side仮面ライダーディエンド
 


「「「「「ヴィリリリリリリィ〜」」」」」
「「「「「ギ……ギギギギ!!」」」」」
「やれやれ…こんな所でゴキブリに捕まるとはね」
 

ダークローチ、あんまり良い思い出は無いなぁ……もうちょっとで折角手に入れたお宝を師匠に届けられるってのに――!!
 

「「ギギ……!!」」
「仕方ない! 相手をしてあげよう!!」
 

僕は襲い掛かって来た2体に相棒の照準をトリガーを引きつつ包囲網の穴を駆け抜けつつカードを装填、
180℃の視覚内に居る5体に銃身を向けてトリガー!!
 

――ATTACK RIDE…BURST!!――
「ハッ! ハッ!! ハァッ!!」
 

崩れた包囲網の中反応が遅れた3体にダッシュパンチを放ち、
僕は地上18階建てマンションの屋上から跳び下り……BUSTERを装填する
 

「やれやれ、此れは……遅れそうだ!!」
 

左に体を向けるとゴギブリの如く羽を震わせるダークローチ3体が既に攻撃態勢に入り、後は僕に肉薄するだけ――
 

「まぁ、させないけどね!! ハァッ!!」
「「「ギギ!?」」」
「フゥ……チッ!!」
 

ダークローチ単体の強さは仮面ライダーに劣るが倒しても、倒しても湧き続けるゴキブリ共に体力が削られる……
BUSTERは3体の眉間を打ち抜き、黒い粒子になって消滅させた。僕は着地した瞬間に駆け、追って来るダークローチにトリガーを引く
 

「「ギャ!?」」
「「グゲ!?」」
「「「「ギギ!?」」」」
 

BUSTERはBURSTの連射性、射撃範囲と言った所に劣るが一撃一撃は強敵怪人を怯ませるだけの威力を持っているし
連射性もBURSTに劣るけど普通の拳銃よりは優れている……が――
 

「「「「「「「「「「ヴィリィィィィィィィィィ!!」」」」」」」」」」
「「「「ギリギギ……!!」」」」
「仕方ないなぁ--此処で相手をしてあげるよ!!」
 

二重の予防策も取ったし……後一時間もすれば、どうせ師匠が決着を付ける…それまでは――
 

――KAMEN RIDE…STRONGER!! BLACK!!――
「俺は正義の戦士……!! 仮面ライダーストロンガー!!」
「仮面ライダー!! BLACK!!」
「「「「「「「「「「ヴィリィィィィィィィィィィ!!」」」」」」」」」」
 

こいつ等を殲滅するとしようか!!
 



 

side九条夏樹
 


「たあ! やあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「ギギ……!?」
「ハァ、ハァ、ハァ……何なの!? こいつ等!!」
「ギギ……!!」
「くぅ!?」
 

建設予定地に到着してから約20分……私は殴る、蹴る、飛ぶ、避ける、逃げるを繰り返すしか無かった。
黒い怪人の戦闘能力は はっきり言って大した事が無い、
でも……倒しても、倒しても影から湧いてくる怪人に私は体力を削られて行く――
 

「やあ!!」
「ギギ!!」
「くぅ!?」
 

く……!! 拳を伸ばし過ぎた!! 私の右正拳突きは怪人に払われ、視界から外れた連続膝蹴りを食らう……くやしいけど!!
 

「(逃げるしか無いなんて……!!)」
「ギギィーッ!!」
 

私は膝蹴りが来る前に体をぶつけて怪人を怯ませ、トライチェイサーを置いた場所まで走る。 
怪人は私を追って来るけど足は私の方が早い事はこの20分の間に解った……後――は!?
 

「飛べるのぉぉぉぉ――!?」
「ギギィッ!!」
「きゃあ!?」
 

円形に下向しつつの突撃を避ける事は出来ず私は空に飛ばされ、
転がり落ちた地が回転の勢いを止めてくれたものの疲労が溜まった今、これ以上のダメージを受ける訳には……!!
 

