とらいあんぐるハート3 To a you side 第八楽章 戦争レクイエム 第六十一話





 ――時間は、平等である。天才であろうと、凡人であろうと、等しく与えられる。この恵まれた資源の使い方によって、人生の成否が決まるのだろう。















送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:君にはガッカリだよ
 本文:さすがお侍様、手紙からメールにした途端返信が来なくなったね。江戸時代の人には、文明機器の扱いは難しいのかな


送信メール
 to:宮本良介
 title:だから
 本文:心配かけて悪かったよ。先月は色々あって、連絡が一切出来なかった状況だったんだ。


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:テレビで見たよ
 本文:ベルリンの爆破テロに御曹司誘拐事件、要人テロ襲撃事件でしょう。こっちでも毎日ニュースでやってたよ。
 事情は上司からも聞いたけど、身体は大丈夫? 撃たれたのは本当なんでしょう


送信メール
 to:宮本良介
 title:問題ない
 本文:ドイツで治療してもらって、もう完治したぞ。恩を売った金持ちに最高の医者を紹介してもらったからな、ふはははは。


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:こうして人は汚れてしまうのか
 本文:これが世界中で憧れるサムライの正体なのか。私はまた男性の駄目な面を見せられてしまった。
 乙女の幻想が壊されてしまったよ、責任を取るんだヽ(`Д´)ノウワァァァン!!


送信メール
 to:宮本良介
 title:責任を取ろう
 本文:付き合って下さい


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:ありがとうございます
 本文:前向きに検討させて頂きます


送信メール
 to:宮本良介
 title:お前こそ駄目な大人だよ
 本文:政治家発言じゃねえか!


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:(*´ェ`*)
 本文:乙女ですから


送信メール
 to:宮本良介
 title:真実は一つ
 本文:恋人いない歴=年齢


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:お前は私を怒らせた
 本文:( °▽°)=◯)`ν°)・;'.、


送信メール
 to:宮本良介
 title:許して下さいおっかさん
 本文:元気だせよ=◯)`ν°)・;'.


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:ともあれ
 本文:本当、無事で良かったよ。すごく心配していたんだから。
 それと、お疲れ様。君の友人として、すごく誇らしいよ


送信メール
 to:宮本良介
 title:現場を見て
 本文:あんたの苦労が分かった気がするよ。爆破テロで逃げ惑う人々を救う大変さを思い知らされた。
 実際生き残れたのは、運が良かっただけだからな


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:そう言ってくれると
 本文:何だか嬉しいな。君の活躍を知り、N.Y.レスキューの一員として励まされたから。
 この前紹介した友人達も、ニュースを見てはしゃいでたよ。自分達の友達だと、周囲に自慢していた。


送信メール
 to:宮本良介
 title:おい、やめろ
 本文:その手の話題は、自分が恥ずかしくなる


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:自業自得だよ
 本文:君だって、一度テレビに出演しただけの私を持て囃していたじゃない。
 あれ、すごく恥ずかしいんだよ。アイドルでもないのに、ファンレターとかいっぱい来て


送信メール
 to:宮本良介
 title:男と女の違い
 本文:「美人」N.Y.レスキューである事が重要なんだよ、世の男共は


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:なるほど
 本文:剣道着を着た英雄なんてのもいるもんね、世の中には


送信メール
 to:宮本良介
 title:やめよう
 本文:不毛だ、この話題は。ところでお願いがあるとか、言ってたな


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:お願いの件
 本文:長期休暇を取ったので、近日中に君の居る海鳴町へ行く事にしたの。
 そこで君に案内役と、仲介役をお願いしたいんだ


送信メール
 to:宮本良介
 title:海鳴に来る!?
 本文:待て待て待て、急にどうしたんだ!?


