キンコンカンコンという音と同時に力尽きた。

手から放した鉛筆がコロコロと床に落ちて行くのが見える。

が、何もする気にならない。

とにかく終わった、後ろから回って来た紙に自分のを重ねて前に回す。







「槙原〜」

「聞くな……」

情けない声を上げる杉並にそう力無く返す。

「またかい、二人して……」

白いセーラー服に緑の学年リボンをしたフェイフェイが呆れたようだ。

まあ去年に五回ほど披露した醜態なので今更だが。

一人だけ机に上がって出来を自慢する馬鹿にボールペン刺してやろうと思ってやめた。

ボールペンが可哀相だ。






「つか何してたん?昨日のテストも遅刻して……」

そう、会議が終わりさあとーちゃんのメシと思った時に鳴った電話。

唯子ちゃんからで、今日の中間どうするのという。

大慌てで寮から学校への梯子転送で何とか一時間目を遅刻で受けた。

「んー、大魔王と仲間と戦って」

「アホか?」

しつれーな、大体間違って無いぞ?

囚われのお姫様も助けたしな。

はいはいと流しているのがフェイフェイクオリティ。

そーいやフェイトちゃん大丈夫かね?












            HOME_REHOME 10話











パチッと目が覚めたら見覚えが無い部屋にいた。

周囲を素早く見回してバルディッシュを見つけ握り締めてから思い出す。

「そっか、さざなみ寮だっけ、ここ」

久遠と雪児の家、母さんの裁判が始まるまで、入院中はここにお世話になる事になった。

確認のために魔力を放出してみて……駄目だね。

いつもの三割くらいしか力が出ない、魔力リミッターだ。

私自身にも管理外世界で暮らすならとリミッターが掛けられてる。

母さんのお見舞いに行く時はリンディ提督に連絡して解除、アースラを中継してミッドに行く事になってる。

母さんがもう少し冷静になったら案内してくれるってリンディ提督との約束だ。

くーっとお腹が鳴った、誰かが見てた訳では無いけど恥ずかしい。












「おはようございます」

リビングで掃除機をかけている?

疑問系になってしまうのはその人が見た事無いほどおっきいからだ。

私が持ったら脇に抱えるような掃除機が、その人が持つと玩具みたい。

それなのに動物プリントのエプロンがやけに似合う。

「お、おはようフェイトちゃん」

「耕介、おはよう」







雪児のお父さんで、この寮の管理人である槙原耕介。

お腹空いたでしょ? と耕介は掃除を中断してキッチンに向う。

住まわせてもらうのに寝坊したのが恥ずかしい。

手伝うと言ったら顔を洗っておいでと言われてしまった。

顔を洗って戻るとパンと目玉焼き、お魚とサラダがキッチンに用意されてる。

ほんの少ししか時間が経っていないのに、予め用意していてくれたんだろう。

「その、耕介、ごめんなさい」

「ん? 何がだい? フェイトちゃん」

「そ、それは勿論ご飯に遅れて……」

そう言うと耕介が急にさめざめと袖で目を拭う、え? 私何か変な事言った!?

どうしたらいいのか分からなくなった私の後ろに誰かの気配がする。

別段悪い感じはしない、どちらかと言うと、かったるいって感じ。

「うおーう耕介ーメシー」

眼鏡を掛けたいかにも眠そうな大人の女性。

えっと、確か……

「お、フェイトはサボりか?」

え? サボるって何?

「真雪さん、フェイトちゃんまだ転入前だよ」

仁村真雪。漫画家さん、だっけ。

真雪を見た耕介は少し首を振って。

「気にしなくていいよ」

と、優しそうな目をしてそう言った。






昨日から寮に入ったけど、雪児は忙しそうに部屋に籠ってしまったから話して無い。

久遠が小さい姿で寮を案内してくれた。

昨日の出来事はそれだけ。

なのはは今度友達を紹介してくれるって言ってくれたけど。

まずその前に日本語を読めるようにならないとなのはの学校に入れない。








難しい、会話は翻訳魔法で話せる、ミッドは色々な世界の人がくるから結構初級の魔法だからいいんだけど。

なんで疑問じゃないのに疑問系で話すのだろう?

