この小説は、ヴァンドレッド2ndステージ、最終話からのお話です。













愚者の宴は愚かな物、
しかし、愚者達を制裁する剣は、
今だ鞘に収まったまま……













ドガァァァァァァン!













突然の爆音で黒狼の目は見開かれる、
黒狼は今まで眠っており、眠っている間に何かが起きたと、
一瞬で悟った。
黒狼は海賊かと思い、機体を稼動させる。
そして、メインモニターに写る武装した男達。

黒狼「な…どう言うことだ!?」













VANDREAD 3rd stage 3話「黒き雄叫び〜狼の再臨〜」


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武装した男の一人がグレネードを投げる!

ドガァァァァァァァン!

しかし、俺の声がスピーカー越しに聞こえた瞬間、
一人だけ軍服を着た男が赤牙の足元に近寄ってきた。
男は赤牙の前で止まると、突然口を開いた。

「黒狼大佐、その機体を我々に受け渡したまえ!」

…こいつ、見たことがある、

黒狼「マッコイ少尉!これは何事だ!」

ダグラス・マッコイ…俺が最も嫌う男、
性格は冷酷で残忍、自分の利益のためには人を犠牲にしてでも成し遂げようとする、
俺が知っている中で最低の軍人だ。
性格が顔に滲み出たのか、左右が歪んでいて、
生理的に気持ち悪い顔つきをしている。

ダグラス「君が女の間諜(スパイ)であること、
     このような技術で我々に謀反を起こそうとしたこと
     それら全てを含む罪により貴様は死刑に値する!
     出て来い!!」

黒狼はスピーカー越しに嫌悪をあからさまにはき捨てる。

黒狼「誰が出るか、ましてや貴様などの命令に従うほど、
   俺は落ちぶれていない!!」

黒狼の怒声が格納庫に響き渡る、

ダグラス「我々は貴様のような変則漢に今まで情けをかけて
     色々と面倒を見てきてやったのに、それを仇で返すか!?」

黒狼「貴様に恩を売ったことはあっても、
   俺は貴様に恩を受けたことは無い!」

ダグラスは、最近黒狼により公的資金の横領、
公共施設の私物化、暴走行為を摘発され、
2階級落とされた、
しかし、黒狼に八当たりをする所、
まだ懲りてないようである。
ダグラスは、赤牙を自分のものとし、地位を取り戻す気なのだ。

ダグラス「貴様がそう言う態度に出るなら我々にも考えがある。」

ダグラスが優位者特有の勝ち誇った笑みを晒す。
そして、後にいた兵士が蛮型開発スタッフを乱暴に連れてくる。

ダグラス「貴様が命令に従わないなら、私はこいつ等を殺す。」

黒狼の顔に、再度嫌悪と憎悪が滲み出る。

黒狼「人質とは卑怯な!」

黒狼がダグラスに向かって叫ぶ。

タカジマ「黒狼さん、こいつ等にそれを渡しては駄目です…ぐぶぅ!」

しかしタカジマの叫びは、ダグラスが裏拳でさえぎられた。
この時、黒狼の心の奥底に、黒い感情が渦巻き始めた。

黒狼「タカジマぁ!」

黒狼の叫びも虚しく、
鼻骨が折れたであろうタカジマは鼻血を噴出し、地に伏せた。

オカザキ「黒狼さん!逃げてくださいぃ!」

オカザキの顔が黒狼にそう訴える、しかし、

バァン!

刹那、先ほどまで黒狼に人懐っこい笑みを向けた「それ」は、
紅色の肉塊と化した。
止めど無く流れる紅い血、
黒狼の心が黒き狼に支配されていく。

サイトウ「早く!」

ゴス!

サイトウの油のかかった顔が鉄に殴られ、
無残に姿を変える。

ダグラス「ははははははは!早くしないと皆死ぬぞぅ!」

ダグラスの顔は、既に狂気に染まり、
部下でさえその顔に嫌悪を抱き始めた。
ダグラスの頬が釣りあがる。

ダグラス「こんな無能に従ったのが運のつきか、
     やはり、無能につく者は虫けら以下か…
     くっくっく…はぁーっはっは!」

ダグラスは今、言ってはいけない事を言ってしまった、
恐らく、この世界でもっとも恐ろしい者を目の前にして、
優位に浸っていなかったら、解かっていただろう、
コックピットから広がる、
殺気と、闘気と、憎しみを…













