前回 ディードに勝ったら変なこと言い出した。

シスターが連中と同じだった、びっくりした。

シスターと本気でやれて、勝てた……

こんな時だけど、嬉しかった。



                  ケイスケの機動六課の日々 その29



なのは視点

何とかしないと、何とか、私が……

ヴィヴィオがいる聖王のゆりかご。

周辺には数千単位のガジェットが浮遊して遠距離からの砲撃に対応し、

物理攻撃しようにもあまりの大きさ、そして高度を取られて。

はやてちゃんの下したのは

「内部破壊、勿論ヴィヴィオを助けてな」

制限時間はゆりかごの大気圏離脱まで。

突入した私とヴィータちゃんは、動力炉と玉座の間に別れて進む事になった。

途中、ナンバーズの]の子を確保。

その後玉座の間にたどり着いた私を待っていたのは。

聖王としての力を使うヴィヴィオだった。

「ブラスター2!!」

「ママをパパを……返してー!!」

ヴィヴィオは声を……聞いてくれない……



















はやて視点

まだなんか……なのはちゃん、ヴィータ。

ガジェットは止まらない、時間がかかり過ぎとる。

つまり中で苦戦になっとるって事や。

……時間が無い、ゆりかごの大気圏離脱はそのままミッドを人質にとる事になる。

そんで当たり前やけど、今ミッドに来ようしてる艦隊の目的は、ゆりかご破壊。

今のままやと間に合わないけど、

もしも脱出が間に合わず、艦隊が間に合うなんて事になったら……

……既にナンバーズの直接戦闘力者はいないはず……

「グリフィス君!! 聞こえる?」

直ぐさま端末が開く。

これからの事はこの場の指揮官として最低や。

せやけど。









「部隊指揮出来る人だして!! 私も突入する!!」

「部隊長自ら!?」

今ゆりかごにダイブできるオーバーSは私だけや。

状況を一気に変えるカードはもう。

「分かりました」

あれ?

「しかしもうしばらく待ってください、直ぐに援軍が行きます」

援軍? この状況で?

「八神二佐!!」

何や!?

って三型が上に!!

いかん、重量攻撃!?

段々と目の前に壁が迫る、やばいわ、やられはせんが突入が、

「うらああああ」

って今度は何!?

ガジェットが急に方向変換する。

「ふええ、むちゃくちゃですよこれ」

「いやいや、曹長のシールドを信頼したんですよ」

あ、あ、あ

「というか、私と合流出来なかったらどーするつもりだったんですかここまで」

「ははは、実は忘れてました、高山病」

け、け、け、け

「実は行き当たりばったりですね、考えてませんね」

「感謝してますよ、うん、マジで」

「ケイスケ君? リイン?」



























ケイスケ視点

シスターのフライトボードはかなりの高性能機だ。

だけど、大気圏離脱能力は当たり前だがない。

時間は……限られている。









不意にが入った通信。

クレさんではなくシャーリーさん。

「あ、やっと見つけた!!」

「な、何でこの端末を!?」

「ふっふっふ、機動六課メカニックチーフを舐めて貰っちゃあ困りますな〜」

いや、どーやってコード解析したんだよ。

「ケイスケ君かい?」

お、補佐官か。

通信先ではあーだこーだシャーリーさんとやり合ってるようだが……

「で、何っすか、急いでるんですが」

「あ、はい、無断戦闘とかそのあたりは後ほどですが、ゆりかごに行くならその前に……」



















機首を指定されたポイントに向ける。

ふと下を見ればガジェット戦闘は膠着状況だ。

「現在の戦闘は通常戦線こそ膠着してるけど、戦闘機人戦はほぼ決着してる。残るは敵アジト、それとゆりかご」

通常通信を繋いでくれたのは正直助かった。

個人の限界に情報収集があったからな、体力も弾丸も限界がある。

指定ポイントに指示コースに従って見えて来た。

「アルトさん」

「うっわ、本当にいたんだ」

ヘリに合流しろ、それが補佐官の指示だ。

理由は

「じゃあケイスケ、頼みます」

ジャケットの前を開けて飛び出した物を受け入れる。

部隊の全線指揮補佐兼、部隊長のデバイスでもあるリイン曹長。

本当はアルトさんが連れてく予定だったが。

ガジェットみたいにヘリより小さいのが相手だと危険とのことで。

「じゃあ、私はスバル達を回収するから」

「うい、ちなみに]Uの戯言はシカトしてくれ、ちと脳がおかしいから」

釘は忘れん、たとえゼロに限り無く近い可能性にでもかけるべきだ。

「っ!! ケイスケ君後ろ!?」

何? げ、ガジェット!!