私の話した言葉を逆にミッド変換すると変な言葉だし……

朝からいないアルフは久遠に連れられて山の動物の繋がりに顔出しらしい。

今日は昨日の夜とは違って静かだ……








どうも気分が乗らない、漢字のテキストを前にどうも集中できない。

「はあ〜」

イマイチ解けないせいかな?

リニスから習った時と違うな……少し外に出よう。

広い庭、バスケットってスポーツのゴールとおっきなバイクと車が一台止まってる。

垣根の先はもう森、この回りには特に家も無い。

時々風が吹くと葉っぱが擦れる音がするくらいで他に音がしない。

静かだ……時の庭園とは違う、どちらかというと昔いたミッドの場所に近い。

小さい音は沢山ある、ただ町と違って大きな音がない。

潮風も此所までは来ないからべたつくような不快感は無い、むしろサラッとした涼しげな感じだ。

周囲に山だからアルフも初めて来た時には久遠を乗せて元気に走りに行っている。











「いい場所だな……」







少し乱れた髪の毛をまとめながら、本心から思う。

「俺は〜〜耕介〜〜みんなの〜〜」

調子を崩した歌? 声を出しながらベランダで耕介が洗濯を干しているのに気が付いた。








手伝おう、何となくそうしたい気分になる。

朝みたいなやらなくちゃって感じじゃなくて、やりたいって気持ちで。

「耕介ー、手伝わせてー」

外履きのサンダルを脱いで二階に駆け上がる私は、もう沈んではいなかった。

……でも









(お、おっきい!!)

ワイヤーと合成布で出来たもの、私もこんなの着けるのだろうか?

アルフが着けないから初めて見た。















洗濯が干し終えた耕介はお昼ご飯の準備を始めた。

ご飯を食べるのは私を入れて四人、夜や朝に比べたら随分少ない。

炒めご飯にするらしいから材料を切るのをやらせて貰う、これならリニスに沢山習った。

「お、フェイトちゃん随分上手だね」

「うん、耕介には負けるけど」

踏台をしてまな板の上の野菜を微塵切りにしていく、スピードも悪くないと思うけど。









「フンフン〜〜」

鼻歌混じりの耕介の半分くらいのスピードでしかない。

私が一種類終わる時にはもうやる事が無くなっていた。

「凄い……」

「いやー、実家が料理屋だし、俺もこれで免許持ちだからね」

ずーっとやってる差なんだね。

枝を毛に絡ませて帰ってきたアルフと久遠、降りて来た真雪。

私が手伝ったと言うとアルフが三倍くらい食べて苦しそうで。

食べ終わったら真雪はまた部屋に戻った、私も漢字のテキストを、今度は。











「私でよろしければ」

「うん、よろしくね、御架月」

どうせ暇だからって御架月が見てくれる事になった。





うっすら後ろが透ける身体の御架月、彼の勉強は分かりやすい。

今私が使ってるのは鉛筆だけど、御架月は筆の方が使えるらしい。

私の、この国の人からしたら多分分かりにくい何で? って疑問を馬鹿にしないで丁寧に教えてくれた。

気が付いた時には、時計の針は始めてから二つくらい進んでいる。

「少し、休憩いたしますか?」

「うん」

丸めてた背中をグッと伸ばすと気持ちがいい。

御架月は幽霊らしいけど、今までみた幽霊とは全然違う、久遠も御架月は大好きって言ってた。

休憩になったら少し待ってくださいってお茶を耕介に頼んでくれるし。

ふと、何でこんなにしてくれるか聞いてみると。

「私も苦労しましたから」

ずっと昔、私と一緒で外から来たかららしい。








耕介がお茶と一緒に持って来てくれたのは大福ってお菓子。

モチモチしてて、中が甘くて、これ好きかも。

なのはと公園で食べたのと似てる……そう言えばなのは、学校終わったかな?

