど、私はドクターの事・・・・あんまり嫌いじゃないから」
「・・・そうか」
「・・・・・ただ」
「ただ・・・・なんだ?」
なんでだろう。さっきの男の人が・・・・・・。
「さっきの人・・・・・・巻き込まれてないなら・・・・・いいけど」
「・・・確かに、巻き込まれて無い事を・・・願うしかないな」
「・・・うん」
私は、召喚陣を展開した。
【
Sideティアナ】
「・・・これって!?」
「どうしたの、キャロ?」
「近くで・・・誰かが召喚を使ってる」
まさか、敵側にも召喚士がいるっていうの・・・・ん、あれって!?
「来ます!!」
キャロの言葉と同時に、複数の召喚陣が展開された。その中から、ガジェットT型が複数と、V型が一体。
『こちらロングアーチ。ティアナ、聞こえる』
「はい!!」
『そっちに行ったガジェットなんだけど、どうやら有人操作に切り替わったらしいの。宮本部隊長が合流するまで、なんとか持ちこたえて!』
「了解!!」
相手が自動じゃないって事は、普通に仕掛けたんじゃ命中率は低いまま・・・・どうする・・・・考えるのよ・・・ティアナ・ランスター。
(
そうだ。スバル・エリオ・キャロ)(
何、ティア?)((
なんですか?))(
私がシルエットでガジェットを混乱させるから、その隙にキャロはスバルとエリオにブーストによるサポートをお願い。キャロに向かってくるのは、私とちび竜でなんとか落とすから・・・スバル)(
ぶん殴ればいいんだよね!!)(
エリオ)(
貫いて見せます!!)(
オーケーいい返事よ。それじゃ・・・・クロスシフト・・・S&L・・・レディ・・・・)(((
ゴー!!!)))
私は合図と同時にシルエットを展開させ、ガジェット達へと近付ける。
(
キャロ、二人へとブーストにかかる時間は?)(
一分くらいです)(
なるべく急いでね)(
は、はい!)
私のシルエットに加え、スバルによるウイングロード&エリオのソニックムーブによるかく乱が功を奏しているみたいね。
(
キャロ、残りは!?)(
あ、あと15秒です)
そう言ってると、突如一団を抜け出して一体のガジェットがキャロ目掛けて襲い掛かってきた。
「ちび竜!!」
「ククァァァ!!」
ちび竜のブラストフレアで僅かに出来た隙間に、私はクロスファイヤーを一発のみ叩き込んだ。それにより、なんとか貫通したクロスファイヤーがガジェットを破壊した。後は頼むわよ、三人とも!!
「ツインブースト!スラッシュ&ストライク!!」
キャロの放った桃色の魔力が、スバルのリボルバーナックルとエリオのストラーダに纏われる。さぁ、ぶっ飛ばしてきなさい!!
「一撃・・・・・必当!!」
「一閃・・・・・必中!!」
二人の魔力が収束されていく・・・・・今よ!!
「ディバイン・・・・バスターーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
「でええええええええええりゃああああああああああああああああ!!」
次の瞬間、青の拳と金色の槍がガジェットを粉砕した。
「やった!!」
「やりました!!」
私がキャロを呼ぼうとして振り向いた時、私は後悔した。残滅した敵の中に、V型ガジェットがいたかを確認する事を。そう、キャロの後ろに、今にもキャロに襲い掛かろうとしているガジェットV型の姿があった。
「キャロ、逃げて!!」
私は叫んだが・・・・・もう・・・・・・・間に合・・・・
「があああああああああああああああああああああああああ!!」
・・・・った!?りょ・・・・良介・・・・さん!?
「キャロ、下がって!!」
「は、はい!!」
私はすぐに駆け出すと、良介さんの右腕にガジェットが叩きつけた触手目掛けて弾丸を放った。
AMFで弾かれたが、ガジェットはすぐに後ろへと下がった。
「良介さん!!」
【
Side良介】。
ち・・・きしょう・・・・・急いで戻ってみれば・・・・このざまか・・・・。
(
AMFが強いじゃねえか・・・・どうする・・・・右手が使えないんじゃ・・・・剣も斧も使えねえ・・・)
俺はどうこのガジェットを倒すか考えた。すると、何故かふと四次元殺法の使い手である自称俺の奥さんを思い浮かべた。
(・・・・やるしかねえ・・・・・・賭けだ!!)
