「すずかさあ、雪児さんと何があったのよ」

学校の屋上、お昼ご飯のお弁当を食べて少しの食休み。

クラスの男の子達は外に飛び出すみたいだけど、私達はここでおしゃべりすることが多い。

お弁当の中身をトレード、何でもないことを話題にして語り合うだけでお昼休みは直ぐに終ってしまう。

すずかと雪児の関係。それが今日アリサが話題にしたのがこのことだった。









「……えっと」

少し困った表情を浮べるすずか、だけどこれはちょっと私も気になっていたんだ。

すずかは雪児と会うと何時も期待しているようで落胆しているような複雑な表情を浮べている。

それがなんなのか、雪児は全然分かんないって言ってた。

でもすずかにはきっと大事なことなんだろうって思う。

それを抱えて、私達には話さないすずかがもどかしかった。

でも私よりもすずかと付き合いの長いアリサとなのはが何も言わないから。

「その、あの……」

「ねえすずか、何かあるんでしょ? 最近のすずか、いっつも難しそうよ」

「そうだよ、わたしもすずかちゃんの力になりたいよ」

うん、勿論私も。

「雪児が悪いなら言って、こうバリバリーってやっちゃうから!!」

「みんな……でもフェイトちゃんは少し自重しようよ」

あれ?