ちょっと念話で聞いてみよう。






(なのは、今いいかな?)

(んにゃ!?)

思わず耳を押さえてしまう、念話は耳で聞いてるんじゃないから意味は無いのに、反射で押さえてしまった。

むしろ念話は頭できいてるんだから頭痛が……










(大丈夫? フェイトちゃん、ごめんね)

(いや、なのはは全然悪くないよ)

むしろ突然かけてごめんねと言うと、なのはがやっぱり自分がと堂々巡りになる。

(えっと、ただ今何してるかな〜ってだけなんだ)

(あ、そうだったんだ、今ね。帰りの会が終わったんだ、フェイトちゃんは?)

(うん、勉強してて、ふっとなのはが気になったから)















? 会話が止まっちゃった。

もしかして……何か私変な事言った!?

(な、なのはごめん!!何か気に触った?)

(う、ううん、違うよ、何と言いますか、不意打ちでフリーズでよく分からないのでございますです)











とにかく、ごめんと謝るといいよと返してくれるなのは。

今度紹介してくれるってなのはの友達と今一緒らしい。

お邪魔かもしれないから切るねと伝えると寂しそうに「ごめんね」と帰ってきた。

……後こっちの知り合いは、雪児くらいしかいないや。

雪児に念話は通じないから電話かな。

据え置き電話の近くに寮の人の携帯番号表があった。

十回くらいコールするとやっと













『ただいま電話に出る事が出来ません、ピーッという発信音の後にお名前と御用件をお話しください』









え? え? 何これ? 雪児じゃないの?

えっと、えっと。





ピーッ





え、もう!? 早いよ待ってよ。

「えっと、えっと、フ、フェイトだけど、用とか無くて、えっと、えっと」

『何テンパってんだよ』

通信が急に変わって、出たのは雪児だった。
















『留守番サービスなら切ればいいのに……』

「だ、だって突然なんだよ!? びっくりするよ? わ、笑わないでよ!!」

電話越しにも雪児がクスクスしてるのが丸分かりだ。

意地悪だ、ちょっとはいい人だと思ったけど凄い意地悪だ!!

『ワリワリ、で何用?』

「……特には……」

ま、また笑われた!!

いいよ、別に雪児に用があったんじゃなくてなのはのついでだったんだから!!

「もう切るよ!!」

『ああ待て待て、オレも忙しいの終わったからな、街出てきなさい』

街? そう言えば昨日から寮の中にしかいないし……うーん。

いい、かな? 勉強したし、ジュエルシードの時はよく見て無かったし。

うん、じゃあ。








「なのはは?」

取りあえず聞いた。









△△△











ピッと通話終了ボタンを押す、次にメモリからなのはちゃんを選択して呼び出す。

フェイトちゃんの街案内と伝えると参加を即答する。

こうなると二人で行ったら? と言いたくなるが、どうせフェイトちゃんとは帰りが一緒だ。

別にいいかと自分の中で納得した。










「ユッキー誰なん? 街案内って」

横から口を挟んできたのは関西弁のクラスメイトのフェイフェイ。

うちの寮の事は知ってるから、三月の頭に女性向けの店案内に協力してもらった事もある。

「んー新入りの案内」

「んだとー!?」

「うおビビった!!」

唐突に顔出して来たのは竹下……あれ? 杉並のツッコミは?

「ヤツは三年の先輩とデートだ」

「またかい」

まあ、いつものよーにヤツは好意に気が付いていないのだろう。

何このヒドいテンプレ?






「ちなみに今回の口実は?」

「マック奢ってくれるって」

安……

まあ、杉並がいないと竹下をシバく人間がいない、サッサと合流地点に行くか。

尻の財布OK、鞄の中身は空。








……OK

「OK、やないやろ」

グワアア忘れさせろその課題プリントの山!!

