『〜リセット&NEWスタート〜 4話 捕虜 〜上編〜』



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宇宙では数多くの謎と同時に多くの奇跡も生み出している。

そして宇宙はまた同じ奇跡を生み出した・・・・・・・




何もない空間が歪み、その亀裂が旧区艦と海賊船を包んだ。

そして役割を終えたかの様に吐き出された二つの艦はシステムが停止した状態で宇宙空間を漂っていた。















  「う、・・・・・・うう」

マグノは誰よりも早く意識を取り戻した。

「一体……何が起こったっていうんだい?」

「ス、スイマセン・・・・・・・今すぐリペアします」

身を起こしたクルーは状況確認の作業を始めた。

そんな様子を見ながらマグノがふと上を見上げると

なんと!?ぺ―クシスが旧区艦と海賊船を包んでいた。

「まさかこの艦を食おうってェのかい!?」





「・・・・・・うっ・・・・・・クッ・・・・・」




格納庫の中でうつ伏せになったメイアが意識を取り戻し、

そばで意識を失っているジュラに声を掛ける




「ジュラ!無事か?」




「う〜ん・・・・・何なのよォ〜ン」

ジュラの無事を確認しメイアは一人足りない事に気が付いた。

「ハッ!・・・・・・ディータどこにいるんだ!」

 すると、

「……はぁ〜い、」

遠くの方から酔っ払いのように手を振っているディータが見えた。

「何か、びび〜っ、ずばば〜〜ってなりまひたよねぇ……、やっぱひ宇宙人パワーはすごいでしゅね〜〜」




「・・・・・・・あっ・・・・・・・」

「どした?ディータ。どこか痛むのか?」

「ね、ね。リーダ。宇宙人さんはドコ!?」

ディータの言う宇宙人さんを例の男と判断したメイアは首を横に振った

「・・・・・・私は知らない。多分私達と同じように気を失っていると思うが・・・・・」

「そっか・・・・・大丈夫かな・・・・・・・・・・宇宙人さん。」




心配そうに呟きディータはヒビキの事を考えていた。

初めて会った男人。

最初に目が合った時、なぜか懐かしそうに私を見つめていた宇宙人さん。

自分を助けようと必死になっている宇宙人さん。

そんなヒビキの顔を思い出してディータは顔を赤らめてしまった。



 「・・・・・・うっ・・・・・・クッ・・・・・」

遠くの物陰でヒビキの呻き声が聞こえた。

「宇宙人さん!!」

ヒビキの声を聞き、ディータは駆け寄った。

「よかったぁ、私ね宇宙人さん死んじゃったらどうしようかと思ちゃったよ」


ヒビキの傍に駆け寄り、まだほのかに赤い顔で喜ぶディータ。

その隣でを見つめるメイアも複雑な表情をしている。




「ふん!どうやら噂通りの男だな・・・・・・・・」



「何かその『噂』ってのはどんなのなんだ?」

「・・・・・お前に教える義理などない・・・・・・・」

「おいおい、何だよその言い方は!」

「宇宙人さんにリーダー、喧嘩しないでよ〜。」 



ヒビキとメイアの口喧嘩になりティーダがそれをなだめている。
そして、端から見ていたジュラはあまりいい気持ちではなかった。



「なんか!ジュラ影薄くない!」



ジュラは可愛らしくプゥ〜と頬を膨らませ文句を言っていた。

 
 

