すらいムのこうげき!

ぺシュッ
ボグォッ
「ゲハッ!?」

こうへいは2ポイントのダメージをうけた!
こうへいのこうげき!

「でりゃっ!!」
ニュルン
ぷよぷよ
「ちっ!」

すらいムにこうげきをかわされた!
すらいムの……
……

……

こうへいのこうげき!

「獲ったぁっ!!」

ドベチャッ!
シュウゥゥゥ〜

かいしんのいちげき!
すらいムに3ポイントのダメージ!
すらいムをたおした!!

「ぃよしっ!」







1  すらいムと長森







情報を得るため学校に向かう事にしたオレだったが、
家の門を一歩出た瞬間、なにやら『得体の知れない』モノに急襲された。

「ぐぁ、いきなりかよ?」

戦闘突入。相手は1メートル程の青緑色のゲル状の物体…俗に言う『すらいム』だ。

「すらいムが最弱ってのはRPGの基本だしな。これぐらいならオレだってやれるぞ」
 
相手は1匹。何とかなりそうだ。そう考え、剣(錆び付き鉄パイプ)を構える。

―――戦闘中―――

ちなみに冒頭の音声はこの戦闘の様子(後半)だ。

―――戦闘終了―――

「い、意外と手強かったな…」

すらいムが最弱と言う考えは改めた方がいいな…実はかなりの強敵らしい。ということはつまり……

「オレって結構強いのか?」

なんだ、びびって損した……これなら魔王って奴もたいした事無いのかもしれないな。
と、ポジティブな考えに至り、たった今、オレが倒したすらいムに目を向ける。

「ありゃ?」

しかし、そこにすらいムの死体は無く、代わりに1円玉が二枚落ちていた。
さっき学生が敵を倒した後、何か拾っていたのはきっとこれだろう。
 
…ふむ。

オレは敵の落とした金をポケットにねじ込み、学校に向かって歩を進める。
周囲では、登校中の学生や、ジャージ姿のおっさんが熱い戦いを繰り広げていた。
よく見るとモンスターはすらいムばかりではなく、でっかいトカゲみたいな奴や、
ヤバイ目つきをした犬(ただの狂犬の可能性有り)なんかも居た。

ジャージのおっさんはかなり苦戦しているようだったが、
オレには関係ないのでさっさと先に進むことにする。


しばらく歩き、商店街の入り口に差し掛かろうとしたとき、再び目の前に敵が現れる。
すらいムが2匹に、色違いのすらいム…赤すらいム…だな。
――とにかく三匹が一斉に襲いかかってきた。

一匹でも結構苦戦したのに、三匹いっぺんはちょっときついな…
だが、まぁ何とかなるか……
さっきの戦闘で自信をつけたオレは剣を構え、手近に居た赤すらいムに斬り掛かった!

が、簡単にかわされた。

「こいつ…速いっ!?」

その隙を衝かれ、残り二匹の攻撃がヒットする。

「ぐ、はぁ…」

すぐに態勢を立て直し、剣を構え直す。
  …攻撃力自体はたいしたこと無いが、何発も食らうと流石にヤバイ……
しかし相手が三匹居る以上、一匹を相手にしている間にどうやっても残りの奴等に攻撃は食らってしまう。
どうしたものかと思案してると……

「こ〜〜〜〜へ〜〜〜〜い」

向こうから幼馴染の長森が駆け寄ってきた。

「もうっ! 何で先に行っちゃうんだよっ!? ちょっとぐらい待っててくれてもいいのに!」

俺の側まで来ると、肩で息をしながら、呑気な事をぬかす。
ちなみにオレは現在もすらいム達と激闘中だ。

「長森っ! お前、状況を見てモノを言えっ! オレが今、何してるように見えるっ!?」
「えっ? …すらいムと遊んでるんじゃないの?」
「違うっ!」
「じゃ、何してんの?」
「見りゃ判るだろ!?」
「だから遊んでるんでしょ?」
「何でそうなるんだよ!? オレは今、命懸けの戦いをしてるんだ!!」

襲い来る赤すらいムを必死でかわし、すれ違い様に一撃を食らわす。
しかしさして効いた様子は無く、今度は近くにいた長森に狙いを付け襲いかかる。

「…………すらいムと?」
 
それを、軽く体を傾げてかわし、オレの方にすたすたと歩み寄ってくる。

「そうだよっ!!」
「……ねえ、浩平……冗談、だよね?」

目の前のすらいムに剣を叩きこみ止めを刺すが、
その隙に後頭部にすらいムの攻撃がヒットする。
だが兜(鍋)のお陰でそんなにダメージは無い。

「……んな訳無いだろっ!? お前も見てないでちっとは手伝え!!」
「……それはいいけど……」

残ったすらいムは2匹…長森が片方の気を逸らしている間にもう片方を倒す。
相手が一匹なら何とかなる…と言う算段だったのだが……

「えい」
ピシャッ
プシュッ
シュ〜〜〜ッ…


「………」

長森は、あっという間に二匹のすらいムを倒してしまった……たった一撃で。

「………」
「あ〜あ……鞄、汚れちゃったよ……」

長森はこんなの当然と言った風で、倒したすらいムには一瞥もくれずに、
すらいムのかけら(?)で汚れてしまった鞄を気にしていた。

「……なぁ、長森……?」
「ん? なーに?」
「お前って実は強かったりするのか?」
「え、そんな事無いよ? 私なんてまだまだだよ」
「でも、今…あいつ等一撃で倒したよな?」
「やだなぁ…すらいムなんか今時、小学生でも負けないよ?
   浩平、またなんか企んでるんでしょ〜? その手には乗らないよっ」
 
って事は何か? オレの戦闘力は小学生と同等……もしくはそれ以下?
  オレって一体……

「なあ、1つ……聞いて良いか?」
「うんっ、いいよ。なにかな?」
「あの……すらいムって奴はどれぐらいの強さなんだ……? その、な、他の敵と比べて……」

あまりのショックで上手く口が回らなかった。
そのうえ、なんだか頭がふらふらする……
もしかしたら、さっきの戦闘のダメージが結構残ってるのかもしれない……
しかしそんな事、今はどうでも良かった……
何故なら、次の瞬間、瑞佳の口から発せられた言葉が、あまりにも……

「最弱だよ。あれより弱い奴なんて見た事無いもん。
もしかしたら幼稚園児でも勝てちゃうかも……って、あれ!? 浩平っ? ねえっ………」
「……」


長森の声を遠くに聞きながら俺の意識は沈んでいった……





ブラックアウト





どこからともなく聞こえてくる音楽と共に、

脳裏に誰かのバストアップの映像が浮かんでは一言残して消えていく。

ちなみに一人目はオレじゃなく、なぜか長森だった。

ふむ、どうやらオープニングらしいが……


スキップ





インフィニティ ロンド

infinity ronde


偽典


まおう くえすと




『永遠の呼び声』






……そして意識は闇の底へ




続く…


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   【折原 浩平】   高校生 Lv.1

HP  2/48  力 知 魔 体 速 運
MP  0/0   5  3  2  5  5  3
   
攻撃  7(9)       防御  6(9)
魔攻  4(4)      魔防  4(4)
命中  79%      回避  5%

装備  てつのけん
      てつかぶと
     かわのよろい

所持金  502円


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  【長森 瑞佳】   猫使い Lv.21

HP 200/200  力 知 魔 体 速 運
MP 98/98   12 37 21 15 21 18
   
攻撃  24(25)       防御  18(19)
魔攻  51(53)      魔防  56(61)
命中  108%      回避  25%

装備  学生鞄
      イエローリボン
     制服




2003/06/06  黒川






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