side霞光弥
 

「………? 此処は…?」
 

気絶している間にクウガに変身しちまったお嬢ちゃんを助けた俺は……体質による莫大な疲労によって不覚にも気絶してしまったが
――此処はあの野郎が作った空間では無い…ましてや現実空間とも思えない……夢の…中か?
 

――KAMEN RIDE…DECADE!!――

「何!?」
 

俺以外には……一人しか持たぬ力…その電子音が聞こえたとほぼ同時に…氷のような冷たい殺気を感じ…すぐさま立ち上がる
 

「…………………」
「!? お前は…何者だ?」
 

暗闇から現れた仮面の戦士…"ディケイド"……其の体は俺と同じ黒と灰色の体だが…目とバックルのレンズの色が違う…
奴がダークブルーで…俺が赤……しかし…俺はこのディケイドを知らない……士とは何かが違うこのディケイドを――
 

――ATTACK RIDE…SLASH!!――

「……!!」
「!? つぅ…!!」
 

青い瞳のディケイドがカードを放った瞬間……速い動作で俺に接近しライドブッカーを振るって来た――
反応できない速度では無かったが……考え事をしていた為に反応が送れ右肩を5mm程斬られた…
しかし、この痛みが…戦う意欲を上げさせる!!
 

「……………」
「変身―!?」 ――KAMEN RIDE……――
「……!!」
 

バックルを装着してカードを放る……後はサイドハンドルを閉めるだけだったが奴の追撃の斬撃が迫る…
俺は跳び上がって奴の右肩を蹴り更に跳躍……サイドハンドルを閉める!!
 

――DECADE!!――
――ATTACK RIDE…BURST!!――
「ハァッ!!」
 

高速かつ連射される光弾をライドブッカー・ソードモードで切り払うも左肩、右モモに弾丸が当たる……しかし…ふらついてる暇は無い!!
 

「トアアアアアッ!!」
「……!!」
 

落下の速度に合わせ奴に対し剣を振るうも……奴がガンモードからソードモードに変形させ受け止めた……なら!!
 

「ハァッ!!」
「……!?」
 

着地してからの反動を利用し膝蹴りで奴の体勢を崩し、回転を付けてのエルボーからライドブッカーで奴の胸部を斬り付ける。
奴が来る次の手は…大体解るな――
 

――KAMEN RIDE…AGITO!!――
――KAMEN RIDE…NEGA DEN-O!!――
「…!!」
「おし…行こうか!!」
 

迫り来る奴の拳をライドブッカーで流し、時折柄での反撃を加える……そんな中…俺は膨らみつつある疑問に悩んでいた
 

「……!?」
「(おかしい…あの殺気の持ち主が……この程度の実力なのか?)」
 

俺には解る…奴が打つであろう手が……50手先まで……次は…左回し蹴り!!
 

「ウオオリャアアアッ!!」
「ッ!?」
 

回し蹴りの回転に逆らうと…面白い様に刃が奴の脇腹に擦れる…
念の為、がら空きの背中に正拳突きを放ち奴との距離を離した……さて、次は……
 

――KAMEN RIDE…BLADE!!――
「……!!」
「そう…来るよなぁ!!」
――ATTACK RIDE…DEN! GASSHER!! SWORD MODE!!――
 

俺は具現化した電王の専用武器"デンガッシャー"ソードモードを右手に持ち二刀流で向かって来るDブレイドに立ち向かう
 

「ハアァァァァァァァァッ!!」
「……!!」
 

――何故だ!? 違和感が…消えない…!!  二刀による斬撃は確実にDブレイドにダメージを与えている……
しかし…戦い始めた当初に抱いた違和感が消えない――まるで…"試されているような"そんな感じがする――!?
 

――ATTACK RIDE…METAL!!――
「……!!」
「チィ…!?」
 

Dブレイドが全身の強度を高めるメタルの効果を使った事により、
俺の斬撃は弾かれ…其の隙はDブレイドの斬撃によって突かれた……斬撃よって開いた僅かな距離…Dブレイドがカードを放る
 

――ATTACK RIDE…THUNDER!!――
「……!!」
「なめるなぁ!!」
 

雷を刀身に纏ったDブレイド…俺は誘いとも取れる隙に敢て…のってみるか!!
 

――ATTACK RIDE…MACH!!――
「ぐ…!!」
 

此処で…マッハか…くっくっくっ……読みどおりだ!!
 

「ウオオリャアアッ!!」
「……!?」
 

マッハを使えば自分のスピードを上げる事が出来るが…止まった所を狙えばいい……
俺はDブレイドの斬撃に耐え、一瞬の隙に二刀の斬撃を叩き込む!!
 

