『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第17話 地獄にも似た芸術B』




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現在、あゆと雹が戦闘の最中。美坂栞は何か妙な感覚を受けていた。
そう、なにか妙だった。先程感じた寒気のほかに今では何か浮遊感を感じていた。

(ど、どうしたんでしょう?あゆさんとあの男の人が戦ってからでしょうか?)

栞はそう考えた。しかし、答えが出ない。栞にこの意味は分からない。
現時点で誰も分からない……


あゆは前の男を見ていた。前の男を見逃せば取り返しのつかないことになってしまう。
そう感じていた。実際、今までの闘いでそれを理解していた。
こちらは、まだ扱いきれていないかもしれないが、かなり本気で攻撃している。
なのに、クリーンヒットしていない。それが、どういう意味かはあゆ自身が分かっていた。

(このままだと……凍っちゃうよ……)

確信にも似た予感を感じる。相手にはまだ余裕がある。
互角なのもその余裕があるおかげだ。死に物狂いにでもなれば、こちらはあっさりと……
そう、生えている花を摘んでしまうかのようにあゆの命が消えるのが消えてしまうかもしれない。
その恐怖とあゆは闘っている。
そして、その恐怖を振り払うべく、あゆは攻撃を再開する。

ブンッ!

その音と同時にあゆは風になる。そして、体当たりの攻撃。
相手は、それを避ける。先程と比べて相手にも余裕がある。そして、雹はすかさず

「いい加減に……しろ!」

自身のスタンドでもあるヘルアーティストでの、攻撃。まずは左の速いパンチ。

(うぐっ!)

あゆは急いで、自分も左……雹から見て右に避ける。
そこに狙い澄ましたかのごとく右の強烈なパンチが飛んでくる。あゆは急いでそれをしゃがんで避ける。
そこから、雹に至近距離からの体当たりを攻撃する。
それは、雹に向かって斜め上に跳躍するような体当たりだった。

ヒュッ!ビキィッ!
「グゥッ!」

苦痛に歪む雹の顔。あの一瞬で雹は戻した左手で、腹を防御する。
そして片手では防御しきれない、と悟った雹はあの一瞬で僅かに後ろに飛んだ。
それでも防御しきれないほどの衝撃が雹を襲う。
あゆは心の中で、やった!と思うが、雹の顔を見ると薄く笑っていた。
そして、ヘルアーティストの右手が地面に当て、
そのまま左足であゆの身体に向かって右手に力を入れあゆに向かい蹴りを繰り出した。
それはあゆの身体……というよりスタンドであろう鎧にヒットした。
無論のことだが、あゆにはその攻撃を、ようするに蹴りを知覚出来なかった。

ドカッ!
「うぐーーっ!」

あゆはその攻撃で吹っ飛び、栞とは反対側の屋上のフェンスにまで吹き飛んだ。

ガシャーーーン!
「うぐっ……って、あれ?痛くない?」

あゆにはダメージが無い。やはり、周りの鎧は高い所に飛ぶために、かなり硬いようだ。
そう雹は結論した。蹴ったときの衝撃で分かっていた。
体制が不十分とはいえ、それなりに強力だったと思われる蹴りだが、
実際はあゆの鎧を蹴り抜いたのではなく、蹴り押したような物だと彼は自覚していた。

「でも……ぼくの攻撃は……通用しないよ……」

あゆの呟きは少し弱気になっていた。
しかし、弱気になる暇さえも与えてはくれなかった。

ドサッ……

栞が膝をついた。そして、身体を震わせていた。
まるで、寒さに震えるかのように……

「栞ちゃん!?どうしたの!?」

あゆは大声を張り上げた。

「………」

栞は喋れなかった。寒さで唇が震えている。体も震わせている。
それを雹は冷めた目で見ていた。意味が分からないが、それでも今が好機である。

「……意味が分からないが……震えているならちょうどいい!貴様から始末する!」
「させないよ!」

雹は栞に向かい走る。それを見て、あゆは一気に跳躍し、後ろから体当たりを仕掛けようとした。

(いくらなんでも……後ろからの攻撃は避けられない!)

