VANDREAD連載「Eternal Advance」





Chapter 3 −Community life−





Action12 −土壇場−




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 宇宙のある一画で、大いなる閃光が出現する。

カイの蛮型とディータのドレッドがマーカーラインで接触したその時、両機はそれぞれが光を放出したのだ。

搭乗者であるカイとディータが驚く間もなく、二人の意識は深層で溶け合っていく。

蛮型はそのまま急速接近し、ドレッドの上部で一時停止をする。

そこへドレッドがコックピットを垂直に移動させ、先端部分の装甲が滑らかに下方へスライドされていく。

青緑色のエネルギーが四方に乱舞し、両機を優しく包む。

発散された光に繋がれた二つの機体は互いを引き寄せあい、蛮型はドレッドの先端スペースに収納される。

内部に蕃型を取り入れたドレッドは輝きを強め、機体そのものが変化を始めた。

機体をくるりと回転させ、ペークシスに取込まれた事により改良された機体の表面が歪む。

歪みから波立ち、そして再生化されたように、ドレッドの左右部分より力強い腕と足が出現する。

同時に背後からはクリスタル柱が二対飛び出して、それぞれがキャノン化されてコンパクトに装備される。

仕上げにカイの蛮型を模倣させる顔が精製され、ドレッドは一体の巨人へと生まれ変わった。

標準的なバランスが生かされている人型の新しい機体。

ディータ機の攻撃主体装備が生かされた、二体目の合体機誕生の瞬間であった。















「な、なんだ・・・これは・・・?」

「俺に聞くなよ・・・」

「すっごい〜、すっご〜い!!何これ!」

「だから俺に聞くなっつーの!あ、こら動くな!」


 合体された事により変化したのは、外装に止まらない。

内部のコックピットはハッチが何重にもコーティングされており、中のパイロットの守備に役立っている。

シートも以前と同様に新しくなっており、中央に画面の広いマルチスクリーンが搭載。

タイプは複座式となっており、ディータが前に、カイが後ろに着席される仕組みになっていた。


「あはっ♪宇宙人さんの温もり、背中から伝わってくるよ」


 ご機嫌な様子で、ディータは後ろを向いてカイに微笑みかけた。

純粋な笑顔と発言に、カイは真っ赤になって口を開いた。


「ば、馬鹿野郎!何言ってるんだ、お前!?
ってぐああ!!青髪、狭いんだから押すんじゃねえ!」

「黙れ!お前こそ離れろ!!」


 カイの蛮型に共に搭乗していたメイアも、合体時の変化に巻き込まれていた。

なだらかな曲面上のシート最後方に設置された形でシートに固定されており、

必然的にカイの背中に寄り添うスタイルで、メイアが位置する事になる。

普段から他人との接触を嫌う上に男を敵対化する教育、さらには普段からもめあっているとあり、

カイへの一つ一つの要素が重なり合って、メイアは激しい拒絶と嫌悪感を感じていた。

力ずくで引き剥がそうと、メイアはカイの背中を押し続ける。


「苦しいから押すな!どうにもならんだろうが!」

「何なのだ、この変化は。どうしてディータがコックピットに・・・・」


 初めての合体時を覚えていないメイアは、悩ましげな表情を彩る。

そこへ聞いていたディータが怪訝そうに進言する。


「リーダー、これってディータと宇宙人さんの船が合体したんですよ!
宇宙人さんの相棒さんはリーダーとだけ合体するんじゃなか・・・もごもごっ!」

「ははは、余計な事は言わないようにね赤髪君」


 今でも混乱しているのに、以前カイと合体した事実がばれては更なる追求が待っている。

そう判断したカイはすんでの所で、ディータの口を塞いだ。

断片情報のみしか聞き取れなかったメイアは怪訝そうに眉をひそめ、周りを見渡した。


「男と女の船の合体。これもペークシスの影響なのか・・?」

「多分そうだろう。俺の機体も変わってたからな。
案外変形したのは、この合体をするための奇跡だったのかもしれないぜ」

