前回 残業にみんな残しました。

早く終わりそうなので夜食を振る舞いました。

隊長陣と話しました。

なぜか演習場にいます。

なじぇ


ケイスケの機動六課の日々 その4



さて、冷静に何があったか思い出してみよう。

朝エリオが起き出したから俺も寝るわけにいかず起床。

暇だから付き合って体動かすため外にでた。

うん問題ない。

そこに女子組が来たそこで

「は? 組み手付き合え?」

「うん、ほらわたしとはやったことなかったでしょ」

スバルが練習に付き合えと言い出した。

確かに以前はコイツだけSAを嫌がってたから組み手まではしなかった。

やだ。と一括したかったが、「やってよケイスケ」 とか「怪我しないでくださいね」 とか断れない空気。

そんなわけで嫌々だが、演習場でスバルと向き合っている。

今ではまあいいかと諦めた、正直興味もある。だが




       プルプル、プルプル





「すまんスバル、何か上を着てくれ」

「え? どうして」

正直とってもやりにくいです。

まああれですよ、制服で会っていたので不意打ちでした。

あいつがここまで育っていたとは!?

少し視線をずらして誰か空気を察してもらう。

「いっくよー ケイスケっ」

ちょ、空気読んでよ頼むから。

スバルは突っ込みながら拳を握りしめてきた。

つっ早っ

踏み込んだ瞬間にバックステップで距離を取るがそれにそのまま付いてくる

まじ?

左手に右手を添えてガードするがまさに叩き折ると言わんばかりに打ち込まれた。

正直運だった。まだ空中にいたこと、スバルが打ち抜くやり方で打ったこと。

だがそれでも俺の体は楽に十メートルは空を飛んだ。

これだから魔導士は!!





「あほ、ウッカリ、マヌケ」

間合いが開いたのを良いことに俺はスバルに一時中断を持ちかけた。

上着を羽織ってもらい、且つ疑問に思ったこと、強化魔法を使ったかと問いただした。

「あっ」

「おい「あっ」 てなんだよ「あっ」 て」

「ごっゴメン、ケイスケつい……」

「あのさ、言ったよな俺魔導士じゃないって」

「うう、だからゴメンって」

正直無意識レベルで魔法強化を使ってるのは正直すごい、しかもデバイス無し。

インファイターには必須で努力無しには絶対身につかない技能だ。

だが



「あのさ、分かってるか?
 お前って街のチンピラ五十人位ならあっという間に皆殺しにできる人間なんだぞ」

「…… え……」

スバルは呆けたような顔をしていた。

だけど事実だ、高レベル魔導士なら珍しい話でもなんでもない。

そしてそういう奴に限って自分が何をできるか自覚してない。

ここに謙遜なんか必要ない、自分の凶器のレベルくらい自覚して欲しい。

まあこの話は終わらせよう。これは隊長達の領分だ下っ端が言うのもまずいだろう。

取り敢えず




「すまんわスバル俺じゃあ組み手についていけない」

スバルの顔が沈む、仕方がないもう打撃じゃあ絶対勝てないことを確信した。

「だから、別の手で相手してやる」

足を肩幅に前後に開きベタ足に、手は軽く握って前に重心を丹田に

「えっと、あれ?」

「いや素手同士ならやれるからさ」

まあ何とかなるだろぐらいの目算だけど多分

「ほれ、強化していいから」

「だってさ無理だって言ったじゃない」

ふん舐めんなよ身体スペックが違うからはいそうですかって諦めるほどヘタレてねーよ

「いいから打ってこいって、ミッドのパンピーの意地を見せてやんよ」

その言葉にちょっと興味を引いたのか、構え直すスバル

重心を前傾、顔まで腕を顔まで引いたまさに一撃必殺狙い。

大丈夫、大丈夫踏み込みは見えた。後はタイミングだけ、と自分に言い聞かせる。

スバルが突っ込んでくる。いける、いけると自分に言い聞かせる。



 踏み込んだ!