そう、あゆは感じた。それは正しい。しかし……

ビシィッ!

あゆの足が凍っていた。もとからあゆの足は凍っていたが、それとは別の氷があゆを捉えていた。
それは先程蹴りを出したときに地面についた場所から氷が伸びていた。それがあゆの足を捕らえていた。

「え!い、いつのまに!?」
「貴様に蹴りを繰り出したときだ!あの時地面に手をついた時に能力を発動させた!
弱いが一瞬の足止めには十分だ!」

雹の説明が耳に聞こえた。あゆは気にしていないようだ。
その氷から逃げるために集中しているのでよく聞こえなかった。そして、雹は栞の所に走る。
栞は気づかない。自分の身に起こっている異常でそれに気づいていない。

「に、逃げて!」
ヒュッ!
その言葉と同時に雹の元に何かが向かう。
それはあゆ自身、ナンなのか分かっていない。しかし、かなりの速さで雹の元に向かう。
そう、全方位から……

「ヌゥ!へルアーティスト!」
バサッ!バサッ!ヒュッ!バサッ!ヒュッ!

しかし、雹は冷静に飛んできたモノ……それは羽だ。あゆのスタンドの羽が弾丸のように飛んできた。
それを雹は約8割ほどを弾いた。残りの2割は彼の身体を掠めた。

「フン!貴様のスタンドが飛ぶスタンドだと判断し、
貴様に蹴りを与えたときから腑におちないところがあったのだ!貴様のスタンドは堅い!
それなのに羽はただ舞うだけの動きしかしていないときも羽が地面に落ちている!」

そこで雹は言葉を切る。

「まさかとは思ったが……やはり羽も貴様の制御下にあるらしいな!だから貴様の攻撃が予測できたのだ!」

雹はあゆの羽が攻撃できることを既に予測していたのだ。
だから、比較的あっさりかわせたのだ。
一つだけ勘違いがあるとすれば、あゆはその使い方をまだ知らなかったことだ。

(そうだったの……ぼくの意思で羽も自由に動かせる……)

あゆは頭のどこかで冷静に判断する一方で

(このままだと……栞ちゃんが殺される!)

頭で警告していた。そして……

「もう一度!羽で攻撃する!」
シーン……

あゆは判断を間違えた。いや、間違ってはいないかもしれない。だが、最善ではなかったと思われる。
ここであゆは脱出するべきだったかもしれない。
しかし、脱出してもあゆは救えるかもしれないが、栞は見捨てる事になる。
だから、あゆは再度、羽で攻撃する事を決意する。
間違いではない。しかし、忘れていたのだ。目の前の男には能力があることを……

「ど、どうして!?」
「もう一度、速く攻撃をしかけたのは合格だ……だが、能力を忘れているな……俺の能力を忘れたか?」

そして、あゆは弾かれた羽をもう一度見た。
その羽は全て凍っていた。

「理解したか?俺が殴れば凍ることに……まとまった羽……
翼なら氷ごと動かせるかもしれないが、さすがに羽一つ一つに俺の氷を破る力はない!」

そう雹は羽を弾くと同時に全て凍らせたのだ。あゆは全ての攻撃方法を奪われた。
そして、雹は栞の方向に向いた。あゆは栞の姿が身体が邪魔で見えなかった。

「美坂栞!これで最後だ!」
ブンッ!

あゆは目を逸らした。目の前の行動で栞が死ぬ……そう思ったから。
そして、目の前の男、雹の背中が見た。思考が纏まらない。
もう少ししたら栞が倒れる音が聞こえるだろう。認めたくない現実かもしれないが……
しかし、

(?あの人も動いてない?)

雹も動きを止めていた。どうしたのだろうか?

