side 霞光弥
 

「いただきます」
 

仕込みを終えた俺は手早く自分の晩御飯を作り、カウンター席に座り箸に手を合わせて飯を食べる……
え? おやっさんの飯? あの人の部屋には専用の冷蔵庫と酒のつまみがあるから作らなくても大丈夫なのさ…
 

「…………………ごちそうさまでした」
 

トレイを持って厨房に入り、食べ終えた食器を洗って、食器棚に戻し腕時計を見てみると………6時58分………
お客さん来ないかなぁ…………………
 

「来ないなぁ……」
 

普通この時間帯ならお客さんの一人や二人来てもいい筈なんだが……松には何故か一週間に100人程しか来ない…
それも朝だけ……俺は金を貸した事は在る…ある刑事に……だが…ここまで借金に苦しんだ事は無い……ハァ――
 

「来ない……………………」
 

客が来ない……イコール暇なのだ…………………………………………………………
 

「お!! (人の気配…お客さんかな?)」
 

俺はお客さんに失礼の無い様に元気良く行こうとしたが……気配が近づく度に思う……客と思う必要は無いな――
 

「ジャマするよ……」
「いらっしゃいませ……」
 

松の扉が開かれ、入ってきたのは坊主頭の中年のサラリーマン……俺はトーンを低くして応対する、
坊主頭は少し目を細めながらも態度に表す事は無く俺の真ん前のカウンター席に座った
 

「御注文は…?」
「そうだな……デミグラスハンバークを一つとご飯の大盛りを頼む」
「解りました…10分程御待ち下さい」
 

俺はグラスを取り出しアルミ製のポッドから250ml程 水を淹れてグラスを軽く置いてハンバーグの準備に掛かる
 

「…………此処は君一人なのか?」
「いいえ…ちゃんと店主は居ますよ……働きませんけど――」
 

どんぶりと大きめの皿を出して……坊主頭の質問に答えた…言ってて悲しくなったが………
とりあえず大きめのフライパンを出し営業用コンロの上に置き、サラダ油をしき火を付けてから
先程作り置きしていたハンバーグの生地をフライパンに崩れぬよう置き、蓋をする。
 

「お冷のおかわり……」
「はい……どうぞ」
 

空っぽになったグラスに再び水を淹れ、軽く置き作業を進める……
 

「――おかわりをくれ……」
「………どうぞ」
「すまんな…」
 

この野郎……置いた瞬間に一気飲みしやがる………案の定……
 

「すまないが、おかわりをくれ」
「――どうぞ」
「すまないな」
 

そう思うんだったら止めてくれ………フライパンの蓋を開け菜箸でハンバーグをひっくり返し、これまた冷蔵庫から取り出した
付け合せのフライドポテトを入れ蓋を閉める。炊飯器を開けて右手に木製のしゃもじ、左手にどんぶりを持ってご飯を盛り付ける……
一つ…二つ…三つ…四つ…
 

「お、おい…入れすぎじゃないか?」
「え? 家での大盛りはこれが普通ですよ…?」
「そ、そうか……」
 

坊主頭はご飯の量を見て多少の冷や汗を掻いていた……無理も無い、俺も此処に初めて来た時はそう思った物だが…
おそらくこれでも足りないかもしれない……俺は大量のご飯が入ったどんぶりを坊主頭の前に置き、
フライパンの蓋を開け上から出来る限りポテトの所に振り掛け菜箸でポテトをかき回し、ポテトのみを更に盛り付け、
冷蔵庫からペットボトルに入った"とっておき"のデミグラスソースをハンバーグに掛けるといい匂いが店内に行き渡る……あ!?
 

「ほう…いい匂い…だな」
「え、ええ…家自慢のデミグラスですから…」
 

いけない、いけない…換気扇を入れるのを忘れてた……換気扇を入れ、俺はタッパに入ったとうもろこしの粒を手掴みで入れる……
粒がソースを吸い、中々いい状態だ……俺はハンバーグとコーンを皿に盛り付け、坊主頭にゆっくりと置く…
かなり盛り付けが汚いが坊主頭は気にしていないようで、
傍に置いてある割り箸入れに目もくれずスーツの胸ポケットからマイ箸を取り出した
 