俺は左手にデバイスカードを掴むと、シグナムの頁を解除した。そして、通信で次のアクセス相手に話しかける。
「シャマル」
『りょ、良介さん!!すぐに私が向か「お前の力・・・借りるぞ」・・・え?』
俺はデバイスカードを掲げると、別の頁にアクセスした。
「アクセス・・・・・・・
シャマル!!」
次の瞬間、黒いアーマージャケットの上に青色のバリアジャケットが装着された。そして、黒い仮面の上に、赤い複眼を持ち、二本のツノを生やした亀の甲羅を思わせる青い仮面が装着された。
「これが・・・・・ロッドフォームか・・・・・よし、一気に決めてやる」
俺がデンガッシャーを放り投げると、デンガッシャーはロッドモードへと変化し、俺の左手に握られた。そして、デンガッシャーを軽く宙に投げた瞬間、デバイスカードをベルトに掲げた。
「行くぞ、デンガッシャー!!」
『了解、全魔力収束』
それを聞いたと同時に、落下してきたデンガッシャーを掴み、ガジェット目掛けて投げた。それを見たガジェットは
AMFを展開するが・・・・しかし。
「シャマル必殺の四次元殺法の前では、バリアなんぞ無駄だーーーーーーーーーーーーーーー!!」
次の瞬間、旅の鏡が発動され、
AMFによるバリアを通り越し、本体に直接デンガッシャーが突き刺さった。それにより、六角形のバインドが形成される。
「喰らえ・・・・・俺様キック!!」
次の瞬間、俺が繰り出したキックがガジェットを貫いた。そしてそれと同時に・・・
「ぐ・・・・ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
“騙して”いた右腕の“痛み”と“記憶”が、俺に襲い掛かってきた。それにより、俺の意識は遠のいていった・・・。
【Sideティアナ】
ホテルアグスタの任務から数時間後、私とスバル、エリオとキャロは六課の医務室の前にいた。
「宮本さん・・・・大丈夫かな・・・・」
「大丈夫ですよ・・・・・」
「・・・・・」
「信じよう・・・キャロ」
「・・・うん」
三人はなんとか互いに励ましあっているが、私は駄目だった。どうしても、あの時の光景が記憶から消えない。
(私が・・・・・もっとしっかりしていれば・・・・・・良介さんは・・・・・・・・)
今の私には、ただ待つしかない。良介さんが、無事に帰ってくる事を・・・。
≪プシュー≫
すると、突如医務室のドアが開いた。私やスバルたちがドアを見ると、そこには白衣を着たシャマル先生が出てきた。
「あの・・・シャマル先生」
「宮本・・・さんは?」
「大丈夫。右腕のダメージは私のヒーリングで完治したわ・・・ただ」
「ただ・・・なんですか?」
エリオの問いを聞き、シャマルはなんとも言えない表情をしていた。
「あの・・・シャマル先生?」
「精神的なダメージが・・・・大きいの」
「精神的・・・ダメージ?」
「あのガジェットは、何か特殊な力があったんでしょうか?」
「いえ・・・・そうじゃないの・・・・・その・・・」
シャマル先生が言いづらそうにしてる・・・・一体何が・・・。
「シャマル」
すると、突如シャマル先生の名前を呼ぶ声がした。私たちが振り返ると、そこには・・・。
「ヴィータ副隊長・・・」
シャマル先生よりは多少表情が暗くないヴィータ副隊長が立っていた。
「・・・ヴィータちゃん」
「話してやろうぜ・・・・あの日のこと・・・」
私たちは、ヴィータ副隊長に連れられ、モニタールームに来ていた。そこには、シグナム副隊長やザフィーラ、シャリオさんやヴァイス陸曹も集合していた。
「・・・今から8年前、アタシとなのは・・・そしてリョウスケは、とある任務に出ていた。いつも通りの任務で終わるはずだった・・・・けど、そこで一つの問題が起きた」
ヴィータ副隊長は一呼吸置き、再び話し出した。
「異世界での操作任務の帰り・・・・不意に・・・・未確認体が出現したんだ。そしてその未確認体は、度重なる疲労が重なっていたなのはに襲い掛かりやがった」
ヴィータ副隊長の手が・・・・震えてる。
「アタシも、あん時は反応し切れなかった・・・・・間に合わないと思った・・・・けど、リョウスケは間に合った・・・・・けど」
次の瞬間、ヴィータ副隊長は拳を机に叩きつけた。
「なのはを庇って・・・・・・リョウスケは・・・・・・・重傷を負ったんだ。そしてその結果・・・・こうなった」
ヴィータ副隊長がシャマル先生に何か伝えると、シャマル先生はモニターのボタンを押した。すると、そこには・・・・・・・・・・集中治療室で・・・・・・・・・・・右肘から下が“存在していない”良介が寝かされていた。
「こ・・・・これって・・・・」
「スバル・・・・・お前、そのリボルバーナックルをつけてる腕が無くなる感覚・・・・分かるか?」
それを聞いて、スバルが顔を青ざめている。つまり・・・・・・良介さんは・・・・。
「ティアナ、お前の考えている通りだ。リョウスケは一度・・・・・・・右腕を“斬り落とされた”んだ」
嘘・・・・・・・でしょ・・・・・・・。
「その後、斬り落とされた右腕をなんとか回収して、持てる限りの医療技術とシャマルのヒーリングを駆使した結果・・・リョウスケの腕は一応完治はしたんだ・・・けど、その出来事はリョウスケのトラウマになっちまった。そして少しでも腕を斬り落とされた時の記憶が蘇ったら、リョウスケの腕に、あの時の痛みがリバースされちまうんだ」
・・・私は、辛くて・・・悲しかった。どうして、無愛想で、意地悪で、無茶をするけど、周りを楽しくしてくれるあの人が、そんな痛みを背負っていかなければならないのかと・・・。
【Side良介】
ん・・・・・・あれ、俺はどうしてたんだ・・・・・・なんでだ、身体が重いぞ。
「ったく・・・なんでおも「兄さん!!」「リョウスケ!!」うごぉ!!」
い、痛てててててててて!!重いぞお前ら!!