はぐれか、ヤバイ真後ろかよ!!





殺られる!!

睨めつけても何にもならないが、それでも……

すっと光が貫通した……ガジェットに。

「な、何ですか?」

光の軸線上には……豆粒みたいだが人が。

多分……

「行きますよ曹長!!」

「へ? はい!!」

助かるぜクレさんよ。

絶対ケリ付けて菓子でも持ってくからな。

空に向けて、今度こそ突撃した。
















「ぐおお頭いてぇぇぇ!!」

「ちょ、落ちてます落ちてますよおおお」
















「という形ですね」

「なんちゅうか、間抜け?」

うお、ザクッと来たよ、ザクッと!!

部隊長にだけは言われたくないセリフを……

「まあまあ、さっきのはかっこよかったで自分」

……不意打ちで褒めるな……照れるぜ。

まあそれは置いといて。









「乗ります? 初乗り運賃でゆりかごまで」

「……ふーん、なら頼もか、サービスしや」

そりゃ勿論。

「航空部隊の三佐と話がつきました、どうぞ!!」

ナイスタイミングだ補佐官……さってと。

部隊長に後ろに乗ってもらい。

「行きますよーー!!」

「何時でも!! ってこら!!」

いや腰に手を回したのは他意は無いよ、本当に。

ボードの出力を切って自由落下に……

「って待ったー!!」

「はやてちゃん諦めましょう、リインは慣れました」

酷い言い草だ。













そのまま加速、ある点までいって、一気に浮上する!!

ガジェットをぶっちぎってゆりかごの上を取る。

「ケイスケ君、どうやって入る気?」

「ああ、曹長と相談してますよ」

「はやてちゃんユニゾンですよ」

まだ雲のあるエリアで助かる、補佐官にも話してある。

既に交代の三佐には伝わってるだろう。

「部隊長、形状は曹長からデータ貰って」

「はいはい、よいしょい!!」

雲の水分を集めて形成する、巨大な、氷の弾丸を!!

準備完了、さてと……

「い く ぜ ぇぇぇ!!」

「ケイスケ何にもして無いのに仕切ってます」

ほっとけ!!



















先端を尖らせてドリル形状、氷は空気圧で回転を繰り返し

その影から……突撃!!

ガジェットがカバーに入るが無駄だぜ、部隊長にさっきかましたやつの意趣返しだ。

大質量の大氷塊だぜ。

大轟音と一緒に内部突入、さてと

「ケイスケ君、私と来るか?」

「いや、俺は玉座のヴィヴィオのとこだ」

「そか、私は動力炉にいかなあかん、ヴィータがピンチっぽいからな」

そっか、じゃあここで別れるようだな。

「……ケイスケ君、できれば無茶はいかんよ、オーリス三佐も心配しとったからな」

そりゃ無理だ、無理無茶無謀をぶち通さないと俺は何も出来ないから。








「……やったら、ちゃんと生きて……帰ってきや……」

ん……それは、約束するから。

「じゃ行きます」

「ちょい待ち」

はい? 俺の手を取って、ちょおおお!!

胸? 胸!!

や、やっこい……







「先払いや、踏み倒しはあかんよ」

「へいへい、分かってますよ」

むう、このやろう……ちょっと嬉しかったじゃないか。

構造図も貰ってる、先に進めばガジェットの残骸辿ればいい。

とか考えてるうちに湧くわ湧くわのガジェット群。

セイフティ解除、弾丸をチャンバーに

鉄鋼弾だ、たっぷりくれてやる!!






















なのは視点

ふと目の前に女の子が見えた。



視界はうっすらと白っぽい……




女の子は独りだった。




独りで家にいて、たまに三人の人が忙しそうにしてるのが、哀しそうに見ている。




二人の年上の人が遊んでくれるけど、




二人が帰るとやっぱり寂しそうに




つまらなそうに。




だけど、みんなから嫌われないようにしていた。




良い子でいようと。










学校に行くようになった。




その子はやっぱり良い子でいようと、嫌われないようにしていた。




ある日意地悪な子と大人しい子の所に行って喧嘩をした。




その子からするとびっくりするような事で、




初めてお父さん達に何かをしてもらう事だった。




ごめんなさい、ごめんなさい。




何で謝ったのだろう?




お父さんに、家族に。




お父さん達は、怒らなかった。




喧嘩した子と大人しい子と友達になった。




学校が好きになった、一人じゃないから。




でも帰るのは嫌い。




一人っきりだから。




そしてその子は……





は!!

目の前がクリアに、ここはゆりかごで、私はヴィヴィオと。

構えないと、痛い!!

