『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第20話 硬さの恐怖』




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あゆと栞の闘いが終わって、約30分……
舞は佐祐理と牛丼を食べにいった。
舞は周知の事実として、牛丼が好きと知られている。
若い女が2人で牛丼屋に入るというのは結構珍しい光景かもしれない。
しかも、2人ともかなりの美女であるのだから。
しかし、当然の事として既に周りの人から認知されている。 
もし、彼女たちを見て奇異の視線を向けるなら、それはこの場に来て日が浅い者か、
他の街から来た人ぐらいのものだ。
「……牛丼、大盛、みそ汁に漬物……」

かなり豪快な注文だった。
はじめて来たと思われる人が何人かがその注文に驚いた。
まだ時間的に少々早い時間だ。
これだけ食べれば1食分にはなるだろう。
まだ、5時10分に差しかかろうとするくらいの時間だ。
いささか、早いのではないかと思ったのだろう。

「ポテトサラダと並盛ください」

一方はこの場にいる事、事体が不自然だと言われても仕方がないほど浮いていたが、
常連客は、皆知っているのだ。
彼女自身が常連客だという事をだ。
それでも浮いているかもしれないが……

そんな感じで2人の食事は始まった。


舞はかなり早く箸を動かしていた。
そのスピードは並の男……いや、この店の誰よりも早く箸を動かしていた。
佐祐理は舞に話しかけながら食べていた。
この2人の基本は舞が早く食べ、佐祐理が少しずつ食べながら、舞に話しかける。
その時、舞は一瞬だが動きを止め、佐祐理に応えて、また箸を動かす。
それが基本だった。
しかし、一人の男が近づいてきた。

「あの……ちょっといいですか?」

歳にして30〜40ほどの男だった。
体がガッチリとしていて、肉体労働をしているような感じがする。
丁寧な話し方をするため、粗暴には見えない。2人は顔を見合わせた。
2人ともこの人物に見覚えがない。

「誰かが呼んでますよ?あそこです」

男は指をさした
2人はその方向を見た。そこに、今年入学した大学の同期の男だった。
入学当時から髪を緑色の髪にしているためかなり目立っていたのだ。

「あれは……ウチの大学の人ですよね?」
「……そうだっけ?」
「あはは〜。舞は祐一さんしか興味がないからね」

ビシッ!

「そんなことない……」
「顔を真っ赤にしてるから、説得力がないですよ」

ビシッ!ビシッ!

舞のチョップが佐祐理の頭で炸裂している。
佐祐理は嬉しそうに頭を押さえて笑っている。
2人のコミュニケーションの一環となっている。
佐祐理が舞のパターンは、話す、からかう、チョップが最近の主流である。
しかし……

「あの、伝えましたからね。では」

2人から離れていった。

「食べたらいこうね。舞」
「はちみつくまさん」

そして、騒動に巻き込まれる事になる。


2人は牛丼屋から出て、待っていた男の元に向かう。
容姿としては髪を緑色の髪にした男。日本人特有として眉は黒のままだ。
着ている服もどこかのブランドだろう。素材からして違う。
そこらの安物とはあきらかに違う。それを下品にならない程度に着こなしている。
着る人が着ればカッコよく見えるかもしれないが、本人の姿が軽いのでナンとか見れる程度ということだ。
まぁ、所謂、現代の若者を忠実に再現していると言ったところだ。

「佐祐理さん……おれと付き合ってください」
「お断りします」

秋子さんの了承とほぼ同スピードで回避した。
もしかしたら、1秒かかっていないかもしれない。

「な、何故だ!?おれのような素晴らしい男に告白されて嬉しくないのか!?」

その物言いが自己中心的だとよくわかるが、舞と佐祐理は無視して家に戻ろうと足を進めた。当然だった。
前述した通り、舞は異性として意識しているのは祐一のみ。
友人としては北川も入るかもしれないが、まだ面識があまりないので何ともいえない。
佐祐理にしても、このような男を歯牙にもかけていない。
高校時代でももてていたため、このぐらいの男はそこらに沢山いたのだ。