送信メール
 to:セルフィ・アルバレット
 title:お願いの件
 本文:フィアッセとフィリス、リスティの事は聞いたよ。君、一人であの子達全員を救うつもりなんでしょう。
 残念だけど君一人にいいカッコばかりさせられないし、全部押し付けたりしない。

 私はあの子達の家族で、君の友達だ。力にならせて欲しいの。















 小太刀二刀御神流奥義の歩方、神速。集中力を高める事により、超高速移動を可能にする技。時間の停止を人間が体感するレベルにまで知覚を高め、敵を斬る絶技である。

高町美由希の攻略方法は、この技以外ありえない。斬り合いになる前に斬る、それだけだ。勝負になれば、絶対に負ける。ならば斬り合いに発展する前に、斬るしかない。

御神流の歴史を紐解くと、この奥義にまで辿り着いた剣士はごく僅か。今とは違い、剣が盛んだった時代でも、神速まで体得出来た剣士は殆どいなかったらしい。

その点に関しては、悲観していない。自分に才能があると、自惚れているのではない。自分はむしろ凡庸、このまま延々と剣を振っても、基本を身に付けるのにも長い年月が必要だろう。


俺が自信を持てるのは俺自身ではなく、俺の仲間達である。


「那美、今日も宜しく頼む」

「は、はい! こちらこそ不束者ですが、よろしくお願いいたします」

「毎日朝晩やっているのに相変わらず慣れないよね、那美って」

「お前と違って羞恥心があるからな、この子は」

「ひどい、私を痴女みたいに言うなんて!」

「じゃあ訓練と称して寝床にまで潜り込んでくるのはやめろ」


 神咲那美と月村忍、魂と血による共感によって感覚と肉体の両方を高める訓練。この訓練を通常の鍛錬に加えてこの8月、同じ家に住んでまで毎日欠かさずこなしている。

月村忍による血の共感で今のところ肉体の自然治癒能力は爆発的に高められているが、神速を使うにあたって肉体の強化という一歩先の進化を行わなければならない。

夜の一族にとって男女問わず、身体能力の向上は基本能力である。月村忍は戦闘的な能力こそないが、血を活性化すれば運動能力を高めることくらいは容易く行えるそうだ。


ちなみに意外に思われがちだが、ロシアンマフィアのクリスチーナは身体ではなく『知覚』に優れた化け物である。銃弾を「見て躱す」くらいは朝飯前らしい、ライフルでも平気だと笑っていた。


俺の体内には忍の大量の血液と、欧州の姫君達より与えられた血の滴が与えられている。この血を活性化させて共感を高め、肉体を強化するのが目的である。

当たり前だが、持続化するのは不可能。そもそも人間に、夜の一族の血は異物なのである。彼女達が俺を受け入れてくれたからこそ、かろうじて適応しているに過ぎない。

ゆえに一瞬でも肉体を強化するには、共感を高めることが必須。つまり、あまり認めたくない事実なのだが、彼女との関係を深める事が必要で――


月村忍と交わるのが、一番の近道なのである。


「女の子がそこまで覚悟を決めているのにベットから蹴り落とすんだよ、この人は」

「お前にはムードという概念がないのか」

「そんなのが出来るまで待っていたら、延々と今のまんまじゃない。那美からも言ってやって」

「あはは……」


 そして神咲那美、彼女の知覚。時間の停止を人間が体感するレベルにまで発展させるには素質か、もしくは第三者のサポートが必要とする。

小太刀二刀御神流剣士に求められるのは、前者。俺のような凡人では一人で達するのは不可能なので、後者が必要となる。その為の、神咲那美である。

言っておくが、誰でもいい訳じゃない。血と違い、魂なんて目にも見えない代物だ。夜の一族の血も異物ではあるが、他人の魂に至っては感じることさえ無理であった。


彼女と魂が繋がっているのは、言わば偶然の産物。大怪我した俺を救おうと彼女が自分の魂を削ってまで、俺を癒してくれたからこそ繋がれたのである。


今はまだその繋がりは、ぼんやりとしか感じることが出来ない。他人とはそもそも目にし、肌で感じ、心の理解にまで努めて初めて存在を確立できる。

魂の繋がりを強化するには、彼女をもっと知らなければならない。彼女を心の奥まで密接に繋がる事で、感覚の共有が行えるのである。

感覚の共有が実現出来れば、超人とされる御神流剣士の超感覚を発現することが可能だ。出来の悪いコンピューターでも二台接続出来れば、それなりに高性能な機能を発揮できる。