「なにを……なにをした!?美坂栞!」

雹は憤慨した。そして、あゆは見た。
目の前の男は、放った拳が凍っているのを……

「私はなにもしていません……あなたの能力がこの状態にしたに過ぎません……」

上空から声が聞こえた。やはりというべきか、それは栞だった。

「栞ちゃん!無事だったの!?」
「ええ、このとおりピンピンしてますよ」

栞はあゆの前に降り立った。

「なぜだ!?なぜ、貴様には能力が二つある!?」
「どういうことだろ?」
「わかりません」
「スタンドの能力は一つにつき一つ!それが原則だ!しかし、貴様には空を飛び!この俺を凍らせた!
説明がつかん!」
「ああ、それなら……教えるわけにはいきませんが、私も能力は一つです。それを利用しただけです」

事も無げに言う栞。しかし、栞も能力が一つと聞いた以上、それを教えるわけにはいかない。
少しでも、状況を有利にする必要がある。
そして、栞は雹が見ていない間にあゆの凍っている部分を解除しようと考えた。


「あゆさん……今、凍っている部分を解除しますね(ヒソヒソ)」
「ど、どうやって?」
「こうしてですよ」

栞が手をかざすとあゆの凍っていた部分が全て無くなった。

「す、スゴイ……どうやったの?」
「今は秘密です。相手に聞こえるかもしれませんから……」

少し余裕が出来ている二人。そんな二人とは対称に雹は焦り始める。

(もう捕まえようとは思わない……全身全霊で二人を殺す!今回は任務を放棄してでも殺す!絶対にだ!!)
「相談は済んだか?それが貴様等の最後の会話だ!」

そして、雹は突っ込んだ。迎え撃つはあゆだ。

「負けないよ!」

あゆは先程同様体当たりを仕掛けようとする……かに見えた。
雹はまたも体当たりかとおもい、拳を体当たりの前に当てようとする。
しかし、予想とは違い、あゆは右足でブレーキをかけ、その勢いのまま、その場で一回転した。
そして、あゆの翼が雹にむかい襲いかかる。あゆは回転する事で翼を撃ちつけるようにする。
そこに、ヘルアーティストの拳と激突する。

ビシィィ!ピキィ!

ヘルアーティストの方がパワーが上だが、あゆはスピードと遠心力のおかげで、
撃ちつける力が先程より強かった。
無論、あゆは意識していない。半ば、本能の行動だが……

「チィッ!」
(そこですよ!)

雹の舌打ちと同時に栞も能力を使う。何か小さいものが雹の視界の脇を通りすぎる。

(ナンだ!?これが美坂栞の能力か!?)

しかし、一瞬だったため確認できなかった。
その瞬間……雹が繰り出した拳が凍った。

(どういう能力だ!?本当に分からん!)

自分と同じ能力かもしれないが、先程見た小さいスタンドで自分並の能力を誇るとは考えにくい。
その直後、あゆの羽が襲いかかる。あゆは自身のスタンドをコントロールしはじめた。
雹はそれをガードする。先程より羽の数が少ない。
そのヘルアーティストの腕に羽が突き刺さる。
雹は痛みに耐える。そして……

ヒュッ!ヒュッ!

後ろからも羽が襲いかかった。

「クッ!」

雹はヘルアーティストを裏拳の要領で羽を弾いた。

「い、今のは……」

あゆも分からない。背中を攻撃した羽はあゆがコントロールしたものではないのだから…
隣りを見ると栞が笑みを浮かべる。

「大体……掴みましたよ……感覚を……」

栞の呟きは雹にとっては悪魔の宣告に等しかった。 そして、栞の周りに体長5cmほどのなにかが浮かんでいた。数にして、6人いた。
姿としては、女の子に見える。一人一人の姿が微妙に違う。
しかし……能力は本人以外には未だに謎だ。どういう原理でこのような現象を起こしているんだろうか……

「これで終わりです……」

栞が手を高く掲げた。そして、何故か羽が空中に浮いていた。
栞の周りにあるスタンドも話してきた。

「じゃぁね〜」
「しくしくしく……おじちゃん……死んじゃうよ……」
「……………(ボソボソ)」
「死んでください」
「手加減しますから……」
「悲鳴をあげるなよ!痛いけど我慢しろ!」

スタンドは一人一人性格が違うようだ。
そして……雹の驚愕の顔を確認せずに

「栞ちゃんの能力がわからないけど……ぼくも羽で攻撃するよ!」
「同時にいきますよ!」

二人の同時攻撃が始まった。

ヒュッ!ヒュッ!

