『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第11話 フォックス&フォックス@』




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美汐視点
それは家にいたある日の事だった。
その日は晴れ、まるで相沢さんが目を覚ました事を祝福するかのような日でした。
そして目を覚ましたと言ったときに真琴は喜んでいました。その喜ぶ姿を見て、私は安堵しました。

相沢さんが刺された日の夜……真琴は1日中起きていたのですから…… 

それがどんなに辛いかは私にもわかります。大事な人がいなくなる……これは悲しいことです。
……話しが湿っぽくなるのでやめましょう。
忘れるわけではありませんが、真琴が来たら心配をかけてしまいますから……
とにかくそんな日の事でした。
私は部屋で勉強をしていました。真琴は居間でテレビを見ているのでしょう。
その時に真琴と父の声が聞こえました。また、父が真琴の肉まんでも取ってからかっているのでしょう。
そんなところは相沢さんにそっくりです。

(どういう意味だ!?)

相沢さん回想中ですから静かにしてください。
話しは元に戻しましょう。私が勉強を終え、居間に向かったときに……

「美汐。頼みがあるのだが、今から江崎氏の所に行ってくれないか?」

私の父……天野早秋がそんなことを言ってきました。
他人が見ると厳つく見えるのだが、実際は真琴と肉まんの取り合いをしたり、私にちょっかいを出したり、
母でもある、天野真帆と仲良くしてるような人なので、どこか子供のような人です。
それが証拠に真琴の頭を押さえています。
大方、真琴の肉まんを取って、今まで子供の喧嘩のようなことをしていたのでしょう。
しかし、今は真面目な顔をしています。真琴もその顔を見るとしぶしぶと引っ込みました。
それにしても父がこんな顔をするのは仕事をする時くらいのはずですが……

「今からですか?もう8時を過ぎているのですが……」
「いやな……どうも小さい娘がいるようでな……そこの娘が病気のようで御払いをしてほしいそうだ」
「それならば、病院に入院したほうが……」
「それはそうだが、どこも入院を渋っておるそうだ。
なにしろ小さい娘……まだ幼稚園に入って間もないような娘が死んだりしたら、
病院も叩かれるだろうしな……それに」

早秋が言葉をきる。

「どうも、原因不明だそうだ。治療しようにも治療できない……だから余計に入院させたくないそうだ」

原因不明の病気で死んでしまったら、それこそ叩かれるだろう。
最近病院に対する信頼は減っていくばかり……医療ミスでのでっちあげと叩かれるのを恐れているのだ。
真面目な病院ならそんな心配もないが、それでも避けられるなら避けたいのが病院の実情だろう。

「彼女の父親も今も入院させるように頼んでいるが、難色を示しておる。
そこで、気休めだとは思うがと、御払いを依頼された。どうだ?行ってはくれないか?」

私は迷いました。私の家は神社ですが、御払いなどしたことはありません。
そんな私が御払いしてもご利益がないでしょうし……
なにより、命を落としかねない状況の娘をそんな商売のような気持ちで御払いしても誰も喜ばないでしょう。
そんな事を考えていると……

「江崎?もしかして、江崎華穂ちゃんのこと?」

今まで、新しい肉まんを頬張っていた真琴が聞いてきました。華穂ちゃん?

「知っているのですか?真琴?」
「うん。バイト先で病気の子がいて来てないの……心配してたんだ」

真琴の知り合いですか……それにしても、しっかりバイトしているようです。
相沢さんは真琴の事を子供扱いしていますが、真琴のほうがよっぽど大人かもしれません。

(だからどういう意味だ!?)

うるさいですよ、相沢さん。回想中ですから静かにしてください。

「真琴ちゃんもこう言ってるし、行ってはくれないか?」
「真琴の知り合いを放ってはおけないでしょう。行かなければ人として不出来でしょう?」

かくして、私は江崎家に行くことになりました。
しかし私は気付きませんでした。これもまた始まりに過ぎないのだということを…


そして、私は仕事衣装……まぁ、俗にいう巫女の衣装を着ました。
この格好はハッキリ言って結構寒いです。
しかし、先方の方達に普段着で御払いをするのは、さすがにまずいでしょう。
普段着で御払いする姿を想像してください……
誰もがインチキだと言うでしょう?言わないにしても不信な目で見られる間違い無いでしょう。
そんな目で見られるのは勘弁したいですし……

