『ジョジョの奇妙な冒険外伝 SNOW MEMORYS
第10話 束の間の間奏曲』




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人は何故傷付くのだろう……
それは、暴力であったり、精神的苦痛であったりする。何故人は傷付くのかを分かっていない。
心が読めないから?違う。心が読めても傷付くときは傷付く。
結局のところ、心が読めてもその感情まで同じとは限らないのだから。
悲しみの基準は人それぞれだ。ペットが死ぬのが悲しむ人がいれば、
目の前の食べ物が無くなるだけで泣く人もいる。……それは、心が読めてもどうしようもない。
ならば……人はどうすれば傷付かないことができるか……それはいまだ誰にも解明されていない…… だから、これからも人は傷付くのだ。
それは、変わらない事なのかもしれない……
だけど、それを一歩一歩前に進めていけば、人は変わるかもしれない……
可能性は低い事かもしれない……だけど、人を信じたい。
それが、未来へと繋がるのだから……








「……と、思うんだ俺は……」

妙に前置きが長いが、今のは祐一の独白だ。 別に意味はない……その独白はある人物を追い詰めるだけに作った創作なのだから……
普段の祐一ならこんな話しは作らないだろうが(彼の場合はいつも直球で攻めるのだが
今回は変化球のようだ。)今回の出来事にピッタリの前置きだ。

「うにゅ?」
「はぁ……」

名雪は意味が分からないらしく、首をかしげている。
美汐はどこか納得しているが、この独白は、その本人を追い詰めるためだと分かっているため、
素直に納得できなかった。
いつもの如く、思ったことを喋る癖を祐一は黙殺している。
喋ると前提していたため、ショックは受けていない。
そして、その独白の中心人物達は……

「…………」

一人は冷や汗を流しながら固まっている。今回の人を信じれなかった悲劇の少女と言ってもいいだろう。
自分の暴走がどれほど酷いかは自分でも分かっているため、ショックで固まっているのだ。
加えて、祐一の独白はしっかりと聞いていた。だから、固まっているのだが……

「……相沢……これ以上追い詰めないほうがいいと思うぞ?」

こちらは、この独白の真の意味が分かっていないのかもしれない。いや、分かっていないのだろう。
この目の前の男は奥手で鈍感なのだから……

「……まぁ、いいや……で、どうする?」
「なにが?」

名雪の平和そうな疑問の声……先程まで死の危険さえあったのに……
以外とこの少女が精神的に一番強いのかもしれない。

「……どこで、話すかだ……この時間だと、百花屋だと晩飯が食えなくなるし、学校でもいいけど、
また敵がくるかもしれないからな。」

現在、5時……人は少ないがまだ、外には人がいる。
いつ戻ってくるか分からないのに命に関係する話しをここでしようとは思えない。
その上、ここにいつまでもいるわけにはいかない。新たな刺客が来るかもしれないのだから。

「……しかたありません……私の家はどうでしょう?ここから近いですし……」
「天野の家?……もしかして、実家は神社か?」
「知っているのですか?」
「いや……カンだ」

と誤魔化してはいるが、美汐ならこんな家に住んでいるのではないか、と。
思ったことをそのまま口にしたのだ。本人も当たっているとは思っちゃいなかった。

「それより、美坂をどうにかしてくれ。固まって動かないんだ」

いまだ、復活の兆しを見せない香里。そして……

「しょうがないよね……蔓で引っ張っていこうよ。スタンドは人には見えないから多分大丈夫だよ」
「……それしかないか?」

祐一は疑問の声を上げるが、確かにそれしか方法がない。
祐一や北川が背負っても注目を集めるし、スタンドは一般人には見えないため、スタンドで香里を背負うと、
香里だけ浮いて見えてしまうのだ。名雪や美汐では背負うことができない。
そこで、名雪の蔓を使って運ぶことにした。

余談だが、香里を引きずる姿はかなり奇異の視線が集まったのは言うまでもない。


美汐の家に到着した。
途中、石段があったので、そこで香里を覚醒させた。さすがに石段を登るのは難しい

「それにしても……いつ知り合ったの?」
「去年の11月くらいかな……朝、南高の生徒にナンパされてたんだ」

ちょっとした回想が入っている。ちなみに香里の台詞は少し、棘があったと明記しておく

「ええ……11月の半ばのころです。私は学校に登校途中に、南高の生徒に路地裏に連れ込まれました」
「あの時はビックリした……うちの制服だったから」
「そのときに助けにきたのが北川さんです」
「厳密には助けていないけど……」

