前回:意見会の警備に六課が全員出て行きました。

ヴィヴィオの認識は危険極まりないです。

敵の狙いはヴィヴィオのようです。

逃げます!!



              ケイスケの機動六課の日々 その25



爆発音が響き始めた。

交代部隊とガジェットが戦闘を開始したのだろう。

レーダー上の反応はゆうに三桁いた。

それだけなら何とかなったかもしれないが、今回は更に戦闘機人が二人。

ヴァイス陸曹が避けたあの砲撃はランクでSだったらしい。

残念ならがら交代部隊のメンツでは厳しいだろう。

あまり時間があると思わない方がいい。

目的地まで後少し、

「ってうわ!!」

とっさに伏せた俺の頭を高圧縮の魔力弾が掠った。

ってガジェットは魔力弾使わねえ、まさか機人!?

「お前いきなり顔出すなよ」

「ヴァイス陸曹かよ!?」

撃つなよ確認しろよ、死ぬよ俺!!

悪い悪いですますな!!

「で、お前も避難か?」

「あ、いえ」

ここで説明、隊長達が戻れるまでここで耐えるのは難しい、

せめてヴィヴィオを渡さないように逃げると。

「……外はかなりヤバいのか?」

「見た感じ数は三桁、プラス戦闘機人二名」

「シャマル先生も一旦奥にきてる、一度話すべきだな」


















「難しいわね」

シャマル先生の評価は開口一番がそれだった。

即席会議メンバーは俺、ヴァイス陸曹、シャマル先生、ザフィーラさん。

「六課から町に行くルートは橋だけよ、ばれないで渡り切れる? ヴィヴィオちゃんを連れて」

……無理だ、俺一人でも厳しいのに、ヴィヴィオを連れてなんて。

直接隊長達に連絡とりに行くのも没。

それなら通信確保の方が早い。

「だけど、籠城は」

「それも分かってる」

先生にしては珍しく指を噛んで焦れている。

何かの手を打たないと既に詰む一歩前なのだから。




「……我に考えがある」


































火の手の上がり始めたガレージ施設、そこから出て来るのは一台のバイク。

乗り手は背に大きなリュックを。

十分に暖気、急発進で最短距離を街まで。

しかし、その姿は空からは丸見えだ。

空からやってくる二刀使いのロングヘアの女と中性的なショートの女。

速度は若干バイクが勝るがそれでもショートの女が手にした球体、

恐らく何かの魔法、それが炸裂するまでの時間の問題。

「その背中、見せてもらいます」

恐らく熱紋センサーでもあるのだろう、

確実に荷物に生態反応があるのを確信している。

止まれと言われて止まるやつもいない。

ライダーは答と言わんばかりに加速。

「仕方ない」

ショートの女が呟くと同時に球体は解けて平面に、

それが炸裂する瞬間。





「わふ」

リュックから顔を出す子犬。

ほんの一瞬、襲撃側の動きが止まり。

「テオラー!!」

子犬改めザフィーラさんが飛び出し何時ものサイズに、同時に地面からは無数の刺。

ザフィーラさんのバインドと攻撃を併せ持つ鋼の楔が地面狭しと生えていく。

「ケイスケ君、用意は!!」

「ヴィヴィオ、平気か?」

「うん、にぃ、一緒だよ、ね」

若干震えるヴィヴィオの頭を撫でる。

シャマル先生に環境保護の魔法、有り合わせだがビニール袋で作った浮輪に今着てる服を入れる。

そのまま海を泳いで街まででる。

そこからは無線で暗号会話を使い回収してもらう。

後は俺が下手をうってガジェットに補足されなければ行けるはず。

既にザフィーラさん達は戦闘を始めている。

ザフィーラさんが盾になり、ヴァイス陸曹が隙間から狙撃。





時間稼ぎ……

これで上手くやらなくちゃ俺が廃る!!

「あ、ケイスケ君、ちょっと」

はい、と思うと頬に手が、

あ、怪我してたのね。

「はい、お終い、気をつけなさい」

はいはい、よし、行くぜヴィヴィオ。


























ザフィーラ視点

ち、流石にあれで終わらなかったか……

当たる寸前に上空に逃げられた。

だが目的は達成された。

「旦那、なぜ俺もセットなのでしょう?」

貴様、我をシャマルの運転に晒す気か?