何? あれ? 左手が曲がって……

「あ……うわあああああ!!」

思い出した、ヴィヴィオとの攻防。

バインドで止めようとする私にヴィヴィオは色んな魔法で。

フェイトちゃんの雷変換、私の誘導弾、スバルの打撃、そして……

ケイスケ君の関節技……








お兄ちゃんが言ってたっけ、本物は決めたら折るって。

折られて、パンチで吹き飛ばされたのまで覚えてる……

「……あはは、嬉しい誤算ですね、まさかバリアを砕いて折るなんて」

本当に、どうしてくれるんだろう、ケイスケ君は……






レイジングハートを右手に持つ。

矯正していてよかった。

「あらあら、まだやりますの? 全く本当に人間離れした方、悪魔みたいですね」

「なんとでも言って……貴女達は逮捕します……」

クスクスと笑ってる、何がおかしいの……

「何が貴女をそんなに駆り立てるんでしょうね」

そんなの決まってるじゃない、私達時空監理局は

「元々関係無いのに」

「え……」











何で……

「関係無くなんか!!」

「だってそうでしょう、貴女は元々管理外世界の人……ミッドがどうなろうとお帰りになればいいのに」

なっ!!

「帰る家も、迎えてくれる家族も、友人も、みんな温かく迎えてくれますわ」

帰る、家に……地球に……

「それとも、帰れませんか? そんな悪魔みたいになったら」

あ、あ、違う、違う、お父さんもお母さんもお兄ちゃんもお姉ちゃんも、

アリサちゃんもすずかちゃんも、みんな、みんな……

「帰れるなら帰ればいいんです、魔法もミッドの事も忘れて」

あ、あ、それは……

「あ……うわあああああ!!」








魔力集中が何時も以上に高まる。

目の前の物をどかす……ヴィヴィオを!?

「ダメ!!」

「あはは、お馬鹿さん」

貯めて魔力が霧散して、ヴィヴィオが

「オラアアアアア!!」

何!? おっきな、板!?

ヴィヴィオは防いだけど

「へへへ、ナイスタイミングみたいだねこれは!!」

「アンタは!!」

「ようメガネ改めて猿女!! 借りをノシと菓子折り付けて返しに来たぜ!!」


















ケイスケ視点

遂にきたぜ……

玉座の間、タイミングバッチし。

隊長も腕折れてピンチっぽい……って!!

「なのは隊長平気か!?」

「え? あ、えっと……」

うわ、やべぇ、あの女隊長の腕へし折るくらいの化物かよ。

ち、また面倒臭い。

「つか、隊長ヴィヴィオは!?」

それ以前にヴィヴィオだヴィヴィオ。

アイツを助けないとなにしに来たのか分からない。

「えっと、今のがヴィヴィオなんだけど」

え? 今俺が叩き付けたボード千切ってる女が?

改めて見ると普段の隊長みたいな髪をした女の目はヴィヴィオと同じ……

「……寝る子は育つ?」

「育ち過ぎだよ!?」

いや俺もそう思ったけどね。












「ふふ、あらあら、さっきの男ですか、よくもここまで来たものですね」

メガネやめた四番か、通信ってことは、ここのどっかか?

この後に及んでも表に出ないって事は……

「何だよ猿かと思ったらキツネの一種かてめぇ」

「ほほ、もう奇跡は起きないわ、聖王様、そこの男も、あなたのパパママを苛める悪い人なんです。

やっつけちゃってください」

「へぇ、ガキの背中に隠れ無いと何も出来ないんだな、猿でもキツネでもなくて寄生虫なんだ」

おお、口が引きつりやがった。

なるほど、こういうタイプか……分かりやすい。














「陛下、やってしまいなさい」

爆発したみたいな速度でヴィヴィオが来る!!

「ケイスケ君下がって!!」

な、隊長!!

なのは隊長が前に出た、ヴィヴィオは構わず拳を打ち込んで、

「わあ!!」

隊長のシールドを砕いた!?

そのままヴィヴィオは隊長の左手を掴んで、ヤバイ!!

左手を取って腕を伸ばした状態で肘を打ち込まれれば当然……















やらせないけどな!!

俺も隊長の肘を取り曲げる。

隊長の姿勢は崩れて、ヴィヴィオの肘撃ちは空を。

こっちは逆に握ってる指を手で掴める!!

ミシリと嫌な音を立てて右小指を貰った。

「あああああ!!」

これ以上は欲張りか?

隊長の襟首を掴んで離れる、よし痛感カットはされてない、これならいける。

「ケイスケ君なんで!?」

って、隊長何を?