「ギィッ!!」
「やあ!!」
 

攻撃態勢に入り空中から下向してくる怪人に私は体勢を整え跳躍、突き上げるアッパーで迎え撃つ!!
 

「ギィッ!!」
「ッゥ!?」
 

拳が来るかと思っていた――ううん私は体勢だけで判断していた……
怪人はフェイクの体制を解き空中回し蹴りで私のアッパーを蹴り飛ばす、
体勢が崩れ落下するしかない私の脳天に踵落としの衝撃が響きわたり……"トライチェイサー"から50mの地点に落下する。
 

「く……う、ぅぅ!!」
 

痛い…!! 全身がバラバラになるかの様な衝撃に私の意識は消え去ろうとしていた……それでも……死ぬ訳にはいかない!! 
この思いのまま、私はまだ感覚のある腕の力で地を掴み続けトライチェイサーまでの距離を少しずつ――ッ!?
 

「ぐ!! くぅぅぅぅ!!」
「ギギィ〜!!」
 

先回りされた怪人に片腕を踏みにじられ、私はたった一つの対抗手段すら無くしてしまった……どうすればいいの? どうすれば――!!
 

「ライダアアアアア!!キイィィィィィック!!」
「ギギィッ!?」
「え…?」
 

怪人が……蹴り飛ばされた? もうあきらめかけた私は何が起きたか解らずただ困惑していた…
"明るい緑の飛蝗の仮面"の戦士に声を掛けられるまでは――
 

「大丈夫か?」
「は、はい……」
 

私は差し出される雪の様に白い手を掴み立ち上がる
 

「あの、貴方は?」
「ああ、自己紹介がまだだったな……俺の名は本郷猛、またの名を…仮面ライダー1号」
「仮面ライダー……1号」
「そうだ、海東君に頼まれ"俺達"は光弥が居るこの世界にやって来た」
「え!? 光弥さんを知ってるんですか!?」
 

私の驚きに本郷さんは落ち着いた感じで返答してくれた
 

「フッ…30年近く共に戦ったよ、アイツとはな――」
「……………」
 

何処か懐かしむかの様に空を少し見上げる本郷さんに私はこの人がとてつもない戦いを潜り抜けた事を感じた――
 

「「「「「「「ギゲェェェェェッ〜!!」」」」」」」
「「「「「ギギギギギギ!!」」」」」
「む!?」
「囲まれた!?」
 

突如私達の周囲の影から12体の怪人が包囲網を組み、少しずつ摺り足で近づいて来る
 

「夏樹君だったな? 俺について来い!!」
「え!? は、はい!!」
 

急に駆け出した本郷さんに何とか反応し、私は其の後を駆ける……でも、何を――?
 

「ライダアアア!! パアアアアアンチ!!」
「ギィ!?」
「(そうか!!) やあああああっ!!」
「ギィ!?」
 

私達は包囲網が固まる前に二体の怪人を殴り飛ばし、其処から出た綻びから脱出した
 

「「「「ギギィィィィィィィィッ!!」」」」
「「「ギゲェェェェェッ〜!!」」」
「マシンに飛び乗れ!! トオッ!!」
「はい!! やあっ!!」
 

体を半回転し私はトライチェイサーに乗り込み
本郷さんは……"明らかに普通のマシンと思えない白いマシン"を発進させ怪人達に向かって行く――
 

「(よし、私も――? 通信?)」
 

本郷さんが素人目でも驚異的と理解できるテクニックで怪人達を薙ぎ払う中、
私も続こうとしたがハンドルの中心にあるコントロールパネルの点滅灯が赤く光っている。 
説明書を見て知ったのだけれど点滅灯が光る時はピンポイントでの通信がある時だけ……
と言ってもこの世界にこんな便利なバイクは無いのだから、どうして通信が来るのか……? ともかく聞いてみよう。
 

