ウィザーズ・ブレイン
ウィザーズ・ブレイン
概要
21世紀末に人口問題解決のため、外部環境に影響されず、完全自給自足の生活環境を提供し、
1,000万人が生活できるドーム型の積層都市「シティ」が世界各地に建造され、
行政単位がシティごとになったことに伴い全ての国家が消滅した世界。

西暦2186年5月14日、大気制御衛星の原因不明の暴走事故によって、遮光性の気体が大気中にばら撒かれた。
太陽光が届かず、気温は氷点下四十度というあらゆるものが死に絶えた大地で、
残された僅かな地熱発電などを頼り人々は細々と生きていた。
変わり果てた地球で、人類は滅亡の危機に直面している。
また、厳しい環境の影響を受けない「シティ」も、かつては2048もあったが衛星暴走事故とそれに続いた大戦によって、
終戦後にはわずか7つにまで減少していた。


第7回電撃ゲーム小説大賞銀賞受賞作品


レビュー

超々高性能の計算速度を持つ生体コンピューター『I-ブレイン』を脳に持ち、
世界の情報を書き換える事で物理法則すら超越する能力者『魔法士』たちが織り成す物語
正義vs悪といった構図ではなく、それぞれの主人公たちが立場、理想、成り行きなどからぶつかりあいつつも、
世界の在り方に対し悩み、もがき、抗っていく。 本作のテーマともいえる問いがこれ。

・99を救う為に1を切捨て犠牲にするのか , 1を救う為に99を切捨て犠牲にするのか…
それを象徴するような本編中の一言

「世界中の人間が助かるような都合のいい答えがあるのなら――言ってみろ!」

普通のラノベに比べ主役級の登場人物が多いが、それぞれが持つ能力も面白く、生い立ちや性格などもとても魅力的で素晴らしい。
内容については最高!の評価を与えたいのだが、唯一つ欠点がある。
刊行ペースがとてつもなく遅いこと(1年に1エピソード)。

これがなければA評価だったのに…


執筆者:フェライトさん



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