「………どうぞ」
「うむ、いただきます」
「……(やけに律義だな、おい…)」
 

坊主頭がご飯をバクバクと食っている間、俺は調理器具を丁寧に洗っていると…目の前から視線を感じる
 

「……何です?」
「…………お冷」
 

……俺は作業を一旦止め泡だらけの手を洗い、空っぽになったグラスに水を淹れ、再び目の前に置いて作業を再開する
 

「店主…」
「今度は…何です?」
「卵を二つくれ…」
「解りました…少々お待ちを」
 

俺は洗い終えた調理器具を布巾で拭いて、其々の場所に戻しながら坊主頭に応対し、要望である生卵二つをおわんに入れて差し出す、
坊主頭は卵を二回とも綺麗に割り、箸でカチャカチャ、カチャカチャとかき回している。
その間に俺は厨房から出て、外の看板を開店中から今日は仕舞いだに変えて松に入ると赤い閃光が右の頬を通り過ぎた
 

「瞼を全く動かさんか…さすがだな、霞光弥」
 

右手に携帯電話を折り曲げた銃を持ちながらそんな事を言いやがる坊主頭に俺は後ろのガラスを指差しながら一番言いたい事を言う
 

「やはりネガ世界のライダーだったか…ガラス代、如何してくれる?」
「それはすまなかったな…此れで足りるか?」
 

そう言いながら坊主頭はポケットから折っていた一万円札を綺麗に食べ終えていたどんぶりの横にそっと置く……
 

「足りる事は足りるが……死んだら釣りは戻らんぜ?」
「ふん…死なんさ…我等が世界の宝を盗みし貴様を殺すまで…必ず!!」
「そう言っていた奴が何人も死んでいったがな…まぁいい…」
 

その言葉の後、俺はバックルを装着し、奴も銀のベルトを腹に巻き、折り曲げていた携帯を元に戻し……
 

――5、5、5―― <ENTER> 『STANDING BY』
 

奴の携帯から電子音が流れる中、俺はライドブッカーからカードを取り出し……
奴は携帯を折り畳みベルトのバックル部分に突き立て……
 

「「変身!!」」
 

――KAMEN RIDE…DECADE!!――
『COMPLETE』
 

左側に90℃倒すと赤いフレームが首から両肩、両手首、両脚先まで形成され、スーツが具現化…大きな黄色い目に銀の胸…
仮面ライダーファイズが変身を完了した俺に殴りかかって来た……
 

「ハッ!」
「……とっ…そういえば此処でやれば被害が多くなるな……」
 

俺はファイズの右ストレートを左手で受け止めながらそんな事を呟く…
残念ながら借金まみれの松では修理代など到底払えない…ってのに……
 

「それがどうした!!」
「死活問題なんだよ…」
 

右拳が左掌から離れ、今度は左フック…軽く弾く、右アッパー…叩き落す…左ストレート…吹き飛ばさぬ様に合わせ…クロスカウンター!
 

「ぐ…!!」
 

よろけたファイズが向ける殺気の前に俺は松の扉を開けると……逆燐にふれてしまった様だ……
 

「貴様…ふざけるな!!」
「真剣だよ!! こっもなぁ!!」
 

跳び上がりながら拳を突き出して来たファイズに俺は…両脚に力を籠め……バック転!!
 

「ハァッ!!」
「な!? ぐぅ!!」
 

サマーソルトの要領でファイズの顎を蹴り飛ばし、松から蹴り出す事に成功した……
俺はファイズが立ち上がる前にカードを取り出しバックルに放り込む
 

――KAMEN RIDE…DARK KABUTO!!――
 

俺は黒いスーツ、黒と赤の鎧に銀の肩…仮面は知らん…が視界は通常の物の周りに黄色…俺は黒いカブト虫の戦士……
"ダークカブト"に変身し、歩いた
 

「チィ…!! ウオオオオオッ!!」
 

地面を転がり回りファイズは悔しそうに拳を地に叩きつけ此方に駆けて来る
 

「おいおい…本当に此処でやるつもりか?」
 

松の周囲は住宅街……と言っても一階建てで一人暮らしが多い方だが…それでも被害が出る……
 

「貴様を倒せれば…この世界の住人など如何でもいい!!」
「そうかよ…だが…俺は如何でもよくは無いんだ――」
 

右ストレートを避けながら、そんな事を呟く…俺の罪ってのは自覚してたつもりだったが……ここまで強攻策で来るとはな――
 

「うるさい!! …貴様が死ねばそれで済む―ぐ!!」
「――悪いが…死ぬ訳にはいかないのさ!!」
 

隙だらけの姿勢で殴りかかって来たファイズを上段回し蹴りで蹴り飛ばし、カードをバックルに放る……
 

――ATTACK RIDE……――
「何故だ!! 貴様は…自分の罪を…」
「解っている…解ってるからこそ!! 生き続けなきゃならねぇんだ!!」
 

その言葉と共にハンドルを閉める
 

――CLOCK UP!!――
 

クロックアップ…この電子音の後、俺以外の全ての動きが止まった様に遅くなる…
夜を動く雲さえも風によって流された落ち葉さえも…深夜を忙しく動く車の音も…目の前の戦士の動きも!!
 

