『SNOW MEMORYS プロローグ』



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奇跡が起きた冬の出来事から何ヶ月かが過ぎた。
俺達……ようするに美坂チームは無事全員進級し、同じクラスになった。
今年は受験、ということもあり、俺は真面目に勉強している。
香里は勿論、北川や名雪(半分寝ているが)も勉強している。あゆも学校に復帰している。
何故?と思うが…考えたら、真剣に邪夢が飛んできそうで、考えなかった。
平和な日々……一人一人、それの意味は違うかもしれない。だが皆が望んだ日々を満喫している。
俺はそんな日々が続くと思っていた。そう信じていた。
しかし、それは……呆気無く…そう本当に、呆気無く破られたのだから。


4月の半ば…その日の放課後

「祐一、放課後だよ」

「…名雪、俺は起きているぞ。寝ていたのはお前くらいだ。」

と祐一が言う。実際、名雪は寝ていたのだから。

「ひどいよー。私寝てないもん。…ほらノートも取ってるし。」

「…授業中に、首を上下に揺らしていたはずだが…」

俺が見た限りでは、名雪は寝ていたはずだ。そのはずだ。しかし、

「…寝ていながら字を書くとは……流石は、寝雪だな。」

「ひどい。私、寝雪じゃないもん。」

「何!お前は、エスパーか!」

「祐一、口に出してたよ」

「ぐはっ」

またやってしまった……こんな癖もう嫌なのに。
神様……俺、何かしました?
窓に身を乗り出し、黄昏ている。そこにあゆと名雪が

「「祐一(君)、掃除しよう。」」

「……さらば、友よ。」

一気に駆け出し、逃げようとする祐一。あの黄昏はどうしたんだ?しかし、

カァーン

目の前に差し出された、ちり取り。それにぶつかった。
顔面にぶつかった祐一は、痛いのか。しゃがみこんだ。

「さぼってないで、速くやりなさい。」

「…悪いな。真面目にやらないと美坂の機嫌が悪くなるから、何も言えないんだ。」

と香里と北川が祐一に向かってそう話しかけた。北川がほうきを差し出した。
祐一は無言でそれを受け取る。祐一はこれ以上攻撃を受けたくないのか、黙って掃除を開始した。


それから10分後

「終わったぞ。帰ろう。あゆ、名雪。帰らないか?」

「ごめん、祐一。今日、部活。」

「ごめん、ぼくも。」

二人は申し訳無そうに断った。

「部活ならしょうがないな、頑張れよ。」

祐一に、頑張れ。と言われたのが嬉しいのか、二人は手を振りながら帰っていった。
祐一は、今日は一人かな。と考えて帰ろうとしたとき

「相沢、ゲーセン行かないか。今日、新しいのが入るらしい」

と北川に言われた。俺は

「いいな、ついでだ。北川君には俺の腕を見せつけてやろう。」

と笑いながら、挑発した。北川は

「ふっ、貴様こそ、このコンボの北川と呼ばれた俺に勝てると思っているのかな。」

二人の視線が交差する。そして、

「「勝負だ!」」

二人は教室を後にした。


ゲーセンに到着した、祐一と北川。早速、中に入った。そこで二人が見たものは、

「ん、相沢……あれは、美坂と栞ちゃんじゃないか?」

「…何してんだ?」

二人はもぐら叩きの前にいる、美坂姉妹を見つけた。

「あら、相沢君に北川君。何してるの?」

「俺達は、今日入る新しいゲームを対戦しに来たんだ。そっちこそ、なにしてるんだ?」

「………栞がね、もぐら叩きでいい点数、取りたいんだって」

溜め息混じりに、香里が言う。

「お姉ちゃん、今私はもぐら叩きで10点を越えるために集中力を高めますから静かにしてください。」

そう言った。しかし、栞にとっては10点を超えるというのは、偉業なのだ。
そして、栞の飽くなき挑戦が始まった。


結果は

「えうー」

「まさか、0点とは」

「0点なんて始めてみたぞ、おれ。」

「我が妹ながらたいしたものね。」

「そんな事いう人達、嫌いです!」

こんなやり取りをしていると、入り口から一人の男が入ってきた。
これが普通の男なら、注目しないだろう。
その男はサングラスをかけ、首には金のネックレス。
そして指には髑髏の指輪と趣味の悪い格好で入ってきた。はっきり言って、浮いている。
この男を見れば、誰もがそう思う。絶対にだ。その男は奥に入っていった。