黒狼「今…なんと言った…」













その場の空気が絶対零度にまで下がったように、 その場にいた全員の背筋が凍った、
スピーカー越しではなく、深くそして、憂いを帯びた声。













黒狼「…もう一回言ってみろ…」













コックピットハッチが開く、まるで忌まわしい何かをまだ出し渋るかのように、
ゆっくり、ゆっくりと。

ダグラス「はっ!もう一回いってやる!
     貴様もクズだが、こいつ等は貴様以上にクズなんだよ!」

ダグラスがそう言った途端、今まで俯いていた黒狼の顔がダグラスに向けられる。
その目には、もう殺すことへの迷いはなかった。

黒狼はコックピットから飛び降りた、

そして、ダグラスの前に歩み寄る。













黒狼「…ゆるさねぇ…!」













黒狼の鋭く光る双眼がダグラスを見据える。

ダグラス「ひっ!…殺せぇ!」

ダグラスが兵士に命じる、
ダグラスは後ろに下がり、
兵士が黒狼を取り囲む。

そして、兵士は銃を乱射した!
しかし、黒狼は上に跳躍し、銃弾を避ける、
兵士の一人がグレネードを投げるが、
黒狼はそれを蹴り返し、3人巻き込んで爆発させる!
黒狼が着地し、兵の一人に接近した刹那、強烈なアッパーを食らわせる、
兵は舌を噛み切ったのか血を吐き出した、
黒狼は次の標的を求めて走り出す!
兵が黒狼を目視したときには、既に遅く、
黒狼の手刀が、兵の首を掻き切っていた。

シャァァァァァァァァ…

血が噴出し、辺り一面を紅く染める。、













黒狼「うおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」













黒狼の雄叫びが格納庫に響く。
そして、次の標的として確認した相手はダグラスだった。
黒狼はゆっくり歩み寄る。

ダグラス「来るな…来るなぁぁぁぁ!!!」

ダグラスが両手で銃を構え、撃鉄をがむしゃらに起こす。

バァンバァンバァンバァンバァン!

手に持っていた銃を撃つダグラス、
しかし、黒狼は弾丸が頬を掠ろうが、
体を撃ち貫かれようが決して止まることは無かった。

カチ…カチカチ…

次第に弾が切れ、トリガースプリングをはじく音が乾いた空間にこだました。

ダグラス「頼む…助けてくれぇ…」

ダグラスが涙目になり銃を投げ捨てる。
しかし、そんなことはお構いなく、
黒狼はゆっくりと歩み寄る。

至近距離まで近づき、黒狼は突然ダグラスの首を掴んだ。

ダグラス「ぐっ!ぐ、ぐるじい…やめでぐれぇ…」

しかし、黒狼は無言のまま、
指が首にめり込む。
そして、ダグラスの体が宙に浮いた。

ダグラス「…うっ…たすけ…ぐぅ!?」

黒狼が開いた左手でボディーブロウを繰り出す。
そして、手に力を入れる、
すると、血が噴出し、胸鎖乳骨筋が露になる。

ダグラス「ひぃぃ!!」

黒狼の腕は真っ赤に染まり、血が凄い勢いで滴り落ちていた。

黒狼「……死ね…」

グシャァ!

黒狼がそう言った後、腕に力が入り、ダグラスの首に風穴が開いた。

ブシャァァァァァァァァ!!

血が雨のように降り注ぎ、黒狼の体を紅く染め、
地に紅い血だまりを創った。
その光景は、まるで血を浴びる黒い狼のようだった…


そして、黒狼はダグラスを投げ捨て、タカジマの元へと走った。
…タカジマと黒狼以外、この空間に生きているものはいなかった。

黒狼「大丈夫か…?」

答えは無い、どうやら気絶しているようだ。
黒狼は格納庫で応急処置をし、廊下にタカジマを横たえさせた。













ドガァァァァァァァン!!













艦全体に衝撃が走る、


黒狼は亡くなった者達に背を向け、
階段を駆け上がり、
コックピットへ飛び込んだ、

冷静な行動を取る黒狼。

その頬には、一筋の涙が流れていたことを知っているものは誰も居ない。













そして、残ったのは赤い鮮血と、何も言わない骸のみ…





















<続く>

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あとがき



ダークな内容ですがこれでも譲歩した方なんですよね(笑)
さて、ここで赤牙の性能を少し紹介します。

赤牙

武装
ブレストキャノン
ブーステッドキャノン
バスタードソード(大剣)
ショルダーブレード
ビームシールド
リフレクタービット×6
腰部レールカノン
ブレード

機体面

ブースター数
肩…各2基
太股…各1基
腰…各1基
足…各4基
背中…2基

一応5倍の速度が出せるのは最高の状態でです。
今はまだリミッターがついてます。
あと、キャノンとビットとスピードは同時に出せません。

メチャクチャ?










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