特に俺はともかく、那美は癒しの力を持った女性。魂の練度は高く、感覚面では恐らく常人よりずば抜けている。彼女と繋がれば、神速に至る感覚にまで達せられる。


誰でもいいのではない。神咲那美こそ、戦場に立つ俺のパートナーに相応しい。


「良介さん。私、覚悟を決めました!」

「おっ、ついに!」

「その、今日こそは思い切って――手を、繋いでみます!」

「おおおおお、すげえ! 俺、ドキドキしてきちゃったよ!」


「……何年かける気なの、あんたら」


 道のりは、険しかった。















「あのさ――何年かける気なんだ、あんたら」

「グレアム提督も、私も、貴方からの提案を精査しているだけです。時間を書けて調査されることに、何か問題でも?」

「引き渡しの日が迫ってきている事が大問題だよ、こっちは」


 もう何回目か、数えるのも馬鹿らしい管理プランの進捗会議。一応進捗という議題ではあるが、会議としては既に大詰めに入ってきている。

先日提案した、アギトとローゼの教育プログラム実習。時空管理局でも採用されている犯罪者更生システムを使用し、二人の教育を行うことで封印とは違った安全を図るプロセス。

道具として片付けるのではなく、人間として取り扱って、心の制御をかける。そうして危険視されている二人に社会の常識を教えて、世界に貢献させるのが目的である。

日々の会議で案も随分精査され、アリサが入念に都度改善していき、実現にまで漕ぎ着けられつつあった。俺からもリンディやレティ達に根気強く働きかけ、ようやく承認にまで至ったのだ。


後は締結するだけなのに、だらだら反対しているのがこの二人である。


「リンディ、クロノ。もう採決でいいだろう。何で延々と時間だけかけるんだ、毎日」

「こちらはあくまで、貴方達の為に貴重な時間を――」

「あんたには、聞いていない。というかいつもあんたや提督が横槍入れるから、話が進まないんだ」


 かなり横柄な物言いだが、常にこうではない。いい加減ウンザリしているのは、何も俺だけではない。俺一人ならば、そもそも咎められるだろう。

実際毎回出席している面々だって表情には出していないが、くたびれた感じになっている。同じ論議がずっと続いているからだ。

さすがに辛抱ならなくなったのか、比較的俺には厳しい立場の者達まで意見が続出する。


「リンディ、私も彼の言う通りだと思うわ。議論はもう、尽くされている。教育プログラムの内容は隅々まで手を入れて、ゼスト隊の方々もチェックを入れている。
ゼスト隊長直々の了承と、ナカジマ三等陸佐には責任者としての承認も頂いている。教育プランの監督官には、私も名乗り出ているわ。

ローゼやアギトとも何度も面談し、彼女達の人格面に問題がないのも分かった。そろそろ、採決に入りましょう」

「アギトちゃんの証言により新たに、幾つかの非合法な研究所が発見されました。我々が急行して施設を確保、犯人達の迅速な検挙に繋がっています。
本日欠席されているナカジマ捜査官が、被験者である『女子六名』を保護しております。いずれもアギトちゃんの証言がなければ、発見が遅れていたでしょう。