「でも、それを話すのは……いいかな、なのはちゃんやフェイトちゃんもいるんだし」

真剣な、すごく真剣な瞳で私達を見る

すずかは、そうしっかりと話し出した。






          HOME_REHOME 17話











「ということでどーしたらいいと思う?」

「知らんがな」

昼の弁当タイム、限りなく短い数少ない学校の楽しみ。

竹下と杉並が食堂戦線に突入したので珍しく一人だったフェイフェイを捕まえての発言である。

「つか自分ホンマに何もしとらん?」

「だからそもそも覚えてねーって」

「それはそもそも相談する段階や無いやろ……」

まあそうなんだけどなー、恭也さんも忍さんも教えてくれねーし。

正直訳わからんのが現状なんだよ。

「んーユッキー、一つ一つ思い出してみ、それでウチがジャッジしたるから」

「おお、ってジャッジってなんだ?」

「ユッキーの常識は当てにならん」

「それは流石に酷くないかフェイフェイ」

「教室で幽霊やお化けや霊能者や忍者の世間話を始めるアンタに何の説得力がある」

むう……言い返せない……

「ということでちゃきちゃき話し、昼休みは有限やで」

そうあれは……






△△△






最初に雪児さんと会った時はさくらさん、私の叔母にあたる人とその友達の集まりだった。

今とは考えられないくらい内向的だった忍お姉ちゃんを心配したさくらさんが定期的に遊びに来る事があったんだけど、その友達の一人が連れて来たのが雪児さんだった。

私達と一番年が近いのが雪児さんだったから段々遊ぶようになったんだ。

お姉ちゃんもそうだけど、私もあの時は今よりずっと大人しかった、ううん暗かったって言っていいかもしれない。

そんな私達と雪児さんはよく遊んでくれたと思う。





△△△






えっと、確か知佳ねーちゃんとみなみねーちゃんに引っ付いていった先が月村先輩の家だったはず。

最初は知佳ねーちゃんと一緒にいたんだが、やっぱ真一郎さんとか唯子ちゃんとかに混じってるのはきっついから忍先輩とかと遊んだんだわ。

先輩は昔は随分大人しかったと思うが、メカのことになるとやっぱり饒舌になって。

ロケットパンチとビームライフルで随分語り合ったと思う。

しかしすずかちゃんとはイマイチ何にも話はしなかった筈なんだ。

オレが



「ロケットパンチは戻ってこないじゃん!!」





忍さんが




「ビームなんて地上じゃ使えないよ!!」





なんてくだらないにも程がある激論を交わすのを一歩引いて見てたはずなんだよ。

「なんや、三人だったん? 二人だったところは無いん?」

「……無いな、って言っても自信無いけど」

随分前だからなぁ、真一郎さんが卒業したらピタリと寄り付かなくなったし。

「実は結婚の約束してたとか」

「まっさかあー」

それなんてギャルゲ? 流石にねーって。






△△△







「わたしの家にはある秘密があるの」

それは、夜の一族というずっと昔、今の雪児さん達のように遺伝子異常によって特別な力を手に入れた一族。

それは定着し、血縁は同じ力を保持し続けた。

今みたいに原因が想定されなかったから、当時の一族は酷い迫害を受けたらしい。

だから一つのルールを作った、自分たちに関することを人に教えるにはある約束をしてもらうということ。

生涯の友となるか、あるいは……

それを伝えたなのはちゃんたちは







「ふーん」

「へー」

「そうなんだ」

「軽く無い!? 三人とも!!」

あっさり過ぎてキャラが違うツッコミを入れてしまった……








「いや、ここにリアル魔法少女がいるし」

「だってうちはあの寮だし」

「もうね、すずかちゃんが宇宙人でも驚かないよわたし……」

な、なのはちゃんだけ何処か遠くを見ているのが気になる……

か、帰ってきてなのはちゃん!!

ま、まあとにかくもう一つの条件っていうのが、その……

よ、ようするに結婚するということで……

その、会ったときに雪児さんの秘密を教えてもらえて、だから私も……









「でも、すっかり忘れてしまってるみたいで」

「それは雪児さんが悪い!!」

「雪児が悪い」

「無いわそれ」






だ、だよね、でもどうしようか、もう待っててもずっと思い出さないような気がするんだけど。

「じゃあ、もういっそ話すしかないんじゃないかな?」

フェイトちゃんはさらりとそんなことを言うけど、やっぱり怖いよ、なんで昔の私はあんなにあっさり教えられたんだろう。

……何故だろう、本当に……












「誰!?」

コンコンコン、そんな背後から響いたわずかな音に反応したのはフェイトちゃんだった。

次いでなのはちゃん、アリサちゃんの視線も音の先に集まる。

聞かれた!? もしも聞かれたのなら記憶を奪わなくてはいけない。

私達の一族の目にはそういった力がある。

だけど……当然だけど使ったことは無い。

さくらさんは何度か使用した経験があるらしいけど、早々になのはちゃん達と知り合った私は使おうと思ったことすら無かった。

でも、ここでこの秘密が流出するってことは私だけの問題じゃない。

「ああ、待って、その目はやめて」

え?

「夜の一族の目でしょ、ちょっと待ってよ」

な、何で知ってるの!?

ここは屋上、出入り口は一つしかない。

昇降口から出てきたのは、確かクラスメイトの。

「春原さん?」

私みたいに黒い髪をなのはちゃんみたいにツインにした子、確か一年から一緒のクラスだったけど、あんまり話したことは無い。

彼女は彼女で別のグループを組んでいたし、特に話題があうような事もなかった。

何時も視界の何処かにいる、そんな女の子っていうのが私の印象。

その彼女が何で。

「えーっとちょっと待ってね、思い出したばっかりなんだから」

「春原さん? どうして」

なのはちゃんの声を無視して春原さんは額に手を当てて悩んでいる。

でも、彼女、何か何時もと雰囲気が違うような……

「ちょっと、こっちの質問に答えなさいよ」

「ああ、待って、うんそうね、テスタロッサちゃん」

「は、はい」

「槇原雪児君って知ってる?」




△△△






「ほい」

「あい、ゴチ」

放課後、相談の対価としてフェイフェイに海浜公園にて大判焼きを奢ることに。

なんの問題も解決していないような気もするけど話をして少し楽になったからそれでいいや。

すずかちゃんはオレ自身との接点少ないし、でもなあ、気になるんだよなあ。

何でみんな教えてくれないのだろう、忘れてるって言ってるのに……

「あ、雪児見つけた!!」

ん? あれフェイトちゃんじゃん、何してんだこんなとこで。

「んー、ああ寮の新入りの子かいな」

うん、でも何故かオレのヒエラルキーに影響が無い気がするんだ。

何故かまだ底辺にいるような気がしてるんだ。

っていうかフェイトちゃん怒ってないか?

