「うーす、待たせたか?」
 「ううん全然」
 「さ、行こ」
 「えーと、向こう着いたらまずな・・・」



  あの花見から一ヶ月経った五月、あの三人は正式に管理局に入局した。
  年齢的にそれはどーよとも思ったが管理局ってのは懐が広いことで・・・


  で、今日は調整に出していた相棒を受け取りに本局へと向かっている。
  なのはとフェイトもそれぞれ相棒を預けているので一緒に取りに行こうとの事だ。


  ちなみにトレイターはリインの調整のために先に本局に出向いている。



 「陣耶くんは、やっぱり局には来ないんだ?」
 「ああ。前にも言った通り俺は組織ってのが性に合わないんだ。上の言う事は必ずって訳じゃないけど従わないといけないしな。
  俺はそうやって自分のやりたいように生きれないのが嫌なんだ」



  ニュースでもよくリストラとかあるからな。
  他にも上司の言いつけだからってあんなことやこんな事という愚痴を近所でよく耳にする。
  ということで、俺はあんまり固い組織に入るつもりはない。
  自己中心な俺に組織はあまり向いていないのである。



 「うーん・・・難しいね」
 「まーあれや、陣耶くんの場合は単に面倒くさいのと自由にやりたいのとその二つやろ」
 「大当たり」



  ぶっちゃけそうである。
  何が悲しくて小学生から仕事をせにゃならんのか・・・
  その点、こいつらって凄いよな。


  ちなみに、なんで局に入っていない俺のデバイスの調整とかやってくれているのかというと・・・
  リインの調整とか、まあその他諸々で俺は未だに嘱託扱いだ。
  局員扱いだがこれはまだ自由な方なので了承はしている。
  けど、将来的には自立するつもりだ。



 「うーん、だって楽しいし」
 「みんないい人ばかりだよ?」
 「小学生からこれか・・・将来仕事ばっかりやってそうだこいつら」
 「言い寄って来る人はいると思うけどなあ、この二人は」



  そうだろうが、絶対あの二人はlikeとloveを一緒こたにしてlikeにすると思う。
  というかloveという感情対象が現れないだけか。
  けどこの時点からお仕事大好き症候群だしなあ・・・不安だ。



 「そうなったら陣耶くんがお嫁さんにもらうとか」
 「馬鹿言え。なのはの場合はまず間違いなく殺されるしフェイトの場合は永久凍結決定だ」
 「じゃあうちとか?」
 「絶対嫌だな」
 「そこまで拒否られると流石に少し傷つくわ・・・」



  はははは、知ったことか。
  さてと、それじゃ相棒を迎えに行きますか。








  〜A’s to StrikerS〜
         Act.3「激突! アースラチームvs八神家チーム!!」








 「はーい、じゃあこれ確かに」
 「ありがとうございます」



  スタッフから相棒を受け取る。
  うん、整備もきっちりされていて新品みたいにピカピカだ。



 「お帰り、クラウソラス」
 『ただ今戻りました』



  さって、社交辞令も済ませてっと―――トレイターとリインはどこかね?
  研究室の奥の方を見渡して・・・お、いたいた。
  ちょうど調整が終わったのかこっちに向かってくるな。



 「おーい二人とも」
 「む、皇か」
 「ああ・・・そういえば相棒の受け取りに来ていたのだったな」



  どーでもいいが、こいつら外見がそっくりだから色彩違わないと本当に見分けがつかないな。
  声色、更には喋り方までそっくりときたもんだ・・・どこの双子かと。



 「どちらかと言えばクローンかもしれんがな。私は夜天の書を基にしているのだし」
 「そういう意味ではお前は私の妹だな」
 「ならこう呼ぼうか? 姉上殿」
 「ふ、やめてくれ」



  おー、こいつら本当に仲の良いことで・・・



 『互いに腹の探り合いをしているようにも見えますが』
 「そこは言わぬが吉だろう」



  さて、なのははユーノの所に行ってフェイトとマリーさんはは先に戻ったし俺らもそろそろ戻るか。


  そのまま雑談しながら徒歩数分。
  ・・・この状況は一体?