今まで非協力的だった彼女がここまで貢献してくれたのは、彼の管理プランのおかげです。認めたくは、無いですが」


 レティはともかく、ルーテシアはちょっと渋々だった。あの野郎、まだ煮え切らないのか。自分で言うのも何だが結構頑張っているだろう、俺だって。

それにしてもアギトと同じく、非道な実験の被験者がまた"六名"も見つかったのか。クイントの奴が様子を見に行っているようだが、どんな子なんだろうな。

まあどうせ俺には縁のない子達だろうから、別にいいけど。それより採決だ、採決。


「グレアム提督。別に息子贔屓って訳じゃないですが、そろそろ認めてやっちゃいかがです? あまり言いたくはなかったんですが、そろそろ難癖に近くなっていますぜ」

「全面的ではないが、私もナカジマ三等陸佐と同じ意見です。今までの議論が無駄だったとは思いません。リーゼアリア秘書官の意見も含め、十分なご指摘だったと思います。
ですが正直申しまして、これ以上の議論は不毛です」

「……」


 ナカジマの親父はともかくとして、比較的中立の態度だったゼスト隊長からの進言は大きい。さしものリーゼアリアも、口を閉ざしてしまっている。

ゼスト隊長はどちらかと言えば寡黙な性格であり、率先して弁論に立つ人間ではない。だからこそ、彼の一言一言は重い。

俺もゼスト隊長には会議の前後何度も足を運んでは、貴重な意見を聞かせてもらっている。正直厳しい意見も多かったのだが、彼は決して俺を単なる一般人だと見くびらなかった。

この会議において、周囲の大人達は厳しくも人格者で本当に助けられている。


「提督、僕から反対意見はありません。採決に、賛成します」

「クロノ!」

「僕は宮本に肩入れしていないし、同時に恩人である君にだけ味方は出来ない。むしろ、この会議における君の姿勢には疑問を抱いている。
何故、ローゼやアギトの人格面まで頑なに否定しようとするんだ」

「当たり前でしょう。あの子達は――」

「作り物だから人格を否定するというのか、"君が"」

「!?」


 ――こういう言い方は何だが、クロノらしくない。人格否定をする人間を糾弾するために、相手の人格を否定してしまっている。こんな言い方をする奴じゃないはずだ。

もしかすると、最近の会議の流れに一番憤りを感じていたのはクロノだったのかもしれない。毅然としているが優しい奴だ、非難の矢面に立たされてばかりの俺を見て我慢できなかったのだろう。