「ヴィヴィオなんだよ、なのに!!」

「んなこと言ったってやらなきゃ殺られる!!死なないぐらいは覚悟しなきゃ!!」

「だったら私が捕まえる、だから」

とか言っても、また来た!!

作戦時間くらい寄越せよな!!

右の打撃だ、が単純すぎる、初動が見えるタイミングが測れる。

なのは隊長を突き飛ばして自由になって、










身体を下げて、突きを外す。

頭の上を通る拳が空気を割く音、だけど当たらなければ意味は無い!!

腕を絡ませ、身体を回してロックすれば反撃は無い!!

「そ、そんな馬鹿な!?」

猿女、喧嘩はゲームみたいにデータじゃないぜ!!

ふっと毛が立つ感触がする、まさか!?




















急いで離れるが少し遅かった。

魔力変換雷。

フェイト隊長の希少技能までコピーするのかよ!!

「ケイスケ君!?」

「くそ、やってくれるな!!」

左手からの出血がまた……

曹長から回復魔法貰っただけだったからな。

まあ、まだ動く。

「いいよ、私がやるから、私がやらなくちゃいけないんだから!!」

「隊長、何か変だぞさっきから……」

明らかにおかしい、何か錯乱してるような。
















「そうねん、闘えない悪魔なんか価値が無いわねん」

「!?」

何言ってんだ?

「闘えない、役に立たない悪魔は、どうなるのかしらん」

「……」

「悪魔さん……いえ、何者でもない、だって守れませんでしたもの、何も」

「守るよ!! 守る為に魔法が私にはある!!」

何話してるんだ二人とも?

「あはは、何を守ったんですか? 陛下は現にここにいる。

あなたが何も出来ないから、何もしなかったから、今来た男を見なさいな」









……コイツ……

「ボロボロ、魔法がない、貴女が守らなかったから、犯罪者にまでなって……」

「え? あ……」

隊長? なんだ?その目は……

「ほら、逮捕したらいかが?未許可実体銃使用の犯罪者ですわ」

「え? あ……ケイスケ君?」

「隊長?」

訳分からん、何でそんな事で戦意が薄れる……

「それもみーんな、あなたが何もしなかったから」

「わっけわかんねえよ猿!!」

























なのは視点

一人になるの?

ケイスケ君が銃を使って、そうなったのは私のせい?

みんなの、六課のいつもを奪うのは、私?

ヴィヴィオからお父さんを奪うのは……私?

違う、私は魔法がある、魔法は私に友達を、慕ってくれる子をくれた。










じゃあ負けたら?






一般人(ケイスケ君)より弱いエースなんか……

「わっけわかんねえよ猿!!」

分からないよね、ケイスケ君には……










ケイスケ君、誰にも必要とされない人の気持ちが分かる?

私は、いてもいなくてもいい子だったんだよ……

みんなが大変な時にも、いなくてもいい、邪魔な子だったんだ。

お父さんの剣、それに触れる事も出来なかった、剣士の一家で……剣の握れない子。

だから、一人で……











そう、さっきの女の子は私。

魔法って特別が無かった私……

みんなが認めてくれる、私の特別。

フェイトちゃんも、ユーノ君もはやてちゃんもヴィータちゃんも、






みんなみんな魔法があったから友達になれた……

君みたいに……誰とでも友達になれる子なんかじゃ……ないんだ。












ヴィヴィオ……貴女も?

ヴィヴィオはケイスケ君に向かっていった。

それを捌いて、防いで、動く度に首と左手に血が滲む。

危ないと思っても声が出ない……

何かが、私の中の何かがズップリと沈んでいく……

エースじゃない(魔法の無い)私は……

なんなの……

























はやて視点

動力炉に着いた時に目に付いたのは砕けるアイゼンと……

ボロボロのヴィータ。

ごめんな、ありがとうな、ヴィータ。







「鉄鎚の騎士ヴィータと、黒鉄の伯爵グラーフアイゼンがこんなになるまで頑張って……砕けんもんなんか、この世にあらへん」

抱き締めたヴィータに返した言葉に嘘はない。

ある訳無いんや……














同時に砕け始める動力炉

これで、ゆりかごのスピードは落ちるはず。

ヴィータに復元をかけるけどよろしくない。

「はやて、もう平気だ」

「あかん」

確かに危険な状態は抜けた、せやけど動いてええとは絶対言えん。

「もーいいよ、再生プログラムが劣化してるんだ、これ以上は……」









……分かっとる。

夜天オリジナルが失われて、私のコアって不安定なシステムに変わって。

復旧ソースが劣化を始めてるって……

だけど……

「それより、なのは達の方に行ってくれ、何か変だ」

「なんやて!?」

そういえば……なのはちゃんの魔力が不安定に感じる。

AMFやブラスター使ったせいかと思ったけど……

「ごめんなヴィータ、すぐ応援が来るからな」

おーうって返事を背中にスレイプニルを最大速度に

「ケイスケが……」

「いや、ケイスケ君はその辺見切れる子や」

邪魔ってことはないはず、つまりそのくらいの強敵……

速く、速く速く……

ガジェットが沸く、邪魔や!!