「あ、ごめんなさい兄さん」
「俺・・・・なんで寝てるんだ?確かホテルアグスタで戦ってて、それで」
「リョウスケ、右腕にダメージを受けて気を失ったの。それで、任務が終了したのを確認と同時にリョウスケを六課の医務室まで転送したの」
「・・・・そっか。あん時の傷か」
俺は上半身だけ起こすと、黙って右腕を見た。まだ僅かとはいえ、震えている。すると、なのはが右手に触れながら、泣き出した。
「・・・なんで泣くよ?」
「だって・・・・私があの時・・・・・・・もっと注意していれば・・・」
あ〜あ〜、いちいち責任感じるなよまったく。仕方なく、俺はなのはの頭に手を乗せた。そして、まだ多少乱暴だが撫でてやる。
「責任感じるなら、その分俺のために出来る事でもしてみろ」
「兄さんのために・・・出来る事?」
「おう」
「・・・じゃぁ、兄さんの好きなご飯作ります・・・・愛情をいっぱい込めますから?」
「・・・愛情より味優先な」
「そ、そんな事いわないでくださいよ〜」
俺がやれやれと思っていると、フェイトがもう片方の腕に抱きついてきやがった。
「・・・じゃぁ、私はリョウスケの身の回りの世話をするね」
「いらん」
「クス・・・リョウスケはそういうけど、私は勝手にやるから♪」
「・・・十年前に比べて、自分勝手さが増えたな」
「リョウスケに関する事限定だよ♪」
そんなこんなで、また俺はなのはとフェイトに揉みくちゃにされるのだった。さらに言えば、騒ぎを聞きつけたヴィータ達にまで更に揉みくちゃにされ、ボロボロになったのはいうまでもないだろうな。
【Sideはやて】
―――コンコン
「どうぞ」
私が答えると、ドアが開いた。そして、私の目の前で一人の男性が止まった。
「お呼びでしょうか?八神はやて部隊長」
「クス・・・ウチらは付き合い長いんやで、敬語はなしでええよ」
「・・・それじゃ、はやてさん。どしたんスか?」
「今日の事件の内容、聞いてる?」
「まぁ、それなりには」
「今回の件で、良介だけじゃ遊撃部隊として厳しい事が分かった。やから、○○○○君にも戦って欲しいんよ」
「・・・現場スか」
「○○○○君・・・辛いのは分かってる。けど、これを使えるのは、○○○○君だけなんや」
そう言って、ウチは引き出しを開けると、そこから緑と黄色のラインが入ったベルトを取り出した。
「お願い・・・・出来へん?」
「・・・」
「・・・」
「確かに・・・・アイツのフォロー出来て、そのベルトを装着出来るのは現時点で俺だけですからね」
「・・・やってくれるんか!?」
ウチは思わず、机を叩きつけるように立ち上がった。あちゃ、驚いてる・・・反省反省w
「それじゃ・・・お願い出来るか?」
「・・・やりますよ。何せ、はやてさんの頼みですし。あ、一度シグナム姐さんと模擬戦をしないとな」
「それに関しては、ウチが伝えておくよ。それじゃ、お願いな・・・・・・・“ヴァイス”君」
あとがき
いや〜久しぶりの投稿。就職活動に苦しみつつなんとか書き上げました。あ、この作品を見た後に劇場版を見ていただけるとうれしいです。
さて、次は劇場版ですが・・・・・本当に最初から最後までクライマックスで行くと思います。では、劇場版をお楽しみくださいw