『〜リセット&NEWスタート〜 第2話 〜待ち望んだ出航〜』



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      『諸君!我々はついに今日という日を迎えることが出来た!
 
      にっくき女どもを滅ぼすため、我々は新たな力を得たのだ!!』




      なにやら物騒な事を言っている。


  「…………」


「見よ!!これこそが我らの新しき力、
タラ―クの象徴にして宇宙最強の戦艦に生まれ変わった『イカズチ』の姿である。」



      「うおォォォォォォォ〜〜〜〜〜ッ!!!!」



      ボソ・・・    「最強・・・か・・・・・。」



「そして、タラ―ク最強パイロット、ヒビキ・トカイ大尉こと”黒衣の天使”が
『イカズチ』に乗り込むことになった。」



      「うおォォォォォォォォォォォ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!!」


      先程より大きい歓声が式典をの会場に響いた。


      『皆の声は届いている!その声に答えるため、出航時間など待ってはおれん!
そうだな諸君!!』


      タラーク首相は大声で街頭モニターを通し、

      町中の男達に演説を行っていた。

      街の中でも一番大きなモニターの後ろには 
                             強大な何かが鎮座してる。

      それは宇宙船であった。

      それも女達に対抗するために昔に使われていた旧艦区にさらに 
               新艦区を継ぎ足したものだ。

      今、その打ち上げのために町中にいつもより多量の蒸気が 
                  噴出しているのだ。


      『ウオオオオオオオオオ!!』


      民衆が歓声を上げるなか、

      イカヅチはブースターを吹かして宇宙へと飛び出し始めた。















 














  そして、イカヅチは宇宙へと飛び出した。


 
      悠然と飛ぶイカヅチに他の戦艦が近づいてきた。

      イカヅチのタグボートとも取れる大きさの戦艦を見れば、

      彼らのイカヅチに対する期待がどれほどかよく分かる。















  そして、















        「全員、無礼講!!」


      堅苦しい挨拶が済んで、イカヅチの中では宴会が催された。

      士官候補生がそれぞれ杯を取って語り合っていた。

      そんな中、一人他と違って髪を長く伸ばした男が見受けられる。
 
      彼はドゥエロ=マクファイル。

      彼は士官学校を首席で卒業し、

      次期首相の席も約束されているというほどのエリートであった。

      しかし、彼自身はそんなことに興味は無い。

      彼の頭の中ではそんなことは全て予想のうちに入るからだ。つまり、
             一生涯の全てが予測できてしまうため、大抵の事に興味がないのだ
      それゆえ彼は感情を表に出すことが少ない。

      医療部に入ったのも流れといってしまうべきか。

      そして、もう一人。                                           
      他の男達に弁舌を振りまいてはペレットを薦める男がいた。

      彼はバート=ガルサス。

      同じ士官候補生であるが、彼は毛色が違っていた。

      彼はタラークで唯一作られている食料のペレットを生産する

      ガルサス食品の3代目なのである。

      コネで候補生になったのだと噂もされる軽い性格の男だった。

      彼の薦めているのは彼の会社で作られた新作らしい。

      しかし、相手にされないことも気に留めず       
                    
      次から次へと声を掛け捲っている。
      
      ……ある意味大物かもしれない。















  『全員正面を注視せよ。これより我らタラークが誇る  
                                「新型蛮型撲滅機」を披露する!』


      アナウンスと共に、コマーシャル?が流された。

  「うわ、下手な広告」

 
      バートも思わずそうつぶやいたほどだ。


      そして、ゆっくりと正面の格納庫が開かれ、


      「あ、あれは!?」


      多数の蛮型の中で1つだけカラーリングが違う機体があった。


      「ありゃ、!?”黒衣の天使”専用蛮型機じゃないか!」


      全員が思わず声を失うのも無理はない。

      タラ―ク最強パイロットの専用機。

      普段では見られない代物だ。

 
      『ではここで、”黒衣の天使”ことヒビキ大尉のあいさつがある。」

      「知っていると思うが、オレがヒビキ・トカイだ。」

      その言葉には威圧感があり、

      先程までの騒ぎがうそのように、静まり返った。

      身体も昔より大きくなり160cm後半だ。

      多分、毎日のトレーニングのおかげだろう。


  「え〜、オレから言うことは特にないが、これだけは覚えといてくれ。」

 「キミ達は何の為に戦っている?なぜ女人と戦っている?もう1度よく考えてみてくれ。」


      ザワ ザワ    ザワ ザワ


      「おい、何言ってんだ?なにそんな分かりきったこと言ってんだ?」

      「そういえば、大尉は女人を助けたことがあるとか噂で聞いたことあるぞ。」

      「あっ、それ俺も聞いたことある。」


      ヒビキの発言で、会場はざわめいていた。


      しかし、そのざわめきもすぐに収まった。

 