「…趣味…悪いな」

祐一が呟いた。おそらく例の癖だろう。本人がいない時に発動したのが不幸中の幸いだろう。
全員のテンションが下がった。

「日が悪いから出直そう。」

北川の台詞に全員が頷き、ゲーセンを出た。その直後

ボカンッ

突如、爆発が起こる。全員に緊張が走る。
それと同時に、ゲーセンで遊んでいた人達が出口へと向かってくる
。 突如の爆発が客全員をパニックにしたようだ。
その時、あの趣味の悪い男が、クレーンゲームの景品の時計を奪っているのだ。
そして、男は何食わぬ顔で、逃げ出した。
その時、一人の男がそれを追った。その頭に一房の癖っ毛があった。
祐一もその男達の跡を追った。しかし、祐一は知らない。
これが原因で平和だった日常が、闘いの日々に変わってしまう事を…

路地裏


「ひゃははは、これだから盗みはいいぜ。楽に金になるしな。」

男は、笑う。盗みの成功したという安心感か、それともあそこにいた人への嘲りか。
このまま、消えようとした。しかし、

「見つけたぜ。」

「……だれだ!」

男は振り返る。そこで見たのは金髪の頭をした、そして頭に一房の髪が触覚のようになった男。
顔は少々、童顔のようだ。

「誰だ、てめえ。今なら殺さねぇ。消えな」

「……そういう訳にはいかない。そっちこそ盗んだもの返せ」

少年……北川潤は言った。

「嘗めるンじゃねぇよ。小僧。とりあえず……死ね」

男の言葉と同時に

ビュッ、ビュッ

何か、早いものが空から降ってきた。北川は事前に危険だと察知したのかそこから飛んでいた。
男は避けたのを見て、ヒュウ。と感嘆していた。

「カンで避けたのか?まぁ、いい。次はかわせない…と言いたいが」

男は鞄から何かを取り出した。

「貴様は、この矢に選ばれたようだ。」

男は弓と矢を取り出した。北川は、

(ばかな、何故それが、ここに)

驚愕している。それは彼に見覚えがあった。昔、それに貫かれていたのだから、
そして自分の家族を殺された凶器が今、目の前にあるのだから。

「ひゃはぁ!!」

男は矢を放った。北川もそれに反応するが、驚愕のためか反応が遅れる。
くっ、北川はついにスタンドを出した。
その容貌は、身長二メートルで、全身が赤とオレンジ、黒で色がついている。
肩には炎を模ったような、物が付いている。

「何!てめぇ、既にスタンド使いか!」

男は驚愕した。目の前の男は既に、スタンド使いとして覚醒しているのだから
北川のスタンドは矢を上に弾いた。
それを見て、男は焦った。この男のスタンドが相当速く、そして、精密に動いていたいるためだ。

「くっ、てめえ、近距離パワー型かよ。こんな狭いところじゃやばいな」

この路地は、横に狭いのだ。そのため動きが制限されるためだ

「ということは、お前は、遠距離型か?この狭いところじゃ俺には勝てないぞ。
それにここじゃ、お前にとっては、近すぎる。」

北川は突っ込んで始末しようとした。この男を生かしておけば、この先、この街で悪さをするに違いない。
北川の射程距離は1m半だ。あと一歩で射程距離に入る。しかし、運が悪かった。いや、違う。
この瞬間の運命は北川でなく、男、そして、

「ぐはっ」

声がした方向を振り向くと、そこには彼の悪友であり親友の相沢祐一がいた。それだけでない。
なんと、北川が弾いた矢が彼の胸に刺さっていた。しかし、その隙に男は逃げ出した。
北川は、逃げ出した男を睨みながらも祐一の元に走った。

「相沢!大じょ…」

北川は動転していた。矢が刺さっているのだ。普通の人間では死を待つばかり。
それに気付いた北川の行動は素早かった。すぐさま、SPW……スピードワゴン財団に連絡をした。

(普通の病院じゃ駄目だ。ここぐらいしか知らない)