「美汐?どうしたの?」

隣にいる真琴に声を掛けられた。
あの後、真琴が一緒に行くといい、真琴用の巫女衣装が何故かあったので、
それを着てもらい一緒に行くことになりました。
ちなみに父は母に連れられていきました。巫女衣装は父が用意しました。
その事で母は口は笑ってはいましたが、目が笑っていません……というか、最高に怒っていました。
母は普段は温厚ですが、怒るときは最初は静かに怒りますが、その後は火山が噴火したかのように怒ります。
その時に起こるであろう、惨劇は予想しましたが、私は無視しました。
考えると怖くなりそうだからです。私も自分の身は守りたいのです。

「なんでもありませんよ、真琴。その巫女服が似合っていますよ。」
「ありがとう。美汐」

真琴本来の明るい笑顔で答えてくれました。
相沢さんが刺された時とは比べ物にならないほどそれは輝いていました。
私はそれを嬉しく思い、真琴を抱きしめてしまいました。
真琴も最初こそ困惑しましたが、嬉しそうでした。
しかし……

ヒソヒソ

周りの人から注目まで浴びてしまいました。
なかには、若い男性もいたのでどんな想像したかは分かります。
私は恥ずかしくなり、足早に江崎家に向かいました。
しかし……ふと気になることがありました。

「どうして、父様は真琴のサイズを知っていたのでしょう?」
「あう?真琴に直接サイズを聞いてきたよ?」
「……あの人は……それで教えたのですか?」
「うん!教えたけどそれがどうかした?」

真琴の言葉を聞き、母様にはきついお仕置きをしてもらいましょう。と私は心に誓いました。
もう弁護の余地を与えません。トラウマを負ってもらいます。
私はそう決心しました。
そして、江崎家に到着しました。


「どうも……すいません。夜分遅くに……」
「気にしないで下さい。不安な気持ちも分かりますから……」

私達を案内してくれたのは、この家の夫人でもある江崎翔子さんです。
私達は会釈して家の中に入りました。かなりのお金持ちらしく、装飾品も結構あります。
ですが、あまり成金という感じがしません。
そのあたりはセンスの良さでしょう。品良くまとまっています。
真琴も周りを見ています。表情から判断して相当嬉しそうです。

「こちらです。お願いします」

周りを気にしていて、いつのまにか到着していました。

「では、御払いを始めます。今から1時間ほどですので、終わるまで待っててください」

そういって出て行かれました。
真琴と一緒に部屋に入ると、そこにはベットに寝ている江崎華穂ちゃんの姿がありました
お人形さんみたいに、かわいいです。きっと将来は美人になるでしょう。
そして、周りには少女アニメのおもちゃなどがたくさんありました。

「では……始めましょう。真琴は待っていてください」
「うん。わかった。」

真琴は近くの椅子に腰掛けました。
そして、御払いを開始しました。一応習ったとおりの方法です。
しかし、10分後……

「ケケケ……無駄なのによくやるねー」

どこからか声が聞こえました。しかし、周りを見てもいるのは真琴のみ…

「真琴……なにか言いました?」
「あう?なにも言ってないけど?」

真琴は困惑しています。ですが、確かに聞こえたのです。
声の高さも大きさも分かりませんでしたが、確かに……

「ゲッ!おまえ……スタンド使いだったのか!?」

今度は確かに聞こえました。その声の方向に向くと……
江崎華穂ちゃんの小さな身体の上に一体の狐のぬいぐるみが……
なぜ、こんな所にぬいぐるみが?それにこの部屋にぬいぐるみは無かったはずなのに…

「まさか、こんなところにいるとは!」

確かに狐のぬいぐるみが喋ったのですから……
そのことを理解した私は、これをスタンドと断定し

「サイレントトリック!」

大きな蜂型のスタンドを出し、狐のぬいぐるみを攻撃しようと、蜂の手をぬいぐるみに向けました。
私のスタンドの手は針です。このタイミングなら避けられません。
そして、この奇病にも終止符をうてるでしょう。
しかし、なぜかぬいぐるみには当たりませんでした。
いえ、そうではありません。当たったのに手応えがないのです。
あやうく、華穂ちゃんに当たるところでした。

「へへへ。気をつけな!おれさまの能力さ!結構チンケな能力さ。
だけどチンケな能力でも侮らないほうがいいぜ」

ぬいぐるみは人をばかにしたような口調で忠告をしてきました。
無論、こんな兆発には乗りません。私は能力の推理を開始しました。

(私の攻撃がすり抜けた……ということは透過の能力でしょうか?)