ドッサリと言わざるを得ないほどの、某祭のカタログ並に達したほどの量。

それが忽然とオレの机の上に!!

「何故だ、何故こんな事に!?」

「いやお前が学校サボったからだろ」

「しかも成績悪いし」

グッサリと色々鋭いニードルが突き刺さる。

唯子ちゃんから渡されたプリントの数々、テスト前恒例、範囲テストの提出、それがまとめてやって来た。

もうテストは終わってるからいーじゃんと主張出来る……ようだったら寮の生活が多少向上……向上……









「どしたん?」

「いや仮定するだけ無駄なイフって空しいなって……」

主張? あの姉達に? 馬鹿じゃね?














かったるい、重さは気にならないが膨んでかさ張る鞄がかったるい。

普段ゼロな鞄が膨んでいる事自体がうざったい。

駅の外に設置されたベンチに腰を掛けて二人を待つ。

……やっとくか……

束になったプリントを取り出して少しでも消化しようとシャーペンの芯を伸ばした。









△△△









雪児さんとフェイトちゃんの呼び出し、少し遅れてしまった。

アリサちゃんとすずかちゃんは塾があるから一緒出来なかったけど、学校に来るまでには一度合わせておきたい。

でもフェイトちゃんの学校って何処になるのかな?

今日聞いてみよう、聖祥だといいなー。





駅のベンチにいるって言ってたけど……

……なんだろうアレ……











「えっと、このXを加算して……」

「フンフン……」






……ゴシゴシ……ゴシゴシ……







うん雪児さんとフェイトちゃんだ……





駅のベンチだ。





何で





「えっとね、公式に当てはめてね」

「……公式……」





何でフェイトちゃんに教わってるんですか雪児さんは……








学生服の人が私服の小学生に勉強を教わってるって凄いシュールです。

心なしか回りの視線が集まってるような気がします。






……取りあえず声をかけて場所を移動しましょう……








「あ、これ美味しい」

そう言ってフェイトちゃんがペロペロと舐めているのは駅地下のアイス屋さんのソフトクリーム。

ここのアイスは毎朝山の牧畜農家から運んだ牛乳で作ってるから私もお気に入りです。

取りあえず場所を移動させて貰って街案内は開始されました。

あそこでお話しするのは流石に私でも嫌です。








「でもフェイトちゃん中学生の問題分かったの?」

これは雪児さんが……でなくてフェイトちゃんが凄いって事なんでしょうか?

振り返ったフェイトちゃんの口に白い口紅が……えっと、ハンカチハンカチ。

「ん、ごめんなのは」

「ううん、いいの、このくらい何でもないよ」

フェイトちゃんはこういうのもみんなみんな初めての出来事です、色々教えてあげないといけません。

そのフェイトちゃんに習ってたってどーなんでしょうか、と言わざるを得ないのが雪児さんですが。






「ん。これからどーすんの? ゲーセン?」

雪児さんの言うゲームセンターって暗くて、煙草臭くて、対戦ゲームしか無いようなイメージなんですが……

「フェイトちゃんはどんなとこ行きたい?」

「なのはの行きたいところでいいよ」

そーいわれるのが一番困るんだけど……

取りあえずプリクラでも撮ろうか?

行き先はアリサちゃん達とたまに行く明るい、入ったら直ぐにプリクラとかがあるお店。

初めてのだからか、随分と緊張したフェイトちゃんに操作を教えて

「ほらフェイトちゃんスマイルスマイル」

「こ、こうかな?」

って何でこっち向いちゃうの!?