ペークシスが成長を続けているのを見て、

マグノは正面のモニターの人物に通信を開いた。

「ガスコーニュ!切り離せるかい?」

モニターにはクリスタルが侵入したエリアが映し出されている。

大柄で長い爪楊枝をくわえた女がウンザリした風に答えた。

『ビームガンじゃあ無理だよ。ここもすぐ飲み込まれちまうよ。』

「ふう・・・・・今日は『ラッキーデイ』なのにねェ・・・・・・・・・・BC!」

BCとは"ブザム・カレッサ"の頭文字から取った呼称である。
 
『侵食は艦全体に広がっているようです。』

その報告を受けて新たなウインドウが開く。

機関部長のグリグリめがねのパルフェである。

『メインエンジンも立ち上がりませ〜ん』

そんな危機にマグノは大きな溜め息をついた。

「問題は元から断つしかないか・・・・・・BC、パルフェ!上へいくよ、一緒においで!」















  そして、しばらくして小型シャトルに乗った

マグノ、ブザム、パルフェがやって来た。




「よう!久しぶりだな。ばあさん。」

「ディータが追っていた男で”黒い悪魔”です。」

 メイアが口を挟む。

「おや!?あんたかい、久しぶりだね。たしか・・・・・2年ぶりだったかい。」

「ああ、もうそんなになるか・・・・・ちょっとオレの相棒が気になるんだが見に行ってもいいか?」

「ああ、別にいいよ。言ってきな。」

「お頭!勝手な行動を取らせるべきではありません!」

メイアはすぐさま抗議した。

「別にいいよ。どうせ逃げれないんだからねぇ。」

「それにしてもディータなんでアンタは男を追っかけてたんだい?
 もしかしたら殺られているかも知れなかったんだよ。」

「それは・・・・・彼は私を助けてくれたんです・・・・・・・だからイイ宇宙人さんです!」

「でもねェ・・・・あいつは男、女の敵なのよ。・・・・・・・・確かに悪い奴には見えないけどね・・・・・・・・・」

ジュラは長い髪を掻け上げながら言った。

しかし、後半の台詞はやけに小さな声だった。

「ふう、・・・・・まあ自分の信じる事に自信を持つんだよ。」

「はい!よくわかんないケド・・・・・・・・・・がんばります!」

よし!と気合を入れてディータは元気一杯答えた。

「ふ〜ん、何か私もその男に興味が出てきたよ。」

すると今までいろいろと調査をしていたパルフェが言ってきた。

「パルフェも会ってみたら?」

ディータはそうパルフェに言った。














  もっとみんなに宇宙人さんのことを知ってほしい。

こんなに優しい男人もいる。

やっぱり私の思った通り男人って悪い人ばっかりじゃない。

お互い理解すれば・・・・・

そうすれば戦争も早く終わるんじゃないかな。

そんなことを考える私って変なのかな・・・・・・・。















  「・・・・・・どうしちまったんだ?この艦・・・・・」

無人の筈の格納庫で一人像の中から這い出てきた。

そう、あのバートが隠れていたのである。

そのバートは思わず目の前様子に息を呑んだ。

そしてポカンと口を開けフラフラと歩いていると

その時!






ベキベキベキ!!・・・・・・・・・・・ズズ――――ン!








  いきなりメイアのドレッドがバートに向かって上から滑り落ちてきた。

「ぐわ〜〜〜〜〜〜ッ!!」

慌てて飛びのき尻餅をついてしまった。

「く〜〜・・・・・・な、なんだよ、脅かしやがって・・・・・」

悪態を付くバートだがどうやら腰が抜けたらしい、

四つん這いのまま横へ向きを変え進もうとしたとき、何やら柔らかい物にぶつかった。




「……ん?」




顔を上げるとそこにはリングガンを構えたメイアが無言で睨みつけていた。 

無表情で構えていたメイアがトリガーに指を掛ける。

抵抗するなら撃つという、といった構えである。

バートはそれを察し引き攣りながらも精一杯の微笑を浮かべた。

「は、はは……どうも、初めまして・・・・・・・」















  そのころ監禁室では一人寂しく入れられている男が居た・・・・・・・



「……こんなところに閉じ込めてどうするつもりかな。」



ドゥエロは静かに言った。



「この状況下では、一番安全な場所なんだがな」



ブザム侵害だ。と、言わんばかりに答えた。



「来てもらおうかな」



ブザムが一呼吸置いていった。



「艦内は全てこんな状態なのか?」



 ドゥエロは静かに問う。



「あぁ、そうらしい。我々とて全てを把握できているわけではないがな」



「そうか・・・・・」



つぶやくドゥエロの視線に先を歩く保安クルーが入った。

男女のつくりが違うのはいまさら言うまでも無いが、

タラークにとって、改めてよくよく見れば、胸に何か入ってるんじゃないかとか、

しりに何か詰めてるんじゃないかと思うのは当然の疑問である。




「すこぶる興味深い。」



そんなことを思っているうちに 

ドゥエロは風呂場へと連れてこられていた。

ペークシスの影響が少なかった場所のひとつだったからだ。















   「おやおや、捕虜って言うから来て見りゃ、一人だけかい」



マグノが現れた。そこへピョロが進み出て、



「何でも聞くピョロ。何でも話すピョロよ」



「あんたも難儀だねえ、坊やに置いていかれたんだろ。しかしまだ動くのが残ってたんだねぇ」



 ピョロ(予定)を見て、声を上げるマグノ。



「こんなとこに呼び出して何のようだ?」

入ってきたヒビキが聞いた。

「お前なんでそんな偉そうなんだピョロ?しかも何で一人でここに来れるピョロか?とっても怪しいピョロよ。」

ピョロ(予定)に指摘されヒビキは脂汗ダラダラである。

何とか言い訳をしようと考えているとあることに気が付いた。

「えっ・・・・・それは・・・・・・・・あっ!」

ヒビキが何故か驚いてピョロ(予定)を指差した。

「どうしたピョロか?」

「お前どうしてここにいるんだ?」

「・・・・・・・・・・・お前が忘れていって拾ってもらったんだピョロ!!!!!!!!」

そのときピョロ(予定)は怒りでボディーが震えていた。




「それはそうとなぜ男の技術を女が知っているんだ?」

不思議に思ったドゥエロが思わず聞いた。

「おや?その様子じゃあアンタ達何にも知らないんだね。この船はね元々移民船だったんだよ」

「地球には移民船が少なかったから戦艦に居住エリアを足して移民船にしたんだピョロ」

「それをあろう事かお前さん達の根性なしの爺様達が女から持ち逃げしたんだよ」

ヒビキを除く男達は驚きを隠しきれない。
 
「しかし因果だねェ、今はその戦艦の姿に戻っちまった」







と、そこにバートをつれてメイアが入ってきた。







  「何だい。まだいたのかい?」



「はい。偶然隠れていたところを発見しました」



「……ははは、会えて嬉しいよ、!?ヒビキ大尉まで捕まったのですか!?」



「まぁ。そんなとこだ。」



バートもヒビキ達のほうへと追いやられ、マグノがまた話し出した。



「さてと、あたしらも商売だから、この船は遠慮なく頂くとして・・・・・・・・問題はあんた達の処分だが……」



と、すかさずメイアが、口をはさむ



「捨てましょう。ただでさえ不確定要素が多いときです。敵をそばに置くのは危険です」
「まぁ、そんなに焦る事は無いよ。フフ・・・・・どう料理するかはゆっくり考えるとしよう」



 と、バートを見据えつつ、舌なめずりなどする。



「!! やっぱ食う気だ……」



バートは真っ青になる。














 














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