リインのフリジット、私のブラッディで段幕。

「退かんかー!!」




























クアットロ視点

ふふふ、いい感じ。

エースさんはかなり戦意が無くなってる。

やっぱりこの方の急所、それは……

孤独感。

彼女の家庭環境は素晴らしいくらい恵まれてます。が

そこに馴染めていない。








家族に対して一歩引いた形で接していて。

まるで、嫌わないでと言っているよう。

魔法を身に付けてからは特に顕著ですね。

隠し事をしている事に怯えて、よりいい顔をして。

確信したのはW型に落とされた時の精神判定結果。

すっごく必死で、追い詰められたようにリハビリテーションをした根底は、

魔法という才能への依存症。













魔法を身に付けて、魔法で身を立てたはいいけれど、

結果、魔法を介してでしか人と接していない。

少なくとも魔法を手にしてからの11年間は、親しい人間は魔法関係だけ……

魔法の無くなった自分に自信が全くない。

魔導師で無くなった自分に価値を見出だせない。

だから怖くなったのね。

なあんて情けない……










聖王様も段々と男を追い詰めている。

未だにしぶとく食い下がってるけど陛下も徐々にスピードが上がってますし。

他のナンバーズとドクターがやられても、私が残れば、ふふふ。

陛下がいれば戦力は問題無い、軌道上に上がれば艦隊が来ても返り討ち。

あはは、さあ、足掻いて苦しんで、死んでしまいなさい、お二人仲良く……

揺れた、ゆりかごが、何!?

動力炉が破壊?

紅いおちびちゃん!?

しつこい、まだ消えて無かったの!!

「……パパ……ママ……!!」

陛下!?

























なのは視点

ヴィヴィオ?

言った、パパママと……

「ヴィヴィオ!!」

まだ、そう呼んでくれる?

私を……

でも……











「オイコラ!!それ止めろってんだろ」

ケイスケ君……

私は……いいの?ママで……いいの?

「ママ……」

「隊長、何で返事しねぇ!!」

「だって……私は……ママって呼ばれていい人じゃ……」

ママは代わりのつもりだった、私はいつ落ちるか分からない人間だから。

それって、つまり、ヴィヴィオより魔法使いな自分が大切って事で、

ママなんて呼ばれていい人間じゃ。

私は……私は……






「いいか隊長、俺のオフクロは母親としちゃ失格だったよ!!

片親のくせに仕事ばっかで!! 運動会の弁当だって冷凍で!! 勝手におっちんで!!」

失格……

そう、私も……

「だがな!! 大好きだったよ!!

ヴィヴィオだってそうだ!! ガキなんかな、オフクロってだけで好きなんだ!!」

……ヴィヴィオ? 本当?














「……ヴィヴィオ?」

「ママー!!」

エースじゃなくなっても……魔法が無くても……私を……ママって……呼んでくれる?

「まだ腹が決まらないなら言ってやる!!

ヴィヴィオを奪い返す!!

アンタの力が必要だ!!

手を貸せ、高町なのはぁ!!」















何だろう、手に、足に……ついていた重りが、取れた。

『ワイドエリアサーチ、リスタート』

レイジングハート!?

『完了予想時間、残り……』

……ごめんね、私が折れてた時に、頑張って……

視界が晴れる、手足に力が行き渡る、腕の痛みも、それが意識を高めてくれる。











「ごめん、どうかしてた」

「遅えよタコ」

「あ、ひどーい、そういう事言うんだ」

ああ、彼だってそうだ、魔法なんか関係無い、私を私と見てくれる。

まだ立てる、立って。









「ヴィヴィオ!! 今助けるから!!」

「ママ……あ、ダメ!!」

濃厚なAMF化なのにヴィヴィオはまるで関係なく魔法を使う。

光球が集まりまるでティアナのバリアブルショットをシューターで撃ったような魔法。

「ケイスケ君後ろに!!」

ケイスケ君まで含めるバリア、着弾で何も見えない。

さっきまでならここでシールドを張り、ヴィヴィオが割ってくる。








だから、張らない。

煙を抜いてくる影に、後ろらか影が迎え撃ってくれる。

「手抜きか? なのは隊長?」

「信頼したんだよ」

接近戦なら彼はまだヴィヴィオを止められる、その理由も分かった。

ヴィヴィオを誘導し、誘い、ケイスケ君が避けられる攻撃を誘発させてる。

一撃二撃、三撃目!?