画面に向って、と言う前にカシャリと画面が固定されてしまう。

「ああ……ごめんなのは……」

「だ、大丈夫だから、次が直ぐにできるから」

今度こそと画面に向って笑顔なフェイトちゃん、ピッタリくっつくくらいにアップサイズ。

撮れた!!ちょっと恥ずかしそうだけどニッコリなフェイトちゃん。

出て来たプリクラを大事にしまう、こうなると手帳をあげたくなる。

そうだ、今度はそれだ。

雑貨屋さんでシステム手帳、私的には電子手帳や携帯の方がお勧めなんだけど……

ちなみにこういった話題になると盛り上がるのがすずかちゃん。

アリサちゃんは微妙な顔をするんだよね。










「終わった〜?」

そう、外で待ってる雪児さんくらいに













「雪児も撮ろうよ」

フェイトちゃんはそう言って誘うけど、雪児さんは何だか微妙そう。

お兄ちゃんもそうなんだよね、忍さんと撮ろうって言っても中々OKしない。

でも最後は折れるから多分雪児さんも大丈夫。

「仕方ないなー」

ほらやっぱり。











私とフェイトちゃんの頭の上に雪児さんが写る感じ。

出来れば久遠ちゃんとアルフさんとユーノ君とクロノ君も一緒で撮りたいなー。

「なのは、雪児、これ大事にするね!!」

とは言えしまう鞄を持ってないフェイトちゃん、雪児さんの鞄にしまう事に。

雪児さん、クシャクシャにしないでくださいよ、フェイトちゃん泣きますよ?















私も雪児さんも結局学生です、お金があんまり無いのでこれ以上ゲームセンターもいられません。

よく考えたらフェイトちゃんが何が好きとかまだよく分かって無いし……

んーこれからどうしよう?

私の家に行くと流石に遅くなっちゃうし、他にお金がかからないで楽しめる場所って……

「ん? 次決まった?」

「私はなのはと雪児に任せるよ」

そ、そーいわれるとプレッシャーが……

うーん、お金かからない……翠屋はやっぱり喫茶店だし……うーん。

「雪児さんは何かあります?」



















雪児さんの先導で歩き始めて少し、駅からドンドン遠のいて行きます。

「雪児、何処に行くの?」

「んー秘密秘密」

質問にも糠に釘でマイペースに歩いていく雪児さん。

こっちの方に何かあったかなー。

うーん、知ってる道だけど、この先にあるのは……あるのは……








道路に工事の黄色い看板、ビニールの覆いが掛かったブロック塀。








……こ、ここは……

「凄いね、ジュエルシードのせいかな?」

「あー、多分そうだったような違ったよーな」

熱くも無いのに顔から、背中から汗が止まらない。

知ってる、知ってるもん、こ、ここは……









やがて雪児さんが入ったところ。

あれ以来ずーっとご無沙汰ですが、一応壁とかは直ったようです。

入口に掛かった看板。

槙原動物病院……














「ごめんなさい!!」

「大丈夫よ、ちゃーんと雪くんや耕介さんから聞いてるから」

裏口からヒョイっと雪児さんが入って、入ってすぐ挨拶したのはユーノ君を見てくれた獣医さん。

管理人の耕介さんの奥さんで、寮のオーナーさんの愛さん。

ユーノ君を病院から引き取った時からずっとご無沙汰だ。

今あの頃を思い返すと反省点の嵐、もっと上手にやってれば病院とか近くの塀とか壊れなかったのに……

「なのはもユーノも悪くないよ!!なのはは初めてだったんだし、ユーノはまだ結界が出来なかったんだし!!」

そう言ってくれるフェイトちゃんだけど、やっぱり私が下手っぴいだっからかで……

「えと、あのね、管理局? ってとこの人がちゃーんと直してくれたんだし、なのはちゃんが気にしなくていいのよ?」

優しそうな声、風貌でそう言ってくれますが、かと言って何かしないと私の方も……

「んーじゃあフェイトちゃんと仲良くして欲しいかな? フェイトちゃんこっちのお友達がまだいないんだから」

いやそれは言われるまでも無いのですが……

愛さんはとにかく笑顔で気にしないでと言ってくれます、それでも今度来る時にお菓子でも持っていこうと思うのです。













「雪児、ここに何しに来たの?」

看護士さん達にも一通り挨拶した雪児さんに質問するフェイトちゃん。

「んー、奥の休憩室なら時間潰せるだろ?」

そう言って勝手にお茶とか淹れはじめて。

なんでも家まで遠いからここで休んでお母さんの愛さんの車に乗るのが多いからだそうです。

お茶菓子とかもヒョイヒョイ取り出すのはそれだけ慣れてるって事でしょうか?