「馬鹿な、なぜそんな事をする必要がある」

「知らねえよ。男の勘だ」


 ペークシスの暴走により取り込まれてしまった蛮型にドレッド三体。

それぞれが改良化された真意は謎のままであり、知る者は唯一原因であるペークシスプラズマのみ。

どうやらペークシスにはさまざまな謎が眠っているようである。


「んな事より、お前大丈夫か?」

「え?」

「取り残されたんだろう?怪我とかしてないのかって聞いてるんだ」

「あ、うん。ディータ、元気だよ。ほらほら」


 カイの気持ちが嬉しかったのか、必要以上に明るくディータははしゃいだ。

そしてカイをじっと見つめたかと思うと、ゆっくりと言葉を紡ぎ出した。


「あのね、宇宙人さん・・・・・・」

「何だよ」

「ディータね、信じた。きっときっと、宇宙人さんが助けに来てくれるって。
どんなに危なくなっても、宇宙人さんならすぐに何とかしてくれるって信じた」


 柔らかい微笑の中に、限り無い信頼をのせて話すディータ。

見つめるカイへの視線は尊敬と憧憬が込められており、聞き入ったカイは動揺する。

今までカイにそこまでの信頼を寄せた者など一人もいなかったからだ。


「べ、別に大した事はねえよ。俺はヒーロー目指しているからな。
お前ぐらいぱっぱと助けられないと話にならねえからよ。ちょいと軽い気持ちで来ただけだ」


 まるでご飯前の軽い運動をするかのように、カイはとつとつと語った。

全てが真意ではないが、本当の気持ちを話せる程カイは器用な男ではなかった。


「ううん。ディータは助けに来てくれただけで凄く嬉しいよ。
ありがとう、宇宙人さん」

「バーカ」

「え?」


 ディータの頭を軽く小突き、カイは親指を後ろに突き出す。


「礼を言う相手が違うだろう。
どっかの誰かさんはわざわざ人様の機体に同乗してまで、助けに来たんだぜ。
お前が心配だってよ」

「こ、こら!私はそんな・・・・・」


 突然指摘されたメイアはうろたえながら反論しようとするが、それより先にディータが口を開いた。


「リーダー、ありがとうございます!
ディータ、いつも失敗してリーダーに迷惑を・・・・」

「私に謝る暇があるなら、少しでも精進する様に頑張る事だ。結果は全てだ」

「・・・・はい!ディータ、頑張ります!」


 恥かしさと嬉しさで頬を高潮させて、ディータは最敬礼する。

カイは苦笑気味に二人を見やって、中央のメインモニターを確認する。


「じゃ一件落着という事で、船に戻るか」

「・・・待て。
ディータ、ガスコさんはどうした?」


 メイアの指摘に、ディータは思い出したように顔を青ざめる。


「う、宇宙人さん、リーダー!!ガスコさんが!!ガスコさんが!!」

「だああ、落ち着け!!狭いんだからじたばた暴れるな!!」


 カイは何とか宥めて、ディータの口からこれまで起きた事をたどたどしい口調ながらも説明させた。

ピロシキの調査が完了した事、突然の本体起動により捕らえられた事、ガスコーニュに脱出を促された事。

救援を求めて自分一人で脱出した事、途中で敵に襲われて逃げ続けた事を・・・・

全てを聞き終えて、メイアとカイの顔色が変わった。


「では、ガスコさんはそんな危ない状態で取り残されているというのか!」

「もっと早くそれを言えよ、ボケ!」

「うえーん、ごめんなさい〜〜」


 二人に強く責められて、ディータは可哀想な程身を縮こませた。

ディータのその様子に責めても仕方がないと判断したカイは、取り急ぎ機体を発射させようとする。


「急ぐぞ!何かあってからじゃ遅い。
青髪、しっかり掴まってろよ」

「断る。振り落としてもらって結構だ」


 死んでも掴まりたくないとばかりに、メイアはそっぽを向いて身体を後ろへずらしていく。

その態度にむかっ腹を立てたカイは、フンと顔を面にやった。


「そうかい、そうかい。別にお前なんぞどうなろうと、俺の知った事じゃないからな。
お好きにどうぞ」

「そうしてもらって結構だ。お前に気遣われるほど落ちぶれていない」

「ふ、二人とも仲良くしましょうよ〜」

