なんだかあの日以来、ひどくいらつくことが多くなってしまった。



その感情が何故湧き上がってくるのか、その理由が分からぬまま数日が過ぎた。









いまだにあの時スタークさんに言われたことの意味が理解できぬまま、太陽はもう山に隠れようとしていた。







●魔法少女リリカルなのはstrikers〜空を見上げる少年〜第10話 〈皆、迷う〉●

湾岸地区に夜の冷たい風が吹く。

季節はまだ春だが、夜風は少し肌寒く、僕のマントを揺らしていた。

僕はいま臨海公園に、来ている。ひとりで。

今日は朝からずっと、観測をしていた。別に本局とかから仕事があったわけじゃない。ただ・・・。

何かしていないと、いらいらが収まらなかったから、でも夕方にはそれも終わって手持無沙汰になってしまい。

結局夜までやることが無く、理由の分からないいら立ちに襲われ、こんな時間に観測課を飛び出したというわけだ。

多分あのままだったら、レイナさんにも八つ当たりをしそうだった。

僕は、何故こんなにも苛立っているのだろうか。

そう思えるってことは、頭は冷えているらしい。

しかしだからと言って、思考に全力を注げるほど、冷静でもなかった。

僕は重く息をつくと、臨海公園のベンチに腰掛けた。

こればかりは上を向く下を向くという程度の事じゃない。

まず僕が今、下を向いているのか、それとも上を見ているのかさえ分からないのだ。

落ち込んでいるのか、そうじゃないのか。

落ち込んではいないと思うが、それなら?

僕はふと空を見上げる。

明りの多い市街地とは違って、ここは明かりも少なく星がよく見える。

・・・綺麗だな。

でも、それでもいら立ちは収まらない。

別に気持ちをおさめようとして見上げたわけではない、ただなんとなく見上げただけ。

僕はしばらくその空を見上げていた。















・・・日が昇って・・・いや日が昇る前から、108の第6小隊小隊長室はちょっとした修羅場と化していた。

小隊長が、焦りに焦って書類に目を通したりまとめたりしている。

俺が見る限り、平時にここまで動く小隊長を久しぶりに見たきが・・って!

「おい!スターク!ぼさっとしてねぇで、こいつで部屋を掃け!」

俺は小隊長が放り投げたほうきを、キャッチすると、指示どおりに床を掃く。

小隊長も珍しくピシッと制服を着こなしていた。

なぜこんな事をしているかというと・・・。

「っだーーーーもうッ!! なんでこんな仕事たまってる日に、査察なんだよ!!」

そう査察があるのだ。といっても別に本局などではない。

我々の所属する108部隊には1〜10までの小隊があり、それぞれに小隊長そして自分の様な補佐官がいる。

それぞれ1〜5を上大隊それ以降を下大隊と呼び、その2つの大隊にもそれぞれ責任者1人づついる。

そして今日査察に来るのは、我々第6小隊が含まれる下大隊を率いる総司令官というわけだ。

はっきり言って、初めてお会いした時は驚いた。

何にってその目つきもそうだが、独特の雰囲気というか・・。年齢は小隊長よりも2年若い23だったが、

厳格さの中に部下への優しさを持った素晴らしい人物だったのを記憶している。

だがその半面、性格がとにかく苛烈で一途な性格で、更に判断基準が管理局ときたものだ。

そのため、管理局に異を唱える事を基本的には嫌う。話では機動六課もあまり好ましく思っていないらしい。

だが真に驚いたのはその魔道師としての能力だった。

術式はミッド・ベルカのハイブリッドだが、魔道師ランクは空戦Sランク。

何故空戦Sランク魔道師が陸の隊を率いるのかには疑問が残るが、そんな疑問など、

遠くの彼方へとふっ飛ばしてしまう程の実力の持ち主だった。

部下思いだが近寄りがたく、近くにいるだけでこちらが気疲れをしてしまうほどの人物なのだ。

そんな方が、今日まさかいきなりとは・・。

自分は平静を装ってはいるが、内心は少し焦っていた。

俺とて、あの方は苦手なのだ。そう彼女は・・。

リリィフェンス・ホーザント三等陸佐は――――――




























108部隊の隊舎の玄関に、1台の車がとまる。いたって普通のタクシーだが、

降りてきた人物の雰囲気は場違いなほど厳しいものだった。

腰辺りまでの綺麗で白銀の髪持ち、目の色は吸い込まれそうなほど深い青。そしてその鋭い目つきはまるで鷹の様だった。

長身で非常に整ったプロポーションを持つ彼女を、迎えたのは中年の恰幅のいい男性。

108部隊の部隊長ゲンヤ・ナカジマ三佐だった。

「お久しぶりです、部隊長。」

女性はスッと細い手を差し出す。

「おう、よく来たな。いつぶりだったかな、リリィと会うのは・・。」

ゲンヤはその細い手を武骨な太い手で握り返した。

リリィと呼ばれたこの女性こそ、リリィフェンス・ホーザント三佐その人である。

周りは長い名前を嫌い、彼女をリリィと呼んでいる。

リリィは握手を交わした手を戻すと、ゲンヤに先導されて隊舎の中に入って行った。

「にしてもよ、ちょっと急じゃないのか今日の査察は・・。」

「査察に急もなにも、ありません。それに、前もって言う査察はただの見学です。」

リリィは無機質に言い返した。

「それに・・」とリリィは続けると目を細めある1人の女性を思い浮かべた。

「気になっているのは、あの女だけですので。」

リリィはツンツン頭の赤髪を思い浮かべ、不機嫌そうに鼻を鳴らした。

それを見たゲンヤは、ひと波乱あるなと、苦笑いをするしかなかった。





























部屋の掃除と書類のまとめをあらかた急ピッチで終わらせたあたし達・・。

なんとかなったよな?

