一昨日の事件は夢のような気がした。

いつもの学校に戻っているはずだと。

だけど、それは現実だった・・・

 

 

 

 

 

Unreal・World 第4話「犠牲の意味」

 

 

 

 

 

 

学校で朝会があった、話はこの前の事件についてだった。

しかし事件の内容は、集団失踪となっていた、そのおかげで学校はしばらく休校。

まぁその事については何も言う気は無いが・・・

事件によって全校生徒の約30%が死んでしまった訳だ。

うちのクラスも10人ほどいなくなっていた。

淳哉「・・・・・・・・・・・・・・」

俺は自分の席に座ってボーッとしている、いつもなら騒がしいクラスも静かだった。

ミリィ「ねぇ淳哉、先生が呼んでるヨ」

不意にミリィが話し掛けてきた。

淳哉「んっ、あぁ今行くよ」

返事を返し廊下に向かう、それにしても呼び出されるようなことしたかなぁ。

廊下に出ると1人の男がいた、オカルト研究会顧問の坂本だ。

坂本「わざわざ呼び出してすまない、今・・開かずの間の鍵は持ってるかね」

淳哉「ええ持ってますけど、どうかしたんですか?」

開かずの間とはオカルト研究会の部室の事だ。

坂本「何故かは知らないが人の気配がするんだ、あそこは鍵が無いと入れないはずなのに」

俺を呼んだ理由がなんとなくわかった気がする。

淳哉「つまりは俺に確認して来いと」

坂本「恥ずかしながら私は怖いものは苦手でな」

淳哉「授業も無いし、暇なんで確認してきますよ」

今日は事件の話をして終わりだったからな、もう帰ってる生徒もいる。

坂本「異常が無かったらそのまま帰っていいから」

そう言って去っていく坂本、俺は教室にいるミリィに一声かける。

淳哉「ちょっと開かずの間に行ってくるから、先に帰ってていいぞ」

ミリィ「どうせ暇だから待ってるヨ」

淳哉「そうか、じゃあ早く終わらせるようにするから」

さっさと終わらせるために走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

1階の廊下でセイナと出会う、どうやら俺を待っていたらしい、自分内部で好感度が上がったのは秘密だ。

セイナ「先輩、一緒に帰りませんか」

その言葉に回りの野郎どもが凍りつく、そして恨みのオーラを俺に向けて放射してくる。

淳哉「悪いけど用事があるんだ、それが終わらない事には帰れないんだ」

セイナ「そうですか、じゃあ待ってます」

それを聞いて回りの野郎どもは更に強力なオーラを放ってきた。

淳哉「・・・・・じゃあ俺の教室で待っててくれ」

そう言い残し俺は逃走した、あそこにいたら殺される。

不要な危険は避けたい、だけど無理そうだ。

淳哉「今年は厄年かな、本当についてないな」

そんな事を考えながら部室に向かい走っている。

「今度の日曜日、空いてますか?」

男の声が聞こえてくる、誰かを誘っているようだ。

気になるから覗いていこう、ばれないように声のする方を覗く。

見知った顔だった、サッカー部の倉崎とわがオカルト研究会メンバー岸本つばさではないか。

倉崎「ちょうどチケットが2枚あるからどうかなと思ったんだけど」

つばさ「あっ部長だ」

俺に気付き近づいてくる。

つばさ「部長!無事でしたか、岸本は部長の安否が気になって夜も眠れませんでした」

淳哉「ほう、そんなでまかせを言うのはこの口か」

思いっきり頬を引っ張る。

つばさ「いひゃい、いひゃいれす」

倉崎「俺を無視して話を進めるな!!」

倉崎が怒り出す、カルシウムの足りない男だ。

淳哉「何の用かな、怒りやすい倉崎君」

俺の言葉が気に障ったらしく、語調を荒げて喋りだした。

倉崎「貴様などに用は無い、俺が用があるのは岸本さんだ」