  フェイトとシグナムがヤル気満々でデバイスとバリアジャケットを展開しとるんだが・・・



 「おーい」
 「訓練用の結界って何するのー?」



  おや、なのはにユーノ。


  いや、俺にもよく分からない・・・何せ今来たばっかだし。
  これはどういう状況で?



 「いやなあ、デバイスの調整後の慣らしの筈が何故かまた模擬戦の方向に―――」
 「なるほどー」
 「あんのバトルマニアは・・・」



  何回戦っても飽きないんですねー
  いや、気持ちは分かるよ? 誰かと競うのは楽しいが・・・



 「二人ともデバイス戻ってきたんやろ? 参加するか?」
 「ええ?」
 「遠慮したいんだが・・・」



  こいつらと戦り始めると収まりがつかない・・・
  そして規模が半端じゃないから結構キツイのだよ。この後に恭也さんとの特訓も控えてるのに・・・体力が持たない。



 「いいじゃない。なのはもジンヤもヴィータも」
 「あたしはやらねーよ。腹減るだけだし」
 「つまらんな、これだけの腕を持つ者が一同に会しているというのに」



  だからあなた達バトルマニアと呼ばれるんですよ・・・?
  けどなあ、タヌキが後ろから不吉なオーラを放っているから嫌な予感しかしてこない・・・



 「そこの二人もどうやー。リインなんか調整後の慣らしにはちょうどいいやろ」
 「そうですね・・・」



  うお、そこで悩むか貴様。
  むむむむ、だんだん雲行きが怪しく・・・



 「ほらほら、リインフォースもこう言ってるんだしヴィータも混ざろう?」
 「くどいぞテスタロッサ。あたしははやてのため以外で戦う気はさらさらねーんだ」



  立派だなヴィータ。
  お前のそんな所は騎士として立派だと俺は思うよ。


 「とか言って、実は主の前で負けるのが怖いだけではないのか?」
 「―――ほう? 今なんつったテメエ!?」
 「わ、私ぃ!?」



  けどな、そうやってすぐ挑発に乗る所はまだまだ未熟だと思うんですよ・・・



 「いーぞやったろうじゃねえか! 準備しろなのは!!」
 「ふえええええええ!?」



  ドンマイなのは。
  さて、俺は今のうちにおいとま・・・



 「さ、うちらも混ざろか。なあ陣耶くん」
 「・・・その手を離してくださいません?」
 「だって離したら逃げるやん」
 「あたぼうよ」



  だって巻き込まれたくないもーん。
  俺は平和に過ごしたいのー。そして体力は有限なのー



 「はははは、ここにいる以上うちが逃がさんでー」
 「いやー、俺はまだ死にたくないのー。ここで体力を使ったら後が持たないのー」
 「諦めろ。まあ私は横から高みの見物をさせてもらうがな」
 「トレイターてめええええええええ!!」



  ええい、人事だと思って―――後で覚えてろちきしょうが!!



  で、結局関係無かった奴まで巻き込みまくって―――



 「えー、とゆーことで、久しぶりの集団戦です。
  あの事件の時にアースラにいた魔導師チームとうちら八神家の騎士による集団戦―――
  題して! アースラチームvs八神家チームー!!」



  ドンドン、パフパフー
  ワー、パチパチパチ・・・



 「なんてすると思うか貴様!!」
 「えー、ルールを説明すると」
 「スルー!?」



  まあ、説明されたルールはこんな感じだ。


  まず非殺傷は言わずもがな。
  武器持ちはバリアジャケットを抜かないように威力設定をっと・・・まあ、要は局での訓練ルールだ。


  ちなみに、アースラチームメンバーはリーダークロノ。
  それからなのは、フェイト、ユーノ、アルフ、そこに俺が加わった六人。
  八神家チームはリーダーはやて。
  シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、そしてリインとヴォルケンリッターとその主による六人。


  そしてトレイターは宣言通り高みの見物である。
  むう、度し難い・・・



 「クロスレンジは引き付ける程度であまり付き合うな。
  フォワード組ははやて、シャマルの捕獲か撃墜を最優先。なのははユーノをうまく壁にして後方支援だ」
 『了解』



  まあ乗り掛かった船だ・・・
  やるからには―――いっちょ本気でやりますか!!



