ここ数年でオレの交友関係は劇的に広がった
こんなオレでも心配してくれるやつ、慕ってくれるやつ、励ましてくれるやつ
そして「敵視してくれるやつも…」

外伝:裏側の裏側の裏側

「いきなり何をするんだーーー!!」
時空管理局、ここ数年の中でも一番オレに良くも悪くも
影響を与えてくれた異世界を管理する巨大組織
今オレは、そこの管理する「牢屋」にいた

「てめえら!いきなり呼び出したと思ったらこれか!?」
オレは孤独を愛する自由人!このようなところに繋がれる謂れは
……ないよな?(ちょっと過去を振り返り中)

「静かにしてください。これも一応あなたのためなのですから」
そういって俺の前に現れたのは蒼い髪をしたすらっとした感じの美人
もっとも新しい俺の天敵姉妹、その姉ギンガ・ナカジマだった。
なるほどと自分でもちょっと納得

あの、まるでオレの行動パターンを読みきったような見事な作戦
付き合いは長いが何だかんだと甘さが残るなのは達には不可能な完全予測
さすがは「部長」だぜw

「じゃなくて!何でオレがいきなり逮捕されなくちゃいけないんだよ!」
「…本気で言っていますか?」
かなり呆れた顔でそう返されてしまった…
オレもいい加減色々とやってきたからな
管理局を騒がせたり騒がせたり騒がせたり……

いい機会だ、ここは観念してきれいな身に、なんて考えるかボケ!!
見てろ、お前がとっつあんならここでオレに逃げられるのが
日本の誇る伝統の一つお約束だぜ!!
オレの姿が見えなくなれば機動六課やらオレのメイドやらが大騒ぎだ
その騒ぎの隙を突けば脱走くらい
「先日…」
うわ、いきなり喋りかけられてビックリしてしまった
やばい、それもお見通しってか?

「ミッドチルダ郊外でとある集会がありました」
「は?」
いきなりかなり予想外の言葉が出てきた
おそらく今のオレはかなり間抜けな顔をしていることだろう
遺憾なことだが。
「いや、それとオレに何の関係が」
ふー焦ったぜ、あれやらこれやらがばれたのかと心配してしまった
「非常に何か言っておきたい気がしますがとりあえず
その集会の内容をテープがあります。これを見てもらったほうが早いでしょう」

ギンガは周りの局員を引き下がらせてテレビらしきものを持ち出してきた
おいちょっとまて、魔法使い!
なんでテープなんだよ
ついでに局員の何人かがかなりオレを睨んでいたのは何故だろう?

「一応ここの監視は解いてあります、あまり口外されたい内容ではありませんので」
かなり念を入れて盗聴の確認までするギンガ
なんだよ、そんなのをオレに見せていいのか?
まさか、"また"六課で大惨事がおきてるとか?
うわー、などと考えている間にテープの内容が始まった
それは ある意味オレの予想を斜め上に裏切ってくれた… 

暗い講堂のような場所、あえて外部からの光を遮っているように見える
カメラは入り口から段々と明るいほうに向かっていく
映っているのは……K●K団のような三角頭巾の集団だった
おいこら待て!いまどき日曜日の番組にも出てこないようなやつらが映っているのを見て
つい突っ込んでしまった。ぶっちゃけ怪しいなんてレベルじゃねえ、なんだこいつら!!

壇上にカメラが向く
そこには
やはり白い三角頭巾をかぶった、胸元の開いたドレスを着た、いかにもな悪い魔法使いが
ってオイ!?ありゃ明らかに誰かさんのお母さん!!
「諸君!!ここに集まってもらった理由は言うまでも無い!!」
テープだから当たり前だがオレの見事な突っ込みに反応も無く演説が始まっていた
……帰っていい?
「われ等の共通の怨敵!!宮本良介についての件である!!」
ちょおおお何ですかそれは?何?オレってそんなに怨み買ってたの?
壇上のスクリーンにオレのデカデカとした顔が映り、ついで赤いバッテンが刻まれた
「あの男は!!全次元に混乱をもたらす諸悪の根源です!!鬼です、悪魔です!!」
えらい言われようである、初めて会ったときのほうがまだ好意的でしたよ?

