「小忍者だね」

「うむ小忍者だな」

「小忍者……」

「小忍者ですわね」

「…………」

セイン、チンク、オットー、クアットロと満場一致の中、黙考する束音。

5人の視線はモニターに映る連音に集中していた。


事の始まりはレリック奪取作戦においての、機動六課との交戦にあたる。

結果から言えば、襲撃は失敗、レリックは奪取出来なかった。
しかし、運ばれていたレリックは目的のレリックではなく、一同胸をなで下ろす形となった。

だが新たな問題も浮上した。

機動六課との戦いに備えて、八神はやてを筆頭に、全ての隊員達のデータをかき集めるだけかき集めたジェイル。

特に戦闘要員となるスターズ・ライトニイング両分隊員のデータには自信を持っていた。

そこに現れた、データにはない人物の乱入。
それが、無視出来ないほどの戦闘能力を有しているのだから、さあ大変。

ジェイルはすぐさまに、ドゥーエに連絡。乱入者の情報収集を指示。

指示を出しながら、昔どこかで見たことがあるような……としきりに首を傾げるジェイル。

そして、襲撃当事者であるセインは連音との戦闘において、彼との会話や態度を見て、忍者とのなんらかの繋がりがあるのではないかと察知。

帰還後、束音と映像を見ながら話をしていたら、チンク達が来たのである。

「容姿からして忍者の弟っぽいですわね」

「動き方もそっくりだったよ」

あーだこーだと話し合う姉妹達。

しかし束音の耳には一切が入らない。

映像に映される男を見れば見るほど、頭が痛む。

大切ななにかを思い出すように、思い出してはならないように。

胸に広がる郷愁にも似た暖かい気持ちと、身を焦がすような強い焦燥感。

相反する思考と心理に処理が追い付かず
、言葉が出ない。

そんな姉妹や束音を置いて映像は進む。

写し出される映像には、連音に庇われて頬を染めるフェイトや満更でもない顔のシグナムを筆頭に数多の素晴らしい体型と女性陣と申し訳ない程度男陣。

なっなんだこの布陣は!?

男の夢、アルカディア、アヴァロン、ええいとにかく、妄想を具現化したような布陣はなんなのだ!?

抱えていた矛盾した思考や心理を根こそぎと吹き飛ばす映像の暴力。

画面では、撤退した残念な胸……ではなくセインの追跡を断念して、歯噛みをしている小忍者と、そんな彼を落ち着かせようと、そっと慰めるけしからん胸……ではなくフェイト。

器量良し、スタイル良し、男を立てて控え目でおしとやかな性格(束音の主観)

そっと視線をズラして姉妹を見る。

器量こそ良いが、体型が残念過ぎるセイン、チンク、オットー。

体型こそ良いが、Sで腹黒過ぎるクアットロ。

その圧倒的なまでの戦力差に恐れ、おののき、絶望する束音。

また脇を固める凶悪なメンバーの数々。
最低でもCってどういうことだ!

余談ではあるが、『紳士』な束音にとって当たり前であるが、キャロは数に入ってはいない。

そんなアルカディアの中心にいる男が俺の弟だと……

こいつが……こいつが……俺の弟だと……



この現代日本を象徴するかの如き格差社会に束音はキレた。










「兄より優れた弟など存在しねぇ!!」







裏・竜魔武芸帳改め魔法使いを回避せよ〜その6







うららかな午後、ジェイルとゼストはウーノが淹れた紅茶を飲みながら談笑をしていた。

「ほう……それで、あまりの怒りに前後不覚におちいり、今まで思っていた本音を全て叫んで、現在に至る……と言うわけか」

モニターに映る『光る蓑虫』を見ながら、やれやれと首を振るゼスト。


「忍者は本当に阿呆だからね」

ジェイルも笑いながら、光る蓑虫――レイストームで簀巻きにされているボロボロの忍者を見る。

「しかし……忍者の防御力や魔法に対する対抗力はゼロに等しいな」

「仕方がないよ。彼は管理外世界からの次元漂流者。魔法を使える方がどうかしている」

「……彼の白兵技能は抜群だ。前回の合成魔獣なんぞ相手にならん。俺とて忍者には不覚を取った。白兵戦だけならば、かのヴォルケンリッターやフェイト・T・ハラオウンにも勝てるだろう」

管理局が誇る白兵戦の名手達。
それらを前にしても勝てると断言をするゼスト。

「だがそれは、限定された空間内での話だ。合成魔獣の時も俺の時も、工場内という極めて限定された空間内での戦いだった。これからの戦い、室内だけとは限らないだろう。そのとき忍者は戦えるのか?空高く飛ぶ魔術師にどうやって白兵戦を挑む。バリアジャケット一つ張れない状態で、砲撃魔術師が放つ豪雨のような弾幕をいつまでも回避し続けられるのだ」

「……同じ事をセインが言ってきたよ。付け加えれば『私が戦う。だから忍者を出さないで』とね。セインは忍者に師事を受けている。だからこそ忍者の強さも脆さも誰よりも知っている」

まぁ、それ以外の感情の方が強かったりするけどね。と笑いながら付け足し紅茶をすするジェイル。 

「だけど……状況がそれを許さない。ただでさえ少ない人員の中で、貴重な戦闘要員を下げる理由がない」

「だが……」

「ホテルアグウスタで開かれるオークションパーティー。ここにレリックが出品される。そして警備担当は機動六課」

ホテル内という限定された空間での戦闘。

これにはゼストも反論が出来なかった。

モニター内では、木の枝で突っつかれ、ののしられ、説教をされ、抓られる忍者の姿が静かに映っていた。 

……

―そのころのウーノ―

晩御飯はお刺身にしよう。

そう思いつき、魚を捌く。

身を薄切りに切り分けて、いざ盛り付けようとしたら、大皿が無いことに気付く。

前にセイン達が暴れて割れてしまったのを忘れていたわ……

「困ったわね」

ポンと叩かれる肩。

振り返ると、ガリューがいた。

ポンと自身の胸を叩き任せろとゼスチャー。

慣れた手つきで刺身を盛り付けるガリュー。
任せろと言うだけあって、綺麗に盛り付けるガリュー。
ときには、刺身を花びらのように盛り付けたりと職人技までも披露する。


「そっそんなことを!?」

雷に打たれたかのように驚愕するウーノ。

そんなウーノを意に介さずに黙って盛り付けるガリュー。

全てを盛り付けた後、ポンとウーノの肩を叩いて去っていった。

だがウーノの驚愕は止まらない。

なぜなら、ガリューが盛り付けていた物は、ジェイルの等身大抱き枕(全裸ver)。
股間の部分には大トロの刺身が大輪の華を咲かせていた。

「ドクターに盛り付ける……そういうのあるのね」 

新たな世界の扉をまたも開いたウーノ。 
余談ではあるが、晩御飯はサバの味噌煮でした。




束音×セインを諦めない!)くわっ 

と言いつつその描写がないので申し訳ないです。 

でもセインがメインヒロインです。








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