約束しよう。俺は君達を導くと――――


「さあ、今度こそ漢らしい就任挨拶を」

「懲りない人ねぇん」

うっさいわ、乳。
この間考えた、すばらしき我が就任挨拶。
前回は乳とリトルメサイアーズによって妨害されたが。
シアフィールド(娘のほう)を完膚なきまでに(そして大人気なく)叩きのめしてやったので、

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」

絶・対・零・度!(キラッ☆)
視線がひたすらに寒かった。まるで、マグロの保管用冷凍庫(−30℃以下)のように。

「なぜだぁ?!俺は救世主クラスの法に則って、ちゃんとジツリキを認めさせてやったというのに!なのに?!」

若干、錯乱気味であることは認めるが、
それ以上に完全実力主義を地で行く救世主候補生たちにここまでの視線を受けるとは思っていなかった。

「それは、あなたが大人気ない上に、リリィを油断させておいていきなり奇襲を掛けるなんてまねをしたからです」

「それは違うぞ、トロープ!間違っているのは俺じゃない…せかっ」

「はい、あなたは間違っていません。ただ、その戦い方では救世主としての人望は得られない、ということです」

カブセテキヤガッタ。
このアマ、万死に値する!
あと、油断したところを攻撃するから奇襲というのである、
よってこのプリーストの言っていることは間違いである。
だいたい、人望云々の前に死んだら元も子もないことをわかっとるのか?
……わかってないんだろうなぁ、まだガキだし。

オーケー、クールダウンだ。いつもの俺、いつもの俺。

「今日ほど己の瞳にギ○スが無いことを呪った日はないぜ」

「ぎ○す?」

「その質問は認めない」

断固として。
大勢が異世界ネタを使うのは危険である。

実際には、大人数が異世界ネタを使うことで、異常なまでのコミッ○力場が発生し、
ときに世界の法則を塗り替え、アカシックレコードに干渉し、
世界中が執事だらけになり、
「あれ、お嬢様(性別限定)一人もいないじゃありませんか」
と俗に言う(言わない)バトラーインフレーションが発生。
そして執事たちは、新たなるお嬢様を求めて、地球規模で新たな新天地を求めて旅立つのである
マク○スで。

「と、そんなことが、おこる可能性が無きにしも無い」

「それって、100%無いってことよねぇん?」

「…地球って何ですか?」

愛と勇気とネコ型ロボットを生み出した母なる星さ。



「とにかく、私はこの救世主クラスの委員長として、あなたのような方を認めるわけにはいきません」

「あれ?リリィ・シアフィールドはどうした?」

「いろんな意味で珍しい存在よねぇん。意識的にヒロインのセリフを無視する主人公」

「主人公としてのキャラを確立するのは大変なのだ」

基本、立ち絵が無いからな。…なんのこっちゃ。

「すみません、遅刻しました!」

「リリィちゃん、遅刻〜。減点1よん」

「遅刻の理由といきたいところだけど、もうすぐ授業が始まるから解散なー」

「それって私のセリフよねん?」

黙れ乳牛教師。先日の恨みじゃ。

「ちなみにシアフィールドは残ること、まじめな話としての指導要綱を通達するから」

「!!!」

なんだ、その「ついにきたか」みてーな顔は。

「教師としての指導をするから。だから、お前らそんな顔すんなよ」

外野三名の視線が痛い。

「教師として…と言うことは、先日の模擬戦闘に関しては?」

「無論、それを込みとしての指導…教師としてって言ってるだろ、さっさと授業いけよ!?」

どうしてこう信用が無いというか、信用しないんだ。うがー(キレ

「では、いったいどういう指導を?」

「そんな男を下半身だけの生き物みたいな目で観るなよ…『そうだろう』って顔してねぇで授業いけよ外野!?」

マジで遅刻するぞ、お前ら。

…今度こそは出て行ったか。
落ち着いて話もできん。俺は祖父の遺言で女装してお嬢様学校に通うことになった主人公か。



「さて。指導って言うのは、先日の戦闘を踏まえた上で、俺が一人の『魔法教師』として、お前に今後の…なんだよ、その顔は」

ポカーンと口を開けた、と思ったら苦悩して、「ハッ」で笑って…

「誰が一人百面相をしろと…」

「いや、だって…えぇ?!」

「今のお前、超愉快な」

リリィは、俺の軽口にも反応できないほど、驚いて、唖然としている。

まぁ、無理も無いと思うが。それ判っててやっている俺も大概意地が悪いと思うが。

「えっと…魔法…使い…?」

「イエース、イットゥ・イズ・ミー!」

とりあえず、少女の緊張をインチキ英語で和ませてみる。

「じゃあ、この間の光の槍は…」

「そうです、私の魔法…あれが私のドリルです!」

「相変わらずトんでますね…意味がわからないくらいに」

もっとツッコんでくれ。寂しいから。


と、言うかこいつ。こんなわけのわからないネタにしか食いつけないほど、混乱しているな。
昨日、会ったときなら。俺の「超愉快な」、のあたりで雷撃が飛んできそうだったんだが。予感だが。