後ろ足を前に引きつけて半身になり躱す

そのまま手を掴めば…… 掴んだ!

「しっ!!」

右手で手の甲を左手で肘を脇で挟んで手首を捻る、

いわゆる脇固めの形になり地面に引きずり倒した。






さて、魔導士と一般人の圧倒的な差は何処から来ているか。

確かに攻撃力の差は恐ろしい、が決して避けられない訳ではない。

それは防御にある。バリア、フィールド、シールド、物理の四枚の壁

これが魔導士とパンピーを大きく隔てる壁だ

これの前では強化無しでは人の力では決して破れない。

がこの防御が一瞬だけ少なくなる瞬間がある。

攻撃の一瞬、この時は少なくてもバリアとシールドは張っていない。

まあこれを超えてもフィールドとジャケットはある。

一応刺突と斬撃には弱いが武器無しにやれと言われても難しい。

「でも素手で抜く方法が無い訳じゃない、その一つがサブミッションというわけだ」

ほーという声が上がる。いつもはツンツンのランスターさんまでなるほどという顔をしている。

ちなみにスバルは。さっきやっと上着を着ろの意味をランスターさんに教えてもらい

「ケイスケがスケベになった……」等とブツブツ言っている。

だまれ。






<なのは視点>

朝の訓練に行くとスバル達の他に事務のケイスケ君もいた。

おそらくスバルの練習に付き合ってるのだろう。

たしか彼もスバルと同じものを習っているとスバルが言っていた。

「うん、うんなかなか面白いね」

一撃で吹き飛んだかと思えば次は関節を取っている。

自分のできることできないことが分かってるみたい。

姿を見せると、新人達は慌てて姿勢を正す。まだちょっと固いかな。

まあ、そこの男の子みたいに形だけやればいいかみたいな態度も困るけど。

「スバル、大丈夫?」

「はっはい! 全然ん大丈夫だったりします」

「少しおかしいのは仕様です」

何気に酷いこと言う子だ。

スバル、女の子としてその目付きはどうかと思うよ、気持ちは分かるけど。






「えっとケイスケ君は魔導士と実戦経験あるのかな?」

「そりゃ喧嘩くらいしますって、相手が魔導士なら詫びいれるって格好つかないですよ」

まあそうかもしれない、さっきの話は実感がこもっていたし

争いを避けてきたタイプには見えない。

それならと少し試してみることにした。

「うん、もしも例えばの話、そうだねティアナと闘うとしたらどうする?」

「ランスター陸士のスタイルは知りませんけど、多分遠距離系ですよね、隠れて不意打ちします」

「エリオなら?」

「スピード重視と聞いていますから足を殺して組み付きます」

「キャロは?」

「召喚や強化される前にラッシュかけます」

ふむふむ、なるほど、相手に合わせて考えられるか……


よし決めた。

「ケイスケ君、今日の午前中はフォワードの見学しようか」







<ケイスケ視点>

また妙なことになりましたよ。

なんで俺が見学せにゃいけないんだ。

しかも午後にはレポート書けだと、そんなん事務屋の仕事じゃない。

とはいえ一応上司命令、サクッと補佐官の許可も取り付けて逃げ場無くなるし。

「うー見ていてほしいようなほしくないような」

「スバル、一応あんたにも羞恥心あったのね」

慣れてきたからもう平気だって

対してエリオとキャロは何かしらんが張り切っている。

はいはい、見てるって、習慣で持ち歩いていたメモとペンを出して

さあ何時でもどうぞ。







ドッカーンとかバカーンとかそんなの人間の出す音じゃないよな。

最初に始まったのはチーム訓練、

スバルが前でティアナさんが狙撃と指揮、エリオが遊撃キャロが援護みたいだ。

相手はガジェットとかいう自立機械を想定している。

AMF魔力の結合を阻害するフィールド系AAAクラスの上級魔法を疑似的に再現するらしい。

いいなー、あれ俺も一台欲しい。

訓練初日からこれはやっているらしく、すでに何が効いて何がダメかも分かってるようだ。

ドンドンとシューティングゲームのザコのように落していってる。

しかしこのチーム、バランスいいけど、これって2小隊の意味あんの?