「あー!!雪児君それ私のとっておきのお菓子ー!!」

「アッハッハ佐藤さんもっと分かりにくいところに隠せー!!」

いやまあ……何なんでしょーか……看護士さんお菓子美味しかったです。









△△△










はあ、何なんだろう、確か起きた時は、静かだったはずなんだけど……

愛の車に乗ってなのはを送って。

今は私と雪児と愛だけ。

暗い道を小さい車で走っている。






「フェイトちゃん、クロノ達から連絡あった?」

「ううん、まだ航路安定の最中だろうし、地球軌道上にいるはずだけど」

リンディ提督達と母さんのいるアースラ。

母さんにはまだ会わせてもらえない。

できるだけ、ミッドの病院に入ってからって……

「そか、早く面会できるといいな」

うん、そう雪児に答える。

そう言えば聞きたかったんだ……

「ねえ、雪児、何で私を誘ったの?」

今日だけじゃなくて、他にも寮の事とか。









雪児は私を助ける理由なんて無い、勿論何か企んでるとかそんな事は無いと思う。

「何でと言われても……何となく?」

「何となくで誘ったの?」

……返事が無い、その通りのようだ……

いいんだろうかそれで……私だってそんなに慎重とかそういうのじゃないと思うけど……

何だか雪児くらい考え無しでは無いと思う。




多分。




きっと。




一応……





「んー、フェイトちゃん?」

車のハンドルを握る愛、すっごく慣れてるみたいで運転は安心できる。

「人に親切にするのに、そんなに理由なんて要らないの、そうよね雪くん」

「ん? んー、親切?? まあ要らないんじゃない?」

そ、そうなのかな?何だか雪児のは親切とか、そういうのじゃないような気がするんだけど。

「えっと、愛?」

少しだけ苦笑するようにして。

「多分、そうなんだよ」って。










寮の庭にある駐車場、一台は真雪の、後二台のバイクが駐輪してる。

一台は耕介、もう一台は美緒って少しだけ雪児の年上で。

性格とか外見とか、全然似て無いのに久遠に似てる人。

来た時に挨拶しただけで、私はまだよくこの寮の人は知らない。

愛の荷物を持つのを手伝って、雪児が開けた玄関を通る。

「ただいま……」

正直まだ慣れない、というよりただいま自体がまだ二回目だ。

鼻がすっごくお腹が空く匂いを感じる、やっぱり耕介の料理なんだろう。

リビングから聞こえてくる騒がしい喧騒、アルフは随分と馴染んだように思える。

「ただいまー、メシなーにー?」

「シチューハンバーグだって!!ね、ね、フェイト早く早く」

「ちょ、アルフそんなに引っ張らないで!!」

こんなにアルフが喜ぶんなら明日作り方とか習おうかな?

荷物を置いて、ご飯を食べて、お風呂に那美と久遠と入って。

あっと言う間に寝る時間だ。

楽しい……のかな? 今日は……こんな毎日になるのだろうかここの生活は?