こうここに近づいてくる足音がドスンドスンって巨大ロボが地響き立てるような。

むしろGの怪獣王っていうか。









……あれー?

「むー」

オレの足元から見上げるようににらんでくるフェイトちゃんだけど、何そんな怒ってる訳?

会うなりそんな風にされても何なのか理解できないのだが。

「あーウチお邪魔?」

「いや、何でだよ」

何がどうしてお邪魔とか何とかになるのだ、意味が分からん。

「ゆっきーロリコンやん」

「何がどうしてそういう話になるのだお前は」

大体オレの好みはもっとこー。

「すみません、雪児借りていきます、えっと」

「ああ、うちは鳳蓮飛ってゆっきーのクラスメイトや」

「ふぉ、ふぉー」

「レンでええよ、そこの馬鹿以外はみんなそう呼ぶからな」

「馬鹿とは失礼な、みんながみんなレン、レンちゃんだからちょっとバリエーションをだな」

って聞けよ人の話!!

二人で世間話してオレに一瞬も視線を回してくれない。

なんでかオレに関わってどれだけ苦労するかの話題で盛り上がってやがる。

何かはよく分からんが、どうもフェイフェイ的にフェイトちゃんの印象は良好のようだ。

晶先輩とは別の意味で。







「じゃ、じゃあレンさん失礼します」

「ちょ、落ち着けフェイトちゃんは」

手を引っ張り何処かにオレを連れてこうとするフェイトちゃん。

「また明日なー」

のん気に手を振るフェイフェイを尻目に、フェイトちゃん案内に従い海鳴を移動。

行き先は。





「翠屋じゃん」

そう、なのはちゃんの実家の喫茶店である翠屋。

そこに真っ直ぐとやってきたのだ。

その間ずっとフェイトちゃんは妙に不機嫌である。

寮の女性陣に鍛えられたとあっても流石に不可解。

何か怒らせるようなことは 今日は してないはずなんだけど。

「ねえ、雪児」

む、な、何故か知らないけどフェイトちゃんの声からは妙な迫力を感じるぞ。

いかん、ここはそう、寮の先輩である威厳をだな。

「な、なにかな?」



駄目じゃん!!






「レンさんって、本当にただの友達?」

「い、いや、他にどう説明しろと」

いかん、なんか知らないけどフェイトちゃんに頭が上がらない気がする。

フェイフェイのやつとは中学上がってからの付き合いで、その時から妙な格闘技で一年上の晶先輩と大バトルすることで有名だった。

とはいえ、別に大バトルには悲しいかな慣れてしまっていたオレは別に気にしなかったし。

他の女子グループにも普通に入っている、極めてふつーなタイプの子だと思うが。

別にそこに特別なきゃっきゃうふふな感情は無い。

「……雪児、絶対私に隠し事してる」

何の根拠があってそういう結論にいたるんだよと激しく詰め寄りたいぞフェイトちゃん。

「いいよ、しっかりすずかの前できっちり説明してあげて」

いや何を? というかすずかちゃんいるの?

何かは分からんがどうもすずかちゃん関連の話でフェイトちゃんを大分怒らせたのは理解した。

こうなったら恭也さんや忍さんにしっかりきっちりオレにも分かるように説明してもらうしかない。

くっくっく覚悟しろよ二人とも、オレに理解させるなんて高難易度イベントを喰らわせてやるわ。

……自分で悲しくなってきた。







喫茶店のカウベルがカランカランとなり響く。

何時も通りのコーヒーと砂糖の香りが迎えてくれて、海中や風ヶ丘、聖祥の生徒が放課後のおしゃべりを楽しむ店内。

店内で忙しそうに歩き回る美由希先輩やシャマルさんに会釈して、なのはちゃん達の座る奥の席にフェイトちゃんに誘導される。

なのはちゃん、すずかちゃん、アリサちゃんと、誰?