それより

「来るぞ!!」

二刀使いはかなりのスピードで突っ込んでくる、が

正面のシールドで止められる、ここでもう一人に追撃されれば厳しいだろうが。

「全く、俺はヘリパイですよっと」

ヴァイスの精密射撃がそれを許さない。

集中させるスキを与えず、加えて二刀の方にも牽制。

汎用デバイスでよくやる。

「ふむ、我とのコンビ相性は悪くないな」

「ええ、全く!!」

我が盾を作り、その盾の隙間を抜く技術がコイツにはある。

これなら正攻法でももったかもしれんな。

む、機人にワイヤーが、シャマルか。

と言う事は出発したな。

ふむ、悪いがもうしばらく付き合って貰うぞ戦闘機人!!

遠吠えを上げ、気を入れ直す、さて、貴様らは我が盾抜けるか!!




























ケイスケ視点

なるだけ音や波を立てないように立ち泳ぎで、

歩く時間の倍かかったが何とか岸までたどり着いた。

「ヴィヴィオ平気か?」

「うん、にぃだいじょうぶ?」

大丈夫、大丈夫、ちょっと疲れただけ。

服と一緒に入れておいたタオルで軽く拭いて直ぐに着替える。

ザフィーラさん達は、

まだ戦闘音が聞こえる。

だったら早いところ移動だ。

「ヴィヴィオ、走れるな」

答は聞かないで腕を取って走る。

街に入っちまえばこっちの物だ、

数百の人間から俺とヴィヴィオを見つけるのは容易くない。

街に被害が出るかもしれないが、巻き込まれる奴等を心配する余裕は俺には無い。

お、バン発見。

渋滞に紛れた方がいいかもな……

ヴィヴィオに少し離れて貰い、カギを確かめる。

よし、抜いただけで逃げてる。

キーのカバーをぶち壊し、配線直結でセルモーターを回す。

持ち主さんごめんなさい、修理して返すから。

ヴィヴィオには後部座席で円くなってもらった。











そして現在は順調に渋滞に巻き込まれている。

確かに動けないが、どの道見つかればバンは捨てないと逃げられん。

後は何とか時間さえ稼げば……


























スバル視点

本部突入後、すぐさま襲って来た戦闘機人。

中でもローラーを付けた子、あれはきっとあたしと同じタイプ……

母さんを元にした三人目の姉妹なんだろう。

そんな事を考えながら到着した地下駐車場。

ナイスタイミングでなのはさん達と合流。

ギンねぇとはまだ合流してないけど、きっと大丈夫。

なのはさん達にデバイスを渡して、さあ反撃開始!!

「ロングアーチ? ロングアーチ!」

? フェイト隊長の呼び出しに答えない?

ちょっと、やな予感が。

「ケイスケにヴィヴィオを連れ出させた!?」

え? ……何で。

「襲撃? 六課にも? うん、うん」

……馬鹿、また危ない事して……

一応この事はギンねえにも伝えた方がいいんだよね。

情報共用は必要だし、そして後でギンねえと二人で怒ってやる。





あれ? あれ?

「ギンねえ、ギンねえ?」

「どうしたの?」

あ、なのはさん……

「ギンねえに通信が……」

心臓がやな音を立てるのが分かる。

ううん、違う、絶対に違う。

そんな訳ない!!

……母さんが逝った日みたいなんて!!










「二手に分かれよう、ライトニングは六課に、私達はギンガと合流」

あ……ううん、駄目だ、これがベスト。

インドアなら一番早いのはあたし。

アウトならフェイト隊長。

だからあたし達は早くギンねえを助けて、

「大丈夫です、スバルさん」

「エリオ?」

「ケイスケは……僕の兄ちゃんは、きっと大丈夫なんです」

あ、心配かけちゃった、キャロまでうんうんって。

後から合流したシスターシャッハ以外はみんな。

やだな、あたしが一番信じてないみたいだ。

そうだよ、ギンねえだって、ちょっと繋がらないだけ。

ひょっとしたらもう敵の一人二人やっつけてるかも。

ケイスケだって何時ものセコい手で切り抜けて「おっす」って

人の気も知らないで、馬鹿みたいに。

怒ってやるんだ、絶対。

それで明日からまた何時の毎日を続けるんだから。

もう、誰かがいなくなるのは……いやだ。




















ケイスケ視点

ラジオを一応つける。

ニュースは予想通り同じ事しか言わず続報がない。

「ヴィヴィオ、俺の荷物から無線出してくれ」

「うん、えっと、えっと、はい、にぃ」

サンキュ、と手だけで受け取る。

やはり観測をしている六課の方がよいだろう。

「ハローハロー」

……

ダメか? 届かないだろうか。

やはり他の部隊のを盗聴するか……

ザーザーと無反応が帰ってくるが、時折雑音が入ってくる。

そこをポイントにしてより細かく……

「……ろ……か……ほ……」

なんだ? 焦ってるのは当たり前だが、ぼちぼち本部が盛り返しが始まるころだろうに

「……機動六課炎上、救援体勢!!」

……は?