能力について不透明な部分が多すぎるのです。
不可解なところがあるとすれば、あの後攻撃をされなかったこと。
透過の能力ならば、私も透明にしてしまえるはず、
なのにしなかったという事は、出来ないという事でしょうか。
そして……

「美汐?どうしたの?」

真琴が心配そうに話しかけてきました。真琴にはこのぬいぐるみは見えないでしょう。
そして、私は真琴に心配を掛けないように

「だいじょうぶですから……ちょっと御払いに疲れただけです。」
「びっくりさせないでよ。ぬいぐるみに話している姿……ちょっと不気味だったわよ」
「すいませ……!?真琴!いまなんて言いました!?」

私は驚愕しました。もう少しで聞き逃すところでした。
確かに聞きました。ぬいぐるみに話している姿……と。
この部屋にぬいぐるみはスタンドである狐のぬいぐるみしかないのだから。

「あ、あうー?ちょっと不気味だったわよ?」
「その前です」
「ぬいぐるみに話している姿のこと?」

真琴の答えを聞き、私は確信しました。真琴はスタンド使いだと……
そして、あのぬいぐるみが話しかけてきました。

「へぇー。そこのおまえもおれさまが見えるのか!?今日はどうなっているんだ!?」
「あ、あうー!?ぬ、ぬいぐるみが喋ってる!!?」

真琴は驚いています。まぁ、普通は驚くでしょう。なにしろ、ぬいぐるみがしゃべっているのですから……

「ふん!まぁいいか……これ以上労力を使いたくないだろ?だからやめないかい?」
「やめません。が、あなたの目的はなんですか?」
「ただ生きたいのさ。が今はどうでもいいや。まぁ、おれさまの昔話を聞け」

やはり、偉そうなぬいぐるみだ。

ぬいぐるみの話し
おれさまの本体はもう既に死んでいる。
おいおい。怖い顔をするな。おれさまが殺したんじゃない。勝手に死んだのさ。
まぁ、簡単に言うと癌だ。あいつは癌にかかっていたのさ。
その時に、なぜかおれさまが出てきたのさ。理由?知らないな。
元々スタンド使いになる才能があったんじゃないか?そこらへんはおれさまには分からない。
まぁ、大事なのは結果さ。今のおれさまは生きている。それが重要だ。
それでだ。そのおれさまの本体……こいつが結構複雑な奴でな。
金儲けのためにいろいろ汚い事をやっていたが、その心のどこかで罪悪感があったのさ。
だから、中途半端だったそうだ。業績がな。まぁ、普通の奴よりはかなり優秀だったそうだが……
そんな中途半端な優しさと汚さのせいでおれさまが生まれたのさ。
おれさまは、最初は札束の姿だった。もう意味が無いのに、金が欲しかったのだろうさ。
それで、1ヶ月たった、ある日の事。その日におれさまの本体が死んだ。
そこからが本題だ。おれさまの本体が最後に、

(死ぬ前に……人として最低の悪事をしたい……)

そう思いやがった。そして、おれさまはこの子に寄生しちまったのさ。
そんでもってその後おれさまはこの姿になった。以上だ。

美汐視点

「おれさまの本体がそのときの最後の命令で、怨りついているのさ。
だが、できればおれさまを倒して欲しい。」
「なぜですか?」
「言ったろ。中途半端に優しいとな。そのせいで命を奪う事ができない。だから倒せ。
おれさまから解除できないんだ。おっと言い忘れていたが、能力は勝手に発動する」
「能力?」

真琴の疑問の声。まだ、目覚めていない真琴には意味がわからないのでしょう。

「おれさまの能力は、物理的ダメージが受けないことだ。
さっきのように雲を攻撃するような感触を受けるはずだ」
「どうやって倒せばいいのですか?そんなスタンド……」
「結構、欠点があってな。5秒しかきかない。これが弱点だ。
そして、ダメージを与えればこのガキから離れることができるはずだ。
ただ、嬢ちゃんのスタンドじゃ無理だ。」
「どういうことです?」

私の質問に……

「嬢ちゃんのスタンドじゃスピードはぎりぎり合格だが、パワーがちょっと足りない。
嬢ちゃんのスタンドは針の形をしているが、おれのスタンドは純粋なパワーでの5秒間強い攻撃が必要だ。
実を言うとな、おれさまが知っているのはこの能力だけなんだ。他にどんな能力があるのかわからないぜ」

その台詞を聞き、私は頭を悩ませました。ということは私以上のパワーをもつスタンド…
北川さんしか思いつきません。ですが、前に一人暮らしといっていました。
ということは、バイトをしているはずです。バイトをしないと生活できないはずですから
途方にくれていると、