はやてちゃんではない、別の子が一人メンバーに加わっている。




……誰だこの子、見たこと無い子だ。

そう、見たことのない、それだけは自信を持って言える。

でも、何故か懐かしい気がする、何だ?

「春原さん、雪児連れてきたけど」

「ん、ありがと、久しぶりね、雪児くん」

だ、誰だろ、本当に誰だ?

でも、すずかちゃんや忍さんみたいに忘れているのとは違う、絶対に知っているはずだ、オレの中の何かがそう言っている。

「いや、私も思い出したのは最近でね、どうやって連絡取ろうかなあって思ってたの」

思い出す? 連絡?

「雪児?」

足元でフェイトちゃんが何やらオレの様子がおかしいことに気が付いたのか、一転して心配そうな顔を向けているが。

違うんだ、なんだ、思いだすのが辛いとかそういうのじゃなくて。

「あはは、やっぱり分からないよね、それとも……本当に忘れちゃった?」

あれ? そのちょっとだけさみしそうな顔が、何処かで、何処かで。








もっと年上な、でも消えちゃった人のイメージが重なって。

誰だ、喉の奥につっかえてるような、出そうなのに出ないわずらわしい感じ。

海中に入る前、小学校のころに会った事があるはずだ。

本当に古い、今どき見ることさえない藍のセーラー服がやっと浮かんで。

「え? あれ? 七瀬さん?」

「お、覚えてたんだ、関心関心」

寂しそうな顔がぱっと、ヒョウキンな表情と安心が混じったような記憶の底に落ち込んだものに近いものに変わる。

「雪児? 雪児どうしたの!?」

え?あれ? 頬が湿ってる、涙が流れている、拭っても拭っても次から次へと伝う涙が止まらない。

「アレ?アレ?」

拭う袖はあっという間にびしょびしょに変わってしまう。

覚えてる、覚えてるんだ、だけど涙が出て考えられないんだ。

「ふう、まだ泣き虫なんだ雪児くんは」

「あ、ぐ、あ、う」









それに、本当に耐えられなくなってしまう。

腰に手を当てて困ったものだという表情を浮かべる姿が、すっかり擦り切れた記憶と結びついて。

本当に、この人は。

春原七瀬なんだと確信して。




△△△



「七瀬ちゃん!?」

また一人、寮の玄関に客人が飛び込んできた。

翠屋で突然泣き出した雪児が崩れ落ち、それを慰める春原さんは、どう見ても知り合いって言葉だけじゃ物足りないように見えた。

唐突に泣き始めた雪児の様子を見かねたなのはのお父さんが休憩室を解放してくれて、そこから雪児が色んなところに連絡を入れた後。

すずかの叔母のさくらって人に連絡して、車で寮に移動。

雪児は今も正直鼻声で、私達への説明は後回しにされた。

それから、寮には次から次へとお客さんがやってくる。

背の高い雪児の先生、小柄でかわいらしい感じの女の人、一見女の子のような男の人。

全員が春原さんを七瀬と呼び、そして頬を涙で濡らしていた。

正直私達は蚊帳の外に置かれてしまったような格好になっている。

雪児の様子を見て、流石に離れるのに抵抗のあった私達は、雪児の部屋に集合していた。

「だ、大丈夫なのかな?」

なのはが雪児に聞こえないように聞いて来たけど、私だって分からない。

普段だったらこういう時に行動を開始するのはアリサの役目だけど、いくらアリサでも何も言えなかった。

正直なところ、私達は蚊帳の外に置かれてしまっている。

私達より年上な人たちが共有する時間、それに私達はそれに混じることができないんだ。

そんな空気を壊したのも、やっぱり春原さんの存在だった。






「いやーまいっちゃったなあ、みんな大げさなんだから」

「春原さん、アナタなんなの?」

素直にその気持ちを伝えたのはアリサ、私達から始まったはずなのに、気が付いた時には事態は私達を無視して飛び出してしまっている。

それが愉快な気持ちがするわけがない。

「あー、うん、そうだねえ、私の話は長くなるよ? それでもいい?」

それでも、私達にとっては聞きたい話だ。

すずかにとっては大切な約束の人、すずかの友達であるアリサ。

私の事件の仲間であるなのは。

そして、私、フェイト・テスタロッサにとっては、なんだろ。

世話が焼ける? どうにも年上なのにほっとけない人?