「……!!」               ――KAMEN RIDE…KABUTO!!――
「さあて…超高速バトルと行こうか!!」――KAMEN RIDE…DARK KABUTO!!――
 

奴はカブト…俺はダークカブトになりお互いにもう一度カードを放り……駆けた!!
 

――ATTACK RIDE…CLOCK UP!!――
――ATTACK RIDE…CLOCK UP!!――
「トアアアアアアッ!!」
「……!!」
 

超高速空間の中で…俺達は剣を打ち合う……しかし…まるで手ごたえが無い…やはり――試してみるか!!
 

「…!?」
「ハァッ!! ダアアリャアア!!」
 

横薙ぎに振るわれるライドブッカーを避けたと同時に剣を振るい…
がら空きの背中にミドルキックを決めて距離を取り、ライドブッカーをベルト左脇に戻してバックルにカードを放る!!
 

――FINAL ATTACK RIDE…DA、DA、DA、DARK KABUTO!!――
「……!!」
――FINAL ATTACK RIDE…KA、KA、KA、KABUTO!!――
 

エネルギーチャージが終わり…奴は青、俺は山吹色のエネルギーを右足に纏い…駆けて…上段回し蹴り!!
 

「む…ぐ……!!」
「……!?」
 

お互いの上段回し蹴りが激突するも同じ威力の為か両方とも弾かれ……鳴り響くであろう電子音の前に格闘戦を展開する
 

『『CLOCK OVER……』』
「ハッ!! ハアッ!! ハアアアアアアアアアッ!!」
「……!!」
 

超高速空間から現実の速度に戻った俺達は格闘戦を続行……俺の拳が奴の仮面を抉り…奴の蹴りは俺のリズムを崩す……
そんな中…俺は感じ取る…奴の戦意が…殺意が増している事に…もう少しで…化けの皮を剥がせる!!
 

「……!!」
「甘いんだよ!」
「……!?」
 

奴が放つ左ストレートにカウンターを合わせる…クロスカウンターが成立しDカブトの体勢が崩れた所にミドルキックで距離を離す――
 

「…………!!」
「本性を暴いてやるぜ…!!」
――KAMEN RIDE…FAIZ!!――
――KAMEN RIDE…CHALICE!!――
 

奴はファイズ……俺は黒いカマキリのライダー…カリスに変身し現れた専用武器"醒弓カリスアロー"を右手に掴み、
チャージング・ハンドルと言うハンドルを引くと刃にも成り得るソードボウが折りたたまれ
"フォース"と言うエネルギーが発射口にチャージされる――その時…Dファイズが動いた!!
 

「貴様を…殺す!!」
「第一声がそれかよ!!」
 

酷く冷たい声を発し…Dファイズが攻撃を仕掛けてくる……其のパンチは、キックは先程と違い確実に…俺の急所を狙ってくる……
俺は回避行動に専念しつつDファイズの隙を探す――
 

「邪魔なんだよ…貴様は…貴様はぁぁぁぁぁぁ!!」
「邪魔ってのは俺の事かぁ!!」
「ッ!?」
 

急に殺意を剥き出し、攻撃に乗せてきたDファイズに高熱の光矢"フォースアロー"の連射をDファイズに食らわし…
胸部の装甲から火花を上げさせ其の体を空に飛ばす……あ――やべぇ…!?
 

――FORM RIDE…FAIZ!! AXEL!!――
「く…!!」  ――ATTACK RIDE…――
「遅い…!!」  『START UP!!』
 

声を上げる暇もなく……音速の拳が腹に叩き込まれ体がくの字に曲がり…背後から衝撃…俺は空中に蹴り飛ばされる――
が、ハンドルを閉める暇はあった様だ!!
 

――FLOAT!!――
「!! チ…!!」 『3…2…1…TIME OUT』
 

危ない、危ない……体をロックされる前にDファイズの跳躍限界52.5mを超えた所まで飛躍できた…
Dファイズは通常フォームに戻り…新たなカードを2枚放った、其れと同時に俺もカードを放る
 

――KAMEN RIDE…HIBIKI!!   ATTACK RIDE…ONGEKIBOU…REEKA!!――
――KAMEN RIDE…DARK KIVA!! ATTACK RIDE…ZANBAT SWORD!!――
「ハアァァァァァ……ハッ!!」
「むぅん…!!」
 

音撃棒から放たれてくる二発の烈火弾を具現化したザンバットで1度、2度、3度、4度、5度と切り払い、着地…
再び来る烈火弾を切り払い…駆ける!!
 

