side 青の怪盗


 

「ハアァァァァァァァァァッ!」
「ぬぅん!!」
 

今僕は500m放れた戦いの場から木の上に変身しながら座っている…剣を振り下ろした黒い仮面の戦士は……
不覚にも僕の師匠である霞光弥…その剣を盾で受け止めた太陽神を模した改造人間…"アポロガイスト"…
僕が絵で見せてもらった姿とは若干違うが…その姿はあまり変わっておらず、変わっている所と言えば…
"仮面の中央に装着されている銀の何か"……あれを警戒してか…霞さんの剣の振りが僕の知る限りで0.2秒遅れている…でも、
 

「(今介入すれば…霞さんが危うくなる…!!)」
 

あの、敵には非情になり、身内には甘くなる師匠の事だ……自分でも捻くれたと思う弟子でも危機とあれば助けてくれた……
介入のタイミングは重要…間違える訳にはいかない――?
 

「まったく…何て音だしてんのよ―」
「フゥ…やれやれだ!!」
「え!?」
 

僕は木から飛び降りて自転車に乗った婦人警官の背後を取り首筋を叩いて気絶させ、口を塞ぎ…ッ!?
 

「うぅむ…どっちも…化け物だなぁ」
 

アポロガイストは僕の行動に気づき一瞬にして二連装銃を放って来たが何とか木の陰に隠れる事が出来た……
 

「ダアアアアッ!!」
「く…!?」
 

アポロガイストは剣から銃に持ち替え発砲した隙を突かれアナザーディケイドが放った蹴りをまともに喰らうも
類まれなる身体能力で体勢を直し連撃の剣を受け止めると同時に……高レベルの格闘戦が再開された――
 

「さてと…僕は……」
 

婦人警官を倒れぬようゆっくりと木に持たれ欠かせる…あの化け物は霞さんに任せておけばいい……
伊達に45年間戦い抜いてるあの強さに勝てる奴がいるなら見てみたいが…とりあえず……
 

「「「「「イー、イー!!」」」」」
「あれの相手でもしますか…」
 

何のフォーメーションも取らずただ真っ直ぐ来る覆面集団に対し
僕はホルダーからカードを取り出し右手に持った専用銃に滑り込ませ、フォアエンドと呼ばれる場所を引きカードを装填する。
 

――FINAL ATTACK RIDE…DI、DI、DI、DIEND!!――
 

「イー!!」
「フッ…」
 

さあ…少しは楽しませてくれよ…? 大ショッカー!!
 

 
 
 
 

side 霞光弥
 



「でえええええやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「チィ…ッ!!」
 

ディエンド…"お宝坊や"の介入によって出来た隙は俺が常に戦いを有利に運ぶ事が出来る要因を作った……
現にアポロガイストの動きが若干鈍くなり、盾が使用される類度が高くなって来たのだが――隙もある…其処だぁ!!
 

「ぐおぉぉぉ―!?」
 

がら空きの胸に放った蹴りはアポロガイストの体を空中へと持っていく……
が、アポロガイストはきりもみ回転で体勢を整え、地に何事も無く着地する……
が、追撃はしない…何か…やばい物を感じるからだ……
 

「……………」
「フッ…どうした霞光弥? 今が俺を倒すチャンスだぞ?」
 

んな事を言いながら立ち上がってくるアポロガイスト……だったらその何かをする! という目線は止めて貰いたいもんだ―
 

「心配しなくとも…俺は俺のペースでお前を倒すさ……こういう風にな!!」
「…!?」
 

ライドブッカーをガンモードに変形させ連続発砲……
しかしアポロガイストの反応は高く、弾ける様に横に跳びながらも二連装銃を発砲してくる…
俺は一発目をライドブッカーで防ぎ、後は左側転で回避し…駆ける!!
 