「はい、こちら――」
『夏樹君!! 無事か!! 夏樹君!!』
「し、重さん!?」
 

通信回線を開くと私が30分間ずっと気になっていた事が舞い込んできた、其れは……本来なら居るはずの警官隊が居なかったから
――到着してからの私は建設員の人達を避難誘導しながら戦っていた……化け物と言われたのは辛かったけど――
 

『夏樹君!! 今何処に居るんだ!! 現在位置を教えてくれ!!』
「は、はい……スイートホテル建設――」
『何だって!!』
 

予定地と言おうとしたら重さんの驚き声で遮られた……そんなに驚く事――なのかな?
 

『夏樹君!! 事情は解らんが、直に其処から離れるんだ!!』
「え!? ど、どうしてですか!?」
『建設予定地に大量発生した怪人が近隣住民に被害を及ぼしているからだ!! 繁殖範囲が広すぎる為に警官隊も建設予定地に
迎えないで居る!! 君一人では、むざむざ殺されてしまう! 早く逃げる――』
「重さん…ごめんなさい!!」
 

私はこの言葉のすぐ後に回線を遮断し、トライチェイサーを走らせ本郷さんの援護に向かう
 

「(逃げられない!! 逃げちゃいけない!! 此処から怪人達が外に行くのなら……)」
「「ギギィィィィッ!!」」
「!? 夏樹君!! 避けろ!!」
 

こいつ等が人を襲うなら……私が……私達が倒す!!
 

「む!? 赤のクウガ……」
「ギィッ!?」
「く!! トオッ!!」
 

体が熱い…心が熱い!!
 

「「ギギィィィッ!!」」
「あんた達なんかに……負けないんだからあぁぁぁぁぁぁ!!」
 

私はマシンから跳び出し回転……右足を突き出す!!
 

「ギィィィィィィィィィッ!?」
「(やった!! ツゥ!?)」
「ギイィィィィッ!!」
 

私の蹴りは怪人の頭部に当たり、其処に刻まれた紋章が体中に広がり怪人を黒い粒子とさせ消滅させる……
其の直後、もう一体の怪人の体当たりを食らい、
私は空中から叩き落とされる……受身を取って直に立ち上がると――黒い拳が面前にまで迫っていた
 

「ギイィィッ!!」
「(!? 避けきれない……耐えてやるんだから!!)」
 

私は咄嗟の判断で両腕を頭部の前でクロスさせ、身構える………………………………あれ? 衝撃が…来ない?
 

「やれやれ、レディの扱いはもっと丁寧にすべきだぜ?」
「ぎ!? ィィィィィィィィィッ!!」
「……あ、あのー…貴方……は?」
 

私はゆっくりと両腕を下げる……両腕に覆われていた視界に映った者は…ちょっと違う所があるけど本郷さんが明るい緑の体色に
雪の様に白い拳と両脚に対しこの人は暗い緑に…血の様に赤い拳と赤い両足をしている。
怪人の拳を右掌で握り締めており、怪人が悲鳴を上げている様に思える…なんて力なんだろう――
 

「おおっと…自己紹介が遅れたな、俺は一文字隼人……またの名を仮面ライダー2号さ」
「2号…ですか」
「まぁ、本郷の相棒と思えば良いさ!!」
「ギイッ!?」
「サイクロォォン!! クラッシャアアーッ!!」
 

一文字さんが両手で怪人の腕を締めて持ち上げると……
絶妙のタイミングでマシンを跳んで来た本郷さんのマシンの突撃を受けて消滅した
 

「な、相棒だろ?」
「え、ええ…」
 

私はあまりの高レベルなコンビネーションに圧倒され、そんな返事しか返せなかった…
マシンを止めた本郷さんが私達の所までやって来る
 

「遅かったな、一文字?」
「悪いな、本郷…街に広がったゴキブリ共を倒してたら時間くっちまった」
「フッ、やはりそうか…お前らしいな」
「へっ…やっぱり解ってやがったな」
 