 『それじゃー合図するよー』
 「頼むエイミィ」
 『りょうかーい。それじゃあ、レディー・・・』



  エイミィさんの合図に合わせて全員身構える。
  さて―――



 『ゴー!!』
 「いっくぜえ!!」



  一番槍とばかりに敵陣に突っ込む。
  そして予想通りに突っ込んでくるのが一人―――


  そいつを、迎え撃つ。



 「ラケーテンハンマー!!」
 「ブラストセイバー!!」



  鉄槌と爆撃剣がぶつかり合い、爆発を起こす。
  だが互いにノーダメージ。こんな物は牽制にすぎない。
  相手は騎士だ。もたもたしていたらこっちがやられる。


  だから―――こっちから一気に攻める!!



 「おらああああああ!!」
 「はあああああああ!!」



  再びぶつかり合う互いのデバイス。
  それは火花をまき散らしてせめぎ合う。


  ぐ、やっぱ重いな―――!!



 「は、やっぱ出てきたなヴィータ!!」
 「へん! あたしたちの目の前に立ちはだかるモンは何であろーとあたしにブッ潰されんだよ!!」
 「上等!! 半年前の借りを今ここでたっぷり利子付けで叩き返してやらあ!!」



  勢いをつけてアイゼンを弾き飛ばす。
  ああそうだ。俺は初めてこいつに会った時にボコボコに叩きのめされた・・・



 「もういっちょ、ラケーテン―――!!」
 「バースト―――!!」



  やっぱ、男の子としてはやられたまんまで黙ってられねえよな!!



 「ハンマー!!」「セイバー!!」








                    ◇ ◇ ◇








  まったく、一人で突っ走りすぎだ。
  ああいう所はあの二人はよく似ている。細かい所をあまり考えない所とかが特に―――



 「フェイトとアルフは陣耶が引きつけている間に左翼から攻め込め。
  なのはとユーノは右翼から突き崩しに、僕は陣耶の援護に回る。各自味方のフォローを怠るなよ」
 「了解。行くよアルフ」
 「ほいさ!」
 「私たちも全力でいくよ!!」
 「OK。防御は任せて」



  さて陣耶は―――む、ヴィータが一旦下がってシグナムが出てきたか。
  なら僕はヴィータの相手をしつつ後ろの二人の牽制だな。
  残る懸念事項は一人だが―――はたしてどう出る?








                    ◇ ◇ ◇








  フェイトとアルフが左翼、なのはとユーノが右翼、クロノは・・・俺の後ろか。
  ヴィータははやてたちの援護に一旦回って、俺はこっちの騎士の相手―――



 「お前と剣を交えるのは初めてだったか?」
 「そうだな―――誇り高き剣の騎士の腕についていけるかどうか些か心配だが」
 「ふ、私とて剣を始めたばかりのお前に負けるつもりなど毛頭無いからな」



  だろうな―――
  実際、剣の腕はあいつの方が絶対上だ。
  魔力量は決して少なくはない、というか多いが―――なのはたちに比べると些か少ないとも思えるAAAだ。
  とはいえ、俺にとっては十分すぎる量なんだがな。


  だが、だからといってこの実力差が埋まる訳ではない。
  だけどこれ程―――心躍る戦いが他にあるか? いや、滅多にないだろう。


  だから―――



 「正面から叩っ斬る!!」
 「こい!!」



  所詮、俺の戦闘方法など近接戦闘に限られる。
  遠距離攻撃など牽制程度にしか使えないし、必殺の一撃は魔力消費が大きい。


  だから、頼りになるのは自分の腕とこの手に握られた相棒だけ。
  だからこそ―――全霊でぶつかっていく!!