「本部はもういい、手の空いた者から機動六課に向え!!」

ちょ!!

思わずスイッチを落とす。

……くそ……どうするどうするどうする。

落ち着け落ち着け、今の俺達、ヴィヴィオには魔力封印をしてる。

そんな俺達は人海戦術で探すしかないはず、

相手が検問でも張れれば見つかるかもしれんがそんな事は有り得ない。

そうだ、今やるべきなのはなんだ?

六課の通信が途切れた、それはある意味想定内だ。

なら、今は見つからないように本部方面へ。

そのためには目立たずにいることが……



「にぃ、あの虫……」

虫? ヴィヴィオが指差す方向に目をやると羽がヘリみたいなのが、

!! やばい、例の召喚士かよ!?

ってことは

「逃げるぞヴィヴィオ!!」

その瞬間目の前が真っ白になった。

















……う、あ……





頭がぼーっとする……







ああ、そうか、車から飛び出して、ヴィヴィオは?





感覚が戻る手の中に重みがある。

よかった、移動しなくちゃ……

身体がフラフラする、あ、そっか、使っちゃったんだっけ……

少し少し感覚が生き返ってきて、やっとさっきの車に意識が向う。

あーもう返せねえや、悪い持ち主。

路地裏にはいったところで体の痛みが理解できた。








……あーあ、そういう事……

頭打って無いよな、気絶してるだけだ……

「おい、起きろヴィヴィオ」

揺するのはよくない、頬を叩いて起こす。

「……にゃ、パパ?」

コイツ、まあいいか。

「ヴィヴィオ、ちょっと一人でここ真直ぐ行ってくれ」

「? パ、にぃは?」

「ちょっと休んだらすぐ行くよ」

携帯端末を渡す、回線が生き返ればこれで。

「じゃあにぃと休む」








わりぃ







「お前さ、俺ならすーぐ追い付くよ、だから行きな、言う事聞かねえのは嫌いだぞ」

「ほえ?」

あー、もう泣きそうになるなよ、もう、よ……

振り返り振り返りながらヴィヴィオが奥の角を曲がる。

はー、行くか……

さっきの虫の死骸があったのには安心する。

歩くと足跡がハッキリスタンプされた。

行き先はヴィヴィオと違うが本部に向かう道、

壁に手をつけながらえっちらほっちら。

あーのろいなー、ヴィヴィオに負けるんじゃね?

「子供は何処ですか?」

……後ろから声がかかる。

「……誰が話すか、ばーか」




二人組に、

できるだけ不敵に、

笑ってみせた。
























ディード視点

目標施設の防御は想定以上。

予想された以上の戦力は確認しました。

しかし、増援のお嬢様の召喚魔法により障害は排除。

但し、更に想定外の自体。

最優先目標である聖王の器の不在。

急遽クアットロお姉様をこちらに配備、捜索を開始しました。

お嬢様の召喚虫からの反応を元に現場に、

虫がやったのか並んだ車両の一台が破壊されており、

そこから赤い成人男性の足跡が、

恐らく聖王の器はその男が連れていると判断。

その先にいた男、右腹部背面から右足部を紅く染めたのを発見。

「子供は何処ですか?」

聖王の器さえ確保すれば男に用は無いのですから。

しかし男は

「誰が話すか、ばーか」

そう返してきました。

「二人とも、なるだけ早くお願いねん」

クアットロお姉様からの通信です。

市街にまで手を伸ばすのはなるべく避けるのが想定です。

手掛かりがこの男なら

「時間がないから手段は問わないわ、聞き出しなさい」

冷たい指揮官の声で指示が下り、私とオットーに断る理由は、無い。





























エリオ視点

……何?これ……

薄暗い路地で、

目に見えたのは……

紅い、血溜まり……

帰還中にフェイトさんは待ち伏せを受けて、

あと少しで六課ってところで、戦闘機人が引き上げた、ケイスケを探せって通信……

街中の炎上した車、その先には、

「けーさん……?」

水溜まりの真ん中、ケイスケが……

「Fの片割れと召喚士ですね」

「……」

ケイスケ?