多分だが・・・もう見落としはねぇはずだ。

ふぅと安堵の表情になるあたしだったが、ふとなんでこんなに忙しく仕事が溜まったのかを思い浮かべてみる・・・。

あたしが真っ先に思い浮かんだものそれは・・・自分の補佐官だ・・。

「スタァァァクゥゥ・・・」

あたしはゆっくりスタークを見やる。スタークの方も部屋の掃除やらなんやらで少し疲れ気味だが、関係ぇねぇ。

あたしの中で、ふつふつと怒りが込み上げてきた・・。そして気がつけば、デスクの上を蹴って、スタークを押し倒し胸倉をつかんでいた。

「もとはと言えばてめぇのせいでこんなに仕事が、たまったんじゃねぇかぁ!!!!」

そして上半身を少し浮かせて頭を前後に思い切り揺さぶる。

「ちょ、・・・い、いやそれは!!」

「それは・・じゃねぇだろうが!! お前がふっ飛ばしてくれた訓練スペースの再整備!なんでてめぇじゃなくてあたしが立ち会ったんだよ!!」

それだけじゃない、あたしはあの後、部隊長から小言をもらって、更に土を入れなおした際にかかった経費やなんかを全部まとめて上に提出したんだぞ!

確かに、あの後スペースは任せろなんて言ったが、こうなるとは思わなかった。

それに加えて、あの時やり賭けだった書類の整理もようやくさっき終わった。

「だいたいよ!やり方ってもんが他にも、あんだろうがよ!」

あたしは更にスタークを揺さぶる。あーもう、気が収まらねぇ。一発殴らせろぉぉx!!と振りかぶった瞬間部屋の入口付近から厳しい声がした。

「・・・・何をしているのだ、ライア小隊長?」

その声は静かだったが、明らかに厳格な響きをふくみ、さらに怒りまで内包していた・・。

あたしはその時ほど、最悪だと思った時は無かった。

声のした方向に顔を向けると、鬼の形相でこちらを睨む、女がいた。

あたしはひきつった笑みを浮かべる、スタークも同様だ。

「・・・い、いやその・・・・・・部下とのスキンシップ?」

「・・・・ならば、我が代わりにしてやろう。」

その女はゆっくりとあたし達の前に歩み寄る。

その目は全てを睨み殺すかの様な・・・。そんな目。そしてゆっくりと静かに

それでいて、低い声で死刑宣告をした。

「特別にな・・・・!」















・・・・えらい目にあった・・。

あの後スタークから引っぺがされて、デスクに叩きつけられ最後は自分のデスクの椅子に放り投げられた・・。

「まったく・・どこからあんな腕力が・・・ッ!」

「・・・何か言ったか?」

「・・いえ、なにも」

ギロリと鋭い眼光を向けられる。

目の筋肉疲れねぇのかね・・。

「・・・・何を考えた?」

思考もダメかよッ!

三佐は、あたしを見て深くため息をついた。

「まぁいい。そんなことはな。」

今あたしと三佐はこの部屋の隅にある、応接用のソファに腰をかけている。

そしてその間のテーブルには、スタークが淹れたコーヒーが2つ。

スタークは、少し離れたところで立ってこちらの様子をうかがっていた。

こういう時は補佐官っていよなって思うぜ。正直あたしがスタークの場所と変わりてぇぐらいなんだからな・・。

「それで・・・最近はどうなのだ?何か問題は起こしておらんだろうな。」

三佐はコーヒーに、上品に口をつけ、一口一口ゆっくりと味わうように飲んでいる。

「まぁ、特に変わった事は・・・ありませんが・・・・ね。」

「なんだ、お前にしては歯切れが悪いな。」

あたしもコーヒーに口をつける。初めは砂糖すこし入れすぎたのか、若干甘い味がしたがうちに、よい苦みが口の中に広がっていく。

軽く息をはく。はっきり言って息苦しいぜ。

「・・・何があった?」

「レイナに、会いました。」

そのポツリと言った一言に、目を見開く三佐。しかしすぐに元の鋭い眼光に戻っている。

レイナがあたしと武装局員だったころ、三佐は当時一等空尉だったが、そのころから、陸であたし達の上官だった人物だ。

当然レイナとも面識が深く、色々と世話になった人だから、恩義は感じているが・・・どうもあたしは苦手だ。

もちろんレイナも同様だが。

「そうか。元気だったか?」

三佐の目が、懐かしむような穏やかな者に変わる。まるで、子を思う親の様な目だがはっきり言っておく。年下だからな!