 「おおおおおお!!」
 「はああ!!」



  クラウソラスとレヴァンティンが交錯し、弾かれ、また振り抜かれる。
  その一撃一撃が異様に重く、そして衝撃が腕を震わせる。



 「やっぱハンパなく強いな―――!!」
 「まだまだこれからだ! レヴァンティン!!」
 『Schlange form』



  っ、シュランゲバイゼンか!
  あれはシグナムの意志で自由自在に襲いくる蛇―――
  だが驚異的な攻撃範囲の反面、接近戦には滅法弱くなる。だがあれを掻い潜るのは至難の業。
  けど一瞬だけでも動きを止めれば勝機はある!!



 「はあ!!」
 「っ!」



  来た! 右上から薙ぎ払うように―――だったら右だ!!


  即座に軌道を予測して回避することには成功した。
  だけど、これだけじゃあ止まらないし終わらない。


 「その程度で―――躱したつもりか!!」
 「この―――!!」



  そのまま中腹が迫ってくる。


  くそ、避けきれない―――だったら迎撃!!



 「こ、の!!」



  渾身の力で振り下ろしてレヴァンティンを食い止める。
  だが、後ろには先ほど回避した切先が牙を向いて―――!?



 「なっ!!」
 「隙ありだ!!」



  切先が一気に迫る。
  前のレヴァンティンを止めて動けない俺はそのまま無防備な背中をさらけ出し―――



 「スティンガースナイプ!!」



  青い閃光によってその背中を守られた。


  さっきの魔法は、クロノか。



 「一方ばかり見ていずに周りを見ろ!!」
 「了解! 助かったぜお師匠様!!」



  まだまだ及ばないな。
  パワー、スピード、魔力運用、状況判断能力、どれもこれもあいつらに比べて俺は見劣りしている。
  言ってしまえば格が違う。所詮、俺がまともにやって勝てるのはユーノかはやてかシャマル辺りじゃないか?
  いやユーノは堅いからな・・・微妙だ。


  まあこうやって見てみると情けなくもなるが―――格下は格下なりの意地もある!!



 「つーことで、反撃だ!!」
 『Slash Bind』



  一発、二発、三発、連続で斬撃を衝撃波としてカマイタチの様に、放つ!!


  それは一直線にシグナムへと向かい―――



 「このような物で!!」



  尽くレヴァンティンによって阻まれる。


  あのシュランゲフォルムの脅威点はなんといってもあの巨大な制空権だ。
  一度踏み込んでしまえばそこからは360°全方位から蛇が襲い掛かって来る。
  だから攻撃も全て迎撃される。
  だけど―――それも狙いの内だ!!


  放った斬撃とレヴァンティンが接触したその瞬間―――!!



 『Bind Rock』
 「なっ!?」



  放った斬撃がしなる様にしてレヴァンティンの刀身に絡みつき、それを空間に拘束した。



 「これは、バインド!?」
 「その通り。バインドを斬撃として放つスラッシュバインド。術式の構成が大変なんだぞこれ」



  なにせバインドを飛ばすなぞ前代未聞である。
  それが空間拘束系ときたものだから余計に―――


  けどまあこんな手が通じるのも今回限りだろう。
  向こうがまだ俺を甘く見ていて、尚且つ本気になっていなかったからこそ出来た手だ。
  でなきゃレヴァンティンに触れた瞬間にバインドが斬られてることだろう・・・



 「さて、このままいくぜ!!」
 「くっ!!」



  レヴァンティンが完全に固定されている今、あいつの身はガラ空きも同然。
  ここで一気に攻め落とす!!