とにかく、このままでいるっていう選択肢は私達にはとっくにないのだから。



春原七瀬、それが彼女の意識が認識した名前なのだそうだ。

風ヶ丘学園の、今はもうない木造の旧校舎。

そこに通っていたのが彼女が、まだ生きていた時の名前。

そう、彼女は自称幽霊だったんだそうだ。

木造の学校に、今だに急に終わってしまったことに納得できないまま、何年もその場にとどまり続けて。

そんな春原さんに起きた奇跡。

何の変哲もない、一人の少年が自分という、幽霊・春原七瀬という少女を受け入れてくれたこと。

彼から再び彼女の世界は広がった、学校だけに閉じた世界は彼を通じて急速に広がったのだ。

彼女にとっては信じられないことに、彼の知り合いは残らず自分を幽霊のまま受け入れてくれた。

勿論怖がられなかったわけじゃない、でも、その震えながら、そんな怖がる自分自身を乗り越えて仲良くなろうって。

そんな彼の友人達が心地よくって。







だけど、学校っていう世界は何時か終わってしまう。

大好きな友達もいつかは卒業して、新しい舞台に移り住んでしまう。

だけど、幽霊である限り自分はここから出ていけない、終わることも無いけど、始まることもない。

だから、春原さんは。

「みんなが卒業するその日、私も幽霊を卒業しようってね」

まさか再会できるなんて思ってもみなかった、そういう春原さんはやり遂げたって満足に浸った笑みを浮かべていた。






「でも雪児くんには参ったなあ、当日ポロポロないてるんだもん」

「し、仕方無いでしょ、そんなの当時のオレに分かるわけないじゃないか」

「泣きながら、七瀬ねーちゃんいなくなるの? やだああ」

「うわあああああ!! ここで言うなーーー!!」

よっぽど恥ずかしいのか、ベッドに潜り込んで頭から毛布を被ってしまった。

ちょっと面白いかも……何だか可愛いし。

「ああ、雪児くん大きくなったのにそういうところは全然変わらないねえ」

口元から笑みを浮べる春原さんはとても私達と同年代には見えない、何かが圧倒的に違う印象を受ける。

でも、この人昔の雪児の知り合いでもあるんだよね……

「ああ、すずかちゃん私のこと覚えてる? 一応私も月村のお家にいったんだけど」

「え、あの……その」

「あっちゃあ、しょうがないよねまだ小さかったし」

あれ?ってことはひょっとして雪児がすずかの家にいた時に一緒だったりしたんじゃ。

ってことは雪児とすずかの話を知っているかもしれない。

なら……ひょっとして……

「そういえばさ、ずっと前だけど覚えてないかな二人とも」

「はぁ」

「はい?」

「いやほら、月村のお家の裏でさ」

こ、これは……ひょっとしたらひょっとするかも。





△△△




「うわあああああん!!」

ドアを思いっきり開けて飛び出していったのはすずかちゃん。

むしろ力いっぱいだったからちょう番の上の部分が外れた……

「ちょっと……ってこの展開は追うのがお約束だが、なんかオレが行ったら酷い事になりそうな気がするんだ」

「いや、そりゃあ、こんにゃく食ってましたってのを婚約ってのと勘違いしてたらねえ」

おかしい、今日はわりかし感動系の流れだったはずなのに……

「えっと……私行ってくる」

「わたしも」

「……その、一応、ねえ? 雪児さんは来ないでくださいよ」

フェイトちゃん、なのはちゃん、アリサちゃんが出て行くとあっという間に人口密度が低下した我が部屋。

かと言って動く気にもなれない、七瀬さんと二人だけで妙な沈黙タイムが発生してしまった。

どうもこう、沈黙タイムというものが苦手だ。普段が普段だからか、こう勢いが無くなると急激に居心地が悪くなる。

「ふう、あんまり変わらないね」

「あー真一郎さんとか背が全く伸びないの気にしてたよ」

「ああ、いやそうじゃなくって」

? なんだ?