ヴィヴィオの右が入った!!







「……へへへ、小指が握れなきゃな!!」

そっか!! だから!!

そのまま、あっという間に押し倒す、何をしたのかよくわからないけど、こっちの準備は後少し。

触れれば電気が来る、それでも彼は

「ガガガガガ、は、な、す、か、よ!!」

……ありがとう、そして










「離れて!!」

倒れたヴィヴィオにバインドとクリスタルケージ、これなら時間を稼げる。

「もうちょっとだけ……待っててね」

『ワイドエリアサーチ、クリア』

見つけた!!








サーチの先は最深部、今から飛んだって間に合わない、だから

「まさか、壁抜き、そんな馬鹿な事」

できる、AMFは重い、体はボロボロ、だけど!!

「ブラスターV!!」













身体の負荷が凄い、バラバラになりそう、でも!!

ヴィヴィオが、ケイスケ君が、フェイトちゃんが、はやてちゃん、スバル達、みんなが頑張ったんだ!!

みんなの仲間は、友達は、こんなもの、何でもない!!

「プリーズ、マガジン!!」

しまった、片手じゃ!?

背中に、温かいものを感じる。

「これか?」

ケイスケ君!!

その手はレイジングハートのマガジンに

「いくよ……エクセリオン!!バスター!!」






































円形条に穿った穴。

エリアサーチのスフィアも巻込んだから倒せたのかは分からない。







「多分、終わった、空気が緩む感じがする」

レイジングハートから手を離して、ケイスケ君の予想。

多分当たってる、私もそんな気がするし。

ヴィヴィオは?




「……あ、うあ」

まだ、戻ってない。

どうしよう……

「おい、平気かヴィヴィオ」

「あ、だめ!!」

ケイスケ君の手を振り払う。

「ダメ……ダメなの、身体が勝手に……逃げて!!」

……ううん

「誰が逃げるか馬鹿」

「ヴィヴィオ、帰ろ、みんながいるところに」

自分の言ったみんなって言葉がすっと出たのに自分が驚いた。

そうだ、私は、帰りたい、ヴィヴィオを連れて。


















「ダメなの、私は、人間じゃない、ゆりかごを動かす端末で、本当のママも……」

知っちゃったの? そっか……でも

「そんな事は聞いてねえよ馬鹿ガキ」

「パパ……」

「だからそれはよせと……」

こだわるなー。

そんなに私とフェイトちゃんやヴィヴィオが嫌かな?









「どーでもいい、お前は連れて帰る、お前の意見は知りません、聞いてません、ぶん殴っても帰るぞ」

「はは、大丈夫、帰ったらそんな事させないから、ね、ヴィヴィオ」

ヴィヴィオ、あなたは

「帰りたくない?」

直接聞きたいんだ、あなたの口から。











「……帰りたい……」

もう一度、言って、ねヴィヴィオ……

「帰りたい、六課に……何時もみたいでいたい!!」

「うん、うん!! 帰ろう!!」

「スバルが言うには、魔力ダメージで何か抜けるらしい」

「早く言ってねそういうの」

もう……いいけどね。

「ヴィヴィオ、少し我慢してね」

ビットのバインドで止まって貰って












「スターライトブレイカー、いけるよね、レイジングハート」

オールライトと何時もの返事。

「我慢してね、ヴィヴィオ」

「できるな、お前は……強い子だ」

「……うん」

いい子本当に……ヴィヴィオ。

チャージが始まる、周囲魔力を集める、魔力が拡散するこの環境。

収束魔法の相性は最悪、でも出来る。

身体中が痛いし、疲れたし、ブラスターの無理矢理で頭が割れるよう。

それでも。

ヴィヴィオのケイスケ君の、二人がいるって事が嬉しくて……

いくらでも力が沸いてくる。

片手でレイジングハートを振り上げて、その手にそっと被さるのが……










「手、貸すよ」

背中に回ったケイスケ君。

私の魔力の足場に立って、レイジングハートを握って……

これで、出来ないなんて嘘だ。

「……いくよ、ヴィヴィオ、ケイスケ君!!」

臨界まで溜まった魔力が、今。

「スターライト……ブレイカー!!」

























ケイスケ視点

終わった……

桃色の閃光の中、ヴィヴィオから何かが出て、そして消えた。

隊長が円形魔法陣を消し、降り立った所には。












「なあ……隊長……非殺傷だよね?」

「な、当たり前でしょ!!」

いや、だって……クレーターですよ?