「せいりゃああああっ!!」
「……!!」
 

攻撃範囲に入った時…まずは突きから入り……右に避けられた、
俺は手早く45度刃を倒したと同時にザンバットを振るうが響鬼が音撃棒をクロスさせた為に防がれる――
 

「ぬ…!! ぐぅ…!!」
「むぅ…!!」
 

俺と奴…両方とも押し切ろうとするが両者の力が拮抗し今の体勢が崩れない……ならば!!
 

「…っ!? 野郎!!」
「…!? ウオオオオオッ!!」
 

同じ事を考えていたらしい……俺と奴は相手の武器をいかに手放させるか? 
これだけを考えていたのだが…此処に居ない第3者から見れば武器を空に放り捨てたに過ぎない…俺達は再び格闘戦を開始する
 

「ハッ! タアッ! タアッ!」
「く…ハアアアァァァァッ!!」
 

其の場に足を留め、踏ん張り…近距離での拳を繰り出し続ける……
こいつは俺の体験談だが、響鬼とダークギバのパンチは同じくらいの威力がある…
またしても膠着状態に入ってしまった――さて…どうする…かっ!?
 

――ATTACK RIDE…ONIBI!!――
「ぐあ!? 野郎…トオリャア!!」
「ッ!?」
 

右拳を掴まれD響鬼にカードを放る間を作ってしまった…D響鬼のマスクから放たれる紫の炎が俺の視界を包み込む……
黙って受けている訳には行かずD響鬼の首を捻り様に掴み取り……投げる!!
 

――KAMEN RIDE…RYUKI!!――
――KAMEN RIDE…RYUGA!!――
 

あいつとは…ある意味気が合うかもしれない……そんな事を考えながら…カードを2枚放った
 

――ATTACK RIDE…SWORD VENT!! GUARD VENT!!――
――ATTACK RIDE…STRIKE VENT!!
「フゥ…ハッ!」
「ハアァァァァァァァァッ」
 

上空から飛来する黒炎の炎を両手に纏い…右手に剣、左手に黒い盾を持ち……力を溜める動作を取っているD龍騎に駆けた!!
 

「ハァッ!!」
「ウオオオオオオオオオオッ!!」
「!! 何処に…!?」
 

右手に龍の頭部を模した武器"ドラグクロー"から放射される火炎を盾で防ぎつつ駆けて…跳躍、盾を捨て、剣を振りかぶる
 

「ハアアッ!!」
「ぐっ…!?」
「うおりゃああっ!!」
 

落下の速度に合わせ剣を振り下ろす……D龍騎はドラグクローで防ぐが体勢が崩れ前のめりにくの字になっている…
この隙を逃さずに体を沈め…龍騎の仮面を突きあげる様なアッパーで龍騎を仰け反らし
連撃の左ストレートをD龍騎のボディに叩き込んだ!!
 

「ぬぅ…!?」
 

ボディブローを食らったD龍騎は踏ん張りながらサイドハンドルを開き…カードを放った
 

――ATTACK RIDE…SWORD VENT!!――
「……!!」
「ハアアァァァァァッ!!」
 

踏み込み様に剣を打ち合う…打ち合う、打ち合う!!――打ち合う度に刀身から火花が上がる…
繰り出され続ける刃は……先ほどとは違う…俺の隙を突くもの…もう…奴の行動は予測できないが!!
 

「ハッ!! トオオリャアアアッ!!」
「…!!」
 

D龍騎の剣が回転しながら空に上昇して行く……実力を出し切る前に返し技を行ったのが上手く行った…
連撃の正拳突きはD龍騎がバックステップを行った為に威力が激減…大したダメージを与える事ができない
 

「……!!」 ――FINAL ATTACK RIDE…RY、RY、RY、RYUKI!!――
「エンジンが…掛かったかぁ!!」 ――FINAL ATTACK RIDE…RY、RY、RY、RYUGA!!――
""GAAAAAAAAAAAAAA!!""
 

両腕を突き出し力を溜める様に腰を落としながら…両腕を右に持っていくと黒と赤…
同じ姿をした龍が俺達の周囲を守る様に現れた瞬間…左腕を突き上げながら…跳んだ!!
 

「「ハアアアァァァァァァァァァァッ!!」」
""GAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!""
 

俺達の跳躍に合わせ二体の龍が飛躍する……きりもみ回転の後に…二体の龍が俺達の後方に回り、
お互いにライダーキックの体勢を取ると…二体の龍が…烈火のごとく炎を吐き出す!!
 