「ぐ!?」
 

超高速の加速を加えたアッパーでファイズを地面から叩き抜き、追撃のハイキックでファイズを空中へと蹴り飛ばし
その腕を掴み、此処から移動して……近くの公園に着いた瞬間にファイズを放り投げ――
 

「ハァ!!」
 

空中からファイズの仮面を殴りつけ…そのまま叩きつける!!
 

「ぐ……あ、ぁぁぁ…!!」
 

――CLOCK OVER…――
 

「ハッ!!」
 

視界が通常の物になった瞬間に俺は連続バック転で距離を取る……何故かって? それは…銀色のロボットが殴りかかってきたからさ!!
 

「…………フゥ……」
「チィ…ッ!!」
 

立ち上がったファイズが銀色のロボットの両肩からバイクの左ハンドルグリップを抜き、ベルトの携帯から抜いたメモリーをグリップに
先端が丸い赤き刀身が形成される……そんな事よりも…奴に一息吐かせてしまった事が痛い――ッ!!
 

「フフ…」
 

ホバー滑走で格闘戦を仕掛けた来たロボットの拳を避け、弾きながら……つい笑ってしまった
 

「何が可笑しい!!」
「おっと…と!!」
 

振り下ろしてきた剣をライドブッカー・ソードモードで受け止め…流し、死角から放たれた蹴りをバレエを踊る様に回りながら避ける……
 

「何…感心してたのさ…何処の世界でも――とっ…」
「くそ! くそ!!」
「フッ…熱くなりすぎだぜ? "若僧"…?」
「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
 

ファイズとロボットのコンビネーションで放たれてくる打撃や斬撃を弾き…避ける……
特に熱くなり過ぎているファイズの攻撃は…"実に読み易い"…無茶苦茶な斬撃を弾き…剣を振るう!!
 

「ッ!?」
 

ファイズの体がよろけ、俺は追撃のミドルキックでファイズを蹴り飛ばし――
 

「ぐああああっ!!」
「ハアアァァァァァァッ!!」
 

背後から迫っていたロボットの体を一撃一撃に力を籠めて斬り続け、ロボットがよろけた一瞬の間 バックルにカードを放る!!
 

――FINAL ATTACK RIDE…DA、DA、DA、DARK KABUTO!!――
 

「ライダー……スラッシュ!!」
 

金色のプラズマがライドブッカーの刀身に流れ出した時……俺はロボットの胸を上段から下段まで一気に剣を振り下ろし、
がら空きの胴に剣を突き刺す!!
 

「ッ!? 相棒!!」
「…………ハァ!!」
 

火花を上げ、両腕が力なく垂れ下がったファイズの相棒に俺は容赦なく剣を突き上げ、人工頭脳が搭載されたロボットの頭部を
破壊した瞬間…ダークカブトの変身が解けてディケイドの姿に戻ると同時にライドブッカーをガンモードに変形させ、ファイズに発砲する
 

「ぐ…!!」"COMPLETE"
「……やべぇな」
 

ファィズは弾丸に耐えて左腕に装着されているリストウォッチからメモリーを抜き、携帯に差し込むと胸のアーマーが展開して
肩の定位置に止まると赤い線が発光し、目の色赤く変わり体中の赤い線が銀色に変化している……
俺は発砲を続けながらも全身に力を入れる…此れからくるダメージに耐える為に――
 

「ぐ…く…ぅ!!」 "START UP"
「チ……がぁ!?」
 

電子音と共にファイズの姿が消える……いや、消えては居ない…銀色の閃光が通り過ぎたと思ったら左肩に衝撃が走る……
左肩を高速で斬り付けられ、全身に入れていた力が弱まる……今度は…背後!!
 

"遅い! デエエェェリャャアアアア!!"
「ぐ、ぐぅ…!!」
 

相手は通常の1000倍の速度で動いていると言うのに声が聞こえる所が"生みの親"の執念を感じてしまう……
ともかく高速で背後を斬られ、ミドルキックを喰らった俺は地面から蹴り抜かれ、
相手が高速で動いている時に一番陥りたくはない状況に陥る……!?
 