北川は言葉を濁した。あの時の光景はちょっと思い出したくない。
それをしっかり聞いていた、彼の親友でもある相沢祐一は

「助けてないって……どういうことだ?」
「おれが助ける前に、自分で対処してたんだ……スタンドで……」

またも言葉を濁す。

「気になるわね……教えなさい、北川くん」
「あっ、石段が終わっよ」

そこに

「ゆういちー!ひさしぶり!!」

真琴が突っ込んできた。真琴は天野家に居候している。

「どわっ!」

バランスを崩しかけるも、なんとか持ちこたえた。

「クッ!奇襲とはやるな、まこぴー!」
「あうー!まこぴーじゃない!!」

仲の良い兄妹のようだ。じゃれあっている。

「真琴……階段の近くで飛びこんではいけませんよ。今回はいいものの、避けられたら大怪我しますよ」
「あうー……わかったわよー」

こちらは、親友というよりは飼い主とペットという感じだ。
しかし、2人とも仲が良いのはこの場の雰囲気でわかる。

「天野。悪いけど、あまり時間が無いから、早く話しを済ませよう」
「そうですね……では、こちらへ」

美汐に案内された部屋は純和風の部屋だった。
真琴は台所で、美汐ママと料理を作っている。
古いが趣のある部屋と表現できる。地面は畳、布団が締まっていると思われる、襖。そして、障子。
どこから見ても少女が住む部屋とは思えない。
大抵の女子高生はなんらかのポスターを部屋に張っていたりするらしいが、そんなもの一つも無い。
この枯れ具合は年配の部屋といっても過言ではない。
祐一の日頃の感想は、おばさんくさいだったが、この部屋を見れば誰でもそんな感想が出てくるだろう。
ただし、本人の目の前で言うような事は、普通はしないが……

「お待たせしました……少し汚れていますがご寛ぎ下さい。」
「さすが、天野……部屋だけでなく、態度もおばさん臭いぞ」
「失礼ですね、相沢さん……物腰が上品といってください。」

祐一は普通の感覚をしていない。普通は言わない事をあっさりと言ってしまえる。
この図太い神経はどこにあるのだろうか……この図太さも強さのうちかもしれない。

「さっそくだが、本題に入ろう。ここにいる、相沢、水瀬、美坂はスタンド使いだ。
相沢は先日の刺された事件で、水瀬と美坂はついさっき覚醒したばかりだ」
「そうですか……どのような状況でですか?」
「さっきまで敵に襲われていたんだ。それを俺と名雪。そして、北川と香里で撃破した。
そのときに覚醒した」

祐一達の説明は続く。
自分のスタンドの能力は勿論、敵の能力、自分がどのような状況で覚醒したかを細かく説明した。

「わかりました……ですが、何故刺されたらスタンド使いになったのですか?」
「あん?」

北川は間抜けな声を出した。
そして、振り返る。自分が目の前の少女に『矢』の事を話したかを……
答えはNOだった。

「ははは……説明してないじゃん」
「おいおい……じゃ、天野は生まれつきスタンド使いなのか?」

祐一は驚いたようだ。祐一自身知らなかったとはいえ、美汐はスタンド使いだ。
それなのに、『矢』のことを知らないとは生まれつきの能力に他ならない。

「北川君……『矢』ってなんのこと?」
「……俺と北川は『矢』に刺された結果、スタンド能力を身につけた。俺はこの前の事件。
北川は2年前に刺されたそうだ」
「おれと相沢の能力は生まれつきじゃない。
『矢』という要素によって生まれた……いわば後天的な能力なんだ。」

女性陣3人は驚いた。まさか、そんな事があろうとは……

「じゃ、じゃああたしと名雪は?あたし達は『矢』に刺されてないわよ」
「美坂達は生まれつきの能力だと思う。今回の事件で命の危険に晒されたから、それで目覚めたと思う」

現時点での推論を語った。

「それはともかく……天野の能力は?知らないぞ?俺達で話せる事は全部話したぞ」
「私のスタンドの名前は『サイレントトリック』です。能力は簡単に言うと幻覚です」
「幻覚?どういうこと?」
「実際に見せましょう……これです」

