#59 女神の嫉妬





「オレはこのSBRレースで、いつも最短の近道を試みたが――

一番の近道は「遠回り」だった』

『遠回りこそが、俺の最短の道だった』


『この大陸を渡ってくる間、ずっとそうだった。

そしてお前がいたから――その道を渡って来れた』





ジャイロ・ツェペリが託した、ジョニィへの最後の言葉――『LESSON5』
それは彼らの旅で得た全てを現したものであり、苦難を乗り越えたからこそ伝えられる実感だった。
対峙する、ジャイロと大統領。
ジャイロの放つ「騎兵の回転」は「楕円球」の不完全な回転となってしまい、
大統領と聖者の遺骸の能力を前に、遂に倒れてしまう。
彼は決して間違えていなかった。最善を尽くし、最高を求めて、全力を尽くした。
「レースの優勝」という結果だけを求めず、到達した「男の世界」を見据えながら決闘に臨んだ。


勝敗を隔てたのは、"偶然"――ネットにはじかれたボールは、手前に落ちてしまったのだ……


ジャイロは生死不明の重体。
彼が落としてしまったボールを手にしたまま、ジョニィは絶望に震え上がる。
追い続けた男の背が落ち、彼に根強く残る弱さを浮き彫りにしてしまったのだ。

大統領に追い詰められた彼の脳裏によぎるのは走馬灯――これまでの旅の、軌跡。

ヴァルキリーの鞍の上に「勝利の女神」が乗っている為、女性を乗せないと公言していたジャイロ。
ジョニィは冗談混じりで、自分の「勝利の女神」はルーシーだと笑っていた。
それもまた論理的だと、ジャイロも笑っていた――旅の途中の、束の間の会話。

未だかつてない絶望、絶対的な能力を持つ大統領。
爪弾も通じず、片腕を失ったジョニィに勝利の女神は微笑むのか……?



来月がこれほど待ち遠しいと思った回はありません。予想外であり、見事な展開でした。
ツェペリ家の宿命を考えると、ジャイロの命運が危ういですが生き残って欲しいです。
ジョジョシリーズは力技が可能なので、何とかなって欲しいですね。


『LESSON5』の答えとは……?



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