キャロが回復をして、血は止まって、でも、起きなくて。

「無駄です、既に心停止しています」

耳に入るものが分からない。

「ケイスケ、ケイスケ? 起きてよ、ねえ」

揺する、叩く、でも反応しなくて、体に力が

「Fのあなたと召喚士、私達と来てもらいます」

うるさい……そんな訳ない、ケイスケは……

ほら鼻を押さえるよ、苦しいよね、起きよう……

「けーさん、けーさん」

「キュル……」







息が







……肩に手がかかる

コイツらが……

ケイスケを……

右手を振り抜く、僕の意志にストラーダも答えてくれる。

「やめなさい、あなたでは勝てません」

知らない、そんなものは知らない!!

「嗚呼あ嗚呼!!」

髪の長い方に突く突く突く!!





(タメ語で話せよ)






上に逃げれば三角飛びで追う。







(まあ、取りあえず褒めろ)

「くっ」

防御の上から叩き落とす!!






(エリオ、何時もの)





もう一人が魔法を、させない!!




「ストラーダ!!」

投げる、そしてブーストさせて当てる。







(隊長ひでぇ!!)

(つかお前食い過ぎ)

(エリオ)

(おう、自慢の弟分だぜ)







……頭を撫でてくれない、笑ってくれない。

褒めても、遊んでも、話しても……

もう何もしてくれない!!

こいつらが、こいつらが、こいつらがー!!

ストラーダがオートで手に戻る。

全部の魔力とカートリッジを溜め込んだ一撃を!!

「エリオ君!! 後ろ!!」

!? キャロの声に反応したのは奇跡かもしれない。

見えたのは紅いマフラーと鎧のような甲殻。

何時かの召喚虫、ってことは……

「ルーテシア……」

キャロの呟き、そうだ、ひょっとしたら、ケイスケ達といたかもしれない子。

「……私を、知ってるの?」

そして、それは正解で、でも

「が!!」

後ろから頭を掴まれる。

しまった、油断した、こいつらに、こいつらに!!

「きゃ」

キャロも? くそ、くそ、くそ!!

「くそおおおおおお!!」

「エリオにぃ? キャロねえ」?

!? 何で、ヴィヴィオ!!





















考えてみれば簡単な話だった。

だってヴィヴィオが捕まらないで、ケイスケだけがいたのって、

つまりヴィヴィオを逃がしたわけで……

「お嬢様、その少女をお願いします」

!! やらせない!! 絶対に!!

「うああああああああああ!!」

それでも、僕を押さえる手はびくともしない、くそ、くそ。

なんで僕の手は小さい、体が、腕が、何で……弱いんだよ……

「パ、パ……」

見ちゃった、ヴィヴィオが、ケイスケを

「いくよ」

……ケイスケの、友達になるはずだった子が、ヴィヴィオを連れて行く?

なんだよ、なんなんだよそれ。

「やだああああ、パパアアアアアアアア」

力が、欲しい、力が、欲しい、みんな助けるくらい、強い、力……






















フェイト視点

ソニックムーブからのブリッツアクション。私フェイト・T・ハラオウンの近接用コンボ。

高速移動で背後に、

更に身体加速で大打撃を

でも



「ち!!」

瞬間的に回避運動、

コンマ02秒前にいた所を飛ぶブーメラン。

「ソニック!!」

再度高速移動。

ブーメランを投げた機人にアタック、






また!!

私の背中に感じる圧力、

十年前なら出来なかったソニック中の知覚が回避を選択。

半身上に機動を変え、

直下に高速タイプの機人が

「貰っ!?」

今度は砲撃。

回避運動を取るけど、少し掠った。

空中を飛びながら二回、三回、嫌になるくらい打ち合い、仕切り直す。

ナンバーVとZの戦闘機人。

空中高速型と中距離支援タイプ。

この二人が抜けない!!

リミットブレイクしてソニックフォームを使えばイケるだろうけど……

さっきエリオの魔力が爆発的に増えて、一気に減衰した。

何かあったのは間違い無い。

早く行きたいのにこの二人が……

自力でリミットを破っても一瞬で倒せるかどうかが分からない。

何より、この二人を倒して終わりじゃない。






焦れる。

また来た!!