「でも…あんな戦い方をする魔法使いなんて…」

「惜しいな、シアフィールド。戦術だけ見るなら『魔法剣士』だ」

奇抜な戦い方をする魔法使いって言う意味ならな。
奇抜なんていったら、本物の魔法剣士さんたちに怒られそうだが。

「確かに、魔法使いの鉄則として『中距離・遠距離からの魔法戦』というのがあるが。別にこれに縛られる必要は無い」


ようやく教師らしい説明に入れたぜ。

時間かかりすぎじゃ。


「ゼロ距離から魔法を撃ち込んだりするなんてよくあることだろ?」

「ありません」

「いいきった?!」

妙なところで冷めてるのよね、このコ。

「だって、離れて魔法を撃ったほうが、安全で、詠唱時間も長く取れるじゃないですか。
そっちのほうがより強力な魔法を…」

「甘いっ!」

「えッ?」

俺の、突然の大声に少しびっくりした感じのリリィ。

しかし、彼女の考えはいずれ彼女を破滅させる。
今のうちに大改ぞ…もとい大矯正が必要である。教師として!

「お前の考えは“仲間がいる場合”だろ?」

「――――え?」

「別に、さっき君が言った考えを否定するわけじゃない」

俺はゆっくりと、落ち着いた口調で彼女に語る。

「ただ、君は不安定だ。君は“たった一人で戦おうとしている”のに、既存の戦術と戦略に依存している。これはひどく危険だ」

「なんで…それを…」

「隠したって無駄さ」

俺は自信満々に微笑んだ。それは一人の人生の先輩としての笑みであり、自分を嘲笑うものでもあった。

「だって君は、俺に似ているから」

「私が…あなたに?」

彼女は不思議そうな色を瞳に宿らせている。たしかに、傍から見れば俺と彼女は別者だろう。
だが、ある一点において――人間性の始まりにおいて俺と彼女は同類だった。

「今はまだ、その意味を知る必要は無いけれど」

辛いことは忘れればいい、人は痛みを抱えて生きると、誰かが言った。
けれど、その痛みに溺れてしまうぐらいなら、いっそのこと、そんな物は捨ててしまえ。

だけど

「もし、君がいつか、すべてのものと戦う日が来たのなら、そのときは―――」


「悲しみを拾い上げる、勇気を持ってほしい」




次回予告
唸る奴のドリル
突き進む奴のドリル!
すべてを打ち壊し、すべての難局を突破するヤツのドリルゥ!!!(若本規夫風)
今、再び奴の『ドリル』が解き放たれた!
ケン「お前に足りないのはッ!情熱思想理想頭脳気品優雅さ勤勉さ!
 そして何より―――
 速 さ が 足 り な い!!」
見ろ、あれが男のロマンだ。

※注意・約80%ウソです。
大体20%ほどは真実です。


あとがき―――後ろからついてくる子供。妖怪か?
こんにちは、くろかげです。
皆様には、人生の転機となった作品はありますでしょうか?
私は、結構あります。
中でも最もいい意味でショックを受けたのが「CROSS†CHANNEL」です。
そうです、あの「2003年の大傑作」CROSS†CHANNELです。
あれは私が始めて涙を流した物語です。
今でも、目をつぶれば思い出します。
田中ロミオ大先生、否。
神・田中ロミオ様の描く生き生きと、そしてリアリティあふれるキャラクターたちと、主人公・黒須太一の物語が。
あの作品によって、私は小説を書き始め、そして今まで以上に読み漁り。今に至ります。
いまだ、神の足元にも及ばないどころか姿かたちさえ見えない程度の力量の私ですが、
ケンともどもよろしくお願いいたします。
ちなみに、ケンを見て、「こいつ支離滅裂(頭の中が)だな」とか、「ナニ考えてんだかわからん」とか、
あまつさえ「こいつ、情緒不安定だ…」なんて思ってくださった、あなた。
大成功です。(ナニ






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