あの馬鹿、個人的な肩入れをしやがって……ちっ、後で俺の奢りでコーヒーでも誘うか。


「皆さんの意見、よく分かりました。次回、採決いたしましょう」

「リンディ提督、それは――!?」

「これは決定事項です、グレアム提督。では本日の会議は終了します、お疲れ様でした」


 やった、これで教育プログラム案が可決される! 誰がどう見たって、あの二人以外はこの案に賛成だ。民主主義第一ではないが、今回ばかりは感謝したい。

教育プログラムが正式に認められれば、今月末の封印処置は延期となる。当然だ、教育プログラムは最低でも三ヶ月実施しないと意味が無い。この件は既に確約を得ている。

そして教育プログラムが効果を発揮するのも、決まりきっている。教育もくそも、ローゼもアギトも最初から良い奴だ。更生しなくても、既に立派に生きている。出来レースだ。


ウキウキしながら会議場を後にする俺とは違い、アリサが始終厳しい顔をしていたのが少し気になった。















「精密検査の結果はどうだった?」

『声帯も含めて、喉は問題なかったよ。先生のお話だと、やっぱり精神的ショックが原因みたいなの』

「カウセリングを受けるのが一番なんだが、その第一人者が集中治療室で今も寝ているからな。お前の声を治す為にも、フィリスを早く起こさないと駄目か」

『フィリスは、大丈夫だよね?』

「俺が何とかするといっただろう、任せておけ。フィリスも精密検査して貰ったんだが、時間はかかったけど身体はもう完全に治ったらしいぜ」

『本当にありがとう。いい先生をいっぱい呼んでくれたおかげで、フィリスもすっごく元気になった。全部、良介のおかげだよ。
これからも――頼りにしていいかな?』

「俺は、お前の護衛だぞ。お前を守り、安心を与えるのが仕事だ」

『うん。お願いね、私の騎士様?』


 ――その記号はむかつくからやめろと、あれほど言っているのに。俺が嫌がっているのを分かっていて、フィアッセはニコニコ顔でメモ書きしやがる。

海鳴大学病院、毎日の此処へのルートが基本とされているフィアッセとなのはの日課。俺はレンやフィアッセの見舞いも兼ねて、毎日付き添っている。

実を言うと病院側で面倒を見て貰っているレンやフィリスより、俺はこの二人に親身に接していると言っていい。二人はだいぶ安定しているが、まだ不安な面もあるからだ。


夏休みではあるが、なのはは塾も休んでいて不登校気味。フィアッセに至っては、まだ声も出ていない。


「レンちゃん、退院が決まったそうですね。晶ちゃんも、すっごく喜んでいましたよ!」

「あいつが帰った日、桃子が激怒して大変だったらしいな」

「うう、おにーちゃんがいなかったので、おかーさんへの説明も大変でした……すっごく、心配してましたので」

『桃子があれほど怒るのって、本当に久しぶりだよ」

「良い傾向ではあると思うんだけどな、塞ぎこんでいるよりは」


 高町家は、少しずつ動き出している。レンの退院も正式に決まり、城島晶も無事に家に戻った。あの家に、ようやく家族一同が揃ったのだ。

勿論、平穏無事とはいかない。店を休んでまで塞ぎ込んでいた桃子は晶が帰るなり、鬼のように叱り飛ばしたようだ。手出しこそしなかったが、抱きしめて泣いていたらしい。

一ヶ月ほど連絡もなく、行方不明だったのだ。昨今家出や行方不明は珍しくないが、言い換えればそれほど事件は日常化しているとも言えるのだ。

人の死はブラウン管の向こうで他人事に見えるが、いつ我が事になるか分かったものではない。すぐに最悪の予想をさせられるのが、今平和とされる日本の現実といえる。


「おかーさん、おにーちゃんにすごく会いたがっていましたよ」

「お前の姉を何とかしてから、言ってくれ」

「……おねーちゃん。おにーちゃんが晶ちゃんを探したと知って、すごく怒ってました。どうして今更と――」

「……」


 どうして今更、家族面するのか。どうして今頃、家族になろうとするのか。どうしてあの時――家族になって、くれなかったのか。

家族になろうとしなかったから、家族が崩壊したのではない。家族になろうとしなかったのに、家族として家に居続けたのが問題だったのだ。

期待だけさせておいて、信頼だけさせておいて、一方的に利用しただけ。全部壊れた後で、家族になろうとするなんて遅すぎる。美由希の声が、伝わってくる気がした。


それは、分かっている。分かってはいるんだが――それでも見捨てられないんだよ、俺は。お前も、な――


『美由希だってきっと、分かってくれていると思う。元気だして、リョウスケ』

「やれやれ、護衛である俺が励まされるなんて駄目だな」

『ううん、リョウスケにいっぱい元気をもらっているよ。私も、なのはも』

「はい! おにーちゃんがいてくれて、毎日ニコニコです」

「怖っ」

「怖いって言われたー!? 今日はおにーちゃんに食べてもらおうと、オヤツを作ってみたのに」

『私は、お弁当を作ってきたの。よかったら、食べてほしいな』

「夏に食あたりは危険――冗談だから、泣きそうな顔をするな!?」


 そして帰り道、海鳴大学病院の近くにある自然公園で二人と一緒に昼食。これもすっかり日課となってしまい、二人からお弁当とデザートをご馳走になっている。

これも前向きな行動でいいとは思うのだが、日々エスカレートして今では食べさせようと迫るのである。何が悲しくて小学生と外人に挟まれて、食べさせられなければならないのか。


口を開けていればいい楽な仕事なのだが、天気のいい真夏の日には苦行であった。家族の良さを疑いつつある、毎日である。










<続く>








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