ヴァンドレッド the second stage連載「Eternal Advance」




Chapter 20 "My Home Is Your Home"






Action30 −工画−








「調査に参加させて下さい」


 次の日――地球より奪取した母艦の本格的な調査を行うべく、マグノ海賊団の重鎮が現場へ視察に訪れた。

マグノ海賊団のお頭マグノと副長のブザム、出迎えたのは同格の幹部であるガスコーニュ。現場に派遣された面々はガスコーニュと並んで立っている。

その中に首を揃えていたミスティが自ら進んで前に出て、マグノとブザムの前で宣言して頭を下げる。率直にして実直な、調査続行の希望。


昨晩覚悟を問い質した返答であるというのであれば、聞き返す無礼など犯さない。


「いいさ、此処はお前さんの領分だ。好きにやってみな」

「ありがとうございます。全部、丸裸にしてやりますよ」

「いい心構えだね。お前さんを団入り出来なかったのは、今でも惜しいよ」

「あはは、海賊には多分向いていませんよ。荒事は嫌いなので」


 大勢の荒くれ者達を率いる頭目を前に、堂々と冗談まで言える気質は大したものだと言い切れる。ブザムも感嘆の息を漏らしていた。

今回の調査は主に2つ、メインシステムと不完全生体区画。母艦の機密と地球の秘密が隠された場所、どちらも確実に調査を行わなければならない。

どちらも既に人の手が加わっているが、確実性は必要だった。


「BC、お前さんはパルフェ達とシステムを調べに行っておくれ。アタシは坊や達と懐かしき地球の調査に行ってくるよ」

「分かりました、お気をつけて。道中の護衛と案内は頼んだぞ、メイア」

「ラジャー、パルフェは副長のご案内と説明を頼む」

「了解、ソラちゃんも連れて行くね」

「マスターの許可を頂いて下さい」

「オッケーだって」

「まだ何も言ってないぞ!?」

「昨日と同じく、ノリで断れても困るから」


 敢えて別チームにする必要性そのものはさほど無いのだが、大勢を連れてズラズラ見回るほど暇でもない。効率を重視するべきだった。

マグノはシステム関連に疎くはないが関心を寄せるほどではなく、システムにも精通したブザムに一任。

ブザムもお頭との同行を求めてはいたものの、地球に関する知識はまだまだ足りない。調査に望んでも、カイ達を超える指揮は取れそうになかった。


幹部が別行動するのであれば、調査員も班分けしなければならない。昨日と同じで問題はないのだが――


「お前らはどうするんだ、バート。子守をするのであれば、こっちには連れて行けないぞ」

「何だと、この野郎。保護者の分際で、アタシを置いていくつもりか」

「臓器が保管されているかもしれない場所をもう一度見たいのか、ツバサ」

「……遠慮しとく」


 勝ち気な少女も、スクラップ趣味は持ち合わせていない。怖いとかそういう感覚とは別次元で、近寄りたくなかった。

友人であるツバサが嫌そうな顔をして首を振るのを見て、シャーリーもホッとする。病院に似た雰囲気のあるあの区画は、苦手だった。


子供達が行かないのであれば、保護者としても置いてはおけない。


「だったら、僕達はドゥエロ君の所へお邪魔しようかな」

「かまわないが、今日一日作業となるぞ。あまり騒がないようにしてもらいたい」

「うっ……激しく邪魔になりそう」


 シャーリーという保護対象が出来て、バートも周りを少しは気遣えるようになってきている。自分を優先した考え方を改めて来ているのだ。

その上で、自身の行動や思考を予め想定できるようになってきた。暇になれば好き勝手に行動したり、お喋りしてしまう自分を。

子供達を連れて行けば、騒がしさは加速的に増していくだろう。副長に怒られる姿を想像して、我ながらげんなりしてしまう。


どうせなれば、憧れの副長に役立つ仕事がしたい。


「副長さん、是非とも僕達に任務を頂きたい!」

「ほう、いい心掛けだ。必要な人材も揃っている。ちょうどいい、お前達はこの母艦のナビゲートに取り掛かってくれ」

「ナビゲート……?」

「システムを初期化したパルフェが本日、必要なデータの復旧と新システムの導入に取り掛かる。
マップデータを構築したらピョロに転送するので、母艦全域の把握に努めてくれ」

「この母艦全体の!?」


 ――目が回るほど広く、地道かつ困難な作業である。無駄に広大な上に、使用されていない無駄なスペースが多すぎてマップもかなり大雑把なのだ。

不幸中の幸いなのはタラークの軍艦やメジェールの海賊船と違って、人が出入りしない構造なのでさほど入り組んでいない点だ。

大雑把に区画を分けられている分、何処に何があるのかある程度の推察を前提に行動できる。それでも目眩がするほど、大変なのだが。


子供達にいい所を見せる機会なのだが、仕事量と比較すれば大きな功績とは言い難い。


「こ、この母艦、端から端まで行けば、相当な距離があるんですけど……」

「お前、昨日は全力レースをしていたじゃねえか」

「世の中、勢いというものがあるんだよ!」

「そんな事をしていたのかい、あんた……だったらちょうどいい、その無駄な体力を思う存分発揮しておくれ」

「お頭まで推奨してる!? ああ、運搬車まで用意しないでくれよ!」


 昨日バートが運転していた運搬車に、喜々として乗り込んでいるツバサとシャーリー。子供達はピクニック気分だった。

施設の把握と聞くと仕事だが、母艦の探索と言い換えると冒険だ。何があるのか想像するだけで、ワクワクさせられる。

嫌がっているのはバートだけで、ピョロどころかあのユメまで命令を聞き入れようとしている。


人外達のやる気ぶりに、バートは懐疑的な目を向ける。


「君達、どうしてそんなにやる気なの?」

「ナビゲートはピョロの仕事。こんなの、当たり前だピョロ」

「ますたぁーと一緒に行きたいけど、人間の臓器なんて見たくないからパース。母艦のシステムに触りたくないから、ソラとも行かなーい。
仕方ないから、リーダーとしてあんた達の面倒を見てあげるわよ」

「うごごご、子供達って元気だな―」


 断れる雰囲気ではないと察して、バートは肩を落とした。相変わらずやる気がなさそうな態度だが、お頭やブザムは微笑ましく見つめている。

やる気がなければ愚痴や文句ばかり零していた彼も、子供達が絡めば渋々であっても仕事をやろうとしている。

まだまだ半人前で大きな進歩ではないのだが、急激な成長をする人間ばかりではない。一歩ずつ進んで行けていれば、それでも進歩なのだ。


今まで多くの人間を育て上げた二人からすれば、バートはヒヨッコなりに可愛い部下であった。



「役割分担は決まったね。それじゃあ皆、取り掛かっておくれ!」

『ラジャー!』



 こうして地球の母艦について、本格的な調査と分析に乗り出したマグノ海賊団。今日この日、正式に地球の戦力から一つの巨大な戦力が消え去った。

残されたのは、希望――絶望を与える恐怖の船が、希望の光に照らされて新しく復活する。























<to be continued>







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