淳哉「ふむそうか、じゃあさよならだ」

そう言ってつばさの首根っこを掴んだまま、部室の方へ歩き出す。

倉崎「待てよ」

倉崎が前に立ちはだかる。

倉崎「あんた!なんで岸本さんまで連れて行くんだよ」

いかにも殴りかかって来そうな雰囲気で睨みつけてくる。

淳哉「部員に用があるから連れて行くだけだ、悪いか」

さらっと流して歩き出す、後ろで何か叫んでいるが無視した。

つばさ「彼・・普段はいい人なんですけどねぇ」

呆れたようにため息をつくつばさ。

淳哉「あれで何回目だ、誘われた回数は」

つばさ「16回です、断ってるんですけどねぇ」

淳哉「そのたびに俺のせいにしてるんだから、たまったもんじゃない」

奴の中では俺は魔王になっている、でこいつが勇者の助けを待っているお姫様、そんなところかな。

つばさ「ところで部長、さっき私に用があるって言いましたよね、何かあったんですか」

本題の方を忘れていた、目の前にはもう部室があった。

淳哉「ああ、部室から人の気配がすると連絡があり、その調査に来た訳だ」

つばさ「そうなんですか、岸本はそういう話はちょっと遠慮したいなぁと思っているんですけど」

淳哉「却下」

鍵を開け中を覗く、これといって異常は無かったと思ったが奥のベッドがなにやら動いている。

つばさ「異常ありませんね、岸本は信じていましたよ」

ほっと一息ついている。

淳哉「残念ながらそうはいかないらしい、ベッドを見ろ」

奥のベッドを指差す、そのベッドは三代目オカルト研究会部長が持ち込んだものだ、どうやって持ち込んだかは謎だ。

つばさ「誰か寝てますね、さぁ部長、調査して下さい、私はここで応援させていただきます」

淳哉「なんと薄情な、部長がどうなってもいいと言うのか」

つばさ「かまいません」

即答だった。

淳哉「・・・・・・・・・岸本隊員、例の物をここに」

それだけ言うのがやっとだった。

つばさ「金属バット?アイスピックもありますよ、それともわ・た・しにしますか」

キャッ言っちゃったなどと後ろで騒いでいる、なんだか悲しくなってきた。

床に座りのの字を書いていると、肩を叩かれる。

「くじけちゃ駄目だよ」

優しい言葉が飛んでくる、こんな子がいるなら日本の未来は安泰だな。

淳哉「これからの若者に希望が持てたよ、ありがとう・・・・・・って」

肩を叩いた人物を見る、見知らぬ民族衣装ような物を着ていて背中の方から猫のしっぽのような物が動いている。

思わず握ってしまった、本物のような感触だった。

「いたっ!何するんですか」

反応してるし・・・・まさか本物?

つばさ「部長!敵はねこみみという強力な兵器を装備してます」

いつのまにか隣に来てたつばさが報告する。

淳哉「何それは本当かね!」

立ち上がって確認する、確かについていた。

「私の顔に何かついてるの?」

少女が聞いてくる、あっ・・ねこみみが動いてる。

つばさ「はぁ・・・部長、この子どうします?」

淳哉「とりあえず目立たない格好にしてくれ、俺は廊下に出てるから・・・ああ鍵は渡しとくよ」

鍵を渡し廊下に出る、そして溜め息をつく。

3Aの竹内君、至急体育館まで来てください、繰り返します・・・・・・・・」

放送が入った、呼び出されるようなことはしてないのにな、仕方ないけど行くか。

俺は部室の中にいる、つばさに向かって声をかける。

淳哉「呼び出されたからちょっと行ってくる、おまえの方は終わったら鍵をかけて俺の教室で待っててくれ」

つばさ「了解です部長、健闘を祈ります」

何の健闘を祈るんだ!と思いながら体育館へ向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体育館には見知らぬ男がいた、その男は俺に気付くといきなり話し出した。