「「ハァッ!!」」
 

龍が吐き出した炎に乗り…高威力同士のライダーキックが激突する――
 

「うおおお!?」
「ぬ…ぐうぅぅぁぁあああっ!?」
 

ドラゴンライダーキックの激突は相打ちで終わり……
俺達は後方に弾き飛ばされ龍騎とリュウガの変身が解けた瞬間に地面を少し転がったすぐ後に立ち上がる
 

「貴様を…殺す!!」
「!? てめえ…それは!?」
 

俺は奴が取り出した物に驚愕する……"ケータッチ"…どういう事だ? 何故奴が持っている!! 
俺が驚愕で動きを止めている時…ケータッチにコンプリートカードが挿入された
 

――KUUGA!! AGITO!! RYUKI!! FAIZ!! BLADE!! HIBIKI!! KABUTO!! DEN-O!! KIVA!!…FINAL KAMEN RIDE…DECADE!!――
――FINAL KAMEN RIDE…KUUGA! ULTIMATE!!――
 

今の俺が…コンプートフォームに対抗する手段は二つ…一つはクウガ…もう一つ…は!!
 

「殺してやる…!! お前を…!! お前を!!」
「まだまだ…終われんかぁ!!」
 

 
 
 

side謎の少女
 

「い、いらっしゃいませー…」
「こらこら、もっと笑顔にしろや…素材は良いんだからよ」
「は、はあ…」
 

何で…私はエプロンを着て、挨拶の練習をしてるんだろう?……ああ、そうだ…あの後に工場だった場所に戻ると…
倒れていた光弥さんと…あたふたしていた白いクウガ…
夏樹さんと合流した途端に海東さんが夏樹さんを一度警察に帰らせた後に…光弥さんを担いでこの店に来たんだ……
松次郎さんと海東さんが知り合いだったのには驚いたけど…どうして私を働かせてくれるんだろう?
 

「ほらほら、もう一度だ!!」
「いらっしゃいませー」
「うーむ、さっきよりマシなんだが…まぁ、いいや」
 

30分ぐらい延々と続けていた挨拶の練習は一応の及第点は貰えたみたい……
 

「んじゃあ、洗い物頼めるか? 俺は買い出し行って来るからよ」
「は、はい! いってらっしゃい!!」
「……行って来ます」
 

……? あの少しの間…何だったんだろう? ドア越しから松次郎さんが看板を開店から準備中に変えているのが解る…
其の姿を見送った後、私は厨房に入り対して多くない洗い物を洗い始める…こういう事は…覚えてるんだな、私…
 

「へぇ…結構似合ってるね? エプロン姿」
「!? か、海東さん!?」
「その反応…傷ついちゃうなぁ」
「そんな笑顔で言われても…説得力ありませんよ?」
「ハハ、それもそうか」
 

本当にこの人は子供の様な人だと思う……何ていうか…何かに対しては子供の様に純粋…って言うのかな?
 

「あ、夏樹さんは…どうでした?」
「さあね? 今頃は…取材でも受けてるんじゃない?」
「取材…?」
「ま、其れが終わったらゆっくり休めるよだろうさ」
 

よかったぁ…私は安堵の息を吐くと…脳裏に小さい疑問が湧いた
 

「そう言えば海東さん、何か…御用ですか?」
「ん…ああ、師匠にいらない宝を渡そうと思ってね」
「いらない…宝?」
 

私がこう言うと海東さんは黒いベストのポケットからディケイドとディエンドが使うカードの束をカウンターに置いた
 

「カー…ド?」
「そう…ある奴らから頂戴した物でね…効果が特殊な物ばかり揃えているよ」
「へぇー…てっ、盗んできたんですか!?」
「まあね…と言ってもこれは僕達にしか使えないんだ、あいつらが持っていてもしょうがないよ」
「うぅぅ〜ん?」
 

納得行かない……何でかは解らないけど…海東さんの言葉に心から納得できない――
どうやら顔に出ていた様で海東さんに溜息と共に苦笑いで「やれやれ」と言われてしまった
 

「取りあえず…師匠が起きたらカード、渡しておいてね」
「……はい」
「任せたよ、じゃあ…バイバイ」
 

その言葉の後に海東さんは松の正面ドアを開けて店から出て行ってしまった…洗い物も終ったし…このカードの束を光弥さんに渡そう。
 

「ん、しょっと……失礼しま〜す」
 

 
 

(第6話終了、第7話に続く)





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