「はい、次は個人技能訓練するよ」

「「「「はい!」」」」

高町隊長の指示が入りそれぞれに対して個人メニューが割り当てられた。

すでに四人のジャージは泥まみれだが顔色と声から見る限りまだまだいけるようだ。

いやはや体力もバケモンかよ、二時間くらい動きっ放しで休憩無しだぜ。

「ケイスケ君、少しスバルに付いてくれてもいいかな?」

やっぱりな、でなければ俺を残す意味が無い。

四人の中では一番余力が残ってそうなスバル。

俺が何を言えばいいんだよ






「あ、あのさどうだった?」

さっきの件があったからかなんかよそよそしいスバル、ある意味レアだ。

「ああ、すっげえ強くなったよな」

「ほんとう?!」

なんか尻尾があったらぶんぶん振り回しそうだよなこいつ

さてさてどうしたもんだか。

「あのよ、ちょっとシャドー見せてくれ荒を探すから」

「って今から探すの!?」

「俺も仕事だ協力しろ」

うう、と唸りながらスバルもシャドーを始める。

最初こそ緊張でもしたのかぎこちなさがあったが次第に流れを作り始めた。

左で打ち込みながらデバイスを付けた右で決める。

これが一連の流れでたまにローラーで回り込んでの攻撃がはいる。

SAの理想は一撃必殺と俺は習った。

急所を狙っての大打撃これが基本だと。

だが簡単に出来たら苦労はしない。

一撃を当てる、これだけの為にいったい世の中にいくつの技があるのやら。

スバルに一度止ってもらう。良い点悪い点を指示する。



良い点

「外してからの切り返しが早いよな、回り込みとか至近距離の連続攻撃回数は六課で一番かもな」


悪い点

「当たり前だけど決め手が右手ばっかりだな、機械相手ならいいけど人相手だとすぐ読まれるぜ」


アドバイス

「やっぱり左手だな、何かと右に頼りすぎ左手は牽制ぐらいにしかやってないだろ」

「そうかも、何をやったらいいかな?」

「左右不便なくやれるのが理想だけど取りあえず両方ともなんか撃てるようにするべきだろ」

右だけだと体のバランスが悪くなる。

右が最強なのはいいけど左が怖くないとかになるとまずいし骨格が歪む可能性も捨て切れない。

何よりデバイスが目立つからたいていの奴は右手を警戒するはずだ。

そこで左から必殺の一撃を

「ぶちこめるってわけだ」





そんな事をしながらダラダラと時間がたった。

後は特に語るような事もない。

あえて言えばミット打ちをやったくらいだ。

一発一発が手の甲まで抜けるような衝撃を味わい俺の見学時間は終わりを告げた。






<なのは視点>

私の夜の時間は長い、その日その日の訓練データをまとめ、明日以降の参考にしているから。

管理局に本格的に所属して四年、その前の経験も含めれば十年経ったけど

特定の子に教導を一年間もみっちりやるのは初めてなので基本からしっかり身に付けさせたい。

そんな中で自分以外の目でも評価が欲しくてケイスケ君にレポートを書いてもらったけど……

「なのは、まだ起きてるの?」

「あっフェイトちゃん、起きちゃった? ごめんね」

幼馴染みの親友であるフェイトちゃんとは同室、

今日みたいにあんまり遅いと迷惑をかけてしまう。

「これ、例の訓練のレポート? 特に問題ないと思うけど」

そう、レポートは問題ない、誰が見ても言うようないい点しか書いていない。

提出すればスバル達の評価にプラスになるという意味では



問題になるのはそれに添付されてきたメモの方なんだから。






メモ内容


スバルまとめ

ブッ込み突撃女。

防御とか回避とか捌きが下手です。

突っ込まないと何もできないんで見切りとか捌きを重点的に強化するのがお奨めです。

後攻撃力はすでに高いので精度と人間の急所を学ぶべき?