だが、そうやって気を使ってくれるのはありがたいことだ。

厳格な人物でとっつきにくさはあるものの、常に部下を思いフォローを欠かさない。

だから、周りがついていくのだろうとあたしは考えている。

「相変わらずですよ、元気有り余ってるんじゃないかってぐらいで・・。」

「フフッ・・そうか、それは良かった。実を言えば我も、あの事故≠フ後気になっていたんだ。

大丈夫なのか・・とな。だがそう思っているうちにどんどん月日は流れ、気がつけば8年だ。光陰矢のごとしとはこのことだな。」

三佐の顔がふっと曇る。確かにな・・。言われてみりゃ、そうだな。

8年と一言で言うがその歳月はかなりのものだ。あたしも、正直高原であいつの顔を見た瞬間、

内心では「こっちの気もしらねぇで!」と思ってあいつの胸倉をつかんだのかもしれない。

スタークがあの事故≠ニいう単語にピクリと反応しこっちを見ていたが、あたしが無言で首を横に振る。

向こうもうなずくとまた静かに、こちらをうかがっていた。


「それで、いまあいつは何をしているんだ?」

「特観でチーフやってますよ。部下にチビす・・ラウル三等陸士を連れて。」

流石にここでチビすけと呼ぶのはどうかと思い、言いなおす。

三佐はチラリとこちらを見やったが、特に何も言わずに、コクコクとコーヒーを飲んでいる。

そしてコーヒーを飲み干すと、ゆっくり立ち上がった。

「それでは、査察に入ろう。と言ってもそう身構えたものではない。これは個人的なものだからな。」

個人的・・・・ねぇ・・。その個人的な考え方が管理局に厳格だからこっちは怖いんだつーの・・。

「・・・無駄な思考はやめた方がいい。」

だから考えるのもダメなのかよ!!