「やかましい!こんな奴ほっといていくぞ!
・・・って、どうやって動かすんだ、これ・・・・・・?」


 自分が乗っている相棒ともメイア機との合体での機体にもない新しい操縦レバーに困惑する。


「一つしかないね・・・・やっぱりこうするんだと思うよ」


 今回の新しい機体の操縦レバーは二人で一つのシステムとなっている。

すなわち、必然的に両者の手を重ね合わせないといけない。

ディータの柔らかい掌の感触を感じて、カイは自分でも思いもかけない程ドギマギ硬直する。


「か、重ねないといけないのか・・・・」

「・・・えへへ」

「な、何だよ?何笑ってやがる」

「だって宇宙人さんの手、すごく暖かいから」

「ば、ば、ば、ば、ば・・・・・」


 馬鹿野郎!と罵りたいのにも関わらず、何故か心臓の鼓動が早くなり言えなくなるカイ。

そんなカイに突如後頭部に強い衝撃が走り、視界に火花が飛んだ。


「ブハァっ!?いぢぢぢぢ・・・・
何しやがんだ、こらぁ!」


 背後から思いっきり殴られたのだと気がついて、カイは怒気を露に後ろを見る。

ところが殴った張本人の冷たい視線と殺気に、逆にカイは威圧された。


「・・・・今は緊急事態だ。遊ぶのは程々にしてもらおうか・・・」

「あ、遊ぶってあのな・・・・何そんなに怒ってるんだ、お前」

「大事な任務の最中に怠ける男が気に入らないだけだ。ディータも真面目にやれ」

「は、は〜い・・・・」


 メイアの迫力に押される形で、二人は合体した事により生まれた新しい機体を発進させた。
















 半壊したピロシキ内において、作業はその後も順調に進んでいく。

再復帰したキューブはガスコーニュの周りの触手をも材料にしながら、復旧工事を行っていた。

先端に尖りの見えるトゲのような機体設計がされている『トゲ型』も協力して、材料を収集していく。

一つ一つの分担工程の流麗な作業に、傍目で見ていたガスコーニュは皮肉交じりに呟いた。


「いい仕事するじゃないか。うちでスカウトしたいくらいだよ」


 いまだガスコーニュは触手の呪縛から解き放たれてはおらず、身動き一つ取れない状態であった。

捕らえられた際に負傷した箇所からは血も滲み出しており、痛みが気力を奪っていく。

生きる心地がしない目の前の作業をぼんやりと見つめていたその時、状況は変化した。


「ち、こっちに気がついたか!?」


 材料を淡々と集めていたトゲ型の血の色をしたカメラアイが、こちらを完全に捉えていた。

ちょこまかと小刻みな動きを見せて、トゲ型は徐々に彼女に迫りつつある。


「どうやら三流ドラマの筋書き通りになりそうだね・・・・
アタシには似合いそうにない最後だよ、はは・・・・」


 牽制しようにも武器はない、反撃しようにも身体は身動き一つ取れない。

逃げる事も抵抗する事もできないガスコーニュは、まさに蛇に睨まれた蛙だった。

一つ違うのは絶体絶命なこの状況においても、彼女は心まで臆していない事だろうか。


「データはしっかり取らせてもらったからね。仕事は無事済んだ。
まだまだ気になる娘達ばかりだけど、お頭やブザムがいれば大丈夫か・・・」


 融合戦艦で必死に復旧作業をしているであろうクルー達、アジトに残されたままの仲間達。

海賊旗揚げ時から共に苦難を共にしたマグノと同僚に、途中入りして頭角を表したブザム。

次々と脳裏に浮ぶ人達、その流れの最後にモニターで語る一人の青年の姿が思い出された。


「あんたとは一度話してみたかったんだけどね・・・・」


 仮面越しに苦笑している内にも、トゲ型は触手を切り分けてガスコーニュに接近する。

やがて突き出されたアームが無慈悲にも彼女の五体を切り裂かんと伸ばされたその時、


「!?これは・・・」


 突如左方の壁を突き破って出てきた『腕』が、トゲ型をしっかりと握り締める。

力任せに掴まれたトゲ型はじたばたと抵抗を見せるが、難なく腕はぎゅっと握りつぶした。

いきなり助けられたとあって呆然としながらも、ガスコーニュは背後に視線を向ける。

自分を助けたのは何か、それがはっきり判断できた時、彼女は面白そうに笑った。