「俺の名前は春日、いきなりで悪いが俺らの教団に協力しないか」

第一印象は最悪、おまけに話も見えてこない。

春日「俺が何言ってるのかわからないって顔だな、おまえは選ばれたんだよ」

なんか頭が痛くなってきた、しかし春日と名乗った男はそんな事を気にせずに話を続ける。

春日「この前の事件でおまえは生き残った」

淳哉「・・・・・・・・・・」

こいつ何か知ってるのか?あの事件の事。

春日「ならおまえにも力が有るはずだ、だから協力しろ」

強制かよ、こういう奴は嫌いなんだよなぁ。

淳哉「悪いが力なんて物は知らないし、おまえの教団に協力する気も無い」

春日「力を知らないだと、・・・まだ目覚めて無いだけか

後半部分は聞き取れなかったがどうやら驚いてるらしい。

春日「これは好都合だ・・・死んでもらおう」

物騒な事を言いやがる。

春日「力に目覚めていないんだったら、おまえに用は無い」

何故か知らないが、あたりに風が吹き始める。

淳哉「なぜ風が吹く?窓は閉まっているのに」

あの男が何かしているのか?

春日「俺の力は風、風を操る能力だ!冥土の土産に覚えておけ」

いきなりの強風に吹き飛ばされる。

淳哉「えっ!?」

ドンッ

淳哉「かはっ」

一瞬呼吸が出来なくなり背中が痛む、どうやら壁に叩きつけられたらしい。

それを見て春日はムカツク表情で笑っている。

春日「えーと次のターゲットは古坂とかいったなぁ、おまえの死体を見てどんな反応を示すか楽しみだな」

更に追い討ちをかけるように言い放つ、本当に嫌な男だ。

春日「反応を見た後は、もちろん好きに楽しませてもらうからな」

そんな事はさせられないな、俺が何とかしないと。

淳哉「・・・・最悪だな、おまえ本当に最悪だよ」

何とか立ち上がる、今言った言葉に反応したのか風が強くなる。

春日「余計な事を喋るんじゃない、状況は圧倒的に俺の方が有利なんだぞ」

ドンッ

淳哉「ぐぅっ・・・・こ・ここまで・・なのか・な」

再び叩きつけられる、しかもさっきより強力だ。

意識が飛びそうになる、女の声が聞こえてくる

「君はまだ大丈夫なんだよ」

幻聴まで聞こえてきた、本当にヤバイな。

「君は力の使い方を知らないだけなんだよ、イメージすれば答えてくれるよ」

淳哉「俺に力が有るのか?」

幻聴に向かって問い掛ける、藁をも掴む思いだった。

「君ならできるよ、まずは大空を舞う翼をイメージしてごらん」

言われた通りにイメージしてみる、すると体が浮き上がったように思える。

春日「なにぃ!?力に目覚めたのか!!」

春日が何か驚いている、目を開けてみると宙に浮いていた。

背中を見ると透明な翼があった、なんとなく自分の力が理解できた気がする。

春日「力に慣れる前に始末しておかねば、死ねっ!」

更に強くした突風を放ってきた、だが俺はその風に突進した。

こいつの風は俺には効かない、そう理解できた。

春日「なぜ吹き飛ばない!?」

困惑の表情を浮かべてる春日に向かって。

淳哉「うおぉぉぉぉっ!!」

全力で殴る。

春日「ぐえっ」

確かな手ごたえを感じた、春日が吹き飛ぶ。

淳哉「さぁ反撃開始だ!」

 

 

 

 

 

 

4話  終了

 

 

 

 

 

NEXT Unreal・World 第5話「幻想」

 

 

 

 

 

 

 

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後書き

つばさ「作者さん作者さん」

夢幻「んっ何?」

つばさ「結局ねこみみはなんだったんですか?」

夢幻「ああ、あれは次回あたりに詳しく解説しようかなと思っている」

つばさ「あとキャラこれからも増えるの?」

夢幻「困った事に増やす予定だ、斎藤の方も増える」

つばさ「この可憐な美少女の出番は?」

夢幻「知るか、じゃあ今回はこの辺で終わりにしよう」

つばさ「次回もお楽しみに」

夢幻「さようならー」

 

 

 

 

 






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