ものスゴイ数の羽が雹に向かって飛んでいった。

「ウオォォォォーー!」

雹は自身のスタンドで何本か羽を弾いた。
しかし……

ドスッ!

その一本刺さるのを始めに少しずつ彼に刺さっていった。
羽は彼の身体に刺さったのだろう。刺さった羽は動かない……
そして……

「私のスタンドは……エネルギーです。何かを動かすにはエネルギーが必要です。
私はそのエネルギーを操ります。今回、吸収したのはあなたとあゆさんのスタンドエネルギーですよ。
だから飛んだり凍らせたりできるんです。」

栞の台詞が辺りに響いた……

TO BE CONTINUED

補足
スタンドの元となったもの
相沢祐一
リトルミラクル
ヘブンズドアーの能力とスタープラチナの戦闘力を合わせたようなもの
なお、ヘブンズドアーと違い、意思の無いものにも命令可能。
水瀬名雪
ツリーフェアリー
ゴールドエクスペリエンスの植物を操る能力が元。
種の攻撃は女帝(エンプレス)の能力だったりする。
美坂香里
マクスウェル
これは関係無いけど、封神演義のアレ(汗
知りたい人はコミックスの15巻あたりを調べてください。
北川潤
ヒートマスター
基本的に何も考えていない。あるとすれば、声優ネタ(汗)
友人に一歩間違えるとギャグと言われた(大汗)。
月宮あゆ
エアフォース(本編では名前未登場)
これもあっさりと決まった。ホワイトアルバムかな?オアシスの可能性も……
あゆのスタンドと言う時点で決定していた。はっきり言って安易だったり……
美坂栞
フォース・オブ・ハビット(本編では名前未登場)
言わずと知れた、セックス・ピストルズが元ネタ。
姿を想像するなら、これの女性バージョンだと思ってください。
性格は違うようにしたと思いますので……

能力解説
エアフォース
本体 月宮あゆ
破壊力 C  スピード A  射程距離 C(羽が10mの範囲で届く)
持続力 C  精密動作 D  成長性  A
能力
簡単に言うと羽を操る。その羽が鎧や翼となっている。スタンドパワーでそれを固定する全身装着型である。
なお、飛ぶため気圧の変化にも耐える為に、かなり堅い。
また、羽は弾丸のように飛ばす事も出来る。
なお、最大で400kmまで加速可能。だが、加速するほど器用に動けない。
その際の気圧はあゆの鎧で防御できる。

フォース・オブ・ハビット
本体 美坂栞
破壊力 E  スピード A  射程距離 A(見えればどこにでもいける)
持続力 C  精密動作 B  成長性  C
能力
物を動かすにはエネルギーが必要。そのエネルギーなどを吸収する。
エネルギーを開放する時にどれだけ開放するかを自分で考えることができる。
吸収したもの通しを合成も可能である。(今回は氷の羽を作る事も可能ということ)

後書き

作:……さて、誰がくるかな……

ゴソゴソ(後ろから物音が……)

祐:ククク……まさか、闇討ちをするとは思うまい……死ね!

リトルミラクルのパンチが作者にきた。

作:祐一よ……俺が予想していないと思ったか!?

サッ!(どこからか『矢』を取り出す)

祐:遅い!貰った!
作:遅くは……ない!

グサッ!(作者は自分の身体に『矢』を刺した)

祐:貰っ……た!?
レクイエム(以下:レ):これがレクイエムだ……お前が攻撃しようという真実は……
なくなった!もうこの真実に到達することはない!さぁ……もう終わりだ……
作:無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!

祐一は吹き飛んだ!

作:終わりがないのがレクイエム…それはともかく次回予告、地獄にも似た芸術Cです。

祐一の運命は!?それは作者もわからないぞ!次回からどうなる!?
それと、レクイエムは作者の精神なのでジョルノのレクイエムと口調が違います。
盛り上げるために『矢』を使ったに過ぎません。




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