高速タイプが突っ込んでくる。

元々高速タイプの私なら捌けない速さじゃない。

だけど、上下からブーメラン。

それを避けた所に砲撃。

あのZ番が邪魔だ!!

確実に反撃のタイミングを潰してくる。

「サンダー……」

だから、あちらを魔法で倒そうとしても。

後ろから来る圧力、

それを避けて構成が霧散する。

V番に邪魔される、バインドを設置しても場所をしっかり把握される。

く!! 厄介だ!!








「諦めて下さい、貴女にはここでもうしばらくお付き合い願います」

冷静に言われることにも意識がささくれていく。

どうする、多分だけど、AMFに干渉しにくい魔力波長に変換して魔法を使っているのが見破られる原因。

相手からすればその波長だけをチェックすれば不可視攻撃も見破れる。

でも波長を変えれば魔法が使えなくなる。

本当に、ジェイル・スカリエッティ、天才で、最悪の性格の悪さだ。

どうする、切り札を抜くしかないの?

発動まで一切魔力を発しないで感知されない遠距離魔法なんか……

あった!!

染み付いた局員としての心得がそれを使うことに制止を呼び掛けるが、

そんなもの、仲間と比べれば、意味なんか無い!!

エリオ達の方に全力移動。

「逃げられるとお思いか!!」

そう、追って来い。

私の移動を真後ろから追いかける。

そのタイミングで!!








「?  な、何?!」

当たった、最後は運だと思ったけど、賭けに勝った!!

当たったほんの一瞬だけ効果を確認した。

当たったのは腕だ、スーツの右腕に霜が見えた。

ケイスケから没収したカートリッジ。

下手な所に置けないし、最近はヴィヴィオがいるから持ち歩いたんだけど、

それがこう働くなんて。

Z番はV番の補助に、一気に離脱する!!

「く、次は、次は貴女でも勝てませんよ!!」

言われなくても!!

その時は奥の手を存分に振ってあげるよ!!

バルディッシュにさっきのエリオ達の魔力反応地点とミッド地図を照合してもらう。

完全に市街地、フリード達が戦えない……

間に合って!!

そう祈り、可能な限り加速する。








な、何? 目的地から別の魔力反応、しかも、まだ数キロと離れてるのに視認できる。





色は、まるで虹色の……
















エリオ視点

目の前が極彩色に染まった。

あんまりにも状況が入れ替わりすぎて頭が付いていかない……

光を出しているヴィヴィオ、掛かっていた魔力封印を自力で解いたのはわかる。

でもこの色は……




騎士を目指している僕はベルカ史も勉強している。

だからわかる。

これは、

カイゼルフェルベ……聖王家の魔力光だ……

ヴィヴィオ……つまり君は……

「パァァァァァパァァァァァ!!」

その魔力光はある一点を目指して飛んで行く、今行く所は。

「これ、シャマル先生の……」

回復魔法、それが、ケイスケに……








「……パパはよせって……何べんいわせんだよ……」

ケイ、スケ……

「あーくそ、頭がフラフラする……っと何やってたんだっけ?」

ほ、んとに、生き返って……

生きて、声が聞こえて……

「取りあえずてめぇら……人の兄弟分に、何してくれてんだー!!」















「安心しました、犠牲を出さずに終わる目標が達成できます」

僕を押さえていた圧力が消える。

飛び出してケイスケを助ける、そう思った瞬間に全身が締め付けられた。

バインド!!

ケイスケが!! でも今度は死んだりは……

ケイスケに迫る機人、ケイスケは構えるけど、でも

大上段に振り下ろされるエネルギーブレード、

え?

「ぐ!?」

機人が競り負け?

ケイスケはアッパー風にパンチを撃った。

よく見えなかったけど、あれは……

握り、握りを殴った!?