ランスターさんまとめ

質量持ちの幻術とか凶悪にも程がある。

インファイターのテクニカル系と組んだらどれだけ悪魔になるか分かりません。

弾を撃つときも幻術と組み合わせればどれだけ強い敵も倒せるでしょう。

複数思考と戦術と心理操作を覚えると吉。


エリオまとめ

まだ体ができてないので体捌きと感覚を学ぶ以外ないと思う。

体が小さいのに槍を使ってるのは正直疑問。

槍は振り回して叩き潰すための武器なんで体が小さいと突撃しかできません。

加えて成長期が来たときにスタイルの変更が起きる可能性は高いです。

子供なのでメンタルケアは重点的に行うべきでしょう。


キャロまとめ

召還士はさっぱり分かりません。

バックスは集団戦で最速に潰すのがデフォなんで防御と時間稼ぎが必須。

後逃げ足。






「こ、これは……」

うーん、注意事項欄に「決して提出しないでください」って書いてあるんだよね。

「ねえなのは、この子本当に武装隊じゃないの? とてもそうは見えないんだけど」

「私もそう思ったんだけどね…… 一応聞いてみたんだけど」



<回想>

「一応コアはありますよ」

「じゃあ訓練に参加してもいいんじゃないかな?」

「デバイスの起動中に魔力不足で気絶しましたがなにか?」

「ま、魔力負荷トレーニングで総量を増やせばいいんだよ」

「一分で魔力がなくなってしまいましたが」

「続ければきっと上がるよ」

「1年毎日やったこともあります。これでも増えたんです」

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「ごめんね」

「いえいえ」





<ケイスケ視点>

あーめんどかった今日は、新人ズ俺の分くらいちょっとやれよ。

明日今日の分やらないとなー。

でも久しぶりに体動かしたのは気持ちよかった。






SAは打撃技、魔力強化のない俺では扱えない。

十歳くらいになってくると魔法を使う奴も珍しくなくなってくる。

その頃からだったか、喧嘩で殴れなくなったのは

おばさんやギン姉さんから習ったものを捨てるのは嫌だったが

それに拘ってボコボコにリンチされたときから関節技を覚えるようになった。

嫌だった、魔法を使えないからってムカつく奴らの下になるのは

それで母さんにおばさん、ギン姉さん、スバルまで嫌いになりそうで。

だからだったか、強さにこだわるようになった。

勝つ為の強さだ、どうやって強くなるかではなくどうやって勝つかの方に。

そんな中で仲間もできたし別に後悔なんてないけど

真っ直ぐこれたスバルが…… ちょっと羨ましかった……



後書き

ケイスケちょっとだけ訓練に関わるの回
この男攻撃力は無いしレア能力もありません。覚醒予定も無し

ただそれでも意地を張ることはやってきました
やるときは、反則技だったり罠張ったり武器使ったり仲間集めたりをするやつです。

外見特徴を書くとイメージしやすいらしいので
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身長170、筋肉は結構ついている
黒髪黒目、親父似、母親には似ていない
髪の毛は短い。理由、長いと色々めんどくさいから
一人でアパート暮らし、理由とかは後々出すつもり
事務能力有りというか、多芸無芸なタイプ
基本やる気を感じられないが面白そうなことになると無駄な力を発揮する。
年齢 16歳ギンガとスバルのちょうど間

趣味、97管理外世界のゲーム主にSRPGと弾幕シューティング
密輸収集してる友人に染められる。
日本人は一生に一度秋葉原かビックサイトに巡礼すると勘違いしている。

登場予定の友人2
魔法を見るとその魔法プログラムを逆算できる逆魔法アセン人間
魔力量も高いがその利用法がエロ方面に特化
バリアージャケットを溶かすフィールド魔法を作ったときからエロ神として崇拝されている
致命的に体が弱く戦闘能力はほぼ0
ケイスケを染めた張本人。すでに駄目なA系と化している
フェイトのファン、自室で何しているのか誰も関わらない











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