さて・・・ふむ。どこから見て回るか・・。そうだな、まずは。

「ライアまずは、お前の書類管理から見ることにしようか。」

その言葉にライア、スターク両名の顔が引きつった。

我は、「ふぅ」とため息をついた。初めから大丈夫なのだろうな・・。











「・・・これもいかんな。あとこのファイルは時系列ごとに分けた方が良い。いざという時すぐに開けんぞ?」

荒を探せば出るわ出るわ。幸いというか、小隊長として自覚はあるようで、重大なミスは無い。しっかりとすべきところにはチェックが入っているが・・。

合理的な考え方を持つのはどうやら戦場だけでの事らしいなこいつは。

はっきり言えば整理が出来ん。

おそらく来た時デスクが綺麗だったのは急場しのぎで掃除を行ったためだろう。ゴミは無かったが、片付けきれなかったのか

部屋の隅にほうきとチリトリが無造作に置かれていた。

「・・・・・まったく、お前・・・貴様は何も変わらんな!」

「い、いやアハハハ・・・ハ・・はい、すいません。」

「自覚はあるようだな・・。」

「バカな補佐官で・・・」

「貴様の事だ!!」

我は不機嫌に鼻を鳴らし、再びファイルに目を落とす。

まだまだ荒はありそうだな・・。










次に向かったのは訓練スペースだ。妙に地面が真新しい土の様だが・・。

チラリと2人を見やると、スタークがバツの悪そうな顔をしていた。

補佐官までもか・・。まったく。

一瞥すると我は顔を上げる。目の前には第6小隊所属の陸士が整列していた。

「敬礼!」

スタークの号令で一糸乱れず、右手を頭の前に添える。ふむ、統率は取れているようだな。

「なおれ」の号令の時もスムーズだ。

ライアは、そのあたり・・人を引っ張っていく能力は、以前にもまして高くなっていると感じた。

我は、隊の一人に声をかけた。まだ若い。同い年ぐらいだろうか。近付くと彼は緊張した面持ちでこちらを見ていた。

「お前は・・いつこの部隊へ?」

「っは!2か月前であります!」

若干上ずった声で答える局員。身体の動きもぎこちない。

「ッフ、そう緊張せずともよかろうに。確かに階級は上だが年は似たような小娘だぞ、我は?」

その言葉に陸士が困惑した表情を見せた。

「あ、あぁい、いや・・それは・・。」

「フフッ・・まぁいい。ライアは口は荒いが、能力はある。彼女のもとで・・・・・しっかりな。」

またチラッとライアに目をやると、ジト目でこちらを睨んでいた。

フン・・・そう言うところも変わらずか。成長があるのかないのか・・・分からん奴だ。

我は、ライア達の横に戻り陸士達に向き直ると、声を張り上げた。

「気君らは、管理局のため、そしてこの次元世界の平穏のために、互いに高めあい、助け合いながらながら日々精進していることと思う。

現在小規模ながら、ガジェットとの戦闘が頻発していると聞く。残念なことだが少なからず被害も出ている。これからどうなるのか・・・

正直なところ言えば我にも分からない。だが、だからこそこれからを考える事もも大事だが、

今、目の前に現れる敵を一つ一つつぶしてゆく事も同様に大事な事でもある。

そして、それに必要なのは今一度、おのが持つ力を一人一人が自覚し、その力の使い道を間違わぬ事だ。そうすれば、いかに強い敵とて、おそるるに足らん。

ライア小隊長のもと、より一層の精進を期待している!」

我は一通り話し終えると、スタークに目配せをする。

そして彼はうなずくと再び言い放った。

「一同、敬礼!」

その姿を見て、我は力強くうなずいた。























それからあたしは1時間ほどかけて、いろんなところを案内した。

そしてようやく地獄の様な査察の時間が終わろうとしていた・・。まじできついぜ。

今は隊長室に戻って、再びソファに座っている。

「今日1日見て回ったが・・・・」

うぅッ・・やばい色々小言を・・・。

あたしは少し身構えたが、三佐の口を衝いて出た言葉は意外なものだった。

「中々に、良い部隊だったぞ。お前の部隊は。以前来た時よりもな。」

その言葉に嬉しさが半分と、当たり前だっていうのが半分だった。

「・・・何せ以前来た時はひどかったからな。」

あたしはグッと言葉に詰まる。確かにあれはひどかった。

丁度前は隊の入れ替えもあったばかりで、ろくに顔も覚えていないは、着任手続きの不備があるはで・・・・

地獄なんて生ぬるいもんじゃねぇ世界を見たぜ・・。

「まぁ、あれに比べれば良い進歩だろうな。」

上官にそう言われて悪い気はしなかった。

何にせよ一定の評価は得たわけだしな。

「それで三佐・・今日はもうお帰りになるのですか?」

あたしの傍らに立っていたスタークが不意にそんな事を聞いた。

そりゃそうだろ、っていうかマジでもう帰ってくれ!!

「あぁ、そうだな。そろそろ行くとするか。」

あたしは心の中でガッツポーズを作る。ようやく解放されると分かると嫌でも口元が緩む。

「そうだ、ライア。特観の場所を教えてくれ。寄って帰るのでな。」

三佐は荷物をまとめながら言う。レイナの住所か・・。

「それならレールウェイで湾岸地区へ向かってください、あたしからあいつには連絡しておきますんで。」

「湾岸地区だな、分かったそれでは、頼むぞ」


三佐はきびすを返し部屋を出ていく。それにならって補佐官であるスタークが見送りに出ていった。

なんか色々疲れたぜホントに・・。

あたしは盛大に息をつくと、モニターでレイナを呼び出す。

『ん〜〜?何か用ライア?』

「今からお前んとこにお客さんだぜ。」

『お客さん〜??』

あたしからのいきなりの連絡に怪訝な顔になるレイナ。

「おう、お客さんだしかもVIPだぞ〜」

『うぅ〜なんかライアがそんなにニコニコしてるの気味が悪いなぁ・・それに嫌な予感しかしないし・・。』

嫌な予感そりゃ的中だっつうの。あたしは笑いをこらえて、地獄の宣告をしてやった。

「リリィ三佐がおまえんちに向かったぜ?」

『え!』

あ、固まった・・・だめだやべぇ笑いが・・・

「く・・・くくく・・・まぁ・・ハハッ・・そういう事だから・ハハハッ・な・・じゃあな!」

『え!?あ、ちょとま』

言い終わる前に切ってやった!

あたしはレイナの焦る顔を思い浮かべつつ、自分のデスクに腰を下ろした。

さぁて・・どうなることやらね。

































「今日はお疲れ様でした。」

俺は、タクシーのトランクに三佐の荷物を入れ、挨拶する。

「いや、久しぶりにライアの顔を見れて良かったよ、それにレイナにも会えるようだしな。」

三佐は明るい顔でそう言い返す。

俺はその顔を、じっと見てしまった。綺麗ということもあったが・・・別の事も考えていた。



「何か。迷っているのか?」

そして案の定そんな俺の顔から三佐は別の事の方を、読み取ったようだ。

俺は静かに肯定した。

俺が考えていた事それは三佐が陸士に向けて言った言葉の終盤の節だ。
『今一度、おのが持つ力を一人一人が自覚し、その力の使い道を間違わぬ事だ』

三佐はそう言った。正直前も言ったが、なぜここまで俺の心に力≠ニいう単語が残るのか・・・それはわからない。

だが、俺は気がつけばあいつに、ああいう事≠言い、デバイスをあいつからむしりとっていた。

「・・・とある、小さい魔導師が迷い、戸惑い。それで答えが見つからずにいらだっています。そのいら立ちの意味を、まだよく知らず。

そいつはまだ気がついていない。自分が欲しているものの・・・ただ漠然とした力というその本当の大きさを。

でも・・それがわからない。それが何なのかおそらくあいつは・・・それが腹立たしい。その考えが本当にあっていたのかどうか・・・そこが。」

要領をよく得ない俺の話に静かに耳を傾ける三佐。

それを聞き、三佐は微笑をもらす。そして続けて淡々といった。



「力はいつでも人を魅了する。そしてそれは仕方のないことだ。特に・・・力がないと、自分は無力だと思っているものは特にな。

だがそういう者だからこそ、真に力の意味を理解せねばならんことも確かだろう。

だがな、お前が今言ったことは少し間違っていると思うがな。」

俺は三佐の目をハッとした顔で見やる。考えが・・・・間違っている?