"ダアアアアアアア!!"
「ッ!!」
 

空中へ蹴り上げられた瞬間に右脇腹に衝撃が走ったと思ったら右頬を殴られ普通なら地面に叩き付けられる……
だが、剣で斬り上げられた思ったら体中に痛みが走る……フフッ…あと5秒か…!!
 

――EXCEED CHARGE…3…――
「ハアアアアアアアアッ!!」
 

――2…1…――
「ッ…ぐあああああああ!」
 

強力な連続ぎりを受けて体中の装甲から火花があがり…俺は無様に地面を転がり回る
 

"TIME OUT……Reformation"

「――化け物か?」
「へっ…同じ化け物に言われたくないぜ?」
 

俺は立ち上がりながら、追撃を仕掛けてこないファイズに言葉を放つ……本当に…同じ化け物に言われたくはない――
 

「これで決め――」
――ATTACK RIDE…BURST!!――
「ッ!?」
 

決め技の為にバックルの携帯を開こうとしたファイズの行動を連続発砲で邪魔をする……
と同時にライドブッカーをソードモードに変形させ"ブラスト"によって
よろけたファイズとの距離を詰めライドブッカーを横薙ぎに振るう!!
 

「ぐわあああああああああああっ!!」
 

ダメージの蓄積によって反応が遅れたファイズは斬り飛ばされるも空中で体勢を立て直し、地面に着地…しかし…右ひざをついた――
 

「化けて出たら…地獄か天国か、教えろよ?」 ――FINAL ATTACK RIDE…DE、DE、DE、DECADE!!――
「く…そ…!!」
 

10枚のディケイドの紋章が描かれたエネルギーカードが現れた瞬間に空中に跳び上がり一枚目のカードを潜る…
 

「トオリャアアアアアアアアアアアアッ!!」
「ぐ…! うぅ…」
 

ディメンションキックをファイズに蹴り当て俺は地に着地…ファイズの"最後の言葉"を聞く……
 

「やはり…強いな…だが…俺の仕事は……終わった!!」
「何!? ……まさか…お前は!!」
 

こいつは………捨石!!
 

「フフ…此れでようやく…戻って…き…た――」
「……………」
 

青白い炎を体中から上げているファイズが地に倒れ込むと、体中が灰となり……そよ風がファイズの灰を……
この漆黒の空へと舞い上がらせる……俺は軽い動作でライドブッカー・ガンモードを取り外し…即座に背後に振り向き、トリガーを引く!!
 

「随分な御挨拶だな…現れた瞬間に射撃とは……」
「お前に遠慮はいらんだろう…紅音也……」
 

ライドブッカーの弾丸を右掌で受け止めた存在…黒い胸に赤い体、水色の目…コウモリを模した仮面の側頭部にコウモリの黒い翼…
何処か威厳を感じる黒いマント…ベルトのバックルには黒い体に赤い翼、黄色い目のコウモリが止まっている……
こいつの名はダークキバ…人間時の名を紅音也と言うが…俺はコイツを音也と呼びたくは無い…何故なら…
俺の知る紅音也とは――いや、今は…奴の左手に握られている物に話を移そう……
 

「其れを…どうするつもりだ?」
「どうするも何も…此れは俺達の宝だぜ? そろそろ返してもらっても良い頃だろう?」
「……………」
 

確かに…"ケータッチ"は俺が力づくでネガ世界から奪った物…
そして…甘い考えのおかげで一人の男の人生を狂わしてしまった物……そろそろ…返す時…か
 

「ああ…其れには、色々と助けてもらった…感謝する」
「やけに素直だな…? まぁいい…一つ良い事を教えてやる…」
「何……!?」
 

突如殺気を感じ右に側転…0,6秒前に俺がいた場所に弾丸の火花が上がる…ダークキバは…居ない…
良い事ととやらを言う前にネガ世界に帰ったようだ……
さて…行き成り二連装銃ぶっ放してきて、後ろに黒い覆面集団を引き連れて来た奴をどうするか…?
 

「何の用だ? "平行世界"のアポロガイスト?」
「無論貴様を地獄へ送る為だ…行け!! 大ショッカーの戦闘員達よ!!」
「「「「「イーッ!!」」」」」
 

やれやれ…今日はいらん客ばかりが来るな……取りあえず俺は戦闘員が来る前にカードを取り出しバックルに放り込む
 

――KAMEN RIDE…FAIZ!!――
 

俺はファイズへと再変身し"あまりにも遅い速度で"殴りかかって来た戦闘員にカウンターの蹴りを喰らわす!!
 