「あうー。いったい何の話よ!」

そうです。希望があるとすれば真琴です。まだ、目覚めていませんが真琴がいます。
真琴が目覚めてくれればあるいは……
真琴を目覚めさせるために、ちょっとした荒療治をしようと決意しました。

「真琴……落ち着いて聞いてください」
「あう?」
「まず、落ち着いて私が話す内容を思い浮かべてください」

私の台詞に真琴は肯きました。

「あなたのバイト先の子供が人質にとられました。」
「あう!」

真琴は感受性豊かな子です。本当に集中すれば、かなり高い集中力を発揮します。
それに賭けてみましょう。そうですね……銀行強盗という設定にしましょう。
そして、私はバイト先の子供が銃で狙われているという暗示をかけました。
となりで

「効くのかよ……」

というボヤキが聞こえましたが無視です。
そして、話しは終盤に入りました。駄目押しで私のスタンドであるサイレントトリック…
そのもう1つ能力があります。
小さい蜂を出す事です。この蜂は攻撃用ではなく、人に飛びこみ、私の思ったとおりの情報を引き出します。
真琴の情報の中に漫画の銀行強盗があるはず……
私の蜂はその情報を引き出すために、真琴に向かわせました。真琴の中に蜂が入ります。
そして、すぐに飛び出しました。真琴には気付かれていません。
私の能力はそんなことしなくても発動しますが、
任意の幻覚を見せたいときは、そうしないと、どんな幻覚をするかわかりませんから……
真琴に飛びこんだ蜂は、私の本体である蜂に飛び込みました。そして、軽く針を真琴に当てました。
今、蜂が回収したその情報をインプットした幻覚を送りこみます。もちろん軽い幻覚です。すぐにとけます。

「あう!」

一瞬ですが、完璧に思い浮かんだはずです。
これで、真琴はその子供を救いたいと思うはずです。
ちょっと可哀想かもしれませんが、緊急事態なのです。真琴には謝ります。
そして……

ヒュッ!

真琴の近くには、一匹の狐がいました。そして、その狐は炎を纏いました。

TO BE CONTINUED

スタンド解説
天野美汐
サイレントトリック
破壊力 C スピード C 射程距離 C(10mくらいだが、小蜂は20mほど)
持続力 A 精密動作 D 成長性  D
能力解説
蜂の姿をしたスタンドで、針が3本ある。その針からはすべて幻覚を見せることが可能である。
その幻覚は大変危険なものばかり……
小蜂は人に潜り込むと、美汐本人が望んだ情報が引き出せ、
それを本体に送ると、その幻覚を見せることが可能である。小蜂は破壊されても美汐にダメージがない
なお、破壊力はCとしたが、実際は刺すため、Bに極めて近い威力を誇る。

後書き
作:おー、祐一よ
祐:なんだ?
作:今回の敵は、敵意の無いスタンドがコンセプトだ
祐:敵意の無い?
作:ああ。敵意が無いのに勝手に攻撃するようなスタンドだ。
祐:前回は荒神達が厄介な精神だったから比較的おとなしいタイプのスタンドか?
作:そのとおり!
祐:しかし……天野のスタンドは幻覚か……具体的に言うとどんなの?
作:作中で言ってたとおり、小蜂がないと恐ろしい幻覚を見せる。
祐:どんなの?
作:人が死んだときにみる地獄の幻覚だと思え。それと今回はアンダーワールドを結構参考にしている。
忘れていたが君のスタンドは、ヘブンズドアーを参考にしている、近距離型だと思え。
まだ、君は扱いきれてないけど……
祐:まじ?
作:まじ、まじ。
祐:そういえば、小蜂ではどんな情報でも引き出せるのか?
作:本人がそれを経験していればできる
祐:じゃ、じゃあ。もし俺が名雪の裸を見ていれば、それを引き出していつでも見れるのか!?
作:そうだけど……
祐:よし。天野にお願いしよう(ダッシュ!)
作:あーあ……いっちゃった……2話で見た名雪の裸をもう一回見るつもりか?
真琴(以下:真):あうー。祐一は?
作:美汐のところに行ったよ
真:なんで?
作:曰く漢の浪漫だ。
真:なにそれ?
作:簡単に言うと……
遠くから:ギャーー!!
真:な、なに?今の声……
作:祐一の声だったような?
美汐(以下:美):あ、作者さんはじめまして
作:あー、はじめまして……祐一は?
美:あそこで人生を考えているようです
作:や、やれやれだぜ……
美:では次回も楽しみしていてください。
真:ゆ、祐一がぶつぶつ言ってる……(汗)




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