「ハアアァァァァァッ!!」
「……うおおおおおおっ!!」
 

再び銃から剣に持ち替えたアポロガイストに対し、俺は力の限り剣を振り下ろすが盾で受け止められる……
 

「ぬ…むん!!」
「く……!!」
 

俺は全身に力を入れ剣を押し切ろうとする、ダメージのせいかアポロガイストの力が弱く、押し切れる! そう思っていた……
 

「くっ、くっくっくっく……」
「何が可笑しいのか…聞かせてもらいてぇな?」
 

やはりだ…先程から感じていたやばい感じが強くなる…
 

「霞光弥…貴様の実力は予想以上だ…このまま貴様を放っておけば…我らはいずれ滅びてしまう――」
「それが…どうしたぁ!!」
「ぐは…!!」
 

アポロガイストの言葉に構わず、俺は盾を払い、力いっぱいの蹴りを腹に喰らわす……そして…追撃すべき処を…俺は…しない…
 

「だから……その燃え滾る命の炎を…!!」
「…!?」
 

――FINAL ATTACK RIDE…DE、DE、DE、DECADE!!――
 

アポロガイストが仮面の中央に装着された銀色の装置? 
…あれはアポロガイストが敬介さん…Xライダーに一度敗れた後に再改造手術で甦った時に追加された特徴…
だが、あれが取り外せるとは俺も始めて知った……と言うより考える暇は無い!!
 

「貰い受ける!!」
「ッ!? …ウオオオオオオオッ!!」
 

力が…抜ける!? だが……!!
 

「トオオオリャアアアアアアッ!!」
 

一直線に現れた10枚のエネルギーカードを駆け抜け、俺はエネルギーが集束した剣を……下から突き上げるが…盾に防がれる…
見返りはあったが…くそ!! 力が…まだ…!
 

「フフフッ…盾が破壊されても…貴様の命と引き換えならば惜しくは無い!!」
「く…ハアアァァァァァッ!!」
 

苦し紛れに剣を…蹴りを…拳を繰り出し続けるが、一度崩れたリズムから放つ攻撃はアポロガイストに避けられ、
この空振りの間にも体から赤い生命力が吸い取られていく……
 

――ATTACK RIDE…BURST!!――
 

「ぐ!?」
「……坊や?」
 

俺が膝をつき掛けたその時青い複数の光弾がアポロガイストの手から装置を放し……空を舞う…ッ!!
 

「トオッ!!」
 

俺は力を振り絞って跳躍、空中の装置を自らの手に収め、そのまま着地する
 

「………(力が…戻る?)」
「貴様…!! "パーフェクター"を返せ!」
「やれやれ…アポロガイストは知あり、武あり、勇ありの素晴らしい好敵手と聞いていたんだけど…間違いだったかな?」
 

アポロガイストが俺に凄まじい殺気を放つ中、ショッカーの戦闘員共を片付けたであろう坊やが俺の横に並び立つ……
その前に…気になる事がある…これが――
 

「パーフェクターだと? 此れが…?」
「……!!」
 

俺の右手に握られている此れは俺が知るパーフェクターとは形も違う、能力も違う……ん?
 

「坊や…何だ? この手は…」
「いやだなぁ…師匠…解っているくせに――」
 

――やれやれ…5年ぶりに会ったが…変わっていないな…こいつ……俺は助けられた事もあり、坊やの手にパーフェクターを収める
 

「フフッ、お宝ゲット! 後は…」
「おっと! そうはいかんぜ…?」
 

御機嫌状態でカードを取り出そうとした坊やの手を押さえる……坊やは一息つき――
 

「しょうがないですね…貸し一つ増えますよ?」
「おいおい…まだ貸しが6つ残ってるの忘れたのか?」
「あら…覚えてましたか…さすがは師匠ですね」
 

この掛け合いの後…俺達はカードを抜き取り……
 

「!!…マグナムショット!!」
「「フッ…!!」」
 

坊やは左、俺は右に回って弾丸を避け……其々カードを放る
 

――KAMEN RIDE…KUUGA!!――
――ATTACK RIDE…BUSTER!!――
 

「フゥ…ハアァァァァァァァァァァ!」
「ハッ!」
 

クウガへと再変身し俺は坊やの援護を受けながら、アポロガイストとの距離を縮める…が…
 

「ええい…!! デストロンの覇者! サイタンクよ!!」
「ブァウーッ!!」
「!? 坊や! アポロガイストは任せるぞ!!」
「はい!!」
 

俺は突如灰色のオーロラと共に現れた上半身が赤く所々に紫の皮膚、
黒い下半身に腹にバックルにサソリをモチーフとして描かれたベルト…
サイ型の怪人…"サイタンク"を跳びこみざまのショルダータックルで弾き飛ばし、空中前転の後、俺も後を追う様に跳躍する―
 