「だからさっきも言ったであろうが?自分を無力だと思っている物は特に・・・とな。

重要なのは、そう言う奴にどうすれば自分は無力ではないと思わせるかということだ。
自分の力をよく知ること。それが分からぬからそれが腹立たしい。そう考えることもできるな」


だから・・・いらだっている・・と。三佐はそうおっしゃりたいようだ。

自分の力に自分自身で気が付いていない・・か。

だとすれば、まだまだあいつには時間が必要なのかも知れないな。



「だがそれはお前が力を手にしたときに持った疑問と似ているものではないのか?

お前は、その手に武器を取り力を手にした。だがその力に初めからお前は気が付いていたか?おそらくは気がついてなどおらんかったアはずだ。むろん我もな」

三佐はまっすぐ俺の目を見て言い放つ。鋭い眼光が放つ青い閃光は、すべてを見透かしているようだった。

「力を持たぬ者は力を欲す、だが力を持っている者は例えそれが微々たるものであっても自分を過小評価してしまう物だ。特に周りが優れていれば・・な。

そして力を持つ者が、それに気がつかなかければ、とりかえしのつかぬ事態にもなりかねん。だからこそ、そう言った迷いはいかに答えがシンプルであろうとも

じっくりと考えてもらいたいものだな。」


三佐も迷っている・・・少し意外な気がした。

だが、確かにそうかもしれない。三佐は数少ないSランクを持つ魔導師だ。

ほかよりも抜きん出た力を持つからこそ、人一倍悩むのだろうか。





俺は三佐にこのことを話してよかったと思う。

さっきまでもやもやしていた気が、少しづつ晴れていくような気がした。

なんにせよ、これは気をつけなければならない。あいつに・・・力を戻すタイミングを。

三佐の意見を聞いて自分のしたこと、それが衝動的な何かが動機だったとはいえ、

ひとつ間違えば魔導師1人を潰しかねない重大なことだったのだといまさら悟る。

俺はヘリオスとは別に懐にしまった、あいつのデバイスを服の上から触れる。

待機状態だが、明らかにボロボロのデバイスだ。

おそらく起動も危ないぐらい。

俺は責任を負わねばならない。

あいつに。

あいつが、その考えに気づいたときにその力を返さねばならないという責任。

あそしてあいつがきちんと、いら立ちの意味に気づいたのかを見極める責任。

そのどちらも間違えば、おそらくあいつは持った力の大きさによっていずれつぶされる。

俺は決意のこもった目で三佐を見やる。しっかり相手の目を見て・・・。

それを見て三佐は深くうなずきタクシーへ乗り込んだ。

俺はそれをしっかりと見送ると、小隊長に連絡をいれあるところへ向かった。






























昨日のイライラはほんの少しだけ和らいでいたが、それでも何かをしていないとそれが顔を出しそうで怖かった。

レイナさんに仕事の指示をあおいだが、「あるわけないじゃないか〜。昨日全部少年君が朝から片付けちゃったし・・・」といわれてしまった。

僕はじっとしていられなくて、湾岸地区をまた1人で散歩していた。

夜は肌寒い風も、昼間は穏やかな春の陽気に包まれていた。

僕は、スバルさんと話をした、あのショッピングストリートを歩いていた。別に何の意味もなくだ。

すると、どこからともなく声がした。

「ありゃりゃ〜迷っちった〜」

迷ったという割には、なんとも明るく間の抜けた声。そのギャップに少々驚きながら声のした方向をたどる。

「まったく・・・迷ったという自覚があるのなら、もう少し危機感をお持ちなさい!」

今度は対照的にハキハキとした、厳しい声が聞こえてくる。

どこから・・・・?僕はキョロキョロして・・・ようやく見つけた・・・・ってえぇ!?

驚いた・・・。

そこにいたのは2人の少女。僕が驚いたのはこの2人ほとんど同じ顔、同じ声、そして同じ深い赤色の髪の毛だったのだ。

違うのは髪を流す方向が左右違うのと目の下のほくろの位置ぐらい。

服は上が黒い、ボタンつきの胸ポケットが左右に2つついたジャケットに下は、スリットが太ももの上まであるロングスカート。

そこから、黒いニーソックスが見え隠れしていた。

2人はしばらく言い争っていたが、こちらの視線に気がつくと、髪を左に流した女の子が赤くなってうつむいたが、右に流した女の子は・・・うぇぇ!こっちに走ってきた!?