 「ブラスト―――!!」
 『Saber』



  伸ばした魔力刃を一気に―――振り下ろす!!
  それはシグナムへと迫り―――!!



 「後ろだ陣耶!!」
 「っ!!」



  クロノの声に反応して一気に飛び上がる。
  すると、一瞬遅れて砲撃魔法が俺のいた位置を通過した―――


  あの魔力光―――夜闇を連想させるあれは―――



 「まったく、次から次へとお客様が多いな。なあクラウソラス」
 『格下の割にはみんな良く構ってくれますよね』



  ぐは、そういうこと言うかお前・・・俺は軽く傷ついた。


  が、いつまでもめげてもいられないので砲撃を放った相手へと目を向ける。
  そこにいたのは夜天の書の管理人格。
  五人目の守護騎士にしてトレイターの姉妹でもあるあいつ・・・リインフォース。



 「さて、実質これで二対二なわけだが―――」
 「いつ状況が覆るかも分からないからな。今の内に叩かせてもらおう」



  ふむ、分が悪いな・・・シグナムもレヴァンティンの拘束を解いたみたいだし。


  今のリインフォースの力は俺と同程度くらいだ。
  だがシグナムは俺なんかより遥かに強い。おそらくクロノにも地力では勝てるんだろう。
  戦力は向こうの方が僅かに上。
  連携ならどうにか、とも思うがこれも向こうの方が上だろう。
  横目で他のやつらの状況確認―――援軍も暫くは期待できそうにない。


  つまりは、実力が上の相手との正面切っての戦い。


  勝率は低い。
  けど―――



 「・・・まあ、いつもの事だな」
 「ああ、今更だな」
 『格上の相手なんて数えるのがばかばかしい位やりましたからね』



  そう、俺がまともに正面きって戦って勝てるのははやて、シャマル位だろう。
  だけど実力が上の相手との戦いなんていつもの事だ。


  それに―――窮地、逆境、絶体絶命、これを覆せたのなら俺はまた少しは強くなれる。
  少なくとも、そう思えるから戦うし諦めない。


  第一・・・負けるっていう事はやっぱり悔しい。
  やるからには勝つ。騎士の本懐であって俺の意地。


  だから―――



 「さあこっからが意地の見せ所だ。気張るぞ」
 『ですね。いきましょう』



  さて、この状況から出来る事なんて限られている。
  やるとすれば―――



 (俺が突っ込んで掻き乱すからクロノは後方支援を頼む)
 (まったく・・・相変わらず君は無茶をする。様々な面で不利だぞ?)
 (だったら俺を後ろに回すのか? それこそ馬鹿な話だろ)
 (―――ま、そうだけどね)



  確かに不利だが役立たずになるよりかは万倍マシだ。
  そうと決まれば先手必勝!!



 「アストラルアロー!!」
 『Arrow set』
 「っ!」



  俺の周囲に無数の矢が現れる。
  なのはやフェイトのように誘導性はないが、数と威力ならこっちが上!!



 「シュート!!」



  矢が散弾銃の様に放たれる。
  だがそのどれもが回避され、あるいは迎撃されて防がれる。


  が、弾幕で視界は塞いだ!



 「まだまだ―――!!」



  爆煙が晴れない内に斬り込む。
  狙いは、リインフォース!!



 「はあああ!!」
 「ふっ!」



  光と共に振り抜いた剣が硬いナニカに当たる感触。
  シールドで防がれたか。だったら―――!


  体を反転させる。
  あの剣閃をイメージして―――模倣しろ!



 「せいっ!!」



  今までの斬撃とは違い鋭く水を斬るように振り抜く。
  強く叩き斬る俺の剣とは真逆の、鋭く鋭利に切り裂く剣―――それは、リインのシールドを一文字に斬り伏せた。



 「なっ―――!」
 「そこ!!」



  間髪入れずにもう一度振り抜く。
  だがそれはもう一つの剣によって阻まれた。



 「っ、シグナムか!」
 「少々遅れを取ったが―――先程の様にはいかん!!」



  ち、マジで本気モードか!!
  繰り出される剣戟に容赦など欠片も無く、瞬く間に俺は押し返される。


  マズイ、押し切られる―――!!



