To a you side 外伝5 運命の女神達と孤独の剣士 プロローグ



※この物語はTo a you side本編を先に読まれると、よりお楽しみ頂けます。




 海鳴町へ来て俺も人間らしい生活を営むようになったが、俺自身それ程変わった自覚はない。

相変わらず一人でブラブラしたくなるし、毎日俺優先で生きている。

世界平和に蚊程の興味はなく、俺の周りが平和かつ刺激的なら言う事はない。

反省や後悔はほぼ無縁で、身勝手なまま適当にやっている。



――そんな俺だが、実は今でも忘れられない後悔がある。



何であんな事言ってしまったんだろうと、俺は今でも悔やんでいる。





あれは忘れもしない、第三日曜日――





 桃子の喫茶店で日雇いバイトをしていた時だ。

接客を任されたのはいいが、客さんが午後から少なくて暇だった。

仕事をしてないと食器洗いとか押し付けてくるので、俺はその時客さんと話していた。


女子高生軍団で常連客、俺の馴染みでもある。



確かその時の話題は、俺の給料の話だった――



「もうすぐ給料なんでしょう? 奢って下さいよー」

「ざけんな、親のスネかじり共め。
大人の男には生活費ってのがあるんだ」


 テーブルを拭きながら、欠伸。

俺より金を持ってそうだから、むかつく。


「良さんっていつも金に困ってそうですけど、何に使ってるんです?
結構貰ってるんでしょう」

「まさか…彼女とか?」


 キャー、と黄色い歓声を上げる馬鹿達。

トレイで殴りたいが、店長様から華麗に説教を食らう。

舌打ちして、言ってやる。


「彼女なんていねえよ。必要もねえ」

「実は男に興味ありかー、って言いたいですけど、良さんって本当硬派ですよね。
男一匹って感じで」

「あたし達と話してても、下心とか全然感じないもんねー。
だから話し易いっていうのもあるんだけど」


 正直な話、マジで興味ねえからな。

女が強いのは認めるが、恋愛感情はこれっぽちもわかない。

俺の周りの女はどいつもこいつも一癖も二癖もありやがる。

心を奪われると、大変な目に合いそうだ。


「でも、ク−ルって感じでもないんですよね。
冷たいけど、暖かいって言うか…」

「意味が分からん」

「あはは、謎の男ですねー」


 何が面白いのか、キャアキャア笑ってる。

頼むから帰ってくれ。

給料から話は脱線して、俺の女関係へ移る女達。


「もしかして、好みにうるさいとか。
この中で良さんの好きなタイプっていますかー?」

「お帰りはあちらでーす」

「えー、ひどーい!」


 酷いのは、お前らの能天気な頭の中だ。

確かにこの女達は標準的に可愛い奴が多く、性格もさほど腐っていない。

最近思うのだが、決定的なブスって少ない気がする。


「じゃあじゃあ、良さんの女性の好みを聞かせてくださいよー」

「あたしも聞きたい!」

「わたしもー」

「…そんな事聞いてどうする気だ、お前ら」

「だってだって!
ロングヘアが好みとかなら、髪伸ばさないといけないしー」

「ずるーい、狙ってるなこいつー」


 はぐらかしたいが、彼女達は興味津々。

俺の口から聞くまでは帰らないだろう。

かといって話すと、本気で気合を入れそうで怖い。

適当な答えはまずい。

ならば――ほくそ笑む。



こいつらでは絶対に無理なハードルを作ってやろうではないか。



さてさて、どうする…?



この世で最も美しい奴と言えば、自分だと主張する図々しさだ。



胸が大きい奴――大きいのも小さいのも、いるな。

年上――音速で桃子との禁断の関係をでっちあげられそうだ。

年下――ロリコン扱いされる、絶対。



性格関連はもっと駄目。

矯正出来るし、外面を取り繕われる可能性大。

金持ち――同情されそうだな…



ぬぐわああ、難しい。

剣で追い払えればいいんだけど…





――剣? 





そうか、もっと単純な手がある。





「そうだな――俺より強い・・・・・女かな」





「強いって…やっぱり腕っ節?」

「勿論だ。俺と喧嘩して勝てる奴じゃないと駄目だ。
ひ弱な奴には興味ねえ」

「えー!? 無理ですよ、そんなのー!」

「前時代的ー!」


 不平不満を笑って受け止めてやる。

あっはっは、これなら突破出来まいて。

女子高生の押しの強さは俺もビビるものがあるが、単純に喧嘩なら容赦なく勝てる。


調子に乗った俺は――


「もう、酷いっすよ…それじゃあ――





良さんに勝てた人・・・・・・・・が彼女って事になるんっすか」





「当然だろ。
その時は、俺から土下座してでも恋人になって下さい・・・・・・・・・って言うね」


 ――そう、宣言してしまう。


翠屋・・で、噂大好き・・・・の女性高校生達全員に。





この言葉が――



――後に、二つの世界を根幹から揺るがす騒ぎに発展するとは、浮かれた俺は気付かなかった。















美しき乙女達の、戦闘戯曲バトルロイヤル





心を賭して戦う、鮮烈なる愛の物語。





俺にとっての最大の敵。





――運命の女神達との戦いが始まる。








































































<To a you side 外伝5 運命の女神達と孤独の剣士 開幕>







小説を読んでいただいてありがとうございました。
感想やご意見などを頂けるととても嬉しいです。
メールアドレスをお書き下されば、必ずお返事したいと思います。

お名前をお願いします  

e-mail

HomePage






読んだ作品の総合評価
A(とてもよかった)
B(よかった)
C(ふつう)
D(あまりよくなかった)
E(よくなかった)
F(わからない)


よろしければ感想をお願いします



その他、メッセージがあればぜひ!


     












戻る