「ねーねー君さ!ここどのあたりか知らない?」

いきなり走ってきたと思ったら至近距離に顔を近づけられ、この距離ではやかましいと、感じるほど大きな声で聞いてきた、

その彼女を追ってうつむいていた少女が、一瞬で近づいてきてまるで猫のようにその子の首根っこをつかんで引き剥がすと、少しあせりながら頭を下げた。

「す、すいません!この子少しどこかズレていてちょっとおかしいんです!」

・・・・いやそれはかわいそうじゃなかろうか・・。

おかしいといわれた少女は首根っこをつかまれ、宙ぶらりんのままジト目でこっちを見ている。

「マリエス!ほらあなたも頭を下げるのです!私はあなたのことで謝罪しているのですよ!」

「うるさいもんね〜だ!だいたい、マリアスは大げさなんだっての!あたしは道を聞こうとしただけじゃんかぁ・・・」

どうやら、この髪を左に流した少女がマリアス。首根っこをつかまれて髪を右に流しているほうがマリエスというようだ。

「何を言っているのです!ご迷惑をおかけしたのですよ!」

確かにこのマリエスって子の言いたい事がわかる気がする・・・少々大げさだ。

迷惑まではいかないだけどなぁ・・・。

マリエスさんは納得いかない様子だったが、一応ペコリと首を下げた。なんだか首振り人形のようでかわいかった。

マリアスさんは、マリエスさんをおろすと、「ほらいきますよ!」と促しきびすを返そうとした。

「あ、ちょ、ちょっと待ってください!」

僕は彼女らを反射的に呼び止めた。

「あの、道に、迷っているんじゃないんですか?よかったら僕湾岸地区にはそれなりに詳しいし、ご案内できるかもしれないですが・・。」

僕の申し出に、マリアスさんは若干申し訳なくうつむくが、マリエスさんの方は、満面の笑みでこちらに駆け寄ってきた。

そして、そのまま僕に抱きつく・・・・ってえぇぇ!?

「やった〜ぃ!ほらねマリアス!聞いてみるもんじゃないか〜」

マリエスさんに抱きつかれたままの僕は、はっきりいって混乱していた。

これまで確かに抱きつかれたことはあった。

だがそれはレイナさんの過剰なスキンシップによるもので、この少女はついさっき会ったばかり、はっきりって心持がぜんぜん違う。

そもそも、抱きついた形が悪かった。身長がさほど変わらないマリエスさんが抱え込むように僕に抱きついているから、当然僕の顔は彼女の胸に・・・・。

・・・レイナさんよりは大きいかな、この子も意外と・・・・ってなんてことを考えているんだ僕は!!!!!

僕はとにかく赤くなって、興奮する心を抑えつつ、マリエスさんを振りほどく。

その行動がマリエスさんには不思議に移ったのか、キョトンとした顔でこちらを見ていた。

「な、な・・と、とにかく・・・ど、どこへ・・。」

興奮と驚きで暴れる心を抑えつつ言葉をつむぐが、うまく出てこない。

その後ろでは大きくため息をつくマリアスさんがいた。







とりあえず落ち着いて話を聞くと、どうやらこの湾岸地区レールウェイの駅で、ある人と待ち合わせしていたのだが、マリエスさんが気がついたらいなくなり、

追いかけてきたら道に迷ったと・・。

な、なんともな。。

このショッピングストリートから駅まではそう遠くはない。

湾岸地区を通るメインストリートを道沿いに歩いていけばものの10分でたどり着く。

たぶん道に迷ったと感じたのは、細い中道をクネクネと、通ってきたからだろう。

僕は2人を駅に案内すると、駅前のロータリーに長身の女性が立っていた。

2人もその人に見覚えがあるようだ。

「あ、お姉ちゃんだ!」

その女性を見るなり、マリエスさんは駆け出す。

一方マリアスさんは、僕のほうに向き直ると「大変ご迷惑をおかけいたしました」と頭を下げ今更ですがとつつけた。

「私はマリアス・シーボルと申します。そしてあれが双子の妹でマリエスシーボル。またどこかでお会いしましたら何かお礼をさせていただきますね。」

「あ、いえそんな・・・あ、僕はラウル・スカッフといいます。その・・よろしくお願いします。」

それを聞き、マリアスさんはゆっくり会釈すると「では!」と元気な声をのこしてマリエスさんの後を追った。

何はともあれ、待ち合わせの人には会えたみたいだな。お姉ちゃんといっていたし、姉妹だろうか・・その割には年も離れている感じで雰囲気も何かちょっと違う。

まぁいいかと、僕は深く考えることをやめ、きびすを返した。

この一件は僕にとって良い気分転換になったようだ。まだよくわからないもやもやはあるが、散歩の前よりは幾分ましだ。

さて・・そろそろ。帰ろうかな。






























・・・ふむ。少し遅れたが・・、なぜ誰もおらん?