「何だろね、雪児くん達もわたしらの時と変わらないくらい騒がしいなあって」

うーんそうなのか? オレにはよく分からんけど、七瀬ねーちゃんはそれは懐かしそうに表情を浮べている。

オレにとってはこれは日常だ、何時も大なり小なりの騒ぎが起きてそんな中で笑ってきた。

こんな毎日がずっと続けばいいと思ってるし、新しい寮生の人にもこの楽しさを共有して欲しいとも思ってる。

勿論、フェイトちゃん達にも。

「ああ、うん、帰れてよかったー、やっぱりいいね海鳴は」

「って、生まれてからずっといたんじゃないか……あれ?」

はて? 九歳? すずかちゃんとも会ってるのに九歳?

あれ?





「不思議だねー」

「ほんとに不思議だ」




△△△



あれから数日。

七瀬は昔を思い出したとしても余り行動を変えなかった。

七瀬からすれば、今までの自分も自分であって、思い出したのも自分であるってことらしい。

よく分からないけど。

七瀬は、私達と話すことは多くなったがそれまでのグループと切れたりするようなことは無く、私やなのはの生活は余り変化は無い。

いや……一点だけ……






「すーずかーいい加減に機嫌直しなさいよ」

天井の一点を、いや全体を眺めるすずか、その目は何処か遠くを眺めるようで、それでいて何処を見ているわけでもない。

あの一件以来今みたいな感じのままだ。

いつものおっとりとした雰囲気とはまるで縁遠い姿。

「ふふふ、だってアリサちゃん、こんにゃくだよ、初恋の思い出がこんにゃくだよ……私の歴史に漆黒の黒歴史だよ……」

「いや、うん、まあね」

すずか本人はショックなんだろうけど、端から聞いてるとタダの面白い話以上に決してならないところがなあ。

「フェイトちゃん、何とかなら無いのかな?」

「え、えっと……」

なのはに頼ってもらえるのは嬉しいけど、こんな時に何を言ったらいいのかなんて分からないよ。

「あちゃ、まだダメ? すずかちゃん」

あ、七瀬。

「大丈夫大丈夫、こんなのでもそのうち「ああ、こんな馬鹿なことがあったなあ」になるから、そのうち」

「そのうちって何時なんですかあ」

すずか、必死だ……

何時か、何時かかあ。

母さんの事件も何時か、こんなこともあったなあってものになるのだろうか?

そうなった時、母さんともうちょっとだけでも、仲良くなりたい、な。








「フェイトちゃん、無理やりいい話にしようとしてない?」

「他にどうしたらいいのさ……」






後書き

HOMEで一つやりたかったことがあった。

そう、いなくなったけど戻ってくるはずの人の登場です。

春原七瀬、とらハ1のヒロインでエンディングで生まれ変わる幽霊の人、没ネタではなのはは七瀬の生まれ変わりだったそーです。

ということで無茶ですがなのはの同級生にして出てもらいました。

某TRPGとかだと同世代に転生とかあるから、無茶だけど有りなはずww








拍手レス


>ケースケ なのはend3素晴らしいね!なんかもうなのは分がチャージされました。
>4話?も期待してます!

