彼の周りに広がっているのは緑豊かな自然。

 彼の両側には父親とこれからお世話になる教官達。

 そして彼の目の前には赤、青、オレンジ、ピンクというそれぞれ個性的な髪の色をした4人。

 ……まぁ青い髪の少女――スバル――は驚いた顔をしているが。

 そんな中、髪をサイドテールにした教官―高町なのは―が彼と彼の父親を紹介する。


 「さて、今日の朝練の前に一つ連絡事項です。特別技術開発部隊のバート・レイノルズ二尉とナイト・レイノルズ二士が今日からしばらく六課へ出向となります」

 「特別技術開発部隊、バート・レイノルズ二等空尉です。よろしくお願いします」

 「同じく、特別技術開発部隊、ナイト・レイノルズ二等陸士であります。よろしくお願いするのであります」

 「「「「はい!」」」」


 ナイトの敬語(丁寧語?)は相変わらず変であったものの、バートとナイトの挨拶に、威勢のいい返事が目の前の4人から返ってくる。


 「補足になるけど、バート二尉は教導の見学と言うことでいらっしゃっているので、練習には直接参加しないからね」


 長髪で綺麗な金色の髪をした教官―フェイト・T・ハラオウン―の補足が入る。


 「おーし。紹介もすんだことだし、今日も朝練いっとくか!」

 「「「「はい!」」」」


 鉄槌を携えた教官――ヴィータ――の一声で朝練が始まる






Connection 第一章
第一話 模擬戦







 ナイトはどんな訓練にも耐えられるよう念入りに準備運動をしていた。

 他の部隊の足を引っ張るような真似はしたくなかったからだ。

 そして、ちょうど一区切りついた時、なのはから声がかかる。


 「ナイト君、ちょっといいかな」

 「はい!何でありますか?」


 ナイトの硬い口調になのはは苦笑する。


 「にゃはは、そんなに硬くならなくていいよ。もう少し楽にね」

 「わかったよ」

 「いや、それはさすがに…丁寧語ぐらいで、ね」

 「了解であります」


 なのははナイトの一向に直らない口調に苦笑し、どうしたものかと考える。

 そこへバートが助け舟を出す。


 「こいつの変な口調はお気になさらずに。特技では直せなかったもので」

 「では、こちらで直してもよろしいでしょうか?」

 「はい。むしろこちらから頼みたいぐらいです」


 バートは願っても無いと言う感じで返事をする。

 以前、何度かナイトの丁寧語習得のため、特技総出で直そうとしたことがあった。

 しかし、どれもことごとく失敗に終わってしまったのだった。


 「それで高町教導官。いったい何の用事でありましょうか?」

 「あ、ごめんねナイト君。スバルと模擬戦してもらってもいいかな?」


 なのはは、以前スバルが「訓練校時代、ナイトとしょっちゅう模擬戦とかしたんですけどこれがすごく楽しくて!!」と目を輝かせながら言っていたのを覚えていた。

 そして、そのことからなのはは2人の実力が伯仲していたと考えた。

 さらにこうも考えた。

 成長した2人を戦わせたらお互いの刺激になるだろうと。


 「はい!!」


 ナイトは目を輝かせてすぐ反応した。

 そんなナイトの反応を見てなのははクスっと笑った。




    ◇    ◇




 訓練校時代、ナイトはスバルと何度も模擬戦をしたが、いつも勝敗つかずだった。

 そして結局卒業までに勝敗がつかなかった。

 だからスバルはナイトにとって友人であり壁でもあった。

 そのスバルと再戦したいという気持ちはナイトの中でずっと燻っていた。

 そして思わぬところで再戦のゴーサイン。

 それで興奮しないはずが無い。

 一方、スバルのほうはと言うと、こちらもやはり興奮していた。

 訓練校時代の戦績は五分と五分。

 白黒ハッキリさせたいという気持ちがあった。

 それに2人は違う指導者の下で育った。

 この模擬戦に勝つということは自分を育ててくれた教導官の教導力を示すことにもなる。

 そのこともお互いの気持ちに拍車をかける。


 「アタシが勝つ」

 「僕は負けない」


 2人お互いの目を真っ直ぐ見据え、スバルは自分の拳を、ナイトはクラウンを強く握り、模擬戦の開始を待つ。

 そんな模擬戦とは思えない雰囲気を放つ2人を目の当たりにしたほかのフォワード陣は雰囲気に飲まれたかのように誰もしゃべらない。


 「それでは…レディ……ゴー!!」


 なのはの開始の合図がかかると同時に2人がパワーを溜めて急加速。
 そして、互いを目掛けて一直線に突っ込む。

 フェイントの一切無い、愚直なまでの拳とランス。

 ゆえに正面衝突は必至。


 「「うおぉぉぉぉぉぉ!!」」


 お互いに押し負けまいと前へ前へ力を加える。

 あくまで正面から。

 そこに小細工は存在しない。

 そして、どちらともなく互いに力を横に流し、すれ違う。

 模擬戦は始まったばかりであった。




    ◇    ◇




 スバルはナックルダスターに絶対の自信があった。

 第4陸士訓練校時代からずっと使用してきた魔法攻撃であり、何千何万と練習してきた魔法でもあったからだ。

 しかし、スバルのナックルダスターはナイトの刺突ににわずかながら押されてしまった。

 押し切られなかったのは、ひとえになのはの教導のおかげだろう。

 そして、自分の魔法が相手に押されていたと言う事実はスバルの負けん気に火をつける。

 ――――絶対勝つ!!