あれほど時間厳守といっておいたはずなのだが。

・・・・む?あれは・・。

我は大通りの交差点をかけてくる2人の影に目がとまった。

ようやく来たか。

「遅いぞ、お前たち―――――――っと!」

急にマリエスに胸元へ抱きつかれ、崩れかかった体勢を立て直しながらそのまま器用にマリエスを小脇に抱える。

そんなマリエスと対照的に、マリアスは苦い顔で姿勢をただし深々と頭を下げた。

「申し訳ございません!私の不注意でこのような失態を!」

我は深々と頭を下げるマリアスを苦笑いで見下ろす。

マリアスは見てのとおり、礼儀正しく規律正しい性格だ。それが時折やりすぎだろうと思うこともあるが。

逆に・・・。

我は小脇に抱えられて「にはは!」と笑うマリエスを見る。こいつはマリアスに容姿、声ともにそっくりなのだが性格はまったく逆で底抜けに明るい。

時にふざけすぎだと思うこともあるが、明るさに救われることもある。2人とも優秀な我の副官≠ナありかわいい妹分≠セ。

「まぁいい。顔を上げろマリアス。公衆の面前だ。」

そういうとマリアスはパッと顔を上げ姿勢を正した。

我も小脇に抱えていたマリエスを降ろし、空間モニターを開く。

レールウェイに乗っているときにライアから届いた地図を表示する。

そこには、簡略な地図の上に赤い丸が書かれており「特観」の2文字があった。地図で見る限りここからそう遠くはないらしい。

我は荷物を持つと「行くぞ」とだけ良い歩き始めた。この2人にはすでに行く場所は連絡済だ。だから彼女らもなんの疑問も、その指示に従ってついて来る。。

さて、レイナがどんな顔をして我を迎えるのか楽しみだ。

そんなことを考えながら、我々は一歩づつ特観へと近づいていた。






























「うわわわぁ〜!!鬼が!悪魔がくるぅぅ〜!!」

特観の作業場である2階へ戻って見た光景はレイナさんがいつも以上にテンパっている光景だった。

「あ、あの・・一体何が・・・?」

僕が戸惑いながら、訊ねるとレイナさんはこっちに向かってほうきとチリトリを投げてきた。

「それで床、掃いて!」

「え、え!?な、なんですか??」

「いいから早く!!」

まったく内容がつかめぬまま、混乱しながらも僕はホコリを掃いていく。

いや、本当に何が来るの?

鬼ってなに!?

悪魔って!?

そんな怖いのが来るのか!?

「終わったらこんどは――――ってわひゃあ!」

ファイルを運んでいたレイナさんが盛大にこける。

当然ファイルはぐっちゃぐちゃ・・。

「うぅ・・で、でもファイリングが解けなかったのが救いだ!えーっとこうやって織り込んで・・・」

とりあえずパッと見綺麗になるように体裁を取り繕うレイナさん。

こりゃ後の整理が大変そうだ・・・。

などと、ジト目でレイナさんを見ていると、不意にベルが鳴った。

「なっ!もう来たのか!!」

そういって、顔をひきつらせファイルを棚に押し込むと、デスクの下に隠れ・・・・た?

「少年君・・・出て出て!」

机の下から声がする。

・・・ほんと何なんだ?







僕は下に降りると、玄関へ急ぐ。そして「どちら様ですか〜?」といいながら玄関を開けた。


ゴッという鈍い音とともに。

あれ?ゴッ?何の音でしょうか・・・?

僕はゆっくりとドアの向こうを覗き込むと・・・。

「ま、マリエスさん!?」

顔面が玄関の扉に張り付いたまま動かないマリエスさんと、その後ろでやれやれといった表情のマリアスさん。

そしてもう一人が・・・長身の綺麗なそれでいて独特の雰囲気を持つ女性だった。

「この扉開き戸なのだ・・なっっと!」

その女性はマリエスさんをドアから、一気にはがすと、ポツリとつぶやいた。

「は、はぁ・・。」

「む?お前はここの局員か?」

女性は僕に向かってそう言うと、持っていたマリエスさんをペイッと放り投げた。

マリエスさんは少し後ろでまだうずくまっているが・・・大丈夫かな・・。

「局員なのか!?」

「え、あ、あは、はい。ラウル・スカッフと申しますが・・。」

厳しい声に驚き、詰まる言葉を押し出すように自己紹介をすると、女性の顔がハッとなった。

「なるほど・・お前がラウルか。レイナの部下という。」

え?僕を何で知ってるんだろう。

不思議そうな顔で見上げる僕に女性は、微笑する。

「すまなかったな。我はリリーフェンス・ホーザントという者だ。長いのでなリリィでかまわん。レイナに用事があってきたのだが・・。」

「レイナさんにですか?」

あ、ひょっとしてさっきレイナさんがが言ってた・・

「鬼とか・・・悪魔って・・。」

僕はポツリと独り言のつもりでつぶやいたのだが・・・・。妙に上から殺気めいたものを感じるから見上げてみると。

鷹が、獲物を取る時の様な鋭い眼光がそこにはあった。さしずめ今の獲物は僕だろうか・・。

「鬼か・・悪魔か・・・なるほどなぁ。」

その声は低くさっきまでの友好的な感じは微塵も感じられない。

「・・・あいつ何も変わってはおらんようだな。」

リリィさんは、僕を押しのけると靴を脱ぐ。

「レイナは上だな?・・邪魔するぞ。」

そしてそのままズカズカと上がっていってしまった・・・。

取り残された僕とマリアスさんとマリエスさんの3人は、ただ立ち尽くすしかなかった。



















なになに!?・・さっきまで友好的な感じで話ししていたのに・・あれ――――いきなり上がってきてない?



ちょ、ちょっと待ってーーーー!!

足音が近付くにつれ、あたしの緊張が高まる。最悪だぁ・・・。

机の下に隠れてはいるけど・・・こんなの絶対に・・・。

ガチャリとゆっくりドアが開く。あたしはデスクの隙間から様子をうかがった。

キョロキョロしてる・・。うぇ!こっち来た!?