 「はあ!!」
 「があっ!!」



  一撃、良いのを横腹にもらう。
  痛みに一瞬体が硬直して隙が生じる。
  そして左腕にまた一撃。



 「ぐ、のっ―――!!」
 「はあああ!!」



  調子に、乗るなよ―――!!



 「吹き荒れろ!!」
 『Storm Bind』



  途端、激しい風が逆巻き嵐が生まれる。
  それは物理的な衝撃を伴い奴らの動きを封じる。



 「ぐ、またか―――!!」
 「力で劣ってる以上小手先で対抗するしか無いんでね―――!!」



  けどこれはあまり持たない。
  今の内に手を―――っ、こっちに飛んでくるアレは、フォトンランサー!?



 「今度は何だよ!!」
 『Quick move』



  即座に射線上から退避して攻撃をやり過ごす。
  くそ、バインドの継続時間も今ので切れたか・・・


  やってくれるな―――はやて。


  広域攻撃はあいつとリインの得意分野だ。
  はやてを叩けなければ、いわば俺たち全員があいつの的―――
  思考がそこまで回らなかったな。くそ、圧倒的に不利だ。
  まだあいつらと合流できればなんとかなるんだが・・・



 「流石に、これ以上はキツイか・・・」
 『どうしますか? このまま温存する方を選ぶか・・・』
 「冗談、ここまでやって負けてられっか。フルドライブいくぞ」
 『分かりました』



  もー後の先なぞ知ったことか。
  とりあえず今は目の前の戦いに勝つ。
  そう、全力を以って―――



 「さあいくぜ! クラウソラス・エクセリオンフォーム、ドライブ!!」
 『Exelion form, drive ignition』



  刀身が伸びて長剣となり、鍔の部分が形成される。
  己の限界を超えた自己ブースト機能を持ったエクセリオンフォーム。
  クラウソラスのフルドライブにして俺の切り札。


  こいつを使うからには、いよいよ決戦覚悟だ。



 「おいおい、これ以上の大出力で暴れたら訓練室が―――」
 「面白い。やっとその気になったか皇」
 「ここまでボコボコにされて黙ってられないんでね。もう後の特訓とか考えない事にした」



  正直、舐めた真似でもあっただろう。
  真剣にやっている相手に対して、それはあまりにも失礼だったしな―――こっからは、加減なしの全力でいく!!



 「斬り裂け極光!!」
 『Divine saber』



  速攻で攻撃を仕掛ける。
  それを紙一重で回避して、シグナムはこちらに突っ込んできた。



 「さっきの様にいくと思うなよ!!」
 「当然だ。そうでなくては困るからな!!」



  シグナムの剣と俺の剣がぶつかり合う。
  やっぱり重い―――けど、これなら戦える!!



 「おおおおおお!!」



  シグナムの剣を弾き返す。
  よし、これなら―――!!



 「い、くぜえ!!」
 「こい!!」



  剣戟の応酬。振り抜き、弾き、躱し、斬る。
  俺とシグナム、互いの力は今拮抗している。けど―――



 「せい!!」
 「ぐっ!」



  くそ、やっぱパワーだけが互角でも無理があるか―――!!
  今のままじゃいずれやられる・・・ならとる手段は、一つだけ!!