「なかなか憎い演出をしてくれるじゃないか、ヒーローさん」


 ガスコーニュの視線の先に、人型のフォルムを有した全身をブルーで覆っている機体が、

彼女の言葉に反応するように片手を軽く挙げた。















 激しい氷流にもまったく動じていない様子で、巨大な氷塊は融合戦艦に迫りつつあった。

見る者を威圧せんばかりの轟々しさは、まざまざと最悪の未来を連想させる。

無論甘んじて運命を享受する訳にはいかない船のクルー達は、懸命に対抗を続けている。

しかしながら何をするにしても、船そのものが起動しない限りまったくの無意味であった。


「こっちは第一から第36までのバイパスを確保したわ!そっちはどう?」


 機関部内にて、ドゥエロの発案した迂回ルート確保に時間を費やす二人。

額に汗がしきりに流れ、朦朧とする暑さが漂っていながらもその手は緩まなかった。

諦めはそのまま死を意味するからだ。


「ルートをこれ以上確保するのは不可能だ。この量でやるしかない」


 六号のコンソールを淀みない手つきでこなしつつ、ドゥエロは答えた。

機関部員でもないドゥエロがここまでパルフェを後押しできるのは、ひとえに彼の優秀さにあった。

カイの人事に間違いはなかったようだ。

ドゥエロの言葉を聞いたパルフェは焦った様に反論する。


「無茶よ!下手にこちらからアクセスをかけると、かえってバランスを崩すわ!
リミッターを超えたら、元も子もなくなるのよ!」


 流通経路が少ない事により、艦内のエネルギー値のバランスが不安定になっている今の状態。

経路を確保して流れを一定に保ち、何とか船の状態を正常化する事がドゥエロの案だった。

しかしながらバイパスは思ったよりも復旧率が悪く、このまま流れを変化させると、

ギリギリ保たれているバランスが壊れ、クラッシュしてしまう可能性があるとパルフェは指摘する。

ドゥエロはパルフェの言葉を聞き、作業の手を休めずにポツリと呟いた。


「このような危険な状態に陥った時、医者はどうするか知っているか?」

「えっ?!」


 言いたい事が分からずにドゥエロに視線を向けると、ドゥエロはにやりと笑ってこう言った。


「患者を信じるんだよ」


 その言葉に、パルフェははっとした。

今まで自分がクルーの中で何よりも機械に接し、そして愛してきた。

そんな自分が信じてやれなくてどうするというのだ。

パルフェは機関室に保管されているペークシスプラジマに目をやって、しっかりと頷いた。


「うん、分かった!私、この子を信じるわ」


 男と女、対立しあう立場の二人に暖かい何かがよぎった。

これから先の未来を暗示するかのように・・・・・・・・・・・・















 ブリッジ内では、グングン迫ってくる氷塊に冷や汗混じりにブリッジクルー達はコンソールを操作する。

外部状況、内部のシステム効率の確認、データの流出。

自分でできる精一杯の事を励むクルー達の表情に、焦りはあれど諦めの色はなかった。


「氷塊、さらにこちらへと接近しています!このままでは直撃します!」

「ペークシスの反応は?何とか動かせないのかい?」


 艦長席より力強い発声を飛ばすマグノに、沈痛な表情でベルヴェデールは答えた。


「無理です!いまだコントロールは不能です!」

「く、アタシらは見捨てられちまったのかね・・・」


 一向にこちらの言う事を聞かない船に、マグノは愚痴めいた独り言をこぼした。

翻弄され続けている立場からしてみれば、無理もないだろう。

そうこうしている間にも、事態は止まる事無く進み続ける。


「距離、10000!9000!8000!速度衰える事無く、進んでいます!
進路に変更はありません!」


 ぴくりとも動きを見せない融合戦艦は、己の運命を理解できないかのように鎮座したままであった。

モニターに映し出されている氷塊を悔しそうに見つめるマグノだったが、流石になす術はない様子である。


「接近してきます!コントロール、今だ不能・・・・あ!」