ただいま目標は間横をつーかちゅー・・ひあ汗ダラダラもんだよぉ・・。

ん?デスクの前で止まって・・・え、何するの何?

――――ッホ。何事も無かったか・・。

安堵したと同時にまた扉が開いて閉まる音がした。

ん?出てった!?

あたしは様子をうかがう。部屋の中に気配はない・・。

・・・・うん大丈夫みたいだ!

あたしはあの鬼≠ゥら隠れきった事が、この危機を乗り越えた事がたまらなくうれしくなり、一気に机の下から飛び出した。

「いよっしゃぁぁ!!」

「ほう、そこにいたのか」

後ろから声がした・・・・・あたしは固まった。冷や汗が止まらない。なんで?どうして!

何が間違ったの!?

あたしは何も間違ってなんかいない!!

だって・・だって!!

「あなたは、鬼だ!!!!」

「誰がだバカ者が!!!!」







え、えらいめにあった・・・。

あたしは思い切り指をさして「お前は鬼だ!」と言った後、腕を取られもう少しで関節がもう一個増えちゃうところまで絞められた後、

足払いで倒され、首根っこを掴まれてデスクに放り投げられた・・。

「よく、可愛い部下にそんな事が出来ますね!リリィ三佐!」

「可愛い部下が上官に向かって鬼だの悪魔だの言うのか?」

うぐッなんでそれを・・・・・ッハ!・・少年君〜〜。

あたしとリリィ三佐が、わめきあっていると、遅れて少年君と2人の少女が入ってきた。

あたしはあの2人は知らない。

「三佐、あの2人は・・?」

あたしはなんとか話をそらそうと、唐突に話題を変える。

話の腰を折られ若干憮然とした顔になったが、三佐は紹介してくれた。

「あやつらは、マリエスとマリアスだ。まだ14歳だが、お前よりも階級は上の三等陸尉だからな?」

マリエスと・・・マリアス?どっちがどっちか分からないけど・・・。双子だねぇ。

その後少年君が捕捉で、髪の流し方がそれぞれ違うってことを聞いたけど、それでもパッと見は分からないなぁ。

にしても、こんな若い子が三尉ねぇ、凄いねホント。少年君も驚いてたし。

まぁでも上官なら、座ったまま挨拶というわけにもいかないね。

あたしは経ってみだりを整える。と言ってもジャージの裾を下ろす程度だけどね。

「レイナ・リーンバーン陸曹であります!」

あたしが敬礼までして挨拶すると、2人もバタバタと整列しなおした。ここら辺はまだあどけない少女らしさが残ってるなぁ。

「マリアス・シーボルと・・」

「ボクがマリエス・シーボルだよ!お姉さんよろしく!」

その挨拶にどこか肩の力が抜けるのを感じる。マリアスと言う子はともかくこのマリエスという子はどこか間の抜けた子だ。

・・・・ポイントはボクっ娘ってあたりかな・・。

でも双子と言ってもここまで、性格は違うのかとちょっと驚いた。

あたしが2人を見比べていると、マリアスちゃんが一歩前に出て笑顔を浮かべる。

「レイナ陸曹・・確かに私たちの方が階級の上では上官ですが、ご年齢はそちらの方が上です。

ですので敬語などは、あまりお気になさらず気さくに、お話しかけください?」

「うん、そうだよお姉さん!これは命令だからね!」

あたしはその言葉につい笑顔を浮かべてしまう。命令ね。上官の命令とあらば従うしかないでしょう。

「それじゃあ、マリアスちゃんとマリエスちゃんこれでいいのかな?」

2人は満面の笑みで「はい!」と答えた。

「そう言えば2人にも紹介しないとね、まぁさっき玄関であったと思うけど・・。」

「うん、知ってるよ。ラウルくんでしょ?」

マリエスちゃんの言葉に素早く反応したのはリリィ三佐だった。

「なんだ・・お前たち知っているのか?」

「はい、私たちが道に迷っていたところを、ご親切にその方に駅まで案内していただいたのです。その時に名前をおうかがいしました。」

「はい、僕もその時にこのお二人のお名前を・・。」

やるねぇ少年君。そのうち歩くフラグ立て男って言われるようになるんじゃない?

・・・分かったよそんなジト目で見ないでってば!

会話もひと段落ついたところで、そろそろ本題にでも移りましょうか?

あたしが目線で問いかけると三佐は、ゆっくりとうなずいた。

まぁ・・・・嫌な予感しかしないんだけど・・。




































〜あとがき〜
どうも、お読みなっていただきありがとうございます。しるくです
今回も新キャラ登場で更にラウルのいら立ちの理由を、
スタークがリリィという力を持っている人間に聞くという場面を描いてみました
力に気づけないというあたりがミソかな?
どっちにしろまだラウルのもとにデバイスが戻るのは先になりますね。

そしてスタークはどこへ行ったのか?まぁ大体想像はつくでしょうけどw
スタークはラウルが何故か気にかかる存在であるという事を、
まだよく自分でも理解していません。
しかし、この繋がりは僕が本作品を書いていくにあたって結構重要なところなので
そのあたりはしっかり書いていこうかと思います。
それではこのあたりで、みなさんありがとうございました。
またお会いしましょう!



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