その言葉と同時に美汐の横に大きい蜂が現れる。そう、まさしく蜂である。
しかし、大きさが普通ではない。なんと、身長にすると1mはありそうだ。
しかも、両腕には大きい針のような手、尻尾の所にもでかい針。それらは全て痛そうだ

「これが私のスタンドです。だそうと思えば小さい蜂もたくさん出せますよ。」
「針で刺すと、幻覚を見せる毒を注入されると思えばいい。
始めてあった時、ナンパした奴等、全員精神病院に直行してたからな……
今も時々病院に通っている奴もいるらしい」

北川の顔は蒼い。知らなかった3人は恐怖した。3人は美汐を怒らせないようにしようと心に誓った。

「では……『矢』について知りたいのですが」
「おれが説明しよう。『矢』について詳しい事は知らないが、スタンド能力を引き出す。
ただ全員が引き出せる訳じゃない」
「どういうこと?」
「才能がある奴にしか能力は引き出されない。才能が無いと死んでしまうんだ。
その点では相沢はラッキーだったな……あのまま死んでてもおかしくなかったからな」

これを聞き、4人は聞けないことがあった。それは、彼が何故死ぬことを知っているか。
そして、悲しそうな声を出していること。その意味するところは聞かなくても分かる。
北川は重苦しい雰囲気の中、話しを続ける

「相沢が『矢』に刺された経由は、おれがゲーセンで物を盗んだ奴を見つけて、その男を追っていたんだ。
その時に、おれが弾いた『矢』に相沢が刺さってしまったんだ。」
「そ、そうだったの?」
「その件に関しては悪かった。あれはちょっと不注意だったからな。
それで、『矢』を放った男はおれが倒したが、問題が起こった。」

北川は苦い顔をする。4人は真剣に聞いている。

「何者かに『矢』を盗まれた」

静寂が天野家に浸透する。そして……

「「「「えーーーー!!」」」」

祐一と名雪はともかく、あの冷静な香里と美汐も絶叫を上げている。それほど驚きの情報だった。

「おれはそれを見つけて破壊しなければならない。それが当面の目標だ」
「そ、そうか。それはともかくおまえが狙われる訳は?そこらへんの事情を俺はしらない」
「そ、それよ……いったいなにをしたの?」
「ついこの前……どこかの組織に入っていると思われるスタンド使いを再起不能にしたからだと思うんだが……」
「そ、そんなことしてたの?」

北川は名雪の台詞に頷いた。
客観的に見て北川の行動は正しい。が、相手にはそれが伝わらず、面子を潰されたと考えている。
だから、北川を狙っているのだ。

「話を戻そう。今日のスタンドを見ても分かるとおり、あんな奴等がどこかで笑っているんだ。
おれはそれを見過ごす事ができない。だから、闘う。できればでいい……手を貸してくれ。
嫌なら無理には誘わない」
「俺は別に構わない。ここまで関わって抜けるのも中途半端で目覚めが悪いしな」
「私も祐一を守りたいし……べつにいいよ」

祐一と名雪は即決だった。香里も

「栞を守る事に繋がるし、異存はないわ」
「天野さんはどうする?前は断ったけど……」
「私は……前なら断ったでしょう……ですが、今は守りたい人ができました。だから、闘います」

このメンバーは意思が固まったようだ。祐一とその関係者は結構頑固者が多い。
一度決めればそれに向かって動き出す。
彼や彼女達の説得はもう不可能だろう。
そこに、真琴がやってきた。

「美汐……って、なんでスタンドだしてるの?」

美汐はまだスタンドを解いていない。だから、まだ蜂は目の前にいるが、問題はそこではない。
真琴はすでにスタンドを使える事を意味する。
この台詞で天野と真琴以外の4人は固まった。

「ど、どうしたの?ぼーっとしちゃって……」
「お、おい……天野……真琴は、もうスタンド使いなのか?」
「言い忘れていましたが……そうです。」

祐一は自分の関係者の半分以上がスタンド使いになっていることに愕然とした。

「……真琴の能力は?」
「その前に……この前、体験した事件について話しましょう。」

そうして、真琴がスタンド使いに目覚めるきっかけになる話しがはじまる。




???視点 彼等は海崎遊馬と荒神を始末した。そして、どこかのマンションに入った。
反逆者のリーダーはこの街を裏から支配する男を始末するために、あえて反逆者となったのだが、
今はまだ、そのボスが支配するマンションに住んでいるのだ。
そこは比較的安全で、まだ利用できるが、盗聴機があってはたまらないため、
現在では違うマンションで生活している。
要するに、反逆者のリーダーは居候しているのだ。