 「行くよ!マッハキャリバー!!」
 『All right buddy.Gear Second Standby.』

 「ギア・セカンド!」
 『Ignition.』


 直後、スバルの魔法出力と速度が向上。

 ナイトはそんなスバルを確認するとすぐさまクラウンに命じる。


 「カートリッジロード!」


 クラウンから空薬莢が吐き出され、ナイトの魔力が向上。

 ――――絶対負けない!!

 そして二人は再び正面衝突を繰り返す。




    ◇    ◇




 ナイトは自分の刺突――スタールスピアー――に絶大な信頼を寄せていた。

 バートに教わった初めての魔法攻撃であり、自分が一番知っている魔法でもあるからだ。

 しかし、そのスタールスピアーがナックルダスターに押され始めてきた。

 スバルがギア・セカンドに入ってからナイトの刺突一発に対し、二発の拳を返してくる。

 そのうえ衝突までの間隔が短くなっていきているため、ナイトが状況を打破する方法を思案する暇も無い。


 「――っ!?」


 そして、ついに隙が生まれる。

 繰り出した刺突がスバルの左手で外に払われたのだ。

 デバイスこそ離さなかったもののその体勢からの回避は不可能。

 そして、ナイトは攻撃を防ぐべく行動し、スバルは攻撃を加えるべく行動する。

 ナイトは自分のもっとも得意とする防御魔法の詠唱をする。

 スバルは拳に衝撃波を纏い、体に力を溜める。


 「パンツァァァー」
 「リボルバアァァァー」

 「シルト!」
 「キャノン!」


 二つがぶつかり合い、火花を散らす。

 そして、ナイトのパンツァーシルトに亀裂が走る。

 次の瞬間、パンツァーシルトが貫かれる。

 そして、ナイトは木々をなぎ倒しながら吹き飛ばされる。

 スバルはその追撃を行うため、再び拳に衝撃波を纏う。


 「リボルバァァァシューーート!」


 飛来する3発の衝撃波。

 それを前にしてナイトはつぶやく。


 「父さんによく叱られたなぁ。……回避モーションが大きすぎるってね!」


 そして、ナイトはすぐさま起き上がり、最小限の動き・・・・・・で全弾回避する。

 さすがに全弾回避されるとは思っていなかったスバルは一瞬動きが止まる。


 「訓練校を……訓練校を卒業してから遊んでたわけじゃない。そう簡単に負けてたまるかぁぁぁ!!」

 「――っ!?」
 『Protection.』


 一瞬で距離をつめ、スタールスピアーをスバルに繰り出す。

 スバルは攻撃自体はマッハキャリバーの自動防御のおかげでしのげたものの、体のバランスが崩される。

 そして、ナイトは追撃をすべくクラウンに命じる。


 「クラウン、ハイブリット起動!」


 クラウンはカートリッジロードとバッテリーシステムの並列起動を行う。

 鈍い金属音と共に空薬莢が吐き出され、クラウンの鍔の先が回転を始める。

 そして、刺突をスバルに向かって繰り出す。

 対するスバルはカートリッジをロードし、頼れる相棒と共に防御魔法の詠唱を行う。


 「テートリヒ・スピアー」

 「プロテクション」
 『Protection』

 「アングリフ!!」

 「パワード!!」
 『Powered.』


 先程と立場の逆転した二つがぶつかり合う。

 ナイトは前へ前へと力を加える。

 スバルの防御を貫くために。勝つために。

 だが、スバルはナイトの力を受け流してナイトの側面に移動する。


 「アタシだって……アタシだって遊んでたわけじゃない。だから!!」


 そう言ってカートリッジをロード。

 ナイトはそれに警戒してカートリッジをロードし、パンツァーシルトを張る。

 だが、スバルはそんなのお構いなしに魔力チャージを行う。

 ナイトはまずいと思いながらも動くことができない。

 そして、スバルはトリガーボイスを紡ぐ。

 ナイトを防御魔法ごと打ち抜く魔法のトリガーボイスを。


 「一撃必倒!!ディバイィィィン・バスタアアアァァ」


 防御魔法ごと吹っ飛ばされたナイトは文字通り一撃でノックダウン。

 立つそぶりを見せないナイトに撃墜判定が下り、模擬戦が終了する。

 どうやら幾度と無く死線をくぐってきたスバルのほうが一枚上手であった。





 ………が、模擬戦後、髪をサイドテールにした教官にやりすぎだと言われていたとかいないとか。

 













 

to be continued




 


 あとがき


 どうもS22です。

 今回はとにかくアツく!をコンセプトに書いたわけですがこれが難しい難しい。

 三人称だとなかなかアツく書けないんですよね。

 今更一人称にするわけにもいかず三人称で書きましたが。

 とりあえず書いてて楽しかったんでもう万事おっけー(笑

 戦闘描写大好きなんですよ。下手ですけどね。(ぉ

 そんなわけで戦闘90パーセントでお送りした第一話。

 次回は戦闘0パーセントになりそうな予感が。

 ではこの辺にて失礼します。

 最後に読者様とリョウさんに感謝を。









作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。