      「ヒビキ大尉その発言は国家反逆罪だぞ!
      しばらく、頭を冷やしてもらおう。」


      首相からの命令で,警備兵がヒビキを囲み身柄を拘束した。
 


      (まっ、ここで暴れてもしゃぁねえし、大人しく捕まっとくか。)















  ヒビキは物置に連れ込まれた。

     そのうちひとつに放り込まれると、レーザーシールドを張られる。

 「くくくっ、こんな物置に放り込んで、オレを殺す気があるのか?」

     「れっきとした監房であります。物置代わりにしておりますが。」

     「貴方は監禁処分と決まりました。すぐに出られるでしょう。」

     実際、ヒビキはタラ―クの英雄なにで、衛兵たちはかしこまっている。

     2人の衛兵は  ピシッ! と、敬礼すると立ち去っていった。

     二人が立ち去った後、ヒビキは懐かしい仲間と再会した。


 「おおっ!?ピョロじゃねえか!懐かしいなぁ。」

     と、ヒビキが叫ぶと

     『ピピッ、監房内は静かに』

  無機質な声が聞こえた。見れば、卵型のナビゲーションロボットがそこに浮いていた。

どうやら監視してるらしい。

「なぁ、ピョロ!ここから出してくれよ」

     『ピピッ、あなたと私とでは構成物質からして異なり、
     その表現は不適当』

 「まっ、今のお前にこんなこと言っても無理か・・・・・」

     『ピピッ、監視対象の発言は逃亡示唆および未遂とみなし……』

 「へっ……?」

     『懲罰』

     バリバリバリ……!!

     次の瞬間強烈な電撃がヒビキを打ち据えた。

  「ぬわぁぁぁぁ!!」

      その衝撃で昔なら気絶するところだが、なんとかもちこ耐えた。















        「くそっ、奴のおかげでせっかくの宴会が台無しになってしまったわ」

      「若造のクセに調子に乗りおって!」

      タラーク現首相はイカヅチの艦長席で憤慨していた。

      ヒビキはあまり上層部にはよく思われていない。

      しかし、とてつもない戦果を残しているので、

      首相でもあまり文句は言えないのだ・・・・・

      彼は勢いに任せて艦長の席までも取ってしまった。

      その横では本来の艦長が控えている。


      「護衛艦より入電!模擬演習の指示をされたし」

      通信兵が声を上げる。

      「演習は中止だ!全艦周回軌道につけろ!」

      「し、しかし……」

      本来の艦長が言うが、

      「同じ事を二度言う気は無いぞ」

      「も、申し訳ありません。全艦周回軌道につけます!」















  そんな周回軌道に着いたタラーク艦隊を見据える者たちがいた。    
           ゆっくりとその者達は艦隊へと近づいていく。

















        「くっそ……やってくれたな」

      何とか体を起こしてヒビキが呻く。

      「お前、俺を誰だと思ってやがる!!」

      ナビロボを睨みすえ、ヒビキが怒鳴った。

      すると、何を勘違いしたのかナビロボが身分照会を始めた。

      『対象の身分照会。……有機体、人間、男……』

      「あ……?」

      しばし、

      『ピピッ、紹介完了。』

      「え?なんで……」

      次の瞬間!

      ドドォォーーーン!!

      強烈な衝撃が艦を揺さぶる。

      その衝撃でナビロボもレーザーシールドに突っ込んでしまった。

      「そうか、もうあいつ等が来たのか・・・・・」















        「何事だ!演習は中止したはずだぞ!」

      首相もいきなりの衝撃に席を立ち怒鳴る。
  
      「違います!演習ではありません!!」

      「女です!女どもの奇襲であります!!」

      レーダーを見ていた兵が叫んだ。

      「何だと!?」















        変わってこちらはその女の船。

      「お頭、大物がかかったようです」

      ハスキーな声がその場に響いた。

      「ふふ、今日はアタシのラッキーデーだからねぇ。」

      お頭と呼ばれた女性。そう、海賊団の老尼僧マグノ・ビバンであった。















 













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