か、会話に入れないや……
 

「「!! 夏樹君!!(お嬢ちゃん!!) 敵が来るぞ!!(来る!!)」」
「え!? そうなんですか!?」
 

私が驚いている間に黒い影が私達を覆う様に広がり……其処から怪人達が現れる
 

「ど、どうしましょう!?」
「おいおい、お嬢ちゃん…こうなったらやる事は一つだぜ?」
「そうだな…」
 

私達はお互いに背中を預け、怪人達の出方を窺う……と言っても次々に現れる怪人達に私は落ち着く事が出来なかった
 

「や、やる事…?」
「そうだ……やる事はたった一つ!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「ギギギギィィィィィィィィィィィィィィッ!!」」」」」」」」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「ゲゲゲェェェェェェェッ〜」」」」」」」」」」
 

其の時……私の耳に怪人達の声は入らなかった…本郷さんの次の言葉を……私はずっと待っている
 

「「怪人達(こいつ等)を倒し!! 人々を守る事!! 其れが俺達仮面ライダーがやるべき事だ!!」」
「……!!」
「フッ…行くぞ!! 一文字!!」
「おお、本郷!! お嬢ちゃんも俺達からあまり離れるんじゃねぇぜ?」
「はい!! やあああああああああ!!」
 

私は頼もしい戦士達と共に……百を超える怪人達に駆けて行く――
 

 
 
 
 
 

1時間前…side霞沙耶
 

「おじさん、これ……どうですかね?」
「お、おう……に、似合ってるぜ?」
「む〜……おじさん、さっきからその返事ばっかりです」
「そ、そうか……そんな事は――」
「あります、もう30分間同じ返事です」
 

私がきっぱりと言うとおじさんは困った様に頭を掻いている……このやりとりがもう30分も続いている。
今私達が居るのは神奈川でもトップクラスに入るという巨大ショッピング街"アリーナ"、
此処は世界中の食、道楽、服が揃っているらしく一つのフロアだけでも300mある……
私達も20分位目的の場所に着くまで彷徨った――
 

「う!? スマンなぁ…沙耶ちゃん。 おらぁ昔から女の服に疎くってなぁ――」
「其れは解ってますけど……じゃあ、おじさん 試着して来るので似合ってるか見てくれませんか?」
「お、おお!! それぐらいなら俺でも出来るぜ!!」
「フフッ…じゃあ行って来ます」
「ああ、俺はこの辺りで待ってるぜ」
 

はい、と返事を返し私は少し離れた試着室に入りカーテンを閉める……私が選んだのは動きやすい服装を二つ…
さっそく試着してみようとYシャツのボタンに手を掛けると――
 

「? 音…?」
 

キィィィン、キィィィィンとやけに耳障りで……"聞いたことのある様な音"が響いて来る…何でだろう? 
早く此処から出ないと…危険な目に会う様な気がする――私は試着室から出ようとカーテンに……
 

「出てもらっては困りますね、お嬢さん?」
「む!? むぐぅ!?」
 

0,8秒遅かった様だ……私は一瞬にして口を押さえられ、お腹を抑えられ…引っ張られる!? 後ろは…ガラス――え!?
 

「キャア!?」
「ようこそ、お嬢さん……"ミラーワールド"へ」
「ミラー…ワールド!!」
 

私は足りない記憶のピースの一つを言葉に出した後ろの人物の方に振り向くと――
 

「!? 仮面ライダー…?」
「おやおや? 流石は霞光弥のお嬢さんと言っておくべきですかな?」
「な、何で仮面ライダーが私を……?」
 

今だ困惑している私に蟹に似ている金色の仮面をした仮面ライダーは右掌を嫌らしく仮面の口元に置き、笑っている……
何でだろう? この笑い声…イラつく
 

「答えは簡単です…霞光弥の動揺を誘うためですよ」
「お父さんの……動揺ですって?」
「ええ…そして……"10分間の人質でもありますがねぇ"クックックックックッ――!!」
 

10分の人質…? ツゥ!?
 