ちょっとの不安と、沢山の楽しみを思いながらベッドに入る。

また明日ね、アルフ。





おまけ


駅の柱の影、テキストを解説するフェイト、聞く雪児その姿をみる影があった。

「ゆ、ゆっきー」

「あ、あいつ……」

竹下慶次、鳳蓮飛、槙原雪児のクラスメイトは新しい寮生というネタを確認するために後をつけていた。

その二人が見た衝撃のシーン、即ち。

「あの野郎ロリコンだったのか!?」

「え? そっち!?」




レンの考えたのはまさか小学生に勉強を習うとは、と比較的まともな学生としての思考。

竹下の考えたのは……まあ盛った男子らしき思考である。

「ちくしょうちくしょうとってもちくしょーーーーー!!」

(うわ……というかまあ綺麗な子やけど、小学生やで?)

ある程度、キタイナイものを見るような視線を竹下にプレゼントするレン。

例えなんであれ、他人の幸福砒素の味を地で実践しているのが竹下であるのをまだ理解していなかった。

「っふっふっふ、こうなったら……」

携帯の写真モードを起動させ、雪児と少女が並んでいる写真を撮影する。

そのままクラスの情報源と言われる人物に転送を行った竹下。

レンは




(まーいいかあ)

と、止めることすらせずに放置して帰ろうとする。

夕飯時の実家の手伝いをしようと真っ直ぐに自宅を目指した。

自分とは無関係無関係。

冷静に他人の振りをして、翌日盗撮疑惑を受ける竹下、ロリコン疑惑が発動する雪児。

この二人を冷静に見捨てるのであった。


後書き

フェイトINさざなみ寮の第一回はこのような形になりました。
まだまだ入ったばっかりなのでここの洗礼はイージーな感じです。

これからもっともっと濃いイベントがフェイトを待っていることでしょう……




>鬼丸さんへ
>ふと思ったのですが、なのはIFの世界の未来では、はやては婚期を逃しそうになったら、
>ケイスケに「愛人でもええから、そばにおいて〜シグナムにシャマルも付けるからぁ〜」とか言ったり、
>フェイトはヴィヴィオの協力を得てケイスケの子を人工受精で妊娠したりなんて
>ことになったりしませんかね?

うーんその時になってみないと判断できないでしょうが
少なくとも当分はなのはが悲しむってやらないでしょうね。
フェイトは、その思考に至る可能性はあるかもしれません。


>鬼丸さんへ 
>雪児のマイペースっぷりに期待☆超☆特大www

ある意味愛さん譲りなマイペースでありましたww


>鬼丸さんへ
>今日のスーパー久遠タイムは?「なのはより先にフェイトと友達宣言」
>さすがだぜ久遠……あと夢移しって素晴らしい

なのはと違って何にも遠慮するところがないですからね。
素直に二人とも友達だと思っています。


>鬼丸さんへ
>雪児と久遠がとっても良いです。いや、ホントこのコンビ好きです。

どうもです。
さざなみ寮のマスコットと最年少(フェイト入り以前)のコンビは基本のんびり屋さんです。



>鬼丸さんへ
>ほほう…なのはとケイスケが付き合うようになる経緯はこんな感じですか。
>ぜひ、できればこの話と似た感じでカリムルートやティアナルートをお願いします!

あはは、まあ思いついたらで、気長にお願いします。


>鬼丸氏 
>いくら、これから住む家だとしても、初めて来た時にただいまは絶対おかしいと思う。
>住んで初めて自分家になるんじゃ

そういうことも思ったのですが、やはりお邪魔しますで家に入るのはどうかな?っとこちらを使用しました。
気になったら申し訳ありません。


>鬼丸さんへ
>無印完結おつかれさまです! それにしてもやはりフェイトと久遠の絡みはたまりませんな
>しかし、ただでさえ人外魔境な海鳴の中でも一番ぶっとんでるさざなみ寮がさらなる戦力を……
>が、フェイトでも並なのがまたさざなみクオリティ

まあさざなみ寮ですからwwww
別に戦力として入ったわけでもないですし、あくまでフェイトの新しい住処というだけです。



















追記 拍手は出来るだけあて先を書いて送ってください。
拍手はリョウさんの手で切り分けられています。

作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板
に下さると嬉しいです。