未来の破片 エピソード1 部下と上司 第3話







 "Administrative bureau"――時空管理局。

  次元世界における司法機関に俺が正式に入隊して、数年が経過している。

次元世界を管理する立法組織、正義の味方に俺がむいていないのは百も承知だった。

窮屈な規則は組織を運営する上で必要不可欠なのは理解しているが、正直肩身も狭い。

たとえ気に入らない命令であれど、従わなければ上下関係は成立しない。

ある程度好き勝手やれているのも――俺の法術や、過去の実績によるものである事も分かっている。


組織の中で我を張るのも、限度はある。窓際の身分であっても、こうして組織の中に身を置いているのは、


『良介――私、自分の部隊を持ちたいんよ』


 はやてが語ってくれた、夢。

俺のように現状に甘んじているのではなく、組織全体の在り方を変える為に。

この雄大な世界に生きる人々の平穏を守る為に、彼女は夢の部隊を構想していた。

話を聞いて、驚かされた。自分の夢を語るはやては本当に、輝いていた。

遠く困難な理想である事を理解した上で、彼女は夢を叶える決意をした。


一緒に歩いて欲しい――はやての最初で、最後の我侭。


自分の夢を叶える為に、自分の想いを成就させる。

これほどの勇気を持つ女の願いを、魔法使いの俺が断れる筈は無かった。差し出された手を、俺は取った。


この世界を変える――理不尽に満ちた世界を、覆す。


剣で世界は斬れないが、手と手を取り合えば変えられる。共に手を携えて、同じ夢を描いていきたい。

俺達は、誓いの口付けを交わした。



――そして今、後悔している。















<続く>







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