「おやぁ? 体調が優れないようですね――」
「ミラーワールドは…人間もライダーも……"8分55秒から9分55秒"しか存在できない…その為に私を――!!」
「……其処まで貴方に話しているとは、思いませんでしたよ?」
「!?」
 

雰囲気が……変わった?
 

「仕方がありません…其処まで深い関係ならば……"今此処で死んでもらいましょう"」
「……!!」
 

ライダーに左腕のハサミで私の首を押さえ、今の体勢は私が押し倒されている……私は…"死を覚悟"した
 

「ライドロープ!!」
「ロープアーム!!」
「ぬぅ!?」
 

蟹のライダーの後方から放たれた二本のロープ…
先端が赤い物は私の首を押さえていたハサミが付いた左腕を、もう一方のロープはライダーの右腕に巻きつき――
 

「「トオオッ!!」」
「く!?」
「ケホッ、ケホッ…あ、貴方達……は?」
 

蟹のライダーはもの凄い勢いで反対側まで投げ飛ばされ、"二人の仮面の戦士"にバックミドルキックを食らい更に吹き飛ばされた
 

「私はライダーマン…結城丈二」
「俺は仮面ライダーX…神敬介、海東君の協力により君を助けに来た」
「海東さんの…? あ、ありがとうございます」
 

私が疑問を続ける前に二人は私に手を貸してくれ、私は起き上がる――? 敬介さんが赤いグリップを握ると……
 

「ライドルスティック!!」
「少し…聞きたいのですが?」
「何だ?」
 

ロープから棒に変えると……反対側まで投げ飛ばされた蟹のライダーが歩いてくる
 

「――貴方がたはミラーワールドに入れない筈では?」
「お前はわざわざ敵に情報を与える男では無いだろう?」
「くっくっくっくっ…其れもそうだ……では――」
「敬介!! 此処は任せるぞ!!」
「はい! 結城先輩!!」
 

其の言葉の後私は凄い力で結城さんに引っ張られる……
正直足が着いて行かないけど蟹のライダーとXライダーが戦っているだろう場所から離れていく……
離れている間も激しい金属の応酬の音が耳に残っていく
 

「あの…結城さん?」
「何だい?」
 

私が疑問を問い掛けようとすると結城さんを走るスピードを緩める……
少しだけ目線を後ろへ向けると戦闘の場所から、かなり離れていた――これを機会に私は疑問を問い掛ける
 

「どうやって…此処から出るんですか?」
「私達には協力者が居る……あの男には無い立派な絆で出来た協力者がな――」
「絆……」
 

不思議だ……結城さんの言葉は自分を指していない様に思える……別の誰か? 
 

「良し、此処だ……」
「此処…? 此処って――」
 

結城さんが此処と言った場所……私の居た試着室とは別の場所に設置された"試着室"……
私が呆然としていると結城さんがカーテンを開く――
 

「あの、結城――」
「神崎士郎!! 居るのは解っているんだ!! 出て来てくれ!!」
「ツゥ!?」
 

キィィィィィン、キィィィィィィィン……私が此処に入れられた時よりも…強い音…思わず両耳を抑えてしまった
 

"流石だな…結城丈二、ディエンドが定めた時間よりも18分早い"
「御託は良い!! 早くこの子を出して挙げてくれ」
 

若い男が現れた…小麦色のロングコートが印象……いや、この青年其の者が放つ何処か人間離れした雰囲気――
 

"解っている…既にゲートをシザースが引き込んだ鏡に繋げた……増援は必要か?"
「ああ…第一段階とは言え、其の強さは"お前の駒"に迫る…頼むぞ」
 

結城さんの声に神崎さんは頷くと鏡から姿を消した……
 

「さあ、此処から出るんだ」
「結城さんは?」
「敬介の援護に向かわねばならない……私は仲間達の中でも非力だが…其れでも出来る事はある」
「――こんな事言うのも変ですけど……御武運…祈っています」
 