「……おい……から連絡だ。奴等は天野の家にいったそうだ。」
「やはり移動したか……報告では、あそこにいる2人はもう覚醒していたはずだな?」
「ああ。どうする?」
「決まっている。なにもしない」

断言された。率直に決めたリーダーは台所に入った。
居候という事で、家事は彼がすることになっている。

「……って……いいのか?」
「覚醒しているのだから襲う必要が無いからね。尾行もやめるよう伝えてくれ」
「わかった」

彼はメールを打ち込み、退却するように伝えた。
彼は料理をするためにガスの元栓を開け、火を使い始めた。

「順調だな……」
「だが、その分ばれるのも速くなりそうだ。急がなくては……」
「とりあえず、どのあたりの予定だ?」
「目標は4月の月末……春来祭だな。それまでに全員をスタンド使いにするよう努力する」

春来祭とは、簡単に言えば文化祭だ。
この地方はそのあたりから暖かくなるため、この時期に文化祭に似た行事を行う。
時期的に、この祭りが終われば、すぐにでもゴールデンウイークなのだ。
だから、この行事は生徒には人気がある。
ちなみに、祐一達のクラスは喫茶店だ。
そして、上で言う全員とは……相沢祐一に関係する少女達を意味する。

「間に合うか?あと一週間だぞ?」
「あと4人だね。比較的固まっているから、実質2回の戦闘で充分さ。
当然だが2回の戦闘はあの男の配下をつかうさ」
「あの女……水瀬秋子はどうする?」
「何のために、娘をスタンド使いにしたと思っている?逃げ出さないようにするためだ」
「用意周到だな」

目の前のリーダーがここまで策を労していたとは……は戦慄した。
彼の恐ろしさはスタンドではなく、この頭脳かもしれない。

「そして……これからの作戦を伝えておく。……が来たらはじめよう」

反逆者達の作戦とはどのようなものなのか……

TO BE CONTINUED…

キャラ紹介
天野美汐
生まれつきスタンド能力を有する、少女。
性格はほぼ原作通りで、昔の事を引きずっていたが、真琴を守るため明確な意思を持つ
スタンド名はサイレントトリックである。
天野の性格は少しずつ改善されてきている。そのためか、最近モテはじめる。
現在、好きな人はなしだが、誰に惚れさせるかは現時点で作者も決めていない。

後書き
作:さて……祐一は……
???:ふふふ……復活だ!
作:だれだ!?
???:俺の名はモンゴルAだ!!
作:あ、あのー……祐一君?
モ:祐一ではない!モンゴルAだ!!
作:は、はぁ……ではモンゴルAさん……後書きはじめますよ
モ:ウム!
作:質問なんですが……誰の真似ですか?
モ:当然、モン○ルマンだ!
作:って、祐一が前回言ってたネタじゃないか!!
モ:グッ……しまった……盲点だった
作:どこが盲点だ!このボケッ!!
モ:うーー、いじめるよーー
作:気色悪いわ!!
モ:確かに……本題に入ろう
作:次回から真琴&美汐編ですね
モ:すでに、スタンド使いか……
作:話しの展開上これがベストだと判断してな
モ:確かに……このまま、俺達が毎回毎回加わるのもマンネリだしな
作:(正体もう完璧にバレバレじゃん)それと反逆者は3人です。
モ:3人のスタンドは考えはついているのか?
作:とりあえず2人決定。残りの1人は二択。
モ:おいおい……
作:春来祭も適当です。それと質問があったので答えておきます。
祐一達が住んでいるところは北海道だと思ってください。
作者が北海道に住んでいないので分かりませんが、よろしくお願いします。
季節の変わり目も予想で書いています。
モ:適当だな……
作:(無視)では、話しの終わりに行く前に……
モ:なんだ?
作:次回からマスクははずせよ
モ:はずさないと?
作:後書き降格(断言) 祐:さてと、はずすか!(パッ!)
作:はやッ!!
祐:フッ……やれやれだぜ
作:では次回!!(久しぶりだな) 




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