「ディード!?」

ディードって言うんだと何処か冷静に聞く。

ケイスケは止まらない、剣を落とした手を握り、地面に投げそのまま。

「!! きゃあ!!」

ディードの上げる悲鳴。

地面に仰向けに倒して、腕を引き、付根を踏み付けて。

ゴキって外れる音が。

「……! レイスト」

危ないと叫ぼうとした時には

ケイスケはディード腕を無理に引っ張って盾にした。

容赦なく、それで手段を選ばない。

これがケイスケの……

「けーさん、ひょっとして、まだ意識が……」

た、確かに、キャロのちょっと外れた感想だけどそうかも。

だってあんまりにも、

「キャロ、エリオ、ヴィヴィオを!!」

え? だって僕達バインド。

もう一人も僕達を確認してって

バインドが解けた、いや、ケイスケが術者に人質を蹴りいれた。

「ヴィヴィオ!!」

そのままルーテシア走り出すケイスケ、

「エリオ君、スピードブースト」

キャロの補助強化

今は頭を冷やせ、エリオ・モンティアル。

この場合、やるべき事は、





こっち!!

ケイスケに割り込もうとする召喚虫

そこに入り込む!!

鍔競り合いの音が響く、人型の奴の爪とストラーダだ。

ケイスケの邪魔はさせない!!

「インゼクト……」

「ダメです、モード2!!」

ルーテシアの反撃をキャロの遠距離魔法が相殺、やった!!

もうケイスケを邪魔するものは、

って、何で僕のほうに飛んでくるの!?

だめだ、僕じゃ支えられない。

召喚虫の追撃が無かったのは奇跡だ。

「はあ、はあ、終わっていません」

ディードって人!! 片腕なのにまだ!?

くそ、こっちだって、

「三人とも、ひきあげよん」

え?

敵の通信、引き上げ?

「……」

「もうすぐこわーい人が来ちゃうの、器は手に入れたんだから帰ってきてね」

眼鏡の戦闘機人、前の時の

「てめぇ、帰すわけねぇだろうが……」

そうだ!! ヴィヴィオを連れて行かせる訳ない!!

「ヴィヴィオちゃんは置いて行ってください」

「絶対行かせない!!」

キャロが左に、僕は右に、絶対にヴィヴィオは守る!!







「……うーん、ごめんなさいね」

「二人とも下がれ!!」

何故なんて思わず下がる、ガジェットが墜ちてきた。

そして空く空間。

「転送……」

!? ヴィヴィオが!!

転送魔法の発動、目の前で消えて行く、泣いてるヴィヴィオの顔が目に、焼き付いた。

「くそ、くそ、くそったれがぁー!!」

……ガジェットを倒そう、もうそれしか、できない……









ガジェットを倒した頃、空から大きな魔力反応は近づいてくる・

「三人とも、大丈夫?」

……フェイトさん……

ごめんなさい……ごめん。

「けーさん!?」

「ケイスケ!」
え? ケイスケ、倒れて、































スバル視点

……ギンねえ……

さらわれた、ギンねえが……

三人がかりで、腕が、目が……

あたしが遅いから、弱いから、ギンねえ、ギンねえ、ギンねえ……

聖王教会の病院、局員の負傷者は全員ここに。

キャリバーも、ナックルも壊しちゃった、戦闘機人の力も使っちゃった。

もうどうしたらいいんだか分からない……

ギンねえ……なのはさん……ティア……ケイスケ……

誰か、教えてよ……













? フェイト隊長?

空を飛んでここに……

「早く!! 脈が弱い!! 輸血と体液補給!!」

「血液のストック……」

「怪我の……」

誰か抱えて……

直ぐに救急ベッドが私の前を

「スバル!? 少し離れて、早く」

え?

運ばれてるのって……






ケイスケ?

足場が、崩れる音が聞こえた……

「スバル?……スバル!!」

誰か、夢だって言ってよ……





後書き

日常が崩れ去りました。

いつか来るのは分かってましたがそれでもちょこっと心が痛いです。

それでは次の話で



拍手返信



> ※遂に来ましたね…一般ピーポーのケイスケにとっての鬼門、死亡フラグの宝庫
> “本部襲撃”……。
> さあ!此所からは慎重に選択肢を選ばないと
>某正義の味方見たいにあっさり死んじゃいますよ…
 
ハイ、死んじゃいます、このようにあっさりと。
ケイスケは車にはねられても死ぬような人間です。



> な ん だ こ れ !?
> ヴィヴィオとケイスケの逃避行かな?