ピッコ○大魔王が悟○に撃った時みたいな。

ビット(でいいのか?語源がアレだが)からも馬鹿みたいな砲撃が出て……うん。

不謹慎だが、









ヴィヴィオがヤ○チャに見える……

「ヴィヴィオー平気かー」

「……うん」

助け起こそうとする隊長に対して自分で立つと主張するヴィヴィオ。

はあ、終わったか……

「おおい」

ん? 部隊長か……

「はい、遅刻」

「ちょっ!?」

いや、もー終わったしね。

マジで疲れた……眠い……

「パパ平気?」

隊長に連れられたヴィヴィオ、取りあえず、でこピン。

「パパ禁止」

「ううう、ママーパパがー!!」

「はいはい」

ああ、本当に終わった……長い、本当に長い一週間だった……

















部隊長が猿拾って戻って来た時に、突然鳴り響く警告音。

何だ? ベルカ語? 何言ってんだ?

部隊長のユニゾンが解ける、あれ? 何?

「な、何が起きてんの!!」

なのは隊長が開けた穴が、入口が、バインド系で封鎖される。

こ、これは……まさか……

「……一言で言うと……脱出イベント発生や……」

「……マジ?」







後書き

お、終わった、色々と終わりました。

後は最後の脱出イベントです、しかしまだ一悶着。

それが終われば……

あ、ちなみにまだちょっと好意的のつもりですよw





拍手レス


>ケイスケがラストバトルにどう絡むのか楽しみです!
>なんというかどんな展開になってもパパフラグは回避できそうに無いですねww

まあ、こんな感じです、余計なもん覚えさせてしまいました。
ヴィヴィオはなのはの天敵に成長です。


>鬼丸さんへ
>さあ、ケイスケ。ゆりかご崩壊時には、なのはをお姫様抱っこの状態で脱出するのだ。(ライティングボード使用で)

ぶっ壊してしまいましたw
ごめんなさい。


>蒼星のガンダム「ケイスケ、僕が黒の騎士団から盗んできた暁(飛翔滑走翼装備)
>で一緒に聖王のゆりかごを壊そうぜ。」

うーんサイズが小さくてダメかもw
せめて10m以下の機体ではレーバテインが必要では?
ガンハウザーモードでw


>ケイスケは一般人では上級クラス、魔道士では最低クラス以下ですか…
>それでもここまでやれるなんてすごいですね。

強いから勝つでは面白くないです。
勝ち目が無いところから勝機を奪い取っていくぐらいが好きです。


>鬼丸さんへ
>さあ、このままなのはとヴィヴィオ救出ルートか、それともVSクアットロルートか、どちらを選ぶ?

>それ如何によっては誰のルートに入るかが決まります。

>さあ、どうする?ちなみにVSクアットロルートだとフェイトかはやてルートに!!

えっと連投ですよね?
ヴィヴィオ戦に行きました。
でもはやても怪しいw


>姉御なディード? ……(・∀・)イイ!

えっとドゥーエでいいんでしょうか?
姉御とアネサン……いかん酒を飲み交わすシグナムとドゥーエを幻視しました。


>鬼丸さんへ
>本日の戦果 メイドさん一人ゲット、シスターからの愛のムチ。
>次回、メガネザル捕獲。

ケイスケは嫌でしょうねw特にメイドが、未来の死亡フラグをしっかり認識しています。


>ケイスケ まさかの連戦連勝!!ティアナよりもすごい戦果でしたね。次回も頑張ってください。

こんな感じになりました。
原作主役の面子を立てたなのはです。


>シスターあああああああぁぁぁあああああ!?あんた何してんすかwwww

潜入先の孤児院を割りとまじめにやってましたw


>この配役は予想外だったぜ…。
>は! 新たなフラグが立つか!?

ある意味大人のお姉さまの登場でございます。
ハニートラップだってやらかすお方でござる。


>鬼丸さんへ  ディードに萌えてしまった……wくっ、ディードで萌えたのは初だぜぃ!
>ケイスケはついに、ゆりかご突入へ……。
>ケイスケにとっっては、AMF?何それ美味しいの?って感じですねw 
>だって……魔法使えないもの!!

全くその通りですw
強化?足りねえよ!! ですから


>よーしGJだクアットロ。

ここに来てクアットロの株が急上昇!?