 アマローネの驚愕に満ちた声と同時に、マグノの傍に設置されていた扇風機が回転する。

マグノはしばし呆然と見つめ、回転した事の意味を悟った。


「電力が回復したのかい!」

「はい!コントロールが回復しました!!」

「全てのシステムがオールクリアー!全起動、開始します!」


 明るい二人の報告に、ようやく一息吐いたようにマグノは表情を和らげた。

「パルフェ、ご苦労さん・・・・・」















「チェックカンリョウ、キドウカイシ。 
・・・・・・・ぴょろっ!ただいま帰りましたぴょろ!」


 全ての作業が終了し、一か八かの賭けに出たドゥエロとパルフェ。

緊張に手元を汗で握らせながらもバイパスを通しての、艦内全体のリンクを広げる作業を決行。

結果は大成功で全てのシステムや空調設備、六号が元の状態へ回帰した。

パルフェは喜びいさんで六号をぎゅっと抱きしめて、利き腕でドゥエロの手を握り締める。


「やったね!これで全部回復したわ!ありがとう、ドクター!」


 生まれて初めて女に手を握り締められたドゥエロは、やや困惑気味に答えた。


「いや、気にしなくていい。出来る限りの事をしただけだ」

「それが大切なのよ。
カイ君にも感謝しないとね」

「ふ・・・後はあの男だな」


 全てが完了し、緊張感が緩んだ機関部内でドゥエロは遠くを見つめた。

パルフェは笑顔で頷き返して、額の汗をぬぐった。















 停止していた全ての艦内の機能が回復し、全コントロールが可能となった。

だが、だからといって全ての危険が去った訳ではない。

何しろそんな船の状態を知る由もなく、刻一刻と氷塊は迫っているからだ。


「氷塊、距離3000に達しました!」


 ブリッジの照明も回復して照らされる中、マグノは必死の命令を飛ばした。


「兄ちゃん、右三十度転舵!!急いでおくれ!!」


 通信はクリスタル空間に取り込まれているバートに、ダイレクトに響き渡った。

機能が回復しナビゲーション能力もコントロール可能である事に気がついたバートは、

慣れない手つきで懸命に船を傾けようとする。

だが経験の足りなさもあってか、バートのコントロール速度と氷塊の接近速度では若干の差があった。

そしてその差が致命的な落差に繋がる。

バートは顔色を青ざめて、悲鳴混じりに叫んだ。


「無理っす!!もう間に合わないっすよ〜〜〜〜〜!!」


 船そのものとなっているバートは眼前に接近している氷塊に、もう腰を抜かさんばかりだった。


「距離、1000!来ます、キャア!!」


 ベルヴェデールも外部レーダー内に点滅する標的の座標の近さに、悲鳴をあげた。


「く、こんな所でおめおめと・・・」


 マグノは自身を、そして皆を救わんと必死で脳を回転させる。

だがもはや氷塊は目と鼻の先にあり、船の運命は風前の灯だった。

誰もが死の予感が浮き出たその時、沈んだ空気を切り裂かんばかりの元気な声がブリッジ内に響き渡る。










『諦めてんじゃねえよ、てめえら』










 小惑星程の規模がある氷塊が純白の輝きに包まれる。

流氷を貫くように生じた閃光の柱が立ち上り、ガス雲を四方に切り払った。

視界を覆い尽くした光は雷のごとく瞬時に消え失せて、残されたのは真っ二つに割れた氷塊のみだった。

やがて粉々に分解された氷の塊は流れに晒されて分解され、虚空へと消え失せた。

ブリッジクルー総員が突然の成り行きに呆然としていた時、中央モニターに通信が入る。

外部へと接続されていた光景に切り替わって映し出されたのは、


「土壇場で登場なんて味な真似をしてくれるじゃないか・・・・」

『知らないのか?
ヒーローはぎりぎりでピンチを救うのがセオリーなんだぜ』


 マグノの安堵の混じったコメントに、ウインク一つで答えるカイだった。





















<Chapter 3 −Community life− LastActionに続く>

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