しかし、気休めにしかならない。
矢のことを知っていて、そして、スタンドの事を知っているだけで、状況はあまり変わらないのだから。


祐一が刺されたという事は、その日のうちに伝えられた。
皆、祐一に救われた(本人に自覚は無いが)人達が一斉に集まった。
皆、その表情を暗くしている。

「祐一さん…」

「………栞。」

「祐一、大丈夫かな。」

「相沢さんのことです。何事も無いように、元気になります。」

「ぐしゅぐしゅ」

「舞、泣いちゃ駄目。悲しいけど泣いちゃ駄目。まだ、祐一さんは生きてるんだよ」

「祐一さん…頑張ってください」

7人の悲しい表情を見ている北川。その間、自己嫌悪していた。

(何故あの時、矢を弾くのではなく、掴めなかった?動揺してたから?そんなの言い訳にしかならない!
もう相沢に刺さっちまったんだ)

北川の答えの出ない自問。あの時の行動…北川は最善だっただろう。
動揺していながら、矢の先端に触れないように、弾き飛ばすのはなかなか出来ないだろう。
普通に考えて祐一が現れるとは誰も想像できない。
祐一は人より、少しだけ正義感が強いためそこに行ってしまった、としかいえない。北川は悪くないのだ。
強いていえば、運命としかいえない。しかし、北川は自分を責めた。そして、責めつづけるだろう。


名雪とあゆが到着した。名雪にしては珍しく、息を切らしていた。あゆも肩で息をしている。そして、

「「お母さん(秋子さん)、祐一(君)は!!」」

二人の声が重なった。秋子は答えられなかった。代わりに

「……相沢は刺された。まだ…分からない」

北川が答えた。これは確かだ。自分も一晩ほど昏睡状態だったという。
この状態から回復すれば祐一は生き返れる。逆に、目覚めなければ、それは死…という明確な形となる

「うっうっう」

名雪は泣き始めた。自分が想っている、想い人。それが今死の淵にいるのだから。

「祐一君」

あゆは泣くのを堪えている。しかし、少し押せば容赦無く襲い掛かるだろう。悲しみという、津波に。


40分後
一人の医師がやってきた。スタンドに関する研究をしている男でもある。
その男は、申し訳なさそうに、こう言った。

「今夜が峠です。今夜を過ぎれば、怪我は回復に向かうでしょう。しかし……。」

と言葉を切った。その先はいわなくても分かる。泣くのを堪えていた、あゆ、栞も泣き始めた。そして、

「今日は…引きましょう。これ以上ここにいても…私達は邪魔になるだけです。」

秋子さんの言葉。全員の目が秋子さんに集中する。しかし、言葉を続けた。

「祐一さんを、信じましょう…彼は奇跡をたくさん起こしました。今回も信じましょう。」

その言葉のお陰か徐々に泣き止み始めた。自分達が信じないでどうする。っと

「お帰りの車はこちらで用意します。では…」

そして程なくして、車が到着した。


車は二台あった。一人、また一人と車に乗りこんでいく。北川は乗らなかった。

「……速く、乗りなさい。折角乗せてくれるんだから。」

「レディファーストっていうだろ。それに女性ばかりだから落ち着かない。
タクシー拾うから先に行ってくれ」

そう言って、別れた。そして、

「出てこいよ。誰もいないからな」

そう怒りの気配を隠さずに言った、出てきた男はあの男だった。

「ひゃはは、いいのか味方はいないぞ。」

「こんな事で、おれを許してもらおうなんて思わない。だけどな、落とし前だけはつけさせてもらう!」

北川の台詞と同時に殺気が辺りに広がる。男は

「くっくっく、ここじゃなくて、港の倉庫はどうだ。そこでケリをつけよう。」

そして、言い終えると同時に消えた。北川は拳を握り締め、

「ああ、ケリだけはつけよう」

怒りに顔を染め、一人の男が戦おうとする。

TO BE CONTINUED


後書き
祐一(以下:祐):完璧にJOJOだな
作者(以下:作):ああ、JOJOだ
祐:なんで、また。JOJOなんだ。
作:いや、最近さJOJOにKANONてあるからさ書きたくなって
祐:いいのか
作:いいんだ。書きたい物を書く。それがSS作家だ。
祐:しかし、俺、いきなり死にそうだぞ。
作:大丈夫。君は死なないし、無茶苦茶強くするから
祐:ほう。一番強く?
作:その予定だ。君の能力は強くする。
祐:それはそうと速く書けよ。
作:こっちは、ネタが沢山あるから。ただもう一つのほうはちょっと…
祐:やれやれだぜ
作:それ、承太郎の台詞




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