「あまつさえ、この私の可愛い娘をたぶらかす、鬼畜ロリ●ンです、地獄に落としても
その罪科はあまりあります!!!」
明らかに最後が本題だろお前!!
しかしテレビにはそうだそうだと賛同する声しか聞こえない…
正直目をつぶりたい…

「会長!!あの男の罪はそれだけではありませぬ!!見てください」
突然壇上に上がってきたのは、犬だった。青い犬が頭巾をかぶっている
おいいいいいいいいいいいいいいいい!!
ぜんぜん隠せてねえよ!!狙ってるのか?そうなのか?

犬は(もう犬でいいや)壇上に上がるとオレの映像を消して新しい映像を
「リョウスケー(とてとて、ぴと)」
「良介ごはんどうするん?食べてってーな」
「リョウスケ!!ゲームだゲーム負けねえぞ」
「リョウスケさんご飯ですか?それともお風呂から?それとも…」
「宮元、明日の訓練の件なのだが」
「リョウスケ!!あなた、また私以外の〜〜」
映ったのはどう見ても普段の八神一家の映像、久遠もいるが…
いやこれが何?

「あの男は!!この様に普段から数人の女性をはべらしている!!
許しがたい!!実に許しがたい!!……久遠殿、何故あのような男と(涙)」
お前、主とか、仲間とかについてもコメントしろよ、すげえ私怨じゃねえか!!

「うおおおお」「ちくしょおおおおおおお」「光源氏か?光源氏なのか」「ミヤちゃああああん」
スピーカーからは会場の嗚咽が激しく聞こえてくる。
はっきり言おう!!お前らみんな死ね!!

「あいつは、あいつは、僕のことなんてふくろの底にしまって使われない
薬草ぐらいにしか認識してないんです!!そんなやつにそんなやつにーーー」
何故か地面にぴったりついた頭巾に画面が行った、しかし一瞬でフェードアウト
あの小動物、誰だっけ?

「ふっふっふ、宮元、お前と友誼を結んだのは間違いだったよ
ああそうだ、そうだとも、そんなお前になのはは渡せん」
腰に二本の刀を腰に差した黒ずくめ…お前だけは、お前だけは染まらないでほしかった…
その後ろに同じく二本の刀を腰に差した
足が無くって、頭に天使の輪がある像が見えたが…いやあなたはホントに誰?

「そーです!あいつは私の憧れの人や友人を誑かし、あまつさえ最近は姉…」
ブツンと映像が途切れた、ギンガがテープの取り出しボタンを押したのだ
「オイ、最後の」
「聞かないでください!!」
「あの、回転する篭手は」
「いいですか?最後には何も映っていません映っていないんです!!」
無かったことにしたいんだろう珍しく顔を真っ赤にして必死だ
オレも無かったことにしたいぞ具体的に縁とか友情とか

「つまりはこういうわけです」
はい、よくわかりました。記憶自体を抹消したい気分だが
その状態で外を出歩いたら確実に死ぬことがわかりました
「あなたに責があることは明白ですが、犯罪の発生を知りながら何もしないわけにはいきません
よって、この件が沈静化するまでここにいてもらいます」

「ギンガ………」
自由を愛する剣士がこんなところに逃げ込むわけには行かない
たとえ死ぬとわかっていても、もう逃げるのは止めたんだ
そう思ってそれを伝えようとすると
「よろしくおねがいします」
えーー、口はオレを裏切ってまったく別の言葉を口にしていた
さすがオレの口、生存本能に従ったか。
仕方が無い、オレも命が惜しい、ここは従っておくか
こうして、オレは珍しく平穏な数日間を過ごしたのだった

時々聞こえた爆音とか悲鳴とかは聞こえない、聞こえない、聞こえない


「ちなみに何をして解決したんだ?」
「六課にこのテープを持ち込みました」
…南無阿弥陀仏







作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板

に下さると嬉しいです。