>やべえ。なにこの熱血展開。ドゥーエさんかっこよすぎぃぃぃぃぃ!!!!!!!
>そしてケイスケ、どんまい。

ドゥーエさんはかっちょいいお姉さまを目指しました。
ちなみに私生活はずぼらです、家事全般は出来ます。
休日に下着一枚で過ごしたりもw


>鬼丸さんへ:ケイスケ28話感想 
>ここで2番姐さん足止めと言うことは、レジアス&ゼスト生存ルートか?
>原作では潜入してヴィヴィオの遺伝子パチったり、のーみそ殺したりと地味だった2番姐さん。
>ドSなところにしびれました。
>でもこの人だけは隔離施設にも、更正施設にも行かずにどっか適当に隠れ住んでいそうな気がする。
>ケイスケよあとは眼鏡を殴ればokだ。多分ヴィヴィオにパパ呼ばわりされそうだが。   
>最後に、鬼丸さん今話もGJでした。

ふふふ、姉御は帰っちゃいますよ、施設にw
六課メンバーとも関係持つようになりますが。


>鬼丸さんへ
>腕が曲がっている悪魔さんって……聖王に負けたのか!?嘘だっ!!

関節技を覚えてなのはキラーにw


>良助並みに不幸なケイスケに幸あれ、放置プレイですね分かります(分かりたくなかったけどな

超死亡フラグです、病院で病院送りになっても可笑しくないw


>鬼丸さんとリョウさんが書いたドS(ナンバーU)扱いかなり違い過ぎると言うか
>ふてぶてしいのとM混ざってるのとで・・・・カオス?

公式が異常に少ない方ですから。
姉属性で余ってるのを探したら姉御キャラに。


>鬼丸さんへ
>ケイスケ・・・お前の株はストップする事がなくどんどん高くなっていく。
>つまりお前は最高という事だ!

あざーっす!! 
こんなに受け入れてもらえる主人公になるとは思っていませんでした。


>ケイスケの勇姿への感想を書きたかったんですが……
>舞の牛丼を見つめる姿で吹っ飛びました。←拍手絵ですw

舞じゃあしかたないですねw


>うん、自分の中でケイスケのイメージが、『アサシン・ハサン』と重なっていく……
>まぁ、使役者がアレじゃなければ『ハサン』は自分のお気に入りサーヴァントなんすがね。

……どのハサンなんでしょうか……
アサシンはみんなハサンなんですよね……


>鬼丸さんへ
>あぁディードがケイスケの下僕?メイド?化したか。
>ナンテウラヤマシ…ン゛ン゛ッ喜ばしいことになりましたね!今後の絡みが楽しみです。
>あと、この作品読んでてドゥーエ姐さんは教育関係かなりむいてそうと思いました。

ええ、施設では怖いお姉さんなんですよ、断じておばさんといっては(ぷしゅ


>鬼丸さんへ 
>原作で影の薄いドゥーエキターーーー!!
>これはフラグか?ふらぐなのですかぁぁぁ?!

生存フラグですよ?


>鬼丸さんへ
>ケイスケにデスホーラーやケルベロス、ジャッカル(13mmの奴)とかバヨネットを
>期待した俺は負け組・・・いや、負け犬ですか?

いや分かります、分かりますが、狂気に犯されるまで行ったら話しの収集が……


>鬼丸さんへ 
>ケイスケにライディングボートでF○ZACのバイクで戦うシーンの空中戦バージョンをやらせて下さい!

どっちかというと、カットバックやらせたか……


>鬼丸さんへ 
>ドゥーエのアニメでのイメージが粉微塵に砕かれました。どうしてくれるんですか?
>かっこいいじゃないですっか!!!!

よっしゃ!!と握り締めました。
ドゥーエは男より男前な方になって欲しいです。


>鬼丸さんへ。
>毎回楽しみにしております。
>考えてみれば、魔法抜きの人間が戦闘するってコト自体全く無いコトなので、
>どう戦うのかって読んでいてヒジョーに興味深いっす。
>戦闘機人にEMC(電磁パルス)を使ったら行動不能にできるのかなー、とかチャフ
>やスモークディスチャージャーはどこまで有効なのかな、等々。
>いずれにせよ、戦える事を戦う理由にしないで戦う男ってカッコいいですねぇ。
>まもなくクライマックスかと思いますが、頑張ってくださいな^^

ありがとうございます。
StSの不満に、仕事で戦う人?っていうのがあったので自分の都合で
というのは決まっていました。
後力は無くったって人はやろうと決意できると思うのです。




追記 拍手は出来るだけあて先を書いて送ってください。

拍手はリョウさんの手で切り分けられています。

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