「ま、待てよ!無視するな!」
「話すことはないですよ」
「……早く帰ろう。佐祐理」

彼女たちの評価は最低という決断を下した。
周りの聴衆も失笑している。

「後悔させてやるからな!覚えておけ!」

男の負け犬の遠吠えが辺りに響いた。
そんな事を言っても、無視をされ、男は怒りと憎しみを含んだ視線を送った。
男はタクシーを使い、前のバスを追跡するように命令した。

「前のバスを追え!金は倍払う!」
「お客さん……悪いですけど無理ですよ。他に客がいるんですよ」
「うるせえ!追えって言ってるんだよ!」
「構わん……このバカを使うことにするからな……」
「なん………!?」

男は絶句した。身長が2m近い大男だ。そして筋骨隆々とした男だった。
サングラスの迫力もプラスされ完璧なヤクザだった。
間違っても紳士には見えない。

ガシッ!

「貴様は利用させてもらうぞ!」

男は首を根元から掴まれた。
そして、その数秒後には意識はすでになかった。


佐祐理は気分が悪かった。

(失礼な人でした)

お腹が膨れた直後にあの男に告白されたのだ。
これを気分を悪くせずにいられるだろうか?いや、いられない。
高校時代、もてていたため告白された事があるが、あそこまで酷い男はなかなかいないかった。
あるとすれば久瀬の一件……しかし、その点に関して腑におちない点があった。
確かに合理的な処置に見える。そして、佐祐理はそれを撤回するために生徒会に入るという条件を出された。
佐祐理はそれをOKした。
その時に、一瞬だが見たのだ。

苦虫を噛んだかのような顔をしたのを……

あの顔の意味が未だにわからない。
あれだけ大々的に宣伝をしたというのに、あの時は歓迎していないかのような顔をしたのだった。
退学は撤回され、約束も守った。
そして、佐祐理はその後の騒動の責任をとって、生徒会をやめた。
久瀬はその時はポーカーフェイスを崩さなかった。
そんな男が、

佐祐理が、ポーカーフェイスを崩したのを見たのはあの時の一件だけ……

それ以外見ていなかった。

ポンッ

舞が佐祐理の肩に手を当ててくれました。
さっきのことは気にしないほうがいい……と舞が言ってくれたような気がした。
それは事実だろう。舞は佐祐理のことが好きだし。逆もまた同じだった。
佐祐理は微笑んだ。舞を安心させるために。
舞も一部の人間にしか分からないかもしれないが、笑った。

突如としてなにか大きなモノがぶつかった音と衝撃が舞たちの耳に入った。

バスは急ブレーキをかけた。
そして、脇にバスを止めた。運転手は一旦外に出るように指示した。
バスの後部を見ると……

「なんだよ……これ……」

そこにはなにか大きな鉄色の物質がバスにめりこんでいた。

そして、バスの運転手は

「このバスの運行はできません。申し訳ありませんが、ここでバスは停止します。
バスに乗りたい人は、バスを乗り手ください。」

乗客に指示をした。舞たちはどうしようか迷ったが、徒歩で帰ることにした。

その判断は最悪に近いものだったが……


舞と佐祐理は道を歩いていた。
バスで早く帰る予定が徒歩になった。
佐祐理曰く、「ダイエットになります」だそうだ。
ここ最近、舞の食欲は増加の一途を辿っていたらしい。
ここでの「ダイエット」は舞のダイエットなのだ。

「佐祐理……祐一の家に行こう……」

舞の提案。ここ最近会っていなかったから会いたいのだろう。
佐祐理が首肯しようとした瞬間。

「川澄舞と倉田佐祐理……だな?」

低い声がかけられた。
ナンパかと思ったが、ナンパにしては威圧感がスゴイ。
深夜の学校で闘っていた舞をしてそう思わせた。

「しつれいですが、どなたですか?」
「質問に質問で返すな。川澄舞と倉田佐祐理だな?」

反論は許さないらしい。
舞はこの男から感じる威圧感から身構えていた。

威圧感だけでなく、殺気もある。

舞の感覚がそう判断した。ふいに、

魔物……いや、自分の力と対峙したかのような殺気と威圧感をこの男から感じた。

この感覚に間違いがなければ、危険なのは間違いない。
佐祐理は答えた。

「そうですけど……!?」
ヒュッ!
キィィン!