言葉の後に…私はガラスに入る……地面の無い空間をただ落ちて行く私に……結城さんの言葉が聞こえた
 

「フッ…いずれ光弥にも、其の言葉を掛けてあげてくれ」
「!! はい!! てっ、きゃ!?」
 

私が返答をした途端……鏡の中から弾き飛ばされ、体勢を崩しうつ伏せに倒れてしまった
 

「お、おい沙耶ちゃん…大丈夫か?」
 

何時の間にか戻って来たおじさんが居た……私は痛む額を抑えながら出来る限りの笑顔で答える
 

「おじさん! この二つ買いましょう!!」
「お、おお! 帰って光弥に見せてやろうぜ、あいつ驚くぞ〜」
「フフフッ…どういう風に驚くかなぁ〜」
 

私は立ち上がり服装、二セットを両手で抱え、おじさんと共にレジに向かう……正直…怖かった
でも…あんな所で泣き叫んだら……シザースと言う仮面ライダーに"完全に負けた"気がするから…
たとえ、ぎこちなくとも…出きる限りの笑顔で答える
 

 
 

side霞光弥
 

「ウアアアァァァァッ!!」
「トアッ!!」
 

空中での刹那――お互いの刃が肩を傷つける……お互いに落下し体勢を整える、
そして…片足を踏み込み刃を交え、拳を食らわす……このやりとりがもう40分も続く……
何時まで続くのか解らないこのやりとり、もう二度と味わう事が無いと思っていたってのに――前よりも最悪な状況だぜ……
 

「ギィッ!?」
「トアアアアッ!!」
「「グギャッ!?」
 

振り向き様に振るう刃がダークローチの腕と胴を離し、連続で下ろし、上げ、薙ぎ払う刃は3体のゴキブリ共を粒子と変える――
問題は……この後!!
 

「ウアアァァァァッ!!」
「があっ!! ちくしょおぉぉぉ!!」
 

ジョーカーの刃は俺の右の胴を振り抜く……右半身の感覚が無くなる前に!!
 

「ぐ!! この…野郎…!!」
「ウゥゥゥゥ!! アアァァァァァァァッ!!」
「ちくしょお……あん時みてぇに…叫ぶなぁ!!」
「ウゥゥゥッ!?」
 

刃が付いた右腕を弾き…左後ろ回し蹴りから右回し蹴りをジョーカーの頭部に食らわし…俺は後方へ跳躍する
 

「ウアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「「「「「ギィィィィィッ!?」」」」」
「!! な、何だ…!?」
 

周囲のダークローチが黒い粒子となり叫び声を挙げ続けるジョーカーの面前に集束している……あれは…カリスのカード?
 

「ウウ…!!」  『CHANGE』
「!? ……どういうつもりだ?」
 

ジョーカーの殺意が消えた……俺はこの事態に戸惑いつつもジョーカー…いや"カリス"に問い掛けた
 

「一応の礼を言う…霞光弥」
「礼を言われる事はしてないぜ? 今までも…今からもな」
「解っている…あんたに俺を解放する手段が無い事ぐらいはな」
「なら……何の礼だよ?」
 

少し……解って来た、コイツの礼が何なのか…? そして……此れから"何を頼む"かを――
 

「俺が頼みを出きる隙を作ってくれた……其の礼だ」
「頼み…?」
「そう……俺を"殺してくれ"」
「簡単に…言ってくれるな」
「お前しか…頼める者は居ない……俺の仲間では、俺を殺してくれない…俺の敵では…力不足だ」
 

ちくしょう……変わらねぇのか!! ちくしょうが…!!  其の思いで…ホルダーからカードを引き抜く
 

「……ありがとう、礼を言う」
「言うな…これから…お前を殺すんだからよ」
「それでも…だ…ありが――と……」
 

優しき気を放っていたカリスの意志が…消える……俺は…また!!
 

