未来の破片 エピソード2 兄と妹、男と女 第4話







『お前らの次の休みっていつ?』

『最近ちょっと忙しいから、なかなか休みが……でも、急に何でそんな事聞くん?』

『野暮な奴だな。男が女の休日の予定を聞くんだぞ?』

『それって――そ、そうか! ちょっと待ってな! グリフィス君と相談して、何とか都合をつけてみるから!
良介と二人っきりで会うのも久しぶりやし――』

『俺が何でお前とデートせねばならんのだ』

『うわっ、唾を吐きかけるような残酷な言い方!
う〜、じゃあ誰の予定が聞きたいん……?』

『ティアナ』

『ティアナ!』

『いちいち聞き返すな!』

『小娘はあかんと言うておいて、わたしより年下の娘を誘うってどういう事なんや!』

『俺は精神年齢を重視する』

『……わたしってそんなに頼りないんかな……』

『早くしろ』

『乙女の気持ちとか、少しも察してくれへん……分かってたけど、グス。え〜と、何時やったかな――』

『隊長なのに、知らねえのかよ!』

『事件もまだ解決してへんし、最近は出動も多いから、休暇の予定がなかなか立てられへんねん』

『オッケー、分かった。新人に特別休暇を与えてやれ』

『突然過ぎて、訳が分からんわ!』

『お前ん所の日頃の勤怠を知らないとでも思ったか。
部隊設立後から休暇を与えないとはどういう了見だ』

『うっ……だから、色々忙しかったから――』

『だからといって、何ヶ月も連続出勤させたら士気が低下するだけだ。即刻休暇を与えろ、この野郎』

『きゅ、急に労働組合みたいな事言い出して……』

『俺は新人達の為に言っているのだ』

『ティアナとのデートしか頭にないやろ』

『あ、休暇は俺が指定する日でやれよ』

『人の話を全然聞いてへんし! あかん、個人の都合で部隊は動かされへんよ。当たり前やんか』

『この電話を最後にしてもいいぞ、俺は』

『すぐに話し合うからやめて!』

 
 俺の涙ぐましい努力のお陰で、デートは成立。

はやてに個人的に頼んだ事情を説明すると、真面目なティアナは当然怒ったが承諾は得られた。

六課に迎えに行くと申し出たのに、ティアナは拒否。

最寄のターミナル前で待ち合わせ、堅苦しい服装を想像していたのだが、今日のティアナは黒のミニスカートの年相応な姿。褒めると、恥ずかしそうに俯いた。

会話は弾んで、道中も楽しい時間を過ごせた。



――なのに、事件は起きてしまった。















<続く>







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