  シグナムの剣を大きく弾き、距離を取る。



 「さて、未だ練習中のこの技・・・果たして上手くいくかね?」
 『難しいですね・・・ですが、やらないよりはマシでしょう』



  ああ、その通りだ。


  剣を逆手に持ち、腰に構える―――



 「―――なるほど、一撃勝負か?」
 「ああ。このまま負けるより一発博打に出た方がまだ分があるからな」



  ま、勝つ気でいるけどな。


  カートリッジを数発ロードして剣に魔力を籠める。
  同時に刀身が白銀に輝きだし、その輝きは衰えることはなく強まっていく―――



 「輝け―――もっとだ! もっと、もっと!!」



  俺の叫びに呼応して輝きが増してゆく。
  それはより強く、より苛烈に、目を焼くほどに輝いていく。


 「もっと輝けえええええええええ!!」



  輝きが極大に達する。
  その輝きのあまりに訓練室一帯は光で満たされる。



 「―――レヴァンティン」
 『Explosion』



  レヴァンティンからカートリッジが吐き出され、刀身に炎が燈った。
  くるか―――



 「紫電―――」
 「ディバインセイバー―――」



  体に力を籠め、いつでも飛びだせる姿勢を取る。
  この一振りで―――決めてやる!!



 「一閃!!」
 「フルスラスト!!」



  互いの技がぶつかり合い、俺の膨れ上がり無理やり押し止められていた魔力が一気に解き放たれる。
  それは凄まじい衝撃を以って相手を斬り裂かんと―――って、なんか様子がおかしい。


  魔力が安定しないっていうか・・・この感じは、マズイ。



 「マジかよちきしょう!?」
 『おや、またですか』



  解き放たれた魔力が俺の制御を離れて方向性を失ったエネルギーに。
  それが一気に連鎖反応を起こして―――大爆発を引き起こした。



 「げほっ!! えほ、えほ、ぶはっ・・・・・」
 『残念、失敗しましたね』



  ぐ、結局紫電一閃を止めるので終ってしまった・・・
  ええい! しかし見れば向こうは突然の爆発が予想外で上手く対処できなかった様子!!
  多少なりとダメージを喰っているみたいだから結果オーライで。



 「なるわけないだろう」
 「ぐふ、鋭いツッコミをどうも」



  くそ、まだ完全には使えないか・・・
  仕方ない。これでどこまでやれるか分からないがやれる所まで・・・



 『Charge set. Standby ready』
 「・・・ぬ?」



  何か不吉な魔力が・・・全員そろってそちらの方に顔を向ける。
  魔力の発生源は―――



 「フィールド形成! 発動準備完了ッ! お待たせしました、おっきいのいきますっ!!」



  ・・・妙に迫力満点な三人組だった。
  ていうか、流石にあの魔力量はちょっと・・・



 「N&F中距離殲滅コンビネーション!!」
 「空間攻撃ブラストカラミティ!!」
 「なんの! どっこいこっちも詠唱完了や!! 広域攻撃Sランクの意地があるっ!!」



  みなさーん? 俺やシグナムみたいに直接系ならともかく・・・
  そんなバカ魔力をここで純放出しちゃえば訓練室ふっ飛びますよー?
  ていうかはやて、いつの間にユニゾン・・・



 「はあ、ユーノ」
 「耐衝撃結界展開完了。大丈夫、訓練室は壊れない」
 「・・・・・・ホントか?」



  いや、だってあの三人だぞ? 俺も一緒になってたがあのデカブツを粉砕したあの三人だぞ?
  大丈夫なのだろうか・・・ああ、魔力がどんどん高まって・・・



 「全力全開!!」
 「疾風迅雷!!」
 『ブレイクシューートッ!!』



















  結論、訓練に夢中になるのもほどほどに。周りが見えなくなります。


  勝敗及び訓練室がどうなったかについては―――聞かないでください・・・・・・









  Next「高町なのは」









  後書き

  今回はかの有名な施設破壊話。みんなノリノリで大暴れですw

  新技とか出してみたけど失敗するとかデフォですよね?

  そして出番が無かった方々・・・ごめんよーw

  さて、次回はどんなお話にしようかな・・・

  あと投稿頻度がちょっと遅れそうっす。いろいろ行事が差し迫っていて・・・








作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板

に下さると嬉しいです。