とらいあんぐるハート3 To a you side 第十三楽章 村のロメオとジュリエット 六十八話



相変わらず他人優先のお人好し一家に説明を終えた跡、俺は恭也と美由希だけ呼んで耳打ちしておく。

犯人達の狙いはクリステラ一家ではあるが、フィアッセの身内である高町家も無縁とは言い切れない。

幸いにも俺が海外で武装テロから救出した要人たちが恩義を感じてくれており、この家も警護してくれるようになった。


桃子達に話すと不安に思うかもしれないので、お前達にのみ話しておく――こんな感じで、夜の一族からの関与を言付けしておいた。


「お前の縁で俺達を警護してくださっているのか、それはありがたいな……」

「直接お礼を言いたいけれど難しいよね。伝言みたいで申し訳ないけど、良介から感謝を伝えておいてくれるかな」

「ああ、分かった。桃子達に不審に思われるような警護はしないだろうけど、お前達も警護がいるという点は頭に入れておいてくれ。
不審人物かどうかの区別は一見付きづらいかもしれないが、気になったら俺に連絡してくれ」


 恭也と美由希なら不審者かどうかの区別くらいつくだろうが、一応念の為連絡先は伝えておいた。

あまり他人と繋がるような連絡手段は持ちたくないのだが、最早この期に及んでそうも言ってられなかった。

一人旅とか出られない身の上になってしまって複雑だが、まあ全ては落ち着いたらそういった機会もあるかもしれないしな。


アリサと二人でのんびり放浪するのもいいかもしれない、妹さんも護衛で来るだろうけど。


「ただ本人から聞いているかもしれないが、多分しばらくはフィアッセと連絡を取るのは難しくなると思う。
代わりと言っては何だが、俺から様子を聞くくらいは出来るから言ってくれ」

「……お前には本当に世話になっているな。この恩は決して忘れないし、俺達に出来ることがあるなら言ってくれ」

「感謝を感じてくれているのなら、ディードを鍛えてやってくれ」

「任せて、良介よりも強くしてあげるからね」

「洒落にならんからやめろ」


 恭也は恐縮してばかりだが、美由希はむしろ俺に冗談まで言えるようになっている。去年和解してから、こいつの距離感も妙に近い。

美由希は昨年起きた家族問題を経て恭也と結ばれたので、恋愛感情なんぞ沸く余地はない。そういう意味では、男女の友情は恋愛を超えて成立したと言える。

恭也と正式に結ばれて、美由希も精神的な余裕と充実を得ている。義兄妹だからこその関係と言えるが、お互いを支え合っているようだ。


こういう状況だからこそ、二人に安定感があるのは頼もしかった。うちの子を預けるのだから、どっしり構えてほしいしな。


「良介さん、俺に出来ることはありませんか。何でもしますよ!」

「なんではしゃいどんのや、この猿。不謹慎やろ」

「う、うるせえな……俺は助手として良介さんの力になりたいのであって」


 城島晶が熱心に俺に訴えかけてくる。高町家の一員だから事情を説明する必要があっただけで、こいつを巻き込むつもりはない。

以前俺の事情でこいつを巻き込んでしまったので仕方なくある程度関わらせたのだが、その後も何だか懐かれてしまっているようだ。

城島晶は男勝りだが、あくまでも少女。空手を学んでいるとはいえ、道場レベルであって実戦経験は積んでいない。


俺もあまり偉そうなことはいえない。実戦経験はあるけれど、マフィア相手では晶とあまり大差はない。


「そうだな、レンと一緒に行動するというのはどうだ」

「やめてや、クロノさんに迷惑かけるやろ」

「クロノと一緒に行動しているんだな、今も」

「あっ」


 俺が何気なく指摘すると、レンは顔を真赤にして俺を睨んだ。別に誘導尋問した訳じゃないぞ。

レンはクロノから事情を聞かされているので、晶を窘めている。マフィア達相手に遊び半分で挑んではいけない。

クロノと一緒に行動しているのだって、別にレンが戦えるからではない。町の事情に精通しており、現地協力者として弁えているからだ。


現地協力者――そうか、こういう考え方もあるな。


「分かった、じゃあ晶にも協力してもらおうか」

「ちょっと良介、晶を事件に関わらせるのは」

「分かってるよ――晶、この道場で世話になるディードには双子の姉妹がいる。
そいつはこの町に詳しくないから、現地案内して手助けしてやってくれ」


 爆破テロ事件が起きた後で今事態は硬直化しており、なのは達に説明もしたがマフィア達は一時的に撤退している。

ディードも剣の修行に励むとあって、オットーも自分にできることを行うべく試行錯誤している。

オットーの能力はレイストームと呼ばれ、広域攻撃や結界能力といった能力全般を行使できる。射撃に秀でているが、結界の側面もある便利な能力だ。


この町における俺の関係者各位の防衛力を高めるべく、町中を探索すると言っていた。その手伝いを行ってもらおう。


「オットーは専門家だから、指示には必ず従うように。ただ年頃の女の子でもあるから親しくしてやってくれ」

「そういう事なら任せてください。一緒に協力して事件解決に貢献します!」


 性格こそぜんぜん違うが、人見知りしない城島晶の活発な一面ならオットーとも上手くやれるかもしれない。

俺の手伝いをしてくれるのはありがたいが、ディードやオットーはまだまだ生まれたばかりの子供だからな。

あまり血なまぐさい事ばかりに付き合わせてばかりなのもどうかと思うので、こうやって少しでも他者とも交流を深めて欲しい。


……肝心の俺がそういう事を進んでやっていないのだが、その点は棚上げしておく。


「このまま犯人が捕まって解決してくれたら一番ええんやけど、高望みなんかな」

「分からんとか言いようがない。ただ俺としてはあまり悲観的には見ていない。
事態は決して悪化している訳じゃないし、皆それぞれ無理せず出来ることをやっているからな。

最悪が起きないように立ち回っていくんだ」

「ふーん……以前とは違うポジティブさやな」

「以前は何だったんだ」

「何の根拠もなかったやん」

「ぐっ……」


 自分が強いということに何の疑問も抱いていなかった。だからこそ現実との乖離に苦しまされ、多くの被害が出てしまった。

レンも過去プレシア二誘拐された経緯もあって関わっていたからこそ、こうして苦言を述べている。責めているわけではないのだとは分かっている。

こいつとの関係も今では腐れ縁的な繋がりとなっているが、軽口が叩けているだけでも少しは進展していると言うべきか。


まだ恋愛とまでは言わないが、クロノとも親しく出来ているようだし、上手くいってほしいとは思っている。


「おにーちゃん、準備できました。行きましょう」

「行きましょうって……お前、一緒に来るのか」

「はい。フィアッセさんの事も気になりますし、なのはも関わってますから」


 桃子がよく許可したものだと思ったが、そういえば無理はしないようにすると先程約束したばかりだ。

案外お目付け役として高町家から抜擢されたのかもしれない。なのはが一緒なら、俺も無茶はしないだろうと。

その考え方は的を得ているので、何だかムカついた。家族というだけあって見透かされている。


「分かった。いざとなったらお前に砲撃魔法でもしてもらうか」

「ええっ、人に向けて撃つのはちょっと……」

「砲撃の意味がねえ!?」


 何のために魔法を学んだんだ、こいつ。

とりあえず高町の家にディードを預けて、俺は次の行動に出る。


協力をお願いできるアテはある。














<続く>








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