あらすじ
植えたら増えた。
「で、どないしよ。まさか二人に増えるとは思わんかったよ」
新たに発見されたロストロギア『田んぼ』
文字通り田んぼである。
効果は植えたモノが増えるらしいが、イマイチ信用出来ない、我らが部隊長八神はやて。
と言うわけで、実験。
たまたま通り掛かったケイスケを植えたら、ごらんの有り様だよ。
「「思わんかったよ、じゃーねよ。どーすんだよ、ってかどうすりゃ良いんだよ俺」」
「おおっーさすが、息がピッタリやな」
「「ピッタリやな、じゃねーよ」」
「まぁまぁ、怒らんといてや。とりあえず、こっちがケイスケくんAで、こっちがケイスケくんBとしよか」
「「色々とツッコミどころはあるが、とりあえずはそれで行こう」」
「とりあえず、もう一度、植えてみるか。もしかしたら戻るかもしれへん」
………
……
…
と言うわけで、植えてみた。
「…………まぁ、そういう場合も考慮するべきやったな」
「「「「遅いわ、ボケ」」」」
「そや、フュージョンやフュージョン!」
………
……
…
「「「「フュー……ジョン!!!!」」」」
カッ!!
「お久しぶりです。主」
光の中から現れるは、
「リィン……フォース……リィンフォースなんやな」
「ええ、あのクリスマスの夜、お別れしたリィンフォースです」
「夢や、夢やないんやな」
「ええ、夢では御座いません。主、大きく、立派になられましたな」
「リィンフォース」
感極まって泣きつく、はやて。
それをあやすように、慈しむように、優しく抱きしめ返すリィンフォース。
騒ぎを聞きつけたのか、周りを見れば、懐かしい面々。
シグナム、シャマル、ヴィータ、ザフィーラ、なのは、フェイト。
仲間だった者、敵だった者。
皆が皆、彼女の帰還を喜んでいた。
とくに、ヴォルケンリッターの面々は、皆涙を浮かべている。
「よく帰った」
「よくぞ戻ってきた」
「おせぇよ」
「お帰りなさい」
口々にそう言った。
リィンフォースツヴァイだけは、訳が分からず戸惑っていたが、フェイトを気を利かせて「リィンのお姉ちゃんだよ」と言ったので、嬉しそうに「わーい、お姉ちゃんですぅ」と喜んでいる。
「リィンフォース、今日から、私達は家族やで」
「ええ、主。こんなに嬉しいことはありません」
自然と、まわりから拍手が巻き起こる。
「お帰りなさい。リィンフォース」
皆が口を揃える。
「ただいま」
笑顔で答えるリィンフォース。
祝福の風がロングアーチに吹いた。
「あの、ケイスケは……」
場の雰囲気に負けてしまい、凄く大切なことなんだけど、小声で呟いてしまうティアナ。
もちろん、その声が届くはずもない。
「ねぇーティア!聞いて聞いて」
スバルが走りよってきた。
とてもではないが、ケイスケが変身?してしまったことなど言えない。
と言うか、あれは変身なのかすらも疑問である。
とりあえず、たしかなのは、ケイスケが消えてしまったこと。
そんなことスバルに言えるはずもなく、全精神力を動員して、何食わぬ顔をする。
「どうしたのよ。そんなに急いで」
「演習場の隅に作ってた秘密の畑でお芋を掘ってたんだけど」
「あんた、なんつーもの作ってんのよ。バレても知らないわよ」
「えへへ〜……じゃなくて、掘ってたら、ケイスケが出てきたんだよ」
「……まぁ、秋も近いしね。そういう日もあって良いんじゃないの」
うん、たまには、こんな日だってあるよ。
了
この作品を展示して頂いたリョウさん、掲載を許可して頂いた鬼丸さん、そして、最後まで見て頂いた読者の皆様に感謝を
作者さんへの感想、指摘等ありましたら投稿小説感想板、