――KAMEN RIDE…OLD 1号!!――
「ウアァァァァァァァッ!!」
「……!!」
「アア!?」
 

放たれたキックにキックを返す……カリス…いや、もうジョーカー以外にはなれんか、ジョーカーはよろけながらも左の拳を繰り出す
"あまりにも遅い…其の拳を!!"
 

「トオオッ!!」
「ガアアァ!?」
「トオッ!  トオッ! トオッ! トオッ! トオッ!」
 

俺は即座に奴の視界から外れ…左足を踏み込み…出来る限りの体重を乗せたパンチを叩き込む、よろけた体勢が戻らぬ内に……
コマの回転を心がけ……ジョーカーの頭部を左に、右に、左にと殴り続ける――
 

「ウアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
"これで…!!"
 

火事場の馬鹿力を出したジョーカーが俺のパンチを体で弾き、右腕の刃を俺の眉間に突き刺そうとする……俺は…!!
 

「ああ、終らせるぜ…!!」
「アアッ!?」
 

ストレート気味の突きを避け…ジョーカーの首と左太ももを掴み――!!
 

「ライダアアアアアッ!! きりもみシュウウウウウウウット!!」
 

ジョーカーの体を皿回しの様に回し、竜巻を発生させ……勢いを付けつつ投げ飛ばす!!
 

「これで…止めだ!! トオオッ!!」 ――FINAL ATTACK RIDE…E、E、E、1号!!――
 

青き電光を右足に纏い…俺は自ら作り出した竜巻の中を跳躍し…半回転…狙いを定める
 

「電光ぉ――!! ライダアアアアアアアア!! キィィィィィィィィック!!」
"ありが…とう"
「礼を言うなって言ったぜ? バカ野郎…」
 

電光ライダーキックはジョーカーの体を貫き……其の体を爆散させた……
あの時と…まったく同じ行動――変われてねぇ……ちくしょう!!
 

「……………」 ――ATTACK RIDE…OLD CYCLONE!!――
 

着地した俺はディケイダーを呼び出し、カードをバックルに放る……
灰色のオーロラがディケイダーを潜り、其の姿を"懐かしきフォルム"へと変える
 

「まだ…終ってないな」
 

俺は血の如く赤いマーキングが施されたクリーム色のボディを思わず撫でる……
子供だった時の憧れを見るのが"50年"振りだからかもしれない…俺はサイクロンに跳び乗り…アクセルを一気に回す!!
 

「待っていろ……直に片付けてやる!!」
 

サイクロンの進路を東へと向ける……其処にあるのは巨大ショッピング街アリーナ…懐かしい気が二つ、知っている気が二つ……
其の気を覆う様に……どす黒い気を感じる…アイツだ――アクセルを更に回す…速度は300km/nの後半…回転は9000をキープする
此れならば…20分で着ける!! 結城さんや敬介さんならば大丈夫だろうが…心配なのは沙耶と松のおやっさんだ…無事でいてくれ――
 

 

(第9話終了、第10話へ続く)
 

 

後書き
 

 

※更新楽しみにしています、小説頑張って下さい!の方
 

ありがとうございます、出来る限り御期待に答えられる様に頑張りたいと思います
 

 

※小説、読ませていただいています〜の方
 

アドバイスありがとうございます、今まで書き方に対する御指摘など貰った事が無いので非常に参考になりました。
今回は書き方のHPを見ながら書いてみたのですが……正直基本を守れたかどうか解りません(苦笑)
これからも勉強しながら書いて行きますので御暇があれば御覧頂いて御指摘を貰いたいのが正直な気持ちです。
では、ありがとうごさいました。





作者さんへの感想、指摘等ありましたら投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。