え!? 正直3話が出来てしまったのは完全な想定外だったりします。
電波や電波の神様のせいや。


>鬼丸さんへ 
>あなたの文章には成長が感じられません。最初の頃から今を軽く見ましたが、全
>く成長がない。変化もなければ感心もしなし感動もしない。心が何一つ動かされ
>ない。ただ文字がズラズラと並べてあるだけ。全く読む意味がないです。時間を
>損したと思いました。特にヒドいのがケイスケシリーズの終盤。ゆりかごに行く
>意味が分からない。あそこに行って結局迷惑かけただけのケイスケに、何を感動
>しろと? 最強物がやりたいのか、日常物をやりたいのか、全く分かりません。
>次にヒドいのがフェイトIF。酔っ払った女性相手に理性を保てずに関係を持つの
>は、立派な犯罪です(準強姦罪)。そんな事をした人間を、周りの人間が普通に
>許容する展開がそもそもおかしい。殴ったり説教だけで納得するはずがない。普
>通なら、ケイスケは犯罪者として通報されてもいいくらいです。まるでフェイト
>とくっつくのが予め決まっているような予定調和の展開。それならそれで、まだ
>納得出来るだけの描写があるならいい。でも、それすらもない。1話で詰め込も
>うとして、お寒いお話だけが残ってる。ハッキリ言って冷めます。引きました。
>それで『俺の女』? ただ身体目当てでそうなった男の戯言にしか聴こえませ
>ん。ケイスケは、ただフェイトの身体が欲しくて結婚して、子どもを産ませた最
>低男にしか見えない。同じようにIFでのフェイトの悩みに対して、親友であるな
>のはが何故深く踏み込まないのかというのも、疑問です。ハッキリ言って、全て
>の描写がおかしい。あの話に関しては、全てがフェイトと自分をレイ◯したケイ
>スケを無理矢理にくっつけようとしているあなたの妄想しか見えません。妄想で
>話を書くにしても、もうちょっと上手くやってもらえませんか? というより、
>ケイスケ自体も薄っぺらい。非常に薄っぺらい単面的なキャラで、感情移入が全
>く出来ない。あなたの文章では誰も、笑う事も出来なければ泣く事も出来ない、
>無意味な文章です。あと、他の作家さんに色々と強制的なアドバイスをしている
>と、某所で聞きました。そういう迷惑なことは是非やめてください。あなたのよ
>うな駄文しか書けないつまらない作家のために、他の作家さんの書きたい話が書
>けなくなる可能性があります。あなたはリリカルなのはの二次だから面白いと評
>価される作家なのであって、そうでなければつまらない物しか書けません。そこ
>の辺りを理解してください。

まずは何であれ読んでいただいてありがとうございます。
どこで聞いたのかは存じ上げませんが、
アドバイスに関して感想を求められない限りしていないのでそのような事実は一切ありません。



>鬼丸さんへ 
>ケイスケの機動六課の日々読ませていただきました。
>やたらフラグらしき物が立つのに何も起きないどころか逆に追い詰められていくとはw

どうもです。
何も起きない、というより何か起こす気に互いがならないと意味無いかと。


>鬼丸さんへ
>いや、ほんっとにやられたわww

どれの件!?


>鬼丸さんへ
>どんな重い話もあっさり言っちまう雪児くおりてぃに乾杯wwww

雪児はお馬鹿ですよ、というより不幸だと思っていません。
そのくらい今の雪児の生活は不満が無いのです。


>鬼丸さんへ
>海鳴最大の人外魔境さざなみ寮の本気はまだまだこれからですな。
>五人娘の中じゃ慣れるまではアリサが一番大変なんだろうねぇ…… 久遠やっぱりいあなぁ。
>名前が出るだけで和む もはや主人公がフェイトで雪児が脇役になりかけてるような……

アリサの以外な適応能力を今回出してみました。
フェイトが主役で雪児が脇役? 何を今さ(ry


>鬼丸さんへ:雪児、底辺へ逆戻り(笑)

底辺です、寮の中で最も立場が弱い人です。
フェイトからもあんまりよい扱いは受けません。






追記 拍手は出来るだけあて先を書いて送ってください。
拍手はリョウさんの手で切り分けられています。

作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。