あっさり終わりましたけどね、そのまま禁断の駆け落ち(え〜




> 質量兵器片手に(あるいはアングラの知り合い頼みに)
>数の子連中から逃げ隠れするわけですね、わかります。
 
アングラな手は使用しましたが隠れきることはできませんでした。
完全に敗北状態です。





>ケイスケはこのまま襤褸雑巾にされるのか、
>スカ先生の下に連行されるのか楽 しみですな

雑巾になってしまった……スカ先生のところにはいきません。
というより連れて行かれる理由がない。





>14話で没収された「アレ」が死亡フラグをへし折る!……といいなぁ

ケイスケ本人ではありませんが、多少は状況を変化させました。




> 六課襲撃発動ー!ロングアーチ面子もいちおー覚悟してたんですね。
> ケイスケも「また明日」発言はなんかホッとしました。

残念ながらいつもの明日は来ません、
それでも来ることを望むものですが。



> ケイスケはヴィヴィオをつれてどこまで逃げれるんでしょうかね?
> シャマルたちが機人おさえてもルーテシアがいるから逃げ切れないなー。
>このままだと入院だろうなー

むしろ死にかけました、というかお花畑まで行きましたw



> 「シグナムの乳を貸したる!!」 「乗ったあ!!」
> こんなケイスケ君は大好きです(´∀`)b

おっきい胸には男の子(一部女子)のロマンが詰まっているのですw



> 今回の名ゼリフ 「むう、パパはヴィヴィオとママのなの」
> 「それでね、フェイトママとなのはママとヴィヴィオと四人で寝るの」
> 是非なのはENDかハーレムで。

いやー、さすがに拒否するかと……川までならともかく……



> いつも楽しく詠んでます。次のケイスケの逃亡に期待してます。
> あ、関係あり ませんが、私ハーレム嫌いです。

おお、拒否意見は珍しい、
とりあえず、当分する気はないです。



> ケイスケにはハレムは違和感が……ということで、
> なのはかフェイトエンド希望!www

えー、ひと段落着いたり、もしくはシリアスに
私の脳が耐えられなくなったら



> ケイスケ、ヴィヴィオを連れて逃げるのは死亡フラグ

ずばり回収しましたw



> ルー子と会うかな?

話までは出来ませんでした。

ここは弟妹分にがんばってもらいます。


> 鬼丸さん、アーカードさん並の戦闘力をケイスケに。

皆殺し!? いや結局消えちゃいましたけどねアーカード



> ケイスケ!!!コスモを燃やすんだ!きっと三割ぐらい聖剣が宿ってるだろう!!!!

だからその三割ってなんだーーーーw



>
> 鬼丸さん、ケイスケの起動六課の面々より親しい友人たちは出てこないんですか?

一応一名登場予定です。

ちょっと重要な配置に持っていきます。



> このままヴィヴィオとケイスケ二人とも拉致られてナンバーズサイドへww




> みんながハーレム、ハーレムうるさいからむしろ
> 「女々しい野郎どもの詩」をバックに
> 次の配属先に向かうケイスケをげんそうしてしまったじゃないかw
> とはいうものの、これといった引き合いがなければ
> クロノあたりが引っ張っていくような気もするけど・・・、
> ん?、グリフィスあたり加えて「向日葵」?

むう、男くさいENDw

ぶちぶち文句を言いながら仕事ですね分かります。



> …なんだろう、ケイスケがヴィヴィオやギンガと一緒に攫われそうな気がしてきた…。

攫われませんでした。

レアでもなんでもない男です。




> ケイスケは恐らく副リーダーとかその辺りになれば実力を発揮できると思う。

ある意味今と変わらない気もする……




> 次回はケイスケ、チヴィオ抱えて逃げまくる、ですか?
> あと、逃げる際段ボールは必須です!!

スネーク!? あ、関係ありませんがMGS4でビッグボス取りましたw




> 考えてみれば没収された例のカートリッジ(私命名:カートリッジボム)があれば
> ケイスケでもなんとか戦闘機人とも戦えますよね。…数さえあれば。

確かにあれば何とかなったかもしれません。

でも残りはフェイトさん所持です。



> いや〜、ケイスケ君も結構な観察眼持ってるね〜

というより、観察能力がないと喧嘩が売れないのです。



> 状況判断が的確だよ・・・

状況判断もケイスケレベルでは必須の能力です。

基本ケイスケに特殊能力はありませんので



> これで魔力資質あったらさぞ逸材だっただろうに・・・

一応0ではないです。

ただまともな魔法を使うだけの魔力がないです。







作者さんへの感想、指摘等ありましたらメ−ル投稿小説感想板

に下さると嬉しいです。