「ディエンド…其れを返してもらうぞ!!」
「……返して欲しかったら力づくで取り返してみなよ!!」
 

坊やとアポロガイストの銃撃戦が始まった中、俺は立ち上がったサイタンクに対してライダーキックの体勢を取り、
重力に身を任せ……いつでも受身が取れる準備をした
 

「ブァウーッ!!」
「ッ!? うわ!!」
 

サイタンクはライダーキックに何の恐れも抱かず、寧ろ打ち破ると言った感じで突っ込んできた…
俺は既に体勢を変える事が出来ずにサイタンクの突撃に弾かれ空を舞い……弾かれた先の木を両脚で蹴り反転……
 

「トオリャアアアアアアッ!!」
「ブァウ!!」
 

隙を突いた反転キックはサイタンクの右肩に激突するもその小さい体を蹴り飛ばすとは行かず……
踏ん張られるが一準備する為の距離は出来た……
 

――ATTACK RIDE…REKKA DIZANTOU!!――
 

俺の目の前にブロップが2mを超えた赤く大きな刀が出現…柄を掴み、肩に乗せる…
 

「ブァウーッ!!」
「変わらず突っ込みか…行くぜぇ!!」
 

サイタンクの突進スピードには敵わないが……こいつならば!!
 

「ブァウ!?」
 

突進のタイミングに合わせ体全体を回転させると共に回避を果たし…太刀を振るう!!
 

「ハッ! ハッ! ハッ! ハアァァァァァァァァァァッ!!」
「ブァウウウウウウウウッ!!」
 

大斬刀はサイタンクの硬い皮膚に深い傷を与え、再び距離を離したが"動物"の怒りを勝った様だ…だが…大した問題じゃあ、ない…
 

――FINAL ATTACK RIDE…RE、RE、RE、RED!!――
 

「ハアァァァァァァァァァッ!!」
 

烈火の如き炎を纏った太刀を振り回し……
 

「ブアアァァァウウウウウウウウッ!!」
「!? ま、待て!! サイタンク!!」
 

ディエンドと組み合ったアポロガイストが何か言っているが……もう遅い!!
 

「でええええやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ブァ……ウ?」
 

突進してきたサイタンクを横薙ぎに切り払い…胴体と下半身を斬り離した………そして烈火大斬刀が消え…俺はカードを放る
 

――FORN RIDE…KUUGA!!  RIZINGTITAN!!――
 

バチッ! と言う凄まじい音がした瞬間、俺はフォームチェンジを果たし……
背中にアホロガイストが放った銃弾が6発ほど当たっても、蚊に刺された程度にしか感じない――
 

「坊や…何をしている?」
「はは…あの通りです…」
 

坊やの乾いた笑いに、俺は坊やが指差す方向に視線を向けると……"見事に砕かれたパーフェクター?の残骸だった"――
 

「おのれ…! おのれ…ディエンド! おのれ霞光弥!!」
「んな、体全体を振るわせられても困るんだが…?」
 

どうやらアポロガイストにとって俺も坊や同罪と認識された様だ……俺…襲われた方なのになぁ? 坊や…
 

「坊やは止めてくださいって…これでも成長した方なんですよ?」
「フッ…俺から見たらまだまださ……」
「き・さ・ま・らぁ〜!! 覚えておけ! 大ショッカーは必ずライダー共を滅ぼす! そして霞光弥…貴様はこの俺が殺す! 必ずな!!」
 

………怒りに体を震わせながらアポロガイストは灰色のオーロラを潜り別の世界に行った様だ――さて…
 

「ふふっ…お久しぶりですね、師匠? 僕にとっては…5年ぶりですが?」
「俺にとっては3年ぶりだが……懐かしむ為に来た訳じゃないんだろう?」
「へぇ〜どうしてそう思うんです?」
 