「イー!?」
「フゥ…さぁて…少し相手をしてやるぜ!!」
 

手首をスナップさせて、アポロガイストに向かい駆ける…途中二連装銃の迎撃があるが…対して痛くは無い!!
 

「うおおりゃあああっ!!」
 

駆けた勢いのまま放った蹴りは太陽を模したと思われる左手に持った盾に防がれる…反撃が来る前に…!!
 

「ぬ!?」
「ハァッ!!」
 

足の力をフルに使い体を空中へと持って行き、がら空きの左肩に背面蹴りを喰らわし
着地と同時にライドブッカー・ガンモードを取り外しトリガーを…!?
 

「マグナムショット…!!」
「ぐ…!! ("0.2秒…反応が早い!!")」
 

引いたと同時に相手の銃口から放たれた弾丸が肩で破裂……俺達は同時によろけ…同時に蹴りを放つ!!
 

「りゃああっ!!」
「フッ…トオオオ!」
「? 何…?」
 

両者の靴底が当たった瞬間に衝撃で繰り出した足が戻され、
俺はライドブッカーを瞬時にソードモードに変形させ突きの動作を取ったが、アポロガイストが後方へと跳躍した為に刃が空を斬る……
 

「「「イーッ!!」」」
――ATTACK RIDE…SLASH!!――
「ハァッ! ハッ! ハァッ!!」
 

跳びかかって来た戦闘員よりも早くカードを放り込み、素早く一体目を斬り捨て、
着地する寸前の2体目の頭にライドブッカーを突き刺し…
殴りかかって来た3体目が攻撃範囲に入った瞬間、体ごと剣を回し…3体目の上半身と下半身を斬った……
 

「「「イーッ!?」」」
「…!?」
 

3体を難なく倒した俺だが…今の体勢はまずい……次の行動に移るまで0.3秒は掛かる…奴がこの隙を見逃すとは――ッ!!
 

「マグナムショット!!」
「ぐぁ!!」
 

二連銃の弾丸を避けきれず、俺は………駆けるしかないだろう!!
 

「む!?」
「りゃあああああああっ!!」
 

駆けた勢いで繰り出す斬撃は盾に防がれる……
 

「まだまだぁぁぁぁぁぁ!!」
「ぬ! く…!!」
 

――気分が高まって来たのか俺の太刀筋は滅茶苦茶だ…だが…一撃…一撃に! 力を…心を籠める!!
 

「うおおおおおおおおっ!!」
「ッ!! 調子に乗るな!!」
「!! (チャンスだ!)」
 

アポロガイストが盾を横薙ぎに振るった動作を見逃さず、ライドブッカーを盾の穴に突き通し、背負い投げの要領で投げ飛ばす!!
 

「む!! マグナムショット!!」
「フッ! ハァッ!」
 

空中を舞うアポロガイストはきりもみ回転の中からの的確な射撃技術で攻撃の手を緩めない……
俺はステップと切り払いの動作を同時に行い、ダメージを最小限に抑え…ライドブッカーをガンモードに変形させる
 

――ATTACK RIDE…BUSTER!!――
「ガイストカッター!!」
「……………!」
 

アポロガイストは盾をブーメランの様に投げて来る…経験談だが…あれをまともに喰らう訳にはいかない…
俺は連続でトリガーを引き黒い光弾を当てる…その回転を完全に止める事はできないが……跳び上がる隙は出来た!!
 

「ハァッ!!」
「マグナムショット!!」
 

盾が迫る瞬間に跳び上がり、体が落下すると同時にトリガーを引き続けるが…
向こうさんも同じ考えの様でマグナムショットをまともに喰らってしまう――
 

「ッ…!!」
「ぬ…!!」
 

空中での体勢が崩れ、俺は落下する…そしてファイズの再変身が解け地に着地……
戻ってきた盾を手に持ったアポロガイストの警戒をする……
 

「後は接近戦のデータのみか……」
「? データだと?」
 

奴がボソッと呟いた言葉に俺は戦慄に似た感覚を覚える……
 

「俺は目を付けられたと言う訳か? 大ショッカーとやらに…?」
「ふん…我らを舐めてもらっては困るな、霞光弥…この世界に放った怪人の殆どが消されれば…おのずと目を付けるしかなかろうて?」
「そうかい…じゃあ――」
 

言葉を繋げる前に…殺意を…闘気を高める……
アポロガイストが俺の殺意に反応したのか右手の銃からサーベルの剣に持ち替え戦意を高めている……さぁて…!!
 

「行くぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「ふん…ハアアァァァァッ!!」
 

同時に駆ける!!
 


 
 

<第1話終了、第2話に続く>





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