佐祐理の答えとほぼ同時に男から攻撃がきた。

しかし、男から現れたもう一体の人と自分の前に立っている人がいた。

一人は鈍い鉄の色をした大柄な男。格闘家という感じの体躯。
男をトレーズしたかのごとき人だった。
もう一人は、さしずめナイトだった。馬に乗った女騎士。
手には傘を閉じたような形の槍だった。

「……舞……も?」

その質問には答えなかった。
そして……

「……すでに覚醒済みか……まぁ、いい」

男が構えた。右の重心を少し崩し、左手を少し前に出した形。
この構えを見た覚えはない。おそらく、我流だろう。
その男が最も集中力を発揮する構え。それが隙だらけなこの構えだった。
舞は正面に見据え、男の出方を伺う。
一瞬だが、硬直状態になる。静かだった。
そこに……

「佐祐理もですよ」

ヒュッ!

佐祐理も自分のスタンドを出した。
それもまた一体の人だった。肩当に♯の文字。
体には三角のマークが所々に散りばめられている。
それを見て、動揺したのが舞だった。
男はその動揺を見逃すはずがなく、突っ込んできた。
左を突き出し、がら空きの舞の顔面に拳が向かってくる。
舞はその一瞬の隙を悔やむ。しかし、

その攻撃を佐祐理のスタンドが左にいる舞のために防御した。

そして、その攻撃された拳ごと、佐祐理は下に下げる。

「ハイッ!」

残った右手で攻撃をし、相手もその攻撃を防御する。その手を上にはねあげ、防御体制を崩す。
佐祐理を攻撃した手の力が緩くなる。
強引に引き離し、攻撃を加えようと態勢を戻すが、その攻防の隙をついて、
舞は槍で腹めがけて突きをいれる。
男はその攻撃を冷静に後方に飛んで回避した。

「……やるな……」

そう言った直後、男が着ていた黒服の布の一部が地面に落ちた。

「2人の近距離型か……分が悪いな」

隙だらけの構えを取りながら、そう呟いた。
自身も近距離型だが、2人ともなかなかのパワーだ。
咄嗟のコンビネーションもよい。片方に隙が出来ても、その隙を防御するだろう。
攻撃も2人の息が良く、防御するのも一苦労だ。
加えて、まだ能力が明らかになっていない。
スタンドの能力は一つだが、分かっているのと分かってないのでは大きな違いになる。
極めて厄介だが、こちらも有利な点がある。

まだ、敵は自分の能力を知らないという点だ。

先程のバスの事件である程度予想がついたとしても、半端に知っているだけでは逆効果だということ。
もし、何かを飛ばす能力だと予想しているなら、誤解しているならその隙を付くことができる。

投げたのはスタンドでおもいきりぶん投げただけなのだから

それはともかく、やはり2対1では分が悪い。

そう判断した。判断すれば行動は一つ。
男は重心を後ろに預ける。

「……おれは一旦退かせてもらう。だが、いつか貴様等を殺す!」

そう言って、男は逃げ出した。
舞はホッとするも、佐祐理は

「舞!追わないと!」
「……どうして?」
「今追わないと、四六時中狙われます!夜中に襲撃されると厄介ですよ!」

舞は言われて気づいた。
魔物は1日1回しか襲ってこないから、舞の判断が遅れた。
男の言葉を判断すると、何時でも襲うと宣言していた。
なのに、気が緩んでしまったのだ。

こうして、2人は夜の街を捜索することになった。

後書き
作:終わった、終わった。
祐:今回は早いよな(ジト目)
作:そうだな。祐一さ……今回を強調するなよ
祐:事実だろうが……俺はその間もレクイエムで飛ばされてたんだぞ!
作:自業自得だろうが。いきなり襲うなんて……
祐:お前に俺の気持ちはわからない!後書きを降格されるなんて……
作:……別にいいじゃん。散々、文句言ってたし……
祐:あの文句が本心じゃないって気づいてたくせに!
作:ギャグでも出れれば嬉しそうだからな、君は。
祐:やっと気づいたか!俺の苦しみを!
作:はいはい。分かったよ。でも、そんなこと言っていいのかな?
祐:な、なんだと!?
作:次回から、ギャグを120%増量計画があるんだけど……
祐:おねがいですから止めて下さい(土下座)
作:やれやれだぜ……次回は硬さの恐怖Aです。本当にどうしよう?
祐:やめてくれ〜




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