――とぼけやがって……仕方ない…"エサを2つ"出すか……俺はライドブッカーから2枚のカードを取り出し坊やに絵柄を見せる
 

「!!」
「おっと…?」
 

予想通り坊やの目の色が変わりカードを手にした右手に手を伸ばしてきた…俺は難なくかわす……
 

「……やっぱり…あなたには敵わないなぁ…」
「確かにこの2枚があれば…早々負ける事は無いだろうが…今日の戦い振りを見ると…な」
 

そう言って俺はカードをライドブッカーに戻す…坊やが目の色を変えて欲しがったカードはMASKED RIDER ZOとJのカード……
今の坊やには過ぎた力……だが…代わりの力は与える程度には強くなった――
 

「そうですか…では!!」
「おいおい…今、力づくは無しだぜ…? 代わりは…此れでどうだ?」
 

そう言って俺はクウガのKAMEN RIDEとFINAL FORM RIDEとFINAL ATTACK RIDEの3枚を見せるが……
このバカはまだ納得が行かんようだ……
 

「納得いかねぇか?」
「……正直言って…もう一つ欲しい所ですね…あなたが欲しい情報と交換…で、どうですか?」
「――確かに情報は欲しいが…それは俺が欲しい情報か?」
 

俺が欲しかった情報の一つは……向こうさんからやってきたしな……そう思っていたら坊やが口を開く
 

「ええ、おそらくは…ですけど」
「……まぁいい、話してみろ」
「はい…あなたが欲しいのは…大ショッカーとは違う、強大なドス黒い気配…ですよね?」
 

その問いに対し、俺は沈黙する
 

「……続けます、その気配ですが…どうやら大ショッカーも手を拱いているようですよ?」
「? 如何いうことだ?」
「フフッ…大ショッカーはこの世界を征服する為にまず日本を前線基地にしようとしましたが……」
「俺が居て征服が進まない……其れはアポロガイストの話で解ったが…」
 

でなければ大幹部クラスのアポロガイストと俺とV3…風見さんを4度破ったサイタンクを連れて来る理由が無い――
 

「ええ…だから、あなたの手が届くのが遅くなる外国から攻めようとしましたが……失敗した様ですよ」
「失敗…?」
「はい、何故かは解りませんが…"白い仮面の戦士と赤い六本角の戦士…青い騎士"に邪魔をされた様です…」
 

……坊やが言った戦士の特徴で戦士達の名称が大体予想できる……が
 

「坊や、"俺の知る仮面ライダーの気配"はお前以外に感じないんだが?」
「さあ、僕には何とも……」
 

……声のトーンが低くなっている…成る程…坊やにも解らないわけか……フッ――
 

「坊や…追加は此れだ…文句は認めんぞ?」
 

俺はクウガに加え響鬼のカードを坊やに見せ、手渡す……
 

「ええ、此れで充分です…ありがとうございます」
「気にするな…確かにお前は捻くれた弟子だが……
面倒見が良くて、気紛れな男だと言う事は…この俺が"2番目"に良く知っている事だからな…」
「フフッ…褒められてるのか貶されてるかよく解りませんね?」
「褒めてんだよ…素直に受け取れ」
「はい!」
 

坊やは照れたように6枚のカードを専用のホルダーに入れたと思ったら即座のに一枚のカードを取り出し、専用銃に滑り込ませた
 

――ATTACK RIDE…――
「おい? もう行くのか?」
「フフッ…異世界中のお宝が僕を求めているので…」
「そうか…なら…"あれは覚えてるか?"」
「宝を盗むと言う事はその宝に籠められた思いを盗むと言う事…その思いを背負える程、強くなれ…ちゃんと覚えてますよ」
「フッ…お前に言う事はもう無い様だな…元気に生きろ」
 

――INVISIBLE!!――
 

俺の問いに答える事は無くディエンドは消えた………あの土砂降りの中で出会ったガキが…成長したもんだぜ…
まったく……おっと、そろそろ変身解くか……ん?
 

「動かないで!!」
「………(あの野郎…手を抜きやがったな?)」
 

変身を解こうとした俺の前に坊やが気絶させた美人と言える女性警察官が拳銃構えて震えている……
 

「…………………」
「動くなと言っている!!」
 

少しずつ歩き出すと…女性が拳銃のトリガーを引いた……
その射撃は額、みぞおち、右肩、左足首など人間の急所を正確に狙った…
女にしては大した射撃技術だが…今のこの身は固さに定評がある金の紫の力…普通の弾丸で傷は付けらない…
 

「………………」
「この! この! この!」
 

カチッ! 女性のたった一つの武器である拳銃…人間ならば、急所に打ち込むだけでその命を奪う武器は……弾切れを起こした
 

「…………!」
「フッ………(悲鳴を上げないだけで大したもんさ…)」
 

この言葉は口には出さず…俺は女性の横を通り過ぎると共に一瞬肩に手を置いて、公園から立ち去り…
人目のない処で変身を解いて松へと帰って行く………あ!?
 

「ガラス…どうすっかな?」
 

今からガラスを頼んでも…少なくとも三日掛かる……松のおやっさんに素直に謝るか――
 

「ただいまぁ〜」
 

誰も居ないが電気が付いている松へと着いた俺はガラスに一円玉くらいの穴が開いたドアを開けて、閉め、あのファイズが食べ終えた
食器を洗って拭いて片して電気を消し、無理を言って立てて貰った俺のガレージ兼自室に繋がる扉を開けて……
そのままパイプベッドに倒れ込んだ――
 

「少し…喰らい過ぎたな……」
 

ファイズ・アクセルフォームの連続攻撃…アポロガイストの銃撃……此れだけならよかったんだが…決定的なのは
あのパーフェクターに吸い取られた生命力の半分がアポロガイストの回復に使われてしまい、予想以上のダメージを受けてしまった…
 

「……今日は…寝よう――」
 

襲い来る睡魔に俺は身と心を任せ…眠りについた………
 

 
 
 

――――――――――――――――――――――side out――――――――――――――――――――――――――
 

 
 
 
 

「……な、何だったの? あれは…」
 

公園で尻餅をついた女性警察官"九条 夏樹"(くじょう なつき)……
交番勤務の彼女は近所の住民から公園で激しい騒音がするとの通報を受け、
愛用の自転車をフル活用し公園に辿り着いたのだが、何者かに首筋を叩かれ気絶し……
再び目を覚ました彼女の視界には…公園から立ち去ろうとする黒と金と紫の仮面の戦士…
彼女は即座に立ち上がって拳銃を引き抜き、トリガーを引いたが…
クワガタの仮面の戦士にはまったく通用せず…逆に肩に手を置かれ…黙って戦士を逃がす事しか出来なかった……
 

「とにかく…帰ろうかな……」
 

彼女は任務が終わったと判断し、倒れた自転車を起こし、乗ろうとしたが……
そんな彼女の前に…自分と同じ容姿と服装をした女性が現れた……
 

「え、えぇぇぇぇ!?」
「フフフッ…」
 

驚く彼女を尻目にもう一人の彼女は微笑みながら…彼女の顔を掴む
 

「む!? むぅぅ-!!」
「フフッ…君には…僕の手駒になったもらうよ…」
 

顔を掴まれた彼女は必死に抵抗するが、掴まれた手の力が強く中々脱出ができない…もう一人の彼女が…呪文の様な言葉を呟く…
 

「ラリホー…」
「む!? むー…」
 

掴んでいる手がほんわりと黒く光ると夏樹は眠ってしまう……
 

「フフフッ…仮面ライダーディケイド…霞光弥……待っていて…」
 

もう一人の夏樹はまるで愛しい人の名を呟くかの様に光弥の名を言い…夏樹を肩に抱え…
現れた灰色のオーロラに潜り、何処かへと行ってしまった……公園には…倒れた自転車が残り……寂しさを感じさせる風が吹